トーションビームアクスルのためのクロスビーム
【課題】製造技術的に改良されていて、剛性及び強度を維持しながら、構成部材の重量及び構成部材のコストを下げることができるトーションビームアクスルのためのクロスビーム、及び前記クロスビームを備えて製造されたトーションビームアクスルを提供することである。
【解決手段】中央の区分18の横断面が、外側湾曲部27,28,29によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブ23,24,25を有しており、二重壁のウェブは少なくとも部分的に引込み部31,32,33により互いに分離されているようにした。
【解決手段】中央の区分18の横断面が、外側湾曲部27,28,29によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブ23,24,25を有しており、二重壁のウェブは少なくとも部分的に引込み部31,32,33により互いに分離されているようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーションビームアクスルのためのクロスビームにおいて、2つのトレーリングアームと1つのクロスビームとを有しており、クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材から成っており、クロスビームの中央の区分が、トレーリングアームに結合可能なクロスビームの端部区分よりも小さな横断面面積を有している、トーションビームアクスルのためのクロスビームに関する。さらに本発明は、上記1つのクロスビームと2つのトレーリングアームとを使用して構成されているトーションビームアクスルに関する。また、本発明は、上記トーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トーションビームアクスルは、極めて単純で、メインテナンスフリーかつスペースを節約する、アクスルキャリアを必要としないアクスル構成を形成する。トーションビームアクスルは駆動されないリアアクスルに有利に適している。トーションビームアクスルを用いるホイール懸架装置は、車両アクスルの2つのホイールの運動学的な案内という一般的な構成である。総じて、この案内の機構には2つの自由度が必要である。このことは独立懸架式の場合には、各ホイールが他方のホイールから独立して、車両ボデーに対する所定の自由度を獲得することにより達成され、車軸懸架式の場合には、アクスルボディ全体が車両ボデーに対して2つの自由度を持って懸架されることにより達成される。トーションビームアクスルは基本的にねじり可能なフレームである。
【0003】
トーションビームアクスルは、独立懸架式の特性と車軸懸架式の特性との間において妥協を見出すために、例えば対称的なばね運動時の小さな軌道変化(Spurveraenderung)、キャンバ変化及びトーイン変化、有利なホイールキャンバ及び際立ったロール中心の高さ、並びに非対称的なばね運動時に場合によっては顕著になる運動学的なセルフステア挙動(Eigenlenkverhalten)を達成するために使用される。
【0004】
トーションビームアクスルは車軸懸架と独立懸架との幾つかの特性を統合する。即ち、1つには車軸懸架において公知の、対称的なホイールサスペンションにおける小さな軌道変化、キャンバ変化及びトーイン変化の特性と、もう1つには、独立懸架を可能にするような、有利なホイールキャンバと際立ったロール中心の高さ、並びに非対称的なホイールサスペンションにおける顕著な運動学的なセルフステア挙動の特性とを統合する。
【0005】
トーションビームアクスルの2つのホイールキャリアは、曲げ剛性の高い及びねじり剛性の高いトレーリングアームに固定されている。トレーリングアームはまた横方向においてクロスビーム(クロスバーとも称呼される)により互いに不動に結合されている。長手方向力だけが剛性の高いトレーリングアームによって吸収され、横方向力とキャンバモーメントとはクロスビームの補強効果により受け止められる。このためにクロスビームの形状は高い曲げ剛性を備えて構成する必要がある。同時に、形状は、スタビライザロッドの機能の他に、2つのホイールの制限された独立したバウンドも可能にするために、ねじれ易く設計することができる。
【0006】
トーションビームアクスルの運動学的な特性にとって重要なことは、クロスビーム形状の剪断中心点(Schubmittelpunkt)の位置であり、その理由は、このことに関してはトーションビームアクスルのジオメトリと共に、トーイン角(Vorspurkurve)が交番的なバウンド時ひいてはカーブ走行時に規定されるからである。ホイールの平行のクッション運動時に、トーションビームアクスルは車両側のトレーリングアーム支承部の結合線Aを中心にして旋回する。クロスビームの撓みもねじれも、ホイールの平行なクッション運動時に消失する。ロールクッション時のクロスビームの機械的な負荷は、剪断中心点(クロスビームの中立なねじり軸線)の位置にほぼ基づく一方で、車両側のトレーリングアーム支承部(トーションビームアクスルBの回動軸線)を通る結合線に基づく。一般的に、両方の軸線A,Bは互いに間隔を持って並列している。クロスビームはロールクッション時に、剪断中心点により規定される中立なねじり軸線Aを中心にねじれて撓む。クロスビームの歪められた中心線は、この構成においてはS字形である。クロスビームの2つの端部において曲げモーメントは最大である。クロスビームの中心においては曲げモーメントは消失している。クロスビームの材料内の応力は、クロスビームの湾曲(剪断応力)及び撓み(クロスビームの長手方向における垂直応力)の結果、応力フィールドのオーバラップから生じる。
【0007】
特別な構成では、クロスビームの中立なねじり軸線Aは、トーションビームアクスルの回動軸線Bに空間的に一致する。この構成において、クロスビームは剪断中心点により規定された中立のねじり軸線Aを中心としたロールクッション時にねじれる。クロスビームの歪められた中心線は、この構成においてはほぼ真っ直ぐのままである。
【0008】
DE10207151C1において、アンダーシェルとアッパーシェルとからそれぞれ構成されているトレーリングアームと、トレーリングアームを結合するクロスビームとを有するトーションビームアクスルが公知になっている。クロスビームは端部側に夫々、楕円形の横断面を備えた中空管片を有している。中空管片はトレーリングアームに一体成形されていて、端面側において閉鎖された、横断面において楕円形のコンソールに形状接続式に上方から係合する。クロスビームは管体から製造されていて、クロスビームの長さの大部分において、管体からプレス工程(Pressenzug)において機械的に変形されているU字形又はV字形の外形(Profil)を有し、その限りでは二重壁式で周囲にわたって閉鎖されている。U字形若しくはV字形を形成する壁領域は、この構成においては内側において面状に互いに合わさっている。形材が、クロスビームの中央において押圧されていることにより、壁部によって取り囲まれている面はほぼなくなるまで減じられ、適切にクロスビームのねじり剛性は減じられる。端部に向かって横断面が拡大するにつれて、クロスビームのねじり剛性及び曲げ剛性は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE10207151C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、製造技術的に改良されていて、剛性及び強度を維持しながら、構成部材の重量及び構成部材のコストを下げることができるトーションビームアクスルのためのクロスビーム、及び前記クロスビームを備えて製造されたトーションビームアクスルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るトーションビームアクスルのためのクロスビームは、2つのトレーリングアームと1つのクロスビームとを有しており、該クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材(Blechprofil)から成っており、クロスビームの中央の区分が、トレーリングアームに結合可能なクロスビームの端部区分よりも小さな横断面面積を有しており、中央の区分の横断面が、外側湾曲部によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブを有しており、二重壁のウェブは少なくとも部分的に複数の引込み部により互いに分離されているようになっている。
【0012】
好ましくは、クロスビームの中央の区分における壁厚が、端部区分における壁厚よりも小さく設計されている。
【0013】
好ましくは、二重壁のウェブの壁部が互いに相対的に接触しないように設計されている。
【0014】
好ましくは、引込み部の領域における壁部が、ウェブの間において互いに相対的に接触しないように設計されている。
【0015】
好ましくは、中央の区分の横断面は三方向放射星形又はY字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離されている3つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0016】
好ましくは、中央の区分の横断面はX字形又は十字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離されている4つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0017】
好ましくは、中央の区分の横断面はH字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離された4つのウェブと、2つのペアのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0018】
好ましくは、クロスビームの中央の区分は一定の横断面を有しており、端部区分は端部に向かって連続的に拡幅している。
【0019】
好ましくは、クロスビームの端部区分において、引込み部の凹部の曲率が端部に向かって次第に減じられる。
【0020】
好ましくは、クロスビームの端部区分において、引込み部の間に位置する各領域の凸部の曲率が端部に向かって次第に減じられる。
【0021】
さらに上記目的を達成するために、本発明に係るクロスビームを備えたトーションビームアクスルは、2つのトレーリングアームと、これらのトレーリングアームにそれぞれ不動に結合されている1つのクロスビームとを有するようになっている。
【0022】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームに突き合わせて取り付けられている(stumpf angesetzt)。
【0023】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ一面側において差し込まれている。
【0024】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームを貫通して差し込まれている。
【0025】
好ましくは、クロスビームと2つのトレーリングアームとの間にそれぞれアングル部材が挿入されている。
【0026】
さらに上記目的を達成するために、本発明に係るトーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法は、平坦材料から管を成形し、長手方向に沿って溶接し、管を中央の区分の少なくとも2つの周区分において内方に変形し、壁部が内方において互いに接触しないままになっている。
【0027】
好ましくは、管を、長手方向において不定の厚さを備えた平坦材料から成形する。
【0028】
好ましくは、管を第1の方法ステップにおいて全長にわたって均等に変形し、第2の方法ステップにおいて管を中央の区分においてさらに横断面を減じるように加工する。
【0029】
好ましくは、管を第1の方法ステップにおいて全長にわたって均等に変形し、第2の方法ステップにおいて管を端部区分において横断面を拡大するように加工する。
【発明の効果】
【0030】
クロスビームへの形状付与によりねじり剛性はクロスビームの中央の区分において減少し、端部においてトレーリングアームに結合するために十分に長い溶接継ぎ目を製造することができる。ねじり剛性に制御不能に影響を与えるクロスビームの内側の機械的な摩擦は防がれる。
【0031】
上記二重壁式のウェブへの種々異なる形状の付与により、剪断中心軸線の位置を十分に自由に規定し、クロスビームの曲げ剛性を、2つの異なる軸線を中心にして同様に十分に自由に形成することができる。さらに、クロスビームの所望のねじり剛性を達成できる。つまりクロスビームの所望のねじり剛性を形状の付与により所望の値に調節することができる。
【0032】
有利な構成において、クロスビームの壁厚はクロスビームの中央の区分において、端部区分における壁厚よりも小さくなっている。このために使用される中間製品、つまり横断面において変形される管体は、特にフレキシブルに圧延された材料、つまり肉厚肉薄に圧延された材料から製造されている。クロスビームの端部に向かっての壁厚の拡大と、クロスビームの中央の区分における壁厚の減少とは、クロスビームの長さにわたって一定の応力分布、ひいては改善された材料の有効活用を可能にする。
【0033】
特に使用される材料(Materialeinsatz)に対する強度の比率の最適化を考慮して、ウェブの壁部は互いに相対的に接触しないようになっている。同様に、壁部はウェブの間の引込み部の領域においても互いに相対的に接触しないことが重要である。この措置により、クロスビームの横断面の面積は中央の区分においても比較的大きいままである。隣り合う2つのウェブの間にそれぞれ引込み部が、特に内側湾曲部を持って配置されているようになっている。
【0034】
第1の有利な構成においては、中央の区分の横断面は三方向放射星形又はY字形であり、閉鎖する外側湾曲部を持った互いに分離されている3つのウェブと、これらのウェブの間に位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有しているようになっている。この構成においては、ウェブの配向は十分に自由に選択することができ、特に個々のウェブはクロスビームにおいて上方を向いているか、又は下方を向いていてよい。
【0035】
別の有利な構成は、中央の区分の横断面がX字形又は十字形であって、閉鎖する外側湾曲部を有する互いに分離されている4つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有するようになっている。この構成においても、クロスビームの配向の十分に自由な選択は、ねじり軸線A及び回動軸線Bにより予め規定される平面との関係において可能でもある。さらに種々異なるウェブのウェブ長さを自由に選択することができる。
【0036】
第3の有利な構成によれば、中央の区分の横断面はH字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離された4つのウェブと、これらのウェブのそれぞれ2つのペアの間に位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有するようになっている。横断面の面積が大きい場合及びクロスビームのねじり剛性が比較的に高い場合には、中央の区分においてクロスビームの小さな変形が必要なだけである。
【0037】
中央の区分と2つの端部区分とを備えたクロスビームが有利には唯一の管から製造されるので、クロスビームの中央の区分は一定の横断面を有し、端部区分は端部に向かって連続的に拡幅しているようになっている。
【0038】
さらにこのことから、クロスビームの端部区分において引込み部の凹部の曲率若しくは引込み部の凹状の湾曲は端部に向かって次第に減じられる、ということがもたらされる。
【0039】
クロスビームの端部区分においては、横断面は連続的に箱形状に変化する。この構成においては、引込み領域も外側湾曲部も、曲率に関して十分に減じられ、それどころか湾曲方向を変更することができる、つまり凹状から凸状若しくは凸状から凹状に変化することができる。
【0040】
クロスビームの製造のために、各構成においては、まず管又は形状を長さにわたって不変の横断面を持って形成する。管又は形状はまた長手方向において可変の壁厚を有していてよい。これにより管を有利には第1の方法の形態によれば、全長にわたる横断面において均等に端部における開口横断面へと変形し、さらに第2の方法ステップにおいて、中央の区分の横断面に関して減じられて仕上げられる横断面を中央の区分に形成する。第2の方法の形態においては、管を第1の方法ステップにおいて、全長にわたって均等に中央の区分の端部横断面へと変形することができ、第2の方法ステップにおいて、中央の区分の既に製造された横断面において、端部区分において逆方向の変形で横断面に関して拡幅することができる。横断面減少はそれぞれ挿入される中子を介して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ユニットである本発明に係るトーションビームアクスルの立体図である。
【図2】図1に示したトーションビームアクスルを分解した立体図である。
【図3】Y字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図4】図3に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図5】図3に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【図6】X字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図7】図6に示したクロスバーの、中央の区分の横断面図である。
【図8】図6に示したクロスバーの、端部区分の領域の横断面図である。
【図9】H字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図10】図9に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図11】図9に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【図12】十字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図13】図12に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図14】図12に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1,2について、以下、まとめて記載する。図1,2には、本発明に係るトーションビームアクスル11が記載されている。トーションビームアクスル11は、互いに対称的に形成された2つのトレーリングアーム13,14と、互いに対称的に形成された2つのアングル部材又はばね支持部15,16と、本発明に係るクロスバー12とを有している。本実施の形態に設けられているアングル部材はそれぞれトレーリングアームをクロスバーに結合する一方で、ばね支持部はそれぞれ専らトレーリングアームに接合されていてよい。以下、アングル部材についてのみ言及する。トーションビームアクスル11には、クロスバー12の中立なねじり軸線Aと、機能エレメントであるトーションビームアクスルの支承手段を通って表示可能な回動軸線Bとが記入されている。トレーリングアーム13,14は、それぞれ片側の湾曲部を有し、種々異なる平坦部と支承手段のための前方の切欠き35,36を見て取ることができる変形加工された管部材から成っている。アングル部材15,16は、一体成形された結合プレート及びコイルばねのためのばね受け37,38を有する変形加工された金属薄板から成っている。
【0044】
本発明に係るクロスバー12はトレーリングアーム13,14のように、元々同じ横断面の管から変形加工により形成されている。中央の区分18は自体一定の横断面を全長にわたって有している。その一方で2つの端部区分19,20はまず同じ横断面で内側へと中央の区分18に接続され、連続的に拡大されて開放した端部21,22において異なる横断面形状が形成される。中央の区分18の横断面形状は、中央において下方を向いているウェブを持った3つの頂点を有する星形(Dreistern)(以下、三頂点星形という)又はY字形の梁の星形(Balkenstern)に相当する。自由なウェブ端部が横断面において丸味付けされて、外方湾曲部が形成される。端部区分19,20の開放した端部21,22は、有利にはクロスビーム長手方向軸線に対して垂直に切断されておらず、クロスバー12とトレーリングアーム13,14との間に線接触を形成することを可能にする、立体的な境界線を有する。アングル部材15,16は同様に、クロスバー12との線接触を可能にする一方で、トレーリングアーム13,14との線接触を可能にする接続輪郭を有する。必要な場合には、クロスバー12又はトレーリングアーム13,14の部分における、アングル部材15,16に設けられているプレート部材の平坦な支持が付加される。
【0045】
記載の実施の形態とは異なり、適切な片側の開口がトレーリングアームの管断面において設けられている場合、クロスバー12はトレーリングアーム13,14内に挿入されていてもよいか、又はトレーリングアームの管断面において二面側に開口が設けられている場合、クロスバー12はトレーリングアーム13,14を貫通して差し込まれていてもよい。有利には、部材を互いに溶接し、完成したトーションビームアクスルを形成する。
【0046】
言及した部材の相互の溶接の他に、トーションビームアクスルの持続的な立体的な変形に長期間にわたって耐える、例えば接着又はリベット留めのような他の結合技術も可能である。
【0047】
クロスバーは元々長さにわたり同じ横断面、及び長さにわたって元々一定の壁厚を持った管体から製造されていてよい。複数の変形加工ステップにおいて最終的な形状付与がもたらされる。
【0048】
特に有利な実施の形態において、クロスバー12は、元々長さにわたって一定の横断面を有しているものの、中央の領域において、2つの端部に向かって繋がっている領域、特に最終的に2つの端部区分19,20を形成する部分よりも小さな壁厚を有する管体から製造されている。中央の領域は中央の区分18の一部分又は中央の区分18の全長を含んでいてよい。
【0049】
したがって、クロスバー12の形状付与により達成される、中央の区分18における比較的大きな曲げ柔軟性の他に、端部区分19,20と比べて、中央の区分18における曲げ柔軟性の増大するこの違いは、付加的に使用される種々異なる薄板厚さにより達成される。
【0050】
このような中間製品、つまり端部区分よりも小さな壁厚の中央の区分を有する管は、母材(Bandmaterial)のフレキシブルな圧延加工(肉厚/肉薄圧延加工)、続く切断、変形加工及び溶接により上記管へと製造することができる。
【0051】
続いて図3〜5には、第1の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー12又はクロスビームが示されている。第1の有利な実施の形態において、中央の区分18は、丸味付けされた端部を有する三頂点星形又はY字形の梁組み星形を描く外形横断面を有している。図1に示したクロスバーとは異なり、本実施の形態ではウェブは真ん中において上方を向いている。横断面の形状は、特に図4において明確に図示されており、凹状に内方に引き込まれた3つの引込み領域31,32,33と、3つのウェブ23,24,25とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29が設けられている。本実施の形態の中央の区分18の横断面から出発して、横断面はクロスバーの端部に向かって、特に図5において認識可能であり、かつ、略箱形で、真っ直ぐな短い区分39,40と、凸状の外側湾曲部を備えた長い区分41,42とから構成される横断面へと変化する。
【0052】
図4に示したクロスビームの、中央の区分18における壁厚は、図5に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0053】
続いて図6〜8には、第2の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第2の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有する4つの頂点を有する四点星形又はX字形の梁組み星形を描く外形横断面を有している。X形状は軸線A,Bを通る一平面に対して方向付けされている。このような横断面の形状は、特に図7に明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた4つの引込み領域31,32,33,34と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図8において認識可能であり、かつ、略箱形で、凹状の引込み部を備えた短い区分39,40と、凸状の外側湾曲部を備えた長い区分41,42とから構成される横断面へと変化する。
【0054】
図7に示したクロスビームの、中央の区分18における壁厚は、図8に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0055】
続いて図9〜11には、第3の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第3の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有するH字形の梁組み星形を描くプロファイル横断面を有している。H字形は軸線A,Bを通る一平面に対して方向付けされている。本実施の形態の横断面の形状は、特に図10において明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた2つの引込み領域31,32と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図11において認識可能であり、かつ、真っ直ぐな区分と凸状の外側湾曲部とから構成される、略菱形である横断面へと変化する。
【0056】
図10に示したクロスビームの、中央の区分18の壁厚は、図11に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0057】
続いて図12〜14には、第4の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第4の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有する四点星形又は+形状の梁組み星形を描く外形横断面を有する。+形状は軸線A,Bを通る一平面の方向に方向付けされている、長い横方向梁を有する。本実施の形態における横断面の形状は、特に図13において明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた4つの引込み領域31,32,33,34と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図14において認識可能であり、かつ、略箱状で、真っ直ぐな短い区分39,40と凸状の外側湾曲部を有する長い区分41,42とから構成される、横断面へと変化する。
【0058】
図13に示したクロスビームの、中央の区分18の壁厚は、図14に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【符号の説明】
【0059】
11 トーションビームアクスル、 12 クロスバー、クロスビーム、 13,14 トレーリングアーム、 15,16 アングル部材、ばね支持部、 18 中央区分、 19,20 端部区分、 21,22 開口、 23,24,25,26 ウェブ、 27,28,29,30 外方湾曲部、 31,32,33,34 引込み部、 35,36 区分、 37,38 ばね受け、 39,40 壁区分(短い)、 41,42 壁区分(長い)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーションビームアクスルのためのクロスビームにおいて、2つのトレーリングアームと1つのクロスビームとを有しており、クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材から成っており、クロスビームの中央の区分が、トレーリングアームに結合可能なクロスビームの端部区分よりも小さな横断面面積を有している、トーションビームアクスルのためのクロスビームに関する。さらに本発明は、上記1つのクロスビームと2つのトレーリングアームとを使用して構成されているトーションビームアクスルに関する。また、本発明は、上記トーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トーションビームアクスルは、極めて単純で、メインテナンスフリーかつスペースを節約する、アクスルキャリアを必要としないアクスル構成を形成する。トーションビームアクスルは駆動されないリアアクスルに有利に適している。トーションビームアクスルを用いるホイール懸架装置は、車両アクスルの2つのホイールの運動学的な案内という一般的な構成である。総じて、この案内の機構には2つの自由度が必要である。このことは独立懸架式の場合には、各ホイールが他方のホイールから独立して、車両ボデーに対する所定の自由度を獲得することにより達成され、車軸懸架式の場合には、アクスルボディ全体が車両ボデーに対して2つの自由度を持って懸架されることにより達成される。トーションビームアクスルは基本的にねじり可能なフレームである。
【0003】
トーションビームアクスルは、独立懸架式の特性と車軸懸架式の特性との間において妥協を見出すために、例えば対称的なばね運動時の小さな軌道変化(Spurveraenderung)、キャンバ変化及びトーイン変化、有利なホイールキャンバ及び際立ったロール中心の高さ、並びに非対称的なばね運動時に場合によっては顕著になる運動学的なセルフステア挙動(Eigenlenkverhalten)を達成するために使用される。
【0004】
トーションビームアクスルは車軸懸架と独立懸架との幾つかの特性を統合する。即ち、1つには車軸懸架において公知の、対称的なホイールサスペンションにおける小さな軌道変化、キャンバ変化及びトーイン変化の特性と、もう1つには、独立懸架を可能にするような、有利なホイールキャンバと際立ったロール中心の高さ、並びに非対称的なホイールサスペンションにおける顕著な運動学的なセルフステア挙動の特性とを統合する。
【0005】
トーションビームアクスルの2つのホイールキャリアは、曲げ剛性の高い及びねじり剛性の高いトレーリングアームに固定されている。トレーリングアームはまた横方向においてクロスビーム(クロスバーとも称呼される)により互いに不動に結合されている。長手方向力だけが剛性の高いトレーリングアームによって吸収され、横方向力とキャンバモーメントとはクロスビームの補強効果により受け止められる。このためにクロスビームの形状は高い曲げ剛性を備えて構成する必要がある。同時に、形状は、スタビライザロッドの機能の他に、2つのホイールの制限された独立したバウンドも可能にするために、ねじれ易く設計することができる。
【0006】
トーションビームアクスルの運動学的な特性にとって重要なことは、クロスビーム形状の剪断中心点(Schubmittelpunkt)の位置であり、その理由は、このことに関してはトーションビームアクスルのジオメトリと共に、トーイン角(Vorspurkurve)が交番的なバウンド時ひいてはカーブ走行時に規定されるからである。ホイールの平行のクッション運動時に、トーションビームアクスルは車両側のトレーリングアーム支承部の結合線Aを中心にして旋回する。クロスビームの撓みもねじれも、ホイールの平行なクッション運動時に消失する。ロールクッション時のクロスビームの機械的な負荷は、剪断中心点(クロスビームの中立なねじり軸線)の位置にほぼ基づく一方で、車両側のトレーリングアーム支承部(トーションビームアクスルBの回動軸線)を通る結合線に基づく。一般的に、両方の軸線A,Bは互いに間隔を持って並列している。クロスビームはロールクッション時に、剪断中心点により規定される中立なねじり軸線Aを中心にねじれて撓む。クロスビームの歪められた中心線は、この構成においてはS字形である。クロスビームの2つの端部において曲げモーメントは最大である。クロスビームの中心においては曲げモーメントは消失している。クロスビームの材料内の応力は、クロスビームの湾曲(剪断応力)及び撓み(クロスビームの長手方向における垂直応力)の結果、応力フィールドのオーバラップから生じる。
【0007】
特別な構成では、クロスビームの中立なねじり軸線Aは、トーションビームアクスルの回動軸線Bに空間的に一致する。この構成において、クロスビームは剪断中心点により規定された中立のねじり軸線Aを中心としたロールクッション時にねじれる。クロスビームの歪められた中心線は、この構成においてはほぼ真っ直ぐのままである。
【0008】
DE10207151C1において、アンダーシェルとアッパーシェルとからそれぞれ構成されているトレーリングアームと、トレーリングアームを結合するクロスビームとを有するトーションビームアクスルが公知になっている。クロスビームは端部側に夫々、楕円形の横断面を備えた中空管片を有している。中空管片はトレーリングアームに一体成形されていて、端面側において閉鎖された、横断面において楕円形のコンソールに形状接続式に上方から係合する。クロスビームは管体から製造されていて、クロスビームの長さの大部分において、管体からプレス工程(Pressenzug)において機械的に変形されているU字形又はV字形の外形(Profil)を有し、その限りでは二重壁式で周囲にわたって閉鎖されている。U字形若しくはV字形を形成する壁領域は、この構成においては内側において面状に互いに合わさっている。形材が、クロスビームの中央において押圧されていることにより、壁部によって取り囲まれている面はほぼなくなるまで減じられ、適切にクロスビームのねじり剛性は減じられる。端部に向かって横断面が拡大するにつれて、クロスビームのねじり剛性及び曲げ剛性は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE10207151C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、製造技術的に改良されていて、剛性及び強度を維持しながら、構成部材の重量及び構成部材のコストを下げることができるトーションビームアクスルのためのクロスビーム、及び前記クロスビームを備えて製造されたトーションビームアクスルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るトーションビームアクスルのためのクロスビームは、2つのトレーリングアームと1つのクロスビームとを有しており、該クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材(Blechprofil)から成っており、クロスビームの中央の区分が、トレーリングアームに結合可能なクロスビームの端部区分よりも小さな横断面面積を有しており、中央の区分の横断面が、外側湾曲部によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブを有しており、二重壁のウェブは少なくとも部分的に複数の引込み部により互いに分離されているようになっている。
【0012】
好ましくは、クロスビームの中央の区分における壁厚が、端部区分における壁厚よりも小さく設計されている。
【0013】
好ましくは、二重壁のウェブの壁部が互いに相対的に接触しないように設計されている。
【0014】
好ましくは、引込み部の領域における壁部が、ウェブの間において互いに相対的に接触しないように設計されている。
【0015】
好ましくは、中央の区分の横断面は三方向放射星形又はY字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離されている3つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0016】
好ましくは、中央の区分の横断面はX字形又は十字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離されている4つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0017】
好ましくは、中央の区分の横断面はH字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離された4つのウェブと、2つのペアのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部とを有している。
【0018】
好ましくは、クロスビームの中央の区分は一定の横断面を有しており、端部区分は端部に向かって連続的に拡幅している。
【0019】
好ましくは、クロスビームの端部区分において、引込み部の凹部の曲率が端部に向かって次第に減じられる。
【0020】
好ましくは、クロスビームの端部区分において、引込み部の間に位置する各領域の凸部の曲率が端部に向かって次第に減じられる。
【0021】
さらに上記目的を達成するために、本発明に係るクロスビームを備えたトーションビームアクスルは、2つのトレーリングアームと、これらのトレーリングアームにそれぞれ不動に結合されている1つのクロスビームとを有するようになっている。
【0022】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームに突き合わせて取り付けられている(stumpf angesetzt)。
【0023】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームにそれぞれ一面側において差し込まれている。
【0024】
好ましくは、クロスビームはトレーリングアームを貫通して差し込まれている。
【0025】
好ましくは、クロスビームと2つのトレーリングアームとの間にそれぞれアングル部材が挿入されている。
【0026】
さらに上記目的を達成するために、本発明に係るトーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法は、平坦材料から管を成形し、長手方向に沿って溶接し、管を中央の区分の少なくとも2つの周区分において内方に変形し、壁部が内方において互いに接触しないままになっている。
【0027】
好ましくは、管を、長手方向において不定の厚さを備えた平坦材料から成形する。
【0028】
好ましくは、管を第1の方法ステップにおいて全長にわたって均等に変形し、第2の方法ステップにおいて管を中央の区分においてさらに横断面を減じるように加工する。
【0029】
好ましくは、管を第1の方法ステップにおいて全長にわたって均等に変形し、第2の方法ステップにおいて管を端部区分において横断面を拡大するように加工する。
【発明の効果】
【0030】
クロスビームへの形状付与によりねじり剛性はクロスビームの中央の区分において減少し、端部においてトレーリングアームに結合するために十分に長い溶接継ぎ目を製造することができる。ねじり剛性に制御不能に影響を与えるクロスビームの内側の機械的な摩擦は防がれる。
【0031】
上記二重壁式のウェブへの種々異なる形状の付与により、剪断中心軸線の位置を十分に自由に規定し、クロスビームの曲げ剛性を、2つの異なる軸線を中心にして同様に十分に自由に形成することができる。さらに、クロスビームの所望のねじり剛性を達成できる。つまりクロスビームの所望のねじり剛性を形状の付与により所望の値に調節することができる。
【0032】
有利な構成において、クロスビームの壁厚はクロスビームの中央の区分において、端部区分における壁厚よりも小さくなっている。このために使用される中間製品、つまり横断面において変形される管体は、特にフレキシブルに圧延された材料、つまり肉厚肉薄に圧延された材料から製造されている。クロスビームの端部に向かっての壁厚の拡大と、クロスビームの中央の区分における壁厚の減少とは、クロスビームの長さにわたって一定の応力分布、ひいては改善された材料の有効活用を可能にする。
【0033】
特に使用される材料(Materialeinsatz)に対する強度の比率の最適化を考慮して、ウェブの壁部は互いに相対的に接触しないようになっている。同様に、壁部はウェブの間の引込み部の領域においても互いに相対的に接触しないことが重要である。この措置により、クロスビームの横断面の面積は中央の区分においても比較的大きいままである。隣り合う2つのウェブの間にそれぞれ引込み部が、特に内側湾曲部を持って配置されているようになっている。
【0034】
第1の有利な構成においては、中央の区分の横断面は三方向放射星形又はY字形であり、閉鎖する外側湾曲部を持った互いに分離されている3つのウェブと、これらのウェブの間に位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有しているようになっている。この構成においては、ウェブの配向は十分に自由に選択することができ、特に個々のウェブはクロスビームにおいて上方を向いているか、又は下方を向いていてよい。
【0035】
別の有利な構成は、中央の区分の横断面がX字形又は十字形であって、閉鎖する外側湾曲部を有する互いに分離されている4つのウェブと、これらのウェブの間にそれぞれ位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有するようになっている。この構成においても、クロスビームの配向の十分に自由な選択は、ねじり軸線A及び回動軸線Bにより予め規定される平面との関係において可能でもある。さらに種々異なるウェブのウェブ長さを自由に選択することができる。
【0036】
第3の有利な構成によれば、中央の区分の横断面はH字形であり、閉鎖する外側湾曲部を備えた互いに分離された4つのウェブと、これらのウェブのそれぞれ2つのペアの間に位置する引込み部若しくは内側湾曲部とを有するようになっている。横断面の面積が大きい場合及びクロスビームのねじり剛性が比較的に高い場合には、中央の区分においてクロスビームの小さな変形が必要なだけである。
【0037】
中央の区分と2つの端部区分とを備えたクロスビームが有利には唯一の管から製造されるので、クロスビームの中央の区分は一定の横断面を有し、端部区分は端部に向かって連続的に拡幅しているようになっている。
【0038】
さらにこのことから、クロスビームの端部区分において引込み部の凹部の曲率若しくは引込み部の凹状の湾曲は端部に向かって次第に減じられる、ということがもたらされる。
【0039】
クロスビームの端部区分においては、横断面は連続的に箱形状に変化する。この構成においては、引込み領域も外側湾曲部も、曲率に関して十分に減じられ、それどころか湾曲方向を変更することができる、つまり凹状から凸状若しくは凸状から凹状に変化することができる。
【0040】
クロスビームの製造のために、各構成においては、まず管又は形状を長さにわたって不変の横断面を持って形成する。管又は形状はまた長手方向において可変の壁厚を有していてよい。これにより管を有利には第1の方法の形態によれば、全長にわたる横断面において均等に端部における開口横断面へと変形し、さらに第2の方法ステップにおいて、中央の区分の横断面に関して減じられて仕上げられる横断面を中央の区分に形成する。第2の方法の形態においては、管を第1の方法ステップにおいて、全長にわたって均等に中央の区分の端部横断面へと変形することができ、第2の方法ステップにおいて、中央の区分の既に製造された横断面において、端部区分において逆方向の変形で横断面に関して拡幅することができる。横断面減少はそれぞれ挿入される中子を介して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ユニットである本発明に係るトーションビームアクスルの立体図である。
【図2】図1に示したトーションビームアクスルを分解した立体図である。
【図3】Y字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図4】図3に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図5】図3に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【図6】X字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図7】図6に示したクロスバーの、中央の区分の横断面図である。
【図8】図6に示したクロスバーの、端部区分の領域の横断面図である。
【図9】H字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図10】図9に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図11】図9に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【図12】十字形の中央区分を備えた本発明に係るトーションビームアクスルのクロスバーの立体図である。
【図13】図12に示したクロスバーの、中央の区分の領域の横断面図である。
【図14】図12に示したクロスバーの、端部区分の端部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1,2について、以下、まとめて記載する。図1,2には、本発明に係るトーションビームアクスル11が記載されている。トーションビームアクスル11は、互いに対称的に形成された2つのトレーリングアーム13,14と、互いに対称的に形成された2つのアングル部材又はばね支持部15,16と、本発明に係るクロスバー12とを有している。本実施の形態に設けられているアングル部材はそれぞれトレーリングアームをクロスバーに結合する一方で、ばね支持部はそれぞれ専らトレーリングアームに接合されていてよい。以下、アングル部材についてのみ言及する。トーションビームアクスル11には、クロスバー12の中立なねじり軸線Aと、機能エレメントであるトーションビームアクスルの支承手段を通って表示可能な回動軸線Bとが記入されている。トレーリングアーム13,14は、それぞれ片側の湾曲部を有し、種々異なる平坦部と支承手段のための前方の切欠き35,36を見て取ることができる変形加工された管部材から成っている。アングル部材15,16は、一体成形された結合プレート及びコイルばねのためのばね受け37,38を有する変形加工された金属薄板から成っている。
【0044】
本発明に係るクロスバー12はトレーリングアーム13,14のように、元々同じ横断面の管から変形加工により形成されている。中央の区分18は自体一定の横断面を全長にわたって有している。その一方で2つの端部区分19,20はまず同じ横断面で内側へと中央の区分18に接続され、連続的に拡大されて開放した端部21,22において異なる横断面形状が形成される。中央の区分18の横断面形状は、中央において下方を向いているウェブを持った3つの頂点を有する星形(Dreistern)(以下、三頂点星形という)又はY字形の梁の星形(Balkenstern)に相当する。自由なウェブ端部が横断面において丸味付けされて、外方湾曲部が形成される。端部区分19,20の開放した端部21,22は、有利にはクロスビーム長手方向軸線に対して垂直に切断されておらず、クロスバー12とトレーリングアーム13,14との間に線接触を形成することを可能にする、立体的な境界線を有する。アングル部材15,16は同様に、クロスバー12との線接触を可能にする一方で、トレーリングアーム13,14との線接触を可能にする接続輪郭を有する。必要な場合には、クロスバー12又はトレーリングアーム13,14の部分における、アングル部材15,16に設けられているプレート部材の平坦な支持が付加される。
【0045】
記載の実施の形態とは異なり、適切な片側の開口がトレーリングアームの管断面において設けられている場合、クロスバー12はトレーリングアーム13,14内に挿入されていてもよいか、又はトレーリングアームの管断面において二面側に開口が設けられている場合、クロスバー12はトレーリングアーム13,14を貫通して差し込まれていてもよい。有利には、部材を互いに溶接し、完成したトーションビームアクスルを形成する。
【0046】
言及した部材の相互の溶接の他に、トーションビームアクスルの持続的な立体的な変形に長期間にわたって耐える、例えば接着又はリベット留めのような他の結合技術も可能である。
【0047】
クロスバーは元々長さにわたり同じ横断面、及び長さにわたって元々一定の壁厚を持った管体から製造されていてよい。複数の変形加工ステップにおいて最終的な形状付与がもたらされる。
【0048】
特に有利な実施の形態において、クロスバー12は、元々長さにわたって一定の横断面を有しているものの、中央の領域において、2つの端部に向かって繋がっている領域、特に最終的に2つの端部区分19,20を形成する部分よりも小さな壁厚を有する管体から製造されている。中央の領域は中央の区分18の一部分又は中央の区分18の全長を含んでいてよい。
【0049】
したがって、クロスバー12の形状付与により達成される、中央の区分18における比較的大きな曲げ柔軟性の他に、端部区分19,20と比べて、中央の区分18における曲げ柔軟性の増大するこの違いは、付加的に使用される種々異なる薄板厚さにより達成される。
【0050】
このような中間製品、つまり端部区分よりも小さな壁厚の中央の区分を有する管は、母材(Bandmaterial)のフレキシブルな圧延加工(肉厚/肉薄圧延加工)、続く切断、変形加工及び溶接により上記管へと製造することができる。
【0051】
続いて図3〜5には、第1の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー12又はクロスビームが示されている。第1の有利な実施の形態において、中央の区分18は、丸味付けされた端部を有する三頂点星形又はY字形の梁組み星形を描く外形横断面を有している。図1に示したクロスバーとは異なり、本実施の形態ではウェブは真ん中において上方を向いている。横断面の形状は、特に図4において明確に図示されており、凹状に内方に引き込まれた3つの引込み領域31,32,33と、3つのウェブ23,24,25とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29が設けられている。本実施の形態の中央の区分18の横断面から出発して、横断面はクロスバーの端部に向かって、特に図5において認識可能であり、かつ、略箱形で、真っ直ぐな短い区分39,40と、凸状の外側湾曲部を備えた長い区分41,42とから構成される横断面へと変化する。
【0052】
図4に示したクロスビームの、中央の区分18における壁厚は、図5に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0053】
続いて図6〜8には、第2の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第2の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有する4つの頂点を有する四点星形又はX字形の梁組み星形を描く外形横断面を有している。X形状は軸線A,Bを通る一平面に対して方向付けされている。このような横断面の形状は、特に図7に明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた4つの引込み領域31,32,33,34と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図8において認識可能であり、かつ、略箱形で、凹状の引込み部を備えた短い区分39,40と、凸状の外側湾曲部を備えた長い区分41,42とから構成される横断面へと変化する。
【0054】
図7に示したクロスビームの、中央の区分18における壁厚は、図8に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0055】
続いて図9〜11には、第3の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第3の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有するH字形の梁組み星形を描くプロファイル横断面を有している。H字形は軸線A,Bを通る一平面に対して方向付けされている。本実施の形態の横断面の形状は、特に図10において明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた2つの引込み領域31,32と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図11において認識可能であり、かつ、真っ直ぐな区分と凸状の外側湾曲部とから構成される、略菱形である横断面へと変化する。
【0056】
図10に示したクロスビームの、中央の区分18の壁厚は、図11に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【0057】
続いて図12〜14には、第4の有利な実施の形態における本発明に係るクロスバー又はクロスビームが示されている。第4の有利な実施の形態において、中央の区分は、丸味付けされた端部を有する四点星形又は+形状の梁組み星形を描く外形横断面を有する。+形状は軸線A,Bを通る一平面の方向に方向付けされている、長い横方向梁を有する。本実施の形態における横断面の形状は、特に図13において明確に図示されていて、凹状に内方に引き込まれた4つの引込み領域31,32,33,34と、4つのウェブ23,24,25,26とを有しており、これらのウェブの端部には凸状に外方に湾曲させられた外方湾曲部27,28,29,30が設けられている。本実施の形態の中央の区分の横断面から出発して、横断面は、特に図14において認識可能であり、かつ、略箱状で、真っ直ぐな短い区分39,40と凸状の外側湾曲部を有する長い区分41,42とから構成される、横断面へと変化する。
【0058】
図13に示したクロスビームの、中央の区分18の壁厚は、図14に示したクロスビームの端部区分19,20における壁厚よりも小さい。
【符号の説明】
【0059】
11 トーションビームアクスル、 12 クロスバー、クロスビーム、 13,14 トレーリングアーム、 15,16 アングル部材、ばね支持部、 18 中央区分、 19,20 端部区分、 21,22 開口、 23,24,25,26 ウェブ、 27,28,29,30 外方湾曲部、 31,32,33,34 引込み部、 35,36 区分、 37,38 ばね受け、 39,40 壁区分(短い)、 41,42 壁区分(長い)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーションビームアクスル(11)のためのクロスビームにおいて、2つのトレーリングアーム(13,14)と1つのクロスビーム(12)とを有しており、該クロスビーム(12)はトレーリングアーム(13,14)にそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材から成っており、クロスビーム(12)の中央の区分(18)が、トレーリングアーム(13,14)に結合可能なクロスビーム(12)の端部区分(19,20)よりも小さな横断面の面積を有しており、
中央の区分(18)の横断面が、外側湾曲部(27,28,29,30)によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブ(23,24,25,26)を有しており、該二重壁のウェブ(23,24,25,26)は少なくとも部分的に複数の引込み部(31,32,33,34)により互いに分離されていることを特徴とする、トーションビームアクスルのためのクロスビーム。
【請求項2】
請求項1記載のクロスビームを備えたトーションビームアクスルにおいて、2つのトレーリングアームと、これらのトレーリングアームにそれぞれ不動に結合されている1つの前記クロスビームとを有することを特徴とする、クロスビームを備えたトーションビームアクスル。
【請求項3】
請求項1記載のトーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法において、
平坦材料から管を成形し、長手方向に沿って溶接し、前記管を中央の区分(18)の少なくとも2つの周区分において内方に変形し、壁部が内方において互いに接触しないままになっていることを特徴とする、トーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法。
【請求項1】
トーションビームアクスル(11)のためのクロスビームにおいて、2つのトレーリングアーム(13,14)と1つのクロスビーム(12)とを有しており、該クロスビーム(12)はトレーリングアーム(13,14)にそれぞれ不動に結合可能であり、かつ、閉鎖された横断面を有する薄板の形材から成っており、クロスビーム(12)の中央の区分(18)が、トレーリングアーム(13,14)に結合可能なクロスビーム(12)の端部区分(19,20)よりも小さな横断面の面積を有しており、
中央の区分(18)の横断面が、外側湾曲部(27,28,29,30)によって閉じられた少なくとも3つの二重壁のウェブ(23,24,25,26)を有しており、該二重壁のウェブ(23,24,25,26)は少なくとも部分的に複数の引込み部(31,32,33,34)により互いに分離されていることを特徴とする、トーションビームアクスルのためのクロスビーム。
【請求項2】
請求項1記載のクロスビームを備えたトーションビームアクスルにおいて、2つのトレーリングアームと、これらのトレーリングアームにそれぞれ不動に結合されている1つの前記クロスビームとを有することを特徴とする、クロスビームを備えたトーションビームアクスル。
【請求項3】
請求項1記載のトーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法において、
平坦材料から管を成形し、長手方向に沿って溶接し、前記管を中央の区分(18)の少なくとも2つの周区分において内方に変形し、壁部が内方において互いに接触しないままになっていることを特徴とする、トーションビームアクスルのためのクロスビームを製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−37431(P2011−37431A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178683(P2010−178683)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(596179058)ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】In den Schlachtwiesen 4,D−57439 Attendorn,Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(596179058)ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】In den Schlachtwiesen 4,D−57439 Attendorn,Germany
【Fターム(参考)】
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