説明

ドアロック装置

【課題】アクチュエータの取り付け作業性を向上することができるドアロック装置を提供する。
【解決手段】ラッチ機構を取り付けるベースプレート1に挿入片121を形成し、当該挿入片121にアクチュエータ51の溝部514を挿入し、ラッチ機構を操作するインサイドハンドルレバー33の支軸をなす取付ネジ361によって挿入片121からの離脱を規制しつつアクチュエータ51をベースプレート1に固定する。この結果、挿入片121および溝部514と、取付ネジ361とによってベースプレート1に対してアクチュエータ51が取り付けられるので、アクチュエータ51の取り付け作業性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のドアロック装置では、ドアハンドルに連絡するオープンロッドにオープンレバーを連結し、さらにオープンレバーにリンクレバーを連結して、ドアハンドルの操作をオープンレバーからリンクレバーに経由することでラッチ機構を解除するようにしてある。リンクレバーは、ロックレバーによってロック状態またはアンロック状態になる。すなわち、リンクレバーをロック状態にすると、ドアハンドルの操作がリンクレバーで無効化されてラッチ機構が解除できなくなる。一方、リンクレバーをアンロック状態にすると、ドアハンドルの操作がリンクレバーで有効化されてラッチ機構が解除できるようになる。また、ロックレバーにアクチュエータを連係することによって集中操作でドアロック状態またはアンロック状態にできる。
【0003】
従来、アクチュエータを取り付ける構成としては、金属バックプレートの立ち上がり部をアクチュエータの差込部に差込んだ後、金属プレートに対してアクチュエータを複数のネジで止着する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3201985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドアロック装置では、ネジがアクチュエータを止着する専用のものであるため部品点数が嵩み、さらに金属プレートへのアクチュエータの挿入方向とネジの締め付け方向とが異なるため取り付け作業性に問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、アクチュエータの取り付け作業性を向上することができるドアロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドアロック装置は、アクチュエータの駆動によってラッチ機構またはロック機構を作動させるよう構成したドアロック装置において、ラッチ機構を取り付けるベースプレートに挿入片を形成し、当該挿入片にアクチュエータの溝部を挿入し、ラッチ機構を操作するレバーの支軸をなす締結部材によって挿入片からの離脱を規制しつつアクチュエータをベースプレートに固定したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係るドアロック装置は、上記請求項1において、前記挿入片および溝部は前記締結部材を締め付ける方向に沿う移動のみを許容してアクチュエータを挿入することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係るドアロック装置は、上記請求項1または2において、前記締結部材は前記レバーを回転可能に支承する1つの段部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るドアロック装置は、ラッチ機構を取り付けるベースプレートに挿入片を形成し、当該挿入片にアクチュエータの溝部を挿入し、ラッチ機構を操作するレバーの支軸をなす締結部材によって挿入片からの離脱を規制しつつアクチュエータをベースプレートに固定した。この結果、挿入片および溝部と、締結部材とによってベースプレートに対してアクチュエータが取り付けられるので、アクチュエータの取り付け作業性を向上することができる。
【0011】
さらに、挿入片および溝部は前記締結部材を締め付ける方向に沿う移動のみを許容してアクチュエータを挿入する。この結果、ベースプレートへのアクチュエータの挿入方向と、締結部材の締め付け方向とが同じ方向になるので、アクチュエータの取り付け作業性を向上することができる。
【0012】
さらに、締結部材はレバーを回転可能に支承する1つの段部を有している。この結果、ベースプレート、アクチュエータ、レバーの3つの部材を取り付けつつ、レバーの回転に際してガタや締めすぎを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドアロック装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態におけるドアロック装置は、例えば車両に対してドアを閉成状態で保持し、さらにドアの閉成状態をロックする。
【0014】
図1は本発明に係るドアロック装置の一例を示す正面図、図2は図1に示すドアロック装置の背面図、図3は図1に示すドアロック装置の左側面図、図4は図1に示すドアロック装置の右側面図である。
【0015】
本実施の形態にて例示するドアロック装置は、四輪自動車の右前座席に配置された前方ヒンジのドアに設けられるものである。図1〜図4に示すようにドアロック装置は、ラッチ機構とロック機構とがベースプレート1を基部として設けてある。ベースプレート1は、例えば板金を折り曲げや穿孔して形成したものであり、前側(車両本体の前側)に対面する基板11と、この基板11の側部から正面側に突出するようにほぼ直角に折り曲げた側板12とからなり、主断面が略L字形状をなしている。
【0016】
ラッチ機構は、図2〜図4に示すように合成樹脂によって成形したラッチボディ(収容部)21を有している。ラッチボディ21は、図2に示すように背面(一方の面)に開口21aを有し、当該開口21aからラッチ22とラチェット23とを収容して、開口21aをカバープレート24で閉塞してある。また、ラッチボディ21は、ほぼ中央となる位置に、車両室内側に向けて略水平方向に延在する水平切欠溝211を有している。そして、ラッチボディ21の正面(他方の面)は、ベースプレート1の基板11に取り付けてある。なお、カバープレート24は、ラッチボディ21と同様に水平切欠溝241を有している。
【0017】
ラッチ22およびラチェット23は、従前のものと同様に、四輪自動車の車両本体側に設けたストライカS(図5〜図7参照)を噛合保持するためのものである。
【0018】
図5〜図7に示すように、ラッチ22は、ラッチボディ21の水平切欠溝211よりも上方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラッチ回転軸25を介して回動可能に設けたもので、噛合溝221、フック部222および係止部223を有している。
【0019】
噛合溝221は、ラッチ22の外周面からラッチ回転軸25に向けて形成したもので、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。
【0020】
フック部222は、ラッチ回転軸25を中心にしてラッチ22を回動させ、噛合溝221を下方に向けて開口させた場合に、当該噛合溝221よりも室内側に位置する部分である。このフック部222は、図7に示すように、ラッチ22を反時計回りに回動させた場合にラッチボディ21の水平切欠溝211を横切る位置(フルラッチ位置)で停止する。一方、フック部222は、図5に示すように、ラッチ22を時計回りに回動させた場合に水平切欠溝211を開放する位置(開放位置)で停止する。
【0021】
係止部223は、ラッチ回転軸25を中心にしてラッチ22を回動させ、噛合溝221を下方に向けて開口させた場合に当該噛合溝221よりも室外側に位置する部分である。この係止部223は、図5に示すように、ラッチ22を時計回りに回動させた場合に水平切欠溝211を横切り、且つ、当該水平切欠溝211の奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。なお、図には明示していないが、ラッチ22とラッチボディ21との間には、図5〜図7においてラッチ22を常に時計回りに向けて付勢するラッチバネが設けてある。
【0022】
ラチェット23は、ラッチボディ21の水平切欠溝211よりも下方で、且つ、ラッチ回転軸25よりも室内側となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラチェット回転軸26を介して回動可能に設けたもので、係合部231および作用部232を有している。
【0023】
係合部231は、ラチェット回転軸26から室外側に向けて径外方向に延在する部分である。この係合部231は、ラチェット23が図5〜図7において反時計回りに回動した場合にその端面を介して上述したラッチ22のフック部222および係止部223に係合することが可能である。
【0024】
作用部232は、ラチェット回転軸26から室内側に向けて径外方向に延在する部分である。この作用部232は、ラチェットレバー27と連結してある。ラチェットレバー27は、ベースプレート1の基板11の前側(車両本体の前側)に設けてありラチェット回転軸26の軸心回りに回動するものである。すなわち、ラチェット23およびラチェットレバー27は、互いに一体となってラチェット回転軸26の軸心回りに回動する。また、図には明示していないが、ラチェット23とラッチボディ21との間には、図5〜図7においてラチェット23(およびラチェットレバー27)を常に反時計回りに向けて付勢するラチェットバネが設けてある。
【0025】
上記のように構成したラッチ機構では、ドアが車両本体に対して開成状態にある場合、図5に示すように、ラッチ22が開放位置に配置されることになる。この状態からドアを閉動作させると、車両本体側に設けたストライカSがラッチ22の係止部223に当接することになる。この結果、ラッチ22がラッチバネ(図示せず)の弾性力に抗して反時計回りに回動する。この間、ラチェット23は、ラチェットバネ(図示せず)の弾性力によって係合部231の端面がラッチ22の外周面に摺接することになり、当該ラッチ22の外周面形状に応じて適宜ラチェット回転軸26の軸心回りに回動する。
【0026】
そして、上述した状態からさらにドアを閉動作すると、水平切欠溝211に対するストライカSの進入量が漸次増大するため、ストライカSに押されたラッチ22が反時計回りにさらに回動する。やがて、図6に示すように、ラッチ22の噛合溝221がラチェット23の係合部231に至る。この状態においては、ラッチ22の係止部223がラチェット23の係合部231の端面に当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ22の時計回りの回動が阻止されることになる。しかも、ラッチ22のフック部222が水平切欠溝211を横切るように配置されるため、当該フック部222によってストライカSが水平切欠溝211から離脱する方向に移動する事態、つまりドアの車両本体に対する開動作が阻止されるようになる(ハーフラッチ状態)。
【0027】
続いて、ハーフラッチ状態からドアをさらに閉動作させると、水平切欠溝211を進入するストライカSによって、係止部223を介してラッチ22が反時計回りにさらに回動する。やがて、図7に示すように、ストライカSが水平切欠溝211に至る。この間、ラチェット23は、係合部231の上面にラッチ22のフック部222が当接することによりラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗して時計回りに回動し、ラッチ22のフック部222が通過した時点でラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力により直ちに反時計回りに回動するようになる。この結果、図7に示すように、ラッチ22のフック部222がラチェット23の係合部231の端面に当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ22の時計回りの回動が阻止されることになる。この状態においても、ラッチ22のフック部222が水平切欠溝211を横切るように配置されるため、当該フック部222によってストライカSが水平切欠溝211の奥方(室外側)から離脱する方向に移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアが車両本体に対して閉じた状態に維持される(フルラッチ状態)。
【0028】
さらに、上述したフルラッチ状態からラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗してラチェット23の作用部232もしくはラチェットレバー27をラチェット回転軸26の軸心に時計回りに回動させる。これにより、ラッチ22のフック部222とラチェット23の係合部231との当接係合状態が解除され、ラッチ22がラッチバネ(図示せず)の弾性復元力により時計回りに回動する。この結果、図5に示すように、水平切欠溝211が開放され、ストライカSが水平切欠溝211から離脱する方向に移動可能となり、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
【0029】
なお、ラチェットレバー27は、図1に示すようにラチェット回転軸26を介してベースプレート1の基板11の正面側にてラチェット回転軸26を軸心として回動可能に設けてあり、ラチェット23の作用部232と連結する連結端部271と、解除手段に係わる作用端部272および押圧端部273とを、ラチェット回転軸26の径外方向に延在して有している。
【0030】
図1および図3に示すように、ベースプレート1の基板11の前側(車両本体の前側)には、解除手段が設けてある。
【0031】
解除手段は、上述したラチェットレバー27を図5〜図7において時計回りに回動させてラッチ機構のフルラッチ状態あるいはハーフラッチ状態を解除し、ドアを車両本体に対して開動作できるようにするものであり、図1および図3に示すようにオープンレバー31、リンクレバー32およびインサイドハンドルレバー33を有している。
【0032】
オープンレバー31は、図1に示すように、ベースプレート1の基板11の正面側において上方に設けてある。オープンレバー31は、基板11に対してラッチ回転軸25を介して回動可能に設けてある。ラッチ回転軸25には、オープンレバーバネ34が巻装してある。オープンレバーバネ34は、一端がベースプレート1側に係合してあり、他端がオープンレバー31側に係合している。これにより、オープンレバーバネ34は、オープンレバー31を図1において常に時計回りに向けて付勢する。
【0033】
オープンレバー31は、板金からなり、一方のオープン作用端部311および他方のオープン作用端部312を有している。一方のオープン作用端部311は、図1において左方に向けて延在してある。この一方のオープン作用端部311は、ドアの外側(車両室外側)に配置したドアハンドルとしてのアウトサイドハンドル(図示せず)の開操作に係わる。また、他方のオープン作用端部312は、図1において右方であってベースプレート1の側板12に向けて延在してある。この他方のオープン作用端部312は、ドアの内側(車両室内側)に配置したドアハンドルとしてのインサイドハンドル(図示せず)の開操作に係わる。なお、オープンレバーバネ34によって付勢されたオープンレバー31は、他方のオープン作用端部312がベースプレート1側に固定の構成部(本実施の形態ではラッチボディ21の一部)に当接した状態でその回動が規制されている。
【0034】
リンクレバー32は、合成樹脂材からなり、図1においてベースプレート1の基板11の左側において、上方から下方に向けて長手状に延在してある。リンクレバー32の上端部は、オープンレバー31の一方のオープン作用端部311に対して連結してある。具体的に、リンクレバー32の上端部の正面(一方の面)には、第一連結軸321が設けてある。リンクレバー32は、第一連結軸321を介して一方のオープン作用端部311に対して軸支した状態で連結してある。また、図3に示すようにリンクレバー32の上端部の背面(他方の面)には、第二連結軸322が設けてある。リンクレバー32は、第二連結軸322を介してアウトサイドハンドル(図示せず)に連係するオープンロッド35の長孔351に対して摺動可能に係合してある。また、図1に示すようにリンクレバー32の右側部には、作動部323が側方に向けて延在してある。この作動部323は、ラチェットレバー27の作用端部272および押圧端部273に係わる。また、リンクレバー32の下端部には、弧状の長孔324が設けてある。この長孔324は、後述するロック機構側に係合している。
【0035】
インサイドハンドルレバー33は、板金からなり、図3に示すようにベースプレート1の側板12に配設されたレバー回転軸36の軸心回りに回動自在に配設してあって、連係端部331と当接端部332とを有している。連係端部331は、図3において上方に向けて延在する部分であり、図示しないケーブルを介してインサイドハンドル(図示せず)に接続してある。当接端部332は、図1で示すオープンレバー31の他方のオープン作用端部312に向けて延在する部分であり、インサイドハンドルレバー33が図3において時計回りに回動した場合に他方のオープン作用端部312に当接してオープンレバー31を図1において反時計回りに回動させるためのものである。
【0036】
上記のように構成した解除手段は、ラッチ機構が図6に示すハーフラッチ状態または図7に示すフルラッチ状態にあるとき、アウトサイドハンドルが開操作されてオープンロッド35が図1において下方に押された場合、もしくはインサイドハンドルが開操作されてインサイドハンドルレバー33が図3において時計回りに回動した場合に、図8に示すようにオープンレバー31がオープンレバーバネ34の弾性力に抗して反時計回りに回動する。このように、オープンレバー31を反時計回りに回動させると、一方のオープン作用端部311の回動軌跡に従ってリンクレバー32が下方に移動する。リンクレバー32は、上端部が第一連結軸321によって一方のオープン作用端部311に軸支され、且つ、下端部の長孔324によって案内された状態で下方に向けて平行移動する。この移動に伴い、リンクレバー32の作動部323がラチェットレバー27の作用端部272に当接しつつ当該ラチェットレバー27をラチェット回転軸26の中心に反時計回りに回動させる。すると、ラチェットレバー27およびラチェット23が一体に回動して、図5に示すようにラッチ機構のラッチ22のフック部222と、ラチェット23の係合部231との当接係合状態を解除し、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
【0037】
なお、アウトサイドハンドルが開操作されてオープンロッド35が図1において下方に押された場合、図8に示すようにオープンレバー31が反時計回りに回動するが(図8においてオープンロッド35は不作動)、このときオープンレバー31の他方のオープン作用端部312がインサイドハンドルレバー33の当接端部332から離間するように移動する。したがって、アウトサイドハンドルの開操作がインサイドハンドル側に影響する事態を防いでいる。また、インサイドハンドルが開操作されてインサイドハンドルレバー33が図3において時計回りに回動した場合、図8に示すようにオープンレバー31が反時計回りに回動するが、このときオープンロッド35に設けた長孔351によってオープンレバー31の回動がオープンロッド35には伝達しない。したがって、インサイドハンドルの開操作がアウトサイドハンドル側に影響する事態を防いでいる。
【0038】
ロック機構は、上述した解除手段の作用をラチェットレバー27に伝達不能としてラッチ機構のフルラッチ状態をロック(維持)できるようにするものであり、図1に示すようにロックレバー41およびキーレバー42を有している。
【0039】
ロックレバー41は、合成樹脂材からなり、図1に示すようにベースプレート1の基板11の下方に設けてある。ロックレバー41は、ロックレバー回転軸411を有し、このロックレバー回転軸411を基板11に対して回転可能に支承してある。ロックレバー41は、略L字状をなしており、その一端が図1において右方に延在し、他端が略上方に延在してある。そして、ロックレバー41の一端には、係合孔412が設けてあって、当該係合孔412にロック作動レバー511が挿通係合してある。このロック作動レバー511は、図4に示すようにベースプレート1の側板12に固定したアクチュエータ51に設けてあって、且つ、ドアの内側(車両室内側)に設けたロック操作部(図示せず)に連係してある。また、図1に示すようにロックレバー41の他端には、係合片413が設けてある。この係合片413は、解除手段のリンクレバー32に設けた長孔324に挿通係合している。なお、図には明示しないが、ロックレバー41は、図1においてロックレバー回転軸411を軸心として時計回りまたは反時計回りに回動したとき、その回動した状態をバネによって維持するように付勢される。本実施の形態では、前記バネにラチェット23(およびラチェットレバー27)の回動方向を常に付勢する不図示のラチェットバネを用いている。
【0040】
キーレバー42は、合成樹脂材からなり、図1に示すようにロックレバー41に重ね合わせた形態でベースプレート1の基板11の下方に設けてある。キーレバー42は、キーレバー回転軸421を有し、このキーレバー回転軸421をロックレバー41に対して回転可能に支承してある。なお、キーレバー回転軸421は、ロックレバー回転軸411と同一軸心上に配置してある。キーレバー42は、図1において左方に延在する一端に、ドアの外側(車両室外側)に設けた図示しないキーシリンダに連係するキーロッド(図示せず)が連結してある。また、キーレバー42は、図1において右方に延在する他端に設けた係合片422に、図3に示すようにアクチュエータ51に設けたキー操作検出レバー512が連結してある。また、キーシリンダ(図示せず)には、キーを差し込むキー孔を常に所定の向き(中立位置)とするように構成してある。これに連係してキーレバー42は、図1に示す所定の回動位置となるように規制される。
【0041】
なお、図1に示すようにロックレバー41には、ロックレバー回転軸411の軸周りに沿って切欠溝414が設けてある。一方、キーレバー42には、切欠溝414に係合する突片423が設けてある。そして、切欠溝414への突片423の係合は、各レバー41,42の回動方向に所定の遊びを有している。
【0042】
上記のように構成したロック機構は、ドアが車両本体に対して閉成状態にあって、図7に示すようにラッチ機構がフルラッチ状態にあるとき、ドアの内側(車両室内側)からロック操作部(図示せず)の操作またはアクチュエータ51によって、図9に示すようにロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に時計回りに回動した場合に、係合片413の回動軌跡に従ってリンクレバー32が回動する。リンクレバー32は、上端部が第一連結軸321によって一方のオープン作用端部311に軸支され、且つ、下端部の長孔324にロックレバー41の係合片413が係合した状態で、図9に示すように第一連結軸321を軸心として反時計回りに回動する。リンクレバー32が反時計回りに回動すると、リンクレバー32の作動部323が右方向に移動する。この状態において、上述のごとく解除手段を動作させると、図10に示すようにリンクレバー32が平行移動するが、作動部323はラチェットレバー27の作用端部272に当接することがなく、ラッチ22のフック部222とラチェット23の係合部231との当接係合状態も解除されない。この結果、ドアが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる(ロック状態)。なお、ドアの外側(車両室外側)からキーの操作によってキーレバー42が図1においてキーレバー回転軸421を軸心に時計回りに回動した場合でも、ロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に時計回りに回動するため、上述したロック状態にできる。
【0043】
一方、上述したロック状態から、ドアの内側(車両室内側)からロック操作部の操作、またはアクチュエータ51によって、ロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に反時計回りに回動した場合に、係合片413の回動軌跡に従ってリンクレバー32が回動する。リンクレバー32は、上端部が第一連結軸321によって一方のオープン作用端部311に軸支され、且つ、下端部の長孔324にロックレバー41の係合片413が係合した状態で、図1に示すように第一連結軸321を軸心として時計回りに回動する。リンクレバー32が時計回りに回動すると、リンクレバー32の作動部323が左方向に移動する。この状態において、上述のごとく解除手段を動作させると、図8に示すように、平行移動したリンクレバー32の作動部323がラチェットレバー27の作用端部272に当接してラッチ22のフック部222とラチェット23の係合部231との当接係合状態を解除し、ドアを車両本体に対して開動作させることが可能になる(アンロック状態)。なお、ドアの外側(車両室外側)からキーの操作によってキーレバー42が図1においてキーレバー回転軸421を軸心に反時計回りに回動した場合でも、連動してロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に反時計回りに回動するため、上述したアンロック状態にできる。
【0044】
ところで、本実施の形態におけるドアロック装置では、ドアが車両本体に対して開成状態にあって、図5に示すようにラッチ22が開放位置に配置された状態で、ロック操作部の操作によってロック機構をロック状態にする(図9参照)。ここでは、リンクレバー32の作動部323が右方向に移動して、ラチェットレバー27の押圧端部273に対面する。この状態からドアを閉動作させると、ストライカSに当接したラッチ22が図9に示すフルラッチ状態に向けて時計回りに回動する。このため、ラチェット23は、係合部231の端面がラッチ22の外周面に摺接して図9において反時計回りに回動し、ラチェットレバー27も同様にして反時計回りに回動する。すると、ラチェットレバー27の押圧端部273がリンクレバー32の作動部323を左方向に押すことから、リンクレバー32が反時計回りに回動するとともにロックレバー41を反時計回りに回動して、ロック機構がアンロック状態に戻ることになる。すなわち、キーを車両室内に置いた状態でロック操作部の操作でロック機構をロック状態にしてしまっても、ドアの閉動作でロック機構がアンロック状態に戻るので、キーを車両室内に閉じ込める事態を防止できる(セルフキャンセル機構)。一方、ドアが車両本体に対して開成状態にあって、ロック操作部の操作によってロック機構をロック状態にしたとき(図9参照)、アウトサイドハンドルまたはインサイドハンドルを開操作して解除手段を動作させると、リンクレバー32が図10に示すように平行移動して、作動部323がラチェットレバー27の押圧端部273から離間する。この状態からドアを閉動作させた場合には、ラチェットレバー27の押圧端部273がリンクレバー32の作動部323に当接しないので、ロック状態のままドアを閉成状態にすることができる(キーレス機構)。
【0045】
なお、ロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に時計回りまたは反時計回りに回動したとき、ロックレバー41の切欠溝414とキーレバー42の突片423との係合に遊びがあるため、キーレバー42がロックレバー41と共に回動することはない。この結果、ドアの内側(車両室内側)からロック操作部の操作、またはアクチュエータ51によって、ロックレバー41がロックレバー回転軸411を軸心に回動した場合に、キーシリンダ(図示せず)のキー孔の向きが変わる事態を防止している。
【0046】
以下、上述したドアロック装置の組み立てについて説明する。図11は図1に示すドアロック装置を正面側から視た分解斜視図、図12は図1に示すドアロック装置を背面側から視た分解斜視図、図13はベースプレートを示す斜視図、図14および図15はロックレバーを示す斜視図、図16はキーレバーを示す斜視図、図17および図18はリンクレバーを示す斜視図、図19はラチェット回転軸の組み立てを示す断面図、図20はロックレバーとキーレバーとの組み立てを示す正面図、図21はロックレバーとベースプレートとの組み立てを示す背面図、図22〜図24はベースプレートとアクチュエータとの組み立てを示す側面図である。
【0047】
ここで、ドアロック装置の組み立てに係る主たる部品の構成を説明する。図11に示すようにラッチ回転軸25は、抜止鍔部251を有する基端側に、オープンレバー31の厚みを受けて当該オープンレバー31を回転可能に支承する第一段部252を有している。そして、ラッチ回転軸25は、第一段部252の先端側に、ベースプレート1、ラッチボディ21およびカバープレート24を積層した厚みを受けつつ、ラッチボディ21とカバープレート24との間でラッチ22を回転可能に支承する第二段部253を有している。
【0048】
図11に示すようにラチェット回転軸26は、抜止鍔部261を有する基端側に、ラチェットレバー27の厚みを受けて当該ラチェットレバー27を回転可能に支承する第一段部262を有している。そして、ラチェット回転軸26は、第一段部262の先端側に、ベースプレート1の厚みを受ける第二段部263を有している。さらに、ラチェット回転軸26は、第二段部263の先端側に、ラッチボディ21およびカバープレート24を積層した厚みを受けつつ、ラッチボディ21とカバープレート24との間でラチェット23を回転可能に支承する第三段部264を有している。
【0049】
図13に示すようにベースプレート1は、基板11において、ラッチ回転軸25を挿通するラッチ軸受孔111と、ラチェット回転軸26を挿通するラチェット軸受孔112とを有している。さらに、ベースプレート1は、基板11においてロックレバー41を回転可能に支承するロックレバー軸受孔113を有している。ロックレバー軸受孔113は、ロックレバー41のロックレバー回転軸411を回転可能に支承するためのものである。ロックレバー軸受孔113は、ロックレバー回転軸411を挿通する挿通孔部113aと、当該挿通孔部113aに連設して挿通孔部113aよりも内径が小径に形成されてロックレバー回転軸411を回転可能に支承する軸受孔部113bとを有している。また、ベースプレート1は、基板11において、ロックレバー軸受孔113の近傍にロックレバー41に係わる回動規制孔114を有している。
【0050】
また、図13に示すようにベースプレート1は、側板12において、アクチュエータ51を取り付けるための挿入片121を有している。この挿入片121は、側板12の端縁から基板11に対してほぼ平行となるように基板11側に折り曲げた第一挿入片121aと、当該第一挿入片121aの先端からさらに基板11に対してほぼ平行となるように基板11側に延在した一対の第二挿入片121bとからなる。さらに、ベースプレート1は、側板12において、アクチュエータ51およびインサイドハンドルレバー33を取り付けるためのネジ孔122を有している。このネジ孔122は、挿入片121が延在する方向と同一方向に後述する締結部材をなす取付ネジ361をねじ込むように形成してある。
【0051】
図14に示すようにロックレバー41は、ベースプレート1に対峙する背面側にロックレバー回転軸411を有している。ロックレバー回転軸411は、ロックレバー41に一体に延設した円柱状の棒状部411aの先端に当該棒状部411aの径外方向に突出するフランジ部411bを有している。さらに、ロックレバー回転軸411は、棒状部411aの中心(軸心)に沿って貫通した軸孔411cを有している。なお、ロックレバー回転軸411のフランジ部411bは、ベースプレート1におけるロックレバー軸受孔113の挿通孔部113aに挿通可能な外径をなし、ロックレバー回転軸411の棒状部411aは、ロックレバー軸受孔113の軸受孔部113bに対して回転可能に係合する外径をなしている。
【0052】
さらに、図15に示すようにロックレバー41は、キーレバー42が対峙する正面側に軸受415を有している。この軸受415は、キーレバー42のキーレバー回転軸421を自身のロックレバー回転軸411と同一軸心上で回転可能に支承するためのものである。軸受415は、ロックレバー回転軸411の軸心を中心としてロックレバー41に一体に配置した鉤状体であって、ロックレバー回転軸411の軸心方向に沿って延在する支持片415aと、当該支持片415aの上端から軸心に向けて延在した係止片415bとで形成してある。そして、軸受415は、軸心に直交する所定方向にのみ開放する態様で、ロックレバー回転軸411の軸心を中心として複数(本実施の形態では3つ)配置してある。なお、軸受415は、軸心に直交する所定方向にのみ開放する態様であれば、ロックレバー回転軸411の軸心を中心として連続して設けてあってもよい。
【0053】
また、図14および図15に示すようにロックレバー41は、背面側に向けて延在した規制突部416を有している。
【0054】
図16に示すようにキーレバー42は、ロックレバー41に対峙する背面側にキーレバー回転軸421を有している。キーレバー回転軸421は、キーレバー42一体に延設した円柱状の棒状部421aの先端に当該棒状部421aの径外方向に突出するフランジ部421bを有している。さらに、キーレバー回転軸421は、棒状部421aの中心(軸心)に沿って貫通した軸孔421cを有している。この軸孔421cは、ロックレバー41に設けた軸孔411cと同一の内径を有している。なお、キーレバー回転軸421のフランジ部421bは、ロックレバー41における軸受415の支持片415aに対して回転可能に係合する外径をなし、キーレバー回転軸421の棒状部421aは、軸受415の係止片415bに対して回転可能に係合する外径をなしている。
【0055】
図17に示すようにリンクレバー32は、その上端部の正面(一方の面)に第一連結軸321が設けてある。リンクレバー32は、第一連結軸321を介してオープンレバー31の一方のオープン作用端部311に対して軸支した状態で連結してある。なお、第一連結軸321の先端には、当該第一連結軸321の軸に直交しつつ相反する径外方向に延出した一対の係止突起321aが設けてある。これに対してオープンレバー31の一方のオープン作用端部311には、係止突起321aを含み第一連結軸321を挿通する形状の軸孔311a(図11および図12参照)が設けてある。すなわち、オープンレバー31とリンクレバー32とを連結する際には、第一連結軸321を軸孔311aに挿通して第一連結軸321を中心に相対的に回転させることで、係止突起321aが軸孔311aの周縁に係合する。
【0056】
また、図18に示すようにリンクレバー32は、その上端部の背面(他方の面)に、第一連結軸321と同軸で第二連結軸322が設けてある。リンクレバー32は、第二連結軸322を介してアウトサイドハンドル(図示せず)に連係するオープンロッド35の長孔351に対して摺動可能に係合してある。なお、第二連結軸322の先端には、当該第二連結軸322の軸に直交しつつ相反する径外方向に延出した一対の係止突起322aが設けてある。さらに、第二連結軸322の側部には、係止爪322bが設けてある。すなわち、オープンロッド35とリンクレバー32とを連結する際には、第二連結軸322を長孔351に挿通して第二連結軸322を中心に相対的に回転させることで、係止突起322aが長孔351の周縁に係合する。また、第二連結軸322を長孔351に挿通した際、係止爪322bが仮の抜け止めとなる。
【0057】
ここで、ドアロック装置の組み立てを説明する。ドアロック装置の組み立ては、図11および図12に示すよう上方に向くラッチ回転軸25およびラチェット回転軸26の先端側から、各部品を挿通して、当該先端をカシメ止めるようにする。具体的には、にラッチ回転軸25およびラチェット回転軸26の基端を適宜固定し、そこに各部品を挿通する。
【0058】
まず、図19(a)に示すようにラチェット回転軸26の第一段部262にラチェットレバー27の軸受孔274を挿通した後、第二段部263にベースプレート1のラチェット軸受孔112を挿通する。このとき、第二段部263は、ベースプレート1の面から突出した状態となる。次いで、図19(b)に示すようにラチェット回転軸26の先端側から被さるカシメ具Aを用いてラチェット回転軸26の第二段部263をベースプレート1に対してカシメ止める。一方、ラッチ回転軸25の第一段部252にオープンレバー31を挿通しつつベースプレート1のラッチ軸受孔111を挿通する。
【0059】
次に、ラッチ回転軸25の第二段部253およびラチェット回転軸26の第三段部264に開口21aを上方に向けてラッチボディ21を挿通する。そして、ラッチ回転軸25の第二段部253にラッチ22を挿通するとともに、ラチェット回転軸26の第三段部264にラチェット23を挿通して、ラッチ22およびラチェット23をラッチボディ21に収容する。さらに、ラチェット23の作用部232とラチェットレバー27の連結端部271とを連結する。また、ラッチ22およびラチェット23をラッチボディ21に収容する際には、図示しないラッチバネおよびラチェットバネをそれぞれラッチ22およびラチェット23に係合させてラッチボディ21に収容する。
【0060】
次に、ラッチボディ21の開口21aをカバープレート24で塞ぎ、当該カバープレート24から延出したラッチ回転軸25およびラチェット回転軸26の先端をカバープレート24に対してカシメ止める。
【0061】
なお、ラッチ回転軸25およびラチェット回転軸26にラッチボディ21を挿通する以前に、ロックレバー41およびキーレバー42を予めベースプレート1に装着しておく。この際、ロックレバー41とキーレバー42とを、予め重ね合わせた形態でベースプレート1に装着する。具体的には、図20(a)および図20(b)に示すようにロックレバー41の軸受415に対し、キーレバー42のキーレバー回転軸421のフランジ部421bを係合させる。すると、ロックレバー41の軸孔411cと、キーレバー42の軸孔421cとが重なり合った状態で、キーレバー42がキーレバー回転軸421を中心にロックレバー41に対して回転可能に設けられることになる。
【0062】
そして、上記のごとく重ね合わせたロックレバー41およびキーレバー42をベースプレート1に装着するには、図21(a)〜図21(c)に示すように(ここではキーレバー42を省略してある)ベースプレート1におけるロックレバー軸受孔113の挿通孔部113aに、ロックレバー41におけるロックレバー回転軸411のフランジ部411bを挿通する。この状態でロックレバー41を軸受孔部113b側に移動してロックレバー回転軸411の棒状部411aを軸受孔部113bに係合する。ここで、ラッチ回転軸25およびラチェット回転軸26にラッチボディ21を挿通して当該ラッチボディ21をベースプレート1に取り付ける。この際、ラッチボディ21に一体に設けた支軸212(図11および図12に示す)を、ロックレバー41の軸孔411cおよびキーレバー42の軸孔421cに挿通する。これにより、ロックレバー41がベースプレート1に回転可能に支承され、かつ、キーレバー42がロックレバー41に回転可能に支承される。
【0063】
なお、リンクレバー32は、第二連結軸322にオープンロッド35が取り付けられた状態で、第一連結軸321がオープンレバー31における一方のオープン作用端部311の軸孔311aに挿通される。さらに、リンクレバー32は、長孔324がロックレバー41の係合片413に係合される。
【0064】
最後に、アクチュエータ51をベースプレート1に取り付ける。この場合には、図13に示すベースプレート1における側板12に設けた挿入片121およびネジ孔122を介してアクチュエータ51を取り付ける。アクチュエータ51には、図22に示すように取付ネジ361を挿通する挿通孔513と、挿入片121の第一挿入片121aおよび第二挿入片121bを挿入して係合し取付ネジ361を締め付ける方向に沿う移動のみを許容して係合する溝部514とが設けてある。ここで、取付ネジ361は、段付ネジとして構成してあり、その段部をインサイドハンドルレバー33に設けた軸受孔33aに挿通してインサイドハンドルレバー33の支軸となる段部をレバー回転軸36としてある。そして、アクチュエータ51をベースプレート1に取り付ける際には、図23に示すようにベースプレート1の挿入片121にアクチュエータ51の溝部514を挿入する。次いで、図24に示すようにインサイドハンドルレバー33を挿通した取付ネジ361をベースプレート1のネジ孔122に締め付ける。ここでは、アクチュエータ51を挿入片121に挿入する方向と、取付ネジ361を締め付ける方向とが同一の方向としてある。
【0065】
上述したドアロック装置においては、ロックレバー41をベースプレート(所定の基部)1に対して回転可能に取り付けるレバーの取付構造として、ロックレバー41に一体に延設した棒状部411aの先端に当該棒状部411aの径外方向に突出するフランジ部411bを有したロックレバー回転軸411と、ベースプレート1に設けてあってロックレバー回転軸411をその軸心に直交する所定方向に移動可能に案内しつつ移動した位置でフランジ部411bに係合して軸心に沿う方向へのロックレバー回転軸411の移動を規制するとともにロックレバー回転軸411を回転可能に支持する軸受孔(軸受)113と、ベースプレート1に固定して軸心に直交する方向へのロックレバー回転軸411の移動を規制する支軸(規制部材)212とを備えている。この結果、回転軸にボルトなどを用いること無くロックレバー41の取り付け作業が容易であり、かつ、外力に抗する十分な取り付け強度を有することが可能になる。
【0066】
さらに、支軸212は、ロックレバー回転軸411の軸心に沿ってロックレバー41に設けた軸孔411cに挿通し、ロックレバー軸受孔113と共働してロックレバー回転軸411を回転可能に支持する棒軸からなる。この結果、ロックレバー41の回転を円滑にした状態で取り付けることが可能になる。
【0067】
また、ロックレバー(第一レバー)41およびキーレバー(第二レバー)42を重ね合わせた形態でベースプレート(所定の基部)1に対して独立して回転可能に取り付けるレバーの取付構造として、ロックレバー41に一体に延設した棒状部411aの先端に棒状部411aの径外方向に突出するフランジ部411bを有したロックレバー回転軸(第一回転軸)411と、ベースプレート1に設けてあってロックレバー回転軸411をその軸心に直交する所定方向に移動可能に案内しつつ移動した位置でフランジ部411bに係合して軸心に沿う方向へのロックレバー回転軸411の移動を規制するとともに当該ロックレバー回転軸411を回転可能に支持するロックレバー軸受孔(第一軸受)113と、キーレバー42に一体に延設した棒状部421aの先端に当該棒状部421aの径外方向に突出するフランジ部421bを有したキーレバー回転軸(第二回転軸)421と、ロックレバー41に設けてあってキーレバー回転軸421をその軸心に直交する所定方向に移動可能に案内しつつ移動した位置でフランジ部421bに係合して軸心に沿う方向へのキーレバー回転軸421の移動を規制するとともに当該キーレバー回転軸421をロックレバー回転軸411と同一軸心上で回転可能に支持する軸受(第二軸受)415と、ベースプレート1に固定して軸心に直交する方向へのロックレバー回転軸411およびキーレバー回転軸421の移動を規制する支軸(規制部材)212とを備えている。この結果、回転軸にボルトなどを用いること無くロックレバー41およびキーレバー42の取り付け作業が容易であり、かつ、外力に抗する十分な取り付け強度を有することが可能になる。なお、この場合、キーレバー回転軸421はロックレバー41またはキーレバー42のいずれか一方に設けてあればよく、軸受415はロックレバー41またはキーレバー42のいずれか他方に設けてあればよい。
【0068】
さらに、支軸(規制部材)212は、ロックレバー回転軸411の軸心に沿ってロックレバー41に設けた軸孔411cおよびキーレバー回転軸421の軸心に沿ってキーレバー42に設けた軸孔421cに挿通し、ロックレバー軸受孔113および軸受415と共働してロックレバー回転軸411およびキーレバー回転軸421を回転可能に支持する棒軸からなる。この結果、ロックレバー41およびキーレバー42を円滑に回転可能に取り付けることが可能になる。
【0069】
また、オープンレバー31にリンクレバー32を連結し、さらにアウトサイドハンドルに連絡するオープンロッド35をオープンレバー31に連結して、アウトサイドハンドルの操作をオープンレバー31からリンクレバー32に経由することでラッチ機構を解除するドアロック装置として、オープンレバー31に対してリンクレバー32を揺動可能に係合する第一連結軸321と、リンクレバー32に対してオープンロッド35を摺動可能に係合する第二連結軸322とをリンクレバー32に一体的に設けてある。この結果、オープンレバー31、リンクレバー32およびオープンロッド35の連結に関して部品点数を削減することが可能になり、また装置の小型化を図ることが可能になる。
【0070】
さらに、第一連結軸321はリンクレバー32の一方の面に設けてあり、第二連結軸322はリンクレバー32の他方の面に設けてある。この結果、リンクレバー32の面の領域内における一方の面と他方の面とにオープンレバー31、リンクレバー32およびオープンロッド35の連結部位を集約したので、装置の小型化を図ることが可能になる。
【0071】
さらに、第一連結軸321と第二連結軸322とを同軸上に配置してある。この結果、アウトサイドハンドルの操作をオープンレバー31からリンクレバー32に経由する操作力の伝達負荷を低減することが可能になる。
【0072】
さらに、リンクレバー32は第一連結軸321および第二連結軸322を伴って合成樹脂材によって成形してある。この結果、オープンレバー31やオープンロッド35との摺動抵抗を軽減するとともに、装置の軽量化を図ることが可能になる。
【0073】
また、一方の面が開口するラッチボディ(収容部)21にラッチ22およびラチェット23を収容してあり、ラッチボディ21の開口21aを閉塞するカバープレート24とラッチボディ21の他方の面を添えたベースプレート1との間でラッチボディ21を挟んだ形態として、ラッチ22を支承するラッチ回転軸25、およびラチェット23を支承するラチェット回転軸26を貫通してあって、かつ、ラチェット23と一体的に回動するラチェットレバー27をベースプレート1の外側の位置でラチェット回転軸26に支承したドアロック装置として、ラチェット回転軸26は、抜止鍔部261を有する基端側にラチェットレバー27を回転可能に支承する第一段部262と、当該第一段部262の先端側でベースプレート1の厚みを受ける第二段部263とを有し、第一段部262にラチェットレバー27を挿通して、第二段部263にベースプレート1を挿通した形態で第二段部263をベースプレート1に対してカシメ止めてなる。この結果、ラチェット回転軸26をベースプレート1に前もって取り付けることで、ラチェットレバー27の軸方向の遊びを抑えつつ組み立て作業性を向上することが可能になる。
【0074】
また、一方の面が開口するラッチボディ21にラッチ22およびラチェット23を収容してあり、ラッチボディ21の開口21aを閉塞するカバープレート24とラッチボディ21の他方の面を添えたベースプレート1との間でラッチボディ21を挟んだ形態として、ラッチ22を支承するラッチ回転軸25、およびラチェット23を支承するラチェット回転軸26を貫通してあって、かつ、ラチェット23と一体的に回動するラチェットレバー27をベースプレート1の外側の位置でラチェット回転軸26に支承したドアロック装置の組み立て方法として、ラチェットレバー27が回転可能に挿通されたラチェット回転軸26にベースプレート1を挿通して当該ラチェット回転軸26をベースプレート1に対してカシメ止める一方、ラチェット回転軸26と同方向に向くラッチ回転軸25にベースプレート1を挿通する工程と、ベースプレート1に添う態様でラチェット回転軸26およびラッチ回転軸25に対してラッチボディ21を挿通して各回転軸25,26にラッチ22とラチェット23とを挿通した後でラッチボディ21の開口21aを閉塞したカバープレート24の外側から各回転軸25,26の先端をカシメ止める工程とを含む。この結果、ラチェット回転軸26およびラッチ回転軸25を同方向からカシメ止めるので、ラチェットレバー27の軸方向の遊びを抑えつつ組み立て作業性を向上することが可能になる。
【0075】
なお、上記実施の形態においては、ラチェット回転軸26のみベースプレート1に前もって取り付けたが、同様にラッチ回転軸27もベースプレート1に前もって取り付けても良い。
【0076】
また、アクチュエータ51の駆動によってラッチ機構またはロック機構を作動させるよう構成したドアロック装置として、ラッチ機構を取り付けるベースプレート1に挿入片121を形成し、当該挿入片121にアクチュエータ51の溝部514を挿入し、ラッチ機構を操作するインサイドハンドルレバー33の支軸をなす取付ネジ361(締結部材)によって挿入片121からの離脱を規制しつつアクチュエータ51をベースプレート1に固定してある。この結果、挿入片121および溝部514と、取付ネジ361とによってベースプレート1に対してアクチュエータ51が取り付けられるので、アクチュエータ51の取り付け作業性を向上することが可能になる。なお、アクチュエータ51の駆動によっては、ラッチ機構におけるラッチ22とラチェット23との噛合解除、またはロック機構におけるロック状態、アンロック状態への切換作動を行うことが可能である。
【0077】
さらに、挿入片121および溝部514は取付ネジ361を締め付ける方向に沿う移動のみを許容してアクチュエータ51をベースプレート1に挿入する。この結果、ベースプレート1へのアクチュエータ51の挿入方向と、取付ネジ361の締め付け方向とが同じ方向になるので、アクチュエータ51の取り付け作業性を向上することが可能になる。
【0078】
さらに、取付ネジ361はインサイドハンドルレバー33を回転可能に支承する1つの段部を有している。この結果、ベースプレート1、アクチュエータ51、インサイドハンドルレバー33の3つの部材を取り付けつつ、インサイドハンドルレバー33の回転に際してガタや締めすぎを抑えることが可能になる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、締結部材を取付ネジ361としたが、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るドアロック装置の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示すドアロック装置の背面図である。
【図3】図1に示すドアロック装置の左側面図である。
【図4】図1に示すドアロック装置の右側面図である。
【図5】ラッチ機構の動作を示す図である。
【図6】ラッチ機構の動作を示す図である。
【図7】ラッチ機構の動作を示す図である。
【図8】ラッチ機構の解除操作を示すドアロック装置の正面図である。
【図9】ロック機構のロック状態を示すドアロック装置の正面図である。
【図10】ロック機構のロック状態を示すドアロック装置の正面図である。
【図11】図1に示すドアロック装置を正面側から視た分解斜視図である。
【図12】図1に示すドアロック装置を背面側から視た分解斜視図である。
【図13】ベースプレートを示す斜視図である。
【図14】ロックレバーを示す斜視図である。
【図15】ロックレバーを示す斜視図である。
【図16】キーレバーを示す斜視図である。
【図17】リンクレバーを示す斜視図である。
【図18】リンクレバーを示す斜視図である。
【図19】ラチェット回転軸の組み立てを示す断面図である。
【図20】ロックレバーとキーレバーとの組み立てを示す正面図である。
【図21】ロックレバーとベースプレートとの組み立てを示す背面図である。
【図22】ベースプレートとアクチュエータとの組み立てを示す側面図である。
【図23】ベースプレートとアクチュエータとの組み立てを示す側面図である。
【図24】ベースプレートとアクチュエータとの組み立てを示す側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 ベースプレート
11 基板
111 ラッチ軸受孔
112 ラチェット軸受孔
113 ロックレバー軸受孔
113a 挿通孔部
113b 軸受孔部
114 回動規制孔
12 側板
121 挿入片
121a 第一挿入片
121b 第二挿入片
122 ネジ孔
21 ラッチボディ
21a 開口
211 水平切欠溝
212 支軸
22 ラッチ
221 噛合溝
222 フック部
223 係止部
23 ラチェット
231 係合部
232 作用部
24 カバープレート
241 水平切欠溝
25 ラッチ回転軸
251 抜止鍔部
252 第一段部
253 第二段部
26 ラチェット回転軸
261 抜止鍔部
262 第一段部
263 第二段部
264 第三段部
27 ラチェットレバー
271 連結端部
272 作用端部
273 押圧端部
274 軸受孔
31 オープンレバー
311 一方のオープン作用端部
311a 軸孔
312 他方のオープン作用端部
32 リンクレバー
321 第一連結軸
321a 係止突起
322 第二連結軸
322a 係止突起
322b 係止爪
323 作動部
324 長孔
33 インサイドハンドルレバー
33a 軸受孔
331 連係端部
332 当接端部
34 オープンレバーバネ
35 オープンロッド
351 長孔
36 レバー回転軸(締結部材、段部)
361 取付ネジ(締結部材)
41 ロックレバー
411 ロックレバー回転軸
411a 棒状部
411b フランジ部
411c 軸孔
412 係合孔
413 係合片
414 切欠溝
415 軸受
415b 係止片
415a 支持片
416 規制突部
42 キーレバー
421 キーレバー回転軸
421a 棒状部
421b フランジ部
421c 軸孔
422 係合片
423 突片
51 アクチュエータ
511 ロック作動レバー
512 キー操作検出レバー
513 挿通孔
514 溝部
A カシメ具
S ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動によってラッチ機構またはロック機構を作動させるよう構成したドアロック装置において、
ラッチ機構を取り付けるベースプレートに挿入片を形成し、当該挿入片にアクチュエータの溝部を挿入し、ラッチ機構を操作するレバーの支軸をなす締結部材によって挿入片からの離脱を規制しつつアクチュエータをベースプレートに固定したことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記挿入片および溝部は前記締結部材を締め付ける方向に沿う移動のみを許容してアクチュエータを挿入することを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記締結部材は前記レバーを回転可能に支承する1つの段部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−197974(P2007−197974A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16645(P2006−16645)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】