説明

ドアミラー制御装置

【課題】シフトレバーがリバース位置にされたときに、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現できるようにする。
【解決手段】リバース鏡面角度情報と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置し、かつ、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったことを判定した場合、ドアミラーの鏡面の角度が、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から、車両の現在位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶されたリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のドアミラー制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のドアミラー制御装置としては、車両のシフト位置がリバースになったことに基づいて、ドアミラーの鏡面を変化させるリバース制御の技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両のシフト位置がリバースになったことに基づいて、ユーザが任意に設定した目標角度を実現するよう、実際の鏡面の角度を変化させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−286525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両を後退させて駐車スペースに駐車させるような場合、駐車位置によってドアミラーの適切な鏡面角度が異なる場合がある。例えば、駐車スペースが狭い場合には、ドアミラーの鏡面が上向きになっていると駐車スペースの駐車枠がよく視認できないが、ドアミラーの鏡面を下向きにすると、駐車スペースの駐車枠がよく視認できるようになる。また、駐車スペースが奥まった場所にあるような場合には、ドアミラーの鏡面が下向きになっていると、車両後方の遠方まで視認できないが、ドアミラーの鏡面を上向きにすると、車両後方の遠方まで視認できるようになる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたようなリバース制御では、固定的な目標角度に鏡面を合わせるようになっているので、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することはできない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、シフトレバーがリバース位置にされたときに、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両のシフト位置がリバース以外になった場合の鏡面の角度を特定するための復帰鏡面角度情報を記憶する記憶媒体(34)と、車両のシフト位置がリバースになった場合の鏡面の角度を特定するためのリバース鏡面角度情報を、車両の駐車位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶させるリバース鏡面角度情報記憶制御手段と、リバース鏡面角度情報と関連付けて記憶媒体(34)に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置し、かつ、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったことを判定した場合、鏡面の角度が、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から、車両の現在位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶されたリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御するリバース制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、リバース鏡面角度情報と関連付けて記憶媒体(34)に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置し、かつ、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったことを判定した場合、鏡面の角度が、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から、車両の現在位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶されたリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御される。すなわち、シフトレバーがリバース位置にされたときに、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、車両の周辺の照度を検出する照度検出手段(6)を備え、リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、リバース鏡面角度情報を昼間用と夜間用に区別して記憶媒体(34)に記憶させ、リバース制御手段は、照度検出手段(6)により検出された車両の周辺の照度により昼間と判定した場合には昼間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御し、照度検出手段(6)により検出された車両の周辺の照度により夜間と判定した場合には夜間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、車両の周辺の照度により昼間と判定した場合には昼間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御され、車両の周辺の照度により夜間と判定した場合には夜間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御されるので、車両の駐車位置だけでなく、車両の周辺の照度に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、車両の周辺の雨滴の有無を検出する雨滴検出手段(7)を備え、リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、リバース鏡面角度情報を降雨時用と非降雨時用に区別して記憶媒体(34)に記憶させ、リバース制御手段は、雨滴検出手段(7)により雨滴が検出されたことに基づいて降雨時であると判定した場合には降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御し、雨滴検出手段(7)により雨滴が検出されないことに基づいて非降雨時であると判定した場合には非降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、降雨時であると判定した場合には降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御され、非降雨時であると判定した場合には非降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御されるので、車両の駐車位置だけでなく、車両の周辺の降雨の状況に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になったことを判定した場合、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)を制御する復帰制御手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になったことを判定した場合、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ(41、42)が制御される。すなわち、鏡面の角度が、シフトレバーがリバース以外になった場合に適した復帰鏡面角度となるように復帰させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、記憶媒体(34)には、車両の後方に障害物が検出された場合に鏡面の角度を変化させる変化量を表す障害物検出時鏡面角度情報が記憶されており、車両の後方に存在する障害物を検出する障害物検出手段(8)を備え、リバース制御手段は、障害物検出手段(8)により障害物が検出されたことを判定すると、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度に対して障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化するようにアクチュエータ(41、42)を制御することを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、障害物が検出されたことを判定すると、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度に対して障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化するようにアクチュエータ(41、42)が制御されるので、障害物の視認性を向上することが可能である。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、記憶媒体(34)には、障害物検出時鏡面角度情報が、車両の運転席側の後方に存在する障害物と車両の助手席側の後方に存在する障害物とに区別して別々に記憶されており、障害物検出手段(8)は、車両の運転席側の後方に存在する障害物を検出する運転席側障害物検出手段と、車両の助手席側の後方に存在する障害物を検出する助手席側障害物検出手段により構成されており、リバース制御手段は、運転席側障害物検出手段により障害物が検出されたことを判定すると、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、運転席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータ(41、42)を制御し、助手席側障害物検出手段により障害物が検出されたことを判定すると、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、助手席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータ(41、42)を制御することを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、車両の運転席側の後方に障害物が検出された場合には、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、運転席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータ(41、42)が制御され、車両の助手席側の後方に障害物が検出された場合には、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、助手席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータ(41、42)が制御される。すなわち、障害物が検出された側のドアミラーの鏡面の角度を、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化させ、障害物が検出されない側のドアミラーの鏡面の角度は変化させないようにすることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、アクチュエータ(41、42)の制御に応じて変化する鏡面の角度を検出するための鏡面角度検出回路(36)と、地図を表示することが可能な地図表示装置(5)と通信するインターフェース(31)を備え、リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、リバース鏡面角度情報を、鏡面角度検出回路(36)より出力される信号により特定される鏡面の角度として、インターフェース(31)を介して地図表示装置(5)から送信される現在位置情報により特定される現在位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶させることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、リバース鏡面角度情報が、インターフェース(31)を介して地図表示装置(5)から送信される現在位置情報により特定される現在位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶されるので、現在位置を特定するための手段を備えることなく、リバース鏡面角度情報を、現在位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶させることができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、地図表示装置に対するユーザ操作に応じて、地図表示装置(5)からリバース鏡面角度情報の記憶媒体(34)への記憶を指示する記憶指示情報が送信されるようになっており、リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、インターフェースを介して地図表示装置(5)から記憶指示情報を受信したことをトリガとして、リバース鏡面角度情報を、車両の駐車位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶させることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、インターフェースを介して地図表示装置(5)から記憶指示情報を受信したことをトリガとして、リバース鏡面角度情報を、車両の駐車位置と関連付けて記憶媒体(34)に記憶させるので、リバース鏡面角度情報を記憶媒体に記憶させるための記憶指示を行うための操作部を新たに設ける必要がない。
【0023】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るドアミラー制御装置10の構成を示す図である。
【図2】ドアミラー制御装置10の詳細な構成を示す図である。
【図3】左右のドアミラーの可動範囲について説明するための図である。
【図4】復帰鏡面角度、鏡面角度目標変化量、リバース鏡面角度について説明するための図である。
【図5】リバース鏡面角度設定処理のフローチャートである。
【図6】リバース鏡面角度制御処理のフローチャートである。
【図7】駐車位置の違いによるリバース鏡面角度の違いについて説明するための図である。
【図8】変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係るドアミラー制御装置10の構成を図1に示す。 このドアミラー制御装置10は、車両に搭載され、当該車両の左右のドアに取り付けられたドアミラーの鏡面の角度を調整するためのシステムであり、シフト位置センサ1、ミラーマニュアル操作部(図中では、ミラーマニュアルSWと記す)
2、右ドアECU3a、左ドアECU3b、右ミラー駆動部4a、左ミラー駆動部4bを備えている。また、右ドアECU3aおよび左ドアECU3bには、それぞれナビゲーション装置5、コンライトセンサ6、レインセンサ7およびクリアランスソナー8が接続されている。
【0026】
シフト位置センサ1は、車両のシフト位置(例えば、シフト位置がリバースであるか否か)を検出して右ドアECU3aおよび左ドアECU3bに出力する周知のセンサである。
【0027】
ミラーマニュアル操作部2は、右ドアミラーおよび左ドアミラーの鏡面の角度を個々にマニュアルで調整するため、車両のドライバが操作する部材であり、制御対象のドアミラーを選択するための左右切替SW2aと、制御対象のドアミラーの鏡面の角度を調整するための鏡面角度調整SW2bと、を有している。
【0028】
ナビゲーション装置5は、現在位置を特定するための位置検出器、地図データを記憶した地図データ記憶部、ユーザ操作を受け付けるための操作部、各種画像を表示するための表示部、各種演算を行う制御部(いずれも図示せず)を備えている。ナビゲーション装置5の制御部は、位置検出器を用いて現在位置を特定する現在位置特定処理、現在位置周辺の地図上に現在位置マークを表示させる地図表示処理、ユーザ操作に応じて出発地から目的地に至る案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う案内処理等がある。また、本実施形態におけるナビゲーション装置5は、ドアミラー制御装置10と通信を行い、車両のシフト位置がリバースになった場合の左右のドアミラーの鏡面の角度を設定する機能を備えている。
【0029】
コンライトセンサ6は、車両周辺の照度を検出するものであり、車両周辺の照度に応じた信号を右ドアECU3aおよび左ドアECU3bに出力する。
【0030】
レインセンサ7は、車両周辺の雨滴の有無を検出するものであり、車両周辺の雨滴の有無を示す信号を右ドアECU3aおよび左ドアECU3bに出力する。
【0031】
クリアランスソナー8は、超音波を用いて車両周辺に存在する障害物の有無を検出するものである。本実施形態では、車両後部に設けられた1つのクリアランスソナーにより、車両後方の障害物を検出する。
【0032】
右ミラー駆動部4aは、右ドアECU3aの制御に従って作動することで、右ドアミラーを付勢して右ドアミラーの上下および左右の姿勢を変化させる。この右ドアミラーの上下および左右の姿勢変化に伴い、右ドアミラーの鏡面の上下方向の角度および左右方向の角度が変化する。また右ミラー駆動部4aは、右ドアミラーの鏡面の上下方向の角度および左右方向の角度を検出するための素子を備えている。
【0033】
左ミラー駆動部4bは、左ドアECU3bの制御に従って作動することで、左ドアミラーを付勢して左ドアミラーの上下および左右の姿勢を変化させる。この左ドアミラーの上下および左右の姿勢変化に伴い、左ドアミラーの鏡面の上下方向の角度および左右方向の角度が変化する。また左ミラー駆動部4bは、左ドアミラーの鏡面の上下方向の角度および左右方向の角度を検出するための素子を備えている。
【0034】
右ドアECU3aは、シフト位置センサ1の検出結果、ミラーマニュアル操作部2に対する操作内容、および、右ミラー駆動部4aを用いて検出した右ドアミラーの鏡面の角度等に基づいて、右ミラー駆動部4aを制御することで、右ドアミラーの鏡面の角度を調整する装置である。
【0035】
左ドアECU3bは、シフト位置センサ1の検出結果およびミラーマニュアル操作部2に対する操作内容、および、左ミラー駆動部4bを用いて検出した左ドアミラーの鏡面の角度に基づいて、左ミラー駆動部4bを制御することで、左ドアミラーの鏡面の角度を調整する装置である。
【0036】
ここで、図2を用いて右ドアECU3a、左ドアECU3b、右ミラー駆動部4a、左ミラー駆動部4bの更に詳細な構成について説明する。右ミラー駆動部4aと左ミラー駆動部4bの主要なハードウェア構成は互いに同じである。具体的には、図2に示すように、右ミラー駆動部4a、左ミラー駆動部4bは、それぞれ、第1モータ41、第2モータ42、第1摺動抵抗器43、および第2摺動抵抗器44を有している。
【0037】
第1モータ41は、制御対象のドアミラー(右ミラー駆動部4aなら右ドアミラー、左ミラー駆動部4bなら左ドアミラー)に取り付けられ、当該ドアミラーを付勢することで、制御対象のドアミラーの鏡面の上下方向の角度を変化させるアクチュエータである。第2モータ42は、制御対象のドアミラーに取り付けられ、当該ドアミラーを付勢することで、制御対象のドアミラーの鏡面の左右方向の角度を変化させるアクチュエータである。
【0038】
第1摺動抵抗器43は、制御対象のドアミラーの鏡面の上下方向の角度を検出するための素子であり、制御対象のドアミラーの上下方向の姿勢変化と共に移動する摺動子と、この摺動子が摺接する抵抗体とを備え、ポテンショメータとして作用する。第2摺動抵抗器44は、制御対象のドアミラーの鏡面の左右方向の角度を検出するための素子であり、制御対象のドアミラーの左右方向の姿勢変化と共に移動する摺動子と、この摺動子が摺接する抵抗体とを備え、ポテンショメータとして作用する。
【0039】
なお、右ドアミラーおよび左ドアミラーの可動範囲には、限界がある。図3に、左および右のドアミラーの可動範囲に対応してドアミラーの鏡面で実現可能な角度範囲(以下、単に鏡面の可動範囲という)の例を示す。図3では、縦軸が鏡面の上下方向の角度の電圧換算値(第1摺動抵抗器43を用いて検出できる)であり、横軸が鏡面の左右方向の角度の電圧換算値(第2摺動抵抗器44を用いて検出できる)である。
【0040】
線5の内部が実現可能な角度範囲であり、線5上の各位置が、ドアミラーの鏡面で実現可能な角度範囲の端点である。
【0041】
右ドアECU3aと左ドアECU3bの主要なハードウェア構成も互いに同じである。具体的には、図2に示すように、右ドアECU3a、左ドアECU3bは、それぞれ、インターフェース31、RAM32、ROM33、フラッシュメモリ34、モータ駆動回路35、鏡面角度検出回路36、およびCPU37を有している。
【0042】
インターフェース31は、外部との信号の入出力を行うためのものである。インターフェース31には、シフト位置センサ1、ミラーマニュアル操作部2、ナビゲーション措置5、コンライトセンサ6、レインセンサ7およびクリアランスソナー8が接続されている。
【0043】
RAM32は、CPU37の作業領域として用いられる揮発性記憶媒体である。ROM33は、CPU37が実行するプログラム等の情報が記憶される不揮発性記憶媒体である。
【0044】
フラッシュメモリ34は、書き込み可能な不揮発性記憶媒体である。本実施形態では、フラッシュメモリ34は、図4に示すように、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度を自動制御するための復帰鏡面角度11、鏡面角度目標変化量12、リバース鏡面角度13等のデータが駐車位置と関連付けて記憶可能となっている。
【0045】
復帰鏡面角度11は、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になったときの復帰制御で用いられるデータであり、復帰制御時の制御対象のドアミラー(右ドアECU3aなら右ドアミラー、右ドアECU3bなら左ドアミラー)の鏡面の上下方向および左右方向の角度の目標値を、電圧換算値で表したデータで表したデータである。復帰制御については後述する。
【0046】
鏡面角度目標変化量12は、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったときのリバース制御で用いられるデータであり、リバース制御時の制御対象のドアミラーの鏡面の上下方向および左右方向の角度の目標変化量を、電圧換算値で表したデータである。リバース制御については後述する。
【0047】
リバース鏡面角度13は、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったときのリバース制御で用いられるデータであり、リバース制御時の制御対象のドアミラーの鏡面の上下方向および左右方向の角度の目標値を、電圧換算値で表したデータである。
【0048】
本実施形態では、(1)昼間用、非降雨用、(2)昼間用、降雨用、(3)夜間用、非降雨用、(4)夜間用、降雨用を区別して復帰鏡面角度11、鏡面角度目標変化量12、リバース鏡面角度13をフラッシュメモリ34に記憶させることが可能となっている。
【0049】
モータ駆動回路35は、CPU37の指令に基づいて、第1モータ41および第2モータ42(右ドアECU3aのモータ駆動回路35なら右ミラー駆動部4aのモータ41、42、左ドアECU3bのモータ駆動回路35なら左ミラー駆動部4bのモータ41、42)の作動を制御することで、制御対象のドアミラーの鏡面の角度を変化させる回路である。
【0050】
鏡面角度検出回路36は、第1摺動抵抗器43および第2摺動抵抗器44(右ドアECU3aの鏡面角度検出回路36なら右ミラー駆動部4aの摺動抵抗器43、44、左ドアECU3bの鏡面角度検出回路36なら左ミラー駆動部4bの摺動抵抗器43、44)に電流を出力することで、制御対象のドアミラーの鏡面の上下方向の角度の電圧換算値、および、制御対象のドアミラーの鏡面の左右方向の角度の電圧換算値を検出し、検出結果をCPU37に出力する回路である。
【0051】
CPU37は、ROM33に記録されているプログラムを実行し、その実行の際にRAM32を作業領域として用いることで、種々の処理を実現する演算回路である。このCPU37は、処理中に、シフト位置センサ1、ミラーマニュアル操作部2、鏡面角度検出回路36から受けた信号に基づいて、フラッシュメモリ34へのデータの書き込みおよび読み出しを実行し、また、モータ駆動回路35に、第1モータ41、第2モータ42を制御するための指令を出力する。以下、CPU37は右ドアECU3aのCPU37であるとするが、CPU37が左ドアECU3bのCPU37であっても、その作動内容は同様である。
【0052】
ドライバがミラーマニュアル操作部2を操作した結果鏡面の角度が変化する場合の車載ミラー制御システム10の作動は、以下の通りである。ドライバが左右切替SW2aを用いて例えば右ドアミラーを制御対象に選択する操作を行った後、鏡面角度調整SW2bを操作すると、鏡面角度調整SW2bの操作内容を示す信号が、右ドアECU3a、左ドアECU3bのうち、右ドアECU3aのみに入力され、右ドアECU3aのCPU37は、その信号をインターフェース31を介して取得し、取得した信号に従ってモータ駆動回路35に指令を出力する。
【0053】
例えば、上方向への角度変化を要求する操作(例えば上ボタンの押下)が鏡面角度調整SW2bに対して行われると、モータ駆動回路35に対して、鏡面の角度を上方向に変化させる旨の指令をモータ駆動回路35に出力し、上方向への角度変化の停止を要求する操作(例えば上ボタンの押下の終了)が鏡面角度調整SW2bに対して行われると、モータ駆動回路35に対して、制御対象のドアミラーへの付勢を停止する旨の停止指令をモータ駆動回路35に対して出力する。
【0054】
指令を受けたモータ駆動回路35は、指令に従って第1モータ41および第2モータ42のうち必要な方を制御する。例えば、鏡面の角度を下方向に変化させる旨の指令をCPU37から受けた場合は、第1モータ41を正方向(鏡面が下を向く方向)に回転させ始め、その後、停止指令をCPU37から受けるまで、第1モータ41をそのまま回転させ続け、停止指令をCPU37から受けると、作動させていたモータ、つまり第1モータ41を停止させる。
【0055】
メモリ再生作動によって鏡面の角度が変化する場合の車載ミラー制御システム10の作動は、以下の通りである。CPU37は、予めフラッシュメモリ34に記憶させたリバース時の鏡面角度情報に基づいて車両後退時の鏡面の角度を決定する。
【0056】
CPU37は、上述のように車両後退時の鏡面の角度を決定すると、当該角度を実現するために、鏡面の角度の目標変化量を、現在の鏡面角度検出回路36の検出結果に基づいて決定し、決定した目標変化量を実現するため、モータ駆動回路35に指令を出力する。
【0057】
例えば、決定した目標変化量が右方向にΔX0、上方向にΔY0であった場合、まず、モータ駆動回路35に対して、鏡面の角度を右方向に変化させる旨の指令をモータ駆動回路35に出力し、その後、鏡面角度検出回路36の検出結果に基づいて、鏡面の左右方向の角度の変化量がΔX0となるまで待ち、鏡面の左右方向の角度の変化量がΔX0となると、停止指令をモータ駆動回路35に出力し、更に、鏡面の角度を上方向に変化させる旨の指令をモータ駆動回路35に出力し、その後、鏡面角度検出回路36の検出結果に基づいて、鏡面の上下方向の角度の変化量がΔY0となるまで待ち、鏡面の上下方向の角度の変化量がΔY0となると、停止指令をモータ駆動回路35に出力する。
【0058】
次に、CPU37の処理について説明する。CPU37の処理には、車両のシフト位置がリバースになった場合の鏡面の角度を特定するためのリバース鏡面角度情報の設定を行うリバース鏡面角度設定処理と、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになり、かつ、リバース鏡面角度情報と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置することを判定した場合、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42を制御するリバース鏡面角度制御処理がある。
【0059】
まず、図5に従って、リバース鏡面角度設定処理について説明する。CPU37は、車両の主電源がオンとなったとき(例えばイグニッションがオンとなったとき)、起動して定期的に図5に示す処理を実施する。
【0060】
まず、リバース鏡面角度設定を行うか否かを判定する(S100)。前述したように、本ナビゲーション装置5は、車両のシフト位置がリバースになった場合の左右のドアミラーの鏡面の角度を設定するための機能を備えている。ナビゲーション装置5の画面表示に従ってユーザによるリバース鏡面角度の設定の開始を指示する操作が行われると、ナビゲーション装置5からドアミラー制御装置10へリバース鏡面角度の設定の開始を指示する情報が送信されるようになっている。
【0061】
リバース鏡面角度の設定の開始を指示する操作が行われない場合、S100の判定はNOとなり、S100へ戻る。また、リバース鏡面角度の設定の開始を指示する操作が行われ、ナビゲーション装置5からドアミラー制御装置10へリバース鏡面角度の設定の開始を指示する情報が送信されると、S100の判定はYESとなり、次に、リバース鏡面角度設定を行う(S102)。
【0062】
このリバース鏡面角度設定は、車両のシフト位置がリバースになった場合の左右のドアミラーの鏡面の角度を表すリバース鏡面角度をフラッシュメモリ34に記憶させるための設定である。本実施形態では、昼間用と夜間用を区別し、更に、非降雨用と降雨用を区別して、リバース鏡面角度の設定を行うことが可能となっている。
【0063】
ナビゲーション装置5の表示部に(1)昼間用、非降雨用、(2)昼間用、降雨用、(3)夜間用、非降雨用、(4)夜間用、降雨用のいずれかの選択を促す画面が表示され、ユーザにより(1)〜(4)のいずれかが選択されると、選択された条件がナビゲーション装置5より送信されるようになっている。
【0064】
ユーザにより(1)〜(4)のいずれかの条件が選択され、選択された条件がナビゲーション装置5より送信されると、送信された条件をRAM32に記憶させる。
【0065】
次に、ナビゲーション装置5の表示部に、左右のドアミラーの鏡面の角度を調整する案合画面が表示されるようになっている。ユーザによりミラーマニュアル操作部2が操作されると、CPU37は、ミラーマニュアル操作部2に対する操作内容に基づいて左右のミラー駆動部4a、4bを駆動して左右のドアミラーの鏡面の角度を調整する。
【0066】
次に、ナビゲーション装置5の表示部に、調整が完了したことを通知するための「完了」ボタンが選択可能に表示されるようになっている。左右のドアミラーの鏡面角度が好みの位置に調整された後、ユーザにより「完了」ボタンが選択操作され、ナビゲーション装置5からドアミラー制御装置10へ「完了」ボタンが操作されたことが通知されると、鏡面角度検出回路36より出力される信号により特定される鏡面の角度(X2、Y2)をリバース鏡面角度情報として特定するとともに、ナビゲーション装置5から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報により特定される現在位置をリバース鏡面角度情報と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶させる。このとき、リバース鏡面角度情報を、RAM32に記憶した条件に従って、昼間用と夜間用、非降雨用と降雨用に区別して、フラッシュメモリ34に記憶させ、本処理を終了する。
【0067】
このようにして、例えば、自宅の駐車場で上記したリバース鏡面角度設定処理が行われると、リバース鏡面角度情報が自宅の駐車場と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶され、会社の駐車場で上記したリバース鏡面角度設定処理が行われると、リバース鏡面角度情報が会社の駐車位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶される。
【0068】
図6に、リバース鏡面角度制御処理のフローチャートを示す。CPU37は、車両の主電源がオンとなったとき(例えばイグニッションがオンとなったとき)、起動して、図5に示した処理と並行して図6に示す処理を実施する。
【0069】
まず、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったか否かを判定する(S200)。具体的には、シフト位置センサ1より入力される信号に基づいて車両のシフト位置がリバース以外からリバースに変化したか否かを判定する。
【0070】
ここで、車両のシフトレバーの位置がリバース以外からリバースに変化していない場合、S200の判定はNOとなり、S200戻る。なお、車両のシフトレバーの位置がリバース以外になっている場合には、鏡面の角度は、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となっている。
【0071】
そして、運転者の操作に応じて車両のシフト位置がリバース以外からリバースに変化すると、S200の判定はYESとなり、次に、車両の現在位置を特定する(S202)。車両の現在位置は、ナビゲーション装置5より現在位置情報を取得して特定することができる。
【0072】
次に、リバース鏡面角度情報が設定された一定領域内に車両が位置するか否かを判定する(S204)。具体的には、リバース鏡面角度情報と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置するか否かを判定する。本実施形態では、フラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を中心とする一定半径(例えば、半径10メートル)以内に車両が位置するか否かを判定する。
【0073】
ここで、フラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を中心とする一定半径以内に車両が位置する場合、S204の判定はYESとなり、車両が位置する地点のリバース鏡面角度情報に含まれるリバース鏡面角度を読み込む(S206)。
【0074】
なお、コンライトセンサ6により検出された車両周辺の照度により昼間と判定し、かつ、レインセンサ7により雨滴が検出されないことに基づいて非降雨時であると判定した場合には、(1)昼間用、非降雨用のリバース鏡面角度情報に含まれるリバース鏡面角度を読み込み、コンライトセンサ6により検出された車両周辺の照度により昼間と判定し、かつ、レインセンサ7により雨滴が検出されたことに基づいて降雨時であると判定した場合には、(2)昼間用、降雨用のリバース鏡面角度情報に含まれるリバース鏡面角度を読み込む。
【0075】
また、コンライトセンサ6により検出された車両周辺の照度により夜間と判定し、かつ、レインセンサ7により雨滴が検出されないことに基づいて非降雨時であると判定した場合には、(3)夜間用、非降雨用のリバース鏡面角度情報に含まれるリバース鏡面角度を読み込み、コンライトセンサ6により検出された車両周辺の照度により夜間と判定し、かつ、レインセンサ7により雨滴が検出されたことに基づいて降雨時であると判定した場合には、(4)夜間用、降雨用のリバース鏡面角度情報に含まれるリバース鏡面角度を読み込む。
【0076】
次に、クリアランスソナー8により車両後方に障害物が検出されたか否かを判定する(S210)。
【0077】
ここで、クリアランスソナー8により障害物が検出されていない場合、S210の判定はNOとなり、次に、リバース境界角度となるように、アクチュエータ41、42を制御する(S214)。具体的には、鏡面の角度が、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度からリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42を制御する。
【0078】
次に、鏡面角度検出回路36より入力される信号に基づいてリバース鏡面角度に到達したか否かを判定する(S216)。
【0079】
ここで、ドアミラーの鏡面角度がリバース鏡面角度に到達するまでは、S216の判定はNOとなり、S214の制御を継続する。そして、ドアミラーの鏡面角度がリバース鏡面角度に到達すると、S216の判定はYESとなり、アクチュエータ41、42の制御を停止する(S218)。このようにして、ドアミラーの鏡面角度がリバース鏡面角度となる。例えば、図7に示すように、自宅では、自宅で設定したリバース鏡面角度情報に基づくリバース鏡面角度となり、会社では、会社で設定したリバース鏡面角度情報に基づくリバース鏡面角度となる。
【0080】
次に、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になった否かを判定する(S220)。
【0081】
ここで、車両のシフト位置がリバースからリバース以外にならない場合、S220の判定はNOとなり、S202へ戻る。
【0082】
また、クリアランスソナー8により障害物が検出された場合には、S210の判定はYESとなり、リバース境界角度を補正する(S212)。フラッシュメモリ34には、車両の後方に障害物が検出された場合に、鏡面の角度を変化させる変化量を表す障害物検出時鏡面角度情報が記憶されている。ここでは、この障害物検出時鏡面角度情報を読み出して鏡面の角度を変化させる変化量を特定し、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度に対して障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化させる。本実施形態では、路面上の落下物を障害物として想定し、障害物検出時鏡面角度情報を読み出して鏡面の角度を変化させることにより、鏡面が下向きに一定角度変化するようになっている。
【0083】
そして、S214において、S212にて補正したリバース境界角度となるように、アクチュエータ41、42を制御する。このように、障害物が検出された際には、更に、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、鏡面の角度が変化する。
【0084】
また、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になると、S220の判定はYESとなり、次に、復帰制御を行う(S222)。具体的には、鏡面の角度が復帰境界角度となるようにアクチュエータ41、42を制御し、S200へ戻る。
【0085】
また、シフト位置がリバースになった場合でも、フラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を中心とする一定半径以内に車両が位置しない場合には、S204の判定はNOとなり、基準角度情報の読み込みを行う(S208)。この基準角度情報は、リバース鏡面角度情報が設定されていない地点においてシフト位置がリバースになったときに設定する鏡面角度を表す情報であり、フラッシュメモリ34に予め記憶されている。
【0086】
そして、クリアランスソナー8により障害物が検出されない場合には、この基準角度情報により特定される鏡面角度となるように、アクチュエータ41、42を制御する。また、クリアランスソナー8により障害物が検出された場合には、リバース境界角度を補正し(S212)、この補正した境界角度となるようにアクチュエータ41、42を制御する(S214)。
【0087】
上記した構成によれば、リバース鏡面角度情報と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶された駐車位置を含む一定領域内に車両が位置し、かつ、車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったことを判定した場合、鏡面の角度が、復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から、車両の現在位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶されたリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御される。すなわち、シフトレバーがリバース位置にされたときに、車両の駐車位置に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0088】
また、車両の周辺の照度により昼間と判定した場合には昼間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御され、車両の周辺の照度により夜間と判定した場合には夜間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御されるので、車両の駐車位置だけでなく、車両の周辺の照度に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0089】
また、降雨時であると判定した場合には降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御され、非降雨時であると判定した場合には非降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御されるので、車両の駐車位置だけでなく、車両の周辺の降雨の状況に適したドアミラーの鏡面角度の自動制御を実現することができる。
【0090】
また、車両のシフト位置がリバースからリバース以外になったことを判定した場合、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、アクチュエータ41、42が制御される。すなわち、鏡面の角度が、シフトレバーがリバース以外になった場合に適した復帰鏡面角度となるように復帰させることができる。
【0091】
また、障害物が検出されたことを判定すると、鏡面の角度が、リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度に対して障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化するようにアクチュエータ41、42が制御されるので、障害物の視認性を向上することが可能である。
【0092】
また、リバース鏡面角度情報が、インターフェース31を介してナビゲーション装置5から送信される現在位置情報により特定される現在位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶されるので、現在位置を特定するための手段を備えることなく、リバース鏡面角度情報を、現在位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶させることができる。
【0093】
また、インターフェースを介してナビゲーション装置5から記憶指示情報を受信したことをトリガとして、リバース鏡面角度情報を、車両の駐車位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶させるので、リバース鏡面角度情報をフラッシュメモリ34に記憶させるための記憶指示を行うための操作部を新たに設ける必要がない。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0095】
例えば、上記実施形態では、S102にて、リバース鏡面角度情報を、昼間用と夜間用、非降雨用と降雨用等の条件に区別してフラッシュメモリ34に記憶させたが、例えば、リバース鏡面角度情報を、昼間用と夜間用に区別することなく、非降雨用と降雨用に区別して、フラッシュメモリ34に記憶させてもよく、反対に、非降雨用と降雨用に区別することなく、昼間用と夜間用に区別してフラッシュメモリ34に記憶させてもよい。また、ユーザ操作により各条件を区別するか区別しないかを選択できるようしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、クリアランスソナー8を用いて車両後方の障害物の有無を検出したが、クリアランスソナー以外の装置、例えば、バックガイドモニタを用いて車両後方の障害物を検出するようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、1つのクリアランスソナーを用いて車両の後方に存在する障害物を検出するようにしたが、例えば、障害物検出時鏡面角度情報を、車両の運転席側の後方に存在する障害物と車両の助手席側の後方に存在する障害物とに区別して別々にフラッシュメモリ34に記憶させておき、図8に示すように、車両の運転席側の後方に存在する障害物を検出する運転席側クリアランスソナー(運転席側障害物検出手段に相当する)と車両の助手席側の後方に存在する障害物を検出する助手席側クリアランスソナー(助手席側障害物検出手段に相当する)を備え、運転席側クリアランスソナーにより障害物が検出されたことを判定すると、障害物検出時鏡面角度情報に基づいて運転席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータを制御し、助手席側クリアランスソナーにより障害物が検出されたことを判定すると、障害物検出時鏡面角度情報に基づいて助手席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するようにアクチュエータを制御するようにしてもよい。このように、障害物が検出された側のドアミラーの鏡面の角度を、障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化させ、障害物が検出されない側のドアミラーの鏡面の角度は変化させないようにすることができる。
【0098】
また、上記実施形態では、復帰鏡面角度11、鏡面角度目標変化量12、リバース鏡面角度13等の情報を車両の駐車位置と関連付けてフラッシュメモリ34に記憶させたが、記憶媒体としてはフラッシュメモリに限定されるものではなく、例えば、EEPROM、ハードディスクドライブ等の不揮発性記憶媒体としてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、障害物が検出された場合の鏡面角度が一定角度、変化するように障害物検出時鏡面角度情報を規定したが、例えば、障害物との距離に応じて鏡面角度が段階的あるいは連続的に変化するように障害物検出時鏡面角度情報を規定してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、ドアミラー制御装置10に、コンライトセンサ6、レインセンサ7およびクリアランスソナー8が接続された構成を示したが、コンライトセンサ6、レインセンサ7およびクリアランスソナー8の少なくとも1つを含むように構成してよい。
【0101】
また、上記実施形態では、インターフェース31を介して地図表示装置としてのナビゲーション装置5からリバース鏡面角度情報の記憶媒体への記憶を指示する記憶指示情報や現在位置情報を受信する構成を示したが、地図表示装置としてナビゲーション装置以外の装置、例えば、現在位置検出機能付きの携帯端末等から上記記憶指示情報や現在位置情報を受信する構成としてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、照度検出手段としてコンライトセンサ6を用いたが、コンライトセンサ以外のセンサを用いて車両周辺の照度を検出するようにしてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、雨滴検出手段としてレインセンサ7を用いたが、レインセンサ以外のセンサを用いて車両周辺の雨滴の有無を検出するようにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、障害物検出手段としてクリアランスソナー8を用いたが、クリアランスソナー以外の装置を用いて障害物を検出するように構成してもよい。
【0105】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S102がリバース鏡面角度情報記憶制御手段に相当し、S200、S202、S204、S206、S214、S216、S210、S212、S218がリバース制御手段に相当し、S220、S222が復帰制御手段に相当する。
【符号の説明】
【0106】
1 シフト位置センサ
2 ミラーマニュアル操作部
3a、3b ドアECU
4a、4b ミラー駆動部
5 ナビゲーション装置
6 コンライトセンサ
7 レインセンサ
8 クリアランスソナー
10 ドアミラー制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアミラーの鏡面の角度を変化させるアクチュエータ(41、42)を備え、当該アクチュエータ(41、42)を制御して前記鏡面の角度を変化させることが可能なドアミラー制御装置であって、
前記車両のシフト位置がリバース以外になった場合の前記鏡面の角度を特定するための復帰鏡面角度情報を記憶する記憶媒体(34)と、
前記車両のシフト位置がリバースになった場合の前記鏡面の角度を特定するためのリバース鏡面角度情報を、前記車両の駐車位置と関連付けて前記記憶媒体(34)に記憶させるリバース鏡面角度情報記憶制御手段と、
前記リバース鏡面角度情報と関連付けて前記記憶媒体(34)に記憶された前記駐車位置を含む一定領域内に前記車両が位置し、かつ、前記車両のシフト位置がリバース以外からリバースになったことを判定した場合、前記鏡面の角度が、前記復帰鏡面角度情報に基づく前記鏡面の角度から、前記車両の現在位置と関連付けて前記記憶媒体(34)に記憶された前記リバース鏡面角度情報に基づく前記鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御するリバース制御手段と、を備えたことを特徴とするドアミラー制御装置。
【請求項2】
前記車両の周辺の照度を検出する照度検出手段(6)を備え、
前記リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、前記リバース鏡面角度情報を昼間用と夜間用に区別して前記記憶媒体(34)に記憶させ、
前記リバース制御手段は、前記照度検出手段(6)により検出された前記車両の周辺の照度により昼間と判定した場合には前記昼間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御し、前記照度検出手段(6)により検出された前記車両の周辺の照度により夜間と判定した場合には前記夜間用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴とする請求項1に記載のドアミラー制御装置。
【請求項3】
前記車両の周辺の雨滴の有無を検出する雨滴検出手段(7)を備え、
前記リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、前記リバース鏡面角度情報を降雨時用と非降雨時用に区別して前記記憶媒体(34)に記憶させ、
前記リバース制御手段は、前記雨滴検出手段(7)により雨滴が検出されたことに基づいて降雨時であると判定した場合には前記降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御し、前記雨滴検出手段(7)により雨滴が検出されないことに基づいて非降雨時であると判定した場合には前記非降雨時用のリバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のドアミラー制御装置。
【請求項4】
前記車両のシフト位置がリバースからリバース以外になったことを判定した場合、前記鏡面の角度が、前記リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度から前記復帰鏡面角度情報に基づく鏡面の角度となるように、前記アクチュエータ(41、42)を制御する復帰制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のドアミラー制御装置。
【請求項5】
前記記憶媒体(34)には、前記車両の後方に前記障害物が検出された場合に前記鏡面の角度を変化させる変化量を表す障害物検出時鏡面角度情報が記憶されており、
前記車両の後方に存在する前記障害物を検出する障害物検出手段(8)を備え、
前記リバース制御手段は、前記障害物検出手段(8)により前記障害物が検出されたことを判定すると、前記鏡面の角度が、前記リバース鏡面角度情報に基づく鏡面の角度に対して前記障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、変化するように前記アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のドアミラー制御装置。
【請求項6】
前記記憶媒体(34)には、前記障害物検出時鏡面角度情報が、前記車両の運転席側の後方に存在する前記障害物と前記車両の助手席側の後方に存在する前記障害物とに区別して別々に記憶されており、
前記障害物検出手段(8)は、前記車両の運転席側の後方に存在する前記障害物を検出する運転席側障害物検出手段と、前記車両の助手席側の後方に存在する前記障害物を検出する助手席側障害物検出手段により構成されており、
前記リバース制御手段は、前記運転席側障害物検出手段により前記障害物が検出されたことを判定すると、前記障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、前記運転席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するように前記アクチュエータ(41、42)を制御し、前記助手席側障害物検出手段により前記障害物が検出されたことを判定すると、前記障害物検出時鏡面角度情報により特定される鏡面の角度の変化量分、前記助手席側のドアミラーの鏡面の角度が変化するように前記アクチュエータ(41、42)を制御することを特徴とする請求項5に記載のドアミラー制御装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ(41、42)の制御に応じて変化する前記鏡面の角度を検出するための鏡面角度検出回路(36)と、
地図を表示することが可能な地図表示装置(5)と通信するインターフェース(31)を備え、
前記リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、前記リバース鏡面角度情報を、前記鏡面角度検出回路(36)より出力される信号により特定される前記鏡面の角度として、前記インターフェース(31)を介して前記地図表示装置(5)から送信される現在位置情報により特定される現在位置と関連付けて前記記憶媒体(34)に記憶させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のドアミラー制御装置。
【請求項8】
前記地図表示装置に対するユーザ操作に応じて、前記地図表示装置(5)から前記リバース鏡面角度情報の前記記憶媒体(34)への記憶を指示する記憶指示情報が送信されるようになっており、
前記リバース鏡面角度情報記憶制御手段は、前記インターフェースを介して前記地図表示装置(5)から前記記憶指示情報を受信したことをトリガとして、前記リバース鏡面角度情報を、前記車両の駐車位置と関連付けて前記記憶媒体(34)に記憶させることを特徴とする請求項7に記載のドアミラー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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