ドーパミン受容体アゴニストを含む長時間作用する持続放出製剤、及びそれらの製造方法
本発明は、ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含む、パーキンソン病の治療のための長時間作用する持続放出製剤に関し、ここで、当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの量は、5〜50重量%であり、医薬として許容されるポリマー補助剤の量は、50〜95重量%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤、特に、ドーパミン作用製剤の注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲル、並びにそれらの製造方法に関し、そして、当該長時間作用する持続放出製剤、特にマイクロスフィアの製造のための、及びドーパミン受容体関連疾患の治療又は補助療法のための、及びパーキンソン病又はパーキンソン症候群の如き振せん麻痺(以下、パーキンソン病という。)の治療ためのこれらの化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーパミン受容体アゴニストは、パーキンソン病の治療のための重要な物質である。現在、臨床的に使用されるドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、テルグリド、キナゴリド、カベルゴリン、並びにそれらの誘導体及び医薬として許容される塩の如きドーパミンアゴニストを含み、そして、臨床試験段階にあるものは、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)、ABT−431、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体及び医薬として許容される塩を含む。
【0003】
上記薬物は、通常、病院で経口又は経皮投与される。経口投与は便利であるけれども、進行したパーキンソン病の患者は、通常記憶力が減退し、薬の摂取を忘れ得る、そしてそれらの症状は悪化していくだろう。さらに、経口投与後薬物濃度の比較的大きな変動は、副作用を悪化させ得、「オン−オフ現象」をもたらし、そして胃腸管及び肝臓の初回通過効果は、生体内利用を低減させる。例えば、経口投与についてのロチゴチンの生体内利用は、肝臓内の初回通過効果により、たった1〜5%である、つまり経口製剤は好適ではない。反対に、軟膏、こう薬などの如き通常の経皮製剤の経皮吸収は、十分ではなく、及びしばしば変化する、というのは、当該経皮吸収が多くの要因により影響されるのからである。さらに、経皮製剤は、皮膚の低透過性により影響され、それ故、低摂取、低い生体内利用性、及び多くの個人差を有し、つまりは、それらの治療効果は、特に、進行したパーキンソン病の患者に限られる。
【0004】
注入の如き非経口投与は初回通過効果を避け得るが、ロチゴチン及びプラミペキソールなどはたった2時間の短い半減期を有し、それ故、1日に数回投与されるべきであり、そして、比較的長い半減期を有する他の薬物は、それでも毎日又は2日に1回投与されるべきであり、パーキンソン病の患者のための当該投与をほとんど容易にしない。
【0005】
それ故、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、好ましくは経口投与ではなく筋肉内注入又は皮下投与されるものであり、数週間、数ヶ月間、それ以上の安定した放出速度を維持し得、パーキンソン病の患者の痛みをできるだけ低減する前期持続放出製剤の提供が期待される。
【0006】
CN1531428A(国際特許公開第WO2002/015903号)は、ロチゴチンのデポ型持続放出製剤を開示し、ここで、油性溶媒中にロチゴチンヒドロクロライドを懸濁することによりにより得られるいわゆる「デポ」の使用は、投与間隔を1日超まで伸ばした。CN1531428Aは、持続放出の提供のためのロチゴチンのマイクロ粒子又はマイクロカプセル(すなわち、本発明のマイクロスフィア)の製造を言及した先行技術EP0625069(CN1090172A)を引用するけれども、ロチゴチンのマイクロカプセル又は持続放出マイクロスフィアの成分、及びそれらの比率についての開示は全くない。
【0007】
1週間に1度又は2週間に1度、さらに1ヶ月に1度又はより長い投与間隔を有する長時間作用する持続放出製剤を達成するために、当該持続放出製剤が生体内で長期間に渡り安定して薬物を放出し、その間生体内の有効な血中薬物値を維持するだけでなく、当該製剤は体内への注入後に重大な副作用を引き起こさないべきである。それ故、当該活性成分、及び補助剤の両方の使用と量は、1又は複数の週、さらに1ヶ月の投与間隔を満たすために、及びよりよい治療効果を達成するために、厳密に定義されるべきである。
【0008】
CN1531428A、及びCN1090172Aは、ドーパミン受容体アゴニストの持続放出製剤、及びそれらの補助剤については全く開示しない、故に、長時間作用する持続放出製剤(1又は2週間、さらに1ヶ月間またはそれより長い投与間隔を有するもの)は、実際に未だ知られていない。
【0009】
本発明の発明者等は、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出の提供のためにさらなる研究を実施し、活性成分が組込まれた生物分解性ポリマーの使用により入手される注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲルが、当該活性成分を、それらが筋肉内又は皮下投与された後、数週間、さらに数ヶ月の間、連続して安定的に放出し得、その一方で、それらは高い生体内利用性、血中薬物値の小さな変動、及び著しく低減された投与頻度を有することを発見した。従来の経口製剤と比較して、副作用を低減し、「オン−オフ現象」の発生する頻度が低減されるが、一方、生体内利用性は著しく増大し、患者の規則順守を改良し、そしてこれらの薬物の治療効果を最大限まで達成した。これに基づき、本発明は実施される。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、及び移植片などの如きドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤を提供することである。本発明に関して当該投与間隔は、1日又はそれ未満から1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間又はそれ超までにかけてであり、それ故、当該投与頻度は、著しく低減し、当該初回通過効果は避けられ、当該生体内利用性及び治療効果は促進され、そしてそれ故、パーキンソン病の患者の痛みは、著しく緩和され、彼らの生活の質が改善された。
【0011】
本発明の上記目的は、以下の技術的解決により実施される。
【0012】
本発明は、ドーパミン受容体アゴニスト、特にロチゴチンの注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片など、特に注入可能なマイクロスフィアの如き、長時間作用する持続放出製剤を提供することに関する。
【0013】
本発明は、長時間作用する持続放出製剤を使用することによる、パーキンソン病の治療方法をさらに提供する。
【0014】
具体的にいうと、本発明は、ドーパミン受容体アゴニストの治療有効量、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含む、パーキンソン病の治療のための長時間作用する持続放出製剤に関し、ここで、当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの重量含有量は、5〜50%であり、当該持続放出製剤中の医薬として許容されるポリマー補助剤の重量含有量は、50〜95%である。
【0015】
当該ドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、キナゴリド、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせからなる群より選択される。
【0016】
当該医薬として許容される生物分解性補助剤は、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである。
【0017】
上記ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤は、好ましくは、注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片などである。
【0018】
当該持続放出製剤中の上記ドーパミン受容体アゴニストは、好ましくは、固溶体状態で存在する。
【0019】
上記長時間作用する持続放出製剤において、当該医薬として許容される生物分解性補助剤は、好ましくはポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及びポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、又はそれらの複数の組み合わせから、より好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、及びポリアンハイドライド、又はそれらの複数の組み合わせから、特により好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、さらに特に、5,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)から選択される。
【0020】
上記ポリ(ラクチド−グリコリド)中、ラクチド対グリコリドの重合比は、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75である。
【0021】
上記ドーパミン受容体アゴニストに関して、それらの医薬として許容される塩は、医薬活性成分と、無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなる塩であり、ここで、当該無機酸は塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり、当該有機酸はクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり、そして前記酸性アミノ酸はグルタミン酸又はアスパラギン酸などである。
【0022】
さらに具体的には、プラミペキソール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;ロピニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;ペルゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートなどの遊離塩基であり;カベルゴリン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、カベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートなどの遊離塩基であり;テルグリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、テルグリド又はテルグリドマレエートなどの遊離塩基であり;キナゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、キナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;スマニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、スマニロール又はスマニロールマレエートなどの遊離塩基であり;SLV−308あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、SLV−308又はSLV−308ヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;アドロゴリド(adrogolide)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、アドロゴリド、アドロゴリドヒドロクロリド又はそれらの形質転換体であるA−86929などであり;ジナプソリン(Dinapsoline)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドなどであり;そして、BAM−1110、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、BAM−1110又はBAM−1110マレエートなどである。
【0023】
上記ドーパミン受容体アゴニストに関して、最も好ましいものは、一般式(Ia)に示されるようなロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩であり、ここで当該一般式(Ia)は、以下の:
【化1】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシル(好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルである。)を示し;
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C4アルキルを示し;
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは、1〜10より選択される整数(好ましくは1〜3である。)である}であり、そして、前記それらの医薬として許容される塩は、当該ロチゴチンの遊離塩基と、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸からなる。
【0024】
当該好ましいロチゴチン型化合物は、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラート、及びそれらのヒドロクロリドである。
【0025】
上記長時間作用する持続放出製剤において、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含有量は、好ましくは10〜40重量%であり、当該医薬として許容されるポリマー補助剤の重量含有量は、60〜90重量%であり、そして、当該ドーパミン受容体アゴニスト対医薬として許容されるポリマー補助剤の重量比は、(10〜30):(90〜70)である。
【0026】
上記長時間作用する持続放出製剤が注入可能な持続放出マイクロスフィアであるとき、その粒径は、好ましくは50〜200マイクロメーターである。本発明の他の内容及び利点は、以下の詳細な説明中にさらに例証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
パーキンソン病の治療のための本発明の長時間作用する持続放出製剤は、有効量のドーパミン受容体アゴニスト、及び適した量の医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含み、そして特定の例において、注入可能な持続放出マイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片などを含む。
【0028】
明らかに、上記主な成分(すなわち、活性成分としてのドーパミン受容体アゴニスト、及び当該医薬として許容されるポリマー補助剤)に加えて、本発明の持続放出製剤は、非制限的に溶媒、緩衝液、等張剤などの如き当該製剤の製造、及び投与に必要な他の成分をさらに含み得る。言及した持続放出製剤に関する割合又は内容の全ては、当該活性成分及び医薬として許容されるポリマー補助剤の総量に基づく。
【0029】
ここで、当該ドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、キナゴリド、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせから選択されるものである。
【0030】
上記に言及された医薬として許容される塩は、ドーパミン受容体阻害剤と医薬として許容される酸、特に無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなり、ここで、当該無機酸が塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり、当該有機酸がクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり、そして当該酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸などである。
【0031】
本発明において、プラミペキソール又はその誘導体あるいはそれら医薬として許容される塩は、欧州特許第EP186087号、及び米国特許第US4886812号に開示されるような関連化合物であり、他の文献に開示されるような他の改良された化合物又は医薬として許容される塩は、好ましくは、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0032】
ロピニロール又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4452808号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるロピニロール誘導体又はそれらの医薬として許容される塩であり、好ましくはロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0033】
ペルゴリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4166182号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるペルゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートの遊離塩基などである。
【0034】
カベルゴリン又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4526892号、及び欧州特許第EP888243号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるカベルゴリン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはカベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートの遊離塩基などである。
【0035】
テルグリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US3953454号、及びDE3001752号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるテルゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはテルゴリド又はテルゴリドマレエートの遊離塩基などである。
【0036】
キナゴリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4565818号、及び欧州特許第EP77754号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるキナゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはキナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0037】
スマニロール又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US5478734号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるスマニロール誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはスマニロール又はスマニロールマレエートの遊離塩基などである。
【0038】
SLV−308又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO00/29397号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるSLV−308誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはSLV−308又はSLV−308ヒドロクロライドの遊離塩基などである。
【0039】
アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO94/22858号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるアドロゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはアドロゴリド又はアドロゴリドヒドロクロライド又はアドロゴリドの形質転換体A−86929の遊離塩基などである。
【0040】
ジナプソリン(dinapsoline)又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO97/06799号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるジナプソリン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドの遊離塩基などである。
【0041】
BAM−1110又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4713457号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるBAM−1110誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはBAM−1110又はBAM−1110マレエートの遊離塩基などである。
【0042】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤において、当該活性成分は、最も好ましくはロチゴチン、すなわち、ロチゴチン化合物、及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩である。
【0043】
ロチゴチンの構造式は、一般式(Ia):
【化2】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシルであり、好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルを示し;
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル(好ましくはC1〜C5アルキル)を示し;
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは、1〜10、好ましくは1〜3より選択される整数であり、最も好ましくは2である。}であり、当該それらの医薬として許容される塩は、ロチゴチンの遊離塩基と、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸とからなり;当該好ましいロチゴチン化合物及びそれらの誘導体は、好ましくは、ロチゴチン、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンベンゾエート、並びにロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラート、そしてそれらのヒドロクロリドであり、特に、以下の表に示される化合物(I)、(II)、(III)(IV)である。
【表1】
【0044】
もし、化合物(I)が種類としてロチゴチンの母核に使用されたならば、当該化合物(II)〜(VI)は、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラートと名付けられる。上記化合物の中で、ロチゴチン、すなわち当該化合物(I)、は最も好ましいものであり、その医薬として許容される塩は、ロチゴチンヒドロクロリドである。
【0045】
本発明の長時間作用する持続放出製剤の活性成分は、代謝体又はそれらの形質転換体(プロドラッグ)、さらに上記化合物とさらになり得る。
【0046】
本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものであり、ここで、それらの分子量は、2,000〜1,000,000ダルトンであり、そして、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)又はそれらの複数の組み合わせである。
【0047】
当該持続放出製剤が注入可能なマイクロスフィアであるとき、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、より好ましくは、2,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)であり、ここで、当該ポリ(ラクチド−グリコリド)におけるラクチド対グリコリドの重合比は、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75、最も好ましくは約50:50である。
【0048】
当該持続放出製剤が注入可能なゲル又は移植片であるとき、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、より好ましくは、2,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有するポリ(乳酸)である。
【0049】
本発明の長時間作用する持続放出製剤において、当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの重量パーセント含量は、5〜50%、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容されるポリマー補充剤の重量含量は、50〜95%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜90%、最も好ましくは70〜90%である。
【0050】
もし、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含量が5%未満であるならば、当該血中薬物値は、十分に高い値を維持できないだろう。一方、もし当該重量含量が50%超であるならば、当該薬物の放出は安定せず、副作用が起こり得るだろう。
【0051】
当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの含量が一定の値であるとき、この薬物は、当該医薬として許容される補充剤中に均一に分布され、固溶体状態に存在し、そしてそれは薬物の安定放出を確かなものとする。一方、もし当該含量が比較的高いならば、当該薬物は当該製剤中において固溶体状態で存在せず、当該薬物放出は不安定となるだろう。このことは、当該持続放出マイクロスフィアについてより重要であり、当該薬物がマイクロスフィア中に固溶体状態で存在しないことは、薬物の突然の放出を引き起こす重要なメカニズムとして認められる。注入可能なゲル又は移植片の如き他の持続放出製剤に関しては、それらがマイクロスフィアのように血液と共に流れず、突然の放出を産生する可能性が少ないので、当該含量範囲は適切に広くし得るが、50%を超えるべきではない。
【0052】
このことは、実施例のようなロチゴチンマイクロスフィアを利用することによりさらに例証される。以下の実施例の方法により製造されるような異なる含有量によるロチゴチンマイクロスフィアと対照としてのロチゴチン自体の示唆熱分析図を図1に示す。図1において、曲線aはロチゴチン積載量が30%未満のときの示唆熱曲線であり、曲線bはロチゴチン積載量が34%のときの示唆熱曲線であり、曲線cはロチゴチン積載量が47%のときの示唆熱曲線であり、そして曲線dはロチゴチン自体の示唆熱曲線である。
【0053】
図1について、ロチゴチンは結晶性固体であり、79〜80℃の融点を有する(曲線dを参照のこと)。当該薬物積載量がマイクロスフィア中に30%未満であるとき、ロチゴチンは、乳酸及びヒドロキシ酢酸の共重合体との良い互換性を有し、ロチゴチンは、当該ポリマー担体中に本質的に完全に溶解させられ、固溶体を形成する、というのは、ロチゴチンの融点が観察されないからである(曲線aを参照のこと)。しかしながら、当該薬物積載量が34%に達するとき、ロチゴチンの融点は、73℃で観察され(曲線bを参照のこと)、当該薬物の積載量の増加と共に上昇し、例えば当該積載量が47%のとき、ロチゴチンの融点は76℃であり(曲線cを参照のこと)、そして、熱吸収領域は、同様に増大する。そのことは、当該薬物積載量が34%超であるとき、全てのロチゴチンが固溶体状態で存在するわけではないこと、及びロチゴチンの一部は結晶となることを意味する、というのは、当該マイクロスフィアは均一相のものではなく分離層を含むからである。一方、この種の相分離は、当該マイクロスフィアの物理的及び機械的特性に影響を与えるだけではなく、より高い初期放出及びより素早い持続放出をもたらす。
【0054】
当該ロチゴチン含量が一定のとき、マイクロスフィア中の当該融点及び熱吸収領域は、純粋ロチゴチンの融点及び熱吸収領域よりも低く又は小さくなる(曲線dを参照のこと)、というのは、マイクロスフィア中のロチゴチン結晶が完全でなく、及び当該ロチゴチンの一部が結晶化されているだけだからである。
【0055】
本発明は、単一活性成分として上記医薬成分の内の1つを含む長時間作用する持続放出製剤だけでなく、活性成分並びに医薬として許容されるポリマー補助剤として、複数の上記医薬成分を組み合わせで含む長時間作用する持続放出製剤をも提供する、そして、長時間作用する持続放出の注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル又は移植片の如き製剤は、同様の又は異なる持続放出効果を有し、いくつかの異なる活性成分の相乗効果を提供する。
【0056】
注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片又は注入可能なゲルの如き、本発明の長時間作用する持続放出製剤は、少なくとも1週間、好ましくは2週間の投与間隔を有し、ここで、当該移植片、及びゲルは少なくとも1ヶ月間の投与感覚を有する。本発明の注入可能なマイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲルは、以下のように分けて例証される。
【0057】
持続放出マイクロスフィア
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィア(注入可能なマイクロスフィア、本発明のマイクロスフィアとも呼ばれる)は、本分野において慣習的な方法により製造される。
【0058】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出注入可能なマイクロスフィアは、好ましくは1〜250マイクロメーター、最も好ましくは50〜200マイクロメーターの粒径を有し、故に、一定の時間効果、生物分解性を維持し、かつ血液循環に影響を与えない、なぜならば、過剰に小さな直径を有するマイクロスフィアは、長時間の薬剤作用をほとんど維持できず、毛細血管の障害となり得、及び血液循環に影響を与え得るからであり、一方、過剰に大きな直径を有するマイクロスフィアは遅すぎる初期放出となり、治療有効血中薬物値に達することができないからである。
【0059】
本発明の持続放出マイクロスフィアについて、活性成分の積載量は、過剰に低くすべきではない、さもなければ、患者に注入されるマイクロスフィアの多量が痛みなどの如き副作用を引き起こし得る。一方、もし当該積載量が過剰に高いならば、当該マイクロスフィアを患者に投与したとき、重大な突然の放出及び過剰摂取を引き起こし得る。
【0060】
特に、当該活性成分の重量含量は、5〜50%、好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容される分解可能なポリマー補助剤の重量含量は、50〜95%、好ましくは60〜90%、最も好ましくは、70〜90%である。
【0061】
以下の実施例及び実験に関して、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含量が5%未満のとき、血中薬物値は十分に高い値で維持され得ない、一方、当該重量含量が50%より高いとき、当該薬物放出は不安定であり、突然の放出及び副作用が生じ得る。
【0062】
以下の実施例及び実験に関して、適切な薬物積載量は、50%より高くなるべきではなく、好ましくは30%未満である。治療のための最小の血中薬物値、及びマイクロスフィアの許容される注入量に関して、当該薬物積載量は、最も好ましくは、10〜30%である。
【0063】
本発明の長時間作用する持続放出マイクロスフィアにおいて、当該ドーパミン受容体アゴニストは、好ましくはロチゴチン、及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩から選択され、ここでロチゴチン、及びそれらの誘導体は、ロチゴチン、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンブチラート、ロチゴチンイソブチラート、及びロチゴチンベンゾエート、及び好ましくはヒドロコリドであるそれらの医薬として許容される塩である。
【0064】
本発明のロチゴチン及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩の注入可能なマイクロスフィアにおいて、ロチゴチン成分及び医薬として許容されるポリマー補充剤の総重量に基づいて、当該ロチゴチンは、5〜50%、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容されるポリマーは、50〜95%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜90%、最も好ましくは70〜90%である。
【0065】
本発明のロチゴチン、及びそれらの誘導体又はそれらの医薬として許容される塩が製造されるとき、ロチゴチン及び誘導体又は医薬として許容される塩は、固溶体状態、すなわち、当該活性成分が補助剤と分離せず、かつ均一相に存在する状態となるべきである。
【0066】
本発明のマイクロスフィアは、非制限的にスプレー乾燥法、溶媒揮発法、及び噴霧抽出法の如き、本分野における慣習的なマイクロスフィアの製造方法により製造される。
【0067】
溶媒揮発法を使用して本発明のマイクロスフィアを製造するとき、ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤は有機溶媒中に溶解させられ、有機相を形成する。さらに、医薬として許容される水溶性ポリマーを使用し連続性水相を形成する。当該有機相は、小管を通じて当該連続相の中に注入され、機械的な撹拌又は超音波の激しいかき混ぜ下で乳化され、マイクロスフィアを形成し、次いで、当該有機相を揮発し、そして形成されたマイクロスフィアをろ過により分離し乾燥させる。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分け処理、真空乾燥又は凍結乾燥の如き乾燥処理、及びサブパッケージの如き慣習的な後処理にさらに供する。
【0068】
上記工程の間、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生体分解性補助剤は、前述のものである。工程を考慮して、当該有機溶媒は、十分な揮発、低い残余、及び低沸点の溶媒であるべきであり、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、エチルエーテル、及びそれらの組み合わせの混合溶媒である。連続水相を形成するために使用される当該医薬として許容されるポリマーは、非制限的にポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の組み合わせから選択される。
【0069】
当該有機相が製造されるとき、当該有機溶媒中のドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生分解性補助剤の含有量は、当該有機溶媒中に溶解され得るかどうか制限されないが、可能な濃度と粘度とのバランス、及び有機溶媒の低減を考慮して、当該濃度は好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0070】
ポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の組み合わせが、当該連続水相を製造するために使用されるとき、その濃度は、明確に限定されるわけではないが、水中のその溶解度に従う。当該水相中のその濃度は、好ましくは0.01〜12%(w/v)、より好ましくは0.01〜10.0(w/v)、より好ましくは0.1〜5%(w/v)である。
【0071】
激しいかき混ぜ下で当該有機相が水相に注入されマイクロスフィアを形成するとき、当該有機相対水相の体積比は、当該有機相が水相中に十分に分散させられ十分に小さな粒径及び均質性のマイクロスフィアを形成する値である。しかしながら、過剰量の水相を使用すると、当該後処理は複雑となり、コストが増大する、故に、これらの特徴を考慮して、当該有機相対水相の質量比は、約1:4〜1:100である。
【0072】
当該マイクロスフィアはスプレー乾燥法によっても製造され得る。当該ドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアがスプレー乾燥法により製造されるとき、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤を有機溶媒中に十分に溶解し、有機溶液を形成し、次いで、当該溶液をろ過し、そして慣習的なスプレー乾燥法により処理し、マイクロスフィアを形成する。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分けの如き慣習的後処理に供し、次いでサブパッケージする。
【0073】
当該スプレー乾燥法を使用してマイクロスフィアを形成するとき、当該有機溶媒は、非制限的に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、及びそれらの混合溶媒となり得る。
【0074】
当該有機相を製造するとき、当該有機溶媒中の医薬として許容される分解性補助剤の含有量は、これらの補助剤が当該有機溶媒中に溶解され得るかどうかに限られないが、可能な濃度と有機溶媒の低減とのバランスを考慮して、当該濃度は、好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0075】
当該マイクロスフィアは噴霧抽出法によっても製造され得る。当該噴霧抽出法を使用し、ドーパミン受容体アゴニストのマイクロスフィアを製造するとき、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤を有機溶媒(当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び当該医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し得るもの)中に十分に溶解し、有機溶液を形成し、次いで、当該有機溶液を有機非溶媒(当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し得ない有機溶媒)又は水中に噴霧し、そして抽出によりマイクロスフィアを入手する。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分けの如き慣習的後処理にさらに供し、次いでサブパッケージする。
【0076】
当該噴霧抽出法を使用してマイクロスフィアを形成するとき、当該有機溶媒は、非制限的に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、氷酢酸、及びそれらの混合溶媒となり得る。当該有機非溶媒は、非制限的に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペトロレウムエーテル、アルカン、パラフィン、及びそれらの溶媒の混合物である。
【0077】
当該有機相を製造するとき、当該有機溶媒中の医薬として許容される補助剤の含有量は、これらの補助剤が当該有機溶媒中に溶解され得るかどうかに限られないが、可能な濃度と有機溶媒の低減とのバランスを考慮して、当該濃度は、好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0078】
マイクロスフィアの製造方法として溶媒揮発法とスプレー乾燥法を比較すると、粒子均質性と単純な操作を考慮して、スプレー乾燥法が好ましい、一方、初期放出の低減を考慮すると、溶媒揮発法が好ましい。
【0079】
本発明のドーパミン受容体アゴニストのマイクロスフィアを形成した後、それらを、粒子の等級分けに供し、またはもし粒子のサイズが十分に均質ならば供さず、洗浄、乾燥に供し、そして規定された服用量に従いサブパッケージに供し得る、次いで、それらを加工し、注入をin situで準備し得る注入可能な粉末を形成し得る。当該注入可能な粉末は、生理食塩水と混合し懸濁することにより注入をin situで準備し得る上記マイクロスフィアから直接的に製造され得;又は当該マイクロスフィアは、等張性の塩、マンニトール、グルコースなどの規定された量と混合され、そして、注入溶液は、注入可能な純水の規定された量を添加することにより準備され得;又は注入量のマイクロスフィアは、懸濁され、次いで、前もって凍結乾燥され、そして使用前に水を加えられる。
【0080】
本発明において、ドーパミン受容体に関する疾患の治療方法、及びパーキンソン病の治療方法が、上記治療を必要とする患者に、本発明のドーパミン受容体アゴニストの注入溶液を与えることにより実施される。注入を使用するいずれかの投与方法は、例えば、筋肉内注入、皮下注入、皮内注入、腹腔内注入などで使用され得る。容易な投与を考慮して、筋肉内注入、及び皮下注入が好まれる。
【0081】
例えばロチゴチンを使用する、本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアの投与量は、体重60kgの患者1人あたり10〜400mgのロチゴチンであり、注入量は、1〜5ml、好ましくは1〜3mlである。当該注入投与間隔は、少なくとも1週間又は2週間である。特定の条件は、患者の年齢、体重、及び症状に従って適切に調整される。
【0082】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアの投与間隔は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも20日間、さらに2ヶ月間超である。それ故、パーキンソン病の患者の生活の質は改善され、毎日の投与の問題が克服される。
【0083】
本発明の長時間作用する持続放出マイクロスフィアは、高いカプセル化比率、連続及び安定した薬物放出、患者の体内における安定した及び効果的な血中薬物値、より良い治療効果、及び低い副作用を有し、そしてそれ故、慣習的製剤の欠点を克服し、パーキンソン病の治療における優れた治療効果をもたらし得る。
【0084】
1.移植片
本発明の移植片において使用される活性成分及び医薬として許容されるポリマー充填剤は、上記持続放出マイクロスフィアのものと本質的に類似する、故に、それらの違いのみを以下に例証する。
【0085】
上述の状態に関し、当該移植片は、適切な放出を確実とすることを条件に、局所的に埋め込まれるので、当該活性成分の含有量は、比較的高い値とすることができるが、適切には50%以下である。
【0086】
本発明の移植片は、本分野の慣習的な方法に従い製造され得る、ここで当該慣習的な方法とは、好ましくは以下の:有機溶媒中に当該ドーパミン受容体アゴニストを溶解し、そして医薬として許容されるポリマー補助剤と十分に、及び均質的に混合し、加熱し、及び押し出し、ロッド形状の移植片を形成することであり、ここで当該有機溶媒は、非制限的に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルエーテル、ブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、又はそれらの混合物である。
【0087】
本発明の移植片は、慣習的操作又は病院での注入により皮下に埋め込まれ得る、そして、薬物は、当該移植片から血中にゆっくりと分散し、循環系に入る。本発明の移植片の投与間隔は、少なくとも1ヶ月間、さらには4〜6ヶ月間であり、このことは、パーキンソン病の患者への投与を非常に促進する。
【0088】
2.注入可能なゲル
本発明の注入可能なゲルに使用される活性成分及び医薬として許容されるポリマー補助剤は、上記持続放出マイクロスフィアのものと本質的に類似する、故に、それらの違いのみを以下に例証する。
【0089】
上述の状態に関し、当該注入可能なゲルは、当該活性成分が有機溶媒の中に溶解されること、及び適切な放出が確実となることを条件に、それらが体内に注入された後、局所的移植片を形成するので、当該活性成分の含有量は、比較的高い値とすることができるが、適切には50%以下である。
【0090】
本発明の注入可能なゲルは、本分野の慣習的な方法に従い製造され得る、ここで当該慣習的な方法とは、好ましくは以下の:ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容されるポリマー補助剤の重量を測定し、それらを有機溶媒の中に溶解し、注入可能なゲルを得ることである。当該溶媒は、例えば、非制限的に、N−メチルピロリドン、DMSOなどである。病院において、本発明の注入可能なゲルは、皮下又は筋肉内に、直接的に注入され得る、次いで当該有機溶媒は素早く体液に拡散し、代謝され、当該ゲルは、皮下又は筋肉内に固形化し、移植片を形成する、そして当該移植片から、生体内の循環系に少しずつ拡散する。本発明の注入可能なゲルの投与間隔は、少なくとも2週間である。それ故、本発明の注入可能なゲルは、投与が容易であり、慣習的な経口製剤の欠点を克服する。
【実施例】
【0091】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤は、以下の実施例、及び実験によりさらに例証されるが、これらの実施例は、本発明の限定を意図するものではない。
【0092】
以下の実施例において、マイクロスフィアの直径を、本分野においてよく知られるL2000型自動レーザー粒径メーター(Beckman Coulter)により測定した。濃度を、Journal of Modern Applicable Pharmacy,1993,10(1),51〜52頁、及びJournal of Chinese Medical and Pharmaceutical Industry,1999,30(8),363〜365頁などの如き文献に記載の方法に従い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0093】
実施例1
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタンに溶解し、次いで、激しい撹拌下(1200〜1600rpm)250mlの0.5%PVA水溶液中に、滴下で添加した。当該添加が完了した後、激しい撹拌を3〜10分間続け、次いで、当該撹拌速度を300rpmまで低減し、当該溶媒を4〜6時間揮発させ、そしてマイクロスフィアをろ過し、蒸留水で3回洗浄し、凍結乾燥した。
【0094】
レーザー粒径メーターの測定によると、当該マイクロスフィアは、1〜250マイクロメーターの粒径、及び図2に示すような粒径分布を有した。実施例1において得られたマイクロスフィアの走査型電子顕微鏡写真を、図3に示した。
【0095】
実施例2
10%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=13,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0096】
実施例3
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチン、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した、ここで、250mlの0.5%ソジウム・カルボキシメチルセルロース水溶液を、0.5%PVA水溶液の代わりに使用した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0097】
実施例4
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチン、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=75:25、分子量=11,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0098】
実施例5
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、撹拌下、20mlのジクロロメタンを添加することにより溶解させ、次いで慣習的なスプレー乾燥方法により、マイクロスフィアを得た。当該マイクロスフィアは、測定によると、1〜100マイクロメーターの粒径を有しており、次いで当該マイクロスフィアをサブパッケージした。
【0099】
実施例6
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、撹拌下、10mlのジクロロメタンを添加することにより溶解させ、次いで慣習的な噴霧方法により、200mlのペトロレウムエーテル中に噴霧し、抽出し、ろ過し、そして乾燥させマイクロスフィアを得た。当該マイクロスフィアは、測定によると、1〜100マイクロメーターの粒径を有しており、次いで当該マイクロスフィアをサブパッケージした。
【0100】
実施例7
10%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリカプロラクトン(分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアを、ふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0101】
実施例8
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(乳酸)(分子量=12,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0102】
実施例9
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=40,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0103】
実施例10
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンホルマート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0104】
実施例11
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンアセテート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0105】
実施例12
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンプロピオナート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0106】
実施例13
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンベンゾエート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0107】
実施例14
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンベンゾエート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=40,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0108】
実施例15
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロピニロール、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0109】
実施例16
0.15gのロピニロールヒドロクロライドを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0110】
実施例17
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのプラミペキソール、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0111】
実施例18
0.15gのペルゴリドメタンスルホナートを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0112】
実施例19
0.15gのテルグリドマレエートを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0113】
実施例20
1gのロチゴチンを、1mlのジクロロメタンに溶解させ、そして、9gの粉にされたポリアンハイドライド{ポリ(1,3−ジカルボキシフェノキシプロパン−セバシン酸)、分子量=40,000、平均粒径=約200マイクロメーター}と十分に混合し、次いで、加熱し、そして、押し出し、10%の薬物、1mmの直径、及び30mmの長さを有するロッド形状の移植片を製造した。
【0114】
実施例21
1gのジナプソリン(dinapsoline)ヒドロブロミドを、1mlのジクロロメタンに溶解させ、そして、9gの粉にされたポリアンハイドライド{ポリ(1,3−ジカルボキシフェノキシプロパン−セバシン酸)、分子量=40,000、平均粒径=約200マイクロメーター}と十分に混合し、次いで、加熱し、そして、押し出し、10%の薬物、1mmの直径、及び30mmの長さを有するロッド形状の移植片を製造した。
【0115】
実施例22
0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、N−メチルピロリドンに溶解させ、15%の薬物積載量(ここで、溶媒を考慮しなかった)を有する注入可能なゲルを製造した。
【0116】
実施例23
0.15gのカベルゴリンジホスフェイト、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=60:40、分子量=25,000)を、重さを計り、N−メチルピロリドンに溶解させ、15%の薬物積載量(ここで、溶媒を考慮しなかった)を有する注入可能なゲルを製造した。
【0117】
実験1:ロチゴチンマイクロスフィアの生体外放出試験(1)
実施例1〜6のマイクロスフィアを、生体内の状態を刺激する放出試験に使用した。
【0118】
発明者等の研究によると、7.4のpH値を有する緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液)中の当該薬物放出挙動は、体内におけるものと似ていた、故に、生体内環境とは異なるけれども、当該生体内放出様式を、当該緩衝液を使用することによりシミュレートした(実験3、及び図13も参照のこと)。
【0119】
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:正確に重さ、サンプルの約1mgを計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、そして計画に従ってサンプリングする。
【0120】
サンプリング方法:3600rpmで、20分間、当該遠心チューブを遠心分離機にかけ、正確に3ml溶液を取り、そして同時に、当該放出媒体を補充し、そして得られた溶液をHPLCにより分析する。
【0121】
サンプリング時間(日):0、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、及び30日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。
【0122】
pH7.4の条件下で、実施例1〜6のマイクロスフィアの生体外放出効果を、図4〜9にそれぞれ示した。実施例1〜6において得られたマイクロスフィアの実験結果を、表1に示した。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
注:上記表における当日の放出を、その日までの累積放出から計算した、具体的には、2つの測定の間の薬物放出速度は変化しないと仮定している。式にして表示すると、当日の放出=(当日の累積放出−前回の測定により得られた累積放出)÷前回の日数と当日の日数の間の日数、である。
【0126】
例として実施例1を取り上げると、0日目における放出は0であり、1日目における累積放出は5.8である、故に、1日目における放出=(5.8−0)÷(1−0)=5.8であり;2日目における累積放出は7.4であるので、2日目における放出=(7.4−5.8)÷(2−1)=1.6であり;4日目における累積放出は9.8であるので、4日目における放出=(9.8−7.4)÷(4−2)=1.2である。残りは分析により推定されるだろう。
【0127】
表に関して、本発明のロチゴチンの持続放出マイクロスフィアは、2週間超の期間内において安定放出された。それ故、パーキンソン病の患者の投与頻度は、著しく低減され得るだろうし、用量を効果的に制御でき、そして副作用は避けられる。
【0128】
実験2:ロチゴチンマイクロスフィアの生体外放出試験2
実施例11及び13のマイクロスフィアを実験1の方法と同様の方法に従い、測定した。ただし、サンプリング時間(日)を、0、1、2、4、6、8、12、14、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、及び38日とした。
【0129】
pH7.4の条件下、実施例11及び13のマイクロスフィアの生体外放出効果を、図10及び11に示した。
【0130】
実験3:持続放出マイクロスフィアの生体内放出試験
血しょうサンプルの分析
血しょうサンプルの前処理:500μLの血しょうサンプルを正確に計り、試験管内に入れ、100μLの内部標準溶液(1ng/mLのベネドリルメタノール−水(50:50、v/v)溶液)を添加し、100μLのメタノール−水(50:50、v/v)、及び100μLの1MのNa2CO3溶液を添加し、そして均一に混合する;3mLのn−へキサン−ジクロロメタン−イソプロパノール(300:150:15、v/v/v)を添加し、1分間、渦流状態で混合し、15分間、相互に振動し(240/分)、5分間遠心(3500rpm)し、他の試験管内に上層として当該有機相を移し、窒素ガスを吹き付け、そして25℃で乾燥し、当該残留物を100μLの移動相を添加することにより溶解し、渦流状態で混合し、そしてLC/MS/NS分析のために20μLを取り出した。
【0131】
クロマトグラフィー条件は、以下の通りである。
クロマトグラフィーカラム:Zorbax Extend−C18カラム、5μmの粒径、150×4.6mm I.D.(Agilent Company、U.S.A);
移動相:アセトニトリル−水−ギ酸(300:300:6 v/v/v);
流速:0.7mL/分;
カラム温度:37℃;
サンプルサイズ:20μL
【0132】
質量スペクトル条件は、以下の通りである。
イオン源:イオンスプレーイオン化源;
イオンスプレー電圧:5000V;
温度:450℃
内部源ガス1(GS1、N2)圧:50psi;
ガス2(GS2、N2)圧:50psi;
ガスカーテンガス(N2)圧:15psi;
陽イオン検出モード;スキャニングモード:多重反応モニタリング(MRM);
DP電圧:56V;
衝突ガス(N2)圧:3psi;
定量分析のためのイオン反応は、それぞれ以下の
【化3】
である。
【0133】
標準曲線の作成:0.5mLのブランク血しょうを取り、100μLのMD102標準連続溶液を添加し、0.01、0.03、0.10、0.30、1.00.及び2.00ng/mLの血しょう濃度に相当する血しょうサンプルを製造し;そして
Pharmacopoeia of People’s Republic of China2000年版の「血しょうサンプルの分析方法」に従って、標準曲線を作成する。
【0134】
標準曲線としての直線回帰方程式を、横座標として血しょう中で試験された物質の濃度を、縦座標として当該試験された物質対内部標準のピーク面積比を使用することにより得て、そして最小二乗法(W=1/x2)を使用することにより回帰計算を実施する。
【0135】
実験方法:
9〜11kgの体重を有し、自由に水を飲み、餌を食べる3匹の健康なビーグル犬、1匹の雌、及び2匹の雄に、5.5mg/kgの用量のロチゴチンを筋肉注射で投与し、そして、投与後、規定の計画に従い3mLの血液サンプルを前肢の静脈から取り、ヘパリン化された試験管内に入れ、そして6000rpmで10分間遠心し、次いで、当該血しょうを分離し、そして−20℃で保存し、そして、上記分析方法に従って分析した。
【0136】
図12は、実施例3で得られたマイクロスフィアについての生体内(ビーグル犬)試験における血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0137】
図13は、実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアについての、pH値7.4の模擬放出液体における日毎の又は累積率の折れ線図と、生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図との比較図を示す。
【0138】
図12により、本発明のマイクロスフィアの薬物放出が少なくとも2週間は安定であることがわかる。
【0139】
実験4:移植片の生体外放出試験
実験方法:
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:実施例20の移植片の約0.1gの重さを正確に計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、計画に従って3mlをサンプリングし、そして3mlの当該放出媒体を補充する。
【0140】
サンプリング時間(日):0、1、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、94、91、98及び105日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。結果を表2に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
上記実験の結果により、本発明の移植片は、2ヶ月間超の期間継続的に薬物を放出し得る。
【0143】
実験5:注入可能なゲルの生体外放出試験
実験方法:
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:実施例22で得られた注入可能なゲルの約0.1gの重さを正確に計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、計画に従って3mlをサンプリングし、そして3mlの当該放出媒体を補充する。
【0144】
サンプリング時間(日):0、1、2、5、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、38、42、45日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。結果を表3に示した。
【0145】
【表5】
【0146】
上記実験の結果により、本発明のゲルは、45日間超の間、継続的に薬物を放出し得る。
【0147】
実施例24
8%の薬物(実際には7.8%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.08gのロチゴチン、及び0.92gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、180マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0148】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には7.8%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図16に示した。
【0149】
当該持続放出マイクロスフィアを、生体内放出試験のためにビーグル犬に投与した、ここで、ロチゴチンの投薬量は、2.75mg/kg(当該ビーグル犬の体重を10kgと仮定すると、当該投薬量は、65kgの体重の成人した人間に一度で注入される7.8%の薬物を有するマイクロスフィアに相当する)であった。
【0150】
当該マイクロスフィアを生理食塩水中に懸濁し、そして血液サンプルを1〜30日間取り、そしてHPLC−MS試験により検出し、0.05〜0.4ng/mlの血中薬物値を示した。これは、当該持続放出マイクロスフィアが少なくとも30日の間、薬物を安定的に放出することを示すが、しかしながら、当該血中薬物濃度は、比較的低く、特に評価期間のパーキンソン病の治療のための血中薬物濃度の要求(>0.5ng/mL)にほとんど見合わない、一方、投薬量の増大は、患者における不平、及び苦しみを導き得る過剰注入を意味する。
【0151】
図17は、実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際は7.8%の薬物を有する)についての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0152】
実施例25
30%の薬物(実際には26.5%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.30gのロチゴチン、及び0.70gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0153】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には26.5%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図18に示した。
【0154】
実施例26
30%の薬物(実際には34%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.4gのロチゴチン、及び0.60gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0155】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には34.5%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図19に示した。
【0156】
当該持続放出マイクロスフィアを、生体内放出試験のためにビーグル犬に投与した、ここで、ロチゴチンの投薬量は、5.5mg/kg(当該ビーグル犬の体重を10kgと仮定すると、当該投薬量は、65kgの体重の成人した人間に一度で注入される34%の薬物を有するマイクロスフィアに相当する)であった。
【0157】
当該マイクロスフィアを生理食塩水中に懸濁し、筋肉内に投与し、そして血液サンプルを1〜11日間、取り出し、そしてHPLC−MS試験により検出し、28〜0.05ng/mlの血中薬物値を示した。この結果が示すことは、当該薬物積載量が比較的高い(>30%)とき、24時間内のマイクロスフィアの初期放出が比較的高く、そのことが動物における強い嘔吐などの如き副作用をもたらし、当該血中薬物濃度が時間の経過につれて急速に低減し、当該持続放出効果があまり良くないことを示す。
【0158】
図20は、実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には34%の薬物を有する)についての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0159】
実施例27
50%の薬物(実際には41%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.50gのロチゴチン、及び0.50gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0160】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には41%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図21に示した。
【0161】
実施例28
50%の薬物(実際には43%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.50gのロチゴチン、及び0.50gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=35,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0162】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には43%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図22に示した。
【0163】
実施例29
60%の薬物(実際には47%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.60gのロチゴチン、及び0.40gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0164】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には47%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図23に示した。
【0165】
産業上の実用的利用可能性
本発明は、ドーパミン受容体アゴニストを組込むために生物分解性ポリマーを使用し、長時間作用する持続放出製剤、例えば、2週間超の投与間隔を有する注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、及び移植片、特に1ヶ月間超の投与間隔を有する移植片を製造する。それ故、本発明は、パーキンソン病、及び他のドーパミン受容体関連疾患の患者に対する投与を著しく促進する。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、異なる内容物を有するロチゴチンのマイクロスフィアの示唆熱分析図である。
【図2】図2は、実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの粒径系統図である。
【図3】図3は、実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図5】図5は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例2において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図6】図6は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図7】図7は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例4において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図8】図8は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例5において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図9】図9は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例6において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図10】図10は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例11において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図11】図11は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例13において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図12】図12は、実施例3において得られたマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図13】図13は、実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアについての、pH値7.4の模擬放出液体における日毎の又は累積率の折れ線図と、生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図との比較図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図14】図14は、実施例20において得られた移植片の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図15】図15は、実施例22において得られた注入可能なゲルの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図16】図16は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には7.8%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図17】図17は、実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図18】図18は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例25において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には26.5%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図19】図19は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には34%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図20】図20は、実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図21】図21は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例27において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には41%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図22】図22は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例28において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には43%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図23】図23は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例29において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には47%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤、特に、ドーパミン作用製剤の注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲル、並びにそれらの製造方法に関し、そして、当該長時間作用する持続放出製剤、特にマイクロスフィアの製造のための、及びドーパミン受容体関連疾患の治療又は補助療法のための、及びパーキンソン病又はパーキンソン症候群の如き振せん麻痺(以下、パーキンソン病という。)の治療ためのこれらの化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーパミン受容体アゴニストは、パーキンソン病の治療のための重要な物質である。現在、臨床的に使用されるドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、テルグリド、キナゴリド、カベルゴリン、並びにそれらの誘導体及び医薬として許容される塩の如きドーパミンアゴニストを含み、そして、臨床試験段階にあるものは、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)、ABT−431、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体及び医薬として許容される塩を含む。
【0003】
上記薬物は、通常、病院で経口又は経皮投与される。経口投与は便利であるけれども、進行したパーキンソン病の患者は、通常記憶力が減退し、薬の摂取を忘れ得る、そしてそれらの症状は悪化していくだろう。さらに、経口投与後薬物濃度の比較的大きな変動は、副作用を悪化させ得、「オン−オフ現象」をもたらし、そして胃腸管及び肝臓の初回通過効果は、生体内利用を低減させる。例えば、経口投与についてのロチゴチンの生体内利用は、肝臓内の初回通過効果により、たった1〜5%である、つまり経口製剤は好適ではない。反対に、軟膏、こう薬などの如き通常の経皮製剤の経皮吸収は、十分ではなく、及びしばしば変化する、というのは、当該経皮吸収が多くの要因により影響されるのからである。さらに、経皮製剤は、皮膚の低透過性により影響され、それ故、低摂取、低い生体内利用性、及び多くの個人差を有し、つまりは、それらの治療効果は、特に、進行したパーキンソン病の患者に限られる。
【0004】
注入の如き非経口投与は初回通過効果を避け得るが、ロチゴチン及びプラミペキソールなどはたった2時間の短い半減期を有し、それ故、1日に数回投与されるべきであり、そして、比較的長い半減期を有する他の薬物は、それでも毎日又は2日に1回投与されるべきであり、パーキンソン病の患者のための当該投与をほとんど容易にしない。
【0005】
それ故、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、好ましくは経口投与ではなく筋肉内注入又は皮下投与されるものであり、数週間、数ヶ月間、それ以上の安定した放出速度を維持し得、パーキンソン病の患者の痛みをできるだけ低減する前期持続放出製剤の提供が期待される。
【0006】
CN1531428A(国際特許公開第WO2002/015903号)は、ロチゴチンのデポ型持続放出製剤を開示し、ここで、油性溶媒中にロチゴチンヒドロクロライドを懸濁することによりにより得られるいわゆる「デポ」の使用は、投与間隔を1日超まで伸ばした。CN1531428Aは、持続放出の提供のためのロチゴチンのマイクロ粒子又はマイクロカプセル(すなわち、本発明のマイクロスフィア)の製造を言及した先行技術EP0625069(CN1090172A)を引用するけれども、ロチゴチンのマイクロカプセル又は持続放出マイクロスフィアの成分、及びそれらの比率についての開示は全くない。
【0007】
1週間に1度又は2週間に1度、さらに1ヶ月に1度又はより長い投与間隔を有する長時間作用する持続放出製剤を達成するために、当該持続放出製剤が生体内で長期間に渡り安定して薬物を放出し、その間生体内の有効な血中薬物値を維持するだけでなく、当該製剤は体内への注入後に重大な副作用を引き起こさないべきである。それ故、当該活性成分、及び補助剤の両方の使用と量は、1又は複数の週、さらに1ヶ月の投与間隔を満たすために、及びよりよい治療効果を達成するために、厳密に定義されるべきである。
【0008】
CN1531428A、及びCN1090172Aは、ドーパミン受容体アゴニストの持続放出製剤、及びそれらの補助剤については全く開示しない、故に、長時間作用する持続放出製剤(1又は2週間、さらに1ヶ月間またはそれより長い投与間隔を有するもの)は、実際に未だ知られていない。
【0009】
本発明の発明者等は、ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出の提供のためにさらなる研究を実施し、活性成分が組込まれた生物分解性ポリマーの使用により入手される注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲルが、当該活性成分を、それらが筋肉内又は皮下投与された後、数週間、さらに数ヶ月の間、連続して安定的に放出し得、その一方で、それらは高い生体内利用性、血中薬物値の小さな変動、及び著しく低減された投与頻度を有することを発見した。従来の経口製剤と比較して、副作用を低減し、「オン−オフ現象」の発生する頻度が低減されるが、一方、生体内利用性は著しく増大し、患者の規則順守を改良し、そしてこれらの薬物の治療効果を最大限まで達成した。これに基づき、本発明は実施される。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、及び移植片などの如きドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤を提供することである。本発明に関して当該投与間隔は、1日又はそれ未満から1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間又はそれ超までにかけてであり、それ故、当該投与頻度は、著しく低減し、当該初回通過効果は避けられ、当該生体内利用性及び治療効果は促進され、そしてそれ故、パーキンソン病の患者の痛みは、著しく緩和され、彼らの生活の質が改善された。
【0011】
本発明の上記目的は、以下の技術的解決により実施される。
【0012】
本発明は、ドーパミン受容体アゴニスト、特にロチゴチンの注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片など、特に注入可能なマイクロスフィアの如き、長時間作用する持続放出製剤を提供することに関する。
【0013】
本発明は、長時間作用する持続放出製剤を使用することによる、パーキンソン病の治療方法をさらに提供する。
【0014】
具体的にいうと、本発明は、ドーパミン受容体アゴニストの治療有効量、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含む、パーキンソン病の治療のための長時間作用する持続放出製剤に関し、ここで、当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの重量含有量は、5〜50%であり、当該持続放出製剤中の医薬として許容されるポリマー補助剤の重量含有量は、50〜95%である。
【0015】
当該ドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、キナゴリド、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせからなる群より選択される。
【0016】
当該医薬として許容される生物分解性補助剤は、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである。
【0017】
上記ドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤は、好ましくは、注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片などである。
【0018】
当該持続放出製剤中の上記ドーパミン受容体アゴニストは、好ましくは、固溶体状態で存在する。
【0019】
上記長時間作用する持続放出製剤において、当該医薬として許容される生物分解性補助剤は、好ましくはポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及びポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、又はそれらの複数の組み合わせから、より好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、及びポリアンハイドライド、又はそれらの複数の組み合わせから、特により好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、さらに特に、5,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)から選択される。
【0020】
上記ポリ(ラクチド−グリコリド)中、ラクチド対グリコリドの重合比は、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75である。
【0021】
上記ドーパミン受容体アゴニストに関して、それらの医薬として許容される塩は、医薬活性成分と、無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなる塩であり、ここで、当該無機酸は塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり、当該有機酸はクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり、そして前記酸性アミノ酸はグルタミン酸又はアスパラギン酸などである。
【0022】
さらに具体的には、プラミペキソール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;ロピニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;ペルゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートなどの遊離塩基であり;カベルゴリン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、カベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートなどの遊離塩基であり;テルグリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、テルグリド又はテルグリドマレエートなどの遊離塩基であり;キナゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、キナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;スマニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、スマニロール又はスマニロールマレエートなどの遊離塩基であり;SLV−308あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、SLV−308又はSLV−308ヒドロクロリドなどの遊離塩基であり;アドロゴリド(adrogolide)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、アドロゴリド、アドロゴリドヒドロクロリド又はそれらの形質転換体であるA−86929などであり;ジナプソリン(Dinapsoline)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、ジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドなどであり;そして、BAM−1110、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩は、BAM−1110又はBAM−1110マレエートなどである。
【0023】
上記ドーパミン受容体アゴニストに関して、最も好ましいものは、一般式(Ia)に示されるようなロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩であり、ここで当該一般式(Ia)は、以下の:
【化1】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシル(好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルである。)を示し;
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C4アルキルを示し;
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは、1〜10より選択される整数(好ましくは1〜3である。)である}であり、そして、前記それらの医薬として許容される塩は、当該ロチゴチンの遊離塩基と、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸からなる。
【0024】
当該好ましいロチゴチン型化合物は、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラート、及びそれらのヒドロクロリドである。
【0025】
上記長時間作用する持続放出製剤において、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含有量は、好ましくは10〜40重量%であり、当該医薬として許容されるポリマー補助剤の重量含有量は、60〜90重量%であり、そして、当該ドーパミン受容体アゴニスト対医薬として許容されるポリマー補助剤の重量比は、(10〜30):(90〜70)である。
【0026】
上記長時間作用する持続放出製剤が注入可能な持続放出マイクロスフィアであるとき、その粒径は、好ましくは50〜200マイクロメーターである。本発明の他の内容及び利点は、以下の詳細な説明中にさらに例証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
パーキンソン病の治療のための本発明の長時間作用する持続放出製剤は、有効量のドーパミン受容体アゴニスト、及び適した量の医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含み、そして特定の例において、注入可能な持続放出マイクロスフィア、注入可能なゲル、移植片などを含む。
【0028】
明らかに、上記主な成分(すなわち、活性成分としてのドーパミン受容体アゴニスト、及び当該医薬として許容されるポリマー補助剤)に加えて、本発明の持続放出製剤は、非制限的に溶媒、緩衝液、等張剤などの如き当該製剤の製造、及び投与に必要な他の成分をさらに含み得る。言及した持続放出製剤に関する割合又は内容の全ては、当該活性成分及び医薬として許容されるポリマー補助剤の総量に基づく。
【0029】
ここで、当該ドーパミン受容体アゴニストは、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、キナゴリド、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせから選択されるものである。
【0030】
上記に言及された医薬として許容される塩は、ドーパミン受容体阻害剤と医薬として許容される酸、特に無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなり、ここで、当該無機酸が塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり、当該有機酸がクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり、そして当該酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸などである。
【0031】
本発明において、プラミペキソール又はその誘導体あるいはそれら医薬として許容される塩は、欧州特許第EP186087号、及び米国特許第US4886812号に開示されるような関連化合物であり、他の文献に開示されるような他の改良された化合物又は医薬として許容される塩は、好ましくは、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0032】
ロピニロール又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4452808号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるロピニロール誘導体又はそれらの医薬として許容される塩であり、好ましくはロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0033】
ペルゴリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4166182号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるペルゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートの遊離塩基などである。
【0034】
カベルゴリン又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4526892号、及び欧州特許第EP888243号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるカベルゴリン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはカベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートの遊離塩基などである。
【0035】
テルグリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US3953454号、及びDE3001752号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるテルゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはテルゴリド又はテルゴリドマレエートの遊離塩基などである。
【0036】
キナゴリド又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4565818号、及び欧州特許第EP77754号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるキナゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはキナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドの遊離塩基などである。
【0037】
スマニロール又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US5478734号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるスマニロール誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはスマニロール又はスマニロールマレエートの遊離塩基などである。
【0038】
SLV−308又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO00/29397号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるSLV−308誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはSLV−308又はSLV−308ヒドロクロライドの遊離塩基などである。
【0039】
アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO94/22858号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるアドロゴリド誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはアドロゴリド又はアドロゴリドヒドロクロライド又はアドロゴリドの形質転換体A−86929の遊離塩基などである。
【0040】
ジナプソリン(dinapsoline)又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、国際特許公開第WO97/06799号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるジナプソリン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドの遊離塩基などである。
【0041】
BAM−1110又はその誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩は、米国特許第US4713457号に開示されるような関連化合物、あるいは他の文献に開示されるBAM−1110誘導体又はそれらの医薬として許容される塩から選択されるもの、好ましくはBAM−1110又はBAM−1110マレエートの遊離塩基などである。
【0042】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤において、当該活性成分は、最も好ましくはロチゴチン、すなわち、ロチゴチン化合物、及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩である。
【0043】
ロチゴチンの構造式は、一般式(Ia):
【化2】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシルであり、好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルを示し;
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル(好ましくはC1〜C5アルキル)を示し;
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは、1〜10、好ましくは1〜3より選択される整数であり、最も好ましくは2である。}であり、当該それらの医薬として許容される塩は、ロチゴチンの遊離塩基と、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸とからなり;当該好ましいロチゴチン化合物及びそれらの誘導体は、好ましくは、ロチゴチン、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンベンゾエート、並びにロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラート、そしてそれらのヒドロクロリドであり、特に、以下の表に示される化合物(I)、(II)、(III)(IV)である。
【表1】
【0044】
もし、化合物(I)が種類としてロチゴチンの母核に使用されたならば、当該化合物(II)〜(VI)は、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンブチラート、及びロチゴチンイソブチラートと名付けられる。上記化合物の中で、ロチゴチン、すなわち当該化合物(I)、は最も好ましいものであり、その医薬として許容される塩は、ロチゴチンヒドロクロリドである。
【0045】
本発明の長時間作用する持続放出製剤の活性成分は、代謝体又はそれらの形質転換体(プロドラッグ)、さらに上記化合物とさらになり得る。
【0046】
本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものであり、ここで、それらの分子量は、2,000〜1,000,000ダルトンであり、そして、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、好ましくは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)又はそれらの複数の組み合わせである。
【0047】
当該持続放出製剤が注入可能なマイクロスフィアであるとき、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、より好ましくは、2,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)であり、ここで、当該ポリ(ラクチド−グリコリド)におけるラクチド対グリコリドの重合比は、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75、最も好ましくは約50:50である。
【0048】
当該持続放出製剤が注入可能なゲル又は移植片であるとき、本発明の医薬として許容されるポリマー補充剤は、より好ましくは、2,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有するポリ(乳酸)である。
【0049】
本発明の長時間作用する持続放出製剤において、当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの重量パーセント含量は、5〜50%、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容されるポリマー補充剤の重量含量は、50〜95%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜90%、最も好ましくは70〜90%である。
【0050】
もし、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含量が5%未満であるならば、当該血中薬物値は、十分に高い値を維持できないだろう。一方、もし当該重量含量が50%超であるならば、当該薬物の放出は安定せず、副作用が起こり得るだろう。
【0051】
当該持続放出製剤中のドーパミン受容体アゴニストの含量が一定の値であるとき、この薬物は、当該医薬として許容される補充剤中に均一に分布され、固溶体状態に存在し、そしてそれは薬物の安定放出を確かなものとする。一方、もし当該含量が比較的高いならば、当該薬物は当該製剤中において固溶体状態で存在せず、当該薬物放出は不安定となるだろう。このことは、当該持続放出マイクロスフィアについてより重要であり、当該薬物がマイクロスフィア中に固溶体状態で存在しないことは、薬物の突然の放出を引き起こす重要なメカニズムとして認められる。注入可能なゲル又は移植片の如き他の持続放出製剤に関しては、それらがマイクロスフィアのように血液と共に流れず、突然の放出を産生する可能性が少ないので、当該含量範囲は適切に広くし得るが、50%を超えるべきではない。
【0052】
このことは、実施例のようなロチゴチンマイクロスフィアを利用することによりさらに例証される。以下の実施例の方法により製造されるような異なる含有量によるロチゴチンマイクロスフィアと対照としてのロチゴチン自体の示唆熱分析図を図1に示す。図1において、曲線aはロチゴチン積載量が30%未満のときの示唆熱曲線であり、曲線bはロチゴチン積載量が34%のときの示唆熱曲線であり、曲線cはロチゴチン積載量が47%のときの示唆熱曲線であり、そして曲線dはロチゴチン自体の示唆熱曲線である。
【0053】
図1について、ロチゴチンは結晶性固体であり、79〜80℃の融点を有する(曲線dを参照のこと)。当該薬物積載量がマイクロスフィア中に30%未満であるとき、ロチゴチンは、乳酸及びヒドロキシ酢酸の共重合体との良い互換性を有し、ロチゴチンは、当該ポリマー担体中に本質的に完全に溶解させられ、固溶体を形成する、というのは、ロチゴチンの融点が観察されないからである(曲線aを参照のこと)。しかしながら、当該薬物積載量が34%に達するとき、ロチゴチンの融点は、73℃で観察され(曲線bを参照のこと)、当該薬物の積載量の増加と共に上昇し、例えば当該積載量が47%のとき、ロチゴチンの融点は76℃であり(曲線cを参照のこと)、そして、熱吸収領域は、同様に増大する。そのことは、当該薬物積載量が34%超であるとき、全てのロチゴチンが固溶体状態で存在するわけではないこと、及びロチゴチンの一部は結晶となることを意味する、というのは、当該マイクロスフィアは均一相のものではなく分離層を含むからである。一方、この種の相分離は、当該マイクロスフィアの物理的及び機械的特性に影響を与えるだけではなく、より高い初期放出及びより素早い持続放出をもたらす。
【0054】
当該ロチゴチン含量が一定のとき、マイクロスフィア中の当該融点及び熱吸収領域は、純粋ロチゴチンの融点及び熱吸収領域よりも低く又は小さくなる(曲線dを参照のこと)、というのは、マイクロスフィア中のロチゴチン結晶が完全でなく、及び当該ロチゴチンの一部が結晶化されているだけだからである。
【0055】
本発明は、単一活性成分として上記医薬成分の内の1つを含む長時間作用する持続放出製剤だけでなく、活性成分並びに医薬として許容されるポリマー補助剤として、複数の上記医薬成分を組み合わせで含む長時間作用する持続放出製剤をも提供する、そして、長時間作用する持続放出の注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル又は移植片の如き製剤は、同様の又は異なる持続放出効果を有し、いくつかの異なる活性成分の相乗効果を提供する。
【0056】
注入可能な持続放出マイクロスフィア、移植片又は注入可能なゲルの如き、本発明の長時間作用する持続放出製剤は、少なくとも1週間、好ましくは2週間の投与間隔を有し、ここで、当該移植片、及びゲルは少なくとも1ヶ月間の投与感覚を有する。本発明の注入可能なマイクロスフィア、移植片、及び注入可能なゲルは、以下のように分けて例証される。
【0057】
持続放出マイクロスフィア
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィア(注入可能なマイクロスフィア、本発明のマイクロスフィアとも呼ばれる)は、本分野において慣習的な方法により製造される。
【0058】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出注入可能なマイクロスフィアは、好ましくは1〜250マイクロメーター、最も好ましくは50〜200マイクロメーターの粒径を有し、故に、一定の時間効果、生物分解性を維持し、かつ血液循環に影響を与えない、なぜならば、過剰に小さな直径を有するマイクロスフィアは、長時間の薬剤作用をほとんど維持できず、毛細血管の障害となり得、及び血液循環に影響を与え得るからであり、一方、過剰に大きな直径を有するマイクロスフィアは遅すぎる初期放出となり、治療有効血中薬物値に達することができないからである。
【0059】
本発明の持続放出マイクロスフィアについて、活性成分の積載量は、過剰に低くすべきではない、さもなければ、患者に注入されるマイクロスフィアの多量が痛みなどの如き副作用を引き起こし得る。一方、もし当該積載量が過剰に高いならば、当該マイクロスフィアを患者に投与したとき、重大な突然の放出及び過剰摂取を引き起こし得る。
【0060】
特に、当該活性成分の重量含量は、5〜50%、好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容される分解可能なポリマー補助剤の重量含量は、50〜95%、好ましくは60〜90%、最も好ましくは、70〜90%である。
【0061】
以下の実施例及び実験に関して、当該ドーパミン受容体アゴニストの重量含量が5%未満のとき、血中薬物値は十分に高い値で維持され得ない、一方、当該重量含量が50%より高いとき、当該薬物放出は不安定であり、突然の放出及び副作用が生じ得る。
【0062】
以下の実施例及び実験に関して、適切な薬物積載量は、50%より高くなるべきではなく、好ましくは30%未満である。治療のための最小の血中薬物値、及びマイクロスフィアの許容される注入量に関して、当該薬物積載量は、最も好ましくは、10〜30%である。
【0063】
本発明の長時間作用する持続放出マイクロスフィアにおいて、当該ドーパミン受容体アゴニストは、好ましくはロチゴチン、及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩から選択され、ここでロチゴチン、及びそれらの誘導体は、ロチゴチン、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンプロピオナート、ロチゴチンブチラート、ロチゴチンイソブチラート、及びロチゴチンベンゾエート、及び好ましくはヒドロコリドであるそれらの医薬として許容される塩である。
【0064】
本発明のロチゴチン及びそれらの誘導体又は医薬として許容される塩の注入可能なマイクロスフィアにおいて、ロチゴチン成分及び医薬として許容されるポリマー補充剤の総重量に基づいて、当該ロチゴチンは、5〜50%、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%であり、当該医薬として許容されるポリマーは、50〜95%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜90%、最も好ましくは70〜90%である。
【0065】
本発明のロチゴチン、及びそれらの誘導体又はそれらの医薬として許容される塩が製造されるとき、ロチゴチン及び誘導体又は医薬として許容される塩は、固溶体状態、すなわち、当該活性成分が補助剤と分離せず、かつ均一相に存在する状態となるべきである。
【0066】
本発明のマイクロスフィアは、非制限的にスプレー乾燥法、溶媒揮発法、及び噴霧抽出法の如き、本分野における慣習的なマイクロスフィアの製造方法により製造される。
【0067】
溶媒揮発法を使用して本発明のマイクロスフィアを製造するとき、ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤は有機溶媒中に溶解させられ、有機相を形成する。さらに、医薬として許容される水溶性ポリマーを使用し連続性水相を形成する。当該有機相は、小管を通じて当該連続相の中に注入され、機械的な撹拌又は超音波の激しいかき混ぜ下で乳化され、マイクロスフィアを形成し、次いで、当該有機相を揮発し、そして形成されたマイクロスフィアをろ過により分離し乾燥させる。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分け処理、真空乾燥又は凍結乾燥の如き乾燥処理、及びサブパッケージの如き慣習的な後処理にさらに供する。
【0068】
上記工程の間、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生体分解性補助剤は、前述のものである。工程を考慮して、当該有機溶媒は、十分な揮発、低い残余、及び低沸点の溶媒であるべきであり、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、エチルエーテル、及びそれらの組み合わせの混合溶媒である。連続水相を形成するために使用される当該医薬として許容されるポリマーは、非制限的にポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の組み合わせから選択される。
【0069】
当該有機相が製造されるとき、当該有機溶媒中のドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生分解性補助剤の含有量は、当該有機溶媒中に溶解され得るかどうか制限されないが、可能な濃度と粘度とのバランス、及び有機溶媒の低減を考慮して、当該濃度は好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0070】
ポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の組み合わせが、当該連続水相を製造するために使用されるとき、その濃度は、明確に限定されるわけではないが、水中のその溶解度に従う。当該水相中のその濃度は、好ましくは0.01〜12%(w/v)、より好ましくは0.01〜10.0(w/v)、より好ましくは0.1〜5%(w/v)である。
【0071】
激しいかき混ぜ下で当該有機相が水相に注入されマイクロスフィアを形成するとき、当該有機相対水相の体積比は、当該有機相が水相中に十分に分散させられ十分に小さな粒径及び均質性のマイクロスフィアを形成する値である。しかしながら、過剰量の水相を使用すると、当該後処理は複雑となり、コストが増大する、故に、これらの特徴を考慮して、当該有機相対水相の質量比は、約1:4〜1:100である。
【0072】
当該マイクロスフィアはスプレー乾燥法によっても製造され得る。当該ドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアがスプレー乾燥法により製造されるとき、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤を有機溶媒中に十分に溶解し、有機溶液を形成し、次いで、当該溶液をろ過し、そして慣習的なスプレー乾燥法により処理し、マイクロスフィアを形成する。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分けの如き慣習的後処理に供し、次いでサブパッケージする。
【0073】
当該スプレー乾燥法を使用してマイクロスフィアを形成するとき、当該有機溶媒は、非制限的に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、及びそれらの混合溶媒となり得る。
【0074】
当該有機相を製造するとき、当該有機溶媒中の医薬として許容される分解性補助剤の含有量は、これらの補助剤が当該有機溶媒中に溶解され得るかどうかに限られないが、可能な濃度と有機溶媒の低減とのバランスを考慮して、当該濃度は、好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0075】
当該マイクロスフィアは噴霧抽出法によっても製造され得る。当該噴霧抽出法を使用し、ドーパミン受容体アゴニストのマイクロスフィアを製造するとき、当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性補助剤を有機溶媒(当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び当該医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し得るもの)中に十分に溶解し、有機溶液を形成し、次いで、当該有機溶液を有機非溶媒(当該ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し得ない有機溶媒)又は水中に噴霧し、そして抽出によりマイクロスフィアを入手する。もし必要ならば、当該マイクロスフィアを、水での洗浄、及び等級分けの如き慣習的後処理にさらに供し、次いでサブパッケージする。
【0076】
当該噴霧抽出法を使用してマイクロスフィアを形成するとき、当該有機溶媒は、非制限的に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、氷酢酸、及びそれらの混合溶媒となり得る。当該有機非溶媒は、非制限的に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペトロレウムエーテル、アルカン、パラフィン、及びそれらの溶媒の混合物である。
【0077】
当該有機相を製造するとき、当該有機溶媒中の医薬として許容される補助剤の含有量は、これらの補助剤が当該有機溶媒中に溶解され得るかどうかに限られないが、可能な濃度と有機溶媒の低減とのバランスを考慮して、当該濃度は、好ましくは1〜30%(w/v)である。
【0078】
マイクロスフィアの製造方法として溶媒揮発法とスプレー乾燥法を比較すると、粒子均質性と単純な操作を考慮して、スプレー乾燥法が好ましい、一方、初期放出の低減を考慮すると、溶媒揮発法が好ましい。
【0079】
本発明のドーパミン受容体アゴニストのマイクロスフィアを形成した後、それらを、粒子の等級分けに供し、またはもし粒子のサイズが十分に均質ならば供さず、洗浄、乾燥に供し、そして規定された服用量に従いサブパッケージに供し得る、次いで、それらを加工し、注入をin situで準備し得る注入可能な粉末を形成し得る。当該注入可能な粉末は、生理食塩水と混合し懸濁することにより注入をin situで準備し得る上記マイクロスフィアから直接的に製造され得;又は当該マイクロスフィアは、等張性の塩、マンニトール、グルコースなどの規定された量と混合され、そして、注入溶液は、注入可能な純水の規定された量を添加することにより準備され得;又は注入量のマイクロスフィアは、懸濁され、次いで、前もって凍結乾燥され、そして使用前に水を加えられる。
【0080】
本発明において、ドーパミン受容体に関する疾患の治療方法、及びパーキンソン病の治療方法が、上記治療を必要とする患者に、本発明のドーパミン受容体アゴニストの注入溶液を与えることにより実施される。注入を使用するいずれかの投与方法は、例えば、筋肉内注入、皮下注入、皮内注入、腹腔内注入などで使用され得る。容易な投与を考慮して、筋肉内注入、及び皮下注入が好まれる。
【0081】
例えばロチゴチンを使用する、本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアの投与量は、体重60kgの患者1人あたり10〜400mgのロチゴチンであり、注入量は、1〜5ml、好ましくは1〜3mlである。当該注入投与間隔は、少なくとも1週間又は2週間である。特定の条件は、患者の年齢、体重、及び症状に従って適切に調整される。
【0082】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの持続放出マイクロスフィアの投与間隔は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも20日間、さらに2ヶ月間超である。それ故、パーキンソン病の患者の生活の質は改善され、毎日の投与の問題が克服される。
【0083】
本発明の長時間作用する持続放出マイクロスフィアは、高いカプセル化比率、連続及び安定した薬物放出、患者の体内における安定した及び効果的な血中薬物値、より良い治療効果、及び低い副作用を有し、そしてそれ故、慣習的製剤の欠点を克服し、パーキンソン病の治療における優れた治療効果をもたらし得る。
【0084】
1.移植片
本発明の移植片において使用される活性成分及び医薬として許容されるポリマー充填剤は、上記持続放出マイクロスフィアのものと本質的に類似する、故に、それらの違いのみを以下に例証する。
【0085】
上述の状態に関し、当該移植片は、適切な放出を確実とすることを条件に、局所的に埋め込まれるので、当該活性成分の含有量は、比較的高い値とすることができるが、適切には50%以下である。
【0086】
本発明の移植片は、本分野の慣習的な方法に従い製造され得る、ここで当該慣習的な方法とは、好ましくは以下の:有機溶媒中に当該ドーパミン受容体アゴニストを溶解し、そして医薬として許容されるポリマー補助剤と十分に、及び均質的に混合し、加熱し、及び押し出し、ロッド形状の移植片を形成することであり、ここで当該有機溶媒は、非制限的に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルエーテル、ブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、又はそれらの混合物である。
【0087】
本発明の移植片は、慣習的操作又は病院での注入により皮下に埋め込まれ得る、そして、薬物は、当該移植片から血中にゆっくりと分散し、循環系に入る。本発明の移植片の投与間隔は、少なくとも1ヶ月間、さらには4〜6ヶ月間であり、このことは、パーキンソン病の患者への投与を非常に促進する。
【0088】
2.注入可能なゲル
本発明の注入可能なゲルに使用される活性成分及び医薬として許容されるポリマー補助剤は、上記持続放出マイクロスフィアのものと本質的に類似する、故に、それらの違いのみを以下に例証する。
【0089】
上述の状態に関し、当該注入可能なゲルは、当該活性成分が有機溶媒の中に溶解されること、及び適切な放出が確実となることを条件に、それらが体内に注入された後、局所的移植片を形成するので、当該活性成分の含有量は、比較的高い値とすることができるが、適切には50%以下である。
【0090】
本発明の注入可能なゲルは、本分野の慣習的な方法に従い製造され得る、ここで当該慣習的な方法とは、好ましくは以下の:ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容されるポリマー補助剤の重量を測定し、それらを有機溶媒の中に溶解し、注入可能なゲルを得ることである。当該溶媒は、例えば、非制限的に、N−メチルピロリドン、DMSOなどである。病院において、本発明の注入可能なゲルは、皮下又は筋肉内に、直接的に注入され得る、次いで当該有機溶媒は素早く体液に拡散し、代謝され、当該ゲルは、皮下又は筋肉内に固形化し、移植片を形成する、そして当該移植片から、生体内の循環系に少しずつ拡散する。本発明の注入可能なゲルの投与間隔は、少なくとも2週間である。それ故、本発明の注入可能なゲルは、投与が容易であり、慣習的な経口製剤の欠点を克服する。
【実施例】
【0091】
本発明のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤は、以下の実施例、及び実験によりさらに例証されるが、これらの実施例は、本発明の限定を意図するものではない。
【0092】
以下の実施例において、マイクロスフィアの直径を、本分野においてよく知られるL2000型自動レーザー粒径メーター(Beckman Coulter)により測定した。濃度を、Journal of Modern Applicable Pharmacy,1993,10(1),51〜52頁、及びJournal of Chinese Medical and Pharmaceutical Industry,1999,30(8),363〜365頁などの如き文献に記載の方法に従い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0093】
実施例1
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタンに溶解し、次いで、激しい撹拌下(1200〜1600rpm)250mlの0.5%PVA水溶液中に、滴下で添加した。当該添加が完了した後、激しい撹拌を3〜10分間続け、次いで、当該撹拌速度を300rpmまで低減し、当該溶媒を4〜6時間揮発させ、そしてマイクロスフィアをろ過し、蒸留水で3回洗浄し、凍結乾燥した。
【0094】
レーザー粒径メーターの測定によると、当該マイクロスフィアは、1〜250マイクロメーターの粒径、及び図2に示すような粒径分布を有した。実施例1において得られたマイクロスフィアの走査型電子顕微鏡写真を、図3に示した。
【0095】
実施例2
10%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=13,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0096】
実施例3
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチン、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した、ここで、250mlの0.5%ソジウム・カルボキシメチルセルロース水溶液を、0.5%PVA水溶液の代わりに使用した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0097】
実施例4
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチン、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=75:25、分子量=11,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0098】
実施例5
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、撹拌下、20mlのジクロロメタンを添加することにより溶解させ、次いで慣習的なスプレー乾燥方法により、マイクロスフィアを得た。当該マイクロスフィアは、測定によると、1〜100マイクロメーターの粒径を有しており、次いで当該マイクロスフィアをサブパッケージした。
【0099】
実施例6
0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、撹拌下、10mlのジクロロメタンを添加することにより溶解させ、次いで慣習的な噴霧方法により、200mlのペトロレウムエーテル中に噴霧し、抽出し、ろ過し、そして乾燥させマイクロスフィアを得た。当該マイクロスフィアは、測定によると、1〜100マイクロメーターの粒径を有しており、次いで当該マイクロスフィアをサブパッケージした。
【0100】
実施例7
10%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.1gのロチゴチン、及び0.9gのポリカプロラクトン(分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアを、ふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0101】
実施例8
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(乳酸)(分子量=12,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0102】
実施例9
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=40,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0103】
実施例10
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンホルマート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0104】
実施例11
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンアセテート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0105】
実施例12
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンプロピオナート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0106】
実施例13
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンベンゾエート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0107】
実施例14
20%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.2gのロチゴチンベンゾエート、及び0.8gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=40,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0108】
実施例15
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのロピニロール、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0109】
実施例16
0.15gのロピニロールヒドロクロライドを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0110】
実施例17
15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.15gのプラミペキソール、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0111】
実施例18
0.15gのペルゴリドメタンスルホナートを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0112】
実施例19
0.15gのテルグリドマレエートを、1マイクロメーター未満の平均粒径を有するよう粉にし、0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、5mlのジクロロメタン中に分散させ、そして、実施例1の方法を使用し、15%の薬物、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、150マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0113】
実施例20
1gのロチゴチンを、1mlのジクロロメタンに溶解させ、そして、9gの粉にされたポリアンハイドライド{ポリ(1,3−ジカルボキシフェノキシプロパン−セバシン酸)、分子量=40,000、平均粒径=約200マイクロメーター}と十分に混合し、次いで、加熱し、そして、押し出し、10%の薬物、1mmの直径、及び30mmの長さを有するロッド形状の移植片を製造した。
【0114】
実施例21
1gのジナプソリン(dinapsoline)ヒドロブロミドを、1mlのジクロロメタンに溶解させ、そして、9gの粉にされたポリアンハイドライド{ポリ(1,3−ジカルボキシフェノキシプロパン−セバシン酸)、分子量=40,000、平均粒径=約200マイクロメーター}と十分に混合し、次いで、加熱し、そして、押し出し、10%の薬物、1mmの直径、及び30mmの長さを有するロッド形状の移植片を製造した。
【0115】
実施例22
0.15gのロチゴチン、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を、重さを計り、N−メチルピロリドンに溶解させ、15%の薬物積載量(ここで、溶媒を考慮しなかった)を有する注入可能なゲルを製造した。
【0116】
実施例23
0.15gのカベルゴリンジホスフェイト、及び0.85gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=60:40、分子量=25,000)を、重さを計り、N−メチルピロリドンに溶解させ、15%の薬物積載量(ここで、溶媒を考慮しなかった)を有する注入可能なゲルを製造した。
【0117】
実験1:ロチゴチンマイクロスフィアの生体外放出試験(1)
実施例1〜6のマイクロスフィアを、生体内の状態を刺激する放出試験に使用した。
【0118】
発明者等の研究によると、7.4のpH値を有する緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液)中の当該薬物放出挙動は、体内におけるものと似ていた、故に、生体内環境とは異なるけれども、当該生体内放出様式を、当該緩衝液を使用することによりシミュレートした(実験3、及び図13も参照のこと)。
【0119】
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:正確に重さ、サンプルの約1mgを計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、そして計画に従ってサンプリングする。
【0120】
サンプリング方法:3600rpmで、20分間、当該遠心チューブを遠心分離機にかけ、正確に3ml溶液を取り、そして同時に、当該放出媒体を補充し、そして得られた溶液をHPLCにより分析する。
【0121】
サンプリング時間(日):0、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、及び30日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。
【0122】
pH7.4の条件下で、実施例1〜6のマイクロスフィアの生体外放出効果を、図4〜9にそれぞれ示した。実施例1〜6において得られたマイクロスフィアの実験結果を、表1に示した。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
注:上記表における当日の放出を、その日までの累積放出から計算した、具体的には、2つの測定の間の薬物放出速度は変化しないと仮定している。式にして表示すると、当日の放出=(当日の累積放出−前回の測定により得られた累積放出)÷前回の日数と当日の日数の間の日数、である。
【0126】
例として実施例1を取り上げると、0日目における放出は0であり、1日目における累積放出は5.8である、故に、1日目における放出=(5.8−0)÷(1−0)=5.8であり;2日目における累積放出は7.4であるので、2日目における放出=(7.4−5.8)÷(2−1)=1.6であり;4日目における累積放出は9.8であるので、4日目における放出=(9.8−7.4)÷(4−2)=1.2である。残りは分析により推定されるだろう。
【0127】
表に関して、本発明のロチゴチンの持続放出マイクロスフィアは、2週間超の期間内において安定放出された。それ故、パーキンソン病の患者の投与頻度は、著しく低減され得るだろうし、用量を効果的に制御でき、そして副作用は避けられる。
【0128】
実験2:ロチゴチンマイクロスフィアの生体外放出試験2
実施例11及び13のマイクロスフィアを実験1の方法と同様の方法に従い、測定した。ただし、サンプリング時間(日)を、0、1、2、4、6、8、12、14、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、及び38日とした。
【0129】
pH7.4の条件下、実施例11及び13のマイクロスフィアの生体外放出効果を、図10及び11に示した。
【0130】
実験3:持続放出マイクロスフィアの生体内放出試験
血しょうサンプルの分析
血しょうサンプルの前処理:500μLの血しょうサンプルを正確に計り、試験管内に入れ、100μLの内部標準溶液(1ng/mLのベネドリルメタノール−水(50:50、v/v)溶液)を添加し、100μLのメタノール−水(50:50、v/v)、及び100μLの1MのNa2CO3溶液を添加し、そして均一に混合する;3mLのn−へキサン−ジクロロメタン−イソプロパノール(300:150:15、v/v/v)を添加し、1分間、渦流状態で混合し、15分間、相互に振動し(240/分)、5分間遠心(3500rpm)し、他の試験管内に上層として当該有機相を移し、窒素ガスを吹き付け、そして25℃で乾燥し、当該残留物を100μLの移動相を添加することにより溶解し、渦流状態で混合し、そしてLC/MS/NS分析のために20μLを取り出した。
【0131】
クロマトグラフィー条件は、以下の通りである。
クロマトグラフィーカラム:Zorbax Extend−C18カラム、5μmの粒径、150×4.6mm I.D.(Agilent Company、U.S.A);
移動相:アセトニトリル−水−ギ酸(300:300:6 v/v/v);
流速:0.7mL/分;
カラム温度:37℃;
サンプルサイズ:20μL
【0132】
質量スペクトル条件は、以下の通りである。
イオン源:イオンスプレーイオン化源;
イオンスプレー電圧:5000V;
温度:450℃
内部源ガス1(GS1、N2)圧:50psi;
ガス2(GS2、N2)圧:50psi;
ガスカーテンガス(N2)圧:15psi;
陽イオン検出モード;スキャニングモード:多重反応モニタリング(MRM);
DP電圧:56V;
衝突ガス(N2)圧:3psi;
定量分析のためのイオン反応は、それぞれ以下の
【化3】
である。
【0133】
標準曲線の作成:0.5mLのブランク血しょうを取り、100μLのMD102標準連続溶液を添加し、0.01、0.03、0.10、0.30、1.00.及び2.00ng/mLの血しょう濃度に相当する血しょうサンプルを製造し;そして
Pharmacopoeia of People’s Republic of China2000年版の「血しょうサンプルの分析方法」に従って、標準曲線を作成する。
【0134】
標準曲線としての直線回帰方程式を、横座標として血しょう中で試験された物質の濃度を、縦座標として当該試験された物質対内部標準のピーク面積比を使用することにより得て、そして最小二乗法(W=1/x2)を使用することにより回帰計算を実施する。
【0135】
実験方法:
9〜11kgの体重を有し、自由に水を飲み、餌を食べる3匹の健康なビーグル犬、1匹の雌、及び2匹の雄に、5.5mg/kgの用量のロチゴチンを筋肉注射で投与し、そして、投与後、規定の計画に従い3mLの血液サンプルを前肢の静脈から取り、ヘパリン化された試験管内に入れ、そして6000rpmで10分間遠心し、次いで、当該血しょうを分離し、そして−20℃で保存し、そして、上記分析方法に従って分析した。
【0136】
図12は、実施例3で得られたマイクロスフィアについての生体内(ビーグル犬)試験における血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0137】
図13は、実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアについての、pH値7.4の模擬放出液体における日毎の又は累積率の折れ線図と、生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図との比較図を示す。
【0138】
図12により、本発明のマイクロスフィアの薬物放出が少なくとも2週間は安定であることがわかる。
【0139】
実験4:移植片の生体外放出試験
実験方法:
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:実施例20の移植片の約0.1gの重さを正確に計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、計画に従って3mlをサンプリングし、そして3mlの当該放出媒体を補充する。
【0140】
サンプリング時間(日):0、1、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、94、91、98及び105日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。結果を表2に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
上記実験の結果により、本発明の移植片は、2ヶ月間超の期間継続的に薬物を放出し得る。
【0143】
実験5:注入可能なゲルの生体外放出試験
実験方法:
実験器具:恒温撹拌器、遠心分離機
実験条件:温度=37±0.5℃、回転速度=30rpm
実験方法:実施例22で得られた注入可能なゲルの約0.1gの重さを正確に計る、ふたを有する5mlのプラスチック遠心チューブ中に置く、5mlの放出媒体(pH=7.4、リン酸ナトリウム緩衝液)を添加する、恒温撹拌器の温度及び回転速度を保ち、計画に従って3mlをサンプリングし、そして3mlの当該放出媒体を補充する。
【0144】
サンプリング時間(日):0、1、2、5、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、38、42、45日(異なるマイクロスフィアは異なるサンプリング時間を有する)、ここで、0日目とは、薬物を投与する日前の当該薬物濃度を示す。結果を表3に示した。
【0145】
【表5】
【0146】
上記実験の結果により、本発明のゲルは、45日間超の間、継続的に薬物を放出し得る。
【0147】
実施例24
8%の薬物(実際には7.8%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.08gのロチゴチン、及び0.92gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=25,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、180マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0148】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には7.8%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図16に示した。
【0149】
当該持続放出マイクロスフィアを、生体内放出試験のためにビーグル犬に投与した、ここで、ロチゴチンの投薬量は、2.75mg/kg(当該ビーグル犬の体重を10kgと仮定すると、当該投薬量は、65kgの体重の成人した人間に一度で注入される7.8%の薬物を有するマイクロスフィアに相当する)であった。
【0150】
当該マイクロスフィアを生理食塩水中に懸濁し、そして血液サンプルを1〜30日間取り、そしてHPLC−MS試験により検出し、0.05〜0.4ng/mlの血中薬物値を示した。これは、当該持続放出マイクロスフィアが少なくとも30日の間、薬物を安定的に放出することを示すが、しかしながら、当該血中薬物濃度は、比較的低く、特に評価期間のパーキンソン病の治療のための血中薬物濃度の要求(>0.5ng/mL)にほとんど見合わない、一方、投薬量の増大は、患者における不平、及び苦しみを導き得る過剰注入を意味する。
【0151】
図17は、実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際は7.8%の薬物を有する)についての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0152】
実施例25
30%の薬物(実際には26.5%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.30gのロチゴチン、及び0.70gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0153】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には26.5%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図18に示した。
【0154】
実施例26
30%の薬物(実際には34%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.4gのロチゴチン、及び0.60gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0155】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には34.5%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図19に示した。
【0156】
当該持続放出マイクロスフィアを、生体内放出試験のためにビーグル犬に投与した、ここで、ロチゴチンの投薬量は、5.5mg/kg(当該ビーグル犬の体重を10kgと仮定すると、当該投薬量は、65kgの体重の成人した人間に一度で注入される34%の薬物を有するマイクロスフィアに相当する)であった。
【0157】
当該マイクロスフィアを生理食塩水中に懸濁し、筋肉内に投与し、そして血液サンプルを1〜11日間、取り出し、そしてHPLC−MS試験により検出し、28〜0.05ng/mlの血中薬物値を示した。この結果が示すことは、当該薬物積載量が比較的高い(>30%)とき、24時間内のマイクロスフィアの初期放出が比較的高く、そのことが動物における強い嘔吐などの如き副作用をもたらし、当該血中薬物濃度が時間の経過につれて急速に低減し、当該持続放出効果があまり良くないことを示す。
【0158】
図20は、実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には34%の薬物を有する)についての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【0159】
実施例27
50%の薬物(実際には41%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.50gのロチゴチン、及び0.50gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0160】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には41%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図21に示した。
【0161】
実施例28
50%の薬物(実際には43%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.50gのロチゴチン、及び0.50gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=35,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0162】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には43%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図22に示した。
【0163】
実施例29
60%の薬物(実際には47%の薬物を有する)、及び1〜250マイクロメーターの粒径を有するマイクロスフィアを、実施例1の方法に従って、0.60gのロチゴチン、及び0.40gのポリ(ラクチド−グリコリド)(ラクチド:グリコリド=50:50、分子量=45,000)を使用することにより製造した。当該マイクロスフィアをふるいに通過させ、200マイクロメーター超の粒径を有するマイクロスフィアを除去し、そしてサブパッケージした。
【0164】
pH7.4の条件下、当該ロチゴチンマイクロスフィア(実際には47%の薬物を有する)の生体外放出効果を、図23に示した。
【0165】
産業上の実用的利用可能性
本発明は、ドーパミン受容体アゴニストを組込むために生物分解性ポリマーを使用し、長時間作用する持続放出製剤、例えば、2週間超の投与間隔を有する注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、及び移植片、特に1ヶ月間超の投与間隔を有する移植片を製造する。それ故、本発明は、パーキンソン病、及び他のドーパミン受容体関連疾患の患者に対する投与を著しく促進する。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、異なる内容物を有するロチゴチンのマイクロスフィアの示唆熱分析図である。
【図2】図2は、実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの粒径系統図である。
【図3】図3は、実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例1において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図5】図5は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例2において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図6】図6は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図7】図7は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例4において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図8】図8は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例5において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図9】図9は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例6において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図10】図10は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例11において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図11】図11は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例13において得られた持続放出マイクロスフィアの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図12】図12は、実施例3において得られたマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図13】図13は、実施例3において得られた持続放出マイクロスフィアについての、pH値7.4の模擬放出液体における日毎の又は累積率の折れ線図と、生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図との比較図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図14】図14は、実施例20において得られた移植片の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図15】図15は、実施例22において得られた注入可能なゲルの日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図16】図16は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には7.8%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図17】図17は、実施例24において得られたロチゴチンマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図18】図18は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例25において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には26.5%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図19】図19は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には34%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図20】図20は、実施例26において得られたロチゴチンマイクロスフィアについての生体内試験(ビーグル犬)における、血中ロチゴチン濃度変化の折れ線図である。
【図21】図21は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例27において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には41%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図22】図22は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例28において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には43%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【図23】図23は、pH値7.4を有する模擬放出液体における実施例29において得られたロチゴチンマイクロスフィア(実際には47%の活性成分を含む)の日毎の放出率、及び累積率の折れ線図であり、ここで、白四角形は日毎の放出を示し、黒丸形は累積率を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含む、パーキンソン病の治療のための長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該持続放出製剤中の前記ドーパミン受容体アゴニストの量が5〜50重量%であり、及び前記医薬として許容されるポリマー補助剤の量が50〜95重量%である、前記製剤。
【請求項2】
請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストが、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、テルグリド、キナゴリド、カベルゴリン、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせからなる群より選択される、前記持続放出製剤。
【請求項3】
請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである、前記持続放出製剤。
【請求項4】
注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、又は移植片である、請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、及びポリアンハイドライド、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである、前記持続放出製剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、特に5,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)である、前記持続放出製剤。
【請求項7】
請求項6に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記ポリ(ラクチド−グリコリド)におけるラクチド対グリコリドの重合比が、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75である、前記持続放出製剤。
【請求項8】
注入可能な持続放出マイクロスフィアであって、かつ50〜200ミクロン内の粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤。
【請求項9】
注入可能なゲル又は移植片である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤が、ポリ(乳酸)又はポリアンハイドライド、特に2,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有するポリ(乳酸)又はポリアンハイドライドである、前記持続放出製剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤中のドーパミン受容体アゴニストが固溶体状態で存在する、前記持続放出製剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、当該ドーパミン受容体アゴニストの医薬として許容される塩が、活性成分と、無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなる、前記持続放出製剤。
【請求項12】
請求項11に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記無機酸が塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり;前記有機酸がクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり;そして前記酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸である、前記持続放出製剤。
【請求項13】
請求項12に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、
プラミペキソール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドの遊離塩基であり、
ロピニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドの遊離塩基であり、
ペルゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートの遊離塩基であり、
カベルゴリン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、カベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートの遊離塩基であり、
テルグリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、テルグリド又はテルグリドマレエートの遊離塩基であり、
キナゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、キナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドの遊離塩基であり、
スマニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、スマニロール又はスマニロールマレエートの遊離塩基であり、
SLV−308あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、SLV−308又はSLV−308ヒドロクロリドの遊離塩基であり、
アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、アドロゴリド、アドロゴリドヒドロクロリド又はそれらの形質転換体であるA−86929であり、
ジナプソリン(Dinapsoline)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドであり、そして
BAM−1110、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、BAM−1110又はBAM−1110マレエートである、
前記持続放出製剤。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストは一般式(Ia)に示されるようなロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩であり、ここで当該一般式(Ia)は、以下の:
【化1】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシル(好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルである。)を示し、
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C4アルキルを示し、
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し、
nは、1〜10より選択される整数(好ましくは1〜3である。)である}であり、そして、前記それらの医薬として許容される塩が、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸とからなる、前記持続放出製剤。
【請求項15】
請求項14に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記ロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ロチゴチン、ロチゴチンホルマート、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンブチラート、ロチゴチンイソブチラート又はそれらのヒドロクロリドである、前記持続放出製剤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストの量が、10〜40重量%であり、前記医薬として許容されるポリマー補助剤が60〜90重量%である、前記持続放出製剤。
【請求項17】
ロチゴチン又は誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩のマイクロスフィアである、請求項1〜8、10、14〜16のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤中のロチゴチン、あるいはそれらの誘導体又は医薬として許容される塩が、固溶体状態で存在する、前記持続放出製剤。
【請求項18】
ロチゴチン又は誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩のマイクロスフィアである、請求項1〜8、10、14〜16のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、当該ロチゴチン及び誘導体又はそれらの医薬として許容される塩の量が、10〜30重量%であり、そして前記医薬として許容されるポリマー補助剤の量が、70〜90重量%である、前記持続放出製剤。
【請求項19】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
当該有機溶媒相を、医薬として許容される水溶性ポリマーの連続水相に注入し、マイクロスフィアを形成させ;次いで、
当該有機溶媒を揮発させ;
ろ過し、当該持続放出マイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、エチルエーテル、又はそれらの混合された溶媒から選択され、当該有機溶媒中の医薬として許容される生物分解性補助剤の量は、1〜30%(w/v)であり、当該医薬として許容される水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の混合物から選択され、そして、当該水相中のその量は、0.1〜5%(w/v)である、前記持続放出製剤。
【請求項20】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
当該溶液をスプレー乾燥させマイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、又はそれらの複数の混合物から選択される、前記持続放出製剤。
【請求項21】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
噴霧抽出し、マイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、ベンゼン、トルエン又はそれらの複数の混合物から選択され、及び当該有機非溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ペトロレウムエーテル、アルカン、パラフィン又は複数の混合物から選択される、前記持続放出製剤。
【請求項1】
ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を含む、パーキンソン病の治療のための長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該持続放出製剤中の前記ドーパミン受容体アゴニストの量が5〜50重量%であり、及び前記医薬として許容されるポリマー補助剤の量が50〜95重量%である、前記製剤。
【請求項2】
請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストが、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、ペルゴリド、テルグリド、キナゴリド、カベルゴリン、スマニロール、SLV−308、アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、ジナプソリン(Dinapsoline)、及びBAM−1110、並びにそれらの誘導体又は医薬として許容される塩、あるいはそれらの複数の組み合わせからなる群より選択される、前記持続放出製剤。
【請求項3】
請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ−ブチラート)、ポリラクトン、ポリアンハイドライド、ポリ(ヒドロキシブチラート)−コ−(ヒドロキシ−バレラート)、ポリプロピレングルコース、ポリ(乳酸)−ポリグリコール、及びポリ(ヒドロキシ酢酸)−ポリグリコール、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである、前記持続放出製剤。
【請求項4】
注入可能なマイクロスフィア、注入可能なゲル、又は移植片である、請求項1に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、ポリ乳酸、及びポリアンハイドライド、又はそれらの複数の組み合わせから選択されるものである、前記持続放出製剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで前記医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤が、ポリ(ラクチド−グリコリド)、特に5,000〜100,000ダルトンの分子量を有するポリ(ラクチド−グリコリド)である、前記持続放出製剤。
【請求項7】
請求項6に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記ポリ(ラクチド−グリコリド)におけるラクチド対グリコリドの重合比が、95:5〜5:95、好ましくは、75:25〜25:75である、前記持続放出製剤。
【請求項8】
注入可能な持続放出マイクロスフィアであって、かつ50〜200ミクロン内の粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤。
【請求項9】
注入可能なゲル又は移植片である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤が、ポリ(乳酸)又はポリアンハイドライド、特に2,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有するポリ(乳酸)又はポリアンハイドライドである、前記持続放出製剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤中のドーパミン受容体アゴニストが固溶体状態で存在する、前記持続放出製剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、当該ドーパミン受容体アゴニストの医薬として許容される塩が、活性成分と、無機酸、有機酸又は酸性アミノ酸からなる、前記持続放出製剤。
【請求項12】
請求項11に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記無機酸が塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸であり;前記有機酸がクエン酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり;そして前記酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸である、前記持続放出製剤。
【請求項13】
請求項12に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、
プラミペキソール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、プラミペキソール又はプラミペキソールジヒドロクロリドの遊離塩基であり、
ロピニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ロピニロール又はロピニロールヒドロクロリドの遊離塩基であり、
ペルゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ペルゴリド又はペルゴリドメタンスルホナートの遊離塩基であり、
カベルゴリン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、カベルゴリン又はカベルゴリンジホスホナートの遊離塩基であり、
テルグリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、テルグリド又はテルグリドマレエートの遊離塩基であり、
キナゴリド、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、キナゴリド又はキナゴリドヒドロクロリドの遊離塩基であり、
スマニロール、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、スマニロール又はスマニロールマレエートの遊離塩基であり、
SLV−308あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、SLV−308又はSLV−308ヒドロクロリドの遊離塩基であり、
アドロゴリド(adrogolide)(ABT−431)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、アドロゴリド、アドロゴリドヒドロクロリド又はそれらの形質転換体であるA−86929であり、
ジナプソリン(Dinapsoline)、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ジナプソリン又はジナプソリンヒドロブロミドであり、そして
BAM−1110、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、BAM−1110又はBAM−1110マレエートである、
前記持続放出製剤。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストは一般式(Ia)に示されるようなロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩であり、ここで当該一般式(Ia)は、以下の:
【化1】
{式中、R1は、水素原子、C1〜C10アルキルアシル又はアリールアシル(好ましくは、水素原子、C2〜C4アルキルアシル又はアリールアシルである。)を示し、
R2は、水素原子、C1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C4アルキルを示し、
Xは、炭素原子又は窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を示し、
nは、1〜10より選択される整数(好ましくは1〜3である。)である}であり、そして、前記それらの医薬として許容される塩が、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、乳酸又はクエン酸とからなる、前記持続放出製剤。
【請求項15】
請求項14に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記ロチゴチン、あるいはその誘導体又は医薬として許容される塩が、ロチゴチン、ロチゴチンホルマート、ロチゴチンアセテート、ロチゴチンベンゾエート、ロチゴチンブチラート、ロチゴチンイソブチラート又はそれらのヒドロクロリドである、前記持続放出製剤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで当該ドーパミン受容体アゴニストの量が、10〜40重量%であり、前記医薬として許容されるポリマー補助剤が60〜90重量%である、前記持続放出製剤。
【請求項17】
ロチゴチン又は誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩のマイクロスフィアである、請求項1〜8、10、14〜16のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、前記医薬として許容されるポリマー補助剤中のロチゴチン、あるいはそれらの誘導体又は医薬として許容される塩が、固溶体状態で存在する、前記持続放出製剤。
【請求項18】
ロチゴチン又は誘導体、あるいはそれらの医薬として許容される塩のマイクロスフィアである、請求項1〜8、10、14〜16のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であり、ここで、当該ロチゴチン及び誘導体又はそれらの医薬として許容される塩の量が、10〜30重量%であり、そして前記医薬として許容されるポリマー補助剤の量が、70〜90重量%である、前記持続放出製剤。
【請求項19】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
当該有機溶媒相を、医薬として許容される水溶性ポリマーの連続水相に注入し、マイクロスフィアを形成させ;次いで、
当該有機溶媒を揮発させ;
ろ過し、当該持続放出マイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、エチルエーテル、又はそれらの混合された溶媒から選択され、当該有機溶媒中の医薬として許容される生物分解性補助剤の量は、1〜30%(w/v)であり、当該医薬として許容される水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソジウムポリメタクリラート、ソジウムポリアクリラート、又はそれらの複数の混合物から選択され、そして、当該水相中のその量は、0.1〜5%(w/v)である、前記持続放出製剤。
【請求項20】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
当該溶液をスプレー乾燥させマイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、エチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、又はそれらの複数の混合物から選択される、前記持続放出製剤。
【請求項21】
注入可能なマイクロスフィアである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のドーパミン受容体アゴニストの長時間作用する持続放出製剤であって、以下の過程:
有機溶媒中に、前記ドーパミン受容体アゴニスト、及び医薬として許容される生物分解性ポリマー補助剤を溶解し;
噴霧抽出し、マイクロスフィアを得る、
により製造され、ここで、当該有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、氷酢酸、ベンゼン、トルエン又はそれらの複数の混合物から選択され、及び当該有機非溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ペトロレウムエーテル、アルカン、パラフィン又は複数の混合物から選択される、前記持続放出製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2008−513524(P2008−513524A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532749(P2007−532749)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001521
【国際公開番号】WO2006/032202
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507092953)山▲東緑▼叶制▲薬▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001521
【国際公開番号】WO2006/032202
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507092953)山▲東緑▼叶制▲薬▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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