説明

ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法及び情報媒体

【課題】ドキュメントデータを表示し、ユーザの操作によって一部のデータを別の表示エリア上にコピーし管理する、ドキュメントデータ編集装置において、不正なドキュメントデータのコピーを防ぐ方法が必要である。
【解決手段】ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの操作によって別の表示エリア上にドキュメントデータの一部をコピーし管理する際、ユーザの操作によって選択されたドキュメントデータの一部の領域の領域情報のみを管理する。ユーザの選択した領域を表示する際には、領域情報からドキュメントデータの領域を特定し表示を行うことによって、ドキュメントデータ自体のコピーなどは行わない、不正なドキュメントデータのコピーを防ぐことが可能な、ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドキュメントデータの編集をユーザが行えるための入力機能を備えている、ドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法及び持ち運び可能な情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、携帯電話端末、スマートフォンなど、各種モバイル用途の情報処理装置で文庫本・単行本・まんが・新聞・雑誌などのデータを電子化した所謂電子書籍データ(以降、ドキュメントデータと呼ぶ)を閲覧することができるようになっている。またさらに、表示装置として電子ペーパーと呼ばれる、表示時に電力を消費せず、視認性の高いデバイスを搭載した、ドキュメントデータを閲覧することに特化した電子書籍端末と呼ばれる端末も多く流通してきている。これらの端末では、従来、紙に印字されていたドキュメントデータを読むのと同じ感覚で読むことが可能である一方で、何冊分ものドキュメントデータを格納し、紙の書籍よりも軽く、また、通信網を介していつでも、どこでも、ドキュメントデータを入手することが可能になる、などの特徴がある。
【0003】
一方、紙に印字されているドキュメントデータの一種としての新聞・雑誌などでは、読んでいる最中、あるいは、一旦それらを読んだ後に、お気に入りの記事や重要な記事だけを切り抜いて、別に集めおくような所謂スクラップするなど、個人的に部分的なドキュメントデータを収集することも多い。このようなドキュメントデータのスクラップを作成する操作を、デジタルデータとしてのドキュメントデータを表示している各種情報処理装置で行う場合には、ディスプレイなどに表示されているドキュメントデータの中から、ユーザのお気に入りの部分を別のデータとしてコピーして保持しておく方法が考えられる。しかし、このような方法を単純に端末での機能として実現すると、著作権が含まれているドキュメントデータの不正な複製が容易になってしまうことになる。そのため、ドキュメントデータを暗号化して格納しておき、ディスプレイなどに表示したドキュメントデータのコピー操作は行えないようにしておく方法がある。
【0004】
例えば、ドキュメントデータの不正な複製を制限する方法として、下記のような方法が開示されている。特許文献1ではドキュメントデータ中のデータを予め定められた正規表現したルールリストに従って、特定の文字(単語)を暗号化した情報に置き換え、ユーザに閲覧できないようにする装置、方法、システムについて開示されている。また、特許文献2では各種のDRM(Digital Rights Management)と呼ばれるデジタル著作権管理によって、ドキュメントデータの不正な複製を管理する方法の一種として、サーバとの認証を行うシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75722号公報
【特許文献2】国際公報第98/27494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2ともに、ドキュメントデータの閲覧を制限する方法や、不正なデータの複製を防止する方法については記載されているが、前述のようにドキュメントデータのスクラップを作成するような操作を行う際の構成については記載されていない。
【0007】
そこで、本発明では、上記問題点に鑑み、ドキュメントデータ表示機能を備える装置において、ドキュメントデータの不正な複製を防ぎつつ、ユーザの操作によって表示されているドキュメントデータの一部を切り抜いて別管理できるような編集操作を実現するドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願におけるドキュメントデータ編集装置は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、入力部によりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、ドキュメントデータを暗号化するデータ暗号鍵と、データ暗号鍵でドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、ドキュメント切出し部により生成された領域を特定する情報と、を記憶した情報記録部と、を備える。
【0009】
上記のドキュメントデータ編集装置において、情報記録部はドキュメントデータの指定された一部の領域の表示画像を低解像度化したサムネイルデータを、さらに記憶したものであってもよい。
【0010】
上記のドキュメントデータ編集装置において、情報記録部はドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する複数のストローク情報を有する切出し領域ストローク情報を、さらに記憶したものであってもよい。
【0011】
上記のドキュメントデータ編集装置において、ドキュメントデータの一部の領域とは、ドキュメントデータが表示された際に矩形の領域として表示される領域であるものであってもよい。
【0012】
本出願におけるドキュメント編集方法は、ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、入力ステップによりドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、ドキュメントデータを暗号化するデータ暗号鍵と、データ暗号鍵でドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、ドキュメント切出し部により生成された領域を特定する情報と、を記憶する情報記録ステップと、を備える。
【0013】
また、本出願の情報記憶媒体は、ドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、ドキュメントデータを暗号化する際に使用されるデータ暗号鍵と、ドキュメントデータの一部の領域を特定する情報と、特定された一部の領域の表示画像を低解像度化したサムネイルデータと、を記録する。
【0014】
上記の記憶媒体において、一部の領域を特定する情報とはストローク情報である場合や、矩形を示す情報でであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
ドキュメントデータ編集装置は、ユーザの好みによって表示しているドキュメントデータの一部のデータの領域を指定し、別管理するような編集操作を可能とすることによって、ユーザの使い勝手を向上させることが可能となる。
【0016】
また、ドキュメントデータ編集装置内部では、指定された領域のデータをコピーするのではなく、領域の情報のみを管理する。そのため、指定された領域のデータを表示するには、ドキュメントデータがなければ正しく表示することができず、ドキュメントデータの不正な複製を防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1に於けるドキュメントデータ編集装置の構成図
【図2】実施の形態1に於けるドキュメントデータ編集装置の第1の画面構成例を示す図
【図3】実施の形態1に於けるストローク情報の構成例を示した説明図
【図4】実施の形態1に於ける切出し情報管理リストの構成例を示す図
【図5】実施の形態1に於けるドキュメントデータ編集装置の編集処理を示すフローチャート
【図6】実施の形態1に於けるドキュメントデータ編集装置の第2の画面構成例を示す図
【図7】実施の形態1に於けるドキュメントデータ編集装置の画面出力処理を示すフローチャート
【図8】実施の形態2に於けるドキュメントデータ編集装置の第1の画面構成例を示す図
【図9】実施の形態2に於ける切出し情報管理リストの構成例を示す図
【図10】実施の形態2に於けるドキュメントデータ編集装置の編集処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるドキュメントデータ編集装置100の構成を示したブロック図である。ドキュメントデータ編集装置100は、制御部110、情報記録部120、入力部130、出力部140から構成される、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、電子辞書、電子書籍専用端末をはじめとするドキュメントデータを扱うモバイル用途のデジタル機器である。
【0019】
制御部110は、暗復号部111、鍵算出部112、ドキュメントデータ切出し部113で構成され、ドキュメントデータ編集装置100内の各種動作制御を行う機能備えている。
【0020】
暗復号部111は、鍵データと平文データ乃至暗号化データを入力として、AES(Advanced Encryption Standard)などの各種暗号アルゴリズムにしたがって、暗号化データ乃至平文データを出力する機能を備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。なお、ここでは各種暗号アルゴリズムの説明は割愛する。
【0021】
鍵算出部112は、暗復号部111に入力するための鍵データを算出するため、情報記録部120に記録されているデータ暗号鍵121から鍵の値を算出する機能を備える、ハードウェア回路乃至ソフトウェアで構成される。
【0022】
ドキュメントデータ切出し部113は、出力部140に表示されるドキュメントデータの一部をユーザが入力部130を介して選択したしたことを識別・特定し、元のドキュメントデータから該当する部分的なドキュメントデータを出力部140に表示する機能を備える。
【0023】
情報記録部120は、データ暗号鍵121、暗号化データ122、切出し領域情報管理リスト123を格納する機能を備える、半導体メモリ、磁気媒体、光メディアなどの固定乃至着脱可能な情報記録媒体である。なお、詳細は記載していないが、これらのデータが同一の記録媒体に記録されていなくてもよく、別々の媒体に記録されていても構わない。また、特にデータ暗号鍵121はさらに別の鍵によって暗号化される、特殊な認証処理を経てアクセスできる、情報記録媒体の特別な領域に格納されるなどの構成でも構わない。
【0024】
データ暗号鍵121は、ドキュメントデータを暗号化するために用いられる鍵の値である。
【0025】
暗号化データ122は、暗号化されたドキュメントデータである。なお、ここでのドキュメントデータとは、所定の文字コードで表現された文字を示すデータに画像データなども加えられたデータのことを示し、例えば、HTML(HyperText Markup Language)やXML(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語で記述されるデータ、各種アプリケーションソフトごとに決められている文字の種類(フォント)やサイズ、レイアウト情報も含めたフォーマットなどが含まれる。ドキュメントデータ種別としては、例えば、新聞、雑誌、マンガなどである。
【0026】
切出し領域情報管理リスト123は、ドキュメントデータ切出し部113が識別・特定したドキュメントデータの部分的な領域を特定する情報や、当該領域を特徴付ける情報等を管理する。この部分的な領域を特定する情報には、例えば、切出し領域ストローク情報が含まれる。切出し領域ストローク情報の構成例については後述する。
【0027】
入力部130はユーザからの編集操作入力を受け付ける機能を備える、例えば、センサ機能を備える抵抗膜、静電容量などの各種タッチパネル装置、或いは、電磁誘導型の機能を備えたペン入力装置などの入力装置で構成される。
【0028】
出力部140はユーザにドキュメントデータを表示する機能備える、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの各種表示デバイスで構成される。なお、本実施の形態ではドキュメントデータを扱う場合を例として説明しているが、対象となるデータがドキュメントデータ以外の場合、例えば、画像データ、映像データ、音声データ等であった場合には、出力部140はそれぞれのデータ特性に対応した好適な出力方法を実現するものであればよい。例えば、音声データ等の場合には、出力部140はスピーカで実現される。
【0029】
なお、ここでは詳細に図示していないが、その他、電池乃至電源、スイッチ、加速度センサなどの機能もドキュメント編集装置の構成に含まれる。
【0030】
図2は、ドキュメントデータ編集装置100でのユーザによる編集操作のイメージを示した図である。図2では、ドキュメントデータ編集装置100が、2画面の出力部140で構成される例を示している。左側の画面201にはドキュメントデータが表示され、右側の画面202は、左側の画面に表示されているドキュメントデータの一部をコピーして貼付けるための画面である。図2(A)のように、ユーザは左側の画面201に表示されている各種ドキュメントデータのうち、あるドキュメントの領域を例えばペン形状の入力部130を利用して指定する。図2(A)ではユーザがペンによって選択した領域が点線によって示されている(以降、このように、ユーザに選択されたドキュメントデータの部分的なデータの領域を、切出し領域と呼ぶ)。図2(B)に示すように、ユーザがペンを右側の画面202に移動させると、選択した領域がコピーされたかのように右側の画面202に表示される。このような操作を繰り返すと、右側の画面にはユーザの好みに合わせたドキュメントデータだけを貼付けた画面を構成することができる。
【0031】
図3は、ストローク情報の構成例を示す図である。切出し領域情報管理リスト123で管理されるストローク情報とは図3(A)で示される、X座標を示すパラメータ、Y座標を示すパラメータの組み合わせで構成される情報である。図2の右側の画面202で示されたような領域情報は、図3(B)で示す(X0,Y0),(X1,Y1),(X2,Y2)・・・(Xn,Yn)のような2つのパラメータを1組とする複数のストローク情報から構成される。
【0032】
図4は、切出し領域情報管理リスト123で管理される、貼付先中心座標、ドキュメントデータ情報、切出し領域ストローク情報、サムネイルデータと、切出し情報との関係を示した図である。図4(A)のように、切出し領域情報管理リスト123は、貼付先中心座標、ドキュメントデータ情報、切出し領域ストローク情報、サムネイルデータ、の組み合わせを、切出し領域毎に管理する。
【0033】
貼付先中心座標は、X座標、Y座標のように2つのパラメータで示させるような値である。
【0034】
ドキュメントデータ情報は、情報記録部120で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、対象となるドキュメントデータの特定、情報記録部120でのドキュメントデータの格納場所、当該ドキュメントデータでの部分領域を特定するためのページ番号、行番号、段落番号等の部分的な領域を特定するための情報を含む。
【0035】
切出し領域ストローク情報は、図4(B)のように、2つのパラメータの組み合わせた値である。
【0036】
サムネイルデータは、切出し領域の情報を画像データとして変換し、低解像度化されたデータである。
【0037】
次に、図5を用いてドキュメントデータ編集装置100における、図2のようなユーザの好みのドキュメントデータの一部を切出して別の画面にコピーするようなデータの処理シーケンスについて説明する。
【0038】
(ステップS501)ユーザが、ドキュメントデータ編集装置100の出力部140に表示されているドキュメントデータの一部分を、入力部130を使用して選択する。選択されたのがドキュメントデータのどの部分に該当するのかを、制御部110のドキュメントデータ切出し部113が判定する。また、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、出力部140に、入力部130の動作軌跡に応じた、切出しドキュメントデータを表示させる。なお、ここでは詳細は記載していないが、情報記録部120に格納されているドキュメントデータは、対応する暗号鍵で復号化されて出力部140に表示されているものとする。
【0039】
(ステップS502)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、切出し領域ストローク情報を算出する。
【0040】
(ステップS503)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、切出されたドキュメントデータが貼り付けられた表示画面上の位置である、貼付先中心座標を判定する。中心座標の算出方法は、切出し領域ストローク情報のうち、X座標値の最小値と最大値の差分の真ん中を示す位置をX座標とし、Y座標の最小値と最大値の差分の真ん中を示す位置をY座標とし、新たに貼り付けられた表示画面でのこれらのX座標、Y座標を中心座標とする。
【0041】
(ステップS504)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、切出し領域のデータを画像情報として認識し、低解像度のデータとして算出する。ここで、低解像度とは、ドキュメントデータ編集装置の出力部140の画面解像度や、表示しているドキュメントデータのフォントサイズに応じて決定されるが、元のドキュメントデータが表示される際に必要とされる情報量よりも少ない情報量で、該当する画面情報を表示することである。
【0042】
(ステップS505)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、ステップS502とステップS503で算出されたデータを組み合わせて、予め定められている切出し領域情報のデータフォーマットに沿って、切出し領域情報を作成する。なお、ここでは、詳細に記載していないが、既に情報領域部120に切出し領域情報管理リスト123が格納されている場合には、制御部110は、予めその切出し領域情報管理リスト123を読み出し、作成した切出し領域情報を追記する。
【0043】
(ステップS506)次に、制御部110は、ステップS504で作成された切出し領域情報管理リスト123を情報記録部120に記録する。記録する際には、FATファイルシステムやUDFなどの各種ファイルシステム構造に準拠する形で格納する、また、情報記録部120の備える特殊な認証処理を経て格納するなどの方法であってもよいが、ここでは詳細な記載を割愛する。
【0044】
図6は、切出しドキュメントデータ情報を閲覧する際のドキュメントデータ編集装置100の操作例を示した図である。図6(A)では、ドキュメントデータ編集装置100のメニューが左側の画面201に表示され、ペン型のデバイスを用いて切出しドキュメントデータ情報を選択している表示例を示している。右側の画面202には、切出しドキュメントデータ情報として、例えばファイル名などで分類された3つの情報がリストとして表示されている。図6(B)では、切出しドキュメントデータ情報が表示されている例を示している。左側の画面201には、以前の切出しドキュメントデータ情報として2つの切出しドキュメントデータの情報が表示され、さらにペンによる手書情報が表示されている画面構成例が示されている。
【0045】
次に、図6(B)のように、切出しドキュメントデータ情報が、ドキュメントデータ編集装置100の出力部140に表示される際の、データ処理シーケンスについて、図7を用いて説明する。
【0046】
(ステップS701)ドキュメントデータ編集装置100の入力部130が、ユーザからの入力を受け付け、出力部140に表示する切出しドキュメントデータを決定する。
【0047】
(ステップS702)次に、制御部110は、情報記録部120に格納されている切出し領域情報管理リスト123を読み出し、ステップS701で決定した切出しドキュメントデータに該当する切出し領域情報としての切出し領域ストローク情報と、切出しドキュメントデータのイメージ低解像度イメージであるサムネイルデータを読み出す。
【0048】
(ステップS703)次に、制御部110は、ステップS702で読み出したサムネイルデータを出力部140に表示する。
【0049】
(ステップS704)次に、制御部110は、情報記録部120に格納されているデータ暗号鍵121と暗号化データ122を読み出す。
【0050】
(ステップS705)次に、制御部110の鍵算出部112は、情報記録部120から読み出したデータ暗号鍵121を必要に応じて暗復号部111を介して復号化し、データを復号するための復号鍵を算出する。
【0051】
(ステップS706)次に、制御部110の暗復号部111は、鍵算出部112で算出した復号鍵で、情報記録部120から読み出した暗号化データ122を復号し、データを平文化する。
【0052】
(ステップS707)次に、制御部110は、ステップ702で読み出した切出し領域情報管理リスト123とステップS706で復号化したデータから、出力部140に表示する切出しデータを特定する。
【0053】
(ステップS708)次に、制御部110は、ステップS703で出力部140に表示されていたサムネイルデータをステップS707で特定したデータに変更して表示する。
【0054】
以上のように、ドキュメントデータ編集装置100は、ドキュメントデータのうち、ユーザの選択する一部のデータを切出し、新たな画面に貼付けるような表示を行うものの、管理するデータは切出し領域ストローク情報とそのサムネイルデータなどであり、データを内部でコピーするような処理は実施しない。それによって、ユーザにとっては、ドキュメントデータの一部をスクラップのように切出すことが可能となる一方で、切出したドキュメントデータは、切出し元のデータがなければ表示することができず、ドキュメントデータの不正な複製を防ぐことが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態では、ドキュメントデータ編集装置の構成について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではないのはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施を変更することができる。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記の実施の形態では、切出し領域情報管理リスト123には、切出し領域が新たな画面に貼付けられた際の中心座標(貼付先中心座標)が含まれる例を示したが、中心座標の算出方法は上記の通りではなく、どのような方法であっても構わない。また、貼付けられる位置が特定できるのであれば、例えば、中心座標ではなく、切出し領域の左上の座標を管理するなど、どのような方法であっても構わない。
【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と同様の構成が多いため、異なる点についてのみ記載する。
【0057】
図8は、本実施の形態でのドキュメントデータ編集装置100でのユーザによる編集操作のイメージを示した図である。実施の形態1と異なる点は、ユーザのペンによる操作によって、ドキュメントデータ編集装置100が選択領域を矩形領域として表示し、管理する点である。図2(A)のように、ユーザが左側の画面201に表にされている各種ドキュメントデータのうち、ある領域をペン形状の入力部130でタッチすると矩形の領域が表示され、右下にペン形状の入力部130を移動させることによって、矩形情報が自動的に表示される。図2(A)では、ユーザがペンによって選択した領域が点線によって示されている。図2(B)の図に示すように、ユーザがペンを右側の画面202に移動させると、選択した領域がコピーされたかのように右側の画面202に表示される。
【0058】
図9は、本実施の形態での切出し領域情報管理リスト123で管理される情報と切出し情報との関係を示した図である。図9(A)に示すように、切出し領域情報管理リスト123は、貼付先座標情報、ドキュメントデータ情報、切出し領域矩形情報、サムネイルデータの組み合わせを、切出し領域毎に管理する。
【0059】
貼付先座標情報は、貼付先となる画面上での領域において左上の座標を、X座標、Y座標のように2つのパラメータで示されるような値である。
【0060】
ドキュメントデータ情報は、情報記録部120で管理するドキュメントデータのうち、どのドキュメントデータから切出しを行ったのかを特定するための情報であり、情報記録部120でのドキュメントデータの格納場所、該当ページ番号などを示す情報である。
【0061】
切出し領域矩形情報は、図9(B)のように、切出し領域の左上のX座標、Y座標の情報、切出した矩形の高さ、及び、幅を示すパラメータの組み合わせた値である。
【0062】
サムネイルデータは、切出し領域の情報を画像データとして変換し、低解像度化されたデータである。
【0063】
次に、図10を用いてドキュメントデータ編集装置100における、切出しドキュメントの処理シーケンスについて説明する。
【0064】
(ステップS1001)ユーザが、ドキュメントデータ編集装置100の出力部140に表示されているドキュメントデータの一部分を、入力部130を使用して選択する。ドキュメントデータ編集装置100は、選択された領域を矩形情報として認識する。選択されたのがドキュメントデータのどの部分に該当するのかを、制御部110のドキュメントデータ切出し部113が矩形情報として判定する。また、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、出力部140に、入力部130の動作軌跡に応じた、切出しドキュメントデータを表示させる。なお、ここでは詳細は記載していないが、情報記録部120に格納されているドキュメントデータは、対応する暗号鍵で復号化されて出力部140に表示されているものとする。
【0065】
(ステップS1002)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、切出し領域を矩形情報として算出する。
【0066】
(ステップS1003)次に、制御部110のドキュメントデータ切出し部113は、切出されたドキュメントデータが貼り付けられた位置の左上の座標を判定する。
【0067】
ステップS504からステップS506に関しては、実施の形態1で説明した図5のステップS504からステップS506で説明した内容と同様であるため、ここでの詳細な記載は割愛する。
【0068】
切出しドキュメントデータ情報が出力部140に表示される際の、データ処理シーケンスは図7と同様であるため、ここでの詳細な記載は割愛する。
【0069】
以上のように、ドキュメントデータ編集装置100は、ドキュメントデータのうち、ユーザの選択する一部のデータを切出し、新たな画面に貼付けるような表示は行うものの、管理するデータは切出す領域の矩形情報とそのサムネイルデータなどであり、データを内部でコピーするような処理は実施しない。それによって、これによって、ユーザにとっては、ドキュメントデータの一部をスクラップのように切出すことが可能となる一方で、切出したドキュメントデータは、切出し元のデータがなければ表示することができず、ドキュメントデータの不正な複製を防ぐことが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態で、ドキュメントデータ編集装置100の構成について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施変更することができる。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0071】
上記実施の形態では、切出し領域情報管理リスト123には、切出し領域が新たな画面に貼付けられた際の左上の座標が含まれる例を示したが、左上の座標でなくても、矩形の中心座標でも構わない。貼付けられる位置が特定できる方法であれば、どのような方法であっても構わない。
【0072】
また、さらに、実施の形態1から2に共通する、例えば以下のような場合も本発明に含まれる。
【0073】
(1)上記の実施の形態では、切出し領域情報管理リスト123には、サムネイルデータが含まれる例を示したが、サムネイルデータでなくても構わない。予め定められた画像が格納されていても構わない。また、文字データなどが格納されていても構わない。
【0074】
(2)上記の実施の形態では、切出し領域情報管理リスト123には、低解像度のデータとしサムネイルデータが含まれる例を示したが、署名情報などを画像情報に含めて、低解像度ではないデータとして含まれる構成でも構わない。
【0075】
(3)上記の実施の形態では、ドキュメントデータ編集装置100が切出しドキュメントを出力部140に表示する際に、切出し領域情報管理リスト123に含まれるサムネイルデータを先に表示する例を示したが、サムネイルデータを表示しない処理であっても構わない。その際、まず、予め決められているデータを表示し、その後、切出し領域情報が決まった場合に切出し領域情報を表示する構成であっても構わない。
【0076】
(4)上記の実施の形態で示した、切出し領域情報管理リスト123はその形式は制限されない。ドキュメントデータの切出し領域を管理できる情報であれば、どのような情報であっても構わない。
【0077】
(5)上記の実施の形態では、ドキュメントデータを一例として説明したが本実施の形態はこれに限定するものではない。ドキュメントデータ以外でも、画像データ、映像データ、音楽データ等であってもよい。その場合には、それらのデータの種類に応じた、入力方法、出力方法等を利用することで上記のドキュメントデータの場合と同様に対処することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかるドキュメントデータ編集装置、ドキュメントデータ編集方法では、ユーザによって選択されたドキュメントデータの一部を、選択された領域の情報のみを保持することによって、ドキュメントデータ自体のコピーは行わない。そのため、ドキュメントの不正なコピーを防止することができ、ドキュメントデータを編集する機能を備える情報処理機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
100 ドキュメントデータ編集装置
110 制御部
111 暗復号部
112 鍵算出部
113 ドキュメントデータ切出し部
120 情報記録部
121 データ暗号鍵
122 暗号化データ
123 切出し領域情報管理リスト
130 入力部
140 出力部
201 ドキュメントデータ編集装置の左側の画面
202 ドキュメントデータ編集装置の右側の画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出し部と、
前記ドキュメントデータを暗号化するデータ暗号鍵と、該データ暗号鍵で前記ドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、前記ドキュメント切出し部により生成された領域を特定する情報と、を記憶した情報記録部と、
を備えたドキュメントデータ編集装置。
【請求項2】
前記情報記録部は、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域の表示画像を低解像度化したサムネイルデータを、さらに記憶した請求項1に記載のドキュメントデータ編集装置。
【請求項3】
前記情報記録部は、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する複数のストローク情報を有する切出し領域ストローク情報を、さらに記憶した請求項1に記載のドキュメントデータ編集装置。
【請求項4】
前記ドキュメントデータの一部の領域とは、前記ドキュメントデータが表示された際に矩形の領域として表示される領域である、請求項1に記載のドキュメントデータ編集装置。
【請求項5】
ドキュメントデータに対するユーザの操作入力を受け付ける入力ステップと、
前記入力ステップにより、前記ドキュメントデータの指定された一部の領域を特定する情報を生成するドキュメントデータ切出しステップと、
前記ドキュメントデータを暗号化するデータ暗号鍵と、該データ暗号鍵で前記ドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、前記ドキュメント切出し部により生成された領域を特定する情報と、を記憶する情報記録ステップと、
を備えたドキュメントデータ編集方法。
【請求項6】
ドキュメントデータを暗号化した暗号化データと、
前記ドキュメントデータを暗号化する際に使用されるデータ暗号鍵と、
前記ドキュメントデータの一部の領域を特定する情報と、
前記特定された一部の領域の表示画像を低解像度化したサムネイルデータと、
を記録する情報記録媒体。
【請求項7】
前記一部の領域を特定する情報とはストローク情報である、請求項6に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
前記一部の領域を特定する情報とは矩形を示す情報である、請求項6に記載の情報記録媒体。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−232984(P2011−232984A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103304(P2010−103304)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】