説明

ナノスケールのコントラスト剤及びその使用方法

被験者の血管系の統合性の検査、悪性病変と良性病変の識別、ナノサイズ治療への腫瘍のアクセス可能性の検査、腫瘍の治療、及び、ナノプローブの体内分布のライブまたはリアルタイム追跡のための組成物及び方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、35U.S.C第120条に基づき、2007年12月5日出願の米国特許仮出願第60/992,481の優先権を主張するものである。さらに、本願は、2006年11月10日出願の米国特許出願第11/595,808及び2007年12月27日出願の米国特許出願第11/568,936の一部継続出願である。両出願は、2004年4月21日出願の米国特許出願第10/830,190の一部継続出願である。上述の案件は、参照によってそっくりそのまま組み込まれている。
【0002】
[連邦支援の研究又は開発に関する記述]
本発明は、国立科学財団によって授与されたNSF譲与番号0401627及びNSF ERC授与番号EEC9731643の下で、米国政府の支援によってなされた。米国政府は、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
傷ついた(compromised)血管系(vasculature)及び微小血管系(microvasculature)において、血管壁を通して血管からの漏出が多くなることがある。血管系が傷つく疾病には、癌、脳卒中(stroke)、動脈瘤(aneurysm)及び内出血(internal bleeding)がある。漏出血管を特定する組成物(compositions)及び方法の発達は、そのような状態の早期発見と予後のために有益である。現在、漏出している及び傷ついた血管系を透過的(transparently)及び非観血的(non-invasively)に識別し特性を決定する(characterize)適切な臨床的手段(clinical tool)は存在しない。
【0004】
患者固有で(patient specific)、カスタマイズされた(customized)腫瘍(tumor)の特性化(characterization)及び治療(therapy)に有用な組成物及び方法には、関連する需要がある。多くの疾患、特に癌の診断及び治療については、ナノシステム(nano-systems)が存在する。ナノシステムは、多機能性の可能性があり、生体内撮像(in vivo imaging)、バイオマーカー(biomarker)の生体分子プロファイリング(biomolecular profiling)及び標的指向性ドラッグデリバリー(targeted drug delivery)のために、発達が活発になっている。そのようなシステムによって、腫瘍部位の薬剤の濃度を高めるか、健康な細胞の汚染を減らすか、またはその両方によって、抗癌剤(anti-cancer agents)の治療指数(therapeutic index)を高められる可能性がある。
【0005】
多くの固形腫瘍(solid tumor)は、成長するために複雑な微小血管系ネットワークを必要とする。この微小血管ネットワークは、屈曲度(degree of tortuosity)が高く、且つ、血管壁を通して漏出の多い、高密度の未熟な(immature)血管システムを含む。固形腫瘍のための化学療法(chemotherapeutic)のナノ薬剤(nano-agent)による治療法(therapy)による成果は、少なくとも一部は、いわゆる腫瘍の漏出血管を経由した腫瘍への薬剤のアクセスに依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のナノシステムの発達及び効果は、現在限定的である。なぜなら、個別・患者特有の方法で、腫瘍の血管がナノキャリア媒介療法(nano-carrier-mediated therapy)を受け入れられるか否かを透過的及び非観血的に予め判定する、すなわち、腫瘍が漏出血管を有するか否かを判定する、適切な臨床的手段が存在しないからである。
【0007】
さらに、患者の体内における治療薬または抗癌剤の体内分布(biodistribution)を直接的にX線可視化を可能にするために、治療薬または抗癌剤と非放射性コントラスト強調剤(contrast enhancing agent)を一緒に封入する(co-encapsulation)適切な臨床的手段が存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施例では、被験者(subject)の血管系の統合性(integrity)の検査方法が提供される。この検査方法は、被験者の血管系に組成物を投与し、被験者の血管系の画像を生成し、且つ、被験者の血管系の漏出を検出するために、画像を分析することからなり、組成物は、1以上の非放射性コントラスト強調剤を封入した複数のリポソームからなり、複数のリポソームは、コレステロール、少なくとも1つのリン脂質(phospholipid)、及び、ポリマー鎖が誘導体化された(derivatized with a polymer chain)少なくとも1つのリン脂質からなり、複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さいことを特徴とする。
【0009】
もう1つの実施例では、悪性病変と良性病変の識別方法が提供される。この識別方法は、関心病変(lesion of interest)に組成物を投与し、関心病変の画像を生成し、且つ、関心病変内における組成物の蓄積の程度を測定するために、画像を分析することからなり、組成物は、複数のリポソームからなり、複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの第1の脂質(lipid)またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、複数のリポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤(sterically bulky excipient)からなり、複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さく、複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入していることを特徴としている。
【0010】
もう1つの実施例では、ナノサイズ治療に対する腫瘍のアクセス可能性(accessibility)の検査方法が提供される。この検査方法は、腫瘍に組成物を投与し、腫瘍の画像を生成し、且つ、腫瘍内における組成物の蓄積の程度を測定するために、画像を分析することからなり、組成物は、複数のリポソームからなり、複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの第1の脂質またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、複数のリポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤からなり、複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さく、複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入していることを特徴とする。
【0011】
もう1つの実施例では、組成物が提供される。この組成物は、平均直径が150ナノメートルよりも小さな複数のリポソームからなり、複数のリポソームは、第1の脂質またはリン脂質と、ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質と、複数のリポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤からなり、複数のリポソームは、非放射性コントラスト強調剤、及び、少なくとも1つの生物活性剤(bio-active agent)を共に封入していることを特徴とする。
【0012】
明細書に組み込まれ、且つ、一部を構成する添付の図面は、様々な組成物、方法、結果等を示すものであり、様々な実施例を示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フィッシャー344ラット(Fischer 344 rat)の体内の13762 MAT B III 乳腺腫瘍の成長曲線である。
【図2】臨床的デジタルマンモグラフィシステムを使用して得られた右脇腹(flank)に乳房腫瘍を有するラットの全身像を示す図である。(a)は投与前、(b)は実施例のナノプローブを“高”用量(1,244mgI/kg)で投与した1分後であり、正常な細胞だけでなく、腫瘍部位の血管系が可視化できている。(c)は実施例のナノプローブを“低”用量(455mgI/kg)で注射された他のラットの72時間後の対比図であり、腫瘍及び脾臓にナノプローブが蓄積し、血管系が不可視であることを示している。
【図3】実施例のナノプローブを“低”用量(455mgI/kg)で投与する前並びに投与してから24時間、72時間及び120時間経過後の臨床的デジタルマンモグラフィシステムを使用して得られた(図4でラット3で示された)ラットの全身像を示す図である。
【図4】(a)臨床的マンモグラフィシステムで示された5日間に渡る7匹のラットの乳房腫瘍による実施例のナノプローブの吸収量と、(b)同じ時間フレームにおける同じ7匹のラットの正常な細胞による実施例のナノプローブの吸収量との比較を表す図である。
【図5】5日間に渡って、実施例のナノプローブを多く吸収した乳房腫瘍(ラット3)と、実施例のナノプローブを適度に吸収した乳房腫瘍(ラット4)のマンモグラフィ画像の例を示す図である。
【図6】実施例のナノプローブと同量の生理食塩水を注射して、臨床的デジタルマンモグラフィシステムを使用して得られたラットの全身像を示す図である。
【図7】従来のコントラスト剤(イオヘキソール)を高用量(1,344mgI/kg)で投与する前並びに投与してから10,32,63,125,182,315,430及び578秒経過後の臨床的デジタルマンモグラフィシステムを使用して得られたラットの全身像を示す図である。
【図8】ラットに従来のコントラスト剤(イオヘキソール)を高用量(1,344mgI/kg)で投与した例の結果を示す図である。迅速な腎クリアランスによって、無視できる腫瘍の強調が示されている。
【図9】臨床的マンモグラフィシステムで示された3日間に渡る15匹のラットの乳房腫瘍による実施例のナノプローブの吸収の比較を示す図である。
【図10】対照群(未治療)及びリポソームドキソルビシンによって治療されたグループの腫瘍の成長曲線を示す図である。
【図11】対照群(未治療)及びリポソームドキソルビシンによって治療されたグループの腫瘍の成長曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ナノスケールのコントラスト剤(または(複数の)“ナノプローブ(“nano-probe”(s))”)の設計、製造、特性化及び適用(application)を提供する。
【0015】
典型的なナノプローブは、脂質またはリン脂質、コレステロールなどの安定化賦形剤(stabilizing excipient)及びポリマー誘導化脂質(polymer-derivatized lipid)またはリン脂質からなるリポソーム組成物(liposomal composition)からなる。適切な脂質またはリン脂質、安定化賦形剤、ポリマー誘導化脂質またはリン脂質は、例えば、米国特許出願10/830,190、11/595,808、11/568,936に記載されている。
【0016】
リポソーム組成物は、典型的にコントラスト強調剤を封入している。適切なコントラスト強調剤は、例えば、米国特許出願10/830,190、11/595,808、11/568,936に記載されているイオヘキソール(iohexol)及びイオジキサノール(iodixanol)などの非放射性ヨウ素化合物(non-radioactive iodinated compounds)を含む。ナノプローブは、大量のヨウ素化合物を運ぶことができる。例えば、ナノプローブは、リポソーム組成物1mL当たり、130mgから200mgのヨウ素化合物を運ぶことができる。ヨウ素化合物の典型的な濃度は、およそ155mg/mLである。
【0017】
他の画像化技術によって画像を得るために必要または望ましい場合、従来から知られている他の適切なコントラスト強調剤を含めることもできる。他の画像化技術には、例えば、超音波検査(ultrasonography)、電子ビーム断層撮影法[EBT](electron beam tomography)、磁気共鳴画像法[MRI](magnetic resonance imaging)、磁気共鳴血管造影法[MRA](magnetic resonance angiography)、陽電子放射断層撮影法(positron emission tomography)並びに蛍光発光及び生物発光画像法を含む光学的画像法が含まれる。実施例によっては、例えば、適切なコントラスト剤は、イソチオシアン酸フルオレセインなどの蛍光染料及びガドリニウム(III)DTPA及びその変異体などのアミノカルボン酸化合物(aminocarboxylate complexes)を含むMRIコントラスト剤を含んでいてもよい。
【0018】
ナノプローブの平均直径は、典型的にはおよそまたは約100nmであるが、およそ15nmからおよそ150nmの間でもよい。したがって、適切なリポソームの平均直径はおよそ150nmよりも小さくてもよく、およそ120nmより小さくてもよく、およそ100nmよりも小さくてもよい。典型的には、ナノプローブの血液循環時間(blood circulation time)は長い(例えば、ラットでは
【外1】
【0019】

)。
【0020】
ナノプローブは、例えば、米国特許出願10/830,190、11/595,808、11/568,936に記載されている方法または後述の実施例1の方法で作成されていてもよい。
【0021】
一般的に言えば、ナノプローブは、コンピュータ断層撮影法(CT)、マイクロCT、マンモグラフィ、及び、胸部X線のX線診断技術のうち、少なくとも1つを使用して検出することができる。他の実施の形態では、ナノプローブは、MRI、磁気共鳴分光法(magnetic resonance spectroscopy)、生物発光画像法(bioluminescence imaging)、超音波検査(ultrasound)、光学的画像法(optical imaging)及び光学分光法のうち、少なくとも1つを使用して画像化してもよい。
【0022】
一実施の形態では、被験者の血管系の統合性の検査方法が提供される。以下に実施例2として例示されている方法では、組成物(ナノプローブ)を被験者の血管系に投与(introduce)することを含む。組成物は、複数のリポソームからなり、複数のリポソームのそれぞれは、1以上の非放射性コントラスト強調剤を封入している。複数のリポソームのそれぞれは、コレステロール、少なくとも1つのリン脂質、及び、ポリマー鎖が誘導体化された少なくとも1つのリン脂質からなり、リポソームの平均直径は150ナノメートルよりも小さく、被験者の血管系のX線画像を生成し、被験者の血管系の漏出を検出するためにX線画像を分析する。実施の形態の方法によれば、ナノプローブによって、X線ベースの画像化技術を用いて非観血的に血管の統合性を識別及び定量化することができる。
【0023】
一実施の形態の方法では、X線画像の分析は、X線シグナルが強調された領域と、X線シグナルがほとんどまたは全くない領域を区別することを含む。他の実施の形態の方法では、被験者の血管系の血管内の部位と比較して被験者の血管系に漏出が存在する場合、被験者の血管系の血管外の部位に組成物が蓄積し、血管外の部位から強調されたX線シグナルを得ることを特徴としている。一実施の形態の方法では、少量の非放射性ヨウ素化合物を含む低用量のナノプローブは、漏出している血管系の血管外スペースのX線シグナルを強調することができ、他方、低血管内レベルのヨウ素化されたナノプローブはほとんどまたは全くシグナルを強調しない。
【0024】
他の実施の形態の方法では、X線画像の生成は、CT、マイクロCT、マンモグラフィ及び胸部X線のうち、少なくとも1つを使用してX線画像を生成することを含む。
【0025】
一実施の形態では、漏出は、癌、炎症(inflammation)、脳卒中、動脈瘤、創傷治癒(wound healing)などの修復過程及び外傷(trauma)のうち、少なくとも1つを示している。したがって、一実施の形態では、癌、炎症、脳卒中、動脈瘤、外傷による内出血及び創傷治癒などの再生過程による血管形成(angiogenesis)など、様々な疾病によって生じる損傷した漏出した血管をナノプローブによって、容易に見つけることができる。
【0026】
他の実施の形態では、悪性病変と良性病変の識別方法が提供される。この方法は、組成物(例:ナノプローブ)を関心病変に投与することを含む。組成物は、複数のリポソームからなり、複数のリポソームは、少なくとも1つの第1の脂質またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、リポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤からなり、リポソームの平均直径は150ナノメートルよりも小さく、リポソームは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入している。一実施の形態の方法では、組成物は、悪性病変が5nm〜200nmの大きさの粒子に対して透過性が高いため、組成物が良性病変よりも、悪性病変に多く蓄積することを特徴としている。この方法は更に、関心病変のX線画像を生成し、関心病変内における組成物の蓄積の程度を測定するためにX線画像を分析することを含んでいる。
【0027】
他の実施の形態では、ナノサイズ治療への腫瘍のアクセス可能性の検査方法が提供される。以下に実施例4として例示されている方法では、組成物(ナノプローブ)を関心腫瘍に投与することを含む。組成物は、複数のリポソームからなり、複数のリポソームは、少なくとも1つの第1の脂質またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、リポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤からなり、リポソームの平均直径は150ナノメートルよりも小さく、リポソームは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入しており、腫瘍のX線画像を生成し、腫瘍内における組成物の蓄積の程度を測定するために、X線画像を分析する。
【0028】
さらにもう1つの実施の形態では、組成物が提供される。以下に実施例5として例示されている組成物は、平均直径が150ナノメートルよりも小さな複数のリポソームからなり、複数のリポソームのそれぞれは、第1の脂質またはリン脂質と、ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質と、リポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤からなり、複数のリポソームのそれぞれは、非放射性コントラスト強調剤、及び、化学療法薬、遺伝子(gene)、タンパク質(protein)、小分子(small molecule)及びペプチドを含むがこれに限定されるものではない少なくとも1つの生物活性剤を共に封入している。一実施の形態の組成物では、第1の脂質またはリン脂質は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:DPPC)からなる。他の実施の形態の組成物では、リポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤は、コレステロールからなる。他の実施の形態の組成物では、ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリ(エチレングリコール))-2000](1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine-N-[methoxy](poly(ethylene glycol))-2000:mPEG2000−DSPE)からなる。他の実施の形態の組成物では、第1の脂質またはリン脂質、ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質、リポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤は、55:40:5の比率で存在している。他の実施の形態の組成物では、化学療法薬はドキソルビシン(doxorubicin)からなる。他の実施の形態の組成物では、リポソームの平均直径はおよそ100nmである。
【0029】
一実施の形態では、組成物によって、ナノプローブの体内分布のライブまたはリアルタイム追跡が可能になり、患者特有の治療が可能になる。他の実施の形態では、組成物について説明されているように、ナノプローブにコントラスト剤と共に治療薬を封入した場合、治療薬の非観血的薬物動態(non-invasive pharmacokinetic)が得られる。他の実施の形態では、ナノプローブはさらに多機能であり、ナノプローブは、抗体(antiboies)及びペプチドを介して積極的に狙うこともできる。
【0030】
共に封入するのに適した治療薬の1つの例は、アントラサイクリン(anthracycline)である。安全性を向上させる一方、抗腫瘍効果(antitumor efficacy)を維持することで、アントラサイクリンの治療係数を向上させるために、リポソームアントラサイクリンが改良された。ドキソルビシンを含むアントラサイクリンは、化学療法薬の中でも最も強力なものである。しかしながら、この種の化学療法は、骨髄抑制、ひどい吐き気及び嘔吐、口内炎(stomatitis)及び心毒性(cardiotoxicity)をもたらす極めて問題のある全身毒性によって限定されているため、多くの強力な抗癌剤の限界を示している。100nmの脂質嚢(lipid sac)で血液循環時間が長い
【外2】
【0031】

ポリエチレングリコール被覆された(PEG化された(PEGylated))リポソームドキソルビシンは、難治性カポジ肉腫及び卵巣癌の治療用に米国で臨床用途に承認された。PEG化リポソームドキソルビシンは、乳癌の治療のためにも研究され、従来のドキソルビシンに比べて、同様な効果及び著しく低い心毒性を示した。リポソームに充填(load)する他の多くの薬剤は、癌治療に承認され、または臨床評価を受けており、ここに詳述したように共に封入するのに適している可能性がある。なお、薬剤は、ビンクリスチン(vincristine)、ルートテカン(lurtotecan)、オールトランスレチノイン酸(all-trans-retinoic acid)、白金化合物、アナマイシン(annamycin)及びHLA−B7及びβ2ミクログロブリンをコード化した(encoding)DNAプラスミドを含むがこれに限定されるものではない。
【0032】
ある実施の形態では、組成物を検出する適切な画像化技術は、例えば、X線診断技術であるコンピュータ断層撮影法(CT)、マイクロCT、マンモグラフィ及び胸部X線のうち少なくとも1つを含む。他の実施の形態では、ナノプローブは、少なくともMRI、超音波検査並びに蛍光発光及び生物発光画像法を含む光学的画像法のうち少なくとも1つを使用して画像化または検出される。
【0033】
〔実施例〕
〔実施例1〕 実施例のナノプローブの調製及び特性化
粉末のイオジキサノール(GEヘルスケア社のVisapaqueを凍結乾燥したもの)を、連続的な撹拌と70℃での加熱で、超純水に溶かし、高濃度のヨウ素溶液(600mgI/mL)を用意する。モル比で55:40:5の1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、コレステロール、及び、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリ(エチレン グリコール))-2000](mPEG2000−DSPE)からなるエタノール中の脂質溶液は、70℃でヨウ素溶液と水和(hydrate)され、続いて、ライペックス・サーモライン押出器(Lipex Thermoline extruder)[ノーザンリピッズ社、バンクーバ、カナダ]で順次押し出される(sequential extrusion)。これによって、ポリエチレングリコール安定化された(PEG化された)リポソームの水性中核内に、ヨウ素溶液を封入することができる。フリーな、封入されていないイオジキサノールは、100,000MWCOの透析チューブを用いて300mMのNaClに対して2日間透析(dialysis)を行うことで、リポソームの内部のヨウ素化された相(internal iodinated phase)と同じ浸透圧(osmolarity)の生理食塩水(300mM NaCl)によって置換される。続く、50nmを遮断する細孔(pore)の大きさを有するマイクロクロス・モジュール(MicroKros modules)[スペクトラムラボラトリーズ社、カリフォルニア]を用いた膜分離法(diafiltration)による濃縮(concentration)によって、リポソームヨウ素(liposomal iodine)及び脂質の含有量は、それぞれ155mg/mL(全て封入)及び165mMになる。動的光散乱(dynamic light scattering)によって測定すると、リポソームの平均直径は、96nm(sd=8nm)であった。リポソームの壁(walls)は、等浸透圧性の環境(isotonic enviroments)で生じることが期待されている浸透圧(osmotic pressures)を維持する(sustain)ことができるため、596mOsm/kgの浸透圧(water osmolality)の製剤(formulation)の静脈注射が許容される。体外における漏出試験(vitro leakage experiments)に対して、リン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline)は、無視可能な封入されたヨウ素の漏出(初期荷重[初期荷重の5%未満])を3日間にわたって示した。
【0034】
〔実施例2〕 実施例1のナノプローブを使用した画像解析
実施例1のナノプローブは、乳腺癌細胞(ATCCの13762 MAT B III)を雌のフィッシャーラットの右脇腹に移植(inoculation)して成長させたラットの乳房腫瘍モデルで試験を行った。画像解析は、腫瘍を移植してから7日目に開始した(腫瘍の体積は440mm3;腫瘍の成長曲線については、図1参照)。腫瘍の体積(n=15)は、カリパス(caliper)を用いて測定した。
【0035】
市販のデジタルマンモグラフィシステム(GEヘルスケア社のSenographe 2000D)を、ロジウムターゲット及び0.3mm厚の特別な銅フィルタとを用いて、49kVp及び63mAsでコントラストを強調したマンモグラフィを実施した。これらの設定は、ヨウ素にとって最適なエネルギーを有するように、X線を形成するために使用される。この状態の下で、ヨウ素のk端(k-edge)を超えたエネルギーを有する最も多くのX線を含んでいる最適なX線スペクトルが得られ、一方、一般的なマンモグラフィと比較して、X線量(X-ray dose)を著しく減らすことができる。初期の解析は、血管の画像を得るために、高用量でナノプローブを投与して実施した。コントラスト前の画像(pre-contrast image)(図2(a))と、ナノプローブを尾静脈注射(tail vein injection)してから1,5,10及び15分後のコントラスト後の画像(post-contrast image)を取得した。ナノプローブを1,300mgI/kg体重投与し、20mgI/mLの血中濃度が得られた場合に、血管がはっきりと可視化されている(図2(b))。成人の場合、これは、(血液量を5リットルと仮定して)ナノプローブをおよそ654mL投与することに対応し、ヒトに対して使用するには非常に多すぎる。しかしながら、マンモグラフィシステムが検出可能な血管をはっきりと可視化するためにこの高用量が使用された。
【0036】
このナノプローブ試験の末路(fate)をモニターして、(t=0と表示されている)コントラスト前の画像と、ナノプローブを455mgI/kg体重投与後、24,72及び120時間後のコントラスト後の画像を取得した。この量は、体重1kgあたり195mgの脂質に対応し、臨床診療で使用した場合、リポソーム剤の最も高い脂質の投与量の2倍に当たる。図2(c)は、ナノプローブを注射してから72時間後に取得された動物の画像を示している。正常な細胞では、(図2(b)で観察された強調された血管と比較して)血管が可視化されていないが、一方、脾臓及び腫瘍は強調されている。(血液循環内で最大のヨウ素が予想される場合)ナノプローブを検出するために与えられた腫瘍の血管外のスペースのリポソーム、及び、血中ヨウ素濃度が検出可能な閾値を下回ったため、脾臓が強調されることは予想されていた。
【0037】
図3は、5日間に渡る腫瘍病変内のナノプローブの蓄積のタイムラインを示している。同様の方法で、コントラスト後の限定した時点において、動物のグループ(n=7)の画像化及びモニターを行ったものであり、似た反応を示した。図4(a)は、ImageJソフトウェア(NIH,ベセスダ,メリーランド州)を用いて病変の階調(grey level)を定量化して、腫瘍の強調の時間経過の概要を示している。規格化された(normalized)腫瘍の強調度は、120時間の時間経過に渡って、強調度がゆっくりした漸進的な増加を示す腫瘍から各コントラスト後の値(t>0)を減算することで計算され(図4(a)におけるラット2及び6)、一方、他の腫瘍は早い増加を示した(図4(a)におけるラット3,4及び5)。他の腫瘍は、t=24hで最初の急な強調度を示し、その後は横ばいになった。t=120hにおいて、強調度が低い病変が存在し、他の病変の強調度はより高い。この相違は、異なる量のナノプローブが各腫瘍に漏出したことを示している。
【0038】
ナノプローブに基づく腫瘍の強調のパターン(pattern)は、図4(b)にプロットされており、同じグループの動物の正常な細胞、または、(薬剤を注射されていない)対照群(control group)の腫瘍部分と比較されており、統計的な違いを示している。正常な細胞では強調は観察されなかったことから、血液中のナノプローブ濃度がマンモグラフィで検出可能な閾値を下回っていることを示している。腫瘍細胞の内因性の変化が、プローブなしの病変のケースで見られたように有意な強調に寄与できないことを意味している。吸収量の多い腫瘍病変のマンモグラフィ画像の例と、適度な吸収量の腫瘍病変が図5に示されている。
【0039】
〔実施例3〕 比較例(対照群)
図6には、コントラスト剤を注射していないラット(対照群)の全身マンモグラフィ画像が示されている。もう1つの対照群は、従来のヨウ素剤(イオヘキソール)を高用量1,344mgI/mLのナノプローブと同等の摂取量のヨウ素を注射した(図7参照)。注射後、最初の1分において、正常な血管系及び腫瘍病変は、わずかな強調が見られたが、ヨウ素剤は腎臓を介して迅速に取り除かれた(図8参照)。
【0040】
〔実施例4〕 ナノ化学療法の成功の非観血的予測(prediction)
乳腺癌細胞(ATCCの13762 MAT B III)を雌のフィッシャーラットの右脇腹に移植して成長させたラットの乳房腫瘍モデルにおいて、ナノプローブによる予測の正確性について試験を行った。腫瘍を移植してから6日後に画像解析を開始した。市販のデジタルマンモグラフィシステム(GEヘルスケア社のSenographe 2000D)を、ロジウムターゲット及び0.3mm厚の特別な銅フィルタとを用いて、49kVp及び63mAsでコントラストを強調したマンモグラフィを実施した。動物(n=15)に対して、実施例のナノプローブを455mgI/kg体重注射した。図9は、コントラスト前の値(t=0)からImageJソフトウェアを用いて病変の階調(grey level)を定量化して(t>0)、腫瘍の強調の時間経過の概要を示している。強調結果(enhancement profiles)が異なるパターンを示すことが観察された。画像化セッション(imaging session)の直後(腫瘍移植9日後)、動物には、体重で1kg当たり10mgのドキソルビシンの量のリポソームドキソルビシンを注射した。
【0041】
カリパスを用いて腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の薬剤に対する反応を評価した。図10は、カリパスを用いた測定で得られた全ての動物の腫瘍の成長カーブの概要を示している。成長カーブは、ばらつきが大きく、各腫瘍が化学療法に対して異なる反応を示したことを意味している。ナノプローブをより多く吸収した動物は、治療に対してよい反応を示した(体積の小さな腫瘍)。
【0042】
ナノプローブの予測と治療に対する反応の関係を定量化するために、成長速度定数(growth rate constant)Ktumor growthを計算するため、腫瘍の成長カーブを単一指数関数(すなわち、dV/dt=Ktumor growth*t ただし、Vは腫瘍の体積)に合わせた。ナノプローブの吸収結果の血中濃度曲線下面積(Area Under the Curve)[AUCprobing]は、図9から計算される。図11において、各動物のKtumor growthを各動物のAUCprobingに対してプロットしてある。AUCprobingが高いということは、腫瘍内にナノプローブが多く蓄積していることを意味し、ナノ化学療法が高い確率で成功することを予測しており、一方、Ktumor growthが低いということは、腫瘍の成長が遅い、または、治療に対してよい反応をすることを意味している。
【0043】
〔実施例5〕 コントラスト剤及び化学療法薬を共に封入した実施例のナノスケールリポソームの調製及び生体外特性
モル比で55:40:5のDPPC、コレステロール、及び、mPEG2000−DSPEからなるエタノール中の脂質溶液は、70℃で300mMの硫酸アンモニウムヨウ素溶液(イオヘキソール;350mgI/mL)と水和され、続いて、ライペックス・サーモライン押出器で順次押し出される。これによって、PEG化されたリポソームの水性中核内に、ヨウ素溶液を封入することができる。自由な、封入されていないイオジキサノールは、100,000MWCOの透析チューブを用いて300mMの硫酸アンモニウムに対して2日間透析を行うことで、リポソームの外部の相(external phase)から除去される。リポソームは、ドキソルビシンの充填のために硫酸アンモニア勾配(ammonium sulfate gradient)を確立するために、100kDa MWCOの透析チューブを用いてリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline)[PBS]に対して12時間透析される。
【0044】
硫酸アンモニア勾配によって、ドキソルビシンが活発にリポソーム製剤に充填される。リポソームとドキソルビシンはリポソームのDPPC1mgに対して、ドキソルビシン0.1mgの比で簡単に調合されている。リポソーム−ドキソルビシン懸濁液(suspension)は、35℃で25分間温められる。リポソームは、室温で一晩そのままにしておき、封入されていないドキソルビシンを除去するためにPBSに対して100kDa MWCOの薄膜(membrane)で2度透析される。続く、50nmを遮断する細孔(pore)の大きさを有するマイクロクロス・モジュール(スペクトラムラボラトリーズ社、カリフォルニア)を用いた膜分離法による濃縮によって、リポソームヨウ素及びドキソルビシンの含有量は、それぞれ91mg/mL及び1.2mg/mL(全て封入)になる。動的光散乱によって測定すると、リポソームの平均直径は、102nm(sd=6nm)であった。
【0045】
ここで提供される組成物、方法などを記述するために、成分または方法の想像できる組み合わせを全て記述することはもちろん不可能である。当業者によれば、容易に追加のアドバンテージ及び改良を行うことができる。したがって、広い観点から、本発明は上述の詳細情報及び実施例に限定されるものではない。それゆえ、出願人の一般的な発明の概念の趣旨及び範囲を逸脱することなく、発展(departures)が可能である。普通の技術を有する人であれば、これらの可変なもの(variables)を最適化または処理するには、1以上の他の可変なものを処理する必要があるまたは可能にすること、且つ、そのような最適化または処理は本実施の形態の趣旨及び範囲に含まれていることを容易に認識することができる。
【0046】
本発明の広い範囲を定めている数値範囲及びパラメータは近似であるが、具体例で定めた数値は、可能な限り正確に報告してある。しかしながら、数値は、個々の試験器具の標準偏差による一定の誤差を内在的に含んでいる。“およそ(about)”の用語は、定められた値の最大で±10%の誤差を含むことに注目すべきである。例えば、“およそ10”は、9から11を意味している。
【0047】
さらに、組成物、方法などが実施例を示すことで説明され、かなり詳細に説明されているが、添付の請求の範囲を細部にまで限定またはどのような方法によっても制限する出願人の意図ではない。したがって、本出願は、添付の請求の範囲に含まれる修正、改良及び変形例を包含する意図である。上述の記述は、本発明の範囲を制限する意図のものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求の範囲及びそれと等価なものによって決定される。
【0048】
最後に、用語“含む(includes)”または“含んでいる(including)”の用語は、詳細な説明または請求の範囲に使用されているが、これは、接続副詞(transitional words)として請求の範囲で使用された場合には、“備える・含む・からなる(comprising)”の用語と似た方法で包括的な用語であると解釈されることを意図している。さらに、請求の範囲において“または(or)”の用語(例えば、AまたはB)が使用されているが、これは、“AまたはBまたはその両方”を意図している。もし出願人が、“AまたはBであるが、両方の場合を含まない”ことを意図している場合、“AまたはBであるが、両方の場合を含まない”を使用する。同様に、出願人が、A,BまたはCのうち“ただ1つ(one and only one)”を意図している場合、出願人は、“ただ1つ(one and only one)”のフレーズを使用する。したがって、ここで“または(or)”の用語を使用することは、非排他的な用法(inclusive use)であって、排他的な用法(exclusive use)ではない。Bryan A. Garner著“Dictionary of Modern Legal Usage” 624 (第2版 1995年)を参照のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の血管系の統合性の検査方法であって、
前記被験者の血管系に組成物を投与し、
前記被験者の血管系の画像を生成し、且つ、
前記被験者の血管系の漏出を検出するために、前記画像を分析することからなり、
前記組成物は、1以上の非放射性コントラスト強調剤を封入した複数のリポソームからなり、
前記複数のリポソームは、コレステロール、少なくとも1つのリン脂質、及び、ポリマー鎖が誘導体化された少なくとも1つのリン脂質からなり、
前記複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さいことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記画像の生成は、X線画像を生成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記画像の生成は、前記被験者の血管系に前記組成物を投与する前後に画像を生成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項4】
前記画像の分析は、シグナルが強調された領域と、シグナルがほとんどまたは全くない領域とを区別することを含むことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項5】
前記組成物は、前記被験者の血管系の血管内の部位と比較して、前記被験者の血管系に漏出が存在する場合、前記被験者の血管系の血管外の部位に前記組成物が蓄積し、前記血管外の部位において前記シグナルが強調される特性を有することを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項6】
前記X線画像の生成は、コンピュータ断層撮影法、マイクロコンピュータ断層撮影法、マンモグラフィ、及び、胸部X線のうち、少なくとも1つを使用してX線画像を生成することを含むことを特徴とする請求項2に記載の検査方法。
【請求項7】
前記画像の生成は、MRI、超音波検査、並びに、蛍光発光及び生物発光画像法を含む光学的画像法のうち少なくとも1つを使用して画像を生成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項8】
前記漏出は、癌、脳卒中、動脈瘤、治癒及び外傷のうち、少なくとも1つを示していることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項9】
悪性病変と良性病変の識別方法であって、
関心病変に組成物を投与し、
前記関心病変の画像を生成し、且つ、
前記関心病変内における前記組成物の蓄積の程度を測定するために、前記画像を分析することからなり、
前記組成物は、複数のリポソームからなり、
前記複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの第1の脂質またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、前記複数のリポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤からなり、
前記複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さく、
前記複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入していることを特徴とする識別方法。
【請求項10】
前記組成物が、良性病変よりも、悪性病変に多く蓄積することを特徴とする請求項9に記載の識別方法。
【請求項11】
前記画像の生成は、コンピュータ断層撮影法、マイクロコンピュータ断層撮影法、マンモグラフィ、及び、胸部X線のうち、少なくとも1つを使用してX線画像を生成することを含むことを特徴とする請求項9に記載の識別方法。
【請求項12】
ナノサイズ治療に対する腫瘍のアクセス可能性の検査方法であって、
前記腫瘍に組成物を投与し、
前記腫瘍の画像を生成し、且つ、
前記腫瘍内における前記組成物の蓄積の程度を測定するために、前記画像を分析することからなり、
前記組成物は、複数のリポソームからなり、
前記複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの第1の脂質またはリン脂質と、1以上のポリマーが誘導体化された少なくとも1つの第2の脂質またはリン脂質と、前記複数のリポソームを安定化させることができる少なくとも1つの立体的に嵩高い賦形剤からなり、
前記複数のリポソームの平均直径は、150ナノメートルよりも小さく、
前記複数のリポソームのそれぞれは、少なくとも1つの非放射性コントラスト強調剤を封入していることを特徴とする検査方法。
【請求項13】
前記画像の生成は、コンピュータ断層撮影法、マイクロコンピュータ断層撮影法、マンモグラフィ、及び、胸部X線のうち、少なくとも1つを使用してX線画像を生成することを含むことを特徴とする請求項12に記載の検査方法。
【請求項14】
組成物であって、
前記組成物は、平均直径が150ナノメートルよりも小さな複数のリポソームからなり、
前記複数のリポソームは、
第1の脂質またはリン脂質と、
ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質と、
前記複数のリポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤からなり、
前記複数のリポソームは、非放射性コントラスト強調剤、及び、少なくとも1つの生物活性剤を共に封入していることを特徴とする組成物。
【請求項15】
前記第1の脂質またはリン脂質は、DPPCを含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質は、mPEG(2000)−DSPEを含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記第1の脂質またはリン脂質と、前記ポリマーが誘導体化された第2の脂質またはリン脂質と、前記複数のリポソームを安定化させることができる立体的に嵩高い賦形剤とは、55:40:5の比率で存在していることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記生物活性剤は、ドキソルビシンを含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
前記複数のリポソームの平均直径は、およそ100nmであることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
前記複数のリポソームの平均直径は、120nmよりも小さいことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
前記非放射性コントラスト強調剤は、ヨウ素化合物を含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
前記生物活性剤は、化学療法薬、遺伝子、タンパク質、小分子及びペプチドのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、CT、マイクロCT、マンモグラフィ、胸部X線、MRI、磁気共鳴分光法、生物発光画像法、超音波検査、光学的画像法、光学分光法のうち少なくとも1つを用いて検出可能であることを特徴とする請求項14に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−506325(P2011−506325A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536951(P2010−536951)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/013651
【国際公開番号】WO2009/073236
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(506349832)マーバル バイオサイエンシーズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】