説明

ドリルスリーブのスナップ嵌めロック

本発明は、骨に穴を穿ち、また、穿たれた穴に骨ネジを挿入する装置を提供する。本発明の装置は套管針、ドリルスリーブ、および、保護スリーブが伸縮自在な入れ子式に配置になっている。ドリルスリーブと保護スリーブは軸線方向のロック機能を備えており、この機能により、両スリーブ部材は分離してしまうという不測の事態を防止することで、単体として一緒に取り扱うことができる。軸線方向のロック機構は一方のスリーブ上に一体の環状の畝状部が設けられており、この畝状部が他方のスリーブに設けられた環状の溝と協働する。一方のスリーブには少なくとも1個のスロットが設けられて、両スリーブ部材を分離するのに先立ち、ロック機構を切り離すことができるようにしている。両スリーブ部材は使用者が片手を使って簡単に分離することができるが、その方法として、両スリーブに設けられた1対のフランジの間に軸線方向の分離力を付与すること、また、ドリルスリーブの少なくとも一部に放射方向の加圧力を付与することが採用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドリルスリーブシステムに関するものである。特に、本発明は、ネジ挿入スリーブに対してドリルスリーブを予備的に保持するような設計のスナップ嵌めロックに関連している。
【背景技術】
【0002】
プレートなどのような整形外科用固定装置は、装置に設けられた複数の穴を通して締め具が挿入された状態で骨に連結されることが多い。上腕骨または大腿骨のような長い骨の骨折については、骨折治療を施すにあたり、髄内管に拡孔器で設けた経路に細長い部材を挿入することによって遂行することができる。このような細長い部材、すなわち、当該技術で周知のような「髄内釘」は、骨折した骨断片が癒えて一緒に固定されるまで、骨に安定性を供与することができる。髄内釘が骨に締め付けられる態様は、複数のネジを使って釘に予備形成された複数の孔に通した状態でネジが載置されるというものである。これに対応する複数の孔が隣接する骨に穿たれ、骨にネジを容易に挿入することができるように図っている。このような孔は、ドリルガイドの支援で標的ネジ孔と整合した状態に形成される。ドリルはドリルガイドを通して導入され、従って、ネジ孔を通して案内されて、ネジ孔の下に位置する骨に穴を穿つ結果となる。
【0003】
髄内釘を据え付けて固定用締め具挿入する際に生じる切開部の総数と長さとを減じるべく、穿孔とネジ挿入のプロセスは経皮的に実施することができる。従って、切開部は骨の上に位置する皮膚に設けられ、套管針がその切開部に挿入されてから、柔組織を分断するための使われることで、骨まで達する初期通路を設けるようにしていた。ドリルはドリルスリーブを通して挿入されてから、前述のように骨に穴を形成するために使用される。その後、その通路を通してネジ挿入スリーブが挿入され、スリーブはネジ穴と骨にネジを螺着させるのを容易にするのに使うことができる。このような3個の部材(套管針、ドリルスリーブ、ネジ挿入スリーブ)は単体として設けられて、医者が容易に扱って使用することができるようにするのが有利である。従って、これら3個の部材は互いに入れ子式にされて、単体として挿入されてもよい。
【0004】
3部材構成の装置の使用を更に容易にするために、部材のうち少なくとも2個に、使用者の取り扱い中に個々の部材が分離してしまうのを防止することを目的とした機能が設けられる。例えば、スナップ嵌めリング、ボール戻り止め、または、ネジ筋を利用して、各部材を一緒に固定するようにしてもよい。1個の部材を別な部材から取り外すには(例えば、ドリルスリーブをネジ挿入スリーブから取り外すために)、使用者はそれら部材を離脱させる方向に引張る(スナップ嵌めリングまたはボール戻り止めの場合)ようにしてもよいし、或いは、部材の螺着をネジ戻して外す(ネジを切った部材が設けられている場合)ようにしてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スナップ嵌めリングのロック装置は滅菌するのが困難な場合があり、ネジを切った部材は外科手術環境における取り扱いが困難なことがある。従って、簡単で滅菌が容易な設計によりシステムの少なくとも2個の部材を互いに関連して一時的に保持することができるようにするとともに、使用者が望む時に各部材を容易に互いから分離することができる多数部材構成のドリルスリーブシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されている整形外科システムは、外側面、および、長手方向の穿孔と表面の外郭を定める内側面を設けた第1のスリーブ部材と、外側面、および、軸線方向の穿孔の外郭を定める内側面を設けた第2のスリーブ部材とを備えており、第2のスリーブ部材は少なくともその一部が第1のスリーブ部材の穿孔の内部に受け入れられるような形状になっている。第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの一方の長手方向の穿孔は、その中を通してドリルビットを受け入れて骨の中に穴を穿つことができるようにする形状になっている。更に、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの一方は1個の突起部を更に備えており、他方はこの突起部に対応する陥凹部を備えており、第2のスリーブ部材の少なくとも一部が第1のスリーブ部材の穿孔の内側に受け入れられると、突起部と陥凹部が協働して、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材を一緒に一時的に軸線方向にロックされる。第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材の間に軸線方向の分離力が加えられ、更に、第2のスリーブ部材の少なくとも一部に放射方向加圧力が加えられることにより、第2のスリーブ部材が第1のスリーブ部材から係合解除される。
【0007】
このシステムはまた、第2のスリーブ部材の長手方向の穿孔の内側に受け入れられるような形状の套管針を備えている。第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材は各々に、フランジ部材を有している近位端と先細り状の先端領域を有している遠位端とが設けられている。第1のスリーブ部材の長手方向の穿孔は、その中を通してドライバと骨締め具を受け入れることで骨の長手方向軸線に沿った方向へ締め具を穴の中に挿入することができるような形状になっている。更に、第1のスリーブ部材および第2のスリーブ部材のうちの少なくとも一方の先細り状の先端部は、骨固定部材に設けた締め具穴と整合するような構成になっている。骨固定部材は骨プレートまたは髄内釘であってもよい。
【0008】
突起部は関連しているスリーブと一体成形されていてもよく、或る実施形態では、少なくとも1個の周方向の畝状部を含んでいるようにしてもよい。陥凹部は、この少なくとも1個の畝状部に対応する少なくとも1個の周方向の溝を含んでいる。突起部には、第1の先細り面と第2の先細り面が更に設けられている。
【0009】
第2のスリーブ部材には、その内側面と外側面の間に少なくとも1個の長手方向のスロットが配置されており、スロットはスリーブの少なくとも一方端から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向に撓み性を持たせるような構成になっている。
【0010】
少なくとも1個のスロットはスリーブの第1端を分割して第1の半部および第2の半部に区分けし、ここでは、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧し合うことで畝状部を陥凹部から係合解除し、それにより、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材が互いに軸線方向に係合し、または、互いから係合解除されるようにすることができる。
【0011】
第2のスリーブ部材はその周囲を廻って、2本の長手方向のスロットが互いに関して正反対の位置に配置される。突起部には少なくとも1個の先細り面が設けられており、その形状は、第2のスリーブ部材が第1のスリーブ部材の穿孔に挿入されると第2のスリーブ部材に容易に放射方向与圧することができるように設定されている。
【0012】
第1のスリーブ部材および第2のスリーブ部材と套管針とはカラーコード化されることで、第1のスリーブ部材の穿孔を通して受け入れることができる骨ネジの寸法の視覚表示を供与することができる。
【0013】
第1のスリーブ部材の外側面の形状は、髄内釘の照準アームの穿孔の内側に受け入れられて、髄内釘の一部に設けられた標的締め具穴とスリーブを整合させることができるように設定されている。
【0014】
ここに提示されている整形外科システムは、近位端および遠位端と、長手方向軸線と、内側面および外側面とが設けられた第1スリーブを備えている。
【0015】
近位端および遠位端と、長手方向軸線と、内側面および外側面とが設けられて第2のスリーブ部材を備えているようにしてもよく、この場合、内側面は第1のスリーブ部材の少なくとも一部を受け入れるような形状に設定される。内側面は更に、骨に穿たれた穴に締め具を挿入するための骨締め具とドライバを受け入れるような形状に設定されてもよい。第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの少なくとも一方の内側面は、骨に穴を穿つためのドリルビットを受け入れるような形状に設定される。第1のスリーブ部材の少なくとも一部は、第2のスリーブ部材の少なくとも一部の内側に滑動自在に受け入れられる。
【0016】
第2のスリーブ部材の内側面と第1のスリーブ部材の外側面のうちの一方には突起部が設けられ、他方にはこの突起部に対応する陥凹部が設けられて、第1のスリーブ部材が第2のスリーブ部材の内側に受け入れられると、突起部と陥凹部が協働して、第1のスリーブ部材を第2のスリーブ部材と着脱自在に軸線方向に係合させることができるようにしてもよい。
【0017】
突起部は関連するスリーブと一体成形されていてもよい。突起部はまた、少なくとも1本の畝状部か、または、複数の非連続的な突起部材から構成されていてもよい。陥凹部は、少なくとも1本の畝状部に対応して、少なくとも1本の周方向の溝から構成されていてもよい。突起には第1の先細り面と第2の先細り面が設けられており、それらの形状は、第2のスリーブ部材の内側面の一部に嵌合するように設定される。
【0018】
これらスリーブ部材は、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材の間に軸線方向の分離力を加えることと、第1のスリーブ部材の少なくとも一部に放射方向与圧力を加えることにより、互いから係合解除される。
【0019】
このシステムは套管針を更に備えていてもよく、その形状は、第1のスリーブ部材の長手方向の穿孔の内側に受け入れられるように設定されている。スリーブ部材は各々に、フランジ部材を有している近位端と先細り状の先端領域を有している遠位端とが設けられている。第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの少なくとも一方の先細り状先端部の形状は、骨固定部材に設けた締め具穴と整合するように設定される。骨締め具は骨プレートであってもよいし、または、髄内釘であってもよい。
【0020】
第1のスリーブ部材は、その内側面と外側面の間に少なくとも1個の長手方向のスロットが配置されており、スロットはスリーブの少なくとも一方の端部から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向に撓み性を持たせるような形状に設定されている。この少なくとも1個のスロットは第1のスリーブ部材の第1端を分割して第1の半部と第2の半部に区分けし、第1のスリーブ部材が第2のスリーブ部材の内側に十分に受け入れられると、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧させることで陥凹部から畝状部を係合解除し、それにより、第1のスリーブ部材を第2のスリーブ部材から取り外せるようにしている。
【0021】
第1のスリーブ部材が第2のスリーブ部材に挿入されると、第1の先細り面が第2のスリーブ部材の内側面と協働して、第1の半部と第2の半部に一緒に放射方向に与圧する。第1のスリーブ部材は、その周囲を廻って、2本の長手方向のスロットが互いに関して正反対の位置に配置される。突起部には少なくとも1個の先細り面が設けられており、その形状は、スリーブが第2のスリーブの穿孔に挿入された際に、第1のスリーブ部材に容易に放射方向に与圧することができるように設定されている。
【0022】
第1のスリーブ部材および第2のスリーブ部材と套管針とはカラーコード化されて、第1のスリーブ部材の穿孔を通して受け入れることができる骨ネジの寸法の視覚表示を供与することができるようになっている。
【0023】
更に、第1のスリーブ部材の外側面は、その形状が、髄内釘の照準アームの穿孔の内側に受け入れられて髄内釘の一部に設けられた標的となる締め具穴とスリーブを整合させるように設定されている。
【0024】
ここに提示されている骨に穴を穿つ方法は、(a)ドリルスリーブと保護スリーブとを組合せる段階を含み、ドリルスリーブが保護スリーブの少なくとも一部の内部に入れ子式に受け入れられるようにし、ドリルスリーブに内側面を設けて、骨に穴を穿つためのドリルビットを受け入れすることができるようにし、ドリルスリーブの外側面に突起部と陥凹部のうちの一方を設けて、その形状が保護スリーブの内側面に配置された該突起部または該陥凹部に対応する陥凹部または突起部に嵌合して一時的に両スリーブを一緒に軸線方向にロックするように設定され、ドリルおよび保護スリーブは両スリーブの間に軸線方向の分離力を付与することにより、また、ドリルスリーブの少なくとも一部に放射方向加圧力を付与することにより、互いから分離することができるようにして、さらに、(b)ドリルスリーブと保護スリーブを連結して患者の切開部を通して進入させる段階と、(c)ドリルスリーブと保護スリーブを前進させて、骨の一部の上に位置している骨固定部材と整合させる段階と、(d)ドリルスリーブを通してドリルビットを挿入してから、ドリルビットを前進させて骨と係合させる段階と、(e)ドリルを回転させて骨に穴を設ける段階と、(f)ドリルビットをドリルスリーブから取り外す段階と、(g)ドリルスリーブと保護スリーブの間に軸線方向の分離力を付与するとともにドリルスリーブの一部に放射方向の加圧力を付与して、両スリーブを切り離す段階とを含んでいる。
【0025】
ドリルスリーブと保護スリーブは、ドリルスリーブの長手方向の穿孔の内側に受け入れられるような形状の套管針を更に含んでいてもよい。両スリーブは各々に、フランジ部材を有している近位端と先細り状の先端領域を有している遠位端が設けられている。骨固定部材は骨プレートか、または、髄内釘であってもよい。突起部は関連するスリーブと一体成形することができる。突起部が複数の非連続的な突起部材を備えているようにしてもよい。突起部は少なくとも1本の周方向の畝状部を含んでいてもよい。陥凹部は、この少なくとも1本の畝状部に対応する少なくとも1本の周方向の溝を含んでいる。突起部には、陥凹部の一部に嵌合するような形状の、第1の先細り面と第2の先細り面が設けられている。
【0026】
ドリルスリーブは、その内側面と外側面の間に少なくとも1本の長手方向のスロットが配置されており、該スロットはスリーブの少なくとも一方端から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向の撓み性を持たせるような形状に設定されており、この少なくとも1本のスロットはドリルスリーブの第1端を分割して第1の半部と第2の半部に区分けし、ドリルスリーブがネジ挿入スリーブの内側に十分に受け入れられると、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧させることで陥凹部から突起部を係合解除し、それにより、ドリルスリーブをネジ挿入スリーブから取り外せるようにしている。
【0027】
この方法は、(g)保護スリーブを通して骨締め具とスクリュードライバを挿入する段階と、(h)骨に設けられた穴に骨締め具を押込み、骨固定部材を骨に固定する段階とを更に含んでいてもよい。
【0028】
この方法は、上記段階(a)と上記段階(b)の間に、髄内釘に装着された照準アームに設けられた穿孔に保護スリーブの外側面を挿入する段階を更に含んでおり、上記段階(c)は照準アームに設けられた穿孔を通して保護スリーブとドリルスリーブを進入させて、骨固定部材に設けられた締め具穴と整合させる段階を更に含んでおり、上記段階(e)は髄内釘に設けられた締め具穴を通して骨に穴を穿つ段階を含んでいる。
【0029】
この方法は、(h)保護スリーブを通して骨締め具およびスクリュードライバを挿入する段階と、(i)骨に設けられた穴に骨締め具を押込み、骨固定部材を骨に固定する段階と、(j)保護スリーブを患者の体内から取り出す段階とを更に含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の好ましい特徴は添付の図面に開示されており、かかる図面では、類似する参照符号は複数の図面全体に亘って同じ構成要素を示している。
【0031】
ここに開示されている穿孔用およびネジ挿入用のスリーブ装置は、骨プレートや髄内釘などのような整形外科固定装置を人体の解剖学的構造の骨部分に固着するための各種締め具を据え付ける際に使用するためのものである。かかる固定装置は、骨折した骨を修復するために使用することができ、または、脆弱な骨が骨折しないように保護する目的で据え付けることができる。図1はそのような用途の具体的な装置1を例示しており、かかる装置は套管針10、ドリルスリーブ20、および、保護スリーブ30から構成されている。例示のように、套管針10、ドリルスリーブ20、および、保護スリーブ30は入れ子式配置になっており、この配置により、上記3つの部材は単体として外科手術切開部を通して導入することができるようになる。従って、骨に穴を穿ってからネジを設置する用途で装置1を使用する場合、プレートや釘などの1個以上の骨ネジ穴の直ぐ上に位置する患者の皮膚を貫通して設けられた1個の切開部を通して、装置1が挿入される。このようなシステムの個々の構成要素は必要に応じて取り出されて、所望の処置を実施することができるようになっている。例えば、套管針10は、装置1が適切に設置されて患者の骨または固定装置のネジ穴と接触状態になった後で、取り出すことができる。
【0032】
図1に例示されているように、装置1は、近位使用者側端部2、遠位挿入側端部3、および、保護スリーブ30の外側面によって概ね形成されている略円筒状の長手方向の中央部分4から構成されている。近位端部2は使用者が容易に把持することができるような形状になっており、遠位端3は患者に設けられた切開部に容易に挿入することができるような先細り形状になっている。
【0033】
図2aおよび図2bを参照すると、套管針10は、近位端110および遠位端120が設けられたロッド状の部材と、外径が「td」であり、長手方向軸線がA-Aであり、更に、長さが「tl」で表示された円筒状の中央部分130とから構成されている。近位端110は、増大した直径が「tfd」と示されるフランジ部材112と、使用者が容易に把持することができるような形状に設定された外側把持面114から構成されている。フランジ部材112には近位端面116と遠位面118が更に設けられている。近位端面116は、手の親指または掌で付与できるような使用者により付与された力を受けるような形状になっており、遠位面118はドリルスリーブフランジ212の近位面214に係合して使用者により付与された力をそこに伝達することができるような形状になっている。
【0034】
套管針フランジ部材112には、特定寸法であるとして套管針を区別するために色帯が装着された1本以上の管状の溝119が設けられている。すなわち、本発明のシステムは多様な寸法のうちのいずれの寸法に設定されてもよいため、システム寸法を使用者に明確に視覚表示するように、装置構成要素のカラーコード化を施すのが有利である。従って、同じシステム寸法であるドリルスリーブ20、保護スリーブ30、および、ドリル40にそれぞれ付与されている同じ色帯に一致する色帯が溝119に設けられる。色は、塗装またはそれ以外の適切な技術で溝119に付与される。
【0035】
套管針の遠位端120は先細り状にされて、患者に設けられた切開部に容易に挿入することができるようになっている。先細り形状は長手方向軸線A-Aに関して角度θを成しており、例示の実施形態では、この角度は約30度であるが、これ以外の角度に設けられてもよい。遠位端120はその先端部122が鋭い尖点に形成されており、周囲組織を貫いて套管針10が(ドリルスリーブ20と保護スリーブ30も)更に容易に移動できるようにしている。使用時には、先端部122は、切開部の中に押込まれてそこを通されながら、柔組織を分離するのに利用することができる。
【0036】
図3aから図3eを参照すると、具体的なドリルスリーブ20は、近位端210および遠位端220と、軸線がB-Bで長さが「dsl」と示された円筒状の中央部分230とから構成されているのが例示されている。ドリルスリーブ20には、直径が「dod」と示された円筒状の外側面232と、直径が「did」と示されており、長さ「dsl」に沿って延びる長手方向軸線の方向の穿孔236の外郭を定める円筒状の内側面234とが更に設けられている。
【0037】
ドリルスリーブ穿孔236は、システム1の一部として、また、図1に例示されているようにスリーブ20を患者に挿入している間は、套管針10の円筒状の中央部130を受け入れたままでいるような寸法に設定される。また、穿孔236の寸法は、ドリルスリーブ20が切開部を通して挿入されてしまうと、適切な寸法に設定されたドリルビット40(図7、図9)を受け入れて、長手方向軸線B-Bに沿ってドリルスリーブ20を通して、下に位置している骨に穴を穿つことができるように設定されている。
【0038】
ドリルスリーブ20の近位端210には、スリーブ外径「dod」よりも大きい直径「dsfd」を有しているフランジ212が設けられている。更に、フランジ212の近位端面214は、套管針がドリルスリーブ20の中に十分に挿入されてしまうと(図1を参照のこと)、套管針10の遠位端面118に係合するような形状に設定されている。フランジ212の遠位端面216はまた、後段でより詳細に説明されるが、保護スリーブ30(図1および図4bを参照のこと)の環状の近位端面314に係合するような形状に設定されている。
【0039】
図3aに例示されているように、ドリルスリーブ20の内側に套管針10を容易に挿入することができるようにするために、穿孔236はスリーブ近位端210に直ぐ隣接している一点でわずかに外向きに先細りになっていてもよい。
【0040】
ドリルスリーブフランジ212はその外側把持面218が、使用者が容易に把持することができるような形状になっている。例示の実施形態では、近位端面214の外径は遠位端面216の外径よりも大きいため、両端面の間に配置された把持面218はわずかに遠位方向を向くように角度付けされている。把持面218はまた、使用者が指を使ってドリルスリーブ20を引張って保護スリーブ30から切り離す際に、使用者の指に形状がより近似して一致するようにわずかに凹状を呈している。
【0041】
ドリルスリーブの遠位端220は先細りにされて、患者に設けられた切開部に一層容易に挿入することができるようになっている。このような先細りは長手方向軸線B-Bに関して角度αを成しており、例示の実施形態ではこの角度は約30度であり、套管針の遠位端120の角度θと実質的に一致している。長さ「dsl」は、套管針10がドリルスリーブの穿孔236を通して挿入されると、遠位先端部122がドリルスリーブ20(図1を参照のこと)の遠位端220を越えて遠位方向に距離「x」だけ延びるように設定されている。この距離「x」を選択するにあたり、套管針10の先細り端122とドリルスリーブ20の先細り端220は一致して1つの比較的平滑な先細り面を形成し、これにより、2個の部材を患者の切開部に挿入して進入させるのを容易にすることができる。
【0042】
ドリルスリーブ20は更にロック機能を組み入れて、操作と取付けの最中に保護スリーブ30の内側に一時的にドリルスリーブを軸線方向に停留させることができる。このようなロック機能は、既に言及したように、ドリルスリーブフランジ212と保護スリーブフランジ312(図4a)の間に指で与圧することにより、簡単に解除することができる。図3aおよび図3cに例示されている実施形態では、ロック機能には、周方向の畝状部2000が近位端フランジ212に隣接して配置されている。図3cに例示されているように、畝状部2000には、第1の先細り面2010および第2の先細り面2020と、高さが「rh」で示されている頂面2030とが設けられている。第1の先細り面2010および第2の先細り面2020は、ドリルスリーブ20の長手方向軸線B-Bに関して先細り角度γおよびσの配向に設定される。先細り面2010、2020により、後段でより詳細に説明されるが、保護スリーブ30の内部陥凹部3000(図4c)と周方向の畝状部を嵌合させたり陥凹部から畝状部を切り離したりするのを滑らかに行うことができるようにする。嵌合と嵌合解除を更に容易にするために、上記先細り面の一方または両方がわずかに凹状を呈するようにしてもよい。従って、ドリルスリーブ20が保護スリーブ30に挿入されると、第1の先細り面2010は保護スリーブ30の内側面334に係合して、ドリルスリーブ20の近位端210に滑らかに加圧する。畝状部2000が陥凹部3000に十分に嵌合すると、第2の先細り面2020は保護スリーブ30の陥凹部3000の近位端壁3010と接触することで、正常な取り扱い中に保護スリーブ30の近位端210からドリルスリーブ20が脱落するのを防止している。
【0043】
一実施形態(図3c)では、第2の先細り面の先細り角度σは第1の先細り面の先細り角度γよりも大きくすることができるため、その結果として、両部材20および30を係合させるのに必要な力は比較的小さくなり、両部材を分離させるのに必要な力はわずかに大きくなる。畝状部3000の第1の先細り角度γと第2の先細り角度σは等しくないものとして例示されているが、ドリルスリーブ20に設けられる両方の先細り角度は等しくてもよい(図5bを参照のこと)。
【0044】
角度γは約5度から約90度の範囲であればよく、また、一実施形態では、角度γは約30度である。角度σは約1度から約90度の範囲であればよく、また、一実施形態では、角度σは約5度である。畝状部の高さ「rh」は約0.2 mmから約1 mmの範囲であればよく、また、一実施形態では、この高さは約0.4 mmである。
【0045】
図3aに例示されているように、1対の長手方向のスロット2050、2060がドリルスリーブの近位端210に正反対の対向位置に設けられて、ドリルスリーブ20に与圧することがことができるようにすることで、周方向の畝状部2000が保護スリーブ陥凹部3000と嵌合することができるようになっている。従って、スロット2050はドリルスリーブの近位端210を分割して互いに対向する第1の半部2110と第2の半部2120に区分けし、保護スリーブ30にドリルスリーブ20を取り付けたり取り外したりする最中に、これら半部が互いに向けて撓曲して、周方向の畝状部2000の外側寸法を一時的に減じることができる。
【0046】
図3aに例示されているように、スロット2050、2060はドリルスリーブ近位端210から延びてスリーブ近位端210とスリーブ遠位端220の間の位置に至る。スロット2050、2060は長さが「sl」であり、幅が「sw」と示されており、それぞれのスロットの遠位端には応力低減用の拡張された切欠き2070が設けられており、例示の実施形態では、この切欠きは円形である。スロット長さ「sl」は約20 mmから約150 mmの範囲であり、一実施形態では、約65 mmである。スロット幅「sw」は約0.5 mmから約3.0 mmの範囲であり、一実施形態では、約1.0 mmである。
【0047】
図3aのドリルスリーブは1対のスロット2050、2060が設けられているものとして説明されたが、ドリルスリーブ20には所望に応じて1個以上のスロットが設けられてもよい点は注目に値する。更に、2個以上のスロットが採用されている場合には、スロットは互いに異なる長さを有し、かつ/または、互いに異なる幅を有しているようにしてもよい。更に、スロットはそれぞれの長尺部に沿って幅が変動するようになっていてもよい。
【0048】
図3aおよび図3eに例示されているように、側面平坦部2080、2090はドリルスリーブ近位端210に隣接するドリルスリーブの外側面232に設けられている。このような平坦部2080、2090は180度間隔で配置され、スロット2050、2060に中心が置かれて、ドリルスリーブ20を保護スリーブ20に挿入するのを更に容易にすることができる。スロット2050、2060はドリルスリーブに1次元的に与圧することができるにすぎないため、平坦部2080、2090は周方向の畝状部2000とスロット2050、2060に隣接している保護スリーブ30の内側面334との間に残存している干渉を排除する。3個以上のスロットをドリルスリーブ20に設けることで、2次元的にスリーブに与圧することができるようになり、従って、側面平坦部2080、2090は必要ではなくなる点に注目するべきである。
【0049】
套管針10に関しては、ドリルスリーブ20はカラーコード化されて、特定の寸法に設定されたドリルビットに対応するものとしてスリーブを弁別することができる。従って、円筒状の中央部230はその外側面232に環状溝232が形成されており、この溝の中に色帯が付与される。色は、ドリルスリーブ20の穿孔236の内側に受け入れられるような寸法に設定されている套管針10に付与される色と一致させることができる。
【0050】
図4aから図4cを参照すると、具体的な保護スリーブ30に近位端310および遠位端320と、長手方向軸線がC-Cで、長さが「psl」で示されている円筒状の中央部330とが設けられているのが例示されている。保護スリーブ30には、直径が「pod」と示されている円筒状の外側面332と、直径が「pid」と示されて、長さ「psl」に沿って延びている長手方向の穿孔336の外郭を定める円筒状の内側面334とが更に設けられている。
【0051】
保護スリーブ穿孔336は、システム1の一部として、また、図1に例示されているように患者にスリーブ20、30を挿入している最中にドリルスリーブ20の円筒状の中央部分230を受け入れるような寸法に設定されている。穿孔336はまた、適切な寸法にされたネジ50およびスクリュードライバ60(図10)を受け入れるような寸法に設定されて、スリーブ30が切開部を貫いて導入されてしまうと、スリーブの長手方向軸線C-Cに沿って保護スリーブ30を通して、下の位置にある骨にネジを容易に挿入することができるようにする。従って、内径「pid」は約1.0 mmから約17.0 mmの範囲であり、その中を通してネジ、渦巻き状刃または螺旋刃を挿入することができる。このような刃に関するこれ以上の説明は、2002年10月15日出願の「整形外科移植片挿入器具(Orthopedic Implant Insertion Instruments)」という名称の、ロス(Roth)ほかに交付された同時係属中の米国特許非仮出願連続番号第10/269,976号に提示されており、この出願の全体は、ここに援用することにより本件の一部をなすものとする。詳細に述べると、保護スリーブ30は、主要直径が約1 mmから約8 mmの範囲であるとともに頭部の直径が約1.0 mmから約12.0 mmの範囲であるネジを受け入れることができる。
【0052】
保護スリーブ30の近位端310には、スリーブ外径「pod」よりも大きい直径「psfd」を有しているフランジが設けられている。更に、ドリルスリーブが保護スリーブ30(図1を参照のこと)に十分に挿入されると、ドリルスリーブ20の遠位端面216に係合するような形状の近位端面314が、フランジ312には設けられている。更に、フランジには、使用者が把持することができるような形状の遠位端面316が設けられている。
【0053】
保護スリーブフランジ312には、近位端面314と遠位端面316の間に配置されているとともに使用者が容易に把持することができるような形状に設定されている外側把持面318が更に設けられている。例示の実施形態では、近位端面314の外径は遠位端面316の外径よりも小さいため、両端面の間に配置されている把持面318はわずかに近位方向に対面するように角度付けされている。把持面318はまた、使用者が指を使って保護スリーブ30を握りながらドリルスリーブ20を引張って保護スリーブ30から切り離す際に、使用者の指に形状がより近似して一致するようにわずかに凹状を呈している。
【0054】
図4bおよび図4cに例示されているように、また、ドリルスリーブ20の周方向の畝状部2000に関して先に説明されたように、保護スリーブ30には、スリーブ近位端310に隣接している穿孔336の中に配置されている陥凹部3000が更に設けられている。この陥凹部3000は、ドリルスリーブが保護スリーブ30の中に十分に挿入されてしまうと、ドリルスリーブ20の周方向の畝状部2000に嵌合するするような形状になっている。陥凹部3000は直径が「rd」と示されており、陥凹部3000と穿孔336の間に遷移部を設けた近位端面3010および遠位端面3020を備えている。陥凹部の直径は陥凹部の深さ「rd」が約0.2 mmから約1.0 mmの範囲で設けられて、周方向の畝状部2000に所望の干渉を行うとともに該畝状部とロックするような寸法に設定されている。一実施形態では、陥凹部の深さ「rd」は約0.6 mmである。更に、ドリルスリーブ20を保護スリーブ30に容易に挿入するために、穿孔336はスリーブ近位端310に直ぐ隣接してわずかに外向きに先細り状になっている。
【0055】
保護スリーブの遠位端320は先細り状にされて、患者に設けられた切開部に容易に挿入することができるようになっている。先細りは長手方向軸線C-Cに関して角度βを成しており、例示の実施形態では、この角度は約30度であり、套管針の遠位端120の角度θおよびドリルスリーブの遠位端220の角度αと実質的に一致している。更に、長さpslは、ドリルスリーブ20が保護スリーブの穿孔336を通して挿入されると、遠位端220が保護スリーブ30の遠位端320(図1を参照のこと)を越えて遠位方向に距離「y」だけ延びるように設定されている。この距離「y」を選択するにあたり、套管針10の先細り端122、ドリルスリーブの先細り端220、および、保護スリーブ30の先細り端320は一致して1つの比較的滑らかな先細り面を形成し、これにより、3個の部材を患者の切開部に挿入して進入させるのを容易にすることができる。
【0056】
図5aから図5cは、代替の予備停留機能を有しているドリルスリーブ1200の隆起した周方向の畝状部1222が代替の保護スリーブ1300(図6aおよび図6bを参照のこと)に設けられた対応する陥凹部1322に嵌合するような形状に設定されているのを例示している。畝状部1222は、フランジ1212の遠位端面に隣接しているスリーブ1200の外側面1232に配置されている。図5aから図5cに例示されているように、ドリルスリーブ1200の長手方向のスロット1224は、近位端1210に形成されているとともに、遠位方向に延びて、スリーブの内側面1232と外側面1234の間に配置されている細長い窓1226と交差している。スロット1224と窓1226をこのように組合わせることで、ドリルスリーブ1200の近位端1210に所望の可撓性がもたらされ、ドリルスリーブの近位端に与圧することができるようになるため、ドリルスリーブ20は、図3aのドリルスリーブ20に関して先に述べたように、保護スリーブ30の内側に受け入れることができる。
【0057】
図6aから図6cは図5aから図5cのドリルスリーブ1200と併用するための保護スリーブ1300を例示しているが、ここでは、周方向の陥凹部1322は近位端フランジ1312に隣接して内側面に配置されている。陥凹部1322の形状は、図3aおよび図4aのドリルスリーブ20および保護スリーブ30に関して先に説明されたように、ドリルスリーブ1200が保護スリーブ1300に十分に挿入されると、ドリルスリーブ1200の畝状部1222を受け入れるように設定されている。
【0058】
更に、図5aから図5cのドリルスリーブ1200と図6aから図6cの保護スリーブ1300は、図3aおよび図4aのドリルスリーブ20および保護スリーブ30に関連して先に説明された特徴部分(例えば、遠位端の先細り形状、寸法、カラーコード化、フランジ形状など)のいずれかまたはその全てを更に組み入れてもよい点は注目に値する。
【0059】
本発明は突起部がドリルスリーブに形成され、陥凹部が保護スリーブに形成されているものとして説明されているが、この配置は逆にされてもよい点にも注目するべきである。従って、1個または複数個の突起部が保護スリーブの内側面に設けられ、この突起部に対応する1個または複数個の陥凹部がドリルスリーブ外側面に設けられる。
【0060】
更に、ドリルスリーブに設けられている(代替例として、保護スリーブに設けられている)突起部は機械加工により形成することができる。従って、スリーブそれ自体が単一素材片から機械加工されたものである場合は、その全体的な機械加工プロセス中に突起部を形成するようにしてもよい。これに代わる例として、ドリルスリーブ又は保護スリーブの周囲を廻って溶接ビーズまたは溶接条片を配置してからビーズまたは条片を所望の形状に機械加工することにより、突起部が設けられる。更に、突起部は一連の隆起したリベットまたは付与されたナブが統合されてドリルガイドスリーブ又は保護スリーブの表面を形成し、更に、保護スリーブの陥凹部に嵌合するような形状にされる。
【0061】
また別な代替の実施形態では、ドリルスリーブまたは保護スリーブに付与された短いスリーブまたは環状リングを使って、突起部が形成される。そのような配置はドリルスリーブ又は保護スリーブの機械加工を簡略化することができるが、それは、機械加工を施す代わりに、関連するスリーブへの溶接、硬鑞付け、接着、焼き嵌め、加圧嵌めなどの適切な手段を利用して、リングを適所に固定することができるからである。
【0062】
図7は装置1と併用するための具体的なドリルビット40を例示している。ドリルビット40は、近位連結端410、遠位穿孔端420、および、それら両端の間に配置されている円筒状の中央シャフト部430から構成されている。1組の較正マーク440がシャフト430の少なくとも一部に沿って設けられている。このような較正マークを使って、どの程度の深さまでドリルが骨の中に押し込まれたかを判断することができる。従って、ドリルビット40が図9に例示されているようにドリルスリーブ20の中に挿入されると、使用者はドリルスリーブフランジ近位面214に直ぐ隣接して配置されている較正マーク440を読んで、ドリル40の遠位切削端420が伸張した距離のうち、ドリルスリーブ20の遠位端220より先の部分の距離を測定することができる。従って、このような小童により、穿孔深度を迅速かつ容易に判断する方法が可能となる。
【0063】
図8は装置1と併用するための具体的な締め具を例示しており、ここでは、骨ネジ50はヘッド510とネジを切ったシャンク520から構成されており、ヘッドの最大径「msd」は保護スリーブ30の内径「pid」よりもわずかに短い。ヘッドは、スクリュードライバ60(図10を参照のこと)の駆動先端部610を受け入れて骨ネジを骨に押込むような形状の駆動陥凹部530を更に備えている。従って、図3に例示されているように、保護スリーブ30の寸法は、骨ネジ50とスクリュードライバ60を受け入れて、保護スリーブ30を通って軸線C-C沿いに、下に位置している骨の中にネジ50を押込むことができるように設定されている。
【0064】
本発明を利用して骨締め具を固定装置とその下に位置する骨とに係合させる方法も提供される。装置1を組立てるために、ドリルスリーブの周方向の畝状部2000が保護スリーブの近位端310に嵌合するまで、ドリルスリーブ20を保護スリーブ30に挿入することができる。その後、保護スリーブ30を堅固に保持しながらドリルスリーブ20に対して力を付与することで、スロット2050、2060に沿ってドリルスリーブの近位端210に与圧し、周方向の畝状部2000を保護スリーブ30に設けられた陥凹部3000と嵌合させることができる。畝状部2000と嵌合部3000が嵌合してしまうと、スリーブ20、30は一時的に軸線方向に一緒にロックされる。次に、套管針10がドリルスリーブ20に挿入される。
【0065】
次に、固定部材の標的骨ネジ穴の上に位置している、患者に設けられた切開部の中に、組立の済んだ装置1(図1)が挿入される。使用者は、装置1の尖った端部3を切開部に挿入し、装置フランジ112、212、312に力を付与することにより、組織を貫いて装置を押込む。先細り状の遠位端面122、220、320は組織を分断するように作用し、組織中を装置が容易に通れるようにする。装置1の遠位端3が骨に接触してしまうと、套管針10が取り出され、ドリルビット40はドリルスリーブの穿孔236を通して挿入される。切削端が骨に係合するまでドリルビット40が前進させられ、ドリルビット上に付された較正マーク440によって示されるような所望の深さに達するまで、穿孔が実施される。ドリルビット40はドリルスリーブ20から取り出すことができ、また、近位フランジ212のアーム2110、2120を一緒に握り締めてからドリルスリーブ20を引き抜いて保護スリーブから引き離すことにより、ドリルスリーブ20も保護スリーブから取り出すことができる。次に、適切な寸法の骨ネジ50がスクリュードライバ60の端部と係合状態にされ、両部材はスリーブ近位端310を通して保護スリーブ30の穿孔336に挿入される。次に、ネジ50とスクリュードライバ60はスリーブを通して前進させられて、固定装置および/または骨に設けられた穿孔に噛合する。次いで、スクリュードライバ60を使って、骨ネジを骨穴に押込み、固定装置を骨に固定することができる。その後、スクリュードライバ60と保護スリーブ30を切開部から取り出し、切開部を縫合で閉鎖するとよい。
【0066】
図11aから図11cは、髄内釘のシャフトにロック用ネジを据え付けることを目的とした本発明の用途を例示している。図示のとおり、髄内釘70は患者の大腿部80の髄内管に挿入される。照準アーム90は釘70と係合状態にされてから、ロック用ネジ50の軌跡を導くために使用されて、釘70に設けられた1個以上の予備形成固定穴72と厳密に整合させられる。照準アームとこれに関連する器具についてのこれ以上の説明は、2001年10月17日出願の「骨固定システム(Bone Fixation Systems)」という名称のロスに交付された同時係属中の米国特許非仮出願連続番号第09/978,002号に提示されており、この出願の全体は、ここに援用することにより本件の一部を成すものとする。
【0067】
このようにして、釘70に設けられた固定穴72に対応する照準アーム90の適切な穴92に装置1が挿入される。保護スリーブ30の外側面332は照準アーム穿孔92の内側で滑動して、装置1を固定穴72と整合させる。装置1の挿入点の上に位置する皮膚に切開部が設けられてから、装置フランジ112、212、312に力を付与することにより、装置は切開部を通して押込まれ、標的の締め具穴と整合状態にされる。套管針10が取り出され、穿孔処置およびネジ挿入処置が上述のように実施される。
【0068】
図12aおよび図12bにはワイヤガイドスリーブ400が例示されているが、このスリーブは、図4aから図4cの保護スリーブ30と一緒に使用されて髄内釘を挿入する目的で骨に初期開口を設けることができるようにする。これに代わる例として、スリーブ400、30は、渦巻き状の刃または螺旋刃を骨折した大腿骨頂部に挿入してこの頂部を関連する大腿骨茎部に接続するために使用することができる。このような大型の固定装置を受け入れるには大型の予備穿孔された骨穴が必要となり(例えば、約8 mmから約17 mm)、従って、骨に穴を穿つために大型寸法のドリルビット500(図13を参照のこと)を受け入れて案内するために、保護スリーブが使われる。ワイヤガイドスリーブ400は、ガイドワイヤ600と係合することで、固定されるべき骨部分とスリーブ400、30を整合させるために使われる。ガイドワイヤ600は少なくとも1個の骨部分に予備挿入されて、スリーブ400、30を厳密に整合させることで、穿たれた骨穴が医者の所望する厳密な軌跡を有していることを確実にすることができる。従って、準備された骨穴は、据え付けられた固定装置が、骨折した骨部分の癒着を最も容易にする態様で骨部分と係合することを確保することができる。
【0069】
ワイヤガイドスリーブ400は、図3aから図3eに関連して既に説明されたドリルスリーブ20の機能(例えば、先細り状の遠位端401、近位フランジ部材402、略円筒状本体部403、カラーコード化など)のうちのいずれか、または、その全部を有しているようにしてもよい。ワイヤガイドスリーブ400はまた、保護スリーブ30にワイヤガイドスリーブ400を一時的に軸線方向にロックすることを目的として、図3aから図3eに関連して既に説明されたようなロック機構のいずれかを備えていてもよい。例示の実施形態では、ワイヤガイドスリーブ400はその周方向の畝状部404がドリルスリーブ20の周方向の畝状部2000(図3cを参照のこと)に関連して既に説明された機能の全てを備えており、また、その長手方向軸線の方向スロット406、407がドリルスリーブ20のスロット2050、2060(図3aを参照のこと)に関連して既に説明された機能の全てを備えている。更に、ワイヤガイドスリーブ400はその遠位内側面405の寸法および形状がガイドワイヤ600を同軸で受け入れるように設定されている。例示の実施形態では、遠位内側面はその内径「wgid」が約3.3 mmであり、これは標準的な3.0 mmガイドワイヤを受け入れることができる寸法である。ワイヤガイドスリーブ400の外側面の径「wgod」は約4 mmから約17 mmの範囲であり、保護スリーブ30の長手方向の穿孔336の内側に滑動自在にワイヤガイドスリーブを受け入れることができるようになっている。従って、ワイヤガイドスリーブ400は保護スリーブ30の内側に受け入れられ、従って、組立て済みのスリーブはガイドワイヤ600を受け入れることができる。示された寸法は例示のためにすぎず、これ以外の大小の寸法も考慮に入れることができる点に留意するべきである。
【0070】
保護スリーブ30とワイヤガイドスリーブ400を組合わせて使用し、髄内釘を挿入することのできる大腿骨に開口を形成するために、医者はまず、骨の深さまで達する切開部を患者の皮膚に設ける。保護スリーブ30、ガイドスリーブ400、および、套管針10は、図1に関連して先に説明したように、一緒に入れ子にされて、切開部を通して骨まで押込まれる。次に、套管針10を取り出してから、ワイヤガイドスリーブ400に設けられたカニューレ挿入管405を通してガイドワイヤを挿入し、X線監視または放射線監視の下で骨の中に進入させる。ガイドワイヤ600にはネジを切った先端部602または穿孔用の先端部が設けられており、この先端部により医者はガイドワイヤを骨に確信を持って係合させることができる。ガイドワイヤが適切に設置されてしまうと、放射方向にフランジに与圧してロック機能を切り離すことにより、ワイヤガイドスリーブ400が保護スリーブ30から係合解除され、ガイドワイヤ600の自由端604から脱落させられる。カニューレ挿入管502を設けたドリル500をガイドワイヤ14の自由端604の上を伝わせて設置し、保護スリーブ30の穿孔336に挿入することができる。ドリル500は、先端部504が骨に接触するまで保護スリーブ30を通して前進させられてから、回転させられて、骨に所望の穴を穿つことができる。骨穴が形成されてしまうと、ドリル500と保護スリーブ30を切開部から取り出すことができる。ガイドワイヤ600は取り出されてもよいし、或いは、後続の処置の一部として使用するために適所に残存されたままでもよい。
【0071】
保護スリーブ30とワイヤガイドスリーブ400を組合わせて使用し、螺旋刃を据え付けるために、医者は上述の段階と同じ段階を採用することができるが、但し例外として、穴を穿った後で保護スリーブ30とガイドワイヤ600を取り出す代わりに、医者は両部材を適所に停留させたまま、ドリルビット500のみを取り出すようにしてもよい。その後、カニューレが挿入された螺旋刃または渦巻き状の刃をガイドワイヤスリーブの自由端604の上を伝って滑動させ、保護スリーブ30の穴336に挿入する。カニューレが挿入された駆動具にガイドワイヤ600の上を伝わせて螺旋刃または渦巻き状の刃の後を追従させてから、その駆動具を使って刃を骨の穴に押込むようにしてもよい。
【0072】
保護スリーブ30、ドリルスリーブ20、ワイヤガイドスリーブ400、套管針10、および、これら以外の上述の器具のいずれかまたは全部を整形外科キットの一部として設けることで、締め具の経皮設置を実施する外科手術処置の最中に使えるようにすることができる。従って、キットは1個以上の装置を含んでおり、装置は各々が、多様なネジ寸法に対応する寸法に設定された套管針、ドリルスリーブ、保護スリーブから構成される。同様に、キットがワイヤガイドスリーブ400を含んでいる場合は、ワイヤガイドスリーブのみならず套管針と保護スリーブも、多様な釘寸法または多様な螺旋刃または渦巻き状の刃の寸法に対応する寸法に設定される。
【0073】
髄内釘と併用するための具体的な実施形態では、キットは、3.2 mm、4.0 mm、5.0 mmのそれぞれのネジ寸法に対応する寸法の3個の別個の装置を含んでいてもよい。これ以外の装置寸法を所望に応じて設けることもできる。
【0074】
套管針10、ドリルスリーブ20、ワイヤガイドスリーブ400、および、保護スリーブ30はステンレス鋼、チタン、ポリマー、または、これら以外の適切な素材から作成されてもよい。一実施形態では、套管針、ドリルスリーブ、および、保護スリーブはマルテンサイト系ステンレス鋼から製造することができる。
【0075】
套管針10、ドリルスリーブ20、ワイヤガイドスリーブ400、および、保護スリーブ30はまた、超高分子重量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、押出成形カーボンファイバー、または、これら以外の素材などの放射線不透過性材料または一部放射線不透過性材料から製造されていてもよい。このシステムの構成要素のいずれかまたは全部が使い捨て可能であってもよい。
【0076】
本発明を髄内釘システムと併用することに関連づけて説明してきたが、本発明は、骨、プレート、ロッド、釘などのような安定化装置を骨に付与する整形外科応用例のどのようなものに適用されてもよいことが分かる。従って、本発明は、小型寸法のプレートを頭蓋顔面の骨の各部に適用したり、ネジ寸法が1.0 mm程度の小さいものになる可能性のある顎顔面の各種適応症に用途を見出すことになる。同様に、本発明は、渦巻き状の刃や螺旋刃を据え付けるため、または、髄内釘用の挿入部位を切開するのを容易にするために使用される17 mmまでのドリルを容認する大規模な応用例にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の保護スリーブ、ドリルスリーブ、および、套管針からなる装置を組立てたところを例示した断面図である。
【図2a】図1の装置の套管針部材の側面図である。
【図2b】図1の装置の套管針部材の詳細図である。
【図3a】図1の装置のドリルスリーブの側面図である。
【図3b】図1の装置のドリルスリーブの部分詳細図である。
【図3c】図1の装置のドリルスリーブの頂面部分詳細図である。
【図3d】図1の装置のドリルスリーブの側面図である。
【図3e】図1の装置のドリルスリーブの側面部分詳細図である。
【図4a】図1の装置の保護スリーブの側面図である。
【図4b】図1の装置の保護スリーブの断面図である。
【図4c】図1の装置のドリルスリーブの詳細断面図である。
【図5a】代替の停留特性設計を採用した図3aのドリルスリーブの側面図である。
【図5b】図3aのドリルスリーブの断面図である。
【図5c】図3aのドリルスリーブの部分断面図である。
【図6a】図5aおよび図5bのドリルスリーブ停留特性設計と併用するための図4aの保護スリーブの側面図である。
【図6b】図4aの保護スリーブの断面図である。
【図6c】図4aの保護スリーブの部分断面図である。
【図7】図1の装置と併用するための具体的なドリルビットの側面図である。
【図8】図1の装置と併用するための具体的な骨ネジの側面図である。
【図9】套管針を備えていないが、図7のドリルビットがドリルスリーブを通して挿入されている、図1の装置の断面図である。
【図10】套管針とドリルスリーブを備えていないが、ネジおよびスクリュードライバが保護スリーブを通して挿入されている、図1のシステムの断面図である。
【図11a】大腿部に刺し通された髄内釘組立体の照準アームと図1の装置が併用されているのを例示した斜視図である。
【図11b】大腿部に刺し通された髄内釘組立体の照準アームと図1の装置が併用されているのを例示した斜視図である。
【図11c】大腿部に刺し通された髄内釘組立体の照準アームと図1の装置が併用されているのを例示した斜視図である。
【図12a】図4aから図4cの保護スリーブと併用するためのワイヤガイドスリーブを例示した側面図である。
【図12b】図4aから図4cの保護スリーブと併用するためのワイヤガイドスリーブを例示した側面図である。
【図13】図4aから図4cの保護スリーブと併用するためのドリルを例示した部分断面図である。
【図14】図4aから図4cの保護スリーブおよび図12aおよび図12bのワイヤガイドスリーブと併用するためのガイドワイヤの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科システムであって、
外側面、および、長手方向の穿孔および面の外郭を定める内側面が設けられている第1のスリーブ部材と、
外側面、および、長手方向の穿孔の外郭を定める内側面が設けられている第2のスリーブ部材とを備えており、第2のスリーブ部材はその少なくとも一部が第1のスリーブ部材の穿孔の内側に受け入れられるような形状になっており、
第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの一方の長手方向の穿孔の形状は、その中にドリルビットを受け入れて骨に穴を穿つことができるように設定されており、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材のうちの一方には突起部が設けられており、他方には該突起部に対応する陥凹部が設けられており、第2のスリーブ部材の少なくとも一部が第1のスリーブ部材の穿孔の内側に受け入れられると、突起部と陥凹部は協働して、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材を一緒に一時的に軸線方向にロックし、第1のスリーブ部材と第2のスリーブ部材の間に軸線方向の分離力を付与し、更に、第2のスリーブ部材の少なくとも一部に放射方向の力を付与して与圧することにより、第2のスリーブ部材は第1のスリーブ部材から切り離すことができる、
ことを特徴とする整形外科システム。
【請求項2】
前記第2のスリーブ部材の長手方向の穿孔の内側に受け入れられるような形状の套管針を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のスリーブ部材と前記第2のスリーブ部材は、各々に、フランジ部材を有している近位端と先細り状の先端領域を有している遠位端とが設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のスリーブ部材の長手方向の穿孔は、その中を通してドライバと骨締め具を受け入れることで骨の長手方向軸線に沿った方向へ締め具を穴の中に挿入することができるような形状になっていることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のスリーブ部材および第2のスリーブ部材のうちの少なくとも一方の先細り状の先端部は、骨固定部材に設けた締め具穴と整合するような構成になっていることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記骨固定部材は骨プレートまたは髄内釘であることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記突起部は関連しているスリーブと一体成形されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記突起部は少なくとも1個の周方向の畝状部を含んでいることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記陥凹部は、前記少なくとも1個の畝状部に対応する少なくとも1個の周方向の溝を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記突起部には、第1の先細り面と第2の先細り面が更に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のスリーブ部材には、その内側面と外側面の間に少なくとも1個の長手方向のスロットが配置されており、該スロットはスリーブの少なくとも一方端から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向に撓み性を持たせるような構成になっていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1個のスロットは前記スリーブの第1端を分割して第1の半部および第2の半部に区分けし、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧し合うことで前記畝状部を前記陥凹部から切り離し、それにより、前記第1のスリーブ部材と前記第2のスリーブ部材が互いに軸線方向に係合し、または、互いから係合解除されるようにすることができることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のスリーブ部材はその周囲を廻って、2本の長手方向のスロットが互いに関して正反対の位置に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記突起部には少なくとも1個の先細り面が設けられており、その形状は、第2のスリーブ部材が第1のスリーブ部材の穿孔に挿入されると第2のスリーブ部材に容易に放射方向与圧することができるように設定されていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のスリーブ部材および前記第2のスリーブ部材と前記套管針とはカラーコード化されることで、第1のスリーブ部材の穿孔を通して受け入れることができる骨ネジの寸法の視覚表示を供与するようにしたことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のスリーブ部材の外側面の形状は、髄内釘の照準アームの穿孔の内側に受け入れられて、髄内釘の一部に設けられた標的締め具穴とスリーブを整合させることができるように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
整形外科システムであって、
近位端および遠位端と、長手方向軸線と、内側面および外側面とが設けられた第1スリーブと、
近位端および遠位端と、長手方向軸線と、内側面および外側面とが設けられて第2のスリーブとを備えており、内側面は第1のスリーブの少なくとも一部を受け入れるような形状に設定されており、内側面は更に、骨に穿たれた穴に締め具を挿入するための骨締め具とドライバを受け入れるような形状に設定されており、
第1のスリーブと第2のスリーブのうちの少なくとも一方の内側面は、骨に穴を穿つためのドリルビットを受け入れるような形状に設定されており、第1のスリーブの少なくとも一部は、第2のスリーブ部材の少なくとも一部の内側に滑動自在に受け入れられ、第2のスリーブの内側面と第1のスリーブの外側面のうちの一方には突起部が設けられ、他方には該突起部に対応する陥凹部が設けられて、第1のスリーブが第2のスリーブの内側に受け入れられると、突起部と陥凹部が協働して、第1のスリーブを第2のスリーブと着脱自在に軸線方向に係合させるようになっており、第1のスリーブと第2のスリーブの間に軸線方向の分離力を付与し、また、第1のスリーブの少なくとも一部に放射方向の与圧をすることにより、両スリーブは互いから切り離すことができる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
前記第1のスリーブの長手方向の穿孔の内側に受け入れられるような形状の套管針を更に備えている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブは、各々に、フランジ部材を有する近位端と先細り状の先端領域を有する遠位端とが設けられることを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のスリーブおよび第2のスリーブのうちの少なくとも一方の前記先細り状の先端部は、骨固定部材に設けた締め具穴と整合するような構成になっていることを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記骨固定部材は骨プレートまたは髄内釘であることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記突起部は関連するスリーブと一体成形されていることを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記突起部は複数の非連続的な突起部材から構成されることを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記突起部は、少なくとも1個の周方向の畝状部を含んでいることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項25】
前記陥凹部は、前記少なくとも1個の畝状部に対応する少なくとも1個の周方向の溝を含んでいることを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記突起部には、第1の先細り面と第2の先細り面が設けられており、それらの形状は前記第2のスリーブの内側面の一部に嵌合するように設定されることを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
第1のスリーブは、その内側面と外側面の間に少なくとも1個の長手方向のスロットが配置されており、該スロットはスリーブの少なくとも一方の端部から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向に撓み性を持たせるような形状に設定されることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1本のスロットは前記第1のスリーブの第1端を分割して第1の半部と第2の半部に区分けし、第1のスリーブが第2のスリーブの内側に十分に受け入れられると、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧させることで前記陥凹部から前記畝状部を切り離し、それにより、第1のスリーブを第2のスリーブから取り外せるようにしたことを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1のスリーブが前記第2のスリーブに挿入されると、前記第1の先細り面が前記第2のスリーブの内側面と協働して、第1の半部と第2の半部に一緒に放射方向に与圧することを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1のスリーブは、その周囲を廻って、2本の長手方向のスロットが互いに関して正反対の位置に配置されることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
前記突起部には少なくとも1個の先細り面が設けられており、その形状は、第1のスリーブが第2のスリーブの穿孔に挿入された際に、第1のスリーブ部材に容易に放射方向に与圧することができるように設定されることを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブと前記套管針とはカラーコード化されて、第1のスリーブの穿孔を通して受け入れることができる骨ネジの寸法の視覚表示を供与することができるようになっていることを特徴とする、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1のスリーブの外側面は、その形状が、髄内釘の照準アームの穿孔の内側に受け入れられて髄内釘の一部に設けられた標的となる締め具穴とスリーブを整合させるように設定されることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項34】
骨に穴を穿つ方法であって、
(a)ドリルスリーブと保護スリーブとを組合せる段階を含み、ドリルスリーブが保護スリーブの少なくとも一部の内部に入れ子式に受け入れられるようにし、ドリルスリーブに内側面を設けて、骨に穴を穿つためのドリルビットを受け入れることができるようにし、ドリルスリーブの外側面に突起部と陥凹部のうちの一方を設けて、その形状が保護スリーブの内側面に配置された該突起部または該陥凹部に対応する陥凹部または突起部に嵌合して一時的に両スリーブを一緒に軸線方向にロックするように設定され、ドリルおよび保護スリーブは、両スリーブの間に軸線方向の分離力を付与することにより、また、ドリルスリーブの少なくとも一部に放射方向の与圧をすることにより、互いから分離することができるようにして、さらに、
(b)ドリルスリーブと保護スリーブを連結して患者の切開部を通して進入させる段階と、
(c)ドリルスリーブと保護スリーブを前進させて、骨の一部の上に位置している骨固定部材と整合させる段階と、
(d)ドリルスリーブを通してドリルビットを挿入してから、ドリルビットを前進させて骨と係合させる段階と、
(e)ドリルを回転させて骨に穴を設ける段階と、
(f)ドリルビットをドリルスリーブから取り外す段階と、
(g)ドリルスリーブと保護スリーブの間に軸線方向の分離力を付与するとともに、ドリルスリーブの一部に放射方向与圧して、両スリーブを切り離す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
前記ドリルスリーブと前記保護スリーブは、ドリルスリーブの長手方向の穿孔の内側に受け入れられるような形状の套管針を更に含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記両スリーブは各々に、フランジ部材を有している近位端と先細り状の先端領域を有している遠位端が設けられることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記骨固定部材は骨プレートか、または、髄内釘であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記突起部は関連するスリーブと一体成形されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記突起部は複数の非連続的な突起部材から構成されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記突起部は少なくとも1本の周方向の畝状部を含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記陥凹部は、前記少なくとも1本の畝状部に対応する少なくとも1本の周方向の溝を含んでいることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記突起部には、前記陥凹部の一部に嵌合するような形状の、第1の先細り面と第2の先細り面が設けられることを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ドリルスリーブはその内側面と外側面の間に少なくとも1本の長手方向のスロットが配置されており、該スロットは、スリーブの少なくとも一方端から延びて、或る長さを有しており、更にスロットは、スリーブの少なくとも一部に放射方向の撓み性を持たせるような形状に設定されることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1本のスロットは前記ドリルスリーブの第1端を分割して第1の半部と第2の半部に区分けし、ドリルスリーブが前記ネジ挿入スリーブの内側に十分に受け入れられると、第1の半部と第2の半部を互いに向けて押圧させることで前記陥凹部から前記突起部を切り離し、それにより、ドリルスリーブをネジ挿入スリーブから取り外せるようにしたことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項34に記載の方法において、 前記方法は、さらに、
(g)保護スリーブを通して骨締め具とスクリュードライバを挿入する段階と、
(h)骨に設けられた穴に骨締め具を押込み、骨固定部材を骨に固定する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項34に記載の方法において、前記方法は、前記段階(a)と前記段階(b)の間に、髄内釘に装着された照準アームに設けられた穿孔に前記保護スリーブの外側面を挿入する段階を更に含んでおり、前記段階(c)は照準アームに設けられた穿孔を通して前記保護スリーブと前記ドリルスリーブを進入させて、骨固定部材に設けられた締め具穴と整合させる段階を更に含んでおり、前記段階(e)は髄内釘に設けられた締め具穴を通して骨に穴を穿つ段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記方法は、
(h)前記保護スリーブを通して骨締め具およびスクリュードライバを挿入する段階と、
(i)骨に設けられた穴に骨締め具を押込み、骨固定部材を骨に固定する段階と、
(j)前記保護スリーブを患者の体内から取り出す段階と、
を更に含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−537835(P2007−537835A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527409(P2007−527409)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017394
【国際公開番号】WO2005/112793
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(505377463)ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【Fターム(参考)】