説明

ドアハンドル・プロテクタ結合構造

【課題】 プロテクタの適正位置への取付けが可能で、ドアハンドルとの適正な関連位置も維持でき、万一の衝突時にもドアハンドルの操作に支障を来すことがないドアハンドル・プロテクタ結合構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 同一線上に配列されたプロテクタ2の端部とドアハンドルの枠部であるエスカッション4の端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部6を形成したことにより、プロテクタ2とドアハンドル3を同一線上に配置した場合でも、これらの端部同士が有機的に関連づけられて適正に設置できるとともに、万一のプロテクタ2の変形時にも、プロテクタ2とドアハンドル3とが挙動を共にするので、プロテクタ2がドアハンドル3に乗り上げることがなく、ドアハンドル3の操作に支障を来すこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側面に沿って配設されるプロテクタとドアハンドルとがほぼ同一線上に配列されたドアハンドル・プロテクタ結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体側面には装飾を兼ねたプロテクタが設置されている。プロテクタは、他車のドア開放時にドア縁部の接触等により車体が損傷するのを防止するために、通常、樹脂等の弾性材から構成される。このようなプロテクタは、路上の障害物に遭遇する機会が多い車体下部に沿って設置されるものや、他車のドア縁部に接触する機会が多い車体の最外部に沿って設置されるものがある。プロテクタ(サイドモール)が車体の最外部に沿って設置されたものとして下記特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平6−107069号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図5を用いて、前記特許文献1に開示されたサイドモールについて説明する。このサイドモールについての技術は、ドア開放事前警告灯のためのサイドモールとして使用されるもので、自動車の側面に設置されたサイドモール120の、ドア180により分割されたドア端面に、後方に(図面左手前)向けて照射するレンズ103を有する警告灯部102を設置したものである。この警告灯部102は、室内のドアノブの遊びの範囲内の操作にて点灯するもので、僅かに開いたドア180の縁部が外側に露呈することにより、後方の車両等から警告灯部102の点灯を視認して、ドア開放の事前認知が可能となる。
【0004】
ところが、このような車体の最外部に沿って設置されるプロテクタであるサイドモールは、通常、車体外側のドアハンドルと干渉する部位に設置されることが多い。図6は、そのようなドアハンドルとプロテクタとがほぼ同一線上に配置された例の平断面図であり、前面衝突時等のプロテクタの挙動を示す。万一の前面衝突時には、矢印のように前方から衝撃荷重が加わることによって、プロテクタが車体側面から離脱して後方に移動する。これにより、プロテクタの後端部はドアパネルに取り付けられたドアハンドルの支持枠体であるエスカッションにまで乗り上げてくる。そのため、ドアハンドルの操作に支障を来す虞れが生じた。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の自動車のプロテクタ取付構造の課題を解決して、プロテクタの適正位置への取付けが可能で、ドアハンドルとの適正な関連位置も維持でき、万一の衝突時にもドアハンドルの操作に支障を来すことがないドアハンドル・プロテクタ結合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明は、車体側面に沿って配設されるプロテクタとドアハンドルとがほぼ同一線上に配列されたドアハンドル・プロテクタ結合構造において、前記プロテクタ端部とドアハンドルの枠部であるエスカッション端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部を形成したことを特徴とする。また本発明は、前記結合部が、プロテクタ端部とエスカッション端部のいずれか一方に形成した孔と、他方に形成した結合爪とから構成されたことを特徴とする。また本発明は、前記結合部に、プロテクタ端部とエスカッション端部との厚さ方向および幅方向ならびに長さ方向のガイド規制部を形成したことを特徴とする。また本発明は、前記プロテクタが車体側面に凹設された溝内に装着されるとともに、前記溝にプロテクタの取付位置決めガイド部を形成したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車体側面に沿って配設されるプロテクタとドアハンドルとがほぼ同一線上に配列されたドアハンドル・プロテクタ結合構造において、前記プロテクタ端部とドアハンドルの枠部であるエスカッション端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部を形成したことにより、ドアハンドルの操作がし易く、他車のドアに対しても保護機能が高いプロテクタとドアハンドルを同一線上に配置した場合でも、これらの端部同士が有機的に関連づけられて適正に設置できるとともに、万一のプロテクタの変形時にも、プロテクタとドアハンドルとが挙動を共にするので、プロテクタがドアハンドルに乗り上げることがなく、ドアハンドルの操作に支障を来すこともない。
【0008】
また、前記結合部が、プロテクタ端部とエスカッション端部のいずれか一方に形成した孔と、他方に形成した結合爪とから構成された場合は、単純な結合手段にてもプロテクタ端部とエスカッション端部との適正な関連づけが維持できる。さらに、前記結合部に、プロテクタ端部とエスカッション端部との厚さ方向および幅方向ならびに長さ方向のガイド規制部を形成した場合は、エスカッション端部へのプロテクタ端部の結合によって、プロテクタ端部が自動的に適正位置に設置され、組立作業が容易で、端部同士の面差や隙間および連続性等も適正に保持されて外観にも優れる。
【0009】
さらにまた、前記プロテクタが車体側面に凹設された溝内に装着されるとともに、前記溝にプロテクタの取付位置決めガイド部を形成した場合は、溝にプロテクタを装着するだけで、溝の取付位置決めガイド部にガイドされて、プロテクタ端部がエスカッション端部との結合部に適正にガイド案内されるので、さらに取付作業が簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1から図4は本発明のドアハンドル・プロテクタ結合構造の1つの実施例を示すもので、図1(A)はエスカッション端部とプロテクタ端部との結合部近傍の拡大側面図、図1(B)はその平断面図、図2はドア全体の側面図、図3はドアハンドルを含むエスカッション端部とプロテクタ端部との結合部近傍側面図、図4はエスカッション端部とプロテクタ端部との結合部の横断面図である。
【0011】
本発明のドアハンドル・プロテクタ結合構造の基本的な構成は、図1に示すように、車体側面に沿って配設されるプロテクタ2とドアハンドル3とがほぼ同一線上に配列されたドアハンドル・プロテクタ結合構造において、前記プロテクタ2の端部とドアハンドルの枠部であるエスカッション4の端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部6を形成したことを特徴とする。
【0012】
図2に示すように、他車の開放時のドア縁部に接触する機会が多いドアパネル1の最外部に沿って前後方向にプロテクタ2が設置される。ドアの開閉用のドアハンドル3がその延長線上に隣接して配列される。図3はやや拡大されたプロテクタ2とドアハンドル3との結合部6を示す図である。プロテクタ2は取付孔7によりドアに取り付けられ、ドアハンドル3はその支持枠であるエスカッション4が取付孔8によりドアに取り付けられる。
【0013】
図1に示すように、プロテクタ2とエスカッション4とは、互いの端部の対向部に相互の挙動を関連づける結合部6が形成される。図示の例では、前記結合部6が、プロテクタ2の端部とエスカッション4の端部のいずれか一方(例えばエスカッション4)に形成した孔4Aと、他方(プロテクタ2)に形成した結合爪2Aとから構成される。図1(A)に示すように、プロテクタ2とエスカッション4の対向面は、例えば円弧状に形成され、所定の隙間が確保される。プロテクタ2は、ゴム、プラスチック等の適宜の弾性材から構成され、エスカッション4は、金属や強化プラスチック等の適宜の硬質材から構成される。
【0014】
図1(A)の結合部6をドア上方から見た平断面図である図1(B)に示すように、ドアパネル1に取り付けられたエスカッション4の端部から前方(図面左方)に延設された延長部に孔4Aが穿設され、この孔4Aの結合縁4Bにプロテクタ2から曲折形成された係合爪2Aが係合される。これらの係合爪2Aと結合縁4Bとの係合により、単純な結合手段にてもプロテクタ端部とエスカッション端部との適正な関連づけが維持できる。つまり、プロテクタ2の端部とエスカッション4の端部との厚さ方向および幅方向ならびに長さ方向において両者が適正な位置にて接続・結合されるように、孔4Aおよび係止爪2Aの厚さ方向位置、幅、前後方向位置が設計される。それらの諸元が両者を適正な取付位置へと導くガイド規制部を形成することになる。
【0015】
このように、前記プロテクタ2の端部とエスカッション4の端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部6を形成したことにより、ドアハンドル3の操作がし易く、他車のドアに対しても保護機能が高いプロテクタ2とドアハンドル3を同一線上に配置した場合でも、これらの端部同士が有機的に関連づけられて適正に設置できるとともに、万一のプロテクタ2の変形時にも、プロテクタ2とドアハンドル3とが挙動を共にするので、プロテクタ2がドアハンドル3に乗り上げることがなく、ドアハンドル3の操作に支障を来すことがない。その上、組立作業が容易で、端部同士の面差や隙間および連続性等も適正に保持されて外観にも優れることになる。
【0016】
さらに、結合部6の横断面である図4により、よく理解されるように、前記孔4Aと係止爪2Aとの結合部6による、エスカッション4に対するプロテクタ2の適正位置への接続・結合(高さつまり厚さ方向のガイド規制部を構成する孔4Aに対する係合爪2A、幅方向にガイド規制部を構成する孔4Aと係合爪2Aの幅およびd部およびe部の形成、長さ方向のガイド規制部を構成する孔4Aに対する係合爪2Aの位置)に加えて、プロテクタ2が装着されるところのドアパネル1に凹設される溝5には、プロテクタ2自体を前記結合部6に適正に導くための傾斜面から構成される取付位置決めガイド部b部およびc部が形成されるものである。なお、図4のR1は側面図として図1(A)にR1として示し、R2は平断面として図1(B)にR2として示している。
【0017】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、プロテクタの形状(断面形状、側面視形状、端部の円弧形状、方形、円形等の形状を含む結合爪の形成形態等)、形式およびその材質(ゴム、プラスチック等)、ドアハンドルの形状、形式、エスカッションの形状(延長部の形状、方形、円形等の孔の形状等)、形式およびその材質、ドアハンドルのエスカッションへの軸支形態(水平軸、鉛直軸等)、結合部の形状、形式(結合部における厚さ方向および幅方向ならびに長さ方向のガイド規制部の形状、形式、車体側面の溝の形状、プロテクタの取付位置決めガイド部の形状、形式等については適宜選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のドアハンドル・プロテクタ結合構造の1つの実施例を示すもので、図1(A)はエスカッション端部とプロテクタ端部との結合部近傍の拡大側面図、図1(B)はその平断面図である。
【図2】同、ドア全体の側面図である。
【図3】同、ドアハンドルを含むエスカッション端部とプロテクタ端部との結合部近傍側面図である。
【図4】同、エスカッション端部とプロテクタ端部との結合部の横断面図である。
【図5】従来のサイドモールを備えたドアの斜視図である。
【図6】従来の衝突時のプロテクタの挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ドア(パネル)
2 プロテクタ
2A 係合爪
3 ドアハンドル
4 ハンドルエスカッション
4A 孔
4B 結合縁
5 溝
6 結合部
7 プロテクタ取付孔
8 エスカッション取付孔
a 高さ(厚さ)方向ガイド規制部
b 取付位置決めガイド部
c 取付位置決めガイド部
d 幅方向ガイド規制部
e 幅方向ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側面に沿って配設されるプロテクタとドアハンドルとがほぼ同一線上に配列されたドアハンドル・プロテクタ結合構造において、前記プロテクタ端部とドアハンドルの枠部であるエスカッション端部との対向部に相互の挙動を関連づける結合部を形成したことを特徴とするドアハンドル・プロテクタ結合構造。
【請求項2】
前記結合部が、プロテクタ端部とエスカッション端部のいずれか一方に形成した孔と、他方に形成した結合爪とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載されたドアハンドル・プロテクタ結合構造。
【請求項3】
前記結合部に、プロテクタ端部とエスカッション端部との厚さ方向および幅方向ならびに長さ方向のガイド規制部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載されたドアハンドル・プロテクタ結合構造。
【請求項4】
前記プロテクタが車体側面に凹設された溝内に装着されるとともに、前記溝にプロテクタの取付位置決めガイド部を形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載されたドアハンドル・プロテクタ結合構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate