説明

ドラム式洗濯機

【課題】一度に洗濯する洗濯物が多い場合で、ドラム内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態であっても、洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させることができ、洗濯物の洗浄効率を良くすることができるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】本実施形態のドラム式洗濯機において、制御手段は、洗い行程時にあってドラムを回転させて洗濯物を撹拌して洗う洗い動作中に、洗濯物の一部がドラムの内周部に張り付く以上の回転数でドラムを回転させる高速回転動作を行い、この高速回転動作中に循環ポンプを動作させて散水口部からドラム内に散水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドラム式洗濯機は、外箱内に背面側が閉塞された有底円筒状の水槽を備えている。この水槽は、中心軸が横向きとなるように弾性支持され外箱内に配置されている。この水槽内には、モータによって回転駆動されるドラムが設けられている。このドラムの内周部には、洗濯物を掻き上げるための複数個のバッフルが設けられている。そして、洗濯運転の洗い動作時において、水槽内に洗剤を溶かした洗濯水が貯められ、前記ドラムが回転してこの洗濯水を含んだ洗濯物がバッフルにより掻き上げ落下されることにより、洗濯物のたたき洗いが行われる。
【0003】
このような構成のドラム式洗濯機においては、洗濯物に洗剤を溶かした洗濯水を充分に浸透させることが重要である。このため、従来では、水槽の底部から洗濯水を取り出して水槽の上部からドラム内にこの洗濯水を放出し散水する循環ポンプを有する循環経路を設け、この洗濯物がドラム底部にある時の洗濯水の自然浸透の他に、この循環ポンプにより洗濯物へ散水することによる洗濯水の強制浸透を図るようにした構成が考えられた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、例えば、一度に洗濯する洗濯物が多い場合には、前記ドラム内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態となり、上記した循環ポンプによりこのドラム内への散水を行っても、ドラム内奥の洗濯物には洗濯水が届きにくく、洗濯水がドラム内の洗濯物に充分に浸透するのに時間を要し、洗濯物の洗浄効率が悪くなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−113982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、洗い行程において、ドラム内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態でも、洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させることができ、洗濯物の洗浄効率を良くすることができるドラム式洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のドラム式洗濯機によれば、外箱と、水槽と、ドラムと、モータと、取水口部と、散水口部と、循環経路と、循環ポンプと、制御手段とを備える。水槽は、外箱内にダンパを介して弾性支持されている。ドラムは、水槽内に軸方向が横向きとなる状態で回転可能に設けられ、周壁に多数の孔を有し、内部に洗濯物を収容する。モータは、ドラムを正逆回転駆動する。取水口部は、水槽の下部に設けられている。散水口部は、水槽の上部に設けられている。循環経路は、水槽内の水を取水口部および散水口部を通して循環させるように設けられている。循環ポンプは、循環経路中に設けられ、取水口部から取り出された水槽内の水を散水口部からドラム内に放出させて散水する。制御手段は、モータおよび循環ポンプを制御する。制御手段は、洗い行程時にあってドラムを回転させて洗濯物を撹拌して洗う洗い動作中に、洗濯物の一部がドラムの内周部に張り付く以上の回転数でドラムを回転させる高速回転動作を行い、この高速回転動作中に循環ポンプを動作させて散水口部からドラム内に散水する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態によるドラム式洗濯機の動作説明用のフローチャート
【図2】ドラム式洗濯機全体の縦断側面図
【図3】ドラム式洗濯機全体の破断斜視図
【図4】水槽カバー部分の背面図
【図5】ダンパを含むサスペンション単体の縦断面図
【図6】電気的構成を示すブロック図
【図7】第2の実施形態による動作説明用のフローチャートの一部を示す図
【図8】第3の実施形態による図2相当図
【図9】図6相当図
【図10】図1相当図
【図11】シャワーすすぎ行程のフローチャート
【図12】洗い行程における高速回転動作時のドラムの回転数の変化と、循環ポンプおよびダンパのコイルのタイムチャート
【図13】シャワーすすぎ行程における各部のタイムチャート
【図14】第4の実施形態を示すもので、洗濯物重量と、洗い行程時における高速回転動作時のドラムの最高回転数と、洗濯機モータのオン・オフ時間の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態につき、図1から図6を参照して説明する。
まず、図2および図3には、ドラム式洗濯機の全体構造が示されている。ドラム式洗濯機の外箱1は、詳細には、合成樹脂製の基台1Aと、基台1Aに結合された箱本体1Bとから構成されている。そのうちの箱本体1Bの前面部(図2で左側)のほぼ中央部には、洗濯物出入口部2が形成され、洗濯物出入口部2を開閉する二重構造の透明性を有する扉3が設けられている。また、箱本体1Bの前面部の上部には、操作パネル4が設けられ、その裏側(外箱1内)には、制御手段たる制御装置5が設けられている。
【0010】
外箱1内には、背面側が閉塞された有底円筒状の水槽6が設けられている。水槽6は、外箱1内に中心軸線が前後方向を向き、かつ後下がりの傾斜状態でダンパ7を主部材とするサスペンション8によって弾性支持されている。このサスペンション8については後に詳述する。なお、水槽6はその中心軸線が略水平の横向きの状態で支持されていてもよい。
【0011】
水槽6の背面側の外側には、モータたる洗濯機モータ9が設けられている。この洗濯機モータ9は、例えば直流のブラシレスモータからなるもので、アウターロータ形であり、ステータ9Aおよびロータ9Bを有している。ステータ9Aは、水槽6の背面側の外側に取り付けられ、ロータ9Bの中心部の回転軸9Cは、軸受ブラケット10に軸受11を介して支承されて水槽6の内部に挿通されている。
【0012】
水槽6内には、背面側が閉塞された有底円筒状のドラム12が設けられている。このドラム12は、内部に洗濯物を収容し、背面側の外側の中心部が洗濯機モータ9の回転軸9Cの先端部に連結され、水槽6の軸線を中心に回転可能に設けられ、洗濯機モータ9により正逆回転駆動される。したがって、ドラム12は、水槽6内に、中心軸線が前後方向を向き、かつ、後下がりの傾斜状態で回転可能に設けられている。この場合、洗濯機モータ9はドラム12を正逆回転駆動させる駆動装置として機能する。
【0013】
ドラム12の周壁(胴部)には、孔13が全域にわたって多数形成されている。また、ドラム12の内周部には、洗濯物掻き上げ用のバッフル14が複数、例えば3個等間隔に設けられている。バッフル14は、図2に示すように、水槽6の軸線に沿うようにして前後方向に延びるとともにドラム12の回転中心軸側に突出している。
【0014】
ドラム12および水槽6は、ともに前面側が開口されている。そのうちのドラム12の前面側の開口部15の周囲部内部には、例えば液体封入形の回転バランサ16が設けられている。水槽6の前面側の開口部には、水槽カバー17が装着されていて、その先端部の開口部17aは、環状の弾性材、例えばゴムからなるベローズ18により洗濯物出入口部2に連結されている。この結果、洗濯物出入口部2は、ベローズ18、水槽カバー17およびドラム12の開口部15を介して、ドラム12の内部に連なっている。
【0015】
水槽6の背面側の下部には、排水口部を兼用する取水口部19が形成されている。この取水口部19には、機内排水ホース20の一端部が接続されている。また、機内排水ホース20の他端部は、外箱1の基台1Aの前部に設けられたフィルタケース21の機内排水ホース接続口部22に接続されている。
【0016】
フィルタケース21は、上部に機内排水ホース接続口部22が形成され、前端部にキャップ23が装着されている。フィルタケース21は、内部にキャップ23と一体のリントフィルタ(図示せず)が収納されている。また、フィルタケース21の下部には、排水弁24が接続されており、この排水弁24の出口部に排水パイプ25が接続されている。排水パイプ25の先端部は、外箱1の基台1Aから機外に臨み、図示しない機外排水ホースに接続されるようになっている。
【0017】
一方、フィルタケース21の後端部には、循環ポンプ26が設けられている。この循環ポンプ26は、水槽6(ドラム12)内の水を取水口部19、機内排水ホース20およびフィルタケース21を介して吸引するものである。循環ポンプ26(図6にポンプモータ26aを示す)は、周側部(図の上部)に吐出口部27が形成され、この吐出口部27に送水ホース28の一端が接続されている。送水ホース28は、中間部が水槽カバー17の周方向から上方へ延びており、先端部が水槽カバー17に形成された放水機構部29に接続されている。この放水機構部29は、後述するように、ドラム12の内部に散水するように接続されている。この結果、取水口部19と放水機構部29とを繋ぐようにして循環経路30が形成されている。即ち、循環経路30は、水槽6、ドラム12、取水口部19、機内排水ホース20、フィルタケース21、送水ホース28および放水機構部29から形成され、循環ポンプ26が循環経路30中に位置するように設けられている。そして、循環ポンプ26が、水槽6の取水口部19から取り出された洗濯水を放水機構部29からドラム12内に向かってシャワー状に放水するようになっている。
【0018】
フィルタケース21の前部の上部には、エアトラップ31が設けられている。このエアトラップ31と外箱1内の最上部に配置された水位センサ32とは、エアチューブ33によって接続されている。この結果、水位センサ32は、水槽6内の水位を、機内排水ホース20、フィルタケース21、エアトラップ31およびエアチューブ33を介して検出する、水位検出手段として機能するようになっている。
【0019】
外箱1内の最上部には、給水弁34および給水ケース35が設けられている。給水弁34は、入口部に図示しない水道の蛇口に接続した機外給水ホース(図示せず)が接続されるようになっており、出口部に接続パイプ36の一端部が接続されている。接続パイプ36の他端部は、給水ケース35に接続されている。給水ケース35は、内部に洗剤貯留部(図示せず)を有している。この給水ケース35には、機内給水ホース37の一端部が接続され、機内給水ホース37の他端部が水槽6の上部に接続されている。その結果、水道から給水弁34を介して給水される水は、接続パイプ36、給水ケース35の前記洗剤貯留部および機内給水ホース37を介して水槽6内に供給される。また、給水弁34と給水ケース35は、水槽6内に給水する給水装置38を構成している。
【0020】
なお、図2に示すように、水槽6の背面側上部には、その水槽6内に連通するエアトラップ39が設けられている。このエアトラップ39と外箱1内の最上部に配設された泡センサ40とは、エアチューブ41によって接続されている。泡センサ40は、圧力スイッチからなるもので、水槽6内に泡が発生しドラム12の回転にともない泡が伸縮することによりエアトラップ39に到達した場合に、ドラム12の回転にともない泡が伸縮することによりエアトラップ39内の圧力が変化するので、その圧力変化を検出することで泡の発生量を検出する。
【0021】
次に、放水機構部29について、図4をも参照して説明する。
放水機構部29は、図2、図4に示すように、水槽カバー17と、この水槽カバー17の内面部のほぼ上部外周部に装着(溶着)されて図示しない水路を形成する閉塞板44とを備えている。水槽カバー17の図4において右方部位には、前記水路に連通する連結口部45が形成されており、これには、送水ホース28が連結されている。水槽カバー17の連結口部45の上方に位置する部位、即ち水槽6の上部には、閉塞板44とともに第1の散水口部46が形成されている。水槽カバー17の連結口部45とは反対側に位置する部位(図4において左上方部位)には、閉塞板44とともに第2の散水口部47が形成されている。この場合、洗濯水の散水口部は2箇所設けられ、図2に示すように、第1の散水口部46による第1の放水経路Paの水落下地点は、ドラム12内の前部側になり、第2の散水口部47による放水経路Pbの水落下地点は、第1の散水口部46の水落下地点よりも後部側になるように設定されている。循環経路30は、水槽6内の水(洗濯水)を取水口部19から吸入し循環ポンプ26により第1、第2の散水口部46、47からドラム12内に放出させて散水することで循環するように設けられている。
【0022】
次に、サスペンション8について、図5をも参照して説明する。
サスペンション8はダンパ7を有しており、このダンパ7は図5に示すように、主部材として、シリンダ52とシャフト53とを備えている。このうち、シリンダ52は上端部に連結部材54を有し、この連結部材54を、図2に示すように、水槽6が有する取付板55に下方から上方へ通して弾性座板56等を介してナット57で締結することにより、水槽6に取り付けられている。
【0023】
これに対して、シャフト53は下端部に連結部53aを有し、この連結部53aを、同じく図2に示すように、外箱1の基台1Aが有する取付板58に上方から下方へ通じて弾性座板59等を介してナット60で締結されることにより、外箱1の基台1Aに取り付けられている。
【0024】
図5に示すように、シリンダ52の内部の中間部には、上ヨーク61が圧入され固定されている。上ヨーク61は磁性材からなっており、内周部の上側にスペース62を有する短円筒状に形成され、そのスペース62にリング状の軸受63が収納され固定保持されている。軸受63は例えば焼結含油メタルからなっている。
【0025】
シリンダ52の内部の上ヨーク61直下の位置には、コイル64が、ボビン65に巻装された状態で挿入され固定保持されている。また、シリンダ52の内部のボビン65直下の位置には、リング状の下ヨーク66と、リップ状のシール67、並びにリング状の軸受68が、短円筒状のブラケット69に収納された状態で挿入され固定保持されている。このうち、下ヨーク66は上ヨーク61同様に磁性材からなっており、軸受68は軸受63同様に例えば焼結含油メタルからなっている。
【0026】
そして、シャフト53は、シリンダ52の下端開口部70から、軸受68、シール67、下ヨーク66、ボビン65、上ヨーク61、および軸受63を順に貫通してシリンダ52の内部に挿入されている。この挿入されたシャフト53は、軸受68、63に支持されつつ、それら軸受68、シール67、下ヨーク66、ボビン65、上ヨーク61、および軸受63に対して、軸方向の往復動が相対的に可能となっている。また、シリンダ52の上ヨーク61上の部分は空洞71になっており、挿入されたシャフト53は、上端部がその空洞71に達し、止め輪72で抜け止めされている。
【0027】
更に、挿入されたシャフト53とボビン65との間、並びにその近傍にあるシャフト53と上ヨーク61との間およびシャフト53と下ヨーク66との間には、磁気粘性流体73が注入され充填されており、シール67はこの磁気粘性流体73の漏れを抑止する機能を有している。
【0028】
シリンダ52の外部下方に位置したシャフト53の下部には、ばね受け座74が嵌合固定されており、このばね受け座74とシリンダ52の下端部との間には、シャフト53を囲繞する圧縮コイルスプリングからなるコイルばね75が装着され、このようにして、サスペンション8を構成するとともに、このサスペンション8を水槽6と外箱1の基台1Aとの間に組み込み、外箱1の基台1A上に水槽6を防振支持するようにしている。なお、コイル64は、図示しないリード線を介してダンパ7外部の駆動回路(図示せず)に接続され、通電されるようになっている。
【0029】
コイル64に所定値、この場合、0.5〔A〕の電流の通電をする。コイル64に通電すると、磁場が発生して、磁気粘性流体73に磁界が与えられ、磁気粘性流体73の粘度が高められる。詳細には、コイル64に通電したことで、シャフト53−磁気粘性流体73−上ヨーク61−シリンダ52−ブラケット69−下ヨーク66−磁気粘性流体73−シャフト53の磁気回路が発生し、磁束が通過する箇所の磁気粘性流体73の粘度が高まる。特に磁束密度の高いシャフト53と上ヨーク61との間、並びに下ヨーク66とシャフト53との間の、各磁気粘性流体73の粘度が高まり、摩擦抵抗が増加する。こうして、シリンダ52が前記各部品、特にはコイル64と上ヨーク61および下ヨーク66を伴って上下方向に振動するときの、摩擦抵抗が増加されダンパ7のダンパ力が大きくなる。
【0030】
図6には、上述したドラム式洗濯機の電気的構成が示されている。制御装置5は、マイクロコンピュータを主体として構成されるもので、前記ドラム式洗濯機の動作全般を制御する。この制御装置5には、操作パネル4(図2参照)に設けられた各種のキー(スイッチ)からなる操作部81からの各種操作信号、水位センサ32からの水位検出信号、泡センサ40からの泡検出信号、洗濯機モータ9の回転速度を検出する回転センサ82からの速度検出信号、ポンプモータ26aの回転速度を検出する回転センサ83からの速度検出信号、洗濯機モータ9に流れる電流を検出するカレントトランス84からの電流検出信号などが入力される。
【0031】
そして、制御装置5は、上記各種の入力信号および予め記憶された制御プログラムに基づいて、給水弁34、排水弁24、洗濯機モータ9、ポンプモータ26a、およびサスペンション8のダンパ7におけるコイル64、を駆動する図示しない駆動回路を介して制御する。この場合、制御装置5は、図示しないインバータによりPWM制御し、以って、ベクトル制御により洗濯機モータ9の回転速度の制御を行う。また、制御装置5は、操作パネル4に設けられた例えば液晶パネルなどからなる表示器85に、後述の洗濯物の重量検出に応じた洗剤量の他、設定された運転コース、洗い時間、運転の残り時間、予約時間、現在時刻などの各種情報が表示される。
【0032】
次に、上記構成の動作について、図1のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態では、洗濯物をドラム12内に収容した状態で、例えば、使用者が操作パネル4を操作して通常の洗い運転(洗い、すすぎ、脱水の各行程を行うコース)を選択し、操作パネル4の操作部81のスタートキーを操作すると、制御装置5は、操作部81から出力される信号に基づいて、まず、洗濯物重量の検出を実行する(ステップS1)。洗濯物重量の検出は、洗濯機モータ9を駆動し、洗濯機モータ9のモータ電流値(トルク成分に対応するq軸電流値)をカレントトランス84(重量検出手段)により検出することによって行われる。即ち、ベクトル制御における洗濯機モータ9のq軸電流値は、ドラム12内に投入された洗濯物の重量と密接な関係にあり、洗濯物の重量が大きいほどq軸電流値は高い値を示す。従って、例えば洗濯機モータ9の回転速度を所定回転数(例えば280rpm)に急速に上昇させたときのq軸電流を検出することにより、洗濯物の重量を推定することができる。
【0033】
制御装置5は、洗濯物の重量を、例えば3段階の小(例えば2kg)、中(例えば4kg)、大(例えば6kg)に判定して検出する。この洗濯物重量の検出結果(小、中、大)に応じて、洗剤量と、洗い行程における水位、並びに、後述する高速回転動作の際のドラム12の回転数(以下、ドラム回転数b)および洗い行程における時間(t1、T1、T2)の決定を行う(ステップS2)。
【0034】
制御装置5は、表示器85に洗剤量を表示し(ステップS3)、使用者が給水ケース35に洗剤を投入するための所定時間(例えば20秒)待つ(ステップS4)。
制御装置5は、前記所定時間の経過後に、給水弁34を開放して水槽6への給水を開始する(ステップS5)。これに伴い、水道水が給水ケース35、機内給水ホース37を通して水槽6内、延いてはドラム12内に供給されて貯留され、また、前記洗剤貯留部に投入された洗剤もその水とともに水槽6(ドラム12)内に供給される。
【0035】
制御装置5は、給水開始(ステップS5)後、洗濯機モータ9によりドラム12を低速度で回転させる。具体的には、低速度(例えば40〜60rpm)の正転15秒、停止1秒、低速度(例えば40〜60rpm)の逆転15秒、停止1秒でドラム12を回転駆動する、給水撹拌動作を行い(ステップS6)、洗濯物を洗濯水によって濡らす。
【0036】
制御装置5は、この給水撹拌動作時において、水位センサ32の検出水位が循環ポンプ26の駆動可能水位になったか否かを判定する(ステップS7)。循環ポンプ26の駆動可能水位になったときには(ステップS7で「YES」)、ポンプモータ26aを回転させて循環ポンプ26を駆動させる(ステップS8)。循環ポンプ26が駆動されることにより、水槽6内の洗濯水は循環経路30を循環し、取水口部19から取り出され放水機構部29からドラム12内に向かってシャワー状に放水される。こうして、洗い行程が終了するまで洗濯物への洗濯水の強制浸透が図られる。
【0037】
制御装置5は、ステップS9では、水位センサ32がステップS2で洗濯物重量(小、中、大)に応じて設定された洗い水位に達したことを検出したか否かを判断し、洗い水位に達するまでステップS9に待機し(ステップS9で「NO」)、洗い水位になったときは(ステップS9で「YES」)、給水弁34を閉じて水槽6への給水を停止する(ステップS10)。その後、制御装置5は、ドラム12を回転させて洗濯物を撹拌して洗う、洗い動作を行う洗い行程(ステップS11〜S22)を実行する。
【0038】
制御装置5は、この洗い行程の初期においては、先ずたたき洗いを行う(ステップS11)。具体的には、低速度(例えば40〜60rpm)の正転30秒、停止1秒、低速度(例えば40〜60rpm)の逆転30秒、停止1秒の周期でドラム12を回転駆動(以下、ドラム回転A)させて、洗濯物をバッフル14で掻き上げ落下させるたたき洗いを行う。制御装置5は、ステップS2で洗濯物重量(小、中、大)に応じて設定された時間t1のドラム回転Aを行う(ステップS11、S12)。時間t1は、ステップS2において、例えば、洗濯物重量が「小」のときはドラム回転Aを2回行うに相当する時間、「中」のときはドラム回転Aを3回行うに相当する時間、「大」のときはドラム回転Aを4回行うに相当する時間に設定される。
【0039】
制御装置5は、ステップS12において、ステップS11のドラム回転Aが開始されてから時間t1が経過したか否かを判断し、時間t1が経過するまで(ステップS12で「NO」)、ステップS11のドラム回転Aを洗濯物重量(小、中、大)に応じて複数回行う。時間t1が経過したら(ステップS12で「YES」)、サスペンション8のダンパ7のコイル64に通電を開始する(ステップS13)。ダンパ7のコイル64に通電することにより、サスペンション8(ダンパ7)のダンパ力が強くなる。ダンパ7のダンパ力を強くすることで、次のステップで行われるドラム12の高速回転動作に伴う、水槽6の振動を抑え、振動騒音を抑制するとともに、水槽6が外箱1に衝突するのを防止する。
【0040】
その後、制御装置5は、ステップS14において、ドラム12の高速回転動作(以下、ドラム回転B)を行う。具体的には、ドラム回転Bでは、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上のドラム回転数bの正転5秒、停止5秒、ドラム回転数bの逆転5秒、停止5秒のドラム12の回転駆動を行う。制御装置5は、ステップS2で洗濯物重量(小、中、大)に応じてドラム回転数bを、例えば70〜120rpmの範囲で設定する。洗濯物重量が重くなるに従ってドラム回転数bは大きくなり、例えば、洗濯物重量が「大」のときのドラム回転数bは120rpm、「中」のときのドラム回転数bは100rpm、「小」のときのドラム回転数bは70rpmと設定される。
【0041】
ドラム回転Aを複数回行い(ステップS11、S12)、次にドラム回転Bを行うことで洗濯物の中央部に隙間を設けることができ、放水機構部29から放水される洗濯水をドラム12内奥の洗濯物にいたるまで浸透させ、更に洗濯物の移動の促進が行われ、次に行われるドラム回転A(たたき洗い)での洗浄効率を向上させることができる。
【0042】
制御装置5は、ドラム回転B(ステップS14)中に泡センサ40が所定量の泡を検出したか否かを判断する(ステップS15)。制御装置5は、泡センサ40の検出泡が所定量未満と判断したときは(ステップS15で「NO」)、ドラム回転B(ステップS14)が終了したか否かを判断する(ステップS20)。制御装置5は、ドラム回転Bが終了していない場合は(ステップS20で「NO」)、ドラム回転Bを継続し(ステップS14)、ドラム回転Bが終了した場合は(ステップS20で「YES」)、ダンパ7のコイル64への通電を止め(ステップS21)、ダンパ7のダンパ力を弱める。
【0043】
その後、制御装置5は、ステップS22において、ステップS2で設定された時間T1が経過したか否かを判断する。時間T1とは、ドラム回転Aを複数回実行し(ステップS11、S12)、ドラム回転B(ステップS14)を1回実行することを1セットとして、これを複数回(例えば、3セット)繰り返して行うに相当する時間である。ドラム回転A(たたき洗い)を複数回行う毎に(ステップS11、S12)、ドラム回転B(ドラム12の高速回転動作)(ステップS14)を行うことで、洗濯水をドラム12内奥の洗濯物にいたるまで浸透させ、更に洗濯物の移動を促進させ、たたき洗いの洗浄効率の向上を図る。
【0044】
制御装置5は、時間T1が経過していないと判断した場合(ステップS22で「NO」)、ステップS11に戻りドラム回転A(たたき洗い)を行い、時間T1が経過したと判断した場合は(ステップS22で「YES」)、時間T2が経過するまでドラム回転A(たたき洗い)を行う(ステップS18、19)。時間T2は、ステップS2において洗濯物の重量(小、中、大)に応じて設定される洗い行程(ステップS11〜S22)の全時間(洗い行程の開始からの全時間)である。時間T2は、時間T1よりも長く(T2>T1)、この場合、上述した時間T1とステップS18のドラム回転Aに要した時間との合計時間である。
【0045】
制御装置5は、ステップS19において、時間T2が経過したと判断したら(ステップS19で「YES」)、洗い行程を終了する。制御装置5は、ドラム12および循環ポンプ26を停止させ(ステップS23)、排水弁24を開放させて、水槽6(ドラム12)内の洗濯水を水槽6の取水口部19から機内排水ホース20、フィルタケース21(リントフィルタ)、排水弁24、排水パイプ25および前記機外排水ホースを通じて排出させる(ステップS24)。
【0046】
制御装置5は、ドラム回転B(ステップS14)中に泡センサ40の検出泡が所定量以上と判断したときには(ステップS15で「YES」)、ドラム12の回転を一旦停止させ(ステップS16)、ドラム12の高速回転動作を中止する。検出泡が所定量以上になるとドラム12の回転に不具合が生じる虞があるため、ドラム12の回転を停止することにより、所定量以上の泡の発生を抑制する。ドラム回転Bの停止に伴い、ダンパ7のコイル64への通電を止め(ステップS17)、ダンパ7のダンパ力を弱める。その後、上記したようにステップS18へ移行し、時間T2が経過するまで低速度のドラム回転A(たたき洗い)を行う。
【0047】
なお、制御装置5は、洗い行程を終了し、排水が終了したら(ステップS24)、図示は省略するが、すすぎ行程を実行する。すすぎ行程では、制御装置5は、洗い行程と同様の給水、すすぎ、排水を繰り返し行う。そして、制御装置5は、脱水行程を実行する。脱水行程では、制御装置5は、ドラム12を、一方向に高速(例えば700〜1500rpm)で回転させ、洗濯物に対して遠心脱水を行う。脱水行程が終了することにより、通常の運転コース(洗濯運転)が終了する。
【0048】
このように本実施形態によれば、洗い行程において、たたき洗い(ドラム回転A)を複数回行う毎に、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上の回転数(ドラム回転数b)でドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)が行われるので、洗濯物に遠心力を加えてドラム12内の中央部に隙間を与える。この隙間を通して、第1の散水口部46から放出された洗濯水は、第1の放水経路Paを通りドラム12内の前部側に落下し、第2の散水口部47から放出された洗濯水は、第2の放水経路Pbを通り第1の放水経路Paの水落下地点よりも後部側に落下する(図2参照)。このため、一度に洗濯する洗濯物が多い場合で、ドラム12内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態であっても、散水口部46、47から洗濯水を放出しドラム12内奥の洗濯物にいたるまで散水することができ、ドラム12内の洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させることができ、更に、前記隙間を与えることでドラム12内での洗濯物の移動が促進され洗濯物の偏りを解消でき、洗濯物の洗浄効率を向上させることができる。
【0049】
また、高速のドラム回転B時に、サスペンション8(ダンパ7)のダンパ力を大きくするので、水槽6の振動を抑えることができ、振動騒音を抑制できるとともに水槽6が外箱1に衝突するといったことを防止できる。
【0050】
また、上述のようにドラム回転Bを洗い行程の前半に行うようにしている。洗い行程の前半に高速のドラム回転Bを行えば、洗い行程の前半にドラム12奥の洗濯物にいたるまで洗濯水を散水することができ、洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させ、ドラム回転A(たたき洗い)において、洗濯物に洗濯水をより長い時間浸透させることができるので、洗濯物の洗浄効率を向上させることができる。なお、本実施形態において、洗い行程の前半とは、洗い行程の全時間の半分までとする。
【0051】
また、制御装置5は、洗濯物重量が重くなるに従ってドラム回転B時のドラム回転数bを大きくなるように設定した。このため、洗濯物に余分な遠心力を与えることを防止でき、ドラム12内周部への洗濯物の過剰な張り付きを防止できる。さらに、洗濯物重量が重くなっても、それに応じたドラム回転数bを設定しているので、洗濯物の中央部に十分な隙間を与えることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態につき、図7を参照して説明する。なお、上述した第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0053】
本実施形態に係るドラム式洗濯機は、第1の実施形態に対して洗濯運転の動作が異なる。
具体的には、図7のフローチャートに示すように、制御装置5は、給水開始(ステップS5)とともに、第1の実施形態のときよりも高速に洗濯機モータ9を駆動し、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上の回転数(ドラム回転数b)の正転15秒、停止1秒、ドラム回転数bの逆転15秒、停止1秒でドラム12を回転駆動する、給水撹拌動作を行い(ステップS36)、洗濯物を洗濯水に濡らす。これ以降の動作は上述した第1の実施形態と同じである。
【0054】
制御装置5は、ステップS2で洗濯物重量(小、中、大)に応じてドラム回転数bを、例えば70〜120rpmの範囲で設定する。洗濯物重量が重くなるに従ってドラム回転数bは大きくなり、例えば、洗濯物重量が「大」のときのドラム回転数bは120rpm、「中」のときのドラム回転数bは100rpm、「小」のときのドラム回転数bは70rpmと設定される。
【0055】
このように本実施形態によれば、給水撹拌動作時に、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上の回転数(ドラム回転数b)でドラム12の高速回転動作を行うことで、洗濯物に遠心力を加えてドラム12内の中央部に隙間を与え、この隙間を通して散水口部46、47から洗濯水を放出しドラム12内奥の洗濯物にいたるまで散水することができる。このため、一度に洗濯する洗濯物が多い場合で、ドラム12内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態であっても、洗濯運転の初期の段階でドラム12内の洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させることができ、洗濯物の洗浄効率を向上させることができる。
【0056】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態につき、図8〜図13を参照して説明する。なお、上述した第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0057】
まず、図8において、水槽6の外周部の上部に、振動検出手段として、加速度センサからなる振動センサ90を設けている。この場合、振動センサ90は、水槽6の振動を検出するもので、当該水槽6の前部と後部の2箇所に設けられている。この振動センサ90の振動検出信号も制御装置5に出力される(図9参照)。
【0058】
次に、制御装置5の制御内容について、図10〜図13を参照して説明する。第1の実施形態と同様に、洗濯物をドラム12内に収容した状態で、使用者が操作パネル4を操作して通常の洗い運転(洗い、すすぎ、脱水の各行程を行うコース)を選択し、操作パネル4の操作部81のスタートキーを操作すると、制御装置5は、操作部81から出力される信号に基づいて、まず、図10に示すように、洗濯物重量の検出を実行する(ステップS41)。洗濯物重量の検出は、第1の実施形態と同様にして行う。制御装置5は、洗濯物の検出重量に応じて、洗剤量と、洗い行程における水位、並びに、後述する高速回転動作の際のドラム12の最高回転数(以下、ドラム回転数b)および洗い行程における各時間(t1、T1、T2)の決定を行う(ステップS42)。
【0059】
制御装置5は、次に表示器85に洗剤量を表示し(ステップS43)、使用者が給水ケース35に洗剤を投入するための所定時間(例えば20秒)待つ(ステップS44)。この後、制御装置5は、給水弁34を開放して水槽6への給水を開始する(ステップS45)。これに伴い、水道水が給水ケース35、機内給水ホース37を通して水槽6内、延いてはドラム12内に供給されて貯留され、また、前記洗剤貯留部に投入された洗剤もその水とともに水槽6(ドラム12)内に供給される。制御装置5は、給水開始(ステップS45)後、洗濯機モータ9によりドラム12を低速度(例えば40〜60rpm)で正逆回転させて給水撹拌動作を行い(ステップS46)、洗濯物を洗濯水によって濡らす。
【0060】
制御装置5は、この給水撹拌動作時において、水位センサ32の検出水位が循環ポンプ26の駆動可能水位になったか否かを判定し(ステップS47)、循環ポンプ26の駆動可能水位になったときには「YES」に従ってステップ48へ移行し、循環ポンプ26(ポンプモータ26a)を間欠駆動させる(ステップS8)。この場合、循環ポンプ26は、例えば、8秒オン、12秒オフの間欠駆動を繰り返す。循環ポンプ26が駆動されることにより、水槽6内の洗濯水は循環経路30を通り放水機構部29からドラム12内に向かってシャワー状に放水され、洗濯物への洗濯水の強制浸透が図られる。
【0061】
制御装置5は、ステップS49では、水槽6内の水位が、ステップS2で洗濯物重量に応じて設定された洗い水位に達したか否かを判断し、洗い水位に達するまで待機する。洗い水位になったときは(ステップS49で「YES」)、給水弁34を閉じて水槽6への給水を停止する(ステップS50)。その後、制御装置5は、ドラム12を回転させて洗濯物を撹拌して洗う、洗い動作を行う洗い行程を実行する。
【0062】
制御装置5は、この洗い行程の初期においては、まずたたき洗いを行う(ステップS51)。具体的には、第1の実施形態と同様に、低速度(例えば40〜60rpm)の正転30秒、停止1秒、低速度(例えば40〜60rpm)の逆転30秒、停止1秒の周期でドラム12を回転駆動(以下、ドラム回転A)させて、洗濯物をバッフル14で掻き上げ落下させるたたき洗いを行う。制御装置5は、ステップS42で洗濯物重量に応じて設定された時間t1のドラム回転Aを行う(ステップS51、S52)。
【0063】
制御装置5は、ステップS52において、ステップS51のドラム回転Aが開始されてから時間t1が経過したか否かを判断し、時間t1が経過するまで、ステップS51のドラム回転Aを洗濯物重量に応じて複数回行う。時間t1が経過したら(ステップS52で「YES」)、サスペンション8のダンパ7のコイル64に通電を開始し(ステップS53)、また、循環ポンプ26を連続駆動させる(ステップS54)。ダンパ7のコイル64に通電することにより、サスペンション8(ダンパ7)のダンパ力が強くなる。また、循環ポンプ26を連続駆動することで、水槽6内の洗濯水が循環経路30を通り放水機構部29からドラム12内に向かってシャワー状に連続的に放水される。
【0064】
この後、制御装置5は、ステップS55において、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上の回転数でドラム12を回転させる、ドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)を行う。この場合、ドラム12の最高回転数は、ステップS41で検出した洗濯物重量に応じて変える。具体的には、例えば洗濯物重量が少ない4kg以下の場合は、ドラム12の最高回転数は80rpmとし、洗濯物重量が多い4kg〜9kgまではドラム12の最高回転数は100rpmとする。このときの、ドラム12の回転周期は、正転6秒、停止3秒、逆転6秒、停止3秒とする。
【0065】
このドラム12の高速回転動作は、具体的には図12に示すように、正転方向の前段では、約1.5秒で正転方向に70rpmまで上昇させた後、約1.5秒間その回転数を維持し、その後、約2秒間で80rpmまたは100rpmまで上昇させた後、約1秒間その回転数を維持し、3秒間オフさせる。この後、逆転方向も、正転方向と同様に回転させる。このとき、ドラム12の回転数を、前段の70rpmまで上昇させることで、ドラム12内の洗濯物がバランスよく分散されてドラム12の内周部側に寄せられ、その後、ドラム12の回転数を、80rpmまたは10rpmまで上昇させることで、ドラム12内の洗濯物がドラム12の内周部に張り付く状態となり、ドラム12内の洗濯物の中央部に隙間を設けることができる。そして、このとき、循環ポンプ26の駆動により、放水機構部29から洗濯水が連続的に放水され、その洗濯水が前記隙間を通してドラム12内奥の洗濯物にまで掛けられて浸透するようになる。また、このドラム12の高速回転動作中は、ダンパ7のコイル64は通電状態で、ダンパ力が強くなっているので、水槽6の振動が抑えられ、振動騒音を抑制するとともに、水槽6が外箱1に衝突するのを防止することができる。
【0066】
制御装置5は、ドラム12の高速回転動作中において、泡センサ40により所定量以上の泡を検出したか否かを判断し(ステップS56)、また、振動センサ90により所定量以上の振動を検出したか否かを判断する(ステップ57)。制御装置5は、泡センサ40による検出値が、予め設定されたしきい値を超えた場合に、多量の泡を検出したと判断する。また、制御装置5は、2個の振動センサ90のうちどちらか1個の検出値でも、予め設定されたしきい値を超えた場合に、振動が大であると判断する。
【0067】
泡の検出値がしきい値以下で、しかも大きな振動もない場合(ステップS56,S57でともに「NO」)には、ドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)を継続し、ステップS58へ移行する。ステップS58においては、ドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)が終了か否かを判断し、ドラム回転Bが終了していない場合は(ステップS58で「NO」)、ドラム回転Bを継続する。
【0068】
ドラム回転Bが終了した場合は(ステップS58で「YES」)、循環ポンプ26の連続駆動を停止し(ステップS59)、ダンパ7のコイル64への通電を止め(ステップS60)、循環ポンプ26を間欠駆動に切り替える(ステップS61)。ダンパ7のコイル64への通電を止める(オフする)ことで、ダンパ7のダンパ力が弱くなる。
【0069】
その後、制御装置5は、ステップS62において、ステップS42で設定された時間T1が経過したか否かを判断する。時間T1とは、ドラム回転Aを複数回実行し(ステップS51、S52)、ドラム回転B(ドラム12の高速回転動作)(ステップS55)を1回実行することを1セットとして、これを複数回(例えば、3セット)繰り返して行うに相当する時間である。ドラム回転A(たたき洗い)を複数回行う毎に(ステップS51、S52)、ドラム回転B(ドラム12の高速回転動作)(ステップS55)を行うことで、洗濯水をドラム12内奥の洗濯物にいたるまで浸透させ、更に洗濯物の移動を促進させ、たたき洗いの洗浄効率の向上を図る。
【0070】
制御装置5は、時間T1が経過していないと判断した場合(ステップS62で「NO」)、ステップS51に戻りドラム回転A(たたき洗い)を行い、時間T1が経過したと判断した場合は(ステップS62で「YES」)、ステップS63へ移行し、時間T2が経過するまでドラム回転A(たたき洗い)を行う(ステップS63,64)。時間T2は、ステップS42において洗濯物の重量に応じて設定される洗い行程の全時間(洗い行程の開始からの全時間)である。時間T2は、時間T1よりも長く(T2>T1)、この場合、上述した時間T1とステップS63のドラム回転Aに要した時間との合計時間である。
【0071】
制御装置5は、ステップS64において、時間T2が経過したと判断したら(ステップS64で「YES」)、洗い行程を終了する。制御装置5は、ドラム12および循環ポンプ26を停止させ(ステップS65)、排水弁24を開放させて、水槽6(ドラム12)内の洗濯水を排出させる(ステップS66)。
【0072】
制御装置5は、ドラム回転B(ドラム12の高速回転動作)(ステップS55)中に泡センサ40の検出泡が所定量以上と判断したとき(ステップS56で「YES」)、または、振動センサ90による検出値がしきい値を超えるような振動を検出した場合には、ステップS67へ移行してドラム12の回転を一旦停止させ、また、循環ポンプ26の連続駆動を停止させ(ステップS68)、ダンパ7のコイル64への通電を止め(ステップ69)、循環ポンプ26を間欠駆動に切り替える(ステップ70)。ドラム12の回転を一旦停止させることで、ドラム12の高速回転動作を中止する。ドラム12の回転を停止することにより、泡の発生を抑制することができるとともに、水槽6の振動も抑えられる。その後、上記したステップS63へ移行し、時間T2が経過するまで低速度のドラム回転A(たたき洗い)を行う。
【0073】
制御装置5は、洗いが終了し、排水も終了したら(ステップ65,66)、図11のステップ71へ移行し、中間脱水1を行う。この中間脱水1では、ドラム12を高速回転、例えば1300rpmまで上昇させ、洗濯物を遠心脱水する。このとき、ドラム12の回転前にダンパ7のコイル64へ通電してダンパ力を高めておき、ドラム12の回転数が400rpmまで上昇するまではコイル64への通電を継続し、400rpmを超えたら、コイル64を断電するという制御を行う。
【0074】
制御装置5は、中間脱水1が終了したら、すすぎ行程のうちの、シャワーすすぎ行程のシャワーすすぎ1を行う(図11、図13参照)。まず、排水弁24を閉じ(ステップS72)、ダンパ7のコイル64へ通電し(ステップS73)、ドラム12を一方向(例えば正方向)へ90rpmの回転数で回転させる(ステップS74)。この回転数も、洗濯物の一部がドラム12の内周部へ張り付く以上の回転数であり、ドラム12の高速回転動作であり、ドラム12内の洗濯物の中央部に隙間を設けることができる。制御装置5は、この後、給水弁34を開放して水槽6内への給水を開始し(ステップS75)、水槽6内の水位が循環ポンプ26の駆動可能水位となるまで待機する(ステップS76)。水槽6内の水位が循環ポンプ26の駆動可能水位となったら、循環ポンプ26を連続駆動させ(ステップS77)、水槽6内の水位が、すすぎ設定水位になるまで給水を継続する(ステップS78)。
【0075】
制御装置5は、水槽6内の水位がすすぎ設定水位になったと判断したら、給水を停止する(ステップS79)。制御装置5は、この後、循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達するまで、そのまま待機する(ステップS80)。したがって、循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達するまでは、ドラム12を90rpmで高速回転動作させたまま、循環ポンプ26を連続駆動させる。循環ポンプ26の駆動により、放水機構部29からすすぎ水が連続的に放水され、そのすすぎ水が、洗濯物中央部の前記隙間を通してドラム12内奥の洗濯物にまで掛けられて浸透するようになる。
【0076】
循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達したら(ステップS80で「YES」)、制御装置5は、ドラム12を90rpmで高速回転動作させたまま、循環ポンプ26の駆動を停止させる(ステップS81)。この後、制御装置5は、排水弁24を開き(ステップS82)、排水のための所定時間の経過を待つ(ステップS83)。排水弁24を開くことで、水槽6内の水は機外へ排出される。ステップS72〜S83までが、シャワーすすぎ1である。
【0077】
排水のための所定時間が経過したら(ステップS83で「YES」)、制御装置5は、排水弁24を閉鎖した後(ステップS84)、給水弁34を開放して水槽6内への給水を開始し(ステップS85)、水槽6内の水位が循環ポンプ26の駆動可能水位となるまで待機する(ステップS86)。水槽6内の水位が循環ポンプ26の駆動可能水位となったら、循環ポンプ26を連続駆動させ(ステップS87)、水槽6内の水位が、すすぎ設定水位になるまで給水を継続する(ステップS88)。
【0078】
制御装置5は、水槽6内の水位がすすぎ設定水位になったと判断したら、給水を停止する(ステップS89)。制御装置5は、この後、循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達するまで、そのまま待機する(ステップS90)。したがって、循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達するまでは、ドラム12を90rpmで高速回転動作させたまま、循環ポンプ26を連続駆動させる。循環ポンプ26の駆動時間が所定時間に達したら(ステップS90で「YES」)、制御装置5は、ドラム12を90rpmで高速回転動作させたまま、循環ポンプ26の駆動を停止させる(ステップS91)。この後、制御装置5は、排水弁24を開き水槽6内の水を機外へ排出させる(ステップS92、S93)。ステップS84〜S93までがシャワーすすぎ2であり、シャワーすすぎ1と同様な作用効果を得ることができる。これにより、すすぎ行程の前半におけるシャワーすすぎが終了する。
【0079】
制御装置5は、この後、中間脱水2を行う(ステップS94)。中間脱水2では、中間脱水1と同様に、ドラム12を高速回転、例えば1300rpmまで上昇させ、洗濯物を遠心脱水する。このとき、ドラム12の回転数が400rpmまで上昇するまではダンパ7のコイル64への通電を継続し、400rpmを超えたら、コイル64を断電するという制御を行う。
【0080】
制御装置5は、中間脱水2が終了したら、ためすすぎを行う。ためすすぎでは、水槽6内に水をためた状態で、ドラム12を低速度(40〜60rpm)で正逆回転させてすすぎを行う。制御装置5は、ためすすぎが終了したら、排水後、最終脱水を行う。最終脱水も、中間脱水1,2と同様に、ドラム12を高速回転(例えば1300rpm)させて洗濯物を遠心脱水する。このときも、ドラム12の回転前にはダンパ7のコイル64へ通電してダンパ力を高めておき、ドラム12の回転数が400rpmまで上昇するまではコイル64への通電を継続し、400rpmを超えたら、コイル64を断電するという制御を行う。以上により洗濯運転が終了する。
【0081】
上記した第3の実施形態においては、基本的に第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができることに加え、次のような作用効果も得ることができる。制御装置5は、検出した洗濯物重量に応じて、洗い行程における高速回転動作(ドラム回転B)の際のドラム12の最高回転数を80rpm〜100rpmの範囲で変えるようにした。この洗い行程における高速回転動作(ドラム回転B)の際のドラム12の最高回転数と、洗濯物の洗浄比との関係を検討したところ、ドラム12の最高回転数が100rpmのときの洗浄比が、80rpm、120rpmのときよりも良いことが確認できた。この理由としては、ドラム12の最高回転数が120rpm以上では、洗濯物にしみ込んだ洗濯水が絞られるようにして洗濯物から出てしまい、逆に、ドラム12の最高回転数が80rpm未満では、洗濯物に対する洗濯水のしみ込みが不足しがちとなることが考えられる。また、洗濯物重量が4kg以下と少ない場合、高速回転動作(ドラム回転B)の際のドラム12の最高回転数を100rpmとすると、洗剤による泡立ちが多くなりすぎ、80rpmが好ましいことが確認できた。このため、検出した洗濯物重量に応じて、洗い行程における高速回転動作(ドラム回転B)の際のドラム12の最高回転数を80rpm〜100rpmの範囲で変えることで、洗浄性能が良好で、しかも泡立ちが多くなり過ぎることを防止でき、洗浄を一層良好に行うことができる。
【0082】
制御装置5は、洗い行程における高速回転動作(ドラム回転B)の際の前段においてはドラム12を70rpmで所定時間回転させ、その後、ドラム12の回転数を80rpm〜100rpmまで上昇させるようにした。ドラム12の回転数を、前段で70rpmまで上昇させることで、ドラム12内の洗濯物がバランスよく分散されてドラム12の内周部側に寄せられ、その後、ドラム12の回転数を、80rpmまたは10rpmまで上昇させることで、ドラム12内の洗濯物がドラム12の内周部に張り付く状態となり、ドラム12内の洗濯物の中央部に隙間を良好に設けることができる。そして、循環ポンプ26の駆動により、放水機構部29から洗濯水が連続的に放水され、その洗濯水が前記隙間を通してドラム12内奥の洗濯物にまで掛けられて浸透するようになる。
【0083】
水槽6の振動を検出する振動センサ90を備えていて、制御装置5は、洗い行程時おいてドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)の際に前記振動センサ90の検出値がしきい値を超えた場合には前記高速回転動作を中止し、通常の洗い撹拌動作を行う。ドラム12の高速回転動作(ドラム回転B)の際に例えば、ダンパ7に異常が発生して水槽6の振動が大きくなったとしても、ドラム12の高速回転動作を中止し、通常の洗い撹拌動作を行うことで、水槽6が外箱1に当たるようなことを防止することができる。
【0084】
制御装置5は、ドラム12内の洗濯物をすすぐすすぎ行程時にあって、洗濯物の一部がドラム12の内周部に張り付く以上の回転数である90rpmで該ドラム12を回転させる高速回転動作を行うとともに、この高速回転動作中に循環ポンプ26を動作させて第1および第2の散水口部46,47からドラム12内に散水するシャワーすすぎを行う。これにより、シャワーすすぎにおいて、一度に洗濯する洗濯物が多く、ドラム12内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態であっても、洗い行程のときと同様に、ドラム12を高速回転動作させることで、洗濯物をドラム12の内周部に張り付かせ、ドラム12内の中央部に隙間を生じさせることができ、第1および第2の散水口部46,47からすすぎ水を、その隙間を通して散水することで、ドラム12内奥の洗濯物まで散水することができ、ドラム12内の洗濯物に効率良くすすぎ水を浸透させることができ、すすぎ効率を向上させることができる。制御装置5は、このシャワーすすぎにあってドラム12の高速回転動作を行う時にはダンパ7のダンパ力を強くするので、水槽6の振動を抑えることができ、振動騒音を抑制できるとともに水槽6が外箱1に衝突するといったことを防止できる。
【0085】
すすぎ行程において、シャワーすすぎを2回続けて行う(シャワーすすぎ1、シャワーすすぎ2)ものにおいて、制御装置5は、シャワーすすぎの開始から終了まで(シャワーすすぎ1の開始からシャワーすすぎ2の終了まで)、ダンパ7のコイル64を通電したままで、ダンパ力を強くしたまま維持する構成とした。これにより、ダンパ7のコイル64の通断電の切り替え回数を少なくでき、制御が簡単になるとともに、切り替え回数が増えることによる不具合を防止できる。
【0086】
なお、上記した実施形態において、循環ポンプ26のポンプモータ26aに流れる電流を検出する電流検出手段(例えばカレントトランス)を設け、制御装置5が、循環ポンプ26の駆動時において前記電流検出手段の検出値に基づきエアがみが発生したと判断したときに、循環ポンプ26の循環流量が減少するように循環ポンプ26(ポンプモータ26a)を制御することが好ましい。循環流量を減少させるには、ポンプモータ26aの回転速度を低下させるか、あるいはオン−オフ時間のうちのオン時間を短くするように制御することで対応することができる。これにより、循環ポンプ26のエアがみを解消することが可能になる。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について図14を参照して説明する。この第4の実施形態は、第3の実施形態に対して次の点が異なっている。
【0088】
図14には、洗濯物重量と、洗い行程における高速回転動作時(ドラム回転B)のドラム12(洗濯機モータ9)の最高回転数と、洗濯機モータ9のオン・オフ時間の一例が示されている。この図14は、図10におけるステップS55の変形例に相当する。高速回転動作時のドラム12の最高回転数と、洗濯機モータ9のオン時間(通電時間)が、洗濯物重量に応じて変更されている。具体的には、洗濯物重量が2kg未満の場合は、ドラム12の最高回転数は80rpmとなっていて、洗濯機モータ9のオン時間は正転、逆転ともに5秒となっている。洗濯物重量が2kg〜4kg未満の場合は、ドラム12の最高回転数は、洗濯物重量が2kg未満の場合と同様に80rpmであるが、洗濯機モータ9のオン時間は正転、逆転ともに6秒と長くなっている。洗濯物重量が4kg〜6kg未満の場合は、ドラム12の最高回転数は80rpmよりも高い100rpmとなっていて、洗濯機モータ9のオン時間は正転、逆転ともに6秒となっている。洗濯物重量が6kg〜9kgの場合は、ドラム12の最高回転数は、洗濯物重量が4kg〜6kg未満の場合と同様に100rpmであるが、洗濯機モータ9のオン時間は、正転、逆転ともに10秒と長くなっている。
【0089】
このような第4の実施形態によれば、制御装置5は、洗濯物重量に応じてドラム12の高速回転時(ドラム回転B)の最高回転数を変えることで、洗濯物に余分な遠心力を与えることを防止でき、ドラム12内周部への洗濯物の過剰な張り付きを防止でき、また、洗剤による過剰な泡立ちを抑えることができる。さらに、洗濯物重量が重くなっても、それに応じた最高回転数を設定しているので、洗濯物の中央部に十分な隙間を与えることができる。また、制御装置5は、洗濯物重量に応じてドラム12の高速回転時(ドラム回転B)における洗濯機モータ9のオン時間(通電時間)を変えるようにしている。これによっても、洗濯物に余分な遠心力を与えることを防止でき、ドラム12内周部への洗濯物の過剰な張り付きを防止でき、また、洗剤による過剰な泡立ちを抑えることができる。
【0090】
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態に加えて以下のような構成を採用してもよい。
例えば、上述した実施形態では、第1の散水口部46と第2の散水口部47の2箇所から洗濯水をドラム12内に放出したが、これに限ることはなく、散水口部は1箇所または3箇所以上あってもよい。
【0091】
また、上記した実施形態は乾燥機能を備えたドラム式洗濯機にも適用できる。
以上のように本実施形態のドラム式洗濯機によると、洗い行程時にあってドラムを回転させて洗濯物を撹拌して洗う洗い動作中に、この洗濯物の一部がドラムの内周部に張り付く以上の回転数でドラムを回転させる高速回転動作を行うので、ドラム内いっぱいに洗濯物を詰め込むような状態であっても、洗濯物に遠心力が加わり、ドラム内の洗濯物の中央部分に隙間を与えることができる。さらに、この高速回転動作中に循環ポンプを動作させて散水口部からドラム内のこの隙間を通して洗濯物に散水するので、ドラム内奥の洗濯物にいたるまで散水することができ、ドラム内の洗濯物に効率良く洗濯水を浸透させることができ、洗濯物の洗浄効率を向上させることができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
図面中、1は外箱、5は制御装置(制御手段、重量検出手段)、6は水槽、7はダンパ、9は洗濯機モータ(モータ)、12はドラム、13は孔、19は取水口部、26は循環ポンプ、30は循環経路、46は第1の散水口部(散水口部)、47は第2の散水口部(散水口部)、84はカレントトランス(重量検出手段)、90は振動センサ(振動検出手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
この外箱内にダンパを介して弾性支持された水槽と、
この水槽内に軸方向が横向きとなる状態で回転可能に設けられ、周壁に多数の孔を有し、内部に洗濯物を収容するドラムと、
このドラムを正逆回転駆動するモータと、
前記水槽の下部に設けられた取水口部と、
前記水槽の上部に設けられた散水口部と、
前記水槽内の水を前記取水口部および前記散水口部を通して循環させるように設けられた循環経路と、
この循環経路中に設けられ、前記取水口部から取り出された前記水槽内の水を前記散水口部から前記ドラム内に放出させて散水する循環ポンプと、
前記モータおよび前記循環ポンプを制御する制御手段と、を具備したドラム式洗濯機において、
前記制御手段は、洗い行程時にあって前記ドラムを回転させて洗濯物を撹拌して洗う洗い動作中に、前記洗濯物の一部が前記ドラムの内周部に張り付く以上の回転数で該ドラムを回転させる高速回転動作を行い、この高速回転動作中に前記循環ポンプを動作させて前記散水口部から前記ドラム内に散水することを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記ダンパはダンパ力の強さが可変であり、
前記制御手段は、前記洗い動作中にあって、前記高速回転動作を行う時には前記ダンパのダンパ力を強くする制御を行うことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記高速回転動作を前記洗い行程の前半に行うことを特徴とする請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記ドラム内の洗濯物の重量を検出する重量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記重量検出手段により検出された検出重量に応じて、前記高速回転動作の際の前記ドラムの回転数を変えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記重量検出手段により検出された検出重量に応じて、前記高速回転動作の際の前記ドラムの最高回転数を80rpm〜100rpmの範囲で変えることを特徴とする請求項4記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記高速回転動作の前段においては前記ドラムを70rpm以下の所定回転数で所定時間回転させ、その後、前記ドラムの回転数を80rpm〜100rpmまで上昇させることを特徴とする請求項5記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
前記ドラム内の洗濯物の重量を検出する重量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記重量検出手段により検出された検出重量に応じて、前記高速回転動作の際の前記モータの通電時間を変えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項8】
前記水槽の振動を検出する振動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ドラムの高速回転動作の際に前記振動検出手段の検出値がしきい値を超えた場合には前記高速回転動作を中止し、通常の洗い撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項9】
前記ダンパはダンパ力の強さが可変であり、
前記制御手段は、前記ドラム内の洗濯物をすすぐすすぎ行程時にあって、前記洗濯物の一部が前記ドラムの内周部に張り付く以上の回転数で該ドラムを回転させる高速回転動作を行うとともに、この高速回転動作中に前記循環ポンプを動作させて前記散水口部から前記ドラム内に散水するシャワーすすぎを行い、このシャワーすすぎにあって前記ドラムの高速回転動作を行う時には前記ダンパのダンパ力を強くすることを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項10】
前記制御手段は、前記すすぎ行程時に前記シャワーすすぎを2回以上続けて行う際には、前記シャワーすすぎの開始から終了まで前記ダンパのダンパ力を強くしたまま維持することを特徴とする請求項9記載のドラム式洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−245268(P2011−245268A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207921(P2010−207921)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】