ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ
【課題】 中央開口を有するドーナツ形、円形平板状振動板の全面駆動を図って、所望の周波数帯域全般にわたり分割振動の共振モードにおける節円、節直径の発生を抑制し、音圧周波数特性をフルレンジで平滑化し得る薄型軽量の、ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカの提供。
【解決手段】 ドーナツ形振動板の外径より小径の同心円上に等間隔で環状振動領域に配置した複数の小型円形のボイスコイルを振動板の片面に取りつけ、各ボイスコイルを挿入し得る磁気ギャップを形成する薄型の複数の磁気回路を、エッジを介して振動板を保持するフレームの内面に取り付けてなり、同心円の半径は同心円の外側環状部分と内側環状部分との全ボイスコイルの配置密度が均等になる値に設定したドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【解決手段】 ドーナツ形振動板の外径より小径の同心円上に等間隔で環状振動領域に配置した複数の小型円形のボイスコイルを振動板の片面に取りつけ、各ボイスコイルを挿入し得る磁気ギャップを形成する薄型の複数の磁気回路を、エッジを介して振動板を保持するフレームの内面に取り付けてなり、同心円の半径は同心円の外側環状部分と内側環状部分との全ボイスコイルの配置密度が均等になる値に設定したドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ、特に、中央に円形開口を有する円形ドーナツ形振動板を用い、全体を薄型としたフルレンジ用の円形平板型スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型のスピーカに用いる振動板の主流をなすのは方形または楕円形の振動板であり、これら非円形振動板を全面駆動するためのボイスコイルと磁気回路とによる高効率駆動方式を、スピーカの構成に適合させつつ達成するための様々な試みと提案がなされてきたが、円形ドーナツ形振動板の全面駆動方式についてはこれまで確たる提案はなされていない。
【0003】
円形平板状振動板の場合は中心部を含む振動板の全面がピストン振動するように駆動することを理想とするが、従来採用し得る駆動方式として、環状のボイスコイルを円形平板状振動板に同心に取り付けて駆動し、周波数を上昇させた場合、振動板の分割振動による円形の振動節、即ち節円が生じた共振モードの周波数時点で振動板のピストン振動は消滅する。この共振モードは比較的に低い周波数で生じるため、この駆動方式はフルレンジを意図するスピーカには不適格である。
【0004】
円形平板状振動板におけるこのような節円発生に対処するため、従来行なわれる駆動方式として挙げられるスピーカにおいては、ボイスコイルを担持するボビンと内周端で結合したドライブコーンの外周端を円形平板状振動板の第1次共振で生じる節円の位置に結合し磁気回路と組合せて振動板を駆動する。この場合第1次共振は除去されてその節円は発生しないが、更に周波数をあげたときに第2次共振が生じ、それに伴う節円には対処できない。つまり、第1次共振の節円位置における駆動では低周波帯域から第2次共振が生じる周波数までは再生可能でもそれ以上の帯域での再生は不能である。
【0005】
この課題への対策としての一提案によれば、それぞれ円形平板状振動板の第1次共振と第2次共振により生じる2個の節円位置に一端を固定した大口径と小口径の2個のコイルボビンの他端にそれぞれボイスコイルを設け、これらボイスコイルを、放射方向に異方性を持つ磁石を複合化して形成した磁気回路の大口径と小口径の2個の磁気ギャップ内に配置し、第1次共振と第2次共振の2個の節円位置において円形平板状振動板は駆動される。
【特許文献1】特開平4−115698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円形平板状振動板の共振モードで発生するのは、しかし、節円のみではなく、周波数に応じて振動板の直径方向に生じる節直径も存在し、特許文献1はこの節直径についての対策を何等示さない。しかも、節円のみの抑制のために必要とする2個の口径の異なる環状の磁気ギャップ形成のためには、振動板として巨大な寸法と重量の磁気回路を必要とするため、フレームを含む周辺構造も大型化され、スピーカの小型化、特に薄型化と軽量化の面で不利となるばかりでなく、製造コストの面でも著しく不利となる。
【0007】
更に、円形平板状振動板において同心状の中央開口を設け、いわゆるドーナツ形振動板として汎用のフルレンジにおいて全面駆動を実施可能であれば、中央開口にツイータを組込むことによって小型の円形平板型スピーカの再生範囲を高音域に広げることが可能となるが、ドーナツ形振動板の全面駆動のために特許文献1が示唆するのは大口径の円形ボイスコイルとこれに適合する大口径磁気回路の使用であり、上記と同様の不利を免れない。
【0008】
従って本発明は同心状中央開口を有するドーナツ形円形平板状振動板を用いたスピーカの汎用の低音域から高音域まで、それぞれ小型小径のボイスコイルと磁気回路とにより振動板を駆動して、ほぼ全音域において変化する分割振動の節円ならびに節直径となる部分を高効率で振動させ、それによって共振モードを抑制し、振動板の全面駆動をフルレンジにおいて可能とする円形平板型スピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の課題解決手段は、ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカが、外周縁および中央開口を区画する内周縁の間の環状部分を振動領域とするドーナツ形円形平板状の振動板と、振動板の振動領域の片面に担持される複数の小型円形のボイスコイルと、それぞれボイスコイルの各々と対峙する磁気ギャップを含んで振動板の片面に対面する複数の小型円形の磁気回路と、振動板の内外両周縁をエッジを介して内外両周部で保持すると共に磁気回路を内面部に担持するフレームとでなり、ボイスコイルはその中心を振動板の振動領域内の同心円上に等間隔で位置させた奇数個でなり、同心円はその内側と外側の振動領域の面積がほぼ等しくなる半径に設定されることを特徴とする。
本発明による第2の課題解決手段は、同心円上の奇数個のボイスコイルが中心角72度の等間隔で配置した5個であることを特徴とする。
本発明による第3の課題解決手段は、同心円の半径を、その外側と内側の振動領域の面積がほぼ等しくなる値の95〜100%とすることを特徴とする。
【0010】
本発明による第1の課題解決手段の作用は、ドーナツ形振動板の環状振動領域内の同心円上に等間隔で配置した奇数個の小型円形のボイスコイルが、ドーナツ形振動板の汎用周波数帯域において固有振動で生じ得る分割振動の共振モードによる単一の節円と複数本の節直径の発生防止に有効な駆動を行い、同心円の半径を、同心円の内側と外側の環状部分の面積がほぼ等しくなる値に設定することによって両環状部分におけるボイスコイルの配置密度を均等化する。
本発明による第2の課題解決手段の作用は、同心円上のボイスコイルを等間隔の5個に設定することにより、ドーナツ形振動板の高周波帯域で生じる共振モードにおける5本の節直径部分の駆動を可能とする。
本発明による第3の課題解決手段の作用は、ドーナツ形振動板の同心円の半径を、その内外の面積をほぼ均等とする値の95〜100%とすることにより、低周波帯域で最初に生じる節円の発生を有効に抑制する。
【発明の効果】
【0011】
円形平板型スピーカに用いるドーナツ形円形平板状の振動板を約1〜15kHzの汎用周波数帯域において全面振動させるためには、振動周波数と共に変化する分割振動の共振モードにおける節円と節直径を実質的に全て除去しうる位置において、それぞれ小型円形の複数のボイスコイルを均等密度で分散配置するのが有利であるとの観点から、汎用周波数帯域における共振モードの最少の節円と最多数の節直径の数とに対応しうる環状振動領域内の同心円上の等間隔位置に、複数の、望ましくは奇数の小型円形ボイスコイルを配置することにより、汎用周波数帯域において節円と節直径の発生を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、図3から図10を参照して、一般に振動板材として用いられるヤング率2GPa、比重0.27gr/cm3の材料を直径140mm、中央開口の直径40mm、厚さ4mmのドーナツ形円形平板状振動板とし、これを約1600Hzから15kHzまで変化する周波数で振動させた場合の固有振動モードに基づき、周波数上昇と共に変化する分割振動の共振モードと共に変わる振動節のパターンを考察する。特に、図4(2807Hz)では1つの円環状の節すなわち節円a(モノクロームの図では環状振動領域のほぼ中央部の円形濃色部分)が見られ、図6(6078Hz)では1つの節円と1つの直径方向の節すなわち節直径bが、図8(10963Hz)では1つの節円aと2つの節直径bが見られるに対し、図3(1661Hz)、図5(4120Hz)、図7(7266Hz)、図9(11091Hz)と図10(15579Hz)ではそれぞれ2〜6本の節直径bが現れる。
【0013】
ここで注目されるのは図9と図10の分割共振モードで、振動はそれぞれ5本と6本の節直径bにより放射方向に10個と12個の区分に分割され、明確な振動はこれら10または12区分の外周部分にしか見られず、各節直径bの内周側を繋ぐ内周部分に振動は見られない。従ってドーナツ形円形平板状の振動板の汎用周波数帯域のフルレンジにおいて全面振動を得るためには、従来の大口径のボイスコイルと大口径の磁気回路以外の方式で、少なくとも図9(11091Hz)に見られる5本の節直径の発生直前までの考慮が有効と考えられる。
【実施例1】
【0014】
図1および2は本発明のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカの実施例を示し、図1はこの円形平板型スピーカ10に用いるドーナツ形円形平板状の振動板11の内面側における平面図、図2は図1のA−A線に沿う円形平板型スピーカ10の断面図である。図において例えば上記したようなヤング率と比重を持つ合成樹脂材やパルプ材でなり、中央に中央開口12を有する環状の、いわゆるドーナツ形の振動板11は、例えば金属板で断面を浅いU字形にした円盤状皿型のフレーム13の外周壁13aと中央突台13bに、弾性材でなる環状の外周エッジ14と円形の中央エッジ15を介して弾性的に支持される。本発明の特徴として振動板11の内面側に複数の小径円筒状のボイスコイルV1〜Vnを取り付け、フレーム13の内底面に、それぞれボイスコイルV1〜Vnの各々を挿入し得る直径の磁気ギャップを形成する複数の小径薄型の磁気回路M1〜MnをボイスコイルV1〜Vnに対峙させて取り付ける。
【0015】
本実施例では、図1に示すように、ドーナツ形の振動板11を放射方向に中心各72度で5等分する5本の放射半径線16と、後述するようにして設定される半径Rの同心円17との5個の交点に中心を位置させた5個のボイスコイルV1〜V5を振動板11の内面に取り付ける。これらボイスコイルV1〜V5は、望ましくは円筒状に巻回したものを一端縁において接着剤により振動板表面に直接接着することが、スピーカ10の薄型化および軽量化と再生効率とを両立させる意味において有利であるが、コイルボビンを介して取りつける構成としても良い。また、これらボイスコイルV1〜V5の全てを同じ径とすることが有利であるとともに、振動板11の直径の実質的に10分の1の径で充分有効である。
【0016】
磁気回路M1〜M5も同様に、振動板11の同心円17上の5個のボイスコイルV1〜V5に対応する磁気回路M1〜M5(図2ではM2とM5のみ示される)がフレーム13の内底面に固定される。磁気回路M1〜M5として図2に示すのは、円盤型磁石をセンターポールピースと皿型ヨークで挟持してポールピース外周面とヨーク周壁内周面との間に環状の磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ内にボイスコイルを挿入する型のものであるが、これに限定されることなく、円形小型のボイスコイルと組み合わせてほぼ同等の駆動効率と空間同率を達成するものであれば他の型のものでよい。
【0017】
ボイスコイルV1〜V5と磁気回路M1〜M5のそれぞれの組合せを配置する5本の放射半径線16は、図9について前述した5本の節直径bの半径部分に相当し、固有振動パターンは回転移動するとしても節直径の間隔は変わらないから、これら5個の固定位置におけるボイスコイルV1〜V5による振動板11の駆動は、5本の節直径において振動板を駆動することに相当する。従って通常は高音域、特に11kHz付近で発生するピークディップの直前までが抑制される。また、この5本の節直径駆動は低音域から高音域までの他の周波数における少数の節直径発生の抑制にも有効である。
【0018】
ボイスコイルの数を5個とせず、6個とすれば図10の節直径6本の共振モードに対処できるのではないかと見られるが、実際には、ボイスコイルの数を偶数とした場合には、その数の半分の節直径の共振モード、つまり図5のモード発生時点で振動パターンに破綻を来たすことが判明している。4個の場合には従って図3の時点で既に破綻し、低周波帯域での節直径発生すら抑制できない。従ってボイスコイルの数は奇数とすることが有利であり、特に汎用周波数帯域では5個とすることが有効である。
【0019】
同心円17上に等間隔に配置する5個のボイスコイルV1〜V5の配置位置については、ドーナツ形振動板11の環状振動領域全面に対して配置密度が均等となることが望ましい。そのためには同心円17の内側と外側におけるボイスコイルV1〜V5の分布密度と、同心円の内外の振動板の面積比を一致させるように、振動板11内における同心円17の半径を設定すればよい。
【0020】
ボイスコイルの分布密度については、ドーナツ形振動板11の半径をRO、中央開口12の半径をr、同心円17の半径をRとすれば、同心円17の内側と外側の面積比は
πRO2−πR2=πR2−πr2 (1)
となり、この(1)式からROに対するRの割合を求めれば
R=√{(RO2+r2)/2} (2)
となる。これに、図3ないし図10の固有振動パターンを示すドーナツ型振動板11の半径RO=70mm、中央開口12の半径r=20mmを当てはめると、同心円17の半径Rは約51.5mmとなる。この半径Rの同心円上の中心角72度の等間隔位置に中心を合わせて5個のボイスコイルV1〜V5を載置し、磁気駆動すれば、環状振動領域前面に対してほぼ均等な駆動を行なえることになる。
【0021】
一方、同心円17の算出値約51.5mmと、図4の2807Hzで最初に生じる節円aの半径の実測値約48.9mmとの関連を考察すると、応力解析の面では同心円の内側は外側に比して直径に対する厚さの比率が増し、見かけの剛性が上がるため、この周波数での固有振動では節円aは算出同心円よりやや内側に、つまり、約95%の半径位置に生じることになる。したがって、同心円17は上記の式(1)、(2)で算出した半径の95〜100%の値に設定すれば、汎用周波数帯域で生じる節円の抑制に有効となる。
【0022】
ドーナツ形円形平板状の振動板における分割振動の共振モードは、振動板材の寸法、弾性係数、比重等の条件に応じて変化し、図3〜図10に示すものと同じ周波数帯域であっても発生する節円や節直径の数と位置は同じではない。従って同心円上に配置するボイスコイルの数は、所望の周波数帯域において発生する最多の節直径の数に対応して選択され、この数に対応して同心円の半径ないし直径が算定される。
【0023】
実施例1ではドーナツ型円形平板状振動板について図3ないし図10に示す固有振動モードにおける振動節パターンを考察したが、実際のスピーカ組立の際には治具を用いてボイスコイルを振動板に設けた孔に挿入し、治具を孔から引き抜く必要があり、そのためボイスコイル設置位置において、ボイスコイルを担持するボビンの内径に相当する径の孔を振動板に設けねばならない。したがって実施例1の構成に対応して、上記の式(1)、(2)で算出した半径の同心円に沿う5個のボイスコイル設置位置に孔を設けた振動板による、同じ汎用周波数帯域で求めた固有振動モードを図11から図18に示す。ただし、この場合、孔の周壁面は円筒状のボイスコイルを直接もしくはボイスコイルを担持するボビンを接着することによって剛性を増すことを考慮し、通常の弾性振動板材に代えて厚さ0.1mmのアルミ箔を用いてある。
【0024】
図11はこのような5個の孔付きドーナツ形振動板における周波数961Hzで節直径2本のモード、図12は周波数2832Hzで節円1個のモード、図13は周波数3671Hzで節直径3本のモード、図14は周波数5910Hzで節円1個と節直径1本のモード、図15は周波数6690Hzで節直径4本のモード、図16は周波数9501Hzで5個の穴のない場合にはなかった5角形の節のモード、図17は周波数11916Hzで節直径5本のモード、図18は周波数13616Hzで節円2個のモードを示す。
【0025】
5個の孔付きドーナツ形振動板の固有振動モードにおいて、5本の節直径が生じるのは図17の11916Hzであり、図3から図10の孔無しドーナツ形振動板11において、5個のボイスコイル設置の場合に共振パターン抑制の限界となる図9の周波数11091Hzをやや上回っている。これは上記したように5個の孔の周壁へのコイルまたはボビンの接着による剛性の増加に起因することは明らかであり、5個のボイスコイルの同心円上等間隔配置による汎用周波数帯域での共振パターン抑制の高周波帯域における限界を上げることになり、また、5個のボイスコイル設置の有効性の証左でもある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による円形平板型スピーカに用いるドーナツ形円形平板上振動板の、ボイスコイルを取りつけた内面側の平面図。
【図2】図1の振動板を用いた、本発明のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカの、図1のA―A線に沿う断面図。
【図3】本発明において用いるものと同じドーナツ形円形平板状振動板材料であって未だボイスコイル取り付け用の孔を設けないものの1,661Hzの周波数における固有振動の分割振動共振モードを示す。
【図4】図3のものと同じ孔無し振動板材料の2,807Hzの周波数における個有振動の共振モードを示す。
【図5】図3のものと同じ孔無し振動板材料の4,120Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図6】図3のものと同じ孔無し振動板材料の6,078Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図7】図3のものと同じ孔無し振動板材料の7,266Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図8】図3のものと同じ孔無し振動板材料の10,963Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図9】図3のものと同じ孔無し振動板材料の11,091Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図10】図3のものと同じ孔無し振動板材料の15,579Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図11】本発明において用いるものと同じドーナツ形円形平板状振動板材料であって、ボイスコイル取り付け用に同心円上の5個の孔を設けたものの961Hzの周波数における固有振動共振モードを示す。
【図12】図11のものと同じ孔付き振動板材料の2,832Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図13】図11のものと同じ孔付き振動板材料の3,671Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図14】図11のものと同じ孔付き振動板材料の5,910Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図15】図11のものと同じ孔付き振動板材料の6,690Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図16】図11のものと同じ孔付き振動板材料の9,501Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図17】図11のものと同じ孔付き振動板材料の11,916Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図18】図11のものと同じ孔付き振動板材料の13,616Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【符号の説明】
【0027】
10 スピーカ
11 振動板
12 中央開口
13 フレーム
14 外周エッジ
15 中央エッジ
16 放射半径線
17 同心円
V1〜V5 ボイスコイル
M1〜M5 磁気回路
a 節円
b 節直径
【技術分野】
【0001】
この発明はドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ、特に、中央に円形開口を有する円形ドーナツ形振動板を用い、全体を薄型としたフルレンジ用の円形平板型スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型のスピーカに用いる振動板の主流をなすのは方形または楕円形の振動板であり、これら非円形振動板を全面駆動するためのボイスコイルと磁気回路とによる高効率駆動方式を、スピーカの構成に適合させつつ達成するための様々な試みと提案がなされてきたが、円形ドーナツ形振動板の全面駆動方式についてはこれまで確たる提案はなされていない。
【0003】
円形平板状振動板の場合は中心部を含む振動板の全面がピストン振動するように駆動することを理想とするが、従来採用し得る駆動方式として、環状のボイスコイルを円形平板状振動板に同心に取り付けて駆動し、周波数を上昇させた場合、振動板の分割振動による円形の振動節、即ち節円が生じた共振モードの周波数時点で振動板のピストン振動は消滅する。この共振モードは比較的に低い周波数で生じるため、この駆動方式はフルレンジを意図するスピーカには不適格である。
【0004】
円形平板状振動板におけるこのような節円発生に対処するため、従来行なわれる駆動方式として挙げられるスピーカにおいては、ボイスコイルを担持するボビンと内周端で結合したドライブコーンの外周端を円形平板状振動板の第1次共振で生じる節円の位置に結合し磁気回路と組合せて振動板を駆動する。この場合第1次共振は除去されてその節円は発生しないが、更に周波数をあげたときに第2次共振が生じ、それに伴う節円には対処できない。つまり、第1次共振の節円位置における駆動では低周波帯域から第2次共振が生じる周波数までは再生可能でもそれ以上の帯域での再生は不能である。
【0005】
この課題への対策としての一提案によれば、それぞれ円形平板状振動板の第1次共振と第2次共振により生じる2個の節円位置に一端を固定した大口径と小口径の2個のコイルボビンの他端にそれぞれボイスコイルを設け、これらボイスコイルを、放射方向に異方性を持つ磁石を複合化して形成した磁気回路の大口径と小口径の2個の磁気ギャップ内に配置し、第1次共振と第2次共振の2個の節円位置において円形平板状振動板は駆動される。
【特許文献1】特開平4−115698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円形平板状振動板の共振モードで発生するのは、しかし、節円のみではなく、周波数に応じて振動板の直径方向に生じる節直径も存在し、特許文献1はこの節直径についての対策を何等示さない。しかも、節円のみの抑制のために必要とする2個の口径の異なる環状の磁気ギャップ形成のためには、振動板として巨大な寸法と重量の磁気回路を必要とするため、フレームを含む周辺構造も大型化され、スピーカの小型化、特に薄型化と軽量化の面で不利となるばかりでなく、製造コストの面でも著しく不利となる。
【0007】
更に、円形平板状振動板において同心状の中央開口を設け、いわゆるドーナツ形振動板として汎用のフルレンジにおいて全面駆動を実施可能であれば、中央開口にツイータを組込むことによって小型の円形平板型スピーカの再生範囲を高音域に広げることが可能となるが、ドーナツ形振動板の全面駆動のために特許文献1が示唆するのは大口径の円形ボイスコイルとこれに適合する大口径磁気回路の使用であり、上記と同様の不利を免れない。
【0008】
従って本発明は同心状中央開口を有するドーナツ形円形平板状振動板を用いたスピーカの汎用の低音域から高音域まで、それぞれ小型小径のボイスコイルと磁気回路とにより振動板を駆動して、ほぼ全音域において変化する分割振動の節円ならびに節直径となる部分を高効率で振動させ、それによって共振モードを抑制し、振動板の全面駆動をフルレンジにおいて可能とする円形平板型スピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の課題解決手段は、ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカが、外周縁および中央開口を区画する内周縁の間の環状部分を振動領域とするドーナツ形円形平板状の振動板と、振動板の振動領域の片面に担持される複数の小型円形のボイスコイルと、それぞれボイスコイルの各々と対峙する磁気ギャップを含んで振動板の片面に対面する複数の小型円形の磁気回路と、振動板の内外両周縁をエッジを介して内外両周部で保持すると共に磁気回路を内面部に担持するフレームとでなり、ボイスコイルはその中心を振動板の振動領域内の同心円上に等間隔で位置させた奇数個でなり、同心円はその内側と外側の振動領域の面積がほぼ等しくなる半径に設定されることを特徴とする。
本発明による第2の課題解決手段は、同心円上の奇数個のボイスコイルが中心角72度の等間隔で配置した5個であることを特徴とする。
本発明による第3の課題解決手段は、同心円の半径を、その外側と内側の振動領域の面積がほぼ等しくなる値の95〜100%とすることを特徴とする。
【0010】
本発明による第1の課題解決手段の作用は、ドーナツ形振動板の環状振動領域内の同心円上に等間隔で配置した奇数個の小型円形のボイスコイルが、ドーナツ形振動板の汎用周波数帯域において固有振動で生じ得る分割振動の共振モードによる単一の節円と複数本の節直径の発生防止に有効な駆動を行い、同心円の半径を、同心円の内側と外側の環状部分の面積がほぼ等しくなる値に設定することによって両環状部分におけるボイスコイルの配置密度を均等化する。
本発明による第2の課題解決手段の作用は、同心円上のボイスコイルを等間隔の5個に設定することにより、ドーナツ形振動板の高周波帯域で生じる共振モードにおける5本の節直径部分の駆動を可能とする。
本発明による第3の課題解決手段の作用は、ドーナツ形振動板の同心円の半径を、その内外の面積をほぼ均等とする値の95〜100%とすることにより、低周波帯域で最初に生じる節円の発生を有効に抑制する。
【発明の効果】
【0011】
円形平板型スピーカに用いるドーナツ形円形平板状の振動板を約1〜15kHzの汎用周波数帯域において全面振動させるためには、振動周波数と共に変化する分割振動の共振モードにおける節円と節直径を実質的に全て除去しうる位置において、それぞれ小型円形の複数のボイスコイルを均等密度で分散配置するのが有利であるとの観点から、汎用周波数帯域における共振モードの最少の節円と最多数の節直径の数とに対応しうる環状振動領域内の同心円上の等間隔位置に、複数の、望ましくは奇数の小型円形ボイスコイルを配置することにより、汎用周波数帯域において節円と節直径の発生を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、図3から図10を参照して、一般に振動板材として用いられるヤング率2GPa、比重0.27gr/cm3の材料を直径140mm、中央開口の直径40mm、厚さ4mmのドーナツ形円形平板状振動板とし、これを約1600Hzから15kHzまで変化する周波数で振動させた場合の固有振動モードに基づき、周波数上昇と共に変化する分割振動の共振モードと共に変わる振動節のパターンを考察する。特に、図4(2807Hz)では1つの円環状の節すなわち節円a(モノクロームの図では環状振動領域のほぼ中央部の円形濃色部分)が見られ、図6(6078Hz)では1つの節円と1つの直径方向の節すなわち節直径bが、図8(10963Hz)では1つの節円aと2つの節直径bが見られるに対し、図3(1661Hz)、図5(4120Hz)、図7(7266Hz)、図9(11091Hz)と図10(15579Hz)ではそれぞれ2〜6本の節直径bが現れる。
【0013】
ここで注目されるのは図9と図10の分割共振モードで、振動はそれぞれ5本と6本の節直径bにより放射方向に10個と12個の区分に分割され、明確な振動はこれら10または12区分の外周部分にしか見られず、各節直径bの内周側を繋ぐ内周部分に振動は見られない。従ってドーナツ形円形平板状の振動板の汎用周波数帯域のフルレンジにおいて全面振動を得るためには、従来の大口径のボイスコイルと大口径の磁気回路以外の方式で、少なくとも図9(11091Hz)に見られる5本の節直径の発生直前までの考慮が有効と考えられる。
【実施例1】
【0014】
図1および2は本発明のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカの実施例を示し、図1はこの円形平板型スピーカ10に用いるドーナツ形円形平板状の振動板11の内面側における平面図、図2は図1のA−A線に沿う円形平板型スピーカ10の断面図である。図において例えば上記したようなヤング率と比重を持つ合成樹脂材やパルプ材でなり、中央に中央開口12を有する環状の、いわゆるドーナツ形の振動板11は、例えば金属板で断面を浅いU字形にした円盤状皿型のフレーム13の外周壁13aと中央突台13bに、弾性材でなる環状の外周エッジ14と円形の中央エッジ15を介して弾性的に支持される。本発明の特徴として振動板11の内面側に複数の小径円筒状のボイスコイルV1〜Vnを取り付け、フレーム13の内底面に、それぞれボイスコイルV1〜Vnの各々を挿入し得る直径の磁気ギャップを形成する複数の小径薄型の磁気回路M1〜MnをボイスコイルV1〜Vnに対峙させて取り付ける。
【0015】
本実施例では、図1に示すように、ドーナツ形の振動板11を放射方向に中心各72度で5等分する5本の放射半径線16と、後述するようにして設定される半径Rの同心円17との5個の交点に中心を位置させた5個のボイスコイルV1〜V5を振動板11の内面に取り付ける。これらボイスコイルV1〜V5は、望ましくは円筒状に巻回したものを一端縁において接着剤により振動板表面に直接接着することが、スピーカ10の薄型化および軽量化と再生効率とを両立させる意味において有利であるが、コイルボビンを介して取りつける構成としても良い。また、これらボイスコイルV1〜V5の全てを同じ径とすることが有利であるとともに、振動板11の直径の実質的に10分の1の径で充分有効である。
【0016】
磁気回路M1〜M5も同様に、振動板11の同心円17上の5個のボイスコイルV1〜V5に対応する磁気回路M1〜M5(図2ではM2とM5のみ示される)がフレーム13の内底面に固定される。磁気回路M1〜M5として図2に示すのは、円盤型磁石をセンターポールピースと皿型ヨークで挟持してポールピース外周面とヨーク周壁内周面との間に環状の磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ内にボイスコイルを挿入する型のものであるが、これに限定されることなく、円形小型のボイスコイルと組み合わせてほぼ同等の駆動効率と空間同率を達成するものであれば他の型のものでよい。
【0017】
ボイスコイルV1〜V5と磁気回路M1〜M5のそれぞれの組合せを配置する5本の放射半径線16は、図9について前述した5本の節直径bの半径部分に相当し、固有振動パターンは回転移動するとしても節直径の間隔は変わらないから、これら5個の固定位置におけるボイスコイルV1〜V5による振動板11の駆動は、5本の節直径において振動板を駆動することに相当する。従って通常は高音域、特に11kHz付近で発生するピークディップの直前までが抑制される。また、この5本の節直径駆動は低音域から高音域までの他の周波数における少数の節直径発生の抑制にも有効である。
【0018】
ボイスコイルの数を5個とせず、6個とすれば図10の節直径6本の共振モードに対処できるのではないかと見られるが、実際には、ボイスコイルの数を偶数とした場合には、その数の半分の節直径の共振モード、つまり図5のモード発生時点で振動パターンに破綻を来たすことが判明している。4個の場合には従って図3の時点で既に破綻し、低周波帯域での節直径発生すら抑制できない。従ってボイスコイルの数は奇数とすることが有利であり、特に汎用周波数帯域では5個とすることが有効である。
【0019】
同心円17上に等間隔に配置する5個のボイスコイルV1〜V5の配置位置については、ドーナツ形振動板11の環状振動領域全面に対して配置密度が均等となることが望ましい。そのためには同心円17の内側と外側におけるボイスコイルV1〜V5の分布密度と、同心円の内外の振動板の面積比を一致させるように、振動板11内における同心円17の半径を設定すればよい。
【0020】
ボイスコイルの分布密度については、ドーナツ形振動板11の半径をRO、中央開口12の半径をr、同心円17の半径をRとすれば、同心円17の内側と外側の面積比は
πRO2−πR2=πR2−πr2 (1)
となり、この(1)式からROに対するRの割合を求めれば
R=√{(RO2+r2)/2} (2)
となる。これに、図3ないし図10の固有振動パターンを示すドーナツ型振動板11の半径RO=70mm、中央開口12の半径r=20mmを当てはめると、同心円17の半径Rは約51.5mmとなる。この半径Rの同心円上の中心角72度の等間隔位置に中心を合わせて5個のボイスコイルV1〜V5を載置し、磁気駆動すれば、環状振動領域前面に対してほぼ均等な駆動を行なえることになる。
【0021】
一方、同心円17の算出値約51.5mmと、図4の2807Hzで最初に生じる節円aの半径の実測値約48.9mmとの関連を考察すると、応力解析の面では同心円の内側は外側に比して直径に対する厚さの比率が増し、見かけの剛性が上がるため、この周波数での固有振動では節円aは算出同心円よりやや内側に、つまり、約95%の半径位置に生じることになる。したがって、同心円17は上記の式(1)、(2)で算出した半径の95〜100%の値に設定すれば、汎用周波数帯域で生じる節円の抑制に有効となる。
【0022】
ドーナツ形円形平板状の振動板における分割振動の共振モードは、振動板材の寸法、弾性係数、比重等の条件に応じて変化し、図3〜図10に示すものと同じ周波数帯域であっても発生する節円や節直径の数と位置は同じではない。従って同心円上に配置するボイスコイルの数は、所望の周波数帯域において発生する最多の節直径の数に対応して選択され、この数に対応して同心円の半径ないし直径が算定される。
【0023】
実施例1ではドーナツ型円形平板状振動板について図3ないし図10に示す固有振動モードにおける振動節パターンを考察したが、実際のスピーカ組立の際には治具を用いてボイスコイルを振動板に設けた孔に挿入し、治具を孔から引き抜く必要があり、そのためボイスコイル設置位置において、ボイスコイルを担持するボビンの内径に相当する径の孔を振動板に設けねばならない。したがって実施例1の構成に対応して、上記の式(1)、(2)で算出した半径の同心円に沿う5個のボイスコイル設置位置に孔を設けた振動板による、同じ汎用周波数帯域で求めた固有振動モードを図11から図18に示す。ただし、この場合、孔の周壁面は円筒状のボイスコイルを直接もしくはボイスコイルを担持するボビンを接着することによって剛性を増すことを考慮し、通常の弾性振動板材に代えて厚さ0.1mmのアルミ箔を用いてある。
【0024】
図11はこのような5個の孔付きドーナツ形振動板における周波数961Hzで節直径2本のモード、図12は周波数2832Hzで節円1個のモード、図13は周波数3671Hzで節直径3本のモード、図14は周波数5910Hzで節円1個と節直径1本のモード、図15は周波数6690Hzで節直径4本のモード、図16は周波数9501Hzで5個の穴のない場合にはなかった5角形の節のモード、図17は周波数11916Hzで節直径5本のモード、図18は周波数13616Hzで節円2個のモードを示す。
【0025】
5個の孔付きドーナツ形振動板の固有振動モードにおいて、5本の節直径が生じるのは図17の11916Hzであり、図3から図10の孔無しドーナツ形振動板11において、5個のボイスコイル設置の場合に共振パターン抑制の限界となる図9の周波数11091Hzをやや上回っている。これは上記したように5個の孔の周壁へのコイルまたはボビンの接着による剛性の増加に起因することは明らかであり、5個のボイスコイルの同心円上等間隔配置による汎用周波数帯域での共振パターン抑制の高周波帯域における限界を上げることになり、また、5個のボイスコイル設置の有効性の証左でもある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による円形平板型スピーカに用いるドーナツ形円形平板上振動板の、ボイスコイルを取りつけた内面側の平面図。
【図2】図1の振動板を用いた、本発明のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカの、図1のA―A線に沿う断面図。
【図3】本発明において用いるものと同じドーナツ形円形平板状振動板材料であって未だボイスコイル取り付け用の孔を設けないものの1,661Hzの周波数における固有振動の分割振動共振モードを示す。
【図4】図3のものと同じ孔無し振動板材料の2,807Hzの周波数における個有振動の共振モードを示す。
【図5】図3のものと同じ孔無し振動板材料の4,120Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図6】図3のものと同じ孔無し振動板材料の6,078Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図7】図3のものと同じ孔無し振動板材料の7,266Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図8】図3のものと同じ孔無し振動板材料の10,963Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図9】図3のものと同じ孔無し振動板材料の11,091Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図10】図3のものと同じ孔無し振動板材料の15,579Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図11】本発明において用いるものと同じドーナツ形円形平板状振動板材料であって、ボイスコイル取り付け用に同心円上の5個の孔を設けたものの961Hzの周波数における固有振動共振モードを示す。
【図12】図11のものと同じ孔付き振動板材料の2,832Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図13】図11のものと同じ孔付き振動板材料の3,671Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図14】図11のものと同じ孔付き振動板材料の5,910Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図15】図11のものと同じ孔付き振動板材料の6,690Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図16】図11のものと同じ孔付き振動板材料の9,501Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図17】図11のものと同じ孔付き振動板材料の11,916Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【図18】図11のものと同じ孔付き振動板材料の13,616Hzの周波数における固有振動の共振モードを示す。
【符号の説明】
【0027】
10 スピーカ
11 振動板
12 中央開口
13 フレーム
14 外周エッジ
15 中央エッジ
16 放射半径線
17 同心円
V1〜V5 ボイスコイル
M1〜M5 磁気回路
a 節円
b 節直径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁および中央開口を区画する内周縁の間の環状部分を振動領域とするドーナツ形円形平板状の振動板と、振動板の振動領域の片面に担持される複数の小型円形のボイスコイルと、それぞれボイスコイルの各々と対峙する磁気ギャップを含んで振動板の片面に対面する複数の小型円形の磁気回路と、振動板の内外両周縁をエッジを介して内外両周部で保持すると共に磁気回路を内面部に担持するフレームとでなり、ボイスコイルはその中心を振動板の振動領域内の同心円上に等間隔で位置させた奇数個でなり、同心円はその内側と外側の振動領域の面積がほぼ等しくなる半径に設定されることを特徴とする、ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【請求項2】
同心円上の奇数個のボイスコイルが中心角72度の等間隔で配置した5個であることを特徴とする請求項1に記載のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【請求項3】
同心円の半径を、その外側と内側の振動領域の面積がほぼ等しくなる値の95〜100%とすることを特徴とする、請求項1または2に記載のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【請求項1】
外周縁および中央開口を区画する内周縁の間の環状部分を振動領域とするドーナツ形円形平板状の振動板と、振動板の振動領域の片面に担持される複数の小型円形のボイスコイルと、それぞれボイスコイルの各々と対峙する磁気ギャップを含んで振動板の片面に対面する複数の小型円形の磁気回路と、振動板の内外両周縁をエッジを介して内外両周部で保持すると共に磁気回路を内面部に担持するフレームとでなり、ボイスコイルはその中心を振動板の振動領域内の同心円上に等間隔で位置させた奇数個でなり、同心円はその内側と外側の振動領域の面積がほぼ等しくなる半径に設定されることを特徴とする、ドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【請求項2】
同心円上の奇数個のボイスコイルが中心角72度の等間隔で配置した5個であることを特徴とする請求項1に記載のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【請求項3】
同心円の半径を、その外側と内側の振動領域の面積がほぼ等しくなる値の95〜100%とすることを特徴とする、請求項1または2に記載のドーナツ形振動板による円形平板型スピーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−253411(P2009−253411A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95825(P2008−95825)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000112565)フォスター電機株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000112565)フォスター電機株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
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