説明

ドレン排出装置および給湯器

【課題】従来よりも、循環路および通水路においてドレンの排出に使用された経路を適切に洗浄できるようにする。
【解決手段】排出路95から合流経路97を経て循環路31の下流側へと至る流通経路を形成させた状態で、循環ポンプ33を作動させることにより、ドレンタンク91から合流経路97を介して循環路31へとドレンタンク91に貯留されたドレンを流通させ、循環路31の下流側から排出することができる。 そして、循環路31の下流側から流入路93へと至る流通経路を形成させた状態で、通水路51からの通水を行うことにより、循環路31から合流経路97を介してドレンタンク91へと湯水を流通させることができる。この湯水は、循環路31の上流側から合流経路97および流入路93を経てドレンタンク91へと向かうため、この湯水により循環路31においてドレンが通過した経路をそれぞれ適切に洗浄することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器の内部で発生するドレンを排出するドレン排出装置、および、このドレン排出装置を備えた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽への給湯を行うための給湯器には、潜熱を回収するための熱交換器によって、外部から給水された水を加熱する構成のものがある。この構成の給湯器においては、潜熱を回収する際にドレンが発生するため、これを回収して排出できるようにすべく、ドレンタンクなどを備えていることが一般的である。
【0003】
また、近年では、浴槽の湯水を循環路で循環させながら再加熱する保温機能が備えられた給湯器において、この循環路によりドレンタンクに貯留されたドレンを自動的に排出するための技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この技術では、給水された水を加熱して浴槽まで通水させる通水路(22〜23)と、通水路の一部を共有区間(23)として浴槽に貯留された湯水を循環させる循環路(23〜24)と、一の接続口がドレンタンクから延びるドレン排水路(50)に接続され、残り二の接続口が循環路に接続されることでドレンタンクと循環路とを接続する三方弁(29)と、循環路からドレンタンク側への逆流を阻止する逆止弁(51)と、を備えている。
【0005】
また、この技術では、浴槽内に湯水が存在しない状態で、三方弁によりドレンタンクから通水路側への流路を形成したうえで通水路の循環ポンプ(26)を作動させ、ドレンタンクに貯留されたドレンを循環路、通水路を介して浴槽へと流通させることにより、ドレンの排出が実現される(特許文献1の図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−8587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記技術では、三方弁によりドレン通路を閉鎖し循環路から通水路側への流路を形成した状態で循環ポンプを作動させる制御(引用文献1の図6;先パージ運転)と、三方弁により循環路を閉鎖しドレンタンクから通水路側への流路を形成した状態で通水路からの給水を行う制御(同図7;パージ運転)と、を順に行うことにより、循環路においてドレンの排出に使用された経路を洗浄できるようにしている。
【0008】
しかしながら、先パージ運転では、循環路に残存する湯水を浴槽側に流動させているに過ぎず、循環路内を十分に洗浄できる程の湯水を流動させているとは言えない。このため、先パージ運転に続くパージ運転にて湯水が流通しない領域、すなわち、循環路におけるドレン通路との接続部から、通水路との共有部分までの領域については、洗浄が不十分になる問題点がある。
【0009】
さらにいえば、ドレン排水路については、先パージ運転時においてもパージ運転時においても洗浄されることがない。このため、パージ運転の状態(同図7)、から湯張り運転の状態(同図3)への切り替え時等、三方弁によりドレン排水路と循環路が連通している状態から、切り離された状態への切り替えが行われる際に、ドレン排水路に存在するドレンが循環路側に流出してしまい、循環路を流通する湯水が汚染される恐れがある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも、循環路および通水路においてドレンの排出に使用された経路を適切に洗浄できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため第1の発明(請求項1)は、外部から給水される水を供給するための経路であり、該経路の一部分に潜熱を回収する熱交換器を備えた給湯路と、通水弁を介して前記給湯路から供給された湯水を浴槽側に通水させる通水路と、前記浴槽に貯留された湯水を循環ポンプで循環させて前記浴槽へと戻す経路であり、該経路の一部分に熱交換器を備えると共に、該経路における一部の区間が前記通水路からの湯水を前記浴槽へと導く共有区間となっている循環路と、前記熱交換器から発生するドレンを貯留するドレンタンクと、を備えた給湯器に備えられるドレン排出装置である。
【0012】
そして、前記ドレンタンクへと湯水を流入させるための流入路、および、前記ドレンタンクからドレンを排出させるための排出路それぞれを前記循環路に連通させ、該連通部における湯水の流通方向を切り替えることにより、該連通部を介した流通経路を形成する経路形成部と、前記通水弁により前記通水路を閉鎖させ、かつ、前記排出路から前記連通部を経て前記循環路の下流側へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留されたドレンを流通させる排出制御手段と、前記連通部における前記循環路の下流側から前記流入路へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記通水弁により前記通水路を開放させて通水を行うことにより、前記循環路の下流側に向けて湯水を流通させると共に、前記循環路から前記連通部を介して前記ドレンタンクへと、湯水を流通させる洗浄制御手段と、を備えている。
【0013】
この構成に係るドレン排出装置であれば、排出路から連通部を経て循環路の下流側へと至る流通経路を形成させた状態で、循環ポンプを作動させることにより、ドレンタンクから連通部を介して循環路へとドレンタンクに貯留されたドレンを流通させ、これを循環路の下流側から排出することができる。
【0014】
そして、連通部における循環路の下流側から流入路へと至る流通経路を形成させた状態で、通水路からの通水を行うことにより、循環路から連通部を介してドレンタンクへと湯水を流通させることができる。こうして通水路から通水される湯水は、一部が循環路の下流側へ向かい、それ以外が循環路の上流側から連通部および流入路を経てドレンタンクへと向かうことになるため、この湯水により、ドレンタンクに貯留されていたドレンが通過した経路をそれぞれ適切に洗浄することができる。
【0015】
この構成において、連通部を介して循環路へとドレンを流通させて排出する制御の開始のタイミングについては、特に限定されないが、例えば、所定の時間毎、所定時刻、熱交換器の動作状態、ドレンタンクに貯留されたドレン量などに応じて開始することとすればよい。
【0016】
ここで、ドレンタンクに貯留されたドレン量に応じてドレンの排出を開始するためには、例えば、以下に示す第2の構成(請求項2)のようにすることが考えられる。
第2の構成では、前記ドレンタンクに貯留されたドレンの量を検出するドレン検出手段、を備え、前記排出制御手段は、前記ドレン検出手段により検出されるドレンの量が所定の上限に到達した際に、前記ドレンタンクから前記循環路へのドレンの流通を開始させる。
【0017】
この構成であれば、ドレンタンクに貯留されたドレンの量が上限に達したタイミングでドレンタンクからのドレンの排出を開始することができる。
また、上記各構成において、上述したドレン排出を終了するタイミングについては、特に限定されないが、例えば、ドレン排出の継続時間、熱交換器の動作状態、ドレンタンクに貯留されたドレンの量などに応じて終了させることとすればよい。
【0018】
ここで、ドレンタンクに貯留されたドレンの量に応じてドレンの排出を終了させるためには、例えば、以下に示す第3の構成(請求項3)のようにすることが考えられる。
第3の構成では、前記排出制御手段は、前記ドレンタンクに貯留されたドレンの量が0より大きい値として規定された下限となるまでの間、前記ドレンタンクから前記循環路へとドレンを流通させる。
【0019】
この構成であれば、上述したドレンの排出が、ドレンタンクに貯留されたドレンの量が0より大きい下限値となったタイミングで終了することから、連通部を介して循環路へと至る一部経路および循環路にドレン(または湯水)が満たされた状態でドレンの排出を終了させることができる。
【0020】
そのため、循環ポンプによる連続的な湯水の循環が循環路中の空気に妨げられる不具合(いわゆるエア噛みや、それによる異音の発生)を防止することができる。また、循環ポンプ内もドレン(又は湯水)で満たされるため、作動開始時に呼び水相当が必要な非自吸式ポンプを使用することができ、設計の幅を拡げることができる。
【0021】
なお、この構成において、ドレン量が下限値となったか否かは、上記第2の構成のようにドレンの量を直接的に検出する方法に限らず、ドレン排出の継続時間、熱交換器の動作状態などに応じて間接的に検出(推定)する方法で判定してもよい。
【0022】
また、ドレンの排出をドレンタンクに貯留されたドレンの量に応じて終了させるための構成としては、例えば、循環ポンプが上記エア噛みを検知して循環ポンプを停止させる手段を備えている場合であれば、ドレンの量が所定の下限値となったタイミングでエア噛みを意図的に引き起こすことで、ドレンの排出を終了させるようにすることが考えられる。
【0023】
このためには、上記各構成を以下に示す第4の構成(請求項4)のようにするとよい。
第4の構成において、前記ドレンタンクには、前記流入路における端部開口が、該ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に接続されている。
【0024】
この構成であれば、ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に、流入路における端部開口が接続されているため、ドレンタンクに貯留されたドレンの液面が、開口端部より下方に位置するまでドレン量が減少すると、この開口端部からドレンタンク内部の空気が流入路を介して連通部に向かうことになる。この際、循環ポンプが作動していることから、連通部に到達した空気が周辺のドレンと共に循環ポンプまで到達する結果、この空気によるエア噛みを検知して循環ポンプを停止させることができる。
【0025】
このようなことから、上記構成では、流入路における端部開口の接続位置を、ドレン排出を終了させるべきドレン量に応じた位置とすることにより、ドレンの排出をドレンタンクに貯留されたドレン量が所望の下限値となったタイミングで終了させることができるようになる。
【0026】
また、ドレン量が所定の下限値となったタイミングでエア噛みを意図的に引き起こしてドレンの排出を終了させるための構成としては、上記第1〜第3の構成を以下に示す第5の構成(請求項5)のようにしてもよい。
【0027】
第5の構成において、前記流入路は、前記ドレンタンク内部にまで侵入しており、前記流入路を内外に連通する開口が、少なくとも該ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に形成されている。
【0028】
この構成であれば、ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に、流入路の内外を連通する開口が形成されているため、ドレンタンクに貯留されたドレンの液面が、その開口より下方に位置するまでドレン量が減少すると、この開口からドレンタンク内部の空気が流入路を介して連通部に向かうことになる。このとき、循環ポンプが作動していることから、連通部に到達した空気が周辺のドレンと共に循環ポンプまで到達する結果、この空気によるエア噛みを検知して循環ポンプを停止させることができる。
【0029】
このようなことから、上記構成では、流入路における開口の位置を、ドレンの排出を終了させるべきドレンの量に応じた位置とすることにより、ドレンの排出をドレンタンクに貯留されたドレンの量が所望の下限値となったタイミングで終了させることができるようになる。
【0030】
なお、上述した「エア噛みを検知して循環ポンプを停止させる手段」としては、循環ポンプ自体にそのような機能が備えられている場合であれば、その機能により停止させる手段を採用することができ、また、循環ポンプにより湯水を流通させる経路に水流スイッチが設けられている場合であれば、その水流スイッチにより湯水が流通しなくなったことが検知されたことをもって循環ポンプを停止させるといった手段を採用することができる。また、ドレン排出に伴い一時的にエアが循環路内に混入することになるが、前記循環制御手段による通水により当該エアを循環路から排除することができる。
【0031】
また、上記各構成においては、循環路の下流側および、循環路から連通部を介してドレンタンクに向けて湯水を流通させて経路を洗浄する制御の開始タイミングについては、特に限定されないが、例えば、ドレンの排出が開始された以降のタイミング(ドレン排出動作中またはドレン排出完了後)、所定の時間毎、所定時刻、熱交換器の動作状態、ドレンタンクに貯留されたドレン量などに応じて開始することとすればよい。
【0032】
また、上記各構成においては、経路の洗浄によって、ドレンタンクに一定量の湯水が貯留されることとなるため、この湯水を排出させることとしてもよい。
このための構成としては、上記各構成を以下に示す第6の構成(請求項6)のようにするとよい。
【0033】
第6の構成において、前記排出制御手段は、前記洗浄制御手段による湯水の流通後、前記通水弁により前記通水路を閉鎖させ、かつ、前記ドレンタンクから前記連通部を経て前記循環路の下流側へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留された湯水を流通させる。
【0034】
この構成であれば、経路の洗浄によりドレンタンクに貯留された湯水を排出することで、以降に発生しうるドレンを貯留できる容量を確保することができる。
なお、この構成においては、経路の洗浄の後で湯水が排出された後、再度、経路の洗浄が行われることとしてもよく、また、湯水の排出と経路の洗浄とからなるサイクルを、その時間を徐々に短くしながら複数回繰り返すことにより、最終的にドレンタンクに貯留される湯水の量を一定未満にすることとしてもよい。
【0035】
また、上記各構成において、経路形成部は、流入路および排出路それぞれと循環路との連通部を介した流通経路を形成できれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、連通部が、流入路および排出路それぞれを合流させて循環路に到達させる合流経路を有している場合であれば、上記各構成を以下に示す第7の構成(請求項7)のようにするとよい。
【0036】
第7の構成においては、前記流入路および前記排出路それぞれと前記循環路との連通部は、前記流入路および前記排出路それぞれを合流させて前記循環路に到達させる合流経路を有し、前記経路形成部は、少なくとも、第1経路形成弁と、第2経路形成弁と、を有している。前記第1経路形成弁は、前記循環路と前記合流経路との連通部を、少なくとも、前記循環路における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路、前記合流経路および前記循環路における下流側の一方から他方へと至る流通経路、のいずれかへと切り替える弁体であり、前記第2経路形成弁は、前記排出路において、前記合流経路から前記ドレンタンクへと向かう湯水の流通を阻止する弁体である。
【0037】
そして、前記排出制御手段は、前記通水弁により前記通水路を閉鎖させた状態で、前記第1経路形成弁により、前記循環路と前記合流経路との連通部を、前記合流経路および前記循環路における下流側の一方から他方へと至る流通経路に切り替えさせた後、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記排出路および前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留されたドレンを流通させて、前記洗浄制御手段は、前記通水弁により前記通水路を開放させて通水を行うことにより、前記循環路から前記連通部および前記流入路を介して前記ドレンタンクへと湯水を流通させる。
【0038】
この構成であれば、第1経路形成弁および第2経路形成弁の機能により、流入路および排出路それぞれと循環路との連通部を介した流通経路を形成したうえで、経路洗浄を含むドレンの排出動作を実現することができる。
【0039】
特に、排出路に設けられた第2経路形成弁により、排出路において合流経路からドレンタンクに向かう湯水の流通が阻止されるため、排出路の開閉制御を行うことなく、湯水の意図しない逆流を防止することができる。
【0040】
また、この構成においては、以下に示す第8の構成(請求項8)のようにするとよい。
第8の構成において、前記経路形成部は、少なくとも、前記第1経路形成弁と、前記第2経路形成弁と、第3経路形成弁と、を有し、前記第3経路形成弁は、前記流入路において、前記ドレンタンクから前記合流経路へと向かう湯水の流通を阻止する弁体である。
【0041】
この構成であれば、流入路に設けられた第3経路形成弁により、流入路においてドレンタンクから合流経路に向かうドレンの流通が阻止されるため、流入路の開閉制御を行うことなく、ドレンの意図しない逆流を防止することができる。
【0042】
また、上記課題を解決するため第9の構成(請求項9)に係る給湯器は、外部から給水される水を供給するための経路であり、該経路の一部分に潜熱を回収する熱交換器を備えた給湯路と、通水弁を介して前記給湯路から供給された湯水を浴槽側に通水させる通水路と、前記浴槽に貯留された湯水を循環ポンプで循環させて前記浴槽へと戻す経路であり、該経路の一部分に熱交換器を備えると共に、該経路における一部の区間が前記通水路からの湯水を前記浴槽へと導く共有区間となっている循環路と、前記交換器から発生するドレンを貯留するドレンタンクと、上記第1から第8のいずれかの構成に係るドレン排出装置と、を備えている。
【0043】
この構成に係る給湯器であれば、上記第1〜第8の構成と同様の作用、効果を奏する給湯器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】給湯器の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態におけるドレン貯留部を示す図である。
【図3】ドレン排出制御を示すフローチャートである。
【図4】ドレン排出制御における湯水の流通状態を示す図である。
【図5】第1実施形態におけるドレン排出制御の変形例を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態におけるドレン貯留部の変形例を示す図である。
【図7】第2実施形態におけるドレン貯留部を示す図である。
【図8】第2実施形態におけるドレン貯留部の変形例を示す図である。
【図9】別の実施形態におけるドレン貯留部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)全体構成
第1実施形態に係る給湯器は、図1に示すように、給水された水を加熱して給湯する給湯部1と、浴槽210に貯留された水を保温する保温部3と、給湯部1および保温部3を接続する接続部5と、各部の動作を制御する制御部7と、給湯器において発生するドレンを貯留するドレン貯留部9と、を備えている。
【0046】
給湯部1は、燃料ガスを燃焼させ燃焼ガスを発生させるガスバーナ17、外部から給水される水が通水される給湯路11、給湯路11に設けられた状態で燃焼ガスから潜熱を回収し内部の通水に伝熱する副熱交換器13、給湯路11に設けられた状態で燃焼ガスから顕熱を回収し内部の通水に伝熱する主熱交換器15、副熱交換器13による潜熱の回収時に発生するドレン(窒素酸化物や硫黄酸化物を含有する酸性の凝縮水)を中和させるための中和器19を備えている。
【0047】
これらのうち、副熱交換器13および主熱交換器15は、給湯路11における水流の上流から下流に向けて、副熱交換器13、主熱交換器15の順に配置されており、また、ガスバーナ17による燃焼ガスの流れにおける上流から下流に向けて、主熱交換器15、副熱交換器13の順に配置されている。これにより、燃焼ガスの顕熱が燃焼ガスの上流側に配置された主熱交換器15により回収され、燃焼ガスの潜熱(および主熱交換器15で回収しきれなかった顕熱)が燃焼ガスの下流側に配置された副熱交換器13により回収されることとなる。
【0048】
また、給湯路11には、給水源から順に、給水される水を濾過するストレーナ25、給水される水の水量を検出する水量センサ27、給湯路11における水量を制御する水量制御弁29が設けられている。
【0049】
また、給湯路11は、その下流側において給湯栓220へと湯水を供給すると共に、接続部5に対しても湯水を供給するように構成されている。この接続部5は、給湯路11から供給される湯水を保温部3の浴槽210側に向けて通水する通水路51、通水路51を開閉して浴槽210側への通水を制御する通水弁53を備えている。
【0050】
保温部3は、浴槽210に貯留された湯水を循環させて浴槽へと戻すための循環路31、浴槽210に貯留された水を浴槽210と循環路31との間で循環させる循環ポンプ33、循環路31における循環ポンプ33の下流側に設けられた水流スイッチ35、循環路31における下流側に設けられる熱交換器37、循環路31において熱交換器37が設けられた経路を加熱するガスバーナ39などで構成されている。なお、循環路31における一部の区間は、通水路51との共有区間Aとなっている。
【0051】
これらのうち、循環ポンプ33は、循環路31において水が循環する経路の上流側、具体的には通水路51との共有区間A、および、熱交換器37の間に設けられている。
また、循環路31には、循環路31の下流側を浴槽210へと連通する流通経路、および、循環路31を図示されない排水口へと連通する流通経路、のいずれかへと切り替える排水切替弁41が設けられている。この排水切替弁41は、初期状態で循環路31を浴槽210へと連通する流通経路を形成しており、制御部7からの指令を受けて流通経路を切り替える。
【0052】
制御部7は、内蔵するマイコンなどにより各部の動作を制御するコントローラ71、台所などの浴室外でユーザの操作を受け付ける台所リモコン73、浴室内でユーザの操作を受け付ける浴室リモコン75などで構成されている。これらのうち、コントローラ71は、内蔵するメモリに格納されたプログラムに従って、各部の動作を制御する。
【0053】
ドレン貯留部9は、図2に示すように、給湯部1の副熱交換器13から発生し中和器19にて中和されたドレンを回収して貯留するドレンタンク91、ドレンタンク91へと湯水を流入させるべくドレンタンク91の上部に一端が接続された流入路93、ドレンタンク91から湯水を排出させるべくドレンタンク91の底部に一端が接続された排出路95、流入路93および排出路95それぞれの他端側の流路を合流させて循環路31に連通させる合流経路97、流入路93および排出路95それぞれと循環路31との連通部における流通経路を形成する経路形成部100などを備えている。なお、ドレンタンク91内部には、貯留されたドレン(または湯水)の量を検出する水位センサ99が設けられている。
【0054】
これらのうち、合流経路97は、流入路93および排出路95それぞれの他端側を合流させてなる共有経路であって、流入路93と排出路95との双方の機能を果たすものであり、循環路31に連通させることにより、流入路93および排出路95それぞれと循環路31との連通部の一部をなすものである。なお、循環路31に対する連通箇所については、特に限定されないが、本実施形態では、循環路31における通水路51との共有区間Aに連通されている。
【0055】
また、経路形成部100は、上記連通部における流通経路として、排出路95から連通部を経て循環路31の下流側へと至る流通経路と、循環路31の下流側から連通部を経て流入路93へと至る流通経路と、を形成可能なものであればよく、本実施形態においては、図2(a)に示すように、第1経路形成弁101と、第2経路形成弁103と、第3経路形成弁105とにより、これら流通経路を形成可能に構成されている。
【0056】
具体的にいえば、第1経路形成弁101は、上記連通部における流通経路を、少なくとも、循環路31における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路、合流経路97および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路、のいずれかへと切り替える弁体(いわゆる三方弁)である。この第1経路形成弁101は、初期状態で循環路31における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成しており、制御部7(のコントローラ71)からの指令を受けて流通経路を切り替える。また、第2経路形成弁103は、排出路95において合流経路97からドレンタンク91へと向かう湯水の流通を阻止する弁体(いわゆる逆止弁)である。そして、第3経路形成弁105は、流入路93においてドレンタンク91から合流経路97へと向かう湯水の流通を阻止する弁体(いわゆる逆止弁)である。
【0057】
なお、経路形成部100については、上述した構成の他、例えば、図2(b)に示すように、流入路93および排出路95をそれぞれ閉鎖および開放する開閉式の弁体107,109を第2経路形成弁および第3経路形成弁として設けた構成としてもよい。この構成では、初期状態として、第2経路形成弁107および第3経路形成弁109のいずれか一方を開放し、他方を閉鎖した状態としておけばよい。
【0058】
また、図2(c)に示すように、第2経路形成弁103および第3経路形成弁105の代わりに、流入路93および排出路95が合流経路97により合流されている箇所の流通経路を形成する第4経路形成弁111を設けた構成としてもよい。この第4経路形成弁111は、少なくとも、合流経路97および流入路93の一方から他方へと至る流通経路、排出路95および合流経路97の一方から他方へと至る流通経路、のいずれかへと切り替える弁体(いわゆる三方弁)であり、いずれかの流通経路を形成した状態を初期状態としておけばよい。
(1−2)ドレン排出制御
以下、ドレンタンク91内に貯留されたドレンを排出する制御について図3に基づいて説明する。
【0059】
上記構成に係る給湯器は、スタンバイ状態(電源オン)になって以降、コントローラ71が各部の動作を制御し、下記のs110でドレンの排出を開始すべきタイミングになったと判定される都度、経路の洗浄を含むドレン排出制御を繰り返し行うように構成されている。以下、その手順について、図3に基づいて説明する。
【0060】
まず、コントローラ71は、ドレンタンク91に貯留されたドレンの排出を開始すべきタイミングとなるまで待機状態となる(s110:NO)。
本実施形態では、水位センサ99からの出力結果に基づいて、ドレンタンク91に貯留されたドレンの量がチェックされており、その量が所定のしきい値を超えていることをもってドレンの排出を開始すべきタイミングになったと判定される。なお、このタイミングになったとの判定は、ドレンの量だけではなく、例えば、所定の時刻になったこと、あらかじめ定められた時間が経過したこと、熱交換器13,15,37への加熱などに基づく動作履歴が所定の内容となったこと、などに基づいて行うこととしてもよい。
【0061】
その後、コントローラ71は、上記s110にてドレンの排出を開始すべきタイミングになったと判定したら(s110:YES)、ドレンを排出すべく流通経路を形成する(s120)。ここでは、通水弁53により通水路51を閉鎖させ、かつ、排出路95から合流経路97を経て循環路31の下流側へと至る流通経路を経路形成部100に形成させると共に、循環路31の下流側を排水口へと連通する流通経路を排水切替弁41に形成させた状態とするために、通水弁53、経路形成部100および排水切替弁41に対する指令がなされることとなる。ただし、この時点で、既に形成されている流通経路に関する弁体に対しては、何らの指令も行われない。
【0062】
なお、経路形成部100に対する指令は、経路形成部100の構成により異なる。例えば、逆止弁により第2経路形成弁103および第3経路形成弁105が構成されている場合(図2(a))、第1経路形成弁101に対し、合流経路97および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令のみがなされる。
【0063】
また、開閉式の弁体により第2経路形成弁107および第3経路形成弁109が構成されている場合(図2(b))、第1経路形成弁101に対し、上記と同様の指令がなされ、また、第2経路形成弁107が開放状態となり、第3経路形成弁109が閉鎖状態となるように指令がなされる。
【0064】
また、第2経路形成弁103および第3経路形成弁105の代わりに第4経路形成弁111を設けた構成とした場合(図2(c))、第1経路形成弁101に対し、上記と同様の指令がなされ、また、第4経路形成弁111に対し、排出路95および合流経路97の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされる。
【0065】
こうして、s120にて流通経路を形成させた後、コントローラ71は、循環ポンプ33を作動させることにより、形成された流通経路による湯水の流通を開始させる(s130)。上記s120では、ドレンタンク91に接続された排出路95から合流経路97を経て循環路31の下流側へと至る流通経路が形成されているため、こうして湯水の循環を開始させることにより、ドレンタンク91に貯留されたドレンが循環路31を経て排水口に向けて流通することになる(図4(a))。
【0066】
次いで、循環路31内にエアが混入したか否かを判断(s135)し、エアの混入が検知された場合(s135:YES)、後述のs150に移り、循環ポンプ33の駆動を停止する。なお、エアの混入については、水流スイッチ35のオンオフ状態を検知し、オフ状態になった場合に循環路35内にエアが混入したと判断する方法、循環ポンプ33の負荷を検知し、負荷がある一定以下になった際に、エアが混入したと判断する方法等が挙げられる。
【0067】
エアの混入が認められない場合(s135:NO)、湯水の流通を終了させるべきタイミングになったか否かを確認する(s140)。
上記s130にて開始した湯水の流通を終了させるべきタイミングとなるまで待機状態となる(s140:NO)。
【0068】
本実施形態では、水位センサ99からの出力結果に基づくドレンの量が、0より大きい所定の下限値に到達したことをもって、湯水の流通を終了させるべきタイミングになったと判定される。この「下限値」は、排出路95から循環ポンプ33に至る流通経路にわたってドレンが十分に残っており、かつ、ドレンタンク91に貯留されたドレンの量が最も少なくなる量として、あらかじめ定められたものである。なお、このタイミングになったことの判定は、ドレンの量だけではなく、例えば、既定の時刻になったこと、あらかじめ定められた時間が経過したこと、熱交換器13,15,37への加熱などに基づく動作履歴が所定の内容となったこと、などに基づいて行うこととしてもよい。
【0069】
このs140にて、湯水の流通を終了させるべきタイミングになったと判定された場合(s140:YES)、コントローラ71は、循環ポンプ33の動作を停止させることにより、上記s120にて形成された流通経路による湯水の流通を終了させる(s150)。
【0070】
次に、コントローラ71は、ドレンの流通経路を洗浄する(s220)。ここでは、流入路93から合流経路97を経て循環路31に至り、循環路31における下流側(循環ポンプ31、熱交換器37側)へと続く流通経路を経路形成部100に形成させた状態とするために、経路形成部100に対する指令がなされることとなる。ただし、この時点で、上記流通経路が形成されている場合には、経路形成部100に対して何らの指令もなされない。
【0071】
なお、経路形成部100に対する指令は、上記s120と同様、経路形成部100の構成により異なる。例えば、逆止弁により第2経路形成弁103および第3経路形成弁105が構成されている場合(図2(a))、第1経路形成弁101に対し、合流経路97および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令のみがなされる。
【0072】
また、開閉式の弁体により第2経路形成弁107および第3経路形成弁109が構成されている場合(図2(b))、第1経路形成弁101に対し、上記と同様の指令がなされ、また、第2経路形成弁107が閉鎖状態となり、第3経路形成弁109が開放状態となるように指令がなされる。
【0073】
また、第2経路形成弁103および第3経路形成弁105の代わりに第4経路形成弁111を設けた構成とした場合(図2(c))、第1経路形成弁101に対し、上記と同様の指令がなされ、また、第4経路形成弁111に対し、流入路93および合流経路97の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされる。
【0074】
こうして、上記s220にて流通経路を形成させた後、コントローラ71は、通水弁53に通水路51を開放させることにより、形成された流通経路への通水を開始させる(s230)。上記s220において、循環路31の下流側からドレンタンク91に接続された流入路93へと至る流通経路が形成されているため、このs230にて通水を開始させることにより、循環路31における下流側だけでなく、流入路93および合流経路97を経てドレンタンク91側へ向けて湯水が流通することになる(図4(b))。
【0075】
上記s230にて開始した通水を終了させるべきタイミングとなるまで待機状態となる(s240:NO)。
本実施形態では、水位センサ99からの出力結果に基づく洗浄水の量が所定の値以上になったことをもって通水を終了させるべきタイミングになったと判定される。この「所定の値」は、循環路31、合流経路97および流入路93が十分に洗浄された場合にドレンタンク91に流入すると想定される湯水の量として、あらかじめ定められたものである。なお、このタイミングになったことの判定は、洗浄水の量だけではなく、例えば、あらかじめ定められた時間が経過したこと、に基づいて行うこととしてもよい。
【0076】
このs240にて、通水を終了させるべきタイミングになったと判定された場合(s240:YES)、コントローラ71は、通水弁53に通水路51を閉鎖させることにより、上記s220にて形成された流通経路への通水を終了させる(s250)。
【0077】
こうして、通水が終了されたら、各弁体への指令が初期状態に戻された後(s310)、プロセスがs110へと戻り、以降、s110〜s310が繰り返される。
(1−3)作用,効果
上記実施形態における給湯器であれば、排出路95から合流経路97を経て循環路31の下流側へと至る流通経路を形成させた状態で、循環ポンプ33を作動させることにより、ドレンタンク91から合流経路97を介して循環路31へとドレンタンク91に貯留されたドレンを流通させ、循環路31の下流側から排出することができる(図4(a)参照)。
【0078】
そして、流入路93から合流経路97を経て循環路31に至り、循環路31における下流側(循環ポンプ31、熱交換器37側)へと続く流通経路を形成させた状態で、通水路51からの通水を行うことにより、循環路31から合流経路97を介してドレンタンク91へと湯水を流通させることができる。こうして通水路51から通水される湯水は、一部が循環路31の下流側へ向かい、それ以外が循環路31の上流側から合流経路97および流入路93を経てドレンタンク91へと向かうことになるため(図4(b)参照)、この湯水により、循環路31においてドレンタンク91に貯留されていたドレンが通過した経路をそれぞれ適切に洗浄することができる。また、経路の洗浄完了時に、循環路31に直接接続される合流経路97内を清潔な湯水で満たすことができる。このため、合流経路97および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路が形成された状態から、循環路31における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路が形成される状態へ移行する間に、ドレン貯留部9内のドレンが循環路内に混入するのを確実に防止することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、ドレンの排出を、ドレンタンク91に貯留されたドレンの量が上限に達したタイミングで開始することができる(図3におけるs110で「YES」)。
【0080】
また、上記実施形態では、経路の洗浄が、ドレンタンク91に貯留されたドレン量が0より大きい下限値となったタイミングで開始されることから(図3におけるs140で「YES」)、合流経路97を介して循環路31へと至る一部経路に、下限値に応じた量のドレン(または湯水)が残された状態で経路の洗浄を開始させることができることになる。
【0081】
そのため、上記実施形態のように、下限値として、循環路31において循環ポンプ33の設けられた経路までドレンが満たされたままとするのに充分な値を設定しておけば、再度、循環ポンプ33を作動させるときに、循環ポンプ33による適切な湯水の循環が循環路31中の空気に妨げられる不具合(いわゆるエア噛みや異音)を防止することができる。
【0082】
なお、センサ99が故障した場合等、エアが循環路31内に混入する可能性は絶無ではない(s140:Yes)。しかし、仮にエアが混入したとしても、経路の洗浄時に通水路51から供給される湯水により、当該エアを、循環路31の下流側を経て図示されない排出口を介して、あるいは合流経路97を経てドレンタンク91を介して外部に排出し、循環路31における循環ポンプ33の周囲を湯水で満たすことができる。
【0083】
また、上記実施形態では、第1経路形成弁101および第2経路形成弁103の機能により、流入路93および排出路95それぞれと循環路31との合流経路97を介した流通経路を形成したうえで、経路洗浄を含むドレン排出を実現することができる。
【0084】
特に、排出路95に設けられた第2経路形成弁103により、合流経路97からドレンタンクに向かう湯水の流通が阻止されるため、排出路95の開閉制御を行うことなく、湯水の意図しない逆流を防止することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、流入路93に設けられた第3経路形成弁105により、ドレンタンク91から合流経路97に向かうドレンの流通が阻止されるため、流入路93の開閉制御を行うことなく、ドレンの意図しない逆流を防止することができる。
(1−4)変形例
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0086】
例えば、上記実施形態においては、循環路31から合流経路97を介してドレンタンク91へと湯水を流通させる経路の洗浄によって、ドレンタンク91に一定量の湯水が貯留されることとなるため、この湯水を排出させることとしてもよい。
【0087】
具体的には、図5に示すように、s220〜s250が行われた後で、再度、s120〜s150が行われるようにするとよい。
このように構成すると、後で行われる経路洗浄によりドレンタンク91に貯留された湯水を排出することにより、以降に発生しうるドレンを貯留できる容量を確保することができる。
【0088】
なお、この構成では、経路の洗浄によりドレンタンクに貯留された湯水が排出された後、再度、経路の洗浄が行われることとしてもよく、また、湯水の排出と経路の洗浄とからなるサイクルを、その動作時間を徐々に短くしながら複数回繰り返すことにより、最終的にドレンタンク91に貯留される湯水の量を一定未満にし、ドレンの貯留領域を確保することとしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、流入路93がドレンタンク91の上部に接続されている構成を例示した。しかし、この流入路93は、ドレンタンク91の底部に接続されたものとしてもよい。この場合、図6(a),(b)に示すように、第3経路形成弁105,109の代わりに、流入路93の一部区間を他よりも小径の絞り部93aを形成した構成とすると、弁体を削減しつつ同様の作用効果を得ることができるため好適である。
(2)第2実施形態
(2−1)全体構成
次に、第2実施形態に係る給湯器について説明する。
【0090】
第2実施形態に係る給湯器は、上記実施形態と同様、給湯部1と、保温部3と、接続部5と、制御部7と、ドレン貯留部9と、を備えており、一部構成が上記実施形態と異なっているだけのものであるため、この相違点についてのみ詳細に説明する。
【0091】
また、ドレン貯留部9は、図7に示すように、ドレンタンク91内部における底面から所定高さ離れた位置に、流入路93における端部開口が接続されている。
ドレン貯留部9における経路形成部100は、排出路95から連通部を経て循環路31の下流側へと至る流通経路と、循環路31の下流側から連通部を経て流入路93へと至る流通経路とを、図7(a)に示すように、第1経路形成弁101と、第2経路形成弁103と、とにより、形成可能に構成されている。
【0092】
具体的にいえば、第1経路形成弁101は、上記実施形態と同様の弁体(三方弁)であり、第2経路形成弁103は、排出路95において合流経路97からドレンタンク91へと向かう湯水の流通を阻止する弁体(逆止弁)である。
【0093】
なお、経路形成部100については、上述した構成の他、例えば、図7(b)に示すように、排出路95を閉鎖および開放する開閉式の弁体107を第2経路形成弁として設けた構成としてもよい。この構成では、初期状態として、第2経路形成弁107を閉鎖した状態としておけばよい。
(2−2)ドレン排出制御
本実施形態におけるドレン排出制御では、上記実施形態と同様に、s110〜s130が行われた後、s140で湯水流通の終了タイミングとなるまで待機状態となるが(s140:NO)、ここでは、水流スイッチ35がオフ状態となり、循環ポンプ33による適切な湯水の循環が循環路31中の空気に妨げられる程度まで循環路31における水流が少なくなった(いわゆるエア噛みが発生した)ことをもって、湯水流通の終了タイミングになったものと判定される。つまり、本実施形態においては、ドレン量が下限値に到達したことを検出する水位センサ99は必要としない(図7における破線部分参照)。
【0094】
なお、ここでは、循環ポンプ33がエア噛みを検知して動作を自動停止させる機能を有している場合には、この機能により動作が自動停止したことをもって、湯水流通の終了タイミングになったものと判定すればよい。この場合、その後のs150は行われない。
【0095】
上記s140で湯水の流通を終了させるべきタイミングになったと判定された場合(s140:YES)、コントローラ71は、循環ポンプ33の動作を停止させた後(s150)、流通経路を洗浄すべく流通経路を形成する(s220)。ここでは、循環路31の下流側から流入路93へと至る流通経路を経路形成部100に形成させた状態とするために、経路形成部100に対する指令がなされることとなる。
【0096】
なお、経路形成部100に対する指令は、上記実施形態と同様、経路形成部100の構成により異なる。例えば、逆止弁により第2経路形成弁103が構成されている場合(図7(a))、第1経路形成弁101に対し、合流経路97および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令のみがなされる。
【0097】
また、開閉式の弁体により第2経路形成弁107が構成されている場合(図7(b))、第1経路形成弁101に対し、上記と同様の指令がなされ、また、第2経路形成弁107が閉鎖状態となるように指令がなされる。
【0098】
こうして、上記s220にて流通経路を形成させた後、上記実施形態と同様、s230〜s310が行われ、以降、s110〜s310が繰り返される。
(2−3)作用,効果
上記実施形態では、ドレンタンク91内部における底面から所定高さ離れた位置に、流入路93における端部開口が接続されているため、ドレンタンク91に貯留されたドレンの液面が、開口端部より下方に位置するまでドレン量が減少すると、この開口端部からドレンタンク91内部の空気が流入路93を介して合流経路97に向かうことになる。このとき、循環ポンプ33が作動していることから、合流経路97に到達した空気が水流スイッチ35に到達する結果、この空気によるエア噛みを水流スイッチ35により検知して循環ポンプ33を停止させ、経路の洗浄を開始させることができる。
【0099】
なお、循環路に混入したエアについては、経路の洗浄の際に通水路51から供給される湯水により循環路31から排除される。したがって、循環路31に混入したエアが、循環ポンプ33の駆動に悪影響を及ぼすことはない。
【0100】
このようなことから、本実施形態では、流入路93における端部開口の接続位置を、循環ポンプ33を停止させるべきドレン量に応じた位置とすることにより、ドレンタンク91に貯留されたドレン量が所望の下限値となったタイミングで意図的にエア噛みを引き起こして循環ポンプ33を停止させ、経路の洗浄を開始させることができる。
(2−4)変形例
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0101】
例えば、上記実施形態では、ドレンタンク91内部における底面から所定高さ離れた位置に流入路93における端部開口が接続されている構成を例示した。しかし、この流入路93は、この例のような接続状態に限らず、例えば、図8(a),(b)に示すように、ドレンタンク91内部にまで侵入しており、流入路93の内外を連通する開口(ここでは開口端面)が、少なくともドレンタンク91内部における底面から所定高さ離れた位置に形成されている、といった構成としてもよい。
【0102】
この構成においても、ドレンタンク91内部における底面から所定高さ離れた位置に、ドレンタンク91内部と流入路93とを連通する開口が形成されているため、ドレンタンク91に貯留されたドレンの液面が、その開口より下方に位置するまでドレン量が減少すると、この開口からドレンタンク91内部の空気が流入路を介して合流経路97に向かうことになる。これにより、その空気によるエア噛みを水流スイッチ35により検知して循環ポンプ33を停止させることができる。つまり、流入路93における開口の位置を、循環ポンプ33を停止させるべきドレン量に応じた位置とすることにより、ドレンタンク91に貯留されたドレン量が所望の下限値となったタイミングで循環ポンプ33を停止させ、経路の洗浄を開始させることができるようになる。
【0103】
したがって、ドレンの下限値を検出するための電極等が不要となり、装置構成の簡素化を図ることができる。また、ドレンの排出をドレン貯留量でなく、所定の時刻になったこと、あらかじめ定められた時間が経過したこと、利用者の操作等で、ドレンの貯留量によらずに開始するように構成すれば、上限値を検出するための構成についても不要となるので、装置構成の更なる簡素化を図ることができる。
(3)その他の実施形態
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0104】
例えば、上記各実施形態においては、流入路93および排出路95が合流経路97を介して循環路31に連通されている構成を例示した。しかし、流入路93および排出路95は、合流経路97を介することなく、循環路31に接続された構成としてもよい。
【0105】
この場合、例えば、図9(a)に示すように、第1経路形成弁101と同様の弁体(つまり三方弁)である第5経路形成弁113により、循環路31における第1経路形成弁101と浴槽210との間に流入路93を連通させたうえで、ドレン排出制御を以下のように行うように構成するとよい。
【0106】
このドレン排出制御では、まず、s120にてドレンを排出すべく流通経路を形成するにあたり、第1経路形成弁101に対して、排出路95および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされ、第5経路形成弁113に対して、循環路31における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされる。
【0107】
そして、s220にて経路を洗浄すべく流通経路を形成するにあたり、第1経路形成弁101に対して、循環路31における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされ、第5経路形成弁113に対して、流入路93および循環路31における下流側の一方から他方へと至る流通経路を形成すべき指令がなされる。
【0108】
また、上記各実施形態においては、流入路93および排出路95がそれぞれ別の経路としてドレンタンク91に接続された構成を例示した。しかし、これら流入路93および排出路95は、一部区間を共通する経路となるように構成してもよい。
【0109】
具体的な例としては、図9(b),(c)に示すように、流入路93においてドレンタンク91に接続される側の区間を、排出路95と共通する経路として構成することが考えられ、この場合、第3経路形成弁105,109の代わりに、流入路93の一部区間を他よりも小径の絞り部93aを形成した構成とすると、弁体を削減しつつ同様の作用効果を得ることができるため好適である。
【0110】
また、上記各実施形態においては、ドレン貯留部9のドレンタンク91が給湯部1における副熱交換器13から発生するドレンが回収されてドレンタンク91に貯留される構成を例示したが、保温部3における熱交換器37として潜熱を回収するものが採用されている場合には、ドレンタンク91に、保温部3側の熱交換器37から発生するドレンも回収して貯留されるように構成してもよい。
【0111】
また、上記各実施形態においては、ドレン貯留部9およびドレン排出制御(のプログラム)があらかじめ給湯器に実装された構成を例示したが、これらは、別体の装置に実装されたもの(本発明におけるドレン排出装置)を給湯器に接続することで、本発明における給湯器が構成されるものとしてもよい。
【0112】
また、上記各実施形態においては、循環路31に設けられた排水切替弁41により、循環路31を流通してきたドレン(または湯水)が排出される構成を例示したが、排水切替弁41への指令を行うことなく、浴槽210に設けられている排水口から排出するようにしてもよい。
【0113】
また、上記各実施形態においては、ドレン貯留部9が予め組み込まれた給湯器について説明したが、既存の給湯器にドレン貯留部を後付けし、該給湯器のコントローラあるいは別体のコントローラにドレン貯留部の制御プログラムを組み込んだものであっても、上記各実施形態と同様の作用効果を奏し得るのは言うまでもない。
(4)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、ドレン貯留部9およびコントローラ71が本発明におけるドレン排出装置である。
【0114】
また、ドレン排出制御におけるs110および水位センサ99が本発明におけるドレン検出手段であり、ドレン排出制御におけるs120〜s150が本発明における排出制御手段であり、同s220〜s250が本発明における洗浄制御手段である。
【符号の説明】
【0115】
1…給湯部、3…保温部、5…接続部、7…制御部、9…ドレン貯留部、11…給湯路、13…副熱交換器、15…主熱交換器、17…ガスバーナ、19…中和器、25…ストレーナ、27…水量センサ、29…水量制御弁、31…循環路、33…循環ポンプ、35…水流スイッチ、37…熱交換器、39…ガスバーナ、41…排水切替弁、51…通水路、53…通水弁、71…コントローラ、73…台所リモコン、75…浴室リモコン、91…ドレンタンク、93…流入路、93a…絞り部、95…排出路、97…合流経路、99…水位センサ、100…経路形成部、101…第1経路形成弁、103…第2経路形成弁、105…第3経路形成弁、107…第2経路形成弁、109…第3経路形成弁、111…第4経路形成弁、113…第5経路形成弁、210…浴槽、220…給湯栓、A…共有区間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から給水される水を供給するための経路であり、該経路の一部分に潜熱を回収する熱交換器を備えた給湯路と、
通水弁を介して前記給湯路から供給された湯水を浴槽側に通水させる通水路と、
前記浴槽に貯留された湯水を循環ポンプで循環させて前記浴槽へと戻す経路であり、該経路の一部分に熱交換器を備えると共に、該経路における一部の区間が前記通水路からの湯水を前記浴槽へと導く共有区間となっている循環路と、
前記熱交換器から発生するドレンを貯留するドレンタンクと、
を備えた給湯器に備えられるドレン排出装置であって、
前記ドレンタンクへと湯水を流入させるための流入路、および、前記ドレンタンクからドレンを排出させるための排出路それぞれを前記循環路に連通させ、該連通部における湯水の流通方向を切り替えることにより、該連通部を介した流通経路を形成する経路形成部と、
前記通水弁により前記通水路を閉鎖させ、かつ、前記排出路から前記連通部を経て前記循環路の下流側へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留されたドレンを流通させる排出制御手段と、
前記連通部における前記循環路の下流側から前記流入路へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記通水弁により前記通水路を開放させて通水を行うことにより、前記循環路の下流側に向けて湯水を流通させると共に、前記循環路から前記連通部を介して前記ドレンタンクへと、湯水を流通させる洗浄制御手段と、を備えている
ことを特徴とするドレン排出装置。
【請求項2】
前記ドレンタンクに貯留されたドレンの量を検出するドレン検出手段、を備え、
前記排出制御手段は、前記ドレン検出手段により検出されるドレンの量が所定の上限に到達した際に、前記ドレンタンクから前記循環路へのドレンの流通を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン排出装置。
【請求項3】
前記排出制御手段は、前記ドレンタンクに貯留されたドレンの量が0より大きい値として規定された下限となるまでの間、前記ドレンタンクから前記循環路へとドレンを流通させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドレン排出装置。
【請求項4】
前記ドレンタンクには、前記流入路における端部開口が、該ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のドレン排出装置。
【請求項5】
前記流入路は、前記ドレンタンク内部にまで侵入しており、当該流入路を内外に連通する開口が、少なくとも該ドレンタンク内部における底面から所定高さ離れた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のドレン排出装置。
【請求項6】
前記排出制御手段は、前記洗浄制御手段による湯水の流通後、前記通水弁により前記通水路を閉鎖させ、かつ、前記ドレンタンクから前記連通部を経て前記循環路の下流側へと至る流通経路を前記経路形成部に形成させた状態で、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留された湯水を流通させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のドレン排出装置。
【請求項7】
前記流入路および前記排出路それぞれと前記循環路との連通部は、前記流入路および前記排出路それぞれを合流させて前記循環路に到達させる合流経路を有し、
前記経路形成部は、少なくとも、第1経路形成弁と、第2経路形成弁と、を有し、
前記第1経路形成弁は、前記循環路と前記合流経路との連通部を、少なくとも、前記循環路における上流側および下流側の一方から他方へと至る流通経路、前記合流経路および前記循環路における下流側の一方から他方へと至る流通経路、のいずれかへと切り替える弁体であり、
前記第2経路形成弁は、前記排出路において、前記合流経路から前記ドレンタンクへと向かう湯水の流通を阻止する弁体であり、
前記排出制御手段は、前記通水弁により前記通水路を閉鎖させた状態で、前記第1経路形成弁により、前記循環路と前記合流経路との連通部を、前記合流経路および前記循環路における下流側の一方から他方へと至る流通経路に切り替えさせた後、前記循環ポンプを作動させることにより、前記ドレンタンクから前記排出路および前記連通部を介して前記循環路へと、該ドレンタンクに貯留されたドレンを流通させて、
前記洗浄制御手段は、前記通水弁により前記通水路を開放させて通水を行うことにより、前記循環路から前記連通部および前記流入路を介して前記ドレンタンクへと湯水を流通させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のドレン排出装置。
【請求項8】
前記経路形成部は、少なくとも、前記第1経路形成弁と、前記第2経路形成弁と、第3経路形成弁と、を有し、
前記第3経路形成弁は、前記流入路において、前記ドレンタンクから前記合流経路へと向かう湯水の流通を阻止する弁体である
ことを特徴とする請求項7に記載のドレン排出装置。
【請求項9】
外部から給水される水を供給するための経路であり、該経路の一部分に潜熱を回収する熱交換器を備えた給湯路と、
通水弁を介して前記給湯路から供給された湯水を浴槽側に通水させる通水路と、
前記浴槽に貯留された湯水を循環ポンプで循環させて前記浴槽へと戻す経路であり、該経路の一部分に熱交換器を備えると共に、該経路における一部の区間が前記通水路からの湯水を前記浴槽へと導く共有区間となっている循環路と、
前記交換器から発生するドレンを貯留するドレンタンクと、
請求項1から8のいずれかに記載のドレン排出装置と、
を備えることを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−154530(P2012−154530A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12792(P2011−12792)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000112015)株式会社パロマ (298)
【Fターム(参考)】