説明

トレッドミル用ベルトおよびベルトを有するトレーニング機器

この発明は、トレッドミル用ベルト(1)であって、キャリアベルト(16)と、キャリアベルト(16)上に配置された踏み面とを備え、踏み面は、互いに切離されているポケット(3)を有し、ポケット(3)は、充填材材料で充填されるまたは充填できる、ベルト(1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーム1のプリアンブルに係るトレッドミル用ベルトおよびクレーム14のプリアンブルに係るベルトを有するトレーニング機器に関する。
【背景技術】
【0002】
トレッドミル用ベルトまたはトレーニング装置は、先行技術から公知である。
DE 101 33 863 A1は、トレッドミル用ベルトであって、凹凸状に形成された面を有し、そのため、ランニング中に足が単調に歩を運ぶことはなく、変化する状況に適応しなければならない、トレッドミル用ベルトを開示している。凹凸状の面は、掃除が容易でありかつ水平な面を得るために、容易に圧縮可能な層を備え得る。さらに、砂またはゲルタイプの材料で充填されたチャンバによって、下にある種々の面を真似ることができる。したがって、トレーニング効果が上がる。
【0003】
WO 98/13109 A1は、クッション性のある層を有するトレッドミル用ベルトを開示している。クッション性のある層は、ベルトの上を横断して延びる突出部を有している。クッション性のある層または突出部を過度に急速な摩耗から保護するために、その表面は耐摩耗性膜でコーティングされている。クッション性のある層には、特に、標準的なトレッドミルよりも関節を守るようなトレーニングが可能であるという効果がある。
【0004】
DE 199 22 822 B4は、横支柱として実現される薄板を受けるベルトを有するトレーニング装置を開示している。複数の横支柱を介してアスリートが踏む踏み面は、湾曲している。踏み面の湾曲の半径は、ランニング運動中に足が描く半径におよそ対応している。したがって、ランナーは、上下運動を補正する必要がなく、またはジャンプ運動を行なう必要がない。さらに、薄板もベルトも弾性的に変形可能であるので、関節を守る効果がさらに強化される。
【0005】
WO 2009/059722 A1は、クッション性のある厚い層を有するベルトを備えたトレッドミルを開示している。クッション性のある層は、一方ではランニング中に関節に作用する衝撃を減衰させ、一方ではトレーニング効果を強めるために用いられる。トレーニングしている人の足は1歩毎にクッション性のある材料に深く沈み込むので、次の歩を進める前にいずれの場合にもランニング中に足を上げなければならない。さらに、トレーニングマイクロインターバルおよび回復マイクロインターバルの助けを借りてトレーニング効果を最適化するために、駆動装置のコントローラを有するトレーニング装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
種々の人、特に種々の体重の人がトレッドミルを用いる場合、下にある面は必ずしも理想的な特性を有しているとは限らない。特に、公知のベルトには、種々のランニング特性に合わせ直すことができないという不利な点がある。さらに、チャンバの充填後に方向転換領域に高い膨張力が生じる可能性があり、これは損傷を引起し得る。
【0007】
この発明の目的は、先行技術の不利な点を克服することである。特に、アスリートの動作、体重および所望の快適度に踏み面を個々に適合させることを可能にする。ベルトは、容易に生産できかつ機械的に耐久性のあるものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、クレーム1の特徴を有するベルトによって達成される。さらなる実施例は、従属特許請求項によりもたらされる。
【0009】
人体をトレーニングするためのこの発明に係るトレッドミル用ベルトは、キャリアベルトと、キャリアベルト上に位置する踏み層とを備える。踏み層は、充填材材料で充填されるまたは充填可能な多数のチャンバを有する。チャンバは、キャリアベルト上で互いに切離されて位置する別個のポケットを形成する。
【0010】
トレッドミルは、ここでおよび以下では、アスリートが一種の「コンベアベルト」上でランニング運動を行なうトレーニング装置として理解され、トレーニング装置もアスリートも所定の位置に固定されたままである。したがって、「コンベアベルト」をベルトと称する。
【0011】
ポケットは、ここでおよび以下では、さまざまな材料を受けることを可能にする装置として理解される。ポケットは、2つの正反対の開いた側面を有する管として実現でき、または全側面が閉じているもしくは閉じることができるように実現できる。キャリアベルト上の各々の個々のポケットを切離すことが特に重要であり、それによって全体的に見てベルトの最適な可撓性が確保される。
【0012】
キャリアベルトは主にベルトの機械的安定性に役立つ。ベルトがランナーの全体重を吸収するためキャリアベルトの安定性が特に要求されるトレッドミルの構成が考えられる。代替的に、トレッドミルは、アスリートのランニング領域におけるベルトの下に荷重担持ユニットを有し得る。したがって、ベルトはもはやランナーの全体重を吸収する必要はない。それに応じてキャリアベルトの構成を適合させることができる。下にある荷重担持ユニットを有する構成のために、キャリアベルトが、ベルトと荷重担持ユニットとの間の摩擦抵抗を最小限に抑える、荷重担持ユニットの方に向いた摺動層をキャリアベルトの側に有していれば、望ましいであろう。代替的に、荷重担持ユニットはローラも備え得る。キャリアベルトも踏み層も、キャリアベルトと踏み層とを有する実施例によって、それぞれに必要な特性に対して最適化することができる。
【0013】
ポケットは、互いに切離されて共通の側壁を持たないようにキャリアベルト上に位置する。ポケットは、容易に変形可能であり、かつ、ポケットに位置する材料の特性にそれほど影響を及ぼさない材料から形成される。踏み面は、ポケットの上面によって形成される。ポケットの材料を好適に選択することによって、特に衛生面に関する手入れを簡素化することができる。この目的で、容易に洗浄可能でありかつ消毒可能な材料が好ましくは用いられる。たとえば、ポケットは、プラスチック膜を備え得る。この目的で、ゴム、ラテックス、またはポリ塩化ビニルとポリウレタンとの混合物(PVC/PU)からなる膜が考えられる。この膜は、好ましくは、PVCを約97%含み、PUを約3%含む。他の材料も考えられる。充填されたポケットによって、踏み層の特性に意図的に影響を及ぼすことが可能であり、たとえば種々の要求に対してベルトを設けることが可能である。充填可能なポケットの構成によって、ポケットは現場で充填されてもよく、したがって、ユーザの要求に従って踏み層の特性を適合させることができる。
【0014】
ポケットは、キャリアベルト上に取外し可能に位置し得る。たとえば、ポケットは、縫製、溶着および/または糊付けによってキャリアベルト上に固定され得る。取外し可能なタイプの留めによって、使い古したポケットの簡単な交換または他の材料で充填されたポケットの簡単な交換が可能になる。したがって、一方ではメンテナンス作業が簡素化され、一方では踏み面の特性の個々の適合性がさらに単純になる。取外し可能な接続は、たとえばスナップファスナー、面ファスナーなどを用いて実現できる。
【0015】
少なくとも1つのポケットは、異なる特性を有する多数の材料で充填され得る。したがって、踏み層の特徴は再度影響を受ける可能性がある。たとえば、1つのポケットは、柔らかい下張りと、その上に位置するより硬い層とを備え得る。柔らかい層は踏み面に対する踏み込みを確実に減衰させ、したがって関節を守る一方、その上にあるより硬い層は踏み込む足の安定性を確保する。
【0016】
踏み層の少なくとも2つの充填されたポケットも異なる特性を有し得る。したがって、このようなベルト上でのランニングは特に魅力的であり、アスリートの筋肉組織は単調に荷重を受けることはなく、さまざまな状況に適合しなければならない。
【0017】
ベルトの踏み層は、ベルトのランニング方向に、および/または、ランニング方向を横断する方向に、多数のポケットを有し得る。フライス削りが減少するので、ランニング方向の多数のポケットは、方向転換ローラ上での方向転換中のベルトの抵抗を減少させる。したがって、トレッドミルで用いられる方向転換ローラの直径に対するポケットの寸法を考慮すべきである。したがって、ランニング方向のポケットの最適な寸法は、方向転換ローラの直径に対して、0.1〜1、好ましくは0.2〜0.8であることがわかった。ポケットの高さまたは踏み層の厚みは、1cm〜10cm、特に1.5cm〜8cm、好ましくは2cm〜5cmである。
【0018】
ランニング方向を横断する方向の多数のポケットの実施例では、たとえば、踏み層の特性を右足または左足について異なって適合させることが可能になる。これは、高さが異なるポケットの構成も含む。
【0019】
ポケットはまた、ランニング方向に対してある角度をなして位置し得る。さらに、ランニング方向を横断して位置するポケットは、ランニング方向に互いにオフセットされて位置し得て、これはさらなる変形例を可能にする。
【0020】
ポケットは、側面が開いているまたは側面を閉じることができるものであり得る。充填材材料によっては、これは、使用に起因して充填材材料がポケットから漏れ得ることを防止できる。ポケットはまた、側面が閉じている、特に溶着されているものであり得る。これは、たとえば粉末充填材材料の場合に有利である。
【0021】
充填材材料は、流体で充填された緩衝材、砂、砂利、岩石、木、コルクおよび/またはプラスチックからなる群から選択され得る。さらに、充填材材料は、異なる形状、特に粉末、顆粒、球、楕円体、円柱体、立方体、直平行六面体および/またはロッドを有し得る。充填材材料のさらなる材料および形状が考えられる。
【0022】
充填材材料はまた、発泡プラスチック、好ましくは発泡ポリウレタンであり得る。異なる特性を有する開放気孔の変形例も閉鎖気孔の変形例も使用可能である。
【0023】
発泡プラスチックは、たとえば面積が10cm×10cmであり面荷重が1000Nである状態で40%〜95%圧縮可能であり得る。
【0024】
踏み面上でのランニング中に必要な人体の筋肉をトレーニングするためのこの発明に係るトレーニング機器は、互いに平行な軸を中心として回転可能な2つの方向転換ローラ上を一方向に回転するエンドレスキャリアベルトを有し、トレーニングのための踏み面は、方向転換ローラから離れる方を向いたキャリアベルトの上部側のその上部走路と関連付けられる。2つの方向転換ローラのうちの少なくとも1つは、コントローラによって制御される駆動装置を有する。トレーニング機器に対して動かない荷重担持ユニットは、下部走路の方に向いたキャリアベルトの上部走路の下部側と関連付けられる。さらに、キャリアベルトは、方向転換ローラから離れる方を向いたその上部側にプラスチックからなる曲げやすい層を有し、曲げやすい層は、外皮と、桁腹板を残しながら層の自由な外側面からその上部側に向かう方向に延びる谷間とを備える。外皮は、谷間の領域ではキャリアベルトの上部側まで導かれ、そこに固定されて、ポケットを形成する。プラスチックは個々のロッドを備え、各ポケットはロッドのうちの少なくとも1つを用いて充填される。各ロッドは、好ましくは、キャリアベルトの上部側に対して垂直に測定すると、幅を規定する互いに隣接した2つの谷間の間隔よりも谷間の高さが高い。
【0025】
キャリアベルトの上部側に対して固定してある、側面が開いた安定的なポケットを有する外皮を形成することによって、そこでプラスチックを用いることができ、このプラスチックは、ポケットの幅よりも高さが高いために、より弾性的に曲げやすく、柔らかく、さらに厚く、たとえば注入されるかまたはロッドの形態をしており、大きな固有の安定性およびより低い弾性をそこに接続させる必要はなく、深いばねの撓みも可能にする。ポケットは、側面が開いているまたは閉じているように実現できる。
【0026】
したがって、この発明によれば、トレーニングしている人の人体の体重は、荷重担持ユニットによって吸収され、トレーニング機器に分散される。したがって、ひいては、厚く、弾性的に曲げやすく、柔らかいプラスチックを有するエンドレスに回転するキャリアベルトを用いて、自然面を真似ることが可能であり、この自然面には急速に深く沈み込むので、再び自由な外側面の高さになるようにするために、次の1歩の開始時に、沈んだ質量分だけ最初に足を上げる必要がある。その後、再び足を上げ、前方に移動させて、次の1歩を終わらせなければならない。駆動装置のコントローラによって、トレーニングしている人のそれぞれの状態および/またはトレーニング目標に合わせた設定が可能である。
【0027】
この発明に係るトレーニング機器を用いて、砂または真似られた類似の自然面への沈み込みだけでなく、同一のセクションではキャリアベルトの方向により大きな力の消費が必要であり、および/または、他の筋肉群は深い沈み込みによってトレーニングされ、したがってより優れたトレーニング結果が達成される。
【0028】
この発明に係るトレーニング機器では、完全におよび/または側面が開いたポケットを残しながら外皮が各ロッドを包むことができ、外皮は、キャリアベルトの上部側の接触領域に固定、たとえば糊付けおよび/または溶着できて、ポケットを形成する。
【0029】
トレーニング機器の層の厚みおよび/または弾力性の大きさが、人体によって荷重を受けるとその厚みの点で40%〜95%、好ましくは50%〜90%、特に非常に好ましくは60%〜80%だけ圧縮可能であるように決められれば好ましいことが証明された。
【0030】
損傷および/または汗から層の少なくとも外側面を保護するために、実際の踏み面の役割を果たす好ましくは粘塑性の外皮は、プラスチックからなる自由な外側面と関連付けられる。この場合、この外皮は、プラスチックからなる自由な外側面に少なくとも部分的に材料的に接着、たとえば糊付けされることができる。
【0031】
また、トレーニングのために設ける傾斜面を真似るために、2つの方向転換ローラの軸のうちの少なくとも1つの軸は、たとえば電気的に動かされる、ねじが切られたロッドなどによって、その伸長方向に対して垂直に上げたり下げたりされるように有利に実現できる。
【0032】
さらに、この発明に係るトレーニング機器のコントローラを用いて、個々に設定可能な、さまざまな長さの交互のトレーニングマイクロインターバルおよび連続する回復マイクロインターバルにおいて、速やかにまたはそれに対してよりゆっくりと駆動装置を駆動することが有利に可能であり、トレーニングマイクロインターバルは8秒〜40秒、好ましくは9秒〜35秒、特に非常に好ましくは10秒〜30秒であり得て、回復マイクロインターバルは13秒〜90秒、好ましくは14秒〜75秒、特に非常に好ましくは15秒〜60秒であり得る。
【0033】
また、厚く、弾性的に曲げやすく、柔らかい層が、空気で充填された塊である場合、その圧力も駆動装置によって制御されるように設定でき、圧力は任意に変化するため、面は、たとえばビーチのような硬い湿った砂混じりの地面または森林のような柔らかい松葉の地面も人工的に真似ることができる。
【0034】
したがって、この発明に係るトレーニング機器のコントローラを用いて、上り勾配および下り勾配、トレーニングセクションおよび回復セクションを有し、任意に硬い地面および柔らかい地面を有する如何なるトレーニング地形も事実上真似ることが可能である。
【0035】
この発明に係るトレーニング機器では、完全にまたは側面が開いたポケットを残しながら外皮が各ロッドを包むことができ、外皮は、キャリアベルトの上部側の接触領域に固定できて、ポケットを形成する。
【0036】
ロッドは、断面が円形、半楕円形、半円形、長方形または台形であるように実現できる。
【0037】
ロッドのうちの少なくとも一部は、互いに平らに接続された少なくとも2つの部分的なロッドを備え得て、部分的なロッドのプラスチックは、さまざまな弾力性または弾性を有し得る。
【0038】
層は、弾性的に曲げやすく、柔らかいプラスチックを有し得る。
プラスチックは、発泡プラスチックとして実現でき、開放気孔および/または(部分的に)閉鎖気孔であるように実現できる。
【0039】
層の厚みは、2cm〜10cm、好ましくは2.5cm〜8cm、特に非常に好ましくは1.5cm〜6cmであり得る。
【0040】
層は、人体の体重によって荷重を受けるとその厚みの点で40%〜95%、好ましくは50%〜90%、特に非常に好ましくは60%〜80%だけ圧縮可能であり得る。
【0041】
谷間は、回転するキャリアベルトの方向に測定した桁腹板の幅に対して狭いものであり得る。
【0042】
谷間は、回転するキャリアベルトの方向に測定した桁腹板の幅に対して、3分の1〜15分の1、好ましくは6分の1〜14分の1、特に非常に好ましくは8分の1〜13分の1であり得る。
【0043】
谷間は、回転可能な方向転換ローラの2つの軸に平行に延び得る。
谷間は、キャリアベルトの上部側に対してある角度をなして延び得る。
【0044】
谷間は、キャリアベルトの上部側に対して直角に延び得る。
谷間は、方向転換ローラの軸の伸長方向に間隔を空けて位置するキャリアベルトの上部側の2つの外縁からある距離のところで終了し得る。
【0045】
実際の踏み面として用いられる外皮は、プラスチックからなる自由な外側面と関連付けられ得る。
【0046】
外皮は、粘塑性であるように実現できる。
外皮は、プラスチックからなる自由な外側面に材料的に接着され得るか、または、自由な外側面の上に載ってそれとともに回転し、別個の方向転換ローラによって方向転換する別個の踏み面ベルトとして実現できる。
【0047】
2つの方向転換ローラの軸のうちの少なくとも1つの軸は、その伸長方向に対して垂直に上げたり下げたりできるように実現できる。
【0048】
コントローラは、個々に設定可能な、さまざまな長さの交互のトレーニングマイクロインターバルおよび連続する回復マイクロインターバルにおいて、速やかにまたはそれに対してよりゆっくりと駆動装置を駆動し得る。
【0049】
トレーニングマイクロインターバルは、8秒〜40秒、好ましくは9秒〜35秒、特に非常に好ましくは10秒〜30秒であり得る。
【0050】
回復マイクロインターバルは、13秒〜90秒、好ましくは14秒〜75秒、特に非常に好ましくは15秒〜60秒であり得る。
【0051】
専ら例示的な実施例を示している図に基づいて、以下でより詳細にこの発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1a】ランニング方向に多数の異なって充填されたポケットを有する、この発明に係るベルトの概略図を示す。
【図1b】ランニング方向にもランニング方向を横断する方向にも多数の異なって充填されたポケットを有する、この発明に係るベルトの概略図を示す。
【図1c】ランニング方向に対してある角度をなして位置する複数の異なって充填されたポケットを有する、この発明に係るベルトの概略図を示す。
【図2】多数の充填されかつ閉じたポケットを有し、1つのポケットが開いた状態で示されている、この発明に係るベルトの詳細な斜視図を示す。
【図3】方向転換ローラの領域におけるこの発明に係るベルトの詳細図を示す。
【図4】この発明に係るトレーニング機器の実施例を側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1a)〜図1c)は、ランニング方向11に多数の異なって充填されたポケット3を有する、この発明に係るベルト1のさまざまな実施例における概略図を上面図で示す。ベルト1は、部分的に示されているに過ぎず、いずれの場合にも2つの異なるポケット3の構成を備えている。
【0054】
図1a)では、各ポケット3,3′は、連続的であり、ほぼベルト1の全幅にわたっている。この図における上部の3つのポケット3の各々は、いずれの場合にもベルト1の幅にわたって充填材材料25を1つだけ用いて充填されている。この図における下部の3つのポケット3′は各々が、その幅において異なる充填材材料25を用いて充填されている。図示されている例示的な実施例では、ポケット3′は、互いに隣接して位置する4つの異なる充填材材料25を有している。しかしながら、その他の数の充填材材料25も用いることができる。さらに、ランニング方向11を横断して互いに隣接して位置する充填材材料25の代わりに、これらはランニング方向11において互いに隣接してまたはさらには重なって位置することもできることも考えられる。
【0055】
図1b)は、異なって充填されたポケット3,3′を有する構成を対応して示し、多数のポケット3,3′は、ランニング方向11にもランニング方向11を横断する方向にも位置している。この図におけるポケット3の上部の3つの列は、互いに隣接して向けられかつ間隔を空けて位置している。この図における下部のポケット3′は、互いに隣接して側面がオフセットされかつ間隔を空けて位置している。充填材材料25でのポケット3,3′の充填は、任意に行なうことができる。ポケット3,3′はすべて、同一の充填材材料25でまたは異なる特性を有する充填材材料25で充填できる。図1に対応する充填も可能である。異なる充填を組合せて任意のパターンにすることができる。
【0056】
図1c)は、ポケット3,3′がランニング方向11に対してある角度をなして位置するベルト1を示す。ポケット3は各々が、一方向にある角度をなすことができる。しかしながら、ポケット3′がまず一方向に走り、次いで方向を変えることも可能である。したがって、任意のポケットの輪郭が考えられる。異なる充填材材料25での充填は、図1a)および図1b)に係る可能性に対応する。
【0057】
図2は、キャリアベルト16上に位置する多数のポケット3,3′を有するベルト1の詳細図を示す。ポケット3は充填されかつ閉じており、ポケット3′は開いた状態で示されている。ポケット3,3′は、図1b)の上の図のように位置している。他の構成も可能である。
【0058】
ポケット3は各々が、スナップファスナー28を用いて閉じられる2つの閉じ要素29を側面に有している。したがって、ベルト1を集中的に用いても、充填材材料25が側面に漏れることはあり得ない。閉じ要素29は、ポケット3自体と同一の材料から製造される。図示されている例示的な実施例では、閉じ要素29は、ポケット3に一体的に接続され、ポケット3の両側面で翼のように突き出ている。もちろん、閉じ要素の他の形状および構成も考えられる。閉じるためにスナップファスナーの代わりに他の要素、たとえば面ファスナーも用いることができる。ポケットは、工場で充填され、永久的に閉じられる、特に溶着されることも可能である。
【0059】
簡略化するために、閉じ要素を持たない開いたポケット3′が示されている。充填材材料25の層状の構造を明らかに見ることができる。充填材材料25は、下部層26と上部層27とから形成される。図1a)の説明に係る充填材材料25の他の構成も可能であることは明らかである。
【0060】
ベルト1のユーザが立つ踏み面30は、ポケット3,3′の上部側によって形成される。しかしながら、充填材材料25を好適に選択することによって、ユーザは、硬い踏み面30を認識するのではなく、充填されたポケット3,3′とキャリアベルト16とによって形成される踏み層2全体を認識する。
【0061】
図示されている充填されたポケット3,3′は、3cmの高さのところで面積が4cm×10cmである。ランニング方向を横断する方向の2つのポケット3,3′の間の距離は0.5cmである。ランニング方向のポケット3,3′の間の距離は、それらの基部でまたはキャリアベルト16上で測定すると0.2cmであり、ベルトが伸びた状態の踏み面30の高さのところでは0.5cmである。別の実施例では(図1a参照)、ベルトの幅にわたってポケットが1つだけ延びている。このポケットは、2cmの高さのところで面積が2cm×50cmである。ランニング方向のポケットの間隔は、図示されている例示的な実施例と同一である。しかしながら、他の寸法および間隔も考えられる。
【0062】
図3は、トレッドミルとして実現されるトレーニング機器10(図4参照)の方向転換ローラ15の領域におけるベルトの詳細図を示す。ポケット3が位置しているキャリアベルト16を明らかに見ることができる。ポケット3は、曲げやすい層20の形態の充填材材料25で充填されている。ポケット3は、所定の場所に層20または充填材材料25を保持し、層20または充填材材料25を摩耗から保護する滑り止め外皮31を形成する。ポケット3の外皮31は、位置23でキャリアベルト16上に固定されている。図示されている例示的な実施例では、外皮31は、キャリアベルト16に溶着されている。しかしながら、他の留めの可能性、特に縫製または糊付けも考えられる。
【0063】
図4は、この発明に係るトレーニング機器の実施例10を示す。トレーニング機器の実施例10は、踏み面上でのランニング中に必要な人体の筋肉をトレーニングするために用いられ、互いに平行な軸12,13を中心として回転可能な2つの方向転換ローラ14,15上を一方向11に回転するエンドレスキャリアベルト16を有し、トレーニングのための踏み面30は、方向転換ローラ14,15から離れる方を向いたキャリアベルト16の上部側163のその上部走路161と関連付けられる。さらに、コントローラ17によって制御される駆動装置18が設けられている。
【0064】
ハウジング上の所定の位置に固定され、トレーニング機器10に対して動かない荷重担持ユニット19は、下部走路162の方に向いたキャリアベルト16の上部走路161の下部側164と関連付けられ、この荷重担持ユニット上に上部走路161を支持でき、この荷重担持ユニットによってトレーニングしている人の形態の人体の体重によりもたらされる力を分散させることができる。
【0065】
またトレーニングのために設ける傾斜面を真似るために、方向転換ローラ15の1つの軸13は、たとえば電気的に動かされる(40)、ねじが切られたロッド41などによって、両方向矢印42に従ってその伸長方向に対して垂直に上げたり下げたりできるように実現される。
【0066】
方向転換ローラ14,15から離れる方を向いたその上部側163に、キャリアベルト16は複数のポケットを有し、この複数のポケットは、互いに平行であり、粘塑性外皮31によって形成され、図示されている例示的な実施例では側面が開いており、厚く、弾性的に曲げやすく、柔らかいプラスチックからなる層20を用いて充填され、外皮31は、図2に概略的に示されているように、谷間21の領域では接触領域23としてベルト16の上部側163まで導かれ、そこに固定されて、ポケットを形成する。踏み面30は、層の自由な外側面と関連付けられる。
【0067】
層20は、桁腹板22を残しながらキャリアベルト16の上部側163の方向にその自由な外側面から延びる谷間21を有し、谷間21は、回転するキャリアベルト16の方向10に測定した桁腹板22の幅に対して狭く、好ましくは回転するキャリアベルト16の方向に測定した桁腹板の幅に対して、3分の1〜15分の1、好ましくは6分の1〜14分の1、特に非常に好ましくは8分の1〜13分の1である。谷間21は、回転可能な方向転換ローラ14,15の2つの軸12,13に平行に延びている。さらに、谷間21は、図示されている例示的な実施例では、キャリアベルト16の上部側163に対して垂直に延びている。
【0068】
たとえば発泡プラスチック、開放気孔プラスチックおよび/または(部分的に)閉鎖気孔プラスチックとして実現されるプラスチックは、この発明の教示に係る個々のロッドを備え、各ポケットはロッドのうちの少なくとも1つで充填され、各ロッドは、ベルト16の上部側163に対して垂直に測定すると、幅を規定する2つの隣接する谷間の間隔よりも谷間21の高さが高く、層の厚みまたは高さは、2cm〜10cm、好ましくは2.5cm〜8cm、特に非常に好ましくは1.5cm〜6cmであり、人体によって荷重を受けるとその厚みの点で40%〜95%、好ましくは50%〜90%、特に非常に好ましくは60%〜80%だけ圧縮可能である。
【0069】
このトレーニング機器を用いて、この発明に係る駆動装置18のコントローラ17によっておよび制御駆動装置40によって電気的に駆動されるねじが切られたロッド41によってその伸長方向に対して垂直に1つの方向転換ローラ15の軸13のうちの少なくとも1つの軸を上げたり下げたりする可能性によって、上りセクションおよび下りセクションならびにトレーニングセクションおよび回復セクションを有し、任意に硬い地面および柔らかい地面を有する如何なるトレーニング地形も、この発明に係るトレーニング機器を用いて事実上真似ることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体をトレーニングするためのトレッドミル用ベルト(1)であって、キャリアベルト(16)と、充填材材料で充填されるまたは充填可能な多数のチャンバを有する、前記キャリアベルト(16)上に位置する踏み層とを備え、前記チャンバは、前記キャリアベルト(16)上で互いに切離されて位置する別個のポケット(3,3′)を形成することを特徴とする、ベルト(1)。
【請求項2】
前記ポケット(3,3′)は、前記キャリアベルト(16)上に取外し可能に位置することを特徴とする、請求項1に記載のベルト(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのポケット(3,3′)は、異なる特性を有する多数の充填材材料で充填されるまたは充填可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のベルト(1)。
【請求項4】
前記踏み層の少なくとも2つの充填されたポケット(3,3′)は異なる特性を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項5】
前記踏み層は、前記ベルト(1)のランニング方向(11)に、および/または、ランニング方向(11)を横断する方向に、多数のポケット(3,3′)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項6】
前記ポケット(3,3′)は、ランニング方向(11)に対してある角度をなして位置することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項7】
ランニング方向(11)を横断して位置する前記ポケット(3,3′)は、ランニング方向(11)に互いにオフセットされて位置することを特徴とする、請求項5に記載のベルト(1)。
【請求項8】
前記ポケット(3,3′)は側面が開いていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項9】
前記ポケット(3,3′)は、側面を閉じることができるおよび/または側面が閉じていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項10】
前記充填材材料は、
流体で充填された緩衝材、
砂、
砂利、
岩石、
木、
コルク、
プラスチック、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項11】
前記充填材材料は、
粉末、
顆粒、
球、
楕円体、
円柱体、
立方体、
直平行六面体、
ロッド、
角柱、からなる群から選択された形状を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項12】
前記充填材材料は、発泡プラスチック、好ましくは発泡ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のベルト(1)。
【請求項13】
前記発泡プラスチックは、面積が10cm×10cmであり面荷重が1000Nである状態で40%〜95%圧縮可能であることを特徴とする、請求項12に記載のベルト(1)。
【請求項14】
互いに平行な軸(12,13)を中心として回転可能な2つの方向転換ローラ(14,15)上を一方向(11)に回転するエンドレスキャリアベルト(16)を有する踏み面上でのランニング中に必要な人体の筋肉をトレーニングするためのトレーニング機器(10)であって、トレーニングのための前記踏み面(30)は、前記方向転換ローラから離れる方を向いた前記キャリアベルト(16)の上部側(163)のその上部走路(161)と関連付けられ、前記2つの方向転換ローラ(14,15)のうちの少なくとも1つは、コントローラ(17)によって制御される駆動装置(18)を有し、前記トレーニング機器(10)に対して動かない荷重担持ユニット(19)は、下部走路(162)の方に向いた前記キャリアベルト(16)の前記上部走路(161)の下部側(164)と関連付けられ、前記キャリアベルト(16)は、前記方向転換ローラ(14,15)から離れる方を向いたその前記上部側(163)にプラスチックからなる曲げやすい層(20)を有し、前記曲げやすい層は、外皮(31)と、桁腹板(22)を残しながら前記層(20)の自由な外側面からその前記上部側(163)に向かう方向に延びる谷間(21)とを備え、前記外皮(31)は、前記谷間(21)の領域では前記キャリアベルト(16)の上部側まで導かれ、そこに(23)固定されて、ポケットを形成し、前記プラスチックは個々のロッドを備え、各ポケットは前記ロッドのうちの少なくとも1つを用いて充填され、各ロッドは、前記キャリアベルト(16)の前記上部側(163)に対して垂直に測定すると、幅を規定する互いに隣接した2つの谷間の間隔よりも前記谷間(21)の高さが高いことを特徴とする、トレーニング機器(10)。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−523871(P2012−523871A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505118(P2012−505118)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054293
【国際公開番号】WO2010/118956
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(508054839)キブン アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】KYBUN AG
【Fターム(参考)】