説明

ドライウォールボードと接合材、被覆剤を用いた壁建築システム

壁建築用被覆剤および接合材システムを提供する。被覆剤は、設置前にドライウォール要素に塗布され、接合材を用いてドライウォール要素を組み立て、接合材を乾燥させた後でほぼ均一な表面が得られるように接合材との適合性を有する。さらに、表面処理コートまたは仕上げスキムコートを必要とせずにレベル5仕上げが得られる壁建築用被覆剤を提供する。被覆剤組成物は、非セルロース系増粘剤、結合剤、無機充填剤、および水を含有する。内壁の建築方法および内装建築システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドライウォールの設置を改善するのに適合した被覆剤組成物および接合材システム、ならびにドライウォールの設置を改善するための被覆剤および被覆剤組成物を提供する。さらに、被覆剤および接合材システムを塗布する工程を含む内壁の建築方法および被覆剤および接合材を用いて形成される内装建築システム、ならびに被覆剤および接合材システムを塗布する工程を含む内壁の建築方法および被覆剤を用いて形成される内装建築システムを提供する。
【背景技術】
【0002】
通常、内壁は、例えば、ジョイントコンパウンド(目地材)、シーリングコート、ジョイントコートおよび/または継目目地仕上げコート(joint−pointing coats)などの接合材を用いて組み立てられる平坦なプレハブボードを使って設置される。これらのプレハブ要素は、石膏ファイバーボード、セメントファイバーボード、石膏ウォールボードまたはプラスターボードなどであり得る。平坦なプレハブボードは、通常、少なくとも1枚の下地紙を備え、下地紙の少なくとも1つの外層は、装飾用に準備された可視外面を有する。一般に、内壁を建築する際には、平坦なプレハブ要素またはドライウォール要素を、例えば、くぎまたはスクリューで壁枠に固定し、継目部にテープを貼るか、接合材を塗布する。プレハブ要素は、場合により接合材を用いて組み立てるが、継目部は、継目領域を含めた可視外面全体が比較的均一または平らになるように、シーリングコート、ジョイントコードおよび/または継目目地仕上げコートで仕上げる。
【0003】
内装組立作業完了後の前処理は、通常、得られた表面全体を被覆する工程、すなわち、平坦なプレハブ要素と継目部を、一層以上の塗料または下塗もしくは表面処理コートでライニング加工する工程を含む。平坦なプレハブ要素の可視外面全体は、通常、表面装飾を施す前に、例えば、一層以上の塗料もしくはラッカータイプのフィルム被覆層または壁紙を貼り付けて前処理する必要がある。この前処理は、特に、平坦なプレハブ要素、例えば、プラスターボードの可視外面と継目部の可視外面との間に陰影や色の違いがあることから必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前処理作業は、例えばビル建築の全工程においてはかなりの追加費用に相当する。また、場合によっては、特に継目部と平坦なプレハブ要素との間に広がる物理的機械的差異を考えると、この前処理作業は、均一な外観の全装飾面を得るにはまだ不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ドライウォールに対して仕上げのスキムコートを実質的に不要にすることにより内壁の設置を簡素化するドライウォール用被覆剤組成物およびドライウォール用システムを提供する。
【0006】
一実施形態において、本発明は内壁用建築アセンブリを提供する。このアセンブリは、(i)少なくとも一層のスキムコートが塗布されたドライウォール要素を含むスキムコート塗布済みドライウォール要素であって、前記スキムコートは水、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物から形成されているスキムコート塗布済みドライウォール要素と、(ii)スキムコート塗布済みドライウォール要素を接合して実質的に平らな外面を形成する少なくとも一層の接合材とを備える。
【0007】
一実施形態において、本発明は、内装建築システムを提供する。このシステムは、(i)1つ以上のプレハブドライウォール要素と、(ii)1つ以上のプレハブドライウォール要素上に塗布された、水、結合剤、無機充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物からなる少なくとも一層のスキムコートと、(iii)、ドライウォール要素を接合して実質的に平らな外面を形成することにより1つ以上のプレハブドライウォール要素を組み立てる少なくとも一層の接合材であって、乾燥時にスキムコートと実質的に調和する接合材とを含む。
【0008】
一実施形態において、本発明は、内壁の建築方法を提供する。この方法は、(i)スキムコート塗布済みプレハブドライウォール要素を組み立てる工程であって、前記スキムコート塗布済みプレハブドライウォール要素は、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物から形成され、塗布装置を用いてプレハブドライウォール要素上に塗布された少なくとも一層のスキムコートを構成する被覆層を有する工程と、(ii)接合材を用いて隣接するプレハブドライウォール要素を接合して継目部を形成する工程と、(iii)接合材を乾燥させる工程とを含む。
【0009】
一実施形態において、本発明は、内壁の建築方法を提供する。この方法は、(i)スキムコート塗布済みプレハブドライウォール要素を組み立てる工程であって、前記スキムコート塗布済みプレハブドライウォール要素は、水、結合剤、無機充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物から形成され、塗布装置を用いてプレハブドライウォール要素上に塗布された少なくとも一層のスキムコートからなる被覆層を有する工程と、(ii)乾燥時、スキムコートと実質的に調和する少なくとも一層の接合材を用いて隣接するプレハブ要素をつなぎ合せる工程と、(iii)接合材を乾燥させる工程とを含む。
【0010】
一実施形態において、本発明は、水、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤および非セルロース系増粘剤を含有するドライウォール用被覆剤組成物を提供する。
【0011】
一実施形態において、本発明は、少なくとも一層のスキムコートが塗布されたドライウォール要素を含むスキムコート塗布済みドライウォール要素を提供し、スキムコートは、前記水、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物から形成される。
【0012】
特定の実施形態は以下の特徴に関する。
・充填剤は、少なくとも約60重量%、好ましくは約75重量%のCaCOを含む。
・結合剤は、約0.5〜約30%、好ましくは約0.5〜約15%の量で存在する。
・結合剤は、ラテックス結合剤、好ましくはアクリルラテックス結合剤である。
・被覆剤組成物は、約40〜約70重量%、好ましくは約45〜約65重量%の充填剤を含有する。
・充填剤はさらに、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、硬石膏、およびそれらの混合物のいずれかを含む。
・増粘剤は、約0.05〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約5.0重量%の量で存在する。
・増粘剤は、アクリル酸とアクリルエステルとのコポリマーを含む。
・被覆剤組成物は、分散剤、好ましくは約2.0〜約9.0重量%の分散剤をさらに含む。
・分散剤はポリアクリル酸ナトリウムを含む。
・被覆剤組成物は、さらに、約0.1〜約20重量%の亀裂防止剤を含む。
・被覆剤組成物は、約0.1〜約5重量%の作業性改善剤(workability agent)をさらに含む。
・亀裂防止剤はマイカである。
・作業性改善剤は粘土である。
・水は、被覆剤組成物の粘度を、約250〜約1200cps、より好ましくは、約300〜約450cpsにするのに十分な量で存在する。
・乾燥状態の少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートは実質的に平らな外面上においてほぼ均一な外面を形成する。
・ほぼ均一な外面はレベル5の仕上げを有する。
・着色性(coloration)、反射係数および表面吸水性からなる群のパラメータの少なくとも1つが、実質的に平らな外面にわたってほぼ均一である。
・少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートは、乾燥時、ほぼ同一の表面吸水性を示す。
・少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートはそれぞれ、乾燥状態のとき、滴下試験(drop test)で測定して、少なくとも45分の表面吸水性を示す。・少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートはそれぞれ、乾燥状態のとき、滴下試験で測定して、少なくとも15分の表面吸水性を示す。
・ドライウォール要素は平坦なプレハブ要素である。
・平坦なプレハブ要素は石膏ウォールボードである。
・ドライウォール要素は、少なくとも1枚の下地紙と、下地紙の上に塗布された少なくとも一層のスキムコートからなる被覆層とを有するプラスターまたは石膏心材を含む。
・スキムコートは、乾燥時、約5〜約60ミルの厚さを有する。
・スキムコートは、塗布装置を用いてプレハブドライウォール要素上に塗布される。
・スキムコートは、ドライウォール要素を予め製造する際に、吹付によりプレハブドライウォール要素上に塗布される。
・ドライウォール要素は石膏ウォールボードである。
・接合材は被覆剤組成物とほぼ同一の固体を含み、接合材中の水の量は被覆剤組成物中の水の量より約10〜約60%少ない。
・接合材は、約25%〜約45%の水と、被覆剤組成物の無機充填剤と同一かまたは異なる約40〜約70%の無機充填剤と、約1.0〜約3.0%の亀裂防止剤と、約1.0〜約4.0%の粘土と、約0.1〜約1.0%の増粘・保水剤と、約1.0〜5.0%のタルクと、被覆剤組成物の結合剤と同一かまたは異なる約0.5〜約20%、好ましくは約0.5〜約3%の結合剤と、約0.1〜約1.0%のデンプンとを含有する。
・接合材中の増粘・保水剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
・接合材は、被覆剤組成物の無機充填剤と同一かまたは異なる50〜85%の無機充填剤と、1〜20%の水相分散性有機結合剤と、1〜15%のシリケート系剤と、シリコーン誘導体である0.2〜5%の疎水剤と、0.05〜5%のポリビニルアルコールと、全量を100%にする量の水とを含有する。
・接合材は結合剤を含有し、被覆剤組成物中の結合剤と接合材中の結合剤は同一である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
提供する被覆剤組成物および被覆剤および接合材システムは、ドライウォール設置効率を高め、質感、吸収特性、研磨特性、加工特性および仕上がり性能特性を向上する。開示した被覆剤組成物、接合材および方法を用いて製造されたコーテッドドライウォール製品は、いくつかの実施形態において、実質的にレベル5のスキムコート仕上げに等しいドライウォール仕上げ表面を提供することが好ましい。本明細書に用いられているドライウォールの仕上げレベルは、GA214−96の石膏ボード仕上げレベルである1996年に刊行された推奨石膏ボード仕上げレベル(Recommended Levels of
Gypsum Board Finish)を参照している。レベル5の仕上げは、通
常、厳しい照明条件が存在する領域や、光沢、半光沢、エナメルまたはきめのない平坦な塗装が施される領域に推奨される。
【0014】
本明細書において、用語「ドライウォール」とは、特に内装用の任意の壁構造を意味し、この壁構造は、プレハブ材の場合も非プレハブ材の場合もあり、石膏ファイバーボード、セメントファイバーボード、プラスターボードなどを包含する。ドライウォール要素は、通常、紙または段ボールで挟まれるか、紙または段ボールに対面する石膏またはプラスター心材からなり、例えば、釘またはネジなどで壁枠に固定され得るシート状に形成されている。ドライウォールは、装飾用に準備された可視外表面または外面が得られるように、内装建築では通常外向きに配置される面を有する。
【0015】
従来、ドライウォール要素の製造に用いられている複数枚の紙のうちの一枚は、特定の精製処理を受けていないセルロースファイバーからなるために、灰色と栗色の間で変化し得る暗色を有する。もともと、このいわゆるグレーペーパーは、無漂白の化学パルプおよび/もしくは機械パルプから、ならびに/または熱機械パルプおよび/もしくはセミ化学パルプから得られる。機械パルプとは、通常、種々の原料、主として、古い段ボール箱、クラフトペーパーのトリミング屑および/または古新聞などの木材由来の回収品から得られる木材からもっぱら機械的手段によって得られたパルプを意味する。熱機械パルプとは、原料を熱処理した後で機械処理して得られたパルプを意味する。セミ化学パルプとは、原料を化学処理して非セルロース成分の一部を除去することにより得られ、その後で繊維を分散させる機械的処理を必要とするパルプを意味する。
【0016】
ドライウォール要素の他のシートは、いわゆる下地面である可視表面を有し、この表面は概してグレイシートより明るい色を有し得る。この明るい色を得るために、この表面の1つまたは複数の層は、適切に漂白されているという条件で、再生セルロースファイバーおよび/もしくは新しいセルロースファイバーからなる化学パルプならびに/または、適切に漂白されているという条件で、機械パルプを基材とする。化学パルプとは、原料を、化学処理、例えば、ソーダまたは重亜硫酸塩などの適当な化学剤の存在下で煮沸して、原料から大部分の非セルロース成分を取り除くことによって得られたパルプを意味する。この化学処理を漂白によって終了すると、大部分の着色物質や、例えばリグニンの存在に関連する経年により分解する恐れがあり不快な黄変を生じる物質が取り除かれる。提供する被覆剤はドライウォールのこの表面に塗布することが好ましい。しかしながら、被覆剤は、印刷された紙などを含むドライウォールの製造に利用される任意の種類の紙または外面にも塗布され得る。接合材は、コーテッドドライウォール要素を用いた内壁建築の仕上げを行うために設置後すぐに塗布される。
【0017】
一般に、被覆剤は、ドライウォール要素もしくはボードを予め製造する際または構造体の内装設置後に、ドライウォールの全面または一部に塗布される。被覆剤は、接合材に適合する組成を有し、ドライウォールの可視面に比較的薄いスキムコートまたはフィルムコートとして塗布される。一層以上の塗層を塗布し得る。被覆剤は、継目部が当業で周知のように前処理された後でもドライウォールにほぼ均一な外観を与えることが好ましい。被覆剤の特性は、ドライウォールの設置に利用される被覆剤組成物と他の材料、特に接合材とが適合してほぼ均一な外観を与えるようなものである。ドライウォール設置は、壁を装飾するための前処理の仕上げに一層以上の下塗または塗料または仕上げ剤の被覆を必要としないので、簡略化されている。特に、好ましい実施形態においては、ドライウォールに被覆剤が塗布されている場合、レベル5の仕上げを得るために追加のスキムコートまたは仕上げコートを塗布する必要がない。
【0018】
コーテッドドライウォールが設置された内装構造の内面建築の仕上げには、任意の市販の接合材が使用され得る。一実施形態において、コーテッドドライウォールが設置された
内装構造の内面建築の仕上げには本明細書に記載の接合材を用いる。接合材は、そのような材料が周知であるジョイントコンパウンド、シーリングコート、ジョイントコートおよび/または継目目地仕上げコートなどの任意の目的に使用され得る。
【0019】
ドライウォールに被覆剤/接合材システムを塗布した後、スキムコート塗布済みドライウォール要素とスキムコート塗布済みドライウォール要素とをつなぎ合せる接合材は、接合材面とスキムコート塗布済みドライウォール要素面とを含む実質的に平らな外面を形成する。次いで、当業では周知のように、この面に塗料を塗布するか壁紙を貼って装飾し得る。
【0020】
被覆剤組成物
被覆剤は、通常ドライウォール設置後の下塗または塗料の下に見られる繊維が実質的に被覆されるようにドライウォールのテクスチャーを滑らかなものとする。さらに、被覆剤は、ドライウォールが乾燥時の接合材面の吸光度に近い吸光度を有し、従ってその表面が視覚的にほぼ均一になるように、ドライウォールの特性を変える。被覆剤はさらに、接合材を研磨しても塗工面が簡単にはがれたり、損傷を受けたりしないような耐久性を有する表面を与える。したがって、被覆剤は、接合材と実質的に適合するのに十分な滑らかなテクスチャーと吸光度とを有する耐久性表面を与えることが好ましい。
【0021】
被覆剤は、通常、乾燥型被覆剤であり、被覆剤組成物は、水、無機充填剤、結合剤および増粘剤を含有する。被覆剤は、さらに分散剤を含むことが好ましい。水は、被覆剤組成物を任意の好ましい手段でドライウォール材に塗布するのに適した粘度を被覆剤組成物に与えるのに有効な量で加える。
【0022】
無機充填剤は、表面被覆剤組成物用の当業では周知の充填剤のいずれかまたはその組み合せであり得る。無機充填剤は、明るい色、好ましくは白色で、平均径D50が、光散乱法で測定して、約5〜約35μmの粒径または粒度分布を有するもことが好ましい。充填剤の粒径が大き過ぎると、例えば、塗層面の光線反射がドライウォール面と異なるなどの全体的な表面の不具合が生じ、色相のトーンや明るさに相違をもたらす。また、粒径が大き過ぎると、ボードと被覆剤の粗さの違いに関連する物理的外観の違いも生じる。
【0023】
無機充填剤は、好ましくは約60%を超える、より好ましくは約75%を超える、最も好ましくは約90%を超える炭酸カルシウムを含む。また、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、硬石膏などの他の充填剤も炭酸カルシウムより少ない量で用いられ得る。一例として、例えばオミア(OMYA)製のPulpro 15などの充填剤を用い得る。無機充填剤は、被覆剤組成物の総重量の約40〜70%に相当する。無機充填剤は、被覆剤組成物の総重量の約45〜約65%に相当することが好ましい。
【0024】
被覆剤組成物はさらに分散剤を含むことが好ましい。分散剤は、被覆剤組成物に凝集力を与え、被覆剤組成物の粘度が被覆剤としては比較的低い場合にも被覆剤組成物の成分を懸濁状態に保持する。分散剤としては、所望の通りに機能する任意の分散剤またはその混合物、好ましくは、任意のポリアクリル酸エステルもしくはポリアクリル酸塩およびそれらの混合物のいずれか、より好ましくは、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩が挙げられる。一例として、ローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)製のAcumer(登録商標)9300またはAcumer(登録商標)9400を使用し得る。
【0025】
分散剤は、被覆剤組成物の総重量の約0.5〜15.0%に相当することが好ましい。分散剤は、被覆剤組成物の総重量の約1.0〜約5.0%を構成するのがより好ましい。
被覆剤組成物はさらに、好ましくは水相分散性であり、被覆剤組成物の総重量の約0.
5〜約30%、好ましくは約0.5〜約15.0%、より好ましくは約1.0〜約4.0%の割合の有機結合剤を含有する。結合剤は、機械的応力に耐えるに十分な柔軟性を塗層に与え、全面に対して良好な結合を得るための接着能と耐紫外線性とを有することが好ましい。さらに、結合剤は、通常、塗布後の塗工面を硬化させる機能も果たすであろう。
【0026】
被覆剤組成物中の結合剤は、ラテックス結合剤またはそのような結合剤の混合物が好ましいであろう。1つの好ましい実施形態において、結合剤はアクリルラテックス結合剤である。一例として、ローム・アンド・ハース・カンパニー製のAC−630などのアクリルラテックスを使用し得る。
【0027】
被覆剤組成物は、粘度を増大させたり、被覆剤組成物の成分を懸濁状態に保持したりするのに役立つ機能を提供する増粘剤をさらに含有する。増粘剤は、主として、非セルロース系増粘剤またはその混合物であることが好ましい。いくつかの実施形態においては、セルロース系増粘剤などの当業で周知の他の増粘剤も、増粘剤混合物中の一部として被覆剤組成物に加えられ得る。一例として、一般にアルカリ溶解性エマルションまたは疎水基変成アルカリ溶解性エマルションとして認識される非セルロース系増粘剤を使用し得る。増粘剤は、例えば、ポリアクリレート、特に、アクリル酸とアクリル酸エステルとのコポリマーなどの高分子非セルロース系増粘剤であればなお好ましい。1つの最も好ましい実施形態において、増粘剤は、アクリレートとメタクリル酸とのコポリマーである。一例として、どちらもローム・アンド・ハース・カンパニー製である、アルカリ溶解性エマルション類のポリアクリレートであるASE−60または疎水基変成アルカリ溶解性エマルション類ポリアクリレートであるTT−615を用い得る。
【0028】
増粘剤は、一般に、被覆剤組成物の総重量の、約0.05〜約50%、好ましくは、約0.1〜約5.0%の割合で用いられる。
被覆剤組成物の組成には、水、無機充填剤、分散剤、結合剤および増粘剤に加えて、少なくとも1種の作業性改善剤、特に粘土を、被覆剤組成物の総重量の約0.1〜約5.0%、好ましくは、約1.0〜約2.0%の割合で加え得る。作業性改善剤は、好ましくは、1種以上のケイ酸誘導体、より好ましくは、例えばエンゲルハルト(Engelhard)製M8214などのアタプルガイトタイプの粘土である。
【0029】
被覆剤組成物には亀裂防止剤を入れるのも好ましい。そのような材料は、当業では周知であり、マイカなどの材料を含み得る。一例として、オグルベイ・ノートン(Oglebay Norton)製のMW200を使用し得る。亀裂防止剤は、被覆剤組成物の総重量の約0.1〜約20%に相当し得る。亀裂防止剤は、被覆剤組成物の総重量の約1.0〜約2.0%に相当することが好ましいであろう。
【0030】
被覆剤組成物の組成において、従来のように、殺生剤、消泡剤、保存剤、水処理剤および顔料などの他の成分を組み込むこともできる。例えば、水処理剤は、使用される水または被覆剤組成物の基本的用途に応じて被覆剤組成物のpHを調整するのに必要であり得る。そのような水処理剤は重炭酸塩であり得、いくつかの実施形態では、約8を超えるpHを確保するために用い得る。保存剤は、当業では周知であり、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジンなどの材料を包含する。一例として、トロイ・コーポレイション(Troy Corporation)製のTroysan
165を使用し得る。殺生剤、消泡剤、水処理剤および顔料などの追加成分は、通常、比較的微量で、概して被覆剤組成物の総重量の約1.0%未満の量で用いられる。
【0031】
被覆剤組成物は、一例として、第1画分の水を、結合剤および分散剤と合わせ、組み合せ物を混合して調製され得る。重炭酸塩などの水処理剤を加える場合、そのような物質は、第1混合工程で添加され得る。混合プロセスを有効に最適化するためには、被覆剤組成
物の粘度を可能な限り長時間にわたって可能な限り高く保つ必要がある。
【0032】
結合剤および分散剤と第1画分の水とを十分に混合した後、炭酸カルシウムなどの無機充填剤、次いで、マイカおよび粘土を加える。保存剤を使用する場合、保存剤は、この工程で、当業者には周知の他の任意選択成分と一緒に添加され得る。増粘剤を加える前に、被覆剤組成物をさらに混合する。最後に残りの水を加える。しかしながら、無機充填剤添加後の被覆剤組成物混合物が高粘度を有する場合、例えば、被覆剤組成物混合物の粘度が高すぎる場合、増粘剤添加前に水をいくらか加えてもよい。残っている水があれば増粘剤添加後に加え得る。
【0033】
通常、被覆剤組成物の粘度は、室温下にブルックフィールド(Broodfield)粘度計で測定して、約250〜約1200cps、より好ましくは約300〜約450cpsであろう。一例として、被覆剤組成物の粘度は、100rpmのTバー型スピンドル番号S91を100rpmで用いて測定し得る。接合材の粘度は、例えば、Tバー型スピンドル番号S94を2.5rpmで用いて測定し得る。目的用途に適した被覆剤組成物を得るために、当業では周知の任意の手段を用いて粘度を調整し得る。
【0034】
被覆剤組成物は、プレハブドライウォール要素、好ましくは、例えば、石膏ファイバーボード、セメントファイバーボード、石膏ウォールボード、プラスターボードなど平坦なプレハブ要素上に使用されることが好ましい。
【0035】
被覆剤組成物は、プレハブ要素からなるドライウォールの外面上に比較的薄いスキムコートまたはフィルムコートとして塗布される。スキムコートまたはフィルムコートは、ドライウォールを乾燥機に通す前または通した後に塗布され得る。しかし、スキムコートまたはフィルムコートは、心材を乾燥するときに乾燥されるように、乾燥機に通す前に塗布することが好ましいであろう。
【0036】
スキムコートは、一例として、工場において、塗装装置を介して、例えば、ロールコーティング、カーテンコーティング、真空コーティング、吹付などによりプレハブ要素上に塗布され得る。これにより、スキムコート塗布済みプレハブ要素が既にスキムコートが塗布された状態でアセンブリサイトに送られる。あるいは、被覆剤組成物は、ドライウォールまたはボードを内装建築時に所定位置に配置した後でドライウォールまたはボードに塗布するために使用者に供給され得る。被覆剤組成物由来のスキムコートは、スキムコートが塗布されたドライウォールまたはボードの設置に用いられる接合材と一体となってほぼ均一で平坦な表面を与える。
【0037】
被覆剤組成物は、標準条件下で、ボード上に製品を塗布するために作動させる吹付装置を用いて塗布することが好ましい。吹付装置の寸法、回転速度、給送、温度、および他の運転条件は、当業者の技術範囲内である。1つの好ましい実施形態において、被覆剤組成物はボード製造ラインで塗布される。この製造ラインは、(i)石膏ボードを一列で移動させるためのコンベアと、(ii)スプレーアームであって、その一端に、スプレーアームを旋回可能に支持するピボットを有するスプレーアームと、(iii)コンベアに隣接して装着されたベースフレームと、(iv)スプレーアームを操作位置から旋回させると、スプレーアームがコンベアを越えて非操作位置に伸び得るようにベースフレーム上に装着された旋回用支持体と、(v)コンベア上の石膏ボードに被覆剤組成物を吹付けるためにスプレーアーム上に配置された複数のスプレーノズルと、(vi)複数のスプレーノズルに被覆剤組成物を供給するベースフレーム上のポンプシステムとを備え得る。
【0038】
一例として、焼き石膏スラリーを2枚のシートの間に挟み込む工程を含む標準的技法に従って、石膏ボードなどのドライウォール材料を前処理する。コーテッド石膏ボードを含
む石膏ボードの製造法は、例えば国際出願第WO−A−02058902号に記載されており、同特許文献はそのまま本明細書に文献援用される。被覆剤組成物は、石膏硬化後に、但し石膏が完全に乾く前に塗布され得る。その後、石膏ウォールボードを、被覆剤組成物と石膏の両方を乾燥させる従来型乾燥機で乾燥させる。被覆剤は、石膏中の水分を紙とその上の被覆剤を介して十分に排除し得るほど十分に水を透過させ得ることが判明した。心材がまだ湿っているときに石膏ウォールボードのペーパーカバーシートに不透水物質を塗布すると、乾燥機中で水分が除去される際に、ペーパーシートが心材から分離または層剥離し得る。しかし、提供する被覆剤組成物は、心材の乾燥特性または心材の乾燥に要する時間に実質的に悪影響を及ぼすことなくドライウォール製造時に塗布され得るという利点を有する。
【0039】
被覆剤組成物由来塗層の最終厚さは、乾燥時に測定して、一般的には、約5〜約60ミル、好ましくは、約10〜約15ミルである。
一実施形態において、接合材もまた、水、結合剤、増粘剤、分散剤、および充填剤、特にCaCOを含有するシステムを、接合材に適した特性をもたらし、テクスチャーおよび吸光度に関して被覆剤と実質的に類似した表面を与え、乾燥したときの被覆剤および接合材が、好ましくはスキムコートまたは仕上げコートを塗布しなくてもレベル5の仕上げを与え得る量で含む。したがって、壁の前処理から仕上げスキムコートを排除することができ、内壁建築時の時間と費用が節約できる。使用する接合材は、以下に開示するようなもことが好ましい。他の好ましい実施形態において、接合材は、米国特許出願公開番号第2003/0153651号および同第2003/0084633号に開示されているようなものであってよく、両文献はそのまま本明細書に援用される。
【0040】
被覆剤に関連して使用される接合材の選択は、接合材が、乾燥時に、ドライウォール要素またはボード上の被覆剤と実質的に調和するように実施し得る。接合材と塗層の組成は互いに調和するように構成されるので、接合材と塗層は、どちらも乾燥状態にある場合、その実質的に全面にわたって、表面全体にわたってほぼ均一な着色性、反射係数および表面吸水性からなる群に含まれるパラメータの少なくとも1つを有するほぼ均一な外面を形成する。例えば、パラメータの少なくとも1つは、全表面のさまざまな部分で、10%以下、好ましくは5%以下しか異ならず、その結果、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%の均一性が達成される。言い換えれば、一例として、接合材とプレハブ要素が乾燥状態にあるとき、接合材の可視面のパラメータの少なくとも1つは、プレハブ要素の可視面の対応するパラメータと10%以下、好ましくは5%以下しか違わないことが挙げられる。あるいは、各パラメータは、少なくとも所定値であるように調整され得る。
【0041】
表面特性は以下の試験で比較され得る:(A)色。色差デルタEは、分光比色計で、DIN 6174規格に従って、8°の角度で、輝度反射鏡としての光源D65を用いて測定され、Lが輝度を表し、aが緑から赤への遷移を表し、bが青から黄への遷移を表すL、a、b系に含まれる。L、a、bの関数であるこの系のポイントEは、サンプルの比色分析を規定し、色差は、基準ポイントに関して測定される。一般に、2を超える色差は肉眼で識別できるようになる。(B)波長457nmの標準NFQ
03038に従って得られる白色度または反射係数R。この白色度は、同一条件下の当該体と完全拡散体の反射放射線を表す。白色度は、好ましくは70〜80%、最も好ましくは72〜76%である。(C)滴下試験で測定される表面吸水性。23℃で約0.05cmの量の蒸留水の液滴を表面に付着させる(調整雰囲気)。結果的に程度の差はあっても液滴が破壊してしまい結果をゆがめる可変高さから落下させないように液滴を付着させることが重要である。持続分数(光沢面が消失する時間)は試験領域の表面吸収性を表す。
【0042】
1つの好ましい実施形態によれば、接合材と被覆剤は、ほぼ同一の表面吸水性または吸
収性を示す。一実施形態において、表面吸水性は、滴下試験で測定して、継目部およびボードとも少なくとも15分、好ましくは少なくとも45分、より好ましくは少なくとも60分である。接合材と被覆剤は、着色性および/または反射係数もほぼ同一であることが好ましい。別の実施形態において、継目部とボードはそれぞれ、滴下試験で測定して、少なくとも45分、好ましくは少なくとも60分の表面吸水性を示し、継目部とボード上で測定された値は10%を超える違いが有り得る。
【0043】
適切な接合材は、上記説明に従って選択したり、かつ/または以下に述べる接合材の実施形態から選択し得る。
【0044】
接合材 − 好ましい実施形態1
一実施形態において、好ましくは記載被覆剤と併用する接合材は、被覆剤組成物成分に由来する。したがって、この実施形態の接合材は、水と、無機充填剤と、結合剤と、増粘剤と、場合により、分散剤とを含有する。この接合材は、テクスチャーと吸光度に関して被覆剤とほぼ同一の表面をもたらし、乾燥時の被覆剤および接合材を、スキムコートまたは仕上げコートを塗布することなく、好ましくはレベル5の仕上がりにすることを可能にする。したがって、壁の前処理から仕上げスキムコートが除かれ、内壁建築時の時間と費用が節約できる。
【0045】
この実施形態の接合材は、被覆剤組成物とほぼ同一の成分を含有するように配合するのが好ましく、各成分の量は所望の特性に応じて変更され得る。接合材と被覆剤組成物がほぼ同一の成分を含有するので、被覆剤と接合材の特性は、適合性を有し、好ましくは、ドライウォール建築に求められるほぼ均一な表面をもたらす。
【0046】
この実施形態の接合材は、約40〜約70重量%の無機充填剤であって、約60%より高い炭酸カルシウムである無機充填剤と、約0.5〜約3重量%、好ましくは約0.5〜約15重量%の結合剤と、約0.05〜約50重量%の非セルロース系増粘剤と、場合により、約0.5〜約15.0重量%の分散剤と、約0.1〜約5.0重量%の作業性改善剤と、約0.1〜約20重量%の亀裂防止剤とを含有することが好ましいであろう。被覆剤組成物に関して説明したように、他の成分も微量存在し得る。水は接合材を100%にする量で添加される。
【0047】
水は、接合材中、接合材を任意の好ましい手段で塗布してドライウォール要素を組み立てるのに適した粘度を接合材に与えるのに有効な量で存在する。接合材は、通常、被覆剤組成物より高い粘度を有するので、被覆剤組成物より水分が少ない方が好ましいであろう。1つの好ましい実施形態において、被覆剤組成物は接合材の希釈したものであり得る。例えば、被覆剤は、継目目地仕上げコートなどの接合材に比べて、塗布したとき(例えば、被覆剤をプレハブ要素に塗布するか、スキムコート塗布済みプレハブ要素を組み立てたとき)、接合材中に初期に存在する水の量より多い水を含むであろう。したがって、被覆剤は、一般に、例えば、接合材中に初期に存在する量より約10〜60%、好ましくは約15〜40%、より好ましくは約25%多い水を含むであろう。「接合材中に初期に存在する水」とは、接合材がスキムコート塗布済みプレハブ要素に塗布されたときの、乾燥状態になる前の接合材中に存在する水の量を意味する。
【0048】
1つの最も好ましい実施形態において、接合材と被覆剤組成物はほぼ同一の固体配合を有することが好ましく、塗布された塗層は、塗布された接合材より低い固形分を有する。したがって、この好ましい実施形態においては、接合材中に、被覆剤組成物とほぼ同一の充填剤、結合剤、増粘剤および他の任意選択成分が存在する。
【0049】
接合材 − 好ましい実施形態2
別の実施形態において、水、無機充填剤、結合剤、増粘剤、レオロジー改質剤(rheologic agent)、および亀裂防止剤を含有する接合材が提供される。
【0050】
無機充填剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、硬石膏など、およびそれらの組み合せを含む接合材として周知の任意の充填剤であり得る。無機充填剤は、少なくとも約60%の炭酸カルシウムを含むことが好ましいであろう。無機充填剤は、一例として、Pulpro 15であり得る。
【0051】
結合剤は、通常結合剤として使用されるアクリルポリマーであり得る。適当な結合剤の一例は、ローム・アンド・ハース・カンパニー製のAC630である。
増粘剤およびレオロジー改質剤は、1種以上のケイ酸塩化合物またはデンプンから選択され得る。具体的に言えば、例えばアタプルガイトなどの1種以上の粘土を用い得る。一例として、エンゲルハルト社のM8214またはAttagel 30を使用し得る。別のケイ酸塩であるタルクを、レオロジー改質剤として、好ましくは1種以上の粘土成分と併せて用いることも好ましいであろう。例えば、ルゼナック(Luzenac)社のTC100を用い得る。デンプンを追加の増粘剤およびレオロジー改質剤として用いることも好ましいであろう。一例として、Starpol 136、767または600、アミロペクチンリン酸水素2−ヒドロキシプロピルエーテル(amylopectin hydrogen phosphate 2-hydroxypropyl ether)を使用し得る。1つの最も好ましい実施形態において、接合材は、増粘・レオロジー改質剤として、それぞれ、粘土、タルク、デンプンを含有する。
【0052】
例えば、セルロース化合物またはセルロース化合物混合物などの増粘・保水剤を用いるのも好ましい。適当なセルロース化合物としては、例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)のMethocel 240S、Methocel 40320またはサムスン(Samusung)のPMC40USなどのヒドロキシプロピルメチルセルロース化合物が挙げられる。
【0053】
亀裂防止剤は、この目的に適した任意の作用剤であり得る。亀裂防止剤は、例えば、ジョージア社(Georgia)のMineral SG75またはオグルベイ・ノートンのMW200などのマイカが好ましい。
【0054】
接合材は、
水 − 約25〜約45%
充填剤 − 約40〜約70%
亀裂防止剤 − 約1.0〜約3.0%
粘土 − 約1.0〜約4.0%
増粘・保水剤 − 約0.1〜約1.0%
タルク − 約1.0〜5.0%
結合剤 − 約0.5〜約20%、好ましくは約0.5〜約3.0%
デンプン − 約0.1〜約1.0%
を含有することが好ましい。
【0055】
接合材 − 好ましい実施形態3
別の実施形態において、接合材として、本明細書にそのまま文献援用される米国特許出願公開番号第2003/0153651号に記載の接合材を用い得る。
【0056】
上記公開文献に記載の接合材またはプラスターは、
50〜85%の無機充填剤、
1〜20%の水相分散性有機結合剤、
1〜15%のシリケート系剤、
0.2〜5%のシリコーン誘導体である疎水剤、
0.05〜5%のポリビニルアルコール、および
全量を100%にする量の水
からなる組成物に関する。
【0057】
無機充填剤としては、接合材またはプラスターの製造によく用いられる任意の無機充填剤を用い得る。一般に、無機充填剤は、色が明るく、好ましくは白色で、光散乱法で測定して、概して5〜35ミクロンの平均径d30を有するので、乾燥後の接合材は、ボードの表面の仕上がりに対応する平滑な仕上がりを与える。
【0058】
無機充填剤の例としては、炭酸カルシウム、硬石膏または硫酸カルシウム二水和物、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリカ、ケイ酸塩、アルミン酸塩、および他のそのような材料が挙げられる。
【0059】
炭酸カルシウムCaCOを用いることが好ましい。
無機充填剤は、接合材の総重量の50〜70%に相当することが好ましい。
一実施形態によれば、結合剤/シリケート系剤の重量比は0.5〜2である。
【0060】
一実施形態によれば、結合剤/疎水剤の重量比は1.5〜10である。
1つの有利な実施形態によれば、無機充填剤は、パーライト、好ましくは発泡パーライト、さらに好ましくは疎水性パーライトをさらに含む。その場合、パーライトの量は、通常、2〜5%である。
【0061】
水相分散性有機結合剤の例としては、ポリ酢酸ビニルホモポリマー(可塑化または非可塑化)、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(可塑化または非可塑化EVA)、エチレン/ビニルバーサテートコポリマー、酢酸ビニル/ビニルバーサテート/コポリマー、ポリアクリル、酢酸ビニル/アクリルコポリマー、スチレン/アクリルコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、酢酸ビニル/ビニルバーサテート/マレイン酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル/ビニルバーサテート/アクリルターポリマー、アクリルターポリマー、アクリルポリマーまたはホモポリマー、およびそれらのブレンドが挙げられる。
【0062】
有機結合剤の割合は、接合材の総重量の2〜12%が好ましい。
(無機充填剤とは異なる)シリケート系剤は、タルクおよび/またはマイカおよび/または粘土を含むことが好ましい。タルクとマイカの混合物を用いることが好ましい。
【0063】
シリケート系剤の割合は、接合材の総重量の3〜10%が好ましい。
疎水剤はシリコーン誘導体である。シリコーン誘導体としては、シリコネート、シラン、水素化シリコーンオイル、シリコーンエマルション、アミノシリコーンエマルション、ヒドロゲノメチル−ポリシロキサンおよびアミノ化ポリジメチル−シロキサンなどのアルキルシロキサン樹脂ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
アミノ化ポリジメチル−シロキサン系樹脂をシリコーン誘導体として用いることが好ましい。
シリコーン誘導体の割合は接合材の総重量の0.5〜3%が好ましい。
【0065】
シリコーン誘導体の割合は表面仕上げ紙と同一の表面特性を有する継目部ができるように選択することが有利である。これらの表面特性は、天然色の効果による脱色または着色性、反射係数および表面吸水性である。これらの特性は上述されている。
【0066】
ポリビニルアルコールの割合は、接合材の総重量の0.05〜1%が好ましい。
1つの有利な実施形態によれば、接合材はさらにデンプンおよび/またはデンプン誘導体を含有する。
【0067】
デンプンおよび/またはデンプン誘導体の割合は、一般に接合材の総重量の0.05〜5%、好ましくは0.1〜1%である。
接合材は、その成分を任意の順序で混合して調製し得る。
【0068】
各必須成分に割り当てられた割合を顧慮するという条件で、本発明の接合材に、2次成分として、他の成分を処理しやすくするため、または接合材に特定の特性を追加するために通常用いられる添加剤を導入し得ることは勿論である。そのような添加剤の例としては、保水剤または増粘剤、スリップ剤、分散剤、ゲル化防止剤、顔料、殺生剤および消泡剤が挙げられる。これらの添加剤は、例えば、本明細書に文献援用される国際出願第WO−A−9702395号に記載されている。
【0069】
以下の実施例で本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
実施例1
表1に示す実施形態の被覆剤組成物は以下のように調製した。
第1部の水に、重炭酸塩、結合剤および分散剤を加えて混合した。次いで、炭酸カルシウムを添加、混合した後、マイカ、粘土および保存剤を加えて混合した。次いで、被覆剤組成物に増粘剤を添加して混合した。被覆剤組成物に増粘剤を混ぜた後、残りの水を加えた。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例2
表2の被覆剤組成物を実施例1の手順に従って調製した。
【0073】
【表2】

【0074】
実施例3
好ましい実施形態2の接合材を以下の組成を用いて調製した。
水 − 33.0%
石灰石(CaCO) − 57.0%

マイカ − 2.0%

アタプルガイト粘土 − 2.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース − 0.5%
タルク − 3.0%
アクリルポリマー − 1.5%
デンプン − 0.5%
本発明の好ましい実施形態を詳細に開示したが、本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲で、種々の変形および変更を実施し得ることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一層のスキムコートが塗布されたドライウォール要素を含むスキムコート塗布済みドライウォール要素であって、前記スキムコートは、水、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物から形成されている、スキムコート塗布済みドライウォール要素と、
前記スキムコート塗布済みドライウォール要素を接合して実質的に平らな外面を形成する少なくとも一層の接合材とを備える内壁用建築アセンブリ。
【請求項2】
被覆剤組成物中の充填剤が少なくとも約75重量%のCaCOを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
1つ以上のプレハブドライウォール要素と、
少なくとも1つのプレハブドライウォール上に塗布された少なくとも一層のスキムコートであって、水、結合剤、無機充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有する被覆剤組成物からなる少なくとも一層のスキムコートと、
1つ以上のプレハブドライウォール要素を接合して実質的に平らな外面を形成することにより、プレハブドライウォール要素を組み立てるための少なくとも一層の接合材であって、乾燥時、スキムコートと実質的に調和する接合材とを備える内装建築システム。
【請求項4】
被覆剤組成物中、結合剤が、約0.5〜約30%、好ましくは約0.5〜約15%の量で存在する、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
被覆剤組成物中、結合剤がラテックス結合剤である、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
被覆剤組成物中、結合剤がアクリルラテックス結合剤である、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
被覆剤組成物が約40〜70重量%の充填剤を含有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
被覆剤組成物が約45〜約65重量%の充填剤を含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
被覆剤組成物中の充填剤が、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、硬石膏、およびそれらの混合物のいずれかをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
被覆剤組成物中、増粘剤が約0.05〜約50重量%の量で存在する、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
被覆剤組成物中、増粘剤が約0.1〜約5.0重量%の量で存在する、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
被覆剤組成物中の増粘剤がアクリル酸とアクリルエステルのコポリマーを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
被覆剤組成物が分散剤をさらに含有する、請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
被覆剤組成物が約2.0〜約9.0重量%の分散剤を含有する、請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
被覆剤組成物中の分散剤がポリアクリル酸ナトリウムを含む、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
被覆剤組成物が、約0.1〜約20重量%の亀裂防止剤と、約0.1〜約5重量%の作業性改善剤とをさらに含有する、請求項1から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
被覆剤組成物中の亀裂防止剤がマイカであり、作業性改善剤が粘土である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
被覆剤組成物中、該被覆剤組成物の粘度を約250〜約1200cps、より好ましくは約300〜約450cpsとするのに十分な量の水が存在する、請求項1から17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートとが、乾燥状態で、実質的に平らな外面上においてほぼ均一な外面を形成する、請求項1から18のいずれか1項に記載の建築アセンブリ。
【請求項20】
ほぼ均一な外面がレベル5の仕上げを有する、請求項1から19のいずれか1項に記載の建築アセンブリ。
【請求項21】
着色性、反射係数および表面吸水性からなる群のパラメータの少なくとも1つが、実質的に平らな外面にわたってほぼ均一である、請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートが、乾燥時、ほぼ同一の表面吸水性を示す、請求項1から21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも一層の接合材と少なくとも一層のスキムコートがそれぞれ、乾燥時、滴下試験による測定において、少なくとも15分、好ましくは少なくとも45分の表面吸水性を示す、請求項1から21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
ドライウォール要素が平坦なプレハブ要素である、請求項1〜23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
平坦なプレハブ要素が石膏ウォールボードである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
ドライウォール要素が、少なくとも1枚の下地紙と、下地紙の上に塗布された少なくとも一層のスキムコートからなる被覆層とを有するプラスターまたは石膏心材を含む、請求項1から25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
スキムコートが、乾燥時、約5〜約60ミルの厚さを有する、請求項1から26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
スキムコートが塗装装置を用いてプレハブドライウォール要素上に塗布される、請求項1から27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
ドライウォール要素を予め製造する際に、スキムコートは、プレハブドライウォール要素上に吹付により塗布される、請求項1から28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
ドライウォール要素が石膏ウォールボードである、請求項1から29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
接合材が被覆剤組成物とほぼ同一の固体を含有し、継目処理剤中の水の量は被覆剤組成物中の水の量より約10〜60%少ない、請求項1から30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
接合材が、約25〜約45%の水と、被覆剤組成物の無機充填剤と同一かまたは異なる約40〜約70%の無機充填剤と、約1.0〜約3.0%の亀裂防止剤と、約1.0〜約4.0%の粘土と、約0.1〜約1.0%の増粘・保水剤と、約1.0〜5.0%のタルクと、被覆剤組成物の結合剤と同一かまたは異なる約0.5〜約20%、好ましくは約0.5〜約3%の結合剤と、約0.1〜約1.0%のデンプンとを含有する、請求項1から31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
接合材中の増粘・保水剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
接合材が、被覆剤組成物の無機充填剤と同一かまたは異なる50〜85%の無機充填剤と、1〜20%の水相分散性有機結合剤と、1〜15%のシリケート系剤と、0.2〜5%のシリコーン誘導体である疎水剤と、0.05〜5%のポリビニルアルコールと、全量を100%にする量の水とを含有する、請求項1から31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
接合材が結合剤を含有し、被覆剤組成物中の結合材と接合材中の結合剤が同一である、請求項1から34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
内壁の建築方法であって、
請求項1から35のいずれか1項に記載のスキムコート塗布済みプレハブドライウォール要素を組み立てる工程と、
請求項1から35のいずれか1項に記載の接合材を用いて隣接するプレハブドライウォール要素を接合して継目部を形成する工程と、
接合材を乾燥させる工程と
を含む方法。
【請求項37】
水、結合剤、少なくとも約60重量%のCaCOを含む充填剤、および非セルロース系増粘剤を含有するドライウォール用被覆剤組成物。
【請求項38】
結合剤が、約0.5〜約30%、好ましくは約0.5〜約15%の量で存在する、請求項37に記載の被覆剤組成物。
【請求項39】
結合剤が、ラテックス結合剤、好ましくはアクリルラテックス結合剤である、請求項37または38に記載の被覆剤組成物。
【請求項40】
約40〜約70重量%の充填剤、好ましくは約45〜約65重量%の充填剤を含有する、請求項37から39のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項41】
充填剤が、少なくとも約75重量%のCaCOを含む、請求項37から40のいずれ
か1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項42】
充填剤が、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、硬石膏、およびそれらの混合物のいずれかをさらに含む、請求項37から41のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項43】
増粘剤が、約0.05〜約50重量%、好ましくは0.1〜約5.0重量%の量で存在する、請求項37から42のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項44】
増粘剤がアクリル酸とアクリルエステルとのコポリマーを含む、請求項37から43のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項45】
分散剤、好ましくは約2.0〜約9.0重量%の分散剤をさらに含有する、請求項37から44のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項46】
分散剤がポリアクリル酸ナトリウムを含む、請求項45に記載の被覆剤組成物。
【請求項47】
約0.1〜約20重量%の亀裂防止剤と、約0.1〜約5重量%の作業性改善剤とをさらに含有する、請求項37から46のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項48】
亀裂防止剤がマイカであり、作業性改善剤が粘土である、請求項47に記載の被覆剤組成物。
【請求項49】
水が、被覆剤組成物の粘度を約250〜約1200cps、より好ましくは約300〜約450cpsにするのに十分な量で存在する、請求項37から48のいずれか1項に記載の被覆剤組成物。
【請求項50】
請求項37から49のいずれか1項に記載の被覆剤組成物から形成された少なくとも一層のスキムコートが塗布されたドライウォール要素を含むスキムコート塗布済みドライウォール要素。
【請求項51】
ドライウォール要素が平坦なプレハブ要素である、請求項50に記載のドライウォール要素。
【請求項52】
平坦なプレハブ要素が石膏ウォールボードである、請求項50または51に記載のドライウォール要素。
【請求項53】
少なくとも1枚の下地紙と、下地紙の上に塗布された少なくとも一層のスキムコートから形成された被覆層とを有するプラスターまたは石膏心材を含む、請求項50から52のいずれか1項に記載のドライウォール要素。
【請求項54】
スキムコートが、乾燥時、約5〜約60ミルの厚さを有する、請求項50から53のいずれか1項に記載のドライウォール要素。
【請求項55】
スキムコートは、塗装装置を用いてプレハブドライウォール要素上に塗布される、請求項50から54のいずれか1項に記載のドライウォール要素。
【請求項56】
スキムコートは、ドライウォール要素を予め製造する際に、吹付によりプレハブドライウォール要素上に塗布される、請求項50から55のいずれか1項に記載のドライウォール要素。

【公表番号】特表2007−532805(P2007−532805A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507764(P2007−507764)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003991
【国際公開番号】WO2005/100279
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303026637)
【Fターム(参考)】