説明

ドア

【課題】金属板の折曲加工を簡単にして加工コストを低減して強度を向上する。
【解決手段】ドアは、一対の縦枠4の表面に第1の金属板1と第2の金属板2とを固定している。第1の金属板1は、溝形の戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yを挿入するU曲カバー部11を備え、このU曲カバー部11の先端縁に設けた係止溝部13を側壁4Yの内側に配置している。第2の金属板2は、溝形の戸先側の縦枠4Aの開口部4Zを閉塞するカバー折曲部14を有し、このカバー折曲部14の先端部を内側に折曲して積層折曲部15としている。ドアは、第1の金属板1のU曲カバー部11に戸先側の縦枠4Aの側壁4Yを挿入して、第2の金属板2の積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入し、さらに、第1の金属板1と第2の金属板2の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて、第1の金属板1と第2の金属板2とを縦枠4に連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に金属板を固定してなるドアに関し、とくに表面の金属板を互いに連結して枠に固定してなるドアに関する。
【背景技術】
【0002】
両面を金属板とするドアは、両面の金属板を互いに連結する構造として能率よく組み立てできる。本出願人は、このことを実現することを目的として、図1の断面図に示すドアを開発した。このドアは、第1の金属板91を折曲加工してその両側に連結溝94を設け、第2の金属板92にはこの連結溝94に挿入して連結できる連結凸条93を設け、連結凸条93を連結溝94に挿入して連結して組み立てできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−24399
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すドアは、2枚の金属板を連結して能率よく組み立てできるが、各々の金属板を複雑な形状に折曲加工するので、加工に手間がかかって加工コストが高くなる欠点がある。とくに、一方の金属板にはその両側に連結溝を設ける複雑な形状に折曲加工するので、この金属板の折曲加工に著しく手間がかかる欠点がある。また、フレームを内蔵しないので、ドアの強度も低くなる欠点がある。
【0005】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、金属板の折曲加工を簡単にして加工コストを低減して強度を向上できるドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明のドアは、ドアの戸先側に内蔵してなる断面形状を溝形とする戸先側の縦枠4Aと、ドアの戸尻側に内蔵してなる戸尻側の縦枠4Bと、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの第1の表面に固定している第1の金属板1と、第1の表面と反対側の面である第2の表面に固定している第2の金属板2とを備えている。戸先側の縦枠4Aは、底板4Xの両側に側壁4Yを設けてなる溝形であって、溝形の開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として第1の金属板1と第2の金属板2の間に配設している。第1の金属板1は、戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yを挿入するU曲カバー部11を備えている。さらに、このU曲カバー部11は、内側に折り返した内側積層部12の先端縁に係止溝部13を設けて、係止溝部13を側壁4Yの内側に配置している。第2の金属板2は、戸先側の縦枠4Aの表面から内側に折曲されて、溝形である戸先側の縦枠4Aの溝形の開口部4Zを閉塞するカバー折曲部14を有する。このカバー折曲部14は、先端部を内側に折曲して、U曲カバー部11の係止溝部13に案内される積層折曲部15としている。さらに、第1の金属板1と第2の金属板2は、戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿うように折曲してなる内側折曲部16を戸尻側に有する。ドアは、第1の金属板1のU曲カバー部11に戸先側の縦枠4Aの側壁4Yを挿入して、第1の金属板1を戸先側の縦枠4Aに連結し、第2の金属板2の積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入して、第2の金属板2を第1の金属板1に連結し、さらに、第1の金属板1と第2の金属板2の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて、第1の金属板1と第2の金属板2とを縦枠4に連結している。
【0007】
以上のドアは、金属板の折曲加工を簡単にして加工コストを低減できる。それは、以上のドアが、第1の金属板には、戸先側の縦枠の側壁を挿入しているU曲カバー部の内側積層部の先端に係止溝部を設けて、この係止溝部を側壁の内側に配設し、さらに、第2の金属板には、第1の金属板の係止溝部に連結される積層折曲部を設け、積層折曲部を係止溝部に案内して、第2の金属板を縦枠から外れないように連結できるからである。第1の金属板と第2の金属板の内側折曲部を戸尻側の縦枠の外周面に位置させることで、第1の金属板はU曲カバー部と内側折曲部で両側の縦枠を挟着し、第2の金属板はカバー折曲部と内側折曲部とで両側の縦枠を挟着する。したがって、第1の金属板と第2の金属板の表面に平行な方向のずれが阻止される。また、U曲カバー部を縦枠の側壁に挿入することで、第1の金属板が戸先側の縦枠から外側に外れるのが阻止され、また、積層折曲部を係止溝部に案内することで、第2の金属板が戸先側の縦枠から外側に外れるのが阻止される。したがって、金属板を簡単な形状に折曲加工するにもかかわらず、第1の金属板と第2の金属板とを確実に縦枠に固定できる。また、第1の金属板と第2の金属板の両側に一対の縦枠を固定していることで、ドアとしての強度も相当に向上できる特徴がある。
【0008】
本発明のドアは、戸先側の縦枠4Aが、第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入してなる一方の側壁4Yaを他方の側壁4Ybから突出するように幅を広くして突出部4Tを目板6とすることができる。
以上のドアは、戸先側の縦枠をU曲カバー部に挿入する構造によって、縦枠の側壁で目板を補強して、ここを極めて強固な構造にできる特徴がある。
【0009】
本発明のドアは、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの上下を横枠5で連結することができる。このドアは、第1の金属板1と第2の金属板2を横枠5の外周面に沿って内側に折曲して固定折曲部17を横枠5の外周面に固定することができる。
以上のドアは、第1の金属板と第2の金属板とを縦枠と横枠からなる強固な枠材で補強することから、ドアとしての強度を著しく向上できる特徴がある。
【0010】
本発明のドアは、第1の金属板1と第2の金属板2の固定折曲部17を、溶接、リベット20、接着のいずれかで横枠5の外周面に固定することができる。
以上のドアは、第1の金属板と第2の金属板の固定折曲部を横枠に強固に固定して、第1の金属板と第2の金属板とを確実にフレームに固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明者が先に開発したドアの水平断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるドアの正面図である。
【図3】図2に示すドアの水平断面図である。
【図4】図2に示すドアの垂直横断面図である。
【図5】図3に示すドアの製造工程の一例を示す工程図である。
【図6】図3に示すドアの製造工程の他の一例を示す工程図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかるドアの水平断面図である。
【図8】図7に示すドアの製造工程の一例を示す工程図である。
【図9】図7に示すドアの製造工程の他の一例を示す工程図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかるドアの水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのドアを例示するものであって、本発明はドアを以下のものに特定しない。
【0013】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0014】
図2ないし図4に示すドアは、縦枠4と横枠5を四角形に連結しているフレーム3と、フレーム3の両面に固定している第1の金属板1と第2の金属板2とを備える。第1の金属板1は、図3においてドアの上面に位置する第1の表面に固定しており、第2の金属板2は、第1の表面と反対側の面である、図3においてドアの下面である第2の表面に固定している。
【0015】
フレーム3は、ドアの両側に位置する縦枠4の上下に、ドアの上下に位置する横枠5を連結して四角形のフレーム3としている。縦枠4と横枠5は、例えば、厚さを約1.6mmとする鋼板で製作される。ただし、縦枠と横枠は、厚さを1〜2mmとする鋼板で製作することもできる。
【0016】
縦枠4は、ドアの戸先側に内蔵している断面形状を溝形とする戸先側の縦枠4Aと、ドアの戸尻側に内蔵している断面形状を溝形とする戸尻側の縦枠4Bとからなる。フレーム3は、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの上下に、水平姿勢の横枠5を連結して四角形の枠体としている。
【0017】
戸先側の縦枠4Aは、底板4Xの両側に側壁4Yを設けて溝形とするチャンネル材である。戸先側の縦枠4Aは、溝形の開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として第1の金属板1と第2の金属板2の間に配設している。図3に示す戸先側の縦枠4Aは、一方の側壁4Yaを他方の側壁4Ybから突出するように幅を広くして、突出部4Tを目板6としている。図3において、戸先側の縦枠4Aは、上側の側壁4Yaの幅を上側の側壁4Ybよりも広くして、突出部4Tを目板6としている。目板6となる側壁4Yaは、第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入されて、第1の金属板1で被覆している。
【0018】
戸尻側の縦枠4Bは、底板4Xの両側に側壁4Yを設けて溝形としているチャンネル材である。この戸尻側の縦枠4Bは、溝形の開口部4Zをドアの内側に向ける姿勢して、第1の金属板1と第2の金属板2との間に配設している。戸尻側の縦枠4Bは、第1の金属板1と第2の金属板2の側縁を側壁4Yから底板4Xの表面に沿うように内側に折曲して被覆している。図3の断面図に示すドアは、戸尻側の縦枠4Bを溝形のチャンネル材とするが、戸尻側の縦枠には、四角筒状の金属ロッドも使用できる。
【0019】
横枠5は、縦枠4の上端に固定される上枠5Aと、縦枠4の下端に固定される下枠5Bとからなる。上枠5Aと下枠5Bは、図4の断面図に示すように、金属板を溝形とするチャンネル材である。チャンネル材の上枠5Aは、溝の開口部を下向きとし、下枠5Bは溝の開口部を上向きとして、縦枠4の上下の端部に固定している。ただ、横枠は、チャンネル材に代わって四角筒状の金属ロッドも使用できる。さらに、図に示すドアは、第1の金属板1と第2の金属板2の上縁と下縁を互いに内側に直角に折曲して固定折曲部17とし、この固定折曲部17をリベット20で上枠5Aと下枠5Bに固定している。固定折曲部は、図示しないが、スポット溶接し、あるいは接着し、あるいはまた、係止構造で上枠と下枠に固定することもできる。
【0020】
第1の金属板1と第2の金属板2は、たとえば、厚さ0.4mm〜0.8mmとする鉄又は鉄合金からなる金属板である。第1の金属板1と第2の金属板2は、表面をプリントし、あるいは化粧シートを接着して綺麗に表面処理している。
【0021】
第1の金属板1は、戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yを挿入するU曲カバー部11を片側縁に設けている。第1の金属板1は、片側の側縁部を内側に折り返して、側壁4Yを挿入するU曲カバー部11を設けている。このU曲カバー部11は、内側に折り返した内側積層部12の先端縁に沿って係止溝部13を設けて、この係止溝部13を側壁4Yの内側に配置している。第1の金属板1は、内側積層部12の先端縁を内側、すなわち他方の側壁4Yに向かって折曲し、内側の角度である内角を鋭角として係止溝部13を設けている。図3のドアは、戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yaの幅を広くして、突出部4Tを目板6としているので、この目板6となる側壁4YaをU曲カバー部11に挿入してU曲カバー部11で目板6の側壁4Yaをカバーしている。
【0022】
第2の金属板2は、戸先側の縦枠4Aの表面、正確には側壁4Ybの表面からドアの外周面に沿うように内側に直角に折曲して、溝形である戸先側の縦枠4Aの開口部4Zを閉塞するカバー折曲部14を設けている。第2の金属板2は、戸先側の縦枠4Aの他方の側壁4Y、すなわち、目板6となる側壁4Yaと反対側の側壁4Ybの表面から先端縁に沿って折曲されて、溝形である一対の側壁4Yの開口部4Zを閉塞している。
【0023】
さらに、カバー折曲部14は、先端部を内側に折曲して、U曲カバー部11の先端縁に設けている係止溝部13に案内する積層折曲部15としている。カバー折曲部14は、戸先側の縦枠4Aの開口部4Zを閉塞するので、その幅は一対の側壁4Yの開口部4Zを閉塞する幅としている。また、カバー折曲部14は、その先端縁に設けている積層折曲部15をU曲カバー部11の内面に沿わせる幅としている。積層折曲部15は、U曲カバー部11の内面に密着する状態にあって、その先端縁を係止溝部13に挿入できる幅としている。
【0024】
図のドアは、戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yaの幅を広くして目板6を設けているので、第2の金属板2のカバー折曲部14は、目板6の先端縁よりもドアの内側に位置している。すなわち、内部に側壁4Yaを挿入しているU曲カバー部11が、ドアの外周面から外側に突出して、目板6となっている。
【0025】
さらに、第1の金属板1と第2の金属板2の戸尻側は、戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿うように折曲している内側折曲部16を設けている。この内側折曲部16が戸尻側の縦枠4Bの表面をカバーする。第1の金属板1の内側折曲部16と第2の金属板2の内側折曲部16は、戸尻側の縦枠4Bの表面を隙間なくカバーする幅としている。図3の断面図に示す内側折曲部16は、先端縁部を裏面に折り返すように折曲加工して、第1の金属板1と第2の金属板2との境界を綺麗に仕上げている。
【0026】
第1の金属板1と第2の金属板2の上下の外周縁は、図4の断面図に示すように、内側に折曲されて固定折曲部17としている。この固定折曲部17は前述したように、上枠5Aと下枠5Bの表面にリベット20などで固定されて、第1の金属板1と第2の金属板2はフレーム3に固定される。
【0027】
図3に示すドアは、以下のようにして組み立てられる。
(1)縦枠4と横枠5を連結してフレーム3を作製する。
戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bからなる一対の縦枠4の上下に、上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5を連結して四角形の枠体であるフレーム3を作製する。フレーム3は、図3に示すように、溝形である戸先側の縦枠4Aの開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として連結する。
(2)第1の金属板1をフレーム3の第1の表面に固定する。
第1の金属板1は、図5の(a)で示すように、U曲カバー部11に戸先側の縦枠4Aの幅の広い側壁4Yaを挿入して戸先側の縦枠4Aに連結し、図5の(b)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。この状態で、第1の金属板1は、U曲カバー部11と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第1の金属板1は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、四角形に枠組してなるフレーム3の第1の表面に、第1の金属板1が固定される。
(3)フレーム3の内側に芯材7を充填する。
図5の(c)で示すように、第1の金属板1が固定されたフレーム3の内側に芯材7を充填する。芯材7は、第1の金属板1の内面に塗布された接着剤を介して定位置に固定される。
(4)第2の金属板2をフレーム3の第2の表面に固定する。
第2の金属板2は、図5の(d)で示すように、積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入して第1の金属板1に連結すると共に、戸先側の縦枠4Aの開口部4Zをカバー折曲部14で閉塞する状態で戸先側の縦枠4Aに連結する。さらに、第2の金属板2は、図5の(e)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。この状態で、第2の金属板2は、カバー折曲部14と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第2の金属板2は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、四角形に枠組してなるフレーム3の第2の表面と、フレーム3の内側に充填された芯材7の表面に、第2の金属板2が固定される。
(5)第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。
フレーム3の両面に第1の金属板1と第2の金属板2を固定して、接着剤が硬化した後、第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。第1の金属板1と第2の金属板2は、図4に示すように、内側に折曲してなる固定折曲部17を、リベット20を介して横枠5の外周面に固定する。
【0028】
以上の製造工程では、一対の縦枠4と一対の横枠5を連結して四角形のフレーム3を作製した後、このフレーム3に第1の金属板1と第2の金属板2を固定している。ただ、図3に示すドアは、縦枠と横枠とを連結して四角形の枠体とすることなく、一対の縦枠と一対の横枠とを互いに連結しないバラの状態で第1の金属板と第2の金属板に固定することもできる。このドアは、図6に示す工程で、以下のようにして組み立てられる。
【0029】
(1)第1の金属板1に縦枠4を固定する。
図6の(a)で示すように、第1の金属板1を、内面が上向きとなる状態で配置し、第1の金属板1の内面に接着剤を塗布する。戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bとを、第1の金属板1の定位置に固定する。戸先側の縦枠4Aは、溝形の開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として、図の矢印Aで示すように、幅の広い側壁4Yaを、第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入して、第1の金属板1の定位置に固定する。また、戸尻側の縦枠4Bは、溝形の開口部4Zをドアの内側に向ける姿勢として、図の矢印Bで示すように、底板4Xの外周面を第1の金属板1の内側折曲部16に固定する。
以上の工程で、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの第1の表面に、接着剤を介して第1の金属板1が固定される。
(2)第1の金属板1に横枠5を固定する。
図6の(b)で示すように、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの間に一対の横枠5を固定する。上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5は、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの上下端の間に位置して固定される。上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5は、接着剤を介して第1の金属板1の内面に固定される。
(3)フレーム3の内側に芯材7を充填する。
図6の(c)で示すように、第1の金属板1に固定された一対の縦枠4と一対の横枠5からなる四角形のフレーム3の内側に芯材7を充填する。芯材7は、第1の金属板1の内面に塗布された接着剤を介して定位置に固定される。
(4)第2の金属板2をフレーム3に固定する。
第2の金属板2は、図6の(d)で示すように、積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入して第1の金属板1に連結すると共に、戸先側の縦枠4Aの開口部4Zをカバー折曲部14で閉塞する状態で戸先側の縦枠4Aに連結する。さらに、第2の金属板2は、図6の(e)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。この状態で、第2の金属板2は、カバー折曲部14と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第2の金属板2は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、縦枠4と横枠5とからなるフレーム3の第2の表面と、フレーム3の内側に充填された芯材7の表面に、第2の金属板2が固定される。
(5)第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。
フレーム3の両面に第1の金属板1と第2の金属板2を固定して、接着剤が硬化した後、第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。第1の金属板1と第2の金属板2は、図4に示すように、内側に折曲してなる固定折曲部17を、リベット20を介して横枠5の外周面に固定する。
【0030】
以上のドアは、目板6側の側壁4Yaを第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入しているが、ドアは、図7に示すように、目板6側の側壁4Yaとは反対側の側壁4Ybを第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入する構造とすることができる。図7のドアは、戸先側の縦枠4Aの一方の側壁4Yaを他方の側壁4Ybから突出するように幅を広くして突出部4Tを目板6としており、この目板6となる幅の広い側壁4Yaを第2の金属板2でカバーし、反対側の幅の狭い側壁4Ybを第1の金属板1でカバーしている。すなわち、このドアは、図7において、幅の狭い側壁4Ybのあるドアの下面側を第1の表面として第1の金属板1を固定し、第1の表面と反対側の面である、図7において、幅の広い側壁4Yaのあるドアの上面側を第2の表面として第2の金属板2を固定している。
【0031】
図7に示す第1の金属板1は、目板6側の側壁4Yaとは反対側の幅の狭い側壁4YbをU曲カバー部11に挿入して、この側壁4YbをU曲カバー部11でカバーしている。さらに、側壁4Ybが挿入されるU曲カバー部11は、内側に折り返した内側積層部12の先端縁に沿って係止溝部13を設けており、この係止溝部13を側壁4Ybの内側に配置している。
【0032】
図7に示す第2の金属板2は、戸先側の縦枠4Aの表面、正確には、目板6となる側壁4Yaの表面からドアの外周面に沿うように折曲して、溝形である戸先側の縦枠4Aの開口部4Zを閉塞している。第2の金属板2は、戸先側の側縁部を内側に折り返すように折曲して、目板6となる側壁4Yaの突出部4Tを挿入する折返挿入部18を設けている。さらに、第2の金属板2は、この折返挿入部18に挿入される側壁4Yaの突出部4Tの内側に積層される内側積層部19の先端部を、戸先側の縦枠4Aの開口部4Zに沿って直角に折曲して、溝形である戸先側の縦枠4Aの溝形の開口部4Zを閉塞するカバー折曲部14としている。さらに、カバー折曲部14は、先端部を内側に折曲して、U曲カバー部11の先端縁に設けている係止溝部13に案内する積層折曲部15としている。
【0033】
図7のドアは、戸先側の縦枠4Aの幅の狭い側壁4Ybを第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入して、幅の広い側壁4Yaを第2の金属板2でカバーしているので、第1の金属板1のU曲カバー部11は、目板6の先端よりもドアの内側に位置している。すなわち、幅の広い側壁4Yaを挿入している第2の金属板2の折返挿入部18が、ドアの外周面から外側に突出して目板6となっている。
【0034】
図7に示すドアは、以下のようにして組み立てられる。
(1)縦枠4と横枠5を連結してフレーム3を作製する。
戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bからなる一対の縦枠4の上下に、上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5を連結して四角形の枠体であるフレーム3を作製する。フレーム3は、図7に示すように、溝形である戸先側の縦枠4Aの開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として連結する。
(2)第1の金属板1をフレーム3の第1の表面に固定する。
第1の金属板1は、図8の(a)で示すように、U曲カバー部11に戸先側の縦枠4Aの幅の狭い側壁4Ybを挿入して戸先側の縦枠4Aに連結し、図8の(b)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。第1の金属板1は、U曲カバー部11と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第1の金属板1は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、四角形に枠組してなるフレーム3の第1の表面に、第1の金属板1が固定される。
(3)フレーム3の内側に芯材7を充填する。
図8の(c)で示すように、第1の金属板1が固定されたフレーム3の内側に芯材7を充填する。芯材7は、第1の金属板1の内面に塗布された接着剤を介して定位置に固定される。
(4)第2の金属板2をフレーム3の第2の表面に固定する。
第2の金属板2は、図8の(d)で示すように、戸先側の縦枠4Aの幅の広い側壁4Yaを折返挿入部18に挿入して戸先側の縦枠4Aに連結すると共に、積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入して第1の金属板1に連結する。さらに、第2の金属板2は、図8の(e)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。この状態で、第2の金属板2は、折返挿入部18と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第2の金属板2は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、四角形に枠組してなるフレーム3の第2の表面と、フレーム3の内側に充填された芯材7の表面に、第2の金属板2が固定される。
(5)第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。
フレーム3の両面に第1の金属板1と第2の金属板2を固定して、接着剤が硬化した後、第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。第1の金属板1と第2の金属板2は、図4に示すように、内側に折曲してなる固定折曲部17を、リベット20を介して横枠5の外周面に固定する。
【0035】
以上の製造工程では、一対の縦枠4と一対の横枠5を連結して四角形のフレーム3を作製した後、このフレーム3に第1の金属板1と第2の金属板2を固定している。ただ、図7に示すドアも、縦枠と横枠とを連結して四角形の枠体とすることなく、一対の縦枠と一対の横枠とを互いに連結しないバラの状態で第1の金属板と第2の金属板に固定することができる。このドアは、図9に示す工程で、以下のようにして組み立てられる。
【0036】
(1)第1の金属板1に縦枠4を固定する。
図9の(a)で示すように、第1の金属板1を、内面が上向きとなる状態で配置し、第1の金属板1の内面に接着剤を塗布する。戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bとを、第1の金属板1の定位置に固定する。戸先側の縦枠4Aは、溝形の開口部4Zをドアの外側に向ける姿勢として、図の矢印Aで示すように、幅の狭い側壁4Ybを、第1の金属板1のU曲カバー部11に挿入して、第1の金属板1の定位置に固定する。また、戸尻側の縦枠4Bは、溝形の開口部4Zをドアの内側に向ける姿勢として、図の矢印Bで示すように、底板4Xの外周面を第1の金属板1の内側折曲部16に固定する。
以上の工程で、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの第1の表面に、接着剤を介して第1の金属板1が固定される。
(2)第1の金属板1に横枠5を固定する。
図9の(b)で示すように、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの間に一対の横枠5を固定する。上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5は、戸先側の縦枠4Aと戸尻側の縦枠4Bの上下端の間に位置して固定される。上枠5Aと下枠5Bとからなる一対の横枠5は、接着剤を介して第1の金属板1の内面に固定される。
(3)フレーム3の内側に芯材7を充填する。
図9の(c)で示すように、第1の金属板1に固定された一対の縦枠4と一対の横枠5からなる四角形のフレーム3の内側に芯材7を充填する。芯材7は、第1の金属板1の内面に塗布された接着剤を介して定位置に固定される。
(4)第2の金属板2をフレーム3に固定する。
第2の金属板2は、図9の(d)で示すように、戸先側の縦枠4Aの幅の広い側壁4Yaを折返挿入部18に挿入して戸先側の縦枠4Aに連結すると共に、積層折曲部15の先端を第1の金属板1の係止溝部13に挿入して第1の金属板1に連結する。さらに、第2の金属板2は、図9の(e)で示すように、反対側の内側折曲部16を戸尻側の縦枠4Bの外周面に沿わせて縦枠4に連結する。この状態で、第2の金属板2は、折返挿入部18と内側折曲部16とで両側の縦枠4を挟着する状態でフレーム3に連結される。第2の金属板2は、内面に接着剤を塗布しており、この接着剤を介して、縦枠4と横枠5とからなるフレーム3の第2の表面と、フレーム3の内側に充填された芯材7の表面に、第2の金属板2が固定される。
(5)第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。
フレーム3の両面に第1の金属板1と第2の金属板2を固定して、接着剤が硬化した後、第1の金属板1と第2の金属板2の上下をフレーム3に固定する。第1の金属板1と第2の金属板2は、図4に示すように、内側に折曲してなる固定折曲部17を、リベット20を介して横枠5の外周面に固定する。
【0037】
さらに、ドアは必ずしもフレーム3の側壁4Yで目板を構成する必要なく、たとえば、目板を別部材としてドアに固定することもできる。このドアは、図10に示すように、戸先側の縦枠4Aに設けている一対の側壁4Yの幅を同じとする。図のドアは、戸先側の縦枠4Aの一対の側壁4Yの幅を等しくしているので、一方の側壁4Yが挿入される第1の金属板1のU曲カバー部11の先端と、他方の側壁4Yの表面からドアの外周面に沿って折曲される第2の金属板2のカバー折曲部14とが同一面に位置している。このドアは、フレーム3の表面に第1の金属板1と第2の金属板2とを固定した後、図に示すように、別部材である目板部材21をドアの戸先側に固定して、目板6を設ける。
【符号の説明】
【0038】
1…第1の金属板
2…第2の金属板
3…フレーム
4…縦枠 4A…戸先側の縦枠
4B…戸尻側の縦枠
4T…突出部
4X…底板
4Y…側壁
4Ya…側壁
4Yb…側壁
4Z…開口部
5…横枠 5A…上枠
5B…下枠
6…目板
7…芯材
11…U曲カバー部
12…内側積層部
13…係止溝部
14…カバー折曲部
15…積層折曲部
16…内側折曲部
17…固定折曲部
18…折返挿入部
19…内側積層部
20…リベット
21…目板部材
91…第1の金属板
92…第2の金属板
93…連結凸条
94…連結溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの戸先側に内蔵してなる断面形状を溝形とする戸先側の縦枠(4A)と、ドアの戸尻側に内蔵してなる戸尻側の縦枠(4B)と、戸先側の縦枠(4A)と戸尻側の縦枠(4B)の第1の表面に固定している第1の金属板(1)と、第1の表面と反対側の面である第2の表面に固定している第2の金属板(2)とを備え、
前記戸先側の縦枠(4A)は、底板(4X)の両側に側壁(4Y)を設けてなる溝形であって、溝形の開口部(4Z)をドアの外側に向ける姿勢として第1の金属板(1)と第2の金属板(2)の間に配設され、
前記第1の金属板(1)は、戸先側の縦枠(4A)の一方の側壁(4Y)を挿入するU曲カバー部(11)を備え、さらにこのU曲カバー部(11)は、内側に折り返した内側積層部(12)の先端縁に係止溝部(13)を設けて、係止溝部(13)を側壁(4Y)の内側に配置しており、
前記第2の金属板(2)は、戸先側の縦枠(4A)の表面から内側に折曲されて、溝形である戸先側の縦枠(4A)の溝形の開口部(4Z)を閉塞するカバー折曲部(14)を有し、このカバー折曲部(14)は先端部を内側に折曲して、前記U曲カバー部(11)の係止溝部(13)に案内される積層折曲部(15)としており、
さらに、前記第1の金属板(1)と第2の金属板(2)の戸尻側は、戸尻側の縦枠(4B)の外周面に沿うように折曲してなる内側折曲部(16)を有し、
前記第1の金属板(1)のU曲カバー部(11)に戸先側の縦枠(4A)の側壁(4Y)が挿入されて、第1の金属板(1)が戸先側の縦枠(4A)に連結され、第2の金属板(2)の積層折曲部(15)の先端が第1の金属板(1)の係止溝部(13)に挿入されて、第2の金属板(2)が第1の金属板(1)に連結され、
さらに、第1の金属板(1)と第2の金属板(2)の内側折曲部(16)を戸尻側の縦枠(4B)の外周面に沿わせて、第1の金属板(1)と第2の金属板(2)とが縦枠(4)に連結されてなるドア。
【請求項2】
前記戸先側の縦枠(4A)が、前記第1の金属板(1)のU曲カバー部(11)に挿入してなる一方の側壁(4Ya)を他方の側壁(4Yb)から突出するように幅を広くして突出部(4T)を目板(6)としている請求項1に記載されるドア。
【請求項3】
前記戸先側の縦枠(4A)と戸尻側の縦枠(4B)の上下を横枠(5)で連結しており、前記第1の金属板(1)と第2の金属板(2)を横枠(5)の外周面に沿って内側に折曲して固定折曲部(17)を横枠(5)の外周面に固定してなる請求項1に記載されるドア。
【請求項4】
第1の金属板(1)と第2の金属板(2)の固定折曲部(17)を、溶接、リベット(20)、接着のいずれかで横枠(5)の外周面に固定している請求項3に記載されるドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−281154(P2010−281154A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136716(P2009−136716)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(391016886)日本フネン株式会社 (30)
【Fターム(参考)】