説明

トンネル内視線誘導システム

【課題】 材料コストを大幅に低減することができ、かつ、軽量で取り付け作業を簡略化できると共に、十分な視認性が得られるトンネル内視線誘導システムの提供。
【解決手段】 トンネル1内側壁11に沿って多数の孔21を有する白色系統の樹脂製板2が取り付けられ、該樹脂製板2が、互いに交差する一方の線22と他方の線23がネット状樹脂製板2の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されたネット状樹脂製板2で構成され、該ネット状樹脂製板2には紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内側壁に沿って設置されるトンネル内視線誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの走行時における視認性を向上し、走行環境を良好に維持するために、トンネル等の壁面に設けられるトンネル内視線誘導システムとしては、視線誘導灯(特許文献1参照。・・従来例1)、または、白色系統板、光反射板、紫外線照射により発光する板等(特許文献2参照。・・従来例2)をトンネル内側壁に沿って設置するようにしたものが知られている。
【特許文献1】特願平2000−170125
【特許文献2】特願平2003−360926
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来例1にあっては、電力を消費するため、ランニングコストが高く付くという問題がある。
【0004】
また、上述の従来例2では、板状で重くなるため、内壁面への取り付け強度を高める必要があり、このため、コストが高く付くという問題がある。
【0005】
また、光反射板や、紫外線照射により発光する板等は機能性を有する板材であるため、コストが高く付くという問題もある。
【0006】
本発明は、上述の従来例の問題点に着目してなされたもので、材料コストを大幅に低減することができ、かつ、軽量で取り付け作業を簡略化できると共に、十分な視認性が得られるトンネル内視線誘導システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明請求項1記載のトンネル内視線誘導システムは、トンネル内側壁に沿って多数の孔を有する白色系統の樹脂製板が取り付けられていることを特徴とする手段とした。
【0008】
請求項2記載のトンネル内視線誘導システムは、請求項1記載のトンネル内視線誘導システムにおいて、前記樹脂製板が、ネット状の樹脂製板であることを特徴とする手段とした。
【0009】
請求項3記載のトンネル内視線誘導システムは、請求項2記載のトンネル内視線誘導システムにおいて、前記ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が前記樹脂製板の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されていることを特徴とする手段とした。
【0010】
請求項4記載のトンネル内視線誘導システムは、請求項2記載のトンネル内視線誘導システムにおいて、前記ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が編まれた状態に凹凸状に形成されていることを特徴とする手段とした。
【0011】
請求項5記載のトンネル内視線誘導システムは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトンネル内視線誘導システムにおいて、前記樹脂製板は、紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0012】
この発明請求項1記載のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、トンネル内側壁に沿って多数の孔を有する白色系統の樹脂製板が取り付けられている構成としたことで、多数の孔の分だけ樹脂成形時における材料コストを大幅に低減することができると共に、軽量で取り付け作業を簡略化できるようになるという効果が得られる。
【0013】
請求項2記載のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、樹脂製板が、ネット状の樹脂製板である構成としたことで、さらに材料コストの低減化と取り付け作業の簡略化が可能になる。
【0014】
請求項3記載のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が樹脂製板の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されている構成としたことで、多数の孔を有する多孔状またはネット状でありながら、十分な視認性を得ることができるようになる。
【0015】
請求項4記載のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が編まれた状態に凹凸状に形成されている構成としたことで、多数の孔を有する多孔状またはネット状でありながら、十分な視認性を得ることができるようになる。
【0016】
請求項5記載のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、樹脂製板は、紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されている構成としたことで、視認性を長期に亘って維持させ、これにより、定期的な洗浄作業を簡略化することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
この実施例1のトンネル内視線誘導システムは、請求項1〜3、5に記載の発明に対応する。
【0019】
まず、この実施例1のトンネル内視線誘導システムを図面に基づいて説明する。
【0020】
図1はこの実施例1のトンネル内視線誘導システムを示す設置状態の斜視図、図2は実施例1のトンネル内視線誘導システムにおける樹脂製板の設置状態を示す一部切欠正面図、図3は実施例1のトンネル内視線誘導システムにおける樹脂製板の詳細を示す部分拡大正面図、図4は図3のA−A線における断面図、図5は樹脂製板取り付け固定用端部フレームを示す正面図、図6は樹脂製板取り付け固定用端部押え金具を示す正面図、図7は樹脂製板取り付け固定用端部フレームを示す取り付け状態の平面図、図8は樹脂製板取り付け固定用中間固定金具を示す正面図、図9は樹脂製板取り付け固定用中間押え金具を示す正面図、第10図は間固定金具及び中間押え金具の取り付け状態を示す側面図である。
【0021】
このトンネル内視線誘導システムは、図面に示すように、トンネル1内の側壁11に沿って多数の孔21を有する白色系統のネット状樹脂製板2が取り付けられている構成としたものである。
【0022】
さらに詳述すると、上記ネット状樹脂製板2は、図3、4にその詳細を示すように、互いに交差する一方の線22と他方の線23が樹脂製板2の面方向にずれた状態で凹凸状に形成された構造になっている。そして、この実施例では、一方の線22と他方の線23が×印状になるようにして取り付け固定されるようになっているまた、一枚のネット状樹脂製板2の寸法として縦・横が1m×30mのものが複数用いられている。(図1、2参照)。
【0023】
また、このネット状樹脂製板2は、紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されている。
【0024】
次に、このネット状樹脂製板2の取り付け構造について説明する。
このネット状樹脂製板2の取り付けは、図2、5〜10に示すように、端部固定部材3(端部フレーム31、端部押え金具32)と、中間固定部材4(中間固定金具41、中間押え金具42)と、アンカー5と、ナイロンアンカー6と、全ねじボルト7と、ナット8を用いて行われる。
【0025】
即ち、この実施例では、各ネット状樹脂製板2の左右両端縁部を、図7に示すようにトンネル内側壁11に打ち込み固定された上下2本のアンカー7に対し全ねじボルト7とナット8で固定された端部フレーム31と端部押え金具32との間に挟んで3本のナイロンアンカー6で締結固定すると共に、4mおきの中間部分の上下両端部を、図10に示すようにそれぞれトンネル内側壁11に打ち込み固定された上下2本のアンカー7に対し中間固定金具41と中間押え金具42との間に挟んでナイロンアンカー6で締結固定することにより、ネット状樹脂製板2の取り付けがなされるようになっている。
【0026】
次に、この実施例1の効果を説明する。
【0027】
この実施例1のトンネル内視線誘導システムでは、上述のように、トンネル内側壁11に沿って多数の孔21を有する白色系統の樹脂製板2が取り付けられている構成としたことで、多数の孔21の分だけ樹脂成形時における材料コストを大幅に低減することができると共に、軽量になるため、取り付け金具類による固定箇所部分を少なくすることができるため、部品点数の削減によるコストの低減化と取り付け作業の簡略化が可能になるという効果が得られる。
【0028】
また、樹脂製板2をネット状にすることで、さらに材料コストの低減化と取り付け作業の簡略化が可能になる。
【0029】
また、ネット状樹脂製板2は、互いに交差する一方の線22と他方の線23が樹脂製板の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されている構成としたことで、多数の孔21を有するネット状でありながら、十分な視認性を得ることができるようになる。
【0030】
また、ネット状樹脂製板2は、紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されている構成としたことで、視認性を長期に亘って維持させ、これにより、定期的な洗浄作業を簡略化することができるようになる。
【0031】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0032】
例えば、実施例では、ネット状樹脂製板2として、互いに交差する一方の線22と他方の線23が樹脂製板の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されている構成としたが、互いに交差する一方の線と他方の線が編まれた状態に凹凸状に形成されていても同様の効果がえられる。
【0033】
また、凹凸のない多孔状であってもよい。
【0034】
また、一枚の樹脂製板の寸法やトンネル内壁面への取り付け固定構造は任意である。例えば、樹脂性板を直接トンネル内壁面へ取り付け固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1のトンネル内視線誘導システムを示す設置状態の斜視図である。
【図2】実施例1のトンネル内視線誘導システムにおける樹脂製板の設置状態を示す一部切欠正面図である。
【図3】実施例1のトンネル内視線誘導システムにおける樹脂製板の詳細を示す正面図である。
【図4】図3のA−A線における断面図である。
【図5】樹脂製板取り付け固定用端部フレームを示す正面図である。
【図6】樹脂製板取り付け固定用端部押え金具を示す正面図である。
【図7】樹脂製板取り付け固定用端部フレームを示す取り付け状態の平面図である。
【図8】樹脂製板取り付け固定用中間固定金具を示す正面図である。
【図9】樹脂製板取り付け固定用中間押え金具を示す正面図である。
【図10】中間固定金具及び中間押え金具の取り付け状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 トンネル
11 トンネル内側壁
2 ネット状樹脂製板
21 多数の孔
22 一方の線
23 他方の線
3 端部固定手段
31 端部フレーム
32 端部押さ金具
4 中間固定手段
41 中間固定金具
42 中間押さ金具
5 アンカー
6 ナイロンアンカー
7 全ねじボルト
8 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内側壁に沿って多数の孔を有する白色系統の樹脂製板が取り付けられていることを特徴とするトンネル内視線誘導システム。
【請求項2】
前記樹脂製板が、ネット状の樹脂製板であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル内視線誘導システム。
【請求項3】
前記ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が前記樹脂製板の面方向にずれた状態で凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のトンネル内視線誘導システム。
【請求項4】
前記ネット状の樹脂製板は、互いに交差する一方の線と他方の線が編まれた状態に凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のトンネル内視線誘導システム。
【請求項5】
前記樹脂製板は、紫外線が当たることで活性化する光触媒処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトンネル内視線誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−150050(P2009−150050A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326269(P2007−326269)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(506192803)大東金属株式会社 (5)
【Fターム(参考)】