説明

ドアの開錠装置及びその開錠装置を用いた貸し別荘鍵管理システム

【課題】 ユーザー及び管理業者が貸し別荘の鍵をいつでも開錠でき、またシステムの故障等が生じた場合にあっても鍵を開錠できるドアの開錠装置及びその開錠装置を用いた貸し別荘鍵管理システムを提供する。
【解決手段】 ドアの開錠装置10の第1メモリー12には予め管理業者パスワードが記憶されている。第2メモリー14には貸し別荘を予約したユーザーに与えられる利用者パスワードが記憶される。利用者パスワードは、予約期間開始日のチェックイン時刻に鍵管理サーバー26からドアの開錠装置10に送信され、第2メモリー14に記憶される。ユーザーは、パスワード入力装置16に自己の利用者パスワードを入力することにより、ドアの鍵を開錠することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが所定期間使用する貸し別荘等のドアの開錠装置及びその開錠装置を用いた貸し別荘鍵管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貸し別荘の利用に際しては、貸し別荘の利用を希望する者(以下、「ユーザー」という。)から予約を受けた別荘管理会社は、予約開始日までにもしくは当日にユーザーに当該貸し別荘のドアの鍵(ドアキー)を引き渡し、ユーザーは、予約終了日もしくはその以降に別荘管理会社に鍵を返却していた。
【0003】
しかし、遠隔地にある貸し別荘にて別荘のドアの鍵の引渡し・返却を行う場合別荘管理会社にとって不便であり、他方、別荘管理会社にて行うとするとユーザーに余計な負担をかけることになる。
上記問題を解決するために、鍵の引渡し・返却を必要としない不動産仲介管理システムが提供されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−15162号
【0004】
特許文献1には、試見者がセンタに自己の試見予約番号や確認番号などの本人認証番号を照会することにより、不動産物件等の入口に設置されるセンタ制御の施錠手段(施錠装置)を開錠(解錠)し、試見者本人のみで所定時間物件の下見ができることを可能にした不動産仲介管理システムが開示されている。このシステムでは不動産物件のドアの鍵が試見者に渡されないため、鍵の引渡し・返却を必要としない。
【0005】
しかし、貸し別荘の場合、予約期間中は、ユーザーの家族・知人などが買物や散歩などに出かけ1日に何回も別荘のドアを開ける場合がある。このような場合、特許文献1の不動産物件のドアの鍵が試見者に渡されないシステムでは、別荘のドアを開ける度に、本人認証番号の照合をセンタに求める必要がある。また、別荘を利用する関係者(本人・家族・知人)の誰もが、いつでも簡単に開錠できる状態になければ、ユーザーにとって不便である。
【0006】
また、鍵(ドアキー)を使用しない管理システムにおいては、別荘の清掃・管理を行う管理業者もいつでも出入りできるようにしておく必要がある。特許文献1のシステムにおける施錠手段は、センタ制御により行われるため、システムの故障、通信手段のトラブルが生じた場合、ユーザーだけでなく、管理業者も開錠できないおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するために、別荘を利用する関係者及び管理業者が貸し別荘の鍵をいつでも開錠でき、またシステムの故障等が生じた場合にあっても鍵を開錠できるドアの開錠装置及びその開錠装置を用いた貸し別荘鍵管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のドアの開錠装置は、管理業者パスワードを予め記憶させる第1メモリーと、利用者パスワードを記憶させる第2メモリーと、パスワードの入力を促すパスワード入力装置と、パスワード入力装置から入力されたパスワードと第1メモリー及び第2メモリーに記憶されたパスワードとを照合するロック指示装置と、ドアの鍵を開錠するロック開閉装置と、制御装置とを備えるインターネットを介して鍵管理サーバーと接続するドアの開錠装置であって、前記制御装置は、前記鍵管理サーバーから送信される利用者パスワードを第2メモリーに記憶し、前記ロック指示装置からドアの鍵を開錠する指示があった場合にロック開閉装置を起動し開錠するようにしたものである。
また、前記制御装置が、前記鍵管理サーバーが作成し送信する管理業者パスワードを前記第1メモリーに記憶するようにしたものである。
【0009】
本発明の貸し別荘鍵管理システムは、貸し別荘のドアに取り付けられる上記ドアの開錠装置と、鍵管理サーバーと、利用者端末とがインターネットを介して接続された状態にある場合において、鍵管理サーバーは、利用者端末に対し、予約する別荘の選択、予約期間の指定、ユーザーの個人情報の入力を促し、予約手続完了後当該予約期間に関連付けた利用者パスワードを作成し送信する一方、前記ドアの開錠装置に対し、予約期間開始時に前記利用者パスワードを送信するとともに、予約期間終了時に仮想利用者パスワードを送信するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアの開錠装置は、そのパスワード入力装置から管理業者パスワード(管理業者を特定する暗証番号)又は利用者パスワード(ユーザーを特定できる暗証番号)を入力することにより、ドアの鍵を開錠させることができる。したがって、ユーザーは、自己に付与される利用者パスワード又は管理業者パスワードの入力により貸し別荘の予約期間いつでも貸し別荘の鍵を開錠できる。本発明のドアの開錠装置は予め管理業者パスワードが記憶されているため、もし利用者パスワードの記録を紛失した場合においても、別荘管理業者に管理業者パスワードを問い合わせることにより、ドアの鍵を開錠させることができる。
【0011】
本発明の貸し別荘鍵管理システムは、予約期間開始時に当該ユーザーを特定する利用者パスワードをドアの開錠装置に記憶させるとともに、予約期間終了時に仮想利用者(実在しないユーザー)の利用者パスワードをドアの開錠装置に記憶させるものである。これにより、貸し別荘の予約期間内にシステムの故障、通信機能のトラブルが生じた場合であっても、ユーザーが貸し別荘の鍵を開錠できなくなるという問題は起こらない。
また、本発明のドアの開錠装置は、管理業者パスワードを記憶している。これにより、予約期間外にシステムの故障等が生じ、利用者パスワードがドアの開錠装置に記憶されていなかった場合でも、ユーザーは、本発明のドアの開錠装置が記憶している管理業者パスワードにより開錠することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、貸し別荘等の提供に際し、管理業者との鍵(ドアキー)の引渡し・返却を不要することを実現するものである。
【実施例1】
【0013】
本発明のドアの開錠装置及びその開錠装置を用いた貸し別荘鍵管理システムを図に基づいて説明する。図1は、本発明のドアの開錠装置の構成図である。図2は、貸し別荘鍵管理システムのブロック図である。図3は、貸し別荘の予約に関する情報を記録した鍵管理サーバーの予約管理テーブルを示す図である。
本発明のドアの開錠装置10は、管理業者パスワードを記憶させる第1メモリー12と、利用者パスワードを記憶させる第2メモリー14と、パスワードの入力を促すパスワード入力装置16と、パスワード入力装置16から入力されたパスワードと第1メモリー12及び第2メモリー14に記憶されたパスワードとを照合するロック指示装置18と、ドアの鍵を開錠(解錠)するロック開閉装置20と、制御装置22とを備えるものである。また、ドアの開錠装置10は、インターネット24を介して鍵管理サーバー26と接続した状態で使用されるものである。
【0014】
前記制御装置22は、鍵管理サーバー26から送信される利用者パスワードを第2メモリー14に記憶し、前記ロック指示装置18からドアの鍵を開錠する指示があった場合にロック開閉装置20(又はそのモーター)を起動し開錠する。
【0015】
管理業者パスワードは、別荘の管理・運営を行っている管理業者が鍵を開錠するために使用する当該管理業者を特定できるパスワード(暗証番号)である。
利用者パスワードは、別荘の管理業者が提供する貸し別荘を利用するユーザーが鍵を開錠するために使用する当該ユーザーを特定できるパスワード(暗証番号)である。
【0016】
パスワード入力装置16は、テンキー(コンピューターで0から9までの数字を入力するキー)であって、上記管理業者パスワード又は利用者パスワードの暗証番号を入力するための装置である。なお、パスワード入力装置16に代えて、管理業者パスワード又は利用者パスワードを記憶したICカードの読み取り装置を用いてもよい。
【0017】
ロック指示装置18は、パスワード入力装置16から入力されたパスワードと第1メモリー12及び第2メモリー14に記憶されたパスワードとを照合する装置である。ロック開閉装置20は、制御装置22の命令に従ってモーターの起動によりドアの鍵を開錠する装置である。ロック指示装置18は、入力されたパスワードと第1メモリー12と第2メモリー14に記憶されたパスワードと照合し、一致するパスワードを検知した場合は、制御装置22に指示し、ロック開閉装置20を駆動させてドアの鍵を開錠する。
なお、ドアの開錠装置10において、ドアの鍵(例えば、レバーハンドル錠の場合)は、入室した後ユーザーがハンドルを回して施錠する。外出時は、パスワード入力装置16の施錠ボタン16aを押すことにより、前記制御装置22の命令に従ってロック開閉装置20が施錠するようになっている。
【0018】
鍵管理サーバー26は、ユーザーに対し別荘利用に関する各種情報を随時提供するコンピューターであって、管理業者パスワードや利用者パスワードを作成し、当該パスワードを所定の時期にドアの開錠装置10に送信するものである。
【0019】
第1メモリー12及び第2メモリー14は、パスワードを記憶させるための記憶装置である。第1メモリー12は書き込まれた情報を読み出すための記憶装置であり、管理業者パスワードを記憶させる。
第1メモリー12に、ドアの開錠装置10を取り付ける別荘の管理業者を特定する管理業者パスワードを予め記憶させておくことにより、当該別荘の管理業者は、鍵を持たなくても、管理業者パスワードの入力によりいつでもドアの鍵を開錠することができる。また、もし利用者パスワードの記録を紛失した場合においても、別荘管理業者に管理業者パスワードを問い合わせる(別荘管理業者から管理業者パスワードを知得する)ことにより、ドアの鍵を開錠させることができる。さらには、予約期間外にシステムの故障等が生じ、利用者パスワードがドアの開錠装置10に送信されず、ドアの開錠装置10の第2メモリー14に記憶されていない場合でも、管理業者パスワードにより開錠することができる。
【0020】
また、第1メモリー12は、情報の読み書きを電気的に行なう記憶装置であってもよい。この場合、鍵管理サーバー26から新たに作成された管理業者パスワードがドアの開錠装置10に送信されると、ドアの開錠装置10又はその制御装置22は送信された新たな管理業者パスワードを第1メモリー12に記憶する。これにより、ユーザーに知得された管理業者パスワードを新しい管理業者パスワードに変更することができる。
【0021】
第2メモリー14は情報の読み書きを電気的に行なう記憶装置であり、利用者パスワードを記憶させる。第2メモリー14に、別荘を予約したユーザーを特定する利用者パスワードを記憶させることにより、当該別荘のユーザーは、鍵を持たなくても、利用者パスワードの入力により貸し別荘の予約期間いつでもドアを開錠することができる。また、第2メモリー14を次のユーザーの利用者パスワードに書き換えることにより、前ユーザーはドアを開錠できなくなり、次のユーザーのみが開錠できるようになる。
【0022】
本発明の貸し別荘鍵管理システムは、本発明のドアの開錠装置を用いたものである。本発明の貸し別荘鍵管理システムを図2及び図3に基づいて説明する。
本発明の貸し別荘鍵管理システム28は、貸し別荘30のドア32に取り付けられる上記ドアの開錠装置10と、鍵管理サーバー26と、利用者端末34とがインターネット24を介して接続された状態にある場合において実行されるものである(図2)。
鍵管理サーバー26は、利用者端末34に対し、予約する別荘の選択、予約期間の指定、ユーザーの個人情報の入力を促し、予約手続完了後当該予約期間に関連付けて付与される利用者パスワードを作成し送信する一方、前記ドアの開錠装置に対し、予約期間開始時に前記利用者パスワードを送信するとともに、予約期間終了時に仮想利用者パスワードを送信するものである。
利用者端末34は、ユーザーが所有するインターネットに接続可能なパーソナルコンピューター(パソコン)、携帯電話機等で、鍵管理サーバー26との間で電子データ(電気信号)の送受信ができる送受信手段である。
鍵管理サーバー26は、ユーザーが希望する別荘の選択のために、そのデータベースに別荘の外観、設備や位置情報などの各種情報を蓄積し、ユーサーの求めに応じた情報を提供する。また、鍵管理サーバー26が蓄積する各種情報や作成したパスワードをユーザー所有の電子メールアドレスやファクシミリ(FAX)に送信する。
【0023】
仮想利用者パスワードは、鍵管理サーバーが自ら作成する実在しないユーザー(架空の人物)の利用者パスワードである。したがって、ドアの開錠装置10の第2メモリー14に仮想利用者パスワードが記憶されている場合は、管理業者しかドアの鍵を開錠することはできない。
【0024】
次に、貸し別荘鍵管理システムの動作を説明する。なお、本発明のドアの開錠装置10には、第1メモリー12に管理事業パスワード、第2メモリー14に仮想利用者パスワードが予め記憶されているものとする。また、貸し別荘鍵管理システム28の動作は、貸し別荘30を利用したいユーザーが利用者端末34のWeb機能を使って鍵管理サーバー26が公開しているホームページにアクセスすることにより開始する。
鍵管理サーバー26は、ユーザーのアクセスに対し、別荘の外観・設備・位置情報を開示する。また、ユーザーが希望する貸し別荘30を選択した場合、その別荘30の予約状況を開示し、ユーザーに予約期間の指定を促す。
【0025】
ユーザーが予約期間を指定した場合、ユーザーに対し同ホームページの予約申し込みページからユーザーの氏名、住所、メールアドレス、電話番号、ファクシミリ番号などのユーザーの個人情報の入力を促し、ユーザーが指定した予約期間の確認を求める。
鍵管理サーバー26は、自己のホームページにユーザーが選択した貸し別荘30の予約内容、利用料金、振込み期限等の各種予約受領条件を表示し、ユーザーに対しこれら条件についての同意不同意を求める。不同意の場合は、当該予約の申し込みはなかったもとして処理する。
【0026】
ユーザーが同意した場合、鍵管理サーバー26は予約期間(予約開始日及び予約終了日)と関連付けた利用者パスワード36を作成し、当該貸し別荘の予約管理テーブル38に予約期間40及びユーザーの個人情報42とともに記憶する(図3)。また、利用者パスワードが関連付けられた予約期間を予約済み44とする。
予約済み44の処理が完了した後、鍵管理サーバー26は、ユーザーに対して予約受付完了通知を送信するとともに、利用者パスワード36をユーザーの電子メールアドレスもしくはファクシミリに送信する。
【0027】
鍵管理サーバー26は、毎日貸し別荘の予約管理テーブル38の予約済み44の予約開始日40aと予約終了日40bを検索する。予約開始日40aが検索された場合は、当該別荘のチェックイン時刻にドアの開錠装置10へ利用者パスワード36を送信する。これにより、ユーザーは、自己の利用者パスワード36をドアの開錠装置10に入力することにより、チェックイン時刻以降別荘30のドア32の鍵をいつでも開錠することができる。
【0028】
また、予約終了日40bが検索された場合は、当該別荘30のチェックアウト時刻にドアの開錠装置10へ仮想利用者パスワードを送信する。これにより、ユーザーは、チェックアウト時刻を経過すると自己の利用者パスワード36をドアの開錠装置10に入力しても、別荘30のドア32の鍵を開錠できなくなる。但し、管理業者パスワードを知得できる場合は、そのパスワードをドアの開錠装置10に入力により、開錠することは可能である。
なお、鍵管理サーバー26は、各別荘のチェックイン時刻及びチェックアウト時刻を記憶しているものとする。
【0029】
本発明は、予約期間を指定する部屋の鍵、例えばホテルの部屋のドアの開錠装置又は鍵管理システムとしても使用できる。これにより、ホテルフロントでのドアキー(鍵)の引渡し・返却が不要となり、ホテルの利用が便利になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のドアの開錠装置の構成図である。
【図2】本発明の貸し別荘鍵管理システムのブロック図である。
【図3】貸し別荘の予約に関する情報を記録した鍵管理サーバーの予約管理テーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10 ドアの開錠装置
12 第1メモリー
14 第2メモリー
16 パスワード入力装置
18 ロック指示装置
20 ロック開閉装置
22 制御装置
24 インターネット
26 鍵管理サーバー
28 鍵管理システム
30 貸し別荘
32 ドア
34 利用者端末
36 利用者パスワード
40 予約期間
42 ユーザーの個人情報



【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理業者パスワードを予め記憶させる第1メモリーと、利用者パスワードを記憶させる第2メモリーと、パスワードの入力を促すパスワード入力装置と、パスワード入力装置から入力されたパスワードと第1メモリー及び第2メモリーに記憶されたパスワードとを照合するロック指示装置と、ドアの鍵を開錠するロック開閉装置と、制御装置とを備えるインターネットを介して鍵管理サーバーと接続するドアの開錠装置であって、
前記制御装置は、鍵管理サーバーから送信される利用者パスワードを第2メモリーに記憶し、前記ロック指示装置からドアの鍵を開錠する指示があった場合にロック開閉装置を起動し開錠することを特徴とするドアの開錠装置。
【請求項2】
前記制御装置が、前記鍵管理サーバーが作成し送信する管理業者パスワードを前記第1メモリーに記憶することを特徴とする請求項1記載のドアの開錠装置。
【請求項3】
貸し別荘のドアに取り付けられる請求項1記載のドアの開錠装置と、鍵管理サーバーと、利用者端末とがインターネットを介して接続された状態にある場合において、
鍵管理サーバーは、利用者端末に対し、予約する別荘の選択、予約期間の指定、ユーザーの個人情報の入力を促し、予約手続完了後当該予約期間に関連付けた利用者パスワードを作成し送信する一方、前記ドアの開錠装置に対し、予約期間開始時に前記利用者パスワードを送信するとともに、予約期間終了時に仮想利用者パスワードを送信することを特徴とする貸し別荘鍵管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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