説明

ドアトリム

【課題】部品点数の削減及び製造効率の向上が可能なドアグリップを備えたドアトリムを提供する。
【解決手段】車両前方側に配設されるフロントトリム30と、車両後方側に配設されるリアトリム40と、を備え、ドアグリップは、フロントトリム30に設けられた第1分割部22と、リアトリム40に設けられた第2分割部23と、を互いに組み付けることにより構成されている。このような構成によれば、ドアグリップを、ドアトリム10の他の部位を構成するフロントトリム30及びリアトリム40の一部を用いて形成することができるから、部品点数を削減することができる。これに伴い、ドアグリップ単体の成形金型及び成形工程が必要なくなるため、製造効率の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアグリップを備えたドアトリムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアグリップを備えたドアトリムとして例えば特許文献1に記載のものが知られている。このものは、車両用ドアの車室内側面を覆うドアトリム本体とは別に、ドアグリップを取り付ける構成であって、ドアグリップには、その上端と下端にそれぞれドアトリム本体に固定されるトリム取付用ボスと、ドアトリム本体を挿通したのち車体パネルに固定される上(下)側取付用ボスとが設けられている。これらをドアトリム本体又は車体パネルにビス止め固定することにより、ドアグリップはドアトリム本体又は車体パネルに取り付けられることとなり、乗員のドアの開閉動作等に耐えうる所定の取付強度が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のドアグリップはドアトリム本体とは別部品で構成されているため、成形するための型や部品点数が多くなるといった観点から改善の余地がある。また、ドアグリップは、所定の取付強度を確保するために、上記のように複数箇所にわたってドアトリム本体及び車体パネルに固定する必要があり、取付作業に多くの時間が割かれていた。このため、部品点数を削減しつつ、ドアグリップの成形及び組付けに係る製造効率の向上が求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数の削減及び製造効率の向上が可能なドアグリップを備えたドアトリムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドアグリップを備えたドアトリムであって、車両前方側に配設されるフロントトリムと、車両後方側に配設されるリアトリムと、を備え、前記ドアグリップは、前記フロントトリムに設けられた第1分割部と、前記リアトリムに設けられた第2分割部と、を互いに組み付けることにより構成されていることに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、ドアグリップを、ドアトリムの他の部位を構成するフロントトリム及びリアトリムの一部を用いて形成することができるから、部品点数を削減することができる。これに伴い、ドアグリップ単体の成形金型及び成形工程が必要なくなるため、製造効率の向上を図ることができる。また、ドアグリップをフロントトリム及びリアトリムに一体化させることで、ドアグリップの各トリムに対する取付工程を削減し、更なる製造効率の向上が可能となる。
【0008】
前記フロントトリムは、その車両後方側の端部を前記リアトリムの車両前方側の端部に設けられた被取付部に重畳した状態で取り付けることが可能な取付部を備え、前記取付部に前記第1分割部が、前記被取付部に前記第2分割部がそれぞれ設けられているのであって、前記ドアグリップは、前記フロントトリムと前記リアトリムとの境界部に形成されることが望ましい。
【0009】
このような構成によれば、フロントトリムとリアトリムを取り付けるための取付部及び被取付部を利用して、ドアグリップを構成することができる。また、フロントトリムにリアトリムを取り付ける取付構造と第1分割部と第2分割部とを組み付ける組付構造とを兼ねることも可能となるから、簡易な構成とすることができる。よって、各トリムを成形する金型構造や両トリムを組み付ける際の取付工程を簡素化することができ、製造効率の向上を図ることができる。また、フロントトリムとリアトリムの境界部にドアグリップを形成することで、両トリムの分割ラインに沿った意匠性の高いドアグリップを備えたドアトリムを提供することができる。
【0010】
前記第1分割部と前記第2分割部のいずれか一方が、車室内側に配設され、同他方が車室外側に配設されるのであって、前記ドアグリップは、前記第1分割部及び前記第2分割部により構成される一対の半割体を合体させることで形成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、乗員がドアグリップを把持して車室内側方向にかかる外力を第1分割部又は第2分割部の面で受けることができるから、強度的に優れたものとすることができる。また、第1分割部と第2分割部との境界部分となる分割ラインを意匠面となる車室内側から視認しにくい位置に配することができるから、見栄えのよいものとすることができる。
【0012】
前記第1分割部及び前記第2分割部のうち、車室内側に配設された一方には車両ボデーに向かって突出するボスが設けられ、車室外側に配設された他方には前記ボスを貫通可能な貫通孔が設けられており、前記ボスは、前記貫通孔を貫通した後、前記車両ボデーに固定されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、簡易な構成で第1分割部及び第2分割部からなるドアグリップを車両ボデーに固定することができる。また、このような固定構造は、意匠面側に露出しないから、見栄えをよくすることができる。
【0014】
前記第1分割部及び前記第2分割部のうち、車室内側に配設された一方には、その車室内側面にグリップカバーが取り付けられていてもよい。ドアグリップの加飾部分を別部材のグリップカバーで構成することで、一対の半割体からなるドアグリップであってもその半割体の境界部分又はドアグリップの車両ボデーへの取付部分を車室内側から覆うことができ、意匠性に優れたものとすることができる。
【0015】
前記フロントトリム及び前記リアトリムには、オーナメントが取り付けられ、前記第1分割部及び前記第2分割部の車室外側には、前記オーナメントが配設されていてもよい。
【0016】
ドアグリップをフロントトリム及びリアトリムにそれぞれ一体に設けられた第1分割部及び第2分割部により構成し、且つ車室内側と車室外側とに分割し、更にフロントトリム又はリアトリムの型の抜き方向を車室内外方向として一体成形した場合には、ドアグリップの車室外側には、間隙が生じる。つまり、ドアグリップの車室外側を覆う部材をフロントトリム及びリアトリムのいずれによっても成形することができない。よって、この間隙部分を既成部品のオーナメントで補うことで、部品点数を増やすことなく、見栄えのよいものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品点数の削減及び製造効率の向上が可能なドアグリップを備えたドアトリムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るドアトリムを車室内側から視た平面図
【図2】ドアトリムの要部分解斜視図
【図3】ドアトリムを構成するフロントトリム及びリアトリムを車室外側から視た平面図
【図4】フロントトリムにリアトリムを組み付けた状態を車室外側から視た斜視図
【図5】ドアトリムを車室外側から視た平面図
【図6】図5のA−A断面図
【図7】図5のB−B断面図
【図8】図5のC−C断面図
【図9】図5のD−D断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図9によって説明する。
本実施形態のドアトリム10は、図示しないドアインナパネル(車両ボデーに相当する)の車室内側に取り付けられて車両ドアを構成する車両用内装材であって、その車両前後方向略中央部に把手状のドアグリップ20を備えたものである。以下、図1の左右方向を(車両)前後方向、紙面手前側から紙面奥側を車幅方向(車室内外方向)として説明する。
【0020】
ドアトリム10は、大別すると、フロントトリム30、リアトリム40、オーナメント50の3部材によって構成されており、これらの基材は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料や、ケナフ等の木質系材料を合成樹脂材料に混合した材料等により成形されている。このような基材からなるドアトリム10は、図1に示すように、車両前後方向にわたって車室内側に張り出すアームレスト11を備え、その前部に開口形成されたスイッチパネル取付部12A(図2参照)にスイッチパネル12が嵌め込まれた態様をなす。スイッチパネル12の上方には、インサイドハンドルを取り付けるためのインサイドハンドル取付部13が設けられており、同下方には、スピーカグリル14、ドアポケットの車室内側を構成するドアポケット部15等が設けられている。
【0021】
ドアトリム10において、フロントトリム30とリアトリム40とを組み付けることにより車室内側に生じる分割ライン16(境界部に相当する)は、その上部における車両前後方向の略中間部から、同下部における車両前後方向の後部にかけて傾斜して延びる略直線状をなしている。なお、図示はしないが、フロントトリム30とリアトリム40の基材の色を違えることで、分割ライン16を境にドアトリム10の色が前後で異なる意匠性に優れた構成とされている。
【0022】
この分割ライン16に沿うように、ドアトリム10の上部にはアームレスト11の車両前後方向略中間部に跨るドアグリップ20がフロントトリム30及びリアトリム40に一体に設けられている。ドアグリップ20は、グリップベース21と、グリップベース21の車室内側に取り付けられるグリップカバー24とから構成される。そして、アームレスト11の車両後方側における上方には、ドアグリップ20の車室外側を覆うように位置するオーナメント50が取り付けられている。オーナメント50の車室内側は表皮材60で覆われており、その素材は(合成)樹脂、(合成)皮革、繊維等から適宜選択される。
【0023】
続いて、個々の構成部品について説明する。
まず、フロントトリム30は、図2に示すように、ドアトリム10の車両前方側を構成するものであって、その後端部は取付部31とされている。この取付部31は後述するリアトリム40の被取付部43に対応し、当該被取付部43を車幅方向に重ね合わせた(重畳した)状態で取り付ける部位に相当する。詳しく説明すると、取付部31には、車室外側の側面から円筒状の締結部32が複数突設されており、その他平板状の係合爪33等の締結手段が設けられている。
【0024】
このような取付部31のうち、アームレスト11より上側の部分は、帯状に延びる第1分割部22とされ、ドアグリップ20のドアグリップベース21のうち車室内側を構成している。第1分割部22は後述するリアトリム40に設けられた第2分割部23と共に一対の半割体を構成しており、互いを合体させることで中空状のドアグリップベース21を形成する。この第1分割部22の車両前方側には、フロントトリム30に一体に設けられた第1分割部22を把手状とするために、開口部34が設けられている。開口部34の車両前方側の開口縁には、締結部32及び係合爪33と同様の構成をなす、フロント側オーナメント締結部35及びオーナメント係合爪36が設けられている。
【0025】
対するリアトリム40は、ドアトリム10の車両後方側を構成するものであって、その上部にはオーナメント50を車室外側から取付可能な取付開口41が設けられている。取付開口41の開口縁部には、その周縁に沿って、円筒状のリア側オーナメント締結部42が複数突設されている。
【0026】
リアトリム40の前端部は、フロントトリム30の取付部31に重畳して取り付けられる被取付部43とされている。この被取付部43において取付部31の締結部32及び係合爪33に対応する位置には、挿通孔44及び被係合孔45が設けられている。このような被取付部43のうち、取付開口41の側方には、帯状の第2分割部23が設けられており、ドアグリップ20のグリップベース21のうち、車室外側を構成している。
【0027】
図4は、フロントトリム30にリアトリム40を取り付けた状態を示す。ドアグリップ20周辺の取付構造については、別途詳しく後述するが、フロントトリム30の締結部32をリアトリム40の挿通孔44に挿通させ、係合爪33を被係合孔45に係合させることで、取付部31と被取付部43とが重ね合わされる。締結部32は、挿通孔44を挿通したのち、超音波溶着等の溶着手段によって締結部32の先端部を溶着することにより、フロントトリム30の取付部31にリアトリム40の被取付部43を固定することができる。
【0028】
このように相互に固定されたフロントトリム30とリアトリム40の車室外側側面には、図4及び図5に示すように、衝撃吸収部材17及びポケット基材18が取り付けられている。衝撃吸収部材17は、所謂EAパッドであって、硬質ポリウレタンフォームをブロック状に成形したものである。この衝撃吸収部材17は、フロントトリム30とリアトリム40に跨って取り付けられている。各トリム30,40に対する衝撃吸収部材17の固定方法は、衝撃吸収部材17に貫通形成された複数の貫通孔17Aに、各トリム30,40に立設された締結部32及び締結部32と同様の円筒状をなす衝撃吸収部材締結部37,46を挿通させたのち、超音波溶着等の溶着手段によって、該当する各締結部32,37,46の先端部を溶着することにより固定される。ポケット基材18は各トリム30、40と同じ合成樹脂材料等からなり、ドアポケット部15を車室外側から覆うようにして取り付けられることで、車室内側に開口するドアポケットを構成している。
【0029】
オーナメント50は、図2に示すように、板状の本体部51と、本体部51の周縁から外側に向かって延びるフランジ上に形成された複数のオーナメント挿通孔52及びオーナメント被係合孔53を備える。このうち、後述するドアグリップ20の基部20Bに位置するオーナメント挿通孔52は、第1重合挿通孔52Aとされている。このオーナメント50は、本体部51の車室内側を表皮材60により被覆した状態で、フロントトリム30及びリアトリム40の車室外側に取り付けられる(図5参照)。具体的には、フロントトリム30に対しては、フロント側オーナメント締結部35を対応するオーナメント挿通孔52に挿通させ、オーナメント係合爪36をオーナメント被係合孔53に係合させる。リアトリム40に対しては、リア側オーナメント締結部42を対応するオーナメント挿通孔52に挿通させる。また、詳しくは後述するが、第1分割部22に突設された重合締結部25は、第2分割部23の第2重合挿通孔26に挿通されており、この上から、オーナメント50に設けられた第1重合挿通孔52Aを挿通させる。
【0030】
各オーナメント締結部35,42及び重合締結部25を対応するオーナメント挿通孔52及び第1重合挿通孔52Aに挿通させたのち、前述した締結部32と同様に、超音波溶着等の溶着手段によってその先端部を溶着することにより、フロントトリム30及びリアトリム40に対してオーナメント50を固定することができる。なお、表皮材60の端末は、オーナメント50と、当該オーナメント50が取り付けられるフロントトリム30及びリアトリム40との間に挟み込むことで保持されている。
【0031】
このように各トリム30、40に取り付けられたオーナメント50は、ドアグリップ20の車室外側に位置する。即ち、オーナメント50は、フロントトリム30の開口部34を車室外側から覆うと共に、ドアグリップ30の車室外側の対向面を構成する。更に連続して、リアトリム40の取付開口41に取り付けられることで、オーナメント50の車室内側を被覆する表皮材60と共に、ドアトリム10の意匠面を構成する。オーナメント50の本体部51は、車室内側に張り出す段差を有しており、この段差の上面(車両天井側)がアームレスト11の肘置き面54とされ、乗員の肘掛けとして利用される。
【0032】
次に、ドアグリップ20の構成及びその周辺の取付構造について、主に図6から図9を用いて詳しく説明する。ドアグリップ20は、図6に示すように、乗員が車室内側から把持可能な把持部20Aと、その両端に位置してドアグリップ20の根本部分を構成する基部20Bとの部位に分けられる。この基部20Bにおいて、第1分割部22には車室外側に向かってやや先細りに突出する円筒状の上側取付ボス22Aと下側取付ボス22Bとがそれぞれ設けられている。各取付ボス22A、22Bの先端部には、ビス70を挿通可能なビス孔22C,22Dが貫通形成されている。そして、各取付ボス22A,22Bの周縁には、締結部32と同様の構成をなす、円筒状の重合締結部25が複数突設されている。
【0033】
一方、第2分割部23には、上側取付ボス22Aを挿通可能な円形状の上側貫通孔23Aと、下側取付ボス22Bを挿通可能な円形状の下側貫通孔23Bとがそれぞれ対応する位置に設けられている。そして、この各貫通孔23A,23Bの周縁において、各重合締結部25に対応する位置には、当該重合締結部25を挿通可能な第2重合挿通孔26が複数設けられている。
【0034】
第1分割部22と第2分割部23とは、各取付ボス22A、22Bを各貫通孔23A、23Bに挿通し、各重合締結部25を対応する第2重合挿通孔26に挿通させることで、互いに重ね合わせることができる(図4から図6参照)。そして、図8に示すように、把持部20Aの長手方向略中央部においては、第1分割部22のボルト挿通孔22Eにボルト71を挿通させたのち、第2分割部23に設けられたネジ孔23Cに螺合させることで、第1分割部22と第2分割部23とがボルト締結される。ここで、グリップベース21を構成する第1分割部22と第2分割部23との境界(分割)部分は、図7及び図8に示すように、車室内側からは見えにくい車両前方側と同後方側の側部に位置するから、見栄えのよいものとすることができる。
【0035】
なお、ドアグリップ20の基部20Bにおいては、図9に示すように、第2重合挿通孔26に挿通された重合締結部25に、更にオーナメント50の第1重合挿通孔52Aを挿通させたのち、超音波溶着等の溶着手段によって重合締結部25の先端部を溶着することにより、フロントトリム30、リアトリム40、オーナメント50の3点を重ね合わせた状態で固定することができる。このようにドアグリップ20の基部20Bにおいて、フロントトリム30、リアトリム40、オーナメント50を複数箇所にわたって共締めすることで、基部20Bの剛性を高めることができる。
【0036】
このグリップベース21の車室内側には、図6に示すようにグリップカバー24が取り付けられている。詳しく説明すると、フロントトリム30の第1分割部22から上部にかけては、図2に示すように、その車室内側面において車室外側に凹状をなすカバー装着部38が設けられている。グリップカバー24はこのカバー装着部38に嵌め込まれるのであって、当該グリップカバー24の意匠面(車室内側面)とは反対側の車室外側面からは、複数の固定爪24Aが突設されている。一方、カバー装着部38内には、固定爪24Aと対応する位置に孔状の被固定部38Aが開口形成されており、この孔縁に、固定爪24Aが係止されること等により、グリップカバー24がカバー装着部38に対して装着した状態に保持される。
【0037】
このようにして、フロントトリム30とリアトリム40の境界部において組み付けられたドアグリップ20は、図示しないドアインナパネルに対して固定される。即ち、図6に示すように、ドアインナパネルの取付孔72に対して、各取付ボス22A,22Bのビス孔22C,22Dに挿通したビス70を締め付けることで固定される。このように、ドアグリップ20の基部20Bがそれぞれドアインナパネルに固定されているから、フロントトリム30及びリアトリム40に一体成形されたドアグリップ20であっても、所定の取付強度を確保することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、ドアグリップ20を、ドアトリム10の他の部位を構成するフロントトリム30及びリアトリム40の一部を用いて形成することができるから、部品点数を削減することができる。これに伴い、ドアグリップ20単体の成形金型及び成形工程が必要なくなるため、製造効率の向上を図ることができる。また、ドアグリップ20をフロントトリム30及びリアトリム40に一体化させることで、ドアグリップ20の各トリム30,40に対する取付工程を削減し、更なる製造効率の向上が可能となる。
【0039】
また、フロントトリム30は、その車両後方側の端部をリアトリム40の車両前方側の端部に設けられた被取付部43に重畳した状態で取り付けることが可能な取付部31を備え、この取付部31に第1分割部22が、被取付部43に第2分割部23がそれぞれ設けられているのであって、ドアグリップ20は、フロントトリム30とリアトリム40との境界部に形成される。
【0040】
このような構成によれば、フロントトリム30とリアトリム40を取り付けるための取付部31及び被取付部43を利用して、ドアグリップ20を構成することができる。つまり、フロントトリム30にリアトリム40に取り付ける取付構造と第1分割部22と第2分割部23とを組み付ける組付構造とを兼ねることができるから、簡易な構成とすることができる。また、各トリム30,40を成形する金型構造や両トリム30,40を組み付ける際の取付工程を簡素化することができ、製造効率の向上を図ることができる。加えて、フロントトリム30とリアトリム40の境界部にドアグリップ20を形成することで、両トリム30,40の分割ライン16に沿った意匠性の高いドアグリップ20を備えたドアトリム10を提供することができる。
【0041】
また、ドアグリップ20は、車室内側を構成する第1分割部22と車室外側を構成する第2分割部23とからなる一対の半割体を合体させることで形成されている。よって、乗員がドアグリップ20を把持することで車室内側方向にかかる外力を第2分割部23の車室外側の面で受けることができるから、強度的に優れたものとすることができる。また、第1分割部22と第2分割部23との境界部分を意匠面となる車室内側から視認しにくい位置となる車両前方側と同後方側の側部に配することができるから、見栄えのよいものとすることができる。
【0042】
また、第1分割部22には、車室外側のドアインナパネルに向かって突出する上側取付ボス22Aと下側取付ボス22Bとが設けられ、第2分割部23には各取付ボス22A,22Bを貫通可能な上側貫通孔23Aと下側貫通孔23Bが設けられており、各取付ボス22A,22Bは、対応する各貫通孔23A,23Bを貫通した後、ドアインナパネルに固定されている。このような構成によれば、簡易な構成で第1分割部22及び第2分割部23からなるドアグリップ20をドアインナパネルに固定することができる。また、このような固定構造は、意匠面側に露出しないから、見栄えをよくすることができる。
【0043】
また、第1分割部22の車室内側面に設けられたカバー装着部38には、グリップカバー24が取り付けられている。このように、ドアグリップ20の加飾部分を別部材のグリップカバー24で構成することで、一対の半割体からなるドアグリップ20であっても第1分割部22と第2分割部23の結合部分又はドアグリップ20のドアインナパネルへの取付部分を車室内側から覆うことができ、意匠性に優れたものとすることができる。
【0044】
また、フロントトリム30及びリアトリム40には、オーナメント50が取り付けられ、第1分割部22及び第2分割部23の車室外側には、オーナメント50が配設されている。ドアグリップ20をフロントトリム30及びリアトリム40にそれぞれ一体に設けられた第1分割部22及び第2分割部23により構成し、且つ車室内側と車室外側とに分割されたものであって、更にフロントトリム30及びリアトリム40の型の抜き方向を車室内外方向として一体成形した場合には、ドアグリップ20の車室外側には、間隙が生じる。つまり、ドアグリップ20の車室外側を覆う部材をフロントトリム20及びリアトリム30のいずれによっても成形することができない。よって、この間隙部分を既成部品のオーナメント50で補うことで、部品点数を増やすことなく、見栄えのよいものとすることができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
(1)上記した実施形態では、ドアグリップ20は、グリップベース21と第1分割部22と第2分割部23とからなるグリップカバー24により構成されていたが、これに限られず、ドアグリップがグリップベースのみで構成されていてもよい。このような構成によれば、更に部品点数を削減することができ、これに伴う製造効率の向上が期待できる。
【0047】
(2)上記した実施形態では、グリップベース21は車室内側を構成する第1分割部22と車室外側を構成する第2分割部23とからなる一対の半割体を合体させることで形成されていたが、これに限られず、グリップベースを構成する分割方向は、車両前後方向であってもよいし、また、2分割以上の例えば4分割等の複数に分割された分割部から構成されていてもよい。
【0048】
(3)上記した実施形態では、ドアグリップ20の車室外側にはオーナメント50が配されていたが、これに限られず、ドアグリップの車室外側に別部材が配されていてもよいし、必ずしもオーナメントを備えていなくともよい。例えば、フロントトリムとリアトリムを成形する際の型の抜き方向を変える等して、ドアグリップを構成する第1分割部と第2分割部の分割方向を変更することで、ドアグリップの車室外側を各トリムに一体に形成することも可能である。
【0049】
(4)上記した実施形態では、フロントトリム30とリアトリム40とを取り付けるための取付部31及び被取付部43内に、グリップベース21を構成する第1分割部22と第2分割部23を設けたが、これに限られず、フロントトリムとリアトリムの取付部分とは別に、各分割部を設ける構成であってもよい。フロントトリムとリアトリムの分割ラインに沿ってドアグリップを設けずとも、フロントトリムとリアトリムのそれぞれ一部分を利用して、ドアグリップを構成できれば、部品点数の削減及びそれに伴う製造効率の向上を図ることは可能である。
【0050】
(5)上記した実施形態では、オーナメント50の車室内側は表皮材60で覆われていたが、これに限られず、表皮材で覆わずに、オーナメントの本体部が直接車室内側の意匠面を形成していてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…ドアトリム、20…ドアグリップ、21…グリップベース、22…第1分割部、22A…上側取付ボス、22B…下側取付ボス、23…第2分割部、23A…上側貫通孔、23B…下側貫通孔、24…グリップカバー、30…フロントトリム、31…取付部、32…締結部、40…リアトリム、41…取付開口、43…被取付部、44…挿通孔、50…オーナメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアグリップを備えたドアトリムであって、
車両前方側に配設されるフロントトリムと、車両後方側に配設されるリアトリムと、を備え、
前記ドアグリップは、前記フロントトリムに設けられた第1分割部と、前記リアトリムに設けられた第2分割部と、を互いに組み付けることにより構成されていることを特徴とするドアトリム。
【請求項2】
前記フロントトリムは、その車両後方側の端部を前記リアトリムの車両前方側の端部に設けられた被取付部に重畳した状態で取り付けることが可能な取付部を備え、前記取付部に前記第1分割部が、前記被取付部に前記第2分割部がそれぞれ設けられているのであって、
前記ドアグリップは、前記フロントトリムと前記リアトリムとの境界部に形成されることを特徴とする請求項1に記載のドアトリム。
【請求項3】
前記第1分割部と前記第2分割部のいずれか一方が、車室内側に配設され、同他方が車室外側に配設されるのであって、前記ドアグリップは、前記第1分割部及び前記第2分割部により構成される一対の半割体を合体させることで形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドアトリム。
【請求項4】
前記第1分割部及び前記第2分割部のうち、車室内側に配設された一方には車両ボデーに向かって突出するボスが設けられ、車室外側に配設された他方には前記ボスを貫通可能な貫通孔が設けられており、
前記ボスは、前記貫通孔を貫通した後、前記車両ボデーに固定されることを特徴とする請求項3に記載のドアトリム。
【請求項5】
前記第1分割部及び前記第2分割部のうち、車室内側に配設された一方には、その車室内側面にグリップカバーが取り付けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のドアトリム。
【請求項6】
前記フロントトリム及び前記リアトリムには、オーナメントが取り付けられ、
前記第1分割部及び前記第2分割部の車室外側には、前記オーナメントが配設されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のドアトリム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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