説明

トンネル用設備点検装置

【課題】非常用設備である水噴霧設備の水源及び装置を利用して常設設備である照明灯具の照明灯具の清掃を効率良くできるようにする。
【解決手段】非常用設備として、加圧供給された消火用水を水噴霧ヘッド20からトンネル10内に散水する水噴霧設備が設けられ、常設設備としてトンネル壁面11に沿ってトンネル10長手方向に設置された複数の照明灯具24が設けられる。照明灯具24の近傍に清掃用ヘッドとして前面清掃用ヘッド26と背面清掃用ヘッド28を配置し、切替弁装置により、水噴霧ヘッド20に加圧供給される消火用水の放出先を該清掃用ヘッドに切り替え、該清掃用ヘッドからの散水により照明灯具24を洗浄清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常設設備である照明灯具を清掃点検するトンネル用設備点検装置に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネル内の壁面には常設設備の1つとして照明灯具が配置されており、定期的に点検清掃が行われている。
【0003】
照明灯具の清掃の方法としては車線規制を行い、清掃車を走行させて照明灯具の設置位置に止め、清掃車に搭載しているアームの先端に設けた清掃装置を照明灯具にセットして順次照明灯具の清掃する高所作業を行う。このような照明灯具の清掃を含む点検頻度は1年に1回程度である。また車線規制としては、一方通行であれば1車線規制が主で、対面通行であれば夜間通行止めにする必要がある。
【0004】
また別の清掃設備としては、照明灯具に沿って設置されたレールに清掃ロボットを配置し、清掃ロボットが照明灯具に沿って移動することで順次清掃していくものもある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−138703号公報
【特許文献2】特開2005−339920号公報
【特許文献3】特開2002−126120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の清掃車による照明灯具の清掃にあっては、照明灯具の正面から清掃装置をセットして清掃しているが、照明灯具は正面のみ清掃すればよい訳ではなく、背面や側面の筐体も清掃しないと筐体自体が劣化してしまう。しかし、従来の清掃車を使用した清掃では筐体背面や側面の清掃が難しく、筐体背面や側面の清掃は人手による高所作業で行うしかなく、手間と時間がかかる。
【0007】
またトンネル内には常設設備である照明灯具以外にも定期点検(清掃含む)を行う設備として消火栓設備や水噴霧設備などの非常用設備が多くあり、設備毎に点検設備が必要でコストがかかる。また設備毎に点検を行う関係上、その都度、車線規制を行う必要があり、大がかりな点検となってしまう問題がある。
【0008】
本発明は、非常用設備である水噴霧設備の水源及び装置を利用して常設設備である照明灯具の照明灯具の清掃を効率良くできるようにするトンネル用設備点検装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トンネル用設備点検装置において、
火災時に加圧水を水噴霧ヘッドからトンネル内に散水する水噴霧設備と、
トンネル壁面に沿ってトンネル長手方向に設置された複数の照明灯具と、
照明灯具の近傍に配置された清掃用ヘッドと、
水噴霧ヘッドに供給される加圧水の放出先を水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドに切り替え、清掃用ヘッドからの散水により照明灯具を洗浄清掃する切替弁装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、水噴霧設備は、トンネル長手方向に分割された防火区画単位に設置された自動弁装置の開放により加圧水を水噴霧ヘッドに供給してトンネル内に加圧水を散水し、
切替弁装置は、自動弁装置による加圧水の放出先を水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドに切り替え、清掃用ヘッドからの散水により照明灯具を防火区画単位に洗浄清掃する。
【0011】
清掃用ヘッドを照明灯具の正面、側面および背面を洗浄するように配置する。
【0012】
切替弁装置は、自動弁装置の2次側に、水噴霧ヘッドの接続配管に対する加圧水の供給から清掃用ヘッドに対する加圧水に供給に切り替える三方切替弁を設け、自動弁装置で所定圧力に調圧された加圧水を清掃用ヘッドに供給して散水する。
【0013】
切替弁装置は、自動弁装置の1次側に、水噴霧ヘッドの接続配管に対する加圧水の供給から清掃用ヘッドに対する加圧水に供給に切り替える三方切替弁を設け、自動弁装置の1次側加圧用水を清掃用ヘッドに供給して散水する。
【0014】
三方切替弁は、点検用制御弁の遠隔開制御または点検用制御弁に並列接続された点検放水弁の手動開操作による自動弁装置の1次側加圧水の供給により動作して放水先を水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドに切り替える。
【0015】
自動弁に接続される水噴霧ヘッドと清掃用ヘッドの各総放射量を略同量とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の点検装置によれば、トンネル内に常設設備として設置されている照明灯具に対し清掃用ヘッドを配置し、トンネル非常設備の1つとして設けられている水噴霧設備の自動弁装置に放水先を水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドに切り替える切替弁装置を設けることで、水噴霧設備の水源を利用して清掃用ヘッドから照明灯具に加圧水を散水して洗浄清掃することができ、常設設備である照明灯具の清掃設備を非常用設備である水噴霧設備と兼用することで、照明灯具を清掃するための設備構成を簡単にしてコストの低減を図り、清掃のための通行規制も短時間で済ますことができる。
【0017】
また常設設備である照明灯具と非常設備である水噴霧設備の清掃を含む点検作業を同時に行うことを可能とし、トンネル内設備の維持管理するための点検作業の効率化され、点検のための通行規制も短時間で済ますことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明により清掃点検する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図
【図2】図1のトンネル壁面に設置した照明灯具に対する清掃用ヘッドの配置を示した説明図
【図3】2次側で放水先を水噴霧ヘッドと清掃用ヘッドに切り替える自動弁装置の実施形態を示した説明図
【図4】1次側で放水先を水噴霧ヘッドと清掃用ヘッドに切り替える自動弁装置の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明により清掃点検する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図である。図1において、トンネル10内には蒲鉾状のトンネル壁面11により覆われた道路12が設けられており、この例にあっては、道路12は1方向2車線としている。
【0020】
道路12の左側のトンネル壁面11に沿っては監視員通路14が設けられており、監視員通路14から操作可能となるトンネル壁面11の位置に消火栓装置16及び自動弁装置18を設けている。
【0021】
消火栓装置16はトンネル長手方向の50メートルおきに設置されている。自動弁装置18は、トンネル壁面11の上部に設置された噴霧配管22から取り出された水噴霧ヘッド20に対し加圧消火用水を供給する装置であり、トンネル長手方向の50メートルを放水区画として、各放水区画ごとに自動弁装置18が設置されている。
【0022】
またトンネル壁面11の天井側の両側には、トンネル長手方向に沿って照明灯具24が一定間隔で配置されており、各照明灯具24に対しては、その上側に配線しているケーブルが分岐接続されて照明電源を供給している。
【0023】
ここで消火栓装置16や水噴霧ヘッド20から水噴霧を行う自動弁装置18は、トンネル内の火災事故及び、この原因となる自動車事故を対象とした非常用設備であり、これ以外に通報警報設備、消火設備、換気設備、避難誘導設備などが設けられている。これに対し照明灯具24は、トンネル内を常時照明する常設設備として設けられている。
【0024】
このようなトンネル用設備において、本発明にあっては、常設設備である照明灯具24を点検時に清掃するための設備として、照明灯具24に対し水噴霧設備の自動弁装置18から加圧消火用水の切替供給を受ける清掃用配管30を、50メートルとなる水噴霧設備の放水区画ごとに設置し、清掃用配管30からヘッド配管を分岐し、照明灯具24の前方に前面清掃用ヘッド26を設置すると共に、照明灯具24の側方後部に背面清掃用ヘッド28を設置している。
【0025】
図2は図1のトンネル壁面に設置した照明灯具24に対する清掃用ヘッドの配置を取り出して示した説明図であり、図2(A)に正面を示し、図2(B)に平面を示している。
【0026】
図2において、照明灯具24は本体24bと、これに対しヒンジにより開閉自在なカバー24aで構成され、カバー24aには窓24cが設けられ、カバー24aの内部となる本体24b側に蛍光灯やハロゲンランプなどの照明光源を設けている。
【0027】
照明灯具24は上下4箇所に取付アングル25を取り出しており、図2(B)に示すように、トンネル壁面11の内部の鉄筋などに溶接した埋込ボルト32に対し、取付アングル25を2個のナットで締付け固定し、トンネル壁面11から浮いた位置に照明灯具24を支持している。
【0028】
このような照明灯具24に対し、例えばその下側に自動弁装置18側から引き出された清掃用配管30が配置され、清掃用配管30からT字継手を使用してヘッド配管26aが照明灯具24の前面側に配置され、ヘッド配管26aの先端に前面清掃用ヘッド26を設置し、前面清掃用ヘッド26からの加圧水の散水で、照明灯具24のカバー24aの前面側を洗浄清掃できるようにしている。
【0029】
また清掃用配管30のT字継手によりヘッド配管28aを照明灯具24の左側に配置し、ヘッド配管28aは図2(B)に示す平面図から明らかなように、照明灯具24の後ろ側まで延在し、そこから横方向に向けて背面清掃用ヘッド28を設けている。この背面清掃用ヘッド28からの加圧消火用水の散水により、照明灯具24の本体24b側の背面及び側面を洗浄清掃可能としている。
【0030】
ここで前面清掃用ヘッド26及び背面清掃用ヘッド28については、加圧消火用水を散水した際に、散水した水がトンネル内の道路側に向かうことなく、そのほとんどが照明灯具24に向かうように散水方向を適切に設定している。
【0031】
このため、図1に示すようなトンネル内における照明灯具24に対する前面清掃用ヘッド26及び背面清掃用ヘッド28の設置状態で自動弁装置18からの加圧消火用水の切替供給で消火用水を散水して照明灯具24の洗浄清掃を行っても、散水した水は道路12側に向かうことはなく、大部分がトンネル壁面11に向かって当たって流れ落ちることで、道路12の通行を妨げることなく、通行状態のまま照明灯具24の洗浄清掃が可能となる。
【0032】
図3は放水先を水噴霧ヘッドと清掃用ヘッドに切り替える自動弁装置の実施形態を示した説明図である。図3において、中央監視室などに設置された防災制御盤40には消火制御部42と点検制御部43が設けられ、伝送部44を介してトンネル内の水噴霧ヘッドに対し設置している自動弁装置18に制御信号の供給と各種の検出信号の受信を行っている。また消火制御部42及び点検制御部43は、防災制御盤40に設けているCPUのプログラム制御により実現される機能である。
【0033】
自動弁装置18は自動弁48とその2次側に設けた制水弁50で構成され、自動弁48の1次側には、図示しない給水配管によって加圧消火設備により加圧された水源からの加圧消火用水が供給され、制水弁50の2次側には本発明の切替弁装置として機能する三方切替弁90を介して、例えばトンネルの50メートル単位に設置された放水区画ごとに設置した複数の水噴霧ヘッドに対する配管接続、及び同じく50メートル単位の放水区画ごとに対応して設置されている照明灯具に設けた清掃用ヘッドに対する配管接続が行われている。
【0034】
自動弁48には制御アクチュエータとして動作する圧力調整機構55が設けられる。圧力調整機構55はシリンダ内にピストン56を設け、弁体54内に第1シリンダ室58を形成し、外側にスプリング62を組み込んだ第2シリンダ室60を形成している。第2シリンダ室60には、ピストン56のロッド内の内部通路により自動弁48の2次側と連通している。
【0035】
自動弁48の起動と停止は、1次側から分岐した反対に設けている止め弁66とオリフィス28に続いて設けた防災制御盤40から遠隔制御される電動弁を用いたパイロット弁70の開閉で行われる。パイロット弁70と並列には手動起動弁72が設けられている。パイロット弁70の2次側には、圧力調整弁52を経由して自動弁48の第1シリンダ室58に接続されている。
【0036】
圧力調整弁52は、1次圧ポートP1、シリンダポートCL、パイロットポートPL、2次圧ポートP2を備える。1次圧ポートP1にはパイロット弁70及び手動起動弁72の2次側が接続され、パイロット弁70または手動起動弁72を開くことで、自動弁48の1次側の加圧水が供給される。シリンダポートCLは自動弁48の第1シリンダ室58に接続される。パイロットポートPL及び2次圧ポートP2は自動弁48の2次側と接続される。
【0037】
圧力調整弁52は、パイロット弁70または手動起動弁72を開放して1次側の加圧水を受けた状態で動作し、第1シリンダ室58に1次側加圧水を供給して、弁体54を開いて起動し、弁体54を開いた後は2次側圧力の値を、内蔵したスプリングで設定した規定値に保つように調整する。
【0038】
圧力調整弁52に対し設けている閉鎖遅延弁53は、パイロット弁70または手動起動弁72を閉じて自動弁48を停止する際に、第1シリンダ室58から自動弁48の2次側に戻る流れを絞ることによってピストン56の戻りを遅延させ、弁体54による急激な閉鎖を防ぐようにしている。
【0039】
次に自動弁装置18における点検のための構成を説明する。自動弁48の2次側からドレインに対し引き出された配管の途中にテスト放水弁78が設けられ、テスト放水弁78の1次側には圧力センサ80と圧力スイッチ82が設けられている。またテスト放水弁78と並列に自動排水弁76を設けている。
【0040】
テスト放水弁78は、水噴霧ヘッドから実際に放水をすることなく、自動弁装置18の動作を点検するために用いる。このため、テスト放水弁78による点検に際し、まず制水弁50を閉じることで水噴霧ヘッドへの加圧消火用水の供給を停止している。この状態でテスト放水弁78を開いて、自動弁48の2次側をドレイン側に連通する。
【0041】
続いて防災制御盤40に設けた点検制御部43からの信号によるパイロット弁70の開放、あるいは自動起動弁72の開放動作を行うと、圧力調整弁52が動作し、圧力調整機構55により1次側の加圧水がスプリングで決まる所定圧に調整されて2次側に供給され、2次側からテスト放水弁78を通ってドレインに流れる。これによって、水噴霧ヘッドから放水することなく、実放水による遠隔試験を行うことができる。
【0042】
実放水試験が終わったならば、テスト放水弁78を閉じると、2次側の圧力が1次側と同じ圧力に上昇し、圧力調整弁52による動作で圧力調整機構55の弁体54が閉じ、1次側と2次側を切り離した閉鎖状態となる。
【0043】
ここでテスト放水弁78と並列に設けた自動排水弁76は、自動弁48の2次側に水圧が加わっていない状態で開いており、水圧が加わると自動的に閉じる。このため自動弁48に漏水があったとしても、この漏水は自動排水弁76を通ってドレイン側に流れ、自動弁48の漏水により制水弁50を通って水噴霧ヘッドから漏水するような事態を防ぐようにしている。
【0044】
更に本実施形態にあっては、制水弁50の2次側に水噴霧ヘッドに加圧供給される消火用水の放水先を清掃用ヘッドに切り替え、清掃用ヘッドからの散水により照明灯具を洗浄清掃する切替弁装置として三方切替弁90を設けている。
【0045】
三方切替弁90は、1次ポート90aに対し切替可能な第1切替ポート90bと第2切替ポート90cを持っており、第1切替ポート90bに対しては水噴霧ヘッドに対する配管が接続され、第2切替ポート90cに対しては清掃用ヘッドに対する配管が接続されている。
【0046】
また三方切替弁90は、点検用制御弁84の開動作による1次加圧水の供給を受けて、通常状態における1次ポート90aを第1切替ポート90bに連通する第1切替位置から1次ポート90aを第2切替ポート90cに連通する第2切替位置に切り替える動作を行う遠隔制御型の三方切替弁としている。
【0047】
三方切替弁90の切替位置は切替アクチュエータに設けたリミットスイッチ92により検出され、切替位置の検出信号は防災受信盤40に送られて、点検制御部43に切替表示を行うようにしている。また点検用制御弁84と並列には、手動により現場で点検放水を行うための点検放水弁86を設けている。
【0048】
図3の自動装置18による清掃用ヘッドからの放水による照明灯具の洗浄清掃の動作は次のようになる。まず点検用制御弁84の遠隔制御あるいは点検放水弁86の手動操作により開動作を行い、1次側の加圧水を三方切替弁90に供給し、三方切替弁90を水噴霧ヘッドへの放水から清掃用ヘッドへの放水に切り替える。
【0049】
このような三方切替弁90の切替えが済んだならば、制水弁50を開いている状態でパイロット弁70または手動起動弁72を開放して1次加圧水を圧力調整弁52に供給すると、自動弁48の圧力調整機構55との連携により圧力調整動作が行われ、圧力調整により開いた弁体54を介して、1次側加圧水が調圧された状態で2次側に供給され、開放状態にある制水弁50、更に1次ポート90aから第2切替ポート90cに切り替えられた状態にある三方切替弁90を介して、清掃用ヘッドに対し調圧された加圧消火用水が供給される。
【0050】
これにより図1及び図2に示したように、現在動作している自動弁装置18が設置されているトンネル内の50メートル単位の放水区画に設置している複数の照明灯具24に設けられた前面清掃用ヘッド26及び背面清掃用ヘッド28から加圧消火用水が放水され、照明灯具24の前面及び背面に対する加圧消火用水の放水で、確実に洗浄清掃を行うことができる。
【0051】
このような照明灯具24の清掃用ヘッドによる洗浄清掃は、基本的には図1に示すトンネル内の道路12につき片側車線を規制して点検清掃を行うことになるが、本発明の清掃用ヘッドにあっては、図2に示したように、前面清掃用ヘッド26及び背面清掃用ヘッド28からの加圧消火用水の放水は、トンネル壁面側に設置している照明灯具24に向けて行われることで、ほとんど道路側に放水されることがなく、したがって車両走行中であっても、車両の走行に影響させることなく清掃用ヘッドからの散水で照明灯具24の洗浄清掃を行うことが可能である。
【0052】
また洗浄清掃で噴き出されたわずかな噴霧水が道路側に飛び散ることが予想されることから、点検清掃中にあってはトンネル入口などの表示盤などを使用し、清掃作業中であることからワイパーを使用する旨の表示を行い、トンネル走行中の車両がワイパーを作動させることで、照明灯具の清掃に伴う噴霧を受けても問題なく安全に走行させることができる。
【0053】
図4は1次側で放水先を水噴霧ヘッドと清掃用ヘッドに切り替える自動弁装置の他の実施形態を示した説明図である。図4において、防災制御盤40及び自動弁設備46の水噴霧設備としての構成は図3の実施形態と同じであるが、清掃用ヘッドに対し放水先を切り替えるための切替弁装置として、図4の実施形態にあっては、三方切替弁90を自動弁48に対する加圧消火用水を供給する1次側に設けたことを特徴とする。
【0054】
即ち、自動弁48に加圧水を供給する1次側の配管の途中には三方切替弁90が設けられている。三方切替弁90は、1次ポート90aに1次側の給水配管からの加圧水を供給し、第1切替ポート90bを自動弁48の1次側に接続し、第2切替ポート90cを清掃用ヘッドに接続している。
【0055】
また三方切替弁90を切替動作させるための点検用制御弁84及び点検放水弁86に対しては、三方切替弁90に対する1次側の加圧水が供給され、点検用制御弁84または点検放水弁86を開くことで1次側加圧水を三方切替弁90に供給し、自動弁48及び制水弁50を介して、水噴霧ヘッドに対する加圧水の放水先となる第1切替ポート90bから消火用ヘッドを放水先とする第2切替ポート90cへの切替えを行うようにしている。
【0056】
このように三方切替弁90を自動弁48の1次側に設けた場合には、清掃用ヘッドに対する加圧水は、図3の実施形態のように自動弁48の圧力調整機構55により調圧された加圧水ではなく、1次側の加圧水が直接、清掃用ヘッドに供給されることになる。
【0057】
なお上記の実施形態は常設設備となる照明灯具の洗浄清掃を非常設備となる水噴霧設備からの加圧水を利用して行うようにしているが、水噴霧設備からの加圧水による洗浄をする常設設備としては照明灯装置に限定されず、その他、適宜の常設設備の洗浄清掃についても同様に適用することができる。
【0058】
また水噴霧設備に設けている自動弁装置18は図3及び図4の実施形態に限定されず、適宜の自動弁装置につき、その2次側または1次側に水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドへ放水先を切り替える三方切替弁を設けることで同様に対応できる。
【0059】
また上記の実施形態にあっては、水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドに放水先を切り替える切替弁装置として三方切替弁90を設けているが、三方切替弁以外に適宜の切替弁もしくは切替弁の組合せにより、水噴霧ヘッドから清掃用ヘッドへの放水先の切替えを行うようにしてもよい。上記実施形態の三方切替弁90は加圧水の供給により水圧で切換える構成にしているが、点検制御弁84や点検放水弁86をなくして、三方切替弁90を電動弁に換えて遠隔的に切換えるようにしても良い。もしくは三方切替弁90をハンドルを備える手動切替弁に換えて切替えができるようにしても良い。
【0060】
また一つの自動弁装置に接続される複数の水噴霧ヘッドから放射される総放射量と、複数の清掃用ヘッドの総放射量が略同じ総量になるようにヘッド接続個数を接続しておけば、水噴霧装置として使用する自動弁装置の放射量チェック等の動作確認を行う際に、水噴霧ヘッドから放射せずに、道路方向ではないトンネル壁面や横方向などへ向いた清掃用ヘッドから放射させて点検することで、道路側への散水量を抑えて自動弁装置の動作確認を行うことができ、点検後の復旧作業を迅速化できる。
【0061】
また、照明灯具24の下方や周辺に清掃用ヘッドから放射された水を回収するための板状や箱状の回収部材を備え、清掃用ヘッドからの水を回収して排水管やトンネル壁面側に流すことで外部に排水する回収部材を備えることで、道路側への散水をさらに抑えることができ、点検終了後の復旧作業を迅速に行うようにしてもよい。
【0062】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0063】
10:トンネル
11:トンネル壁面
12:道路
14:監視員通路
16:消火栓装置
18,46:自動弁装置
20:水噴霧ヘッド
22:水噴霧配管
24:照明灯具
24a:カバー
24b:本体
24c:窓
25:取付アングル
26:前面清掃用ヘッド
26a,28a:ヘッド配管
28:背面清掃用ヘッド
30:清掃用配管
32:埋込ボルト
40:防災制御盤
42:消火制御部
43:点検制御部
44:伝送部
48:自動弁
50:制水弁
52:圧力調整弁
55:圧力調整機構
66:止め弁
68:オリフィス
70:パイロット弁
72:手動起動弁
76:自動排水弁
78:テスト放水弁
84:点検用制御弁
86:点検放水弁
90:三方切替弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災時に加圧水を水噴霧ヘッドからトンネル内に散水する水噴霧設備と、
トンネル壁面に沿ってトンネル長手方向に設置された複数の照明灯具と、
前記照明灯具の近傍に配置された清掃用ヘッドと、
前記水噴霧ヘッドに供給される加圧水の放出先を前記水噴霧ヘッドから前記清掃用ヘッドに切り替え、前記清掃用ヘッドからの散水により前記照明灯具を洗浄清掃する切替弁装置と、
を備えたことを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項2】
請求項1記載のトンネル用設備点検装置に於いて、
前記水噴霧設備は、トンネル長手方向に分割された防火区画単位に設置された自動弁装置の開放により加圧水を水噴霧ヘッドに供給してトンネル内に加圧水を散水し、
前記切替弁装置は、前記自動弁装置による加圧水の放出先を前記水噴霧ヘッドから前記清掃用ヘッドに切り替え、前記清掃用ヘッドからの散水により前記照明灯具を前記防火区画単位に洗浄清掃することを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項3】
請求項1又は2記載のトンネル用設備点検装置に於いて、前記清掃用ヘッドを前記照明灯具の正面、側面および背面を洗浄するように配置したことを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項4】
請求項2記載のトンネル用設備点検装置に於いて、前記切替弁装置は、前記自動弁装置の2次側に、前記水噴霧ヘッドの接続配管に対する加圧水の供給から前記清掃用ヘッドに対する加圧水に供給に切り替える三方切替弁を設け、前記自動弁装置で所定圧力に調圧された加圧水を前記清掃用ヘッドに供給して散水することを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項5】
請求項2記載のトンネル用設備点検装置に於いて、前記切替弁装置は、前記自動弁装置の1次側に、前記水噴霧ヘッドの接続配管に対する加圧水の供給から前記清掃用ヘッドに対する加圧水に供給に切り替える三方切替弁を設け、前記自動弁装置の1次側加圧用水を前記清掃用ヘッドに供給して散水することを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項6】
請求項4又は5記載のトンネル用設備点検装置に於いて、前記三方切替弁は、点検用制御弁の遠隔開制御または前記点検用制御弁に並列接続された点検放水弁の手動開操作による前記自動弁装置の1次側加圧水の供給により動作して放水先を前記水噴霧ヘッドから前記清掃用ヘッドに切り替えることを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【請求項7】
請求項2記載のトンネル用設備点検装置に於いて、前記自動弁に接続される前記水噴霧ヘッドと前記清掃用ヘッドの各総放射量を略同量としたことを特徴とするトンネル用設備点検装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−275794(P2010−275794A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130275(P2009−130275)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】