説明

トンネル用内装パネルおよびトンネル覆工内面への内装パネル取付方法

【課題】例えば既設または構築中のトンネル覆工内面に敷設される耐火板等のトンネル用内装パネルおよびそれを用いたトンネル覆工内面への内装パネル取付方法に係り、部品点数が少なく、施工現場への持ち運びや施工が容易で、しかも取扱いが便利で運び忘れや紛失する等のおそれが少なく、構造簡単で容易・安価に且つ迅速に施工できるようにする。
【解決手段】トンネル覆工4の内面4aに間隔保持金具3を介して上記覆工内面との間に所定の間隔をおいて上下方向に並べて敷設されるトンネル用内装パネルであって、上記内装パネル1のパネル本体10の背面側の下辺部に係止金具2を一体的に設けると共に、上部に係止金具2に係合する上向きの起立片3bを有する間隔保持金具3を上記パネル本体10の背面側の上辺部に一体的に設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば既設または構築中のトンネル覆工内面に敷設される耐火板等のトンネル用内装パネルおよびそれを用いたトンネル覆工内面への内装パネル取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設もしくは構築中のトンネル覆工内面に、耐火板等の内装パネルを取付ける方法は種々提案されている。この場合、上記のような内装パネルを、トンネル覆工内面に直接取付けると、地震や交通振動等で覆工が動いた場合に内装パネルに亀裂や剥離が生じたり、或いはトンネル覆工内面から浸み出た湧水が、隣り合う内装パネルの間から表面側に流れ出て汚損され、内装パネルとしての機能や外観体裁を損ねる等のおそれがある。
【0003】
そこで、トンネル覆工内面に、それとの間に所定の間隔を置いて内装パネルを敷設するいわゆる浮かし張りの手法が提案されている。例えば下記特許文献1においては、トンネル覆工内面に、不陸調整スペーサーとバックアップ材とを介して耐火板等の内装パネルを取付けることが提案されているが、上記の振動や汚損等に対する対策としては必ずしも充分ではなく、また上記内装パネルを取付けるための部品点数や組付工数が多く、持ち運びや施工が煩雑かつ面倒で、施工時間やコストが嵩む等の不具合がある。
【0004】
一方、本出願人は上記のような浮かし張りの手法の1つとして下記特許文献2のように間隔保持金具と係止金具とを用いることを提案した。図13はその一例を示すもので、上下方向に並べて敷設される耐火板等の内装パネル1における各パネル本体10の背面側の上下両辺部付近に、同図(a)に示すように予め帯板状の係止金具2を取付けておき、同図(b)のように下側の内装パネル1の下辺部を不図示の間隔保持金具または適宜の手段で保持した後、その内装パネル1のパネル本体10の上辺部に設けた係止金具2に間隔保持金具3の下向きの垂下片(差込片)3cを差し込んで上記間隔保持金具3を、トンネル覆工4の内面4aに埋設したインサートナット52と、それにねじ込んだ取付ボルト51とで上記覆工内面4aに固定し、その間隔保持金具3の上向きの起立片(差込片)3bに上側の内装パネル1の下辺部に取付けた係止金具2を係合させて連結保持させる構成である。
【0005】
上記のようにトンネル覆工内面4aに、間隔保持金具3と係止金具2とを介して内装パネル1を取付けるものは、それらの部材同士の接触面積を少なくできるので前記の地震等による振動が内装パネル1に伝わりにくく、また上記トンネル覆工内面から浸み出た湧水が内装パネルの表面に流れ出るのを可及的に低減することができる。しかし、上記のように内装パネル1のパネル本体10の上下両辺部付近に、それぞれ係止金具2を予め取付けておき、その2つの係止金具2・2とは別に間隔保持金具3を設けるものであるから、部品点数や組付工数が多く、持ち運びや施工が煩雑かつ面倒である。例えば上記の間隔保持金具は、従来は作業者等がパネル本体10とは別に箱等に入れて施工現場に持ち込まなければならず、取扱いが不便で往々にして運び忘れたり紛失する等のおそれがある。また施工現場では、間隔保持金具を1つずつ係止金具に差し込んではボルト止めする作業が煩雑且つ面倒であり、施工時間や施工コストが嵩む等の不具合があった。
【0006】
【特許文献1】特許2005−155083号公報
【特許文献2】特許2005−42456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、部品点数が少なく、施工現場への持ち運びや施工が容易で、しかも取扱いが便利で運び忘れや紛失する等のおそれが少なく、構造簡単で容易・安価に且つ迅速に施工することのできるトンネル用内装パネルおよびトンネル覆工内面への内装パネル取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明によるトンネル用内装パネルは、以下の構成としたものである。即ち、トンネル覆工内面に間隔保持金具を介して上記覆工内面との間に所定の間隔をおいて上下方向に並べて敷設されるトンネル用内装パネルであって、上記内装パネルのパネル本体の背面側の下辺部に係止金具を一体的に設けると共に、上部に係止金具に係合する上向きの起立片を有する間隔保持金具を上記パネル本体の背面側の上辺部に一体的に設けたことを特徴とする。
【0009】
上記間隔保持金具および係止金具を、それぞれパネル本体に取付ける手段としては、例えばパネル本体に埋設したインサートナットと、それに螺合するボルトとで取付ける。或いは上記パネル本体を貫通するボルトと、それに螺合するナットとで取付ける等その他適宜である。
【0010】
また本発明によるトンネル覆工内面への内装パネル取付方法は、上記のように構成されたトンネル用内装パネルをトンネル覆工内面に下から順に積み上げるようにして施工する構成とし、下側に位置する内装パネルのパネル本体の上辺部に設けた間隔保持金具をトンネル覆工内面に固定し、その間隔保持金具の上部に設けた上向きの起立片に、上側の内装パネルのパネル本体の下辺部に設けた係止金具を係合させて連結保持させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように本発明によるトンネル用内装パネルは、その内装パネルのパネル本体の背面側の下辺部に係止金具を一体的に設けると共に、上部に係止金具に係合する上向きの起立片を有する間隔保持金具を上記パネル本体の背面側の上辺部に一体的に設けたので、前記従来の内装パネルでは間隔保持金具をパネル本体とは別に設け、その間隔保持金具に設けた上向きの起立片と下向きの垂下片とが、それぞれ係合する係止金具をパネル本体の上辺部と下辺部とに設けル必要があったが、本発明においては下辺部にのみ設ければよく、また通常は各辺部に係止金具を複数設けるのが一般的であり、1つの内装パネルに対する係止金具の数を大幅に減らすことができる。
【0012】
また上記間隔保持金具をパネル本体の上辺部に一体的に設けたことによって、上記係止金具を含めて、内装パネルを取付けるための全ての金具を、パネル本体に一体的に設けることができるので、上記の部品点数の削減と相まって組立工数を大幅に低減することができる。しかも上記係止金具および間隔保持金具はパネル本体に予め工場等で取付けることができるので現場での作業を軽減することができると共に、前記従来のように間隔保持金具を作業者等がパネル本体とは別に箱等に入れて施工現場に持ち込む面倒がなく、運び忘れや紛失等を未然に防止することが可能となる。
【0013】
さらに本発明によるトンネル覆工内面への内装パネル取付方法は、上記のように構成されたトンネル用内装パネルをトンネル覆工内面に下から順に積み上げるようにして施工する構成とし、下側に位置する内装パネルのパネル本体の上辺部に設けた間隔保持金具をトンネル覆工内面に固定し、その間隔保持金具の上部に設けた上向きの起立片に、上側の内装パネルのパネル本体の下辺部に設けた係止金具を係合させて連結保持させたことによって、トンネル覆工内面に内装パネルを極めて簡単な構成で容易・安価に且つ迅速に敷設することが可能となる。その結果、施工時間や施工コストを大幅に削減することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるトンネル用内装パネルおよびそれを用いたトンネル覆工内面への内装パネル取付方法を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0015】
図1は本発明によるトンネル用内装パネルの一実施形態を示すもので、(a)はその背面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は側面図、(e)は(a)におけるe−eに沿う一部の拡大断面図、図2は上記内装パネルの斜視図、図3は上記内装パネルを上下に配置した状態の一部の拡大斜視図である。以下、前記従来例と同様の構成または同様の機能を有する部材には同一の符号を付して説明する。
【0016】
本実施形態の内装パネル1は、後述するコンクリート製のセグメント等よりなるトンネル覆工内面に耐火板として敷設するためにパネル本体10をケイ酸カルシウムやセラミック系板材等の耐火材で形成したもので、そのパネル本体10は図1および図2(a)のように背面および正面側から見て横長の略長方形状に形成され、そのパネル本体10の背面側の下辺部に係止金具2を一体的に取付けると共に、上辺部に間隔保持金具3を一体的に取付けた構成である。
【0017】
上記係止金具2は、本実施形態においては、図1および図2(a)に示すように長手方向両端部が厚さ方向に段差状に屈曲した全体略帯板状に形成され、その両端部に設けた不図示の取付孔にボルト21を挿通し、そのボルト21を、パネル本体10内に埋設したインサートナット22にねじ込むことによって上記パネル本体10の背面側の上辺部に取付けた構成であり、本実施形態においては、上記パネル本体10の背面側の下辺部に沿って上記係止金具2が複数個(図の場合は3つ)設けられている。
【0018】
一方、上記間隔保持金具3は、上記内装パネル1をトンネル覆工内面4aに、それとの間に所定の間隔をおいて取付け支持させるためのもので、図1(e)および図3に示すように、後述するトンネル覆工内面への取付用の貫通孔3hを有する断面コ字形の基部3aと、そのコ字形の基部3aの下側の端部から下向きに突出するパネル本体10への取付用の垂下片3cと、上記コ字形の基部3aの上側の端部から上向きに突出する起立片3bとを一体に設けた構成である。その間隔保持金具3は、上記垂下片3cに形成した不図示の取付孔にボルト31を挿通し、そのボルト31をパネル本体10内に埋設したインサートナット32にねじ込むことによって、上記パネル本体10の背面側の上辺部に取付けた構成であり、本実施形態においては、上記複数個の係止金具2に対応して複数個(図の場合は3つ)の間隔保持金具3がパネル本体10の背面側の下辺部に沿って設けられている。
【0019】
上記間隔保持金具3は、上記基部3aに設けた貫通孔3hに取付ボルト51を挿通し、トンネル覆工内面4aに埋設したインサートナット52にねじ込むことによって、トンネル覆工内面に取付ける構成であり、その取付位置を上下方向に多少変更し得るように上記貫通孔3hは上下方向に長い長孔状に形成されている。また上記パネル本体10に取付けた間隔保持金具3の上向きの起立片3bは、それよりも上方に配設される内装パネル1の係止金具2に係合保持させる構成であり、本実施形態においては、下側の内装パネル1のパネル本体上辺部に取付けた複数個(図の場合は3つ)の間隔保持金具3の各起立片3bを、その上部に配設される内装パネル1のパネル本体下辺部に取付けた複数個(図の場合は3つ)の係止金具2にそれぞれ係合保持させるようにしたもので、より詳しくは上記各起立片3bを、上記各係止金具2と該内装パネル1との間に形成される隙間内に挿入して係合保持させる構成である。
【0020】
上記のように本発明によるトンネル用内装パネルは、パネル本体10の上辺部に間隔保持金具3を予め一体的に取付け、その間隔保持金具3に設けた上向きの起立片3bが係合する係止金具2をパネル本体10の下辺部に一体的に取付けるようにしたので、前記従来のものに比べて係止金具の数を減らすことができると共に、上記内装パネル1をトンネル覆工内面に取付けるための係止金具2と間隔保持金具3とをパネル本体10に予め取付けておくようにしたので、内装パネル1の敷設施工時にパネル本体10とは別に間隔保持金具3およびその取付ボルト51等を箱等に入れて持ち運ぶ面倒がなく、又それらの部品を運び忘れたり、紛失するのを未然に防止することができるものである。
【0021】
次に、上記のようなトンネル用内装パネルを用いてトンネル覆工内面に内装処理を施す場合の具体例について説明する。図4は上記のようなトンネル用内装パネルを用いてトンネル覆工内面に内装処理、特に本例では耐火処理を施したもので、同図(a)はトンネル内から見た正面図(内面図)、同図(b)はその縦断側面図、図5(a)は図4(a)の一部の拡大図、同図(b)はその平面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。
【0022】
本例はトンネル覆工用セグメント等で形成されたトンネル覆工4の内面4a、特にトンネルの両側下部から上部にかけて前記の内装パネル1を、図4で上下方向(トンネル周方向)および左右方向(トンネル軸線方向)に並べて敷設したものである。その各内装パネル1は、その各パネル本体10の上辺部に一体的に設けた間隔保持金具3を、その基部3aの貫通孔3hに挿通した取付ボルト51と、トンネル覆工内面4aに埋設したインサートナット52とでトンネル覆工内面4aに取付け、その間隔保持金具3の上部に設けた起立片3bを、上側の内装パネル1の下辺部に設けた係止金具2に係合させて連結保持させた構成である。図中、11は図4で左右方向(トンネル軸線方向)に隣り合う内装パネル1・1間においてトンネル覆工内面4aとの間に介在させた火炎巻込防止材等のシール部材で必要に応じて設ける。
【0023】
上記のように構成された内装処理を施工するに当たっては、例えば上記内装パネル1をトンネル覆工内面4aの両側下部から上方に向かって順に積み上げるようにして施工するもので、先ず、上記各内装パネル1のパネル本体10には、上記係止金具2と間隔保持金具3とを、予め図6(a)のように一体的に取付けておき、下側に配設される内装パネル1の下部を上記と同様の間隔保持金具3または適宜の固定手段等を利用して固定する。次いで、その下側の内装パネル1の上辺部に設けた間隔保持金具3をトンネル覆工内面4aに取付けるもので、その間隔保持金具3の基部3aに設けた貫通孔3hに同図(b)のように取付ボルト51を挿通し、そのボルト51を、トンネル覆工内面4aに埋設したインサートナット52にねじ込めば同図(c)のように容易に取付けることができる。
【0024】
次に、上記のようにしてトンネル覆工内面4aに取付けた間隔保持金具3の上部の起立片3bに、図6(c)のように上側に配設される内装パネル1の下辺部に設けた係止金具2を係合させるもので、その上側の内装パネル1を下降させながら、そのパネル本体10と上記係止金具2との間の隙間内に上記起立片3bを挿入すれば、同図(d)のように容易に挿入係合させることができる。なお、その際、上記起立片3bを同図(d)に示すよに上側に行くに従ってトンネル覆工内面4aと反対側、すなわちパネル側に傾斜させておくと、上記隙間内への挿入操作が容易となる。
【0025】
以上のようにして下側の内装パネル1の上方に上側のパネル1を配置して、下側の内装パネル1の起立片3bに上側のパネル1の係止金具2を係合させた後は、その上側のパネル1の上辺部に設けた間隔保持金具3を上記と同様の要領でトンネル覆工内面4aに取付け、その上側のパネル1の上方に図7(a)〜(d)に示すように更に上側のパネル1を上記と同様の要領で敷設して行けばよい。それによって、内装パネル1をトンネル周方向に容易に敷設することができるもので、その周方向の敷設が終了したのちは、その横方向であるトンネル軸線方向に上記と同様の作業を繰り返えせば、トンネル覆工内面4aの所望の範囲に内装パネル1を敷設することができるものである。
【0026】
上記のように本発明による内装パネル1は前記の構成であるから、その内装パネル1をトンネル覆工内面4aに下から順に積み上げるようにして施工する際には、下側に位置する内装パネル1の上辺部に予め一体的に設けた間隔保持金具3をトンネル覆工内面4aに取付けた後、その間隔保持金具3の上部に設けた上向きの起立片3bに、上側の内装パネル1の下辺部に設けた係止金具2を係合させて行くだけで極めて容易に施工することができる。従って、前記従来のように間隔保持金具3を下側の係止金具2に係合させながらトンネル覆工内面に取付ける面倒がなく、極めて簡単な構成で容易・安価に且つ迅速に敷設することが可能となり、施工時間や施工コストを大幅に削減することができる。特に、内装パネル1を下側から順に積み上げていくように施工する場合に、間隔保持金具がパネル本体の上辺部に直接設けてあることによって、間隔保持金具を覆工内面に取付けるために取付ボルト51をねじ込む作業を的確に行ってパネル上側での締付固定を確実に行うことができるものである。
【0027】
なお、上記実施形態は、係止金具2と間隔保持金具3とを、それぞれパネル本体10に埋設したインサートナット22,32を用いて取付けるようにしたが、それらの取付手段は適宜変更可能であり、例えば図8に示すように上記パネル本体10を貫通するボルト23,33とナット24,34とで取付けるようにしてもよい。図中、23a,33aは上記ボルト23,33の先端部付近に形成した上記ナット24,34の脱落防止用の非ねじ円周溝で、万一上記ナット24,34が緩んでも、それらが上記の円周溝23a,33aよりもボルト先端側に移動して脱落するのを防止する構成であり、必要に応じて設けることができる。
【0028】
また上記実施形態は、トンネル覆工内面4aに埋設したインサートナット52を用いて間隔保持金具3を上記覆工内面に取付けるようにしたが、その間隔保持金具3のトンネル覆工内面4aへの取付手段も適宜変更可能である。図9はその一例を示すもので、トンネル覆工内面4aに打設したアンカー53を用いて上記間隔保持金具3をトンネル覆工内面4aに取付けたものである。そのアンカー53として図の場合は拡開式のアンカーを用いたもので、そのアンカー53に形成た雌ねじ孔(不図示)にボルト53aを螺合し、そのボルト53aを上記間隔保持金具3の貫通孔3hに挿通すると共に、そのボルト53aに螺合したナット53bと、上記アンカー本体またはトンネル覆工内面4aとの間に上記間隔保持金具3の基部を挟んで締付け固定した構成である。
【0029】
また図10は他の例を示すもので、鋼殻沈埋トンネル等のトンネル覆工内面4a側が、鋼殻つまり鋼板等の金属板で覆われている場合の取付方法の1つとしてスタッドボルトを用いた例を示すものである。すなわち、トンネル覆工内面4a側に設けた鋼殻4sの内面に溶接または打撃等によってスタッドボルト54を打設し、そのスタッドボルト54と、それに螺合したナット55とで上記間隔保持金具3をトンネル覆工内面4aに取付けたものである。上記図9および図10において上記以外の構成は前記実施形態と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【0030】
さらに本発明は図11に示すような円弧状の鋼製セグメント40で形成されたトンネル覆工内面にも適用することができる。すなわち、図示例の鋼製セグメント40は、トンネル周方向に延びる一対の桁材41と、周方向に隣接するセグメント同士の接続面となる継手板42等よりなり、上記両桁材41・41間に、それとほぼ平行に中央湾曲板43が設けられ、その中央湾曲板43と上記桁材41・41との間に開口凹部Gを設けた構成である。図中、44は補強リブ、45はその補強リブ44および上記中央湾曲板43と上記桁材41の外周面との間に放射方向に介在させた補強板である。
【0031】
上記のような鋼製セグメント40で形成されたトンネル覆工内面に上記間隔保持金具3を取付ける場合には、上記の桁材41や継手板42、中央湾曲板43、補強リブ44の内面(内周面)側に前記図10に示すようなスタッドボルト54を打設して上記と同様の要領で間隔保持金具3をトンネル覆工内面4aに取付けてもよく、或いは上記桁材41や補強板45等のようにトンネルの軸線とほぼ直交する方向(放射方向)に配設される部材に取付ける場合には、ブラケット等を介して取付けるようにしてもよい。
【0032】
図12はその一例を示すもので、上記桁材41に断面L字形のブラケット6を介して上記間隔保持金具3を取付けたものである。そのブラケット6は、図の場合は上記桁材41の側面に打設したスタッドボルト61と、そのボルト61に螺合したナット62とで上記桁材41の側面に取付けられ、そのブラケット6の上記桁材41とほぼ直交する面に、それを貫通するボルト56と、それに螺合したナット57とで上記間隔保持金具3を取付けたものである。そのボルト56にも前記と同様のナット57の脱落防止用の円周溝56aが形成されている。他の構成は前記実施形態と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように本発明によるトンネル用内装パネルおよびそれを用いたトンネル覆工内面への内装パネル取付方法は、上記の構成であるから、トンネル覆工内面に内装パネルを極めて簡単な構成で容易・安価に且つ迅速に敷設することが可能となり、施工時間や施工コストを大幅に削減することができる。また上記の内装パネルとしては、耐火板をはじめ、視線誘導板や、その他各種の内装パネルをトンネル覆工内面に敷設する場合にも適用可能であり、産業上も極めて有効に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は本発明によるトンネル用内装パネルの一実施形態を示す背面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は側面図、(e)は(a)におけるe−eに沿う一部の拡大断面図。
【図2】上記内装パネルの斜視図。
【図3】上記内装パネルを上下に配置した状態の一部の拡大斜視図。
【図4】(a)は上記内装パネルをトンネル覆工内面に敷設した状態のトンネル内から見た正面図(トンネル内面図)、(b)はその縦断側面図。
【図5】(a)は図4(a)の一部の拡大図、(b)はその平面図、(c)は底面図、(d)は側面図。
【図6】(a)〜(d)は上記内装パネルを敷設する状態の説明図。
【図7】上記内装パネルを更に上方に敷設する状態の説明図。
【図8】(a)は本発明によるトンネル用内装パネルの他の実施形態を示す背面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は側面図、(e)は(a)におけるe−eに沿う一部の拡大断面図。
【図9】(a)は間隔保持金具のトンネル覆工内面への取付手段の変更例を示す施工状態の一部の正面図、(b)はその平面図、(c)は底面図、(d)は側面図。
【図10】(a)は間隔保持金具のトンネル覆工内面への取付手段の他の変更例を示す施工状態の一部の正面図、(b)はその平面図、(c)は底面図、(d)は側面図。
【図11】鋼製セグメントの一例を示す斜視図。
【図12】(a)は上記鋼製セグメントを用いたトンネル覆工内面への間隔保持金具の取付例を示す一部の正面図、(b)はその平面図、(c)は底面図、(d)は側面図。
【図13】(a)〜(d)は従来の内装パネルを敷設する状態の説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 内装パネル
10 パネル本体
2 係止金具
21 ボルト
22 インサートナット
23 貫通ボルト
24 ナット
3 間隔保持金具
3a 基部
3b 起立片
3c 垂下片
31 ボルト
32 インサートナット
33 貫通ボルト
34 ナット
4 トンネル覆工
4a 内面
40 鋼製セグメント
41 桁材
51 取付ボルト
52 インサートナット
53 アンカー
53a ボルト
53b ナット
54 スタッドボルト
55 ナット
56 貫通ボルト
57 ナット
6 ブラケット
61 スタッドボルト
62 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工内面に間隔保持金具を介して上記覆工内面との間に所定の間隔をおいて上下方向に並べて敷設されるトンネル用内装パネルであって、
上記内装パネルのパネル本体の背面側の下辺部に係止金具を一体的に設けると共に、上部に係止金具に係合する上向きの起立片を有する間隔保持金具を上記パネル本体の背面側の上辺部に一体的に設けたことを特徴とするトンネル用内装パネル。
【請求項2】
上記間隔保持金具および係止金具を、それぞれ上記パネル本体に埋設したインサートナットと、それに螺合するボルトとで上記パネル本体に取付け支持させてなる請求項1に記載のトンネル用内装パネル。
【請求項3】
上記間隔保持金具および係止金具を、それぞれ上記パネル本体を貫通するボルトと、それに螺合するナットとで上記パネル本体に取付け支持させてなる請求項1に記載のトンネル用内装パネル。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル用内装パネルをトンネル覆工内面に下から順に積み上げるようにして施工する構成とし、下側に位置する内装パネルのパネル本体上辺部に設けた間隔保持金具をトンネル覆工内面に固定し、その間隔保持金具の上部に設けた上向きの起立片に、上側の内装パネルのパネル本体下辺部に設けた係止金具を係合させて連結保持させるようにしたトンネル覆工内面への内装パネル取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−203204(P2010−203204A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52904(P2009−52904)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】