説明

ドリル及び穿孔方法

【課題】
解決しようとする課題は、従来技術ではブロー成形品を穿孔する際に発生する切りくずを完全には除去できず、該ブロー成形品の内部に該切りくずが残留してしまって他日異物音を発生させる原因となりかねないという点である。
【解決手段】
該ブロー成形品のドリル下穴に、先端に銛状体を設け且つ該銛状体の先端には返し部を設けたドリルの該銛状体を挿入して穿孔し、該ドリルを該ブロー成形品から抜去する際に該切りくずも一緒に該ブロー成形品の外部に取り出されるようにすることにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形品を穿孔する際に発生する切りくずの除去技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形品を穿孔する際に発生する切りくずの除去技術としては特許文献1に開示されているようなものがある。
【特許文献1】特公平6−45097号公報
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている方法は圧縮空気によって切りくずを吹飛ばすというものであるから、切りくずのすべてを完全に除去できるとは言えず、特に大きめな切りくずなどは成形品内で引っ掛かったりして成形品内に残ってしまうことも多く、他日異物音を発生させる原因となるという欠点があった。
【0004】
以下、図によってより詳しく説明する。図1はブロー成形により形成された自動車用のデッキボード1の斜視図である。2,2は該デッキボード1内の空隙に矢印A,Aの方向から挿入されたリーンフォース・パイプ、3,3は該リーンフォース・パイプ2,2の挿入孔を示す。
【0005】
図2は図1の断面B−Bを示し、該デッキボード1に該リーンフォース・パイプ2を挿入するための該挿入孔3をあけるためにドリル4を位置付けたところを表す従来例の断面図である。5はドリル下穴であり、該デッキボード1のブロー成形時のブローピン(図示せず)痕である。8は該ドリル下穴5に該ドリル4を位置決めするための先三角体である。
【0006】
図3は同じく図1の断面B−Bを示し、該ドリル4を回転させて該デッキボード1に該挿入孔3を穿孔した状態を表す従来例の断面図である。
【0007】
この場合、該挿入孔3の穿孔によって生成された切りくず6は該デッキボード1の内部の空隙に残留し、他日異物音を発生させる原因となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、従来技術ではブロー成形品を穿孔する際に発生する切りくずを完全には除去できず、該ブロー成形品の内部に残留してしまうという点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、返しの付いた銛状体を先端に設けたドリルとすることを最も主要な特徴とする。
【0010】
また、ブロー成形品のドリル下穴に該ドリルの該銛状体を挿入し、その後該ドリルを回転させて該ブロー成形品を穿孔することを第2の主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブロー成形により形成された自動車用のデッキボード内の空隙にリーンフォース・パイプを挿入するための挿入孔をあけるに際して、先端に銛状体を設け且つ該銛状体の先端には返し部を設けたドリルを用いるため、穿孔後該ドリルを該デッキボードから抜去する際に切りくずも一緒に該デッキボードの外部に取り出されるので、該切りくずが該デッキボードの内部に残留することはなく、他日異物音を発生させることがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ブロー成形により形成された自動車用のデッキボード内の空隙にリーンフォース・パイプを挿入するための挿入孔をあけるに際し、切りくずが該デッキボードの内部に残留しないようにするという目的を、先端に銛状体を設け且つ該銛状体の先端には返し部を設けたドリルを使用することによって、経済性を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0013】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。尚、従来例と同一の符号は同一の部材を表す。
【0014】
図4は図1の断面B−Bを示し、本発明の1実施例を示す断面図である。該ドリル4の先端には該先三角体8の代わりに丸棒状の銛状体41がロウ付け等によって固着されており、該銛状体41の先端には円錐状の返し部42が設けられている。図4は該デッキボード1の該ドリル下穴5に該銛状体41を挿入したところを表す。
【0015】
図5は図4の該ドリル4を回転させて該挿入孔3を穿孔した状態を表す。このとき該切りくず6は該銛状体41の先端の円錐状の該返し部42に引っ掛かり、該ドリル4を該デッキボード1から抜去する際に該切りくず6も一緒に該デッキボード1の外部に取り出されることになる。
【0016】
図6は図5の該ドリル4を抜去した後の該デッキボード1の図1の断面B−Bを示す。上に述べたように、該ドリル4を該デッキボード1から抜去する際に該切りくず6も一緒に該デッキボード1の外部に取り出されるので、該切りくず6が該デッキボード1の内部に残留することはない。
【実施例2】
【0017】
上記実施例では該ドリル4の該銛状体41の先端の該返し部42を円錐状としたが、図7に示す該ドリル4の平面図のように丸棒状の該銛状体41の先端を平らに潰し、該切りくず6が引っ掛かるように平状の返し部42’を設けても良い。また、該銛状体41を丸棒状としたが、角棒状でも他の形状でも構わない。また、該ドリル4と該銛状体41及び該返し部42または42’を一体に形成しても良い。
【0018】
以上実施例に述べたように本発明によれば、ブロー成形により形成された自動車用のデッキボード内の空隙にリーンフォース・パイプを挿入するための挿入孔をあけるに際して、先端に銛状体を設け且つ該銛状体の先端には返し部を設けたドリルを用いるため、穿孔後該ドリルを該デッキボードから抜去する際に切りくずも一緒に該デッキボードの外部に取り出されるので、該切りくずが該デッキボードの内部に残留することはなく、他日異物音を発生させることがないという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、ブロー成形により形成された自動車用のデッキボード内の空隙にリーンフォース・パイプを挿入するための挿入孔をあけるのに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】リーンフォース・パイプ付自動車用デッキボードの斜視図
【図2】図1の断面B−Bを示す従来例の断面図
【図3】図1の断面B−Bを示す従来例の断面図
【図4】図1の断面B−Bを示す、本発明に係る断面図
【図5】図1の断面B−Bを示す、本発明に係る断面図
【図6】図1の断面B−Bを示す、本発明に係る断面図
【図7】他の実施例を示す、本発明に係るドリルの平面図
【符号の説明】
【0021】
1 デッキボード
2 リーンフォース・パイプ
3 パイプ挿入孔
4 ドリル
5 ドリル下穴
6 切りくず
8 先三角体
41 銛状体
42,42’ 返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
返しの付いた銛状体を先端に設けたドリル
【請求項2】
ブロー成形品のドリル下穴に請求項1記載のドリルの銛状体を挿入し、その後該ドリルを回転させて該ブロー成形品を穿孔する方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−223040(P2007−223040A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−136289(P2007−136289)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】