説明

ナノチューブのキラリティを制御するシステムおよび方法

実質的に同様のキラリティを有するナノチューブを発生させるのに用いることのできるシステムを提供する。このシステムは、所望のキラリティと関連する所望のラディアル・ブリージング・モードに調節された共振振動数を提供し、それによって、与えられた共振振動数で、触媒粒子のテンプレートまたはナノチューブが振動し、その結果、成長するナノチューブを刺激して、対応する共振振動数で振動させる。この共振振動数は、システムによって発生する高振動数の場または固有の熱放射に起因する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブを製造するシステムおよび方法に関し、より具体的には、製造の間にナノチューブのキラリティを制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは様々な形状の異方性構造を有し、その構造としては、特に、単層構造、多層構造、およびロープ状の多管構造に束ねられた構造が挙げられる。カーボンナノチューブは、通常、直径が約10分の数ナノメートルから数十ナノメートルに及び、長さが約数ミクロンから数ミリメートルに及ぶ。カーボンナノチューブは、そのキラリティに応じて導電性または半導性も示す。例えば、アームチェア構造を有するカーボンナノチューブは金属的性質を示し、ジグザグ構造を有するカーボンナノチューブは直径に応じて半導体的性質または金属的性質を示すことが一般に認識されている。
【0003】
更に、カーボンナノチューブ、例えば単層カーボンナノチューブ等の電子的特性および恐らく機械的特性は、そのキラリティに支配され(または制御され)、そのキラリティは、今度は、ナノチューブを成長させるところの触媒の直径に支配されるであろうことが観察されてきた(Nasibulinら、『Carbon』第43巻、2005年、第2251頁〜第2257頁)。キラリティは、ナノチューブに対するロールアップベクトルをしばしば参照する。キラリティは広範囲にわたって文献に記載されており(Sattoら、『Physical Properties of Carbon Nanotubes(カーボンナノチューブの物理的特性)』、Imperial College Pless、2004年、第37頁)、下記の式で表されるベクトルCによって規定し得る:
【数1】

【0004】
このようなベクトルにおいて、n−mが3で割り切れる場合、カーボンナノチューブは金属的性質を示すと考えられる。そうでない場合、カーボンナノチューブは半導体的性質を示すと考えられる。半導体的性質を示すそれらのカーボンナノチューブに関して、それらのバンドギャップもキラルベクトルの影響を受け、キラルベクトルと共に変化するだろう。光子検出器(photonic detector)等の特定の用途またはトランジスタ合成に対して、キラルベクトル(すなわちキラリティ)の制御は重要であり得る。カーボンナノチューブの直径が下記の式
【数2】

で表すことができると仮定すると、ナノチューブの直径、すなわちdの非常に小さい変化が、ナノチューブの電子特性に相当な影響を与え得ることが理解されるだろう。
【0005】
例えば、「m」および「n」がカーボンナノチューブの金属的または半導体的性質を規定する場合、カーボンナノチューブの電子特性の変化は、その直径「d」の変化と共に起こり得る。感度は、個々のカーボンナノチューブのレベルでは、10分の数ナノメートルであり得る。結果として、直径を制御することによるキラリティの制御は、現在のところ不可能ではないにしても困難であり得る。例えば、n=6かつm=5である場合、定義により、ナノメートル単位(nm)でd=0.948aである。しかし、「n」をn=6に保ち、「m」をm=3に変化させた場合、d=0.793aナノメートルである。「m」を少し変化させた後者のナノチューブが金属導体となるのに対して、前者は半導体である。
【0006】
カーボンナノチューブを使用する用途が多岐にわたり得ることが十分に認められており、この用途としては、とりわけ、メモリデバイス、電子増幅器、ガスセンサー、マイクロ波シールド、電極、電気化学的貯蔵、電界放出ディスプレイおよびポリマー複合物等と関連付けられた用途が挙げられる。特に、半導性カーボンナノチューブを、例えば、メモリデバイス、センサー等に用いることが可能であり、一方、金属性カーボンナノチューブをセルの電極材料、電磁シールド等に用いてよい。従って、カーボンナノチューブを用いてこれらの用途を実用化するためには、特定のキラリティを有するカーボンナノチューブを得るために、特定の直径または直径範囲を有するカーボンナノチューブを得る及び/又は製造することが必要であろう。
【0007】
従って、金属的特性と半導体的特性との間の選択において、触媒の直径を実質的に正確に制御する能力が必要とされる。いくつかの例において、精度は約0.155nmより高いことが必要とされる。しかし、「m」および「n」が大きくなるにつれて、この差がより一層近接し得ることに留意するべきである。成長工程の間に触媒の直径を正確に制御する能力が、この困難に加わる。特に、触媒が溶融状態にある場合(『Applied Physics Letters』、第87巻、051919、2005年)、液滴の振動(または変動)の存在は、恐らく、結果として得られる発生したカーボンナノチューブにおける直径の相当な振動(または変動)をもたらし得る。他方、触媒が結晶状態にある場合、これらの触媒は、恐らく、金属クラスター(これらも直径が異なる)から形成される。結果として、そのような金属クラスターから発生するカーボンナノチューブも直径が異なり得る。
【0008】
例えば所定のキラリティを有する単層カーボンナノチューブを選択するために行われてきた、いくつかの歴史的アプローチが存在する。これらのアプローチとして、以下のものが挙げられる:(1)触媒粒子の直径を制御する試み(Katauraaら、「Diameter Control of Single−walled Carbon Nanotubes(単層カーボンナノチューブの直径の制御)」、『Carbon』第38巻、2000年、第1691頁〜第1697頁)、(2)既知のキラリティの断片(またはフラグメント)におけるナノチューブのエピタキシャル成長(米国特許第7,052,668号)、(3)特定のキラリティを有するナノチューブを製造するための放電またはレーザー蒸着の使用、および(4)チューブのバッチを製造および処理(または加工)した後の、所望のキラリティに適合するチューブのみの選択(Feringaら、「Molecular Chirality Control and Amplification by CPL:Correction(CPLによる分子のキラリティ制御および増幅:補正)」、『Science』、第276巻、第5311号、第337頁〜第342頁)。これらの内、最後のものが最も見込みがあると思われる。しかし、そのようなアプローチは破壊的であることがあり、技術者に非常に正確に予めキラリティを選択させないかもしれず(http://www.fy.chalmers.se/conferences/nt05/abstracts/P357)、時間も消費し得ることが観察されてきた。
【0009】
従って、所定のキラリティを実質的に正確に特定または規定して、その結果、そのように特定されたキラリティを有するナノチューブをその後製造できるようにし得るアプローチを提供することが望ましいだろう。また、そのアプローチは、キラリティが実質的に一様である実質的に一様なナノチューブを得ることを可能にし得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、とりわけ以下のものを提供するように構成することができる。(1)ナノチューブのキラリティを、製造前に実質的に正確に特定または規定し、それによって、製造されるナノチューブが特定のキラリティを有し得ることを可能にするアプローチ、および(2)製造の間に、特定の又は規定されたキラリティを有するナノチューブを正確に選択し得るアプローチ。
【0011】
本発明の一の態様に従って、ナノチューブを製造するシステムが提供される。一の態様において、システムは、内部でナノチューブの成長を開始させることができる合成室を含む。ある態様において、合成室は、ナノチューブの成長に必要な反応ガスを導入し得る入口を含む。合成室は、触媒前駆体を導入し得る入口を含んでもよい。システムは、合成室内に配置された空洞(cavity)を含んでもよく、この空洞は、製造すべきナノチューブの所望のキラル性に固有のラディアル・ブリージング・モード(radial breathing mode)に調節された、選択された共振振動数で共振するように設計される。システムは、空洞において選択された共振振動数を発生させるための発生源を更に含み、それによって、合成室内にある複数の触媒粒子に選択された共振振動数を課すことが可能であり、その触媒粒子からナノチューブの成長がおこり得、その結果、選択された共振振動数と実質的に同様の、従って所望のキラル性に固有の振動数と同様の共振振動数を示すナノチューブの成長が許容される。ある態様において、発生源は、共振振動数を発生するために、電磁場および電場または磁場の内の一つを提供し得る。
【0012】
別の態様において、ナノチューブを製造するための代替システムが提供される。そのシステムは、内部でナノチューブの成長を開始させ得る合成室を含む。ある態様において、合成室は、ナノチューブの成長に必要な反応ガスを導入し得る入口を備えてよい。合成室は、触媒前駆体を導入し得る入口を備えてもよい。システムは、合成室内に配置された放射板であって、所望のキラル性を有する予め選択された少なくとも1個のナノチューブをその上に有する放射板も含む。ある態様において、放射板上の予め選択されたナノチューブは、その予め選択されたナノチューブの直径に近似する、その固有振動数で再放射し得る。システムは、合成室と連通する熱源であって、放射板上の予め選択されたナノチューブをその固有振動数で再放射させるのに十分な熱エネルギーを発生するように設計された熱源を更に含む。再放射する予め選択されたナノチューブが存在すると、合成室内において予め選択されたナノチューブの近くで成長する他のナノチューブは、刺激されて同様の振動数で共振し、予め選択されたナノチューブが示すキラリティと実質的に同様のキラリティで成長し得る。
【0013】
本発明は、ナノチューブを製造する方法も提供する。この方法は、ナノチューブを成長させ得るところの複数の触媒粒子を、まず、実質的に高振動数の場にさらすことを含む。そのような高振動数の場は、電磁場、電場または磁場であり得る。触媒粒子を、更に、実質的に高い温度、およびナノチューブの成長を可能にするのに必要な反応ガスにさらしてよい。次に、触媒粒子を、製造すべきナノチューブの所望のキラル性に固有の直径に対するラディアル・ブリージング・モードに調節し得る選択された共振振動数で共振させてよい。ある態様において、触媒粒子は、層流もしくは流動床において存在してよく、または基板上に播種されて(seeded)よい。その後、選択された共振振動数と実質的に同様の共振振動数、従って固有の所望のキラル性を有するそれらのナノチューブを成長させることが許容される。一の態様において、成長したナノチューブは、それらのキラル性が実質的に一様であってよい。
【0014】
本発明は、ナノチューブを製造する別の方法を更に提供する。この方法は、所望のキラル性を有する予め選択されたナノチューブを、まず、その予め選択されたナノチューブに照射するのに十分な熱エネルギーを備えた熱源を有する環境にさらすことを含む。ある態様において、予め選択されたナノチューブを基板に固定してよく、熱源は約1250℃を超える実質的に高い温度を放射してよい。更に、予め選択されたナノチューブの存在下で触媒前駆体を環境に導入して、その後のナノチューブの成長を可能にしてよい。次に、照射されたナノチューブが、熱源の存在下で、その固有振動数で再放射することを許容してよい。一の態様において、固有振動数は、再放射するナノチューブの直径に近似する。その後、再放射するナノチューブが、そのナノチューブと近接して成長するナノチューブを刺激し、それによって、再放射するナノチューブが示すキラリティと実質的に同様のキラリティで成長させることが可能となり得る。ある態様において、成長したナノチューブは、そのキラル性が実質的に一様であってよい。
【0015】
本発明によって、ナノチューブを製造するシステムを提供することも可能である。そのシステムは、放射エネルギー、例えば、約1250℃を超え、且つテラヘルツの振動数内または振動数の小さいバンド内の放射エネルギーを発生させるための第1炉を含む。システムは、第1炉の内部に設けられた、所望のナノチューブのキラル性に対応する特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーを選択するためのフィルターも含む。ある態様において、フィルターは、選択された共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーの通過を許容するように寸法が定められた、1個またはそれより多くのスロットを有する振動数選択面を含む。システムは、特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内の選択されたエネルギーを受け取るための、第1炉と流体連結する第2炉を更に含む。第2炉は、ナノチューブの成長において用いるために、反応ガスを第2炉に導入するための入口および触媒前駆体を第2炉に導入するための入口を備えてよい。ナノチューブが成長し得るところのフットプリント(footprint)を提供するために、テンプレート(template)を第2炉に設けてよい。ある態様において、選択されたエネルギーの存在下でテンプレートを刺激して、それによって、選択された共振振動数または振動数の小さいバンドと実質的に同様の共振振動数を示すナノチューブ、従って所望のキラル性を示すナノチューブの成長を許容することが可能であってよい。
【0016】
本発明のある態様に従って、上述のシステムに基づくナノチューブの製造方法が更に提供される。その方法は、第1環境内において、放射エネルギー、例えば約1250℃を超え、且つテラヘルツの振動数内または振動数の小さいバンド内の放射エネルギーをまず発生させることを含む。次に、第1環境内で放射エネルギーをフィルタリングして、それによって、所望のナノチューブのキラル性に対応する特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーを選択してよい。その後、特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内の選択されたエネルギーを、第1環境から第2環境中に方向付けてよい。ナノチューブの成長に用いるために、反応ガスを第2環境に導入してもよい。第2環境において選択されたエネルギーに対して配置されたテンプレートを、その後、選択されたエネルギーおよび反応ガスにさらしてよく、その結果、選択されたエネルギーの存在下でテンプレートを刺激して、ナノチューブを成長させ得るところのフットプリントにすることが可能である。一旦成長が開始すると、選択された共振振動数または振動数の小さいバンドと実質的に同様の共振振動数、従って所望のキラル性を示すナノチューブをテンプレートから成長させることが許容される。
【0017】
本発明の別の態様において、放射エネルギー発生器が提供される。その発生器は、第1端、対向する第2端、および第1端と第2端との間に広がる反射内部表面を有するハウジングを含む。ある態様において、ハウジングは、十分小さい寸法または運搬可能な寸法であってよい。発生器は、ハウジングの第1端に設けられた、放射エネルギーを発生させるための熱源も含む。熱源は、パルスエネルギーを発生するように設計してよく(例えばフラッシュランプ(または閃光灯、flash lamp)等)、熱発生を可能にするのに十分な出力を提供するコンデンサを含んでよい。発生器は、ハウジングの第2端に設けられた、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみの通過を許容するためのフィルターを更に含む。ある態様において、フィルターは、テラヘルツレンジ内のエネルギーの通過を許容するように寸法が定められた、1個またはそれより多くのスロットを含む振動数選択面を含んでよい。ハウジングの第2端において、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみが通過してハウジングを出ることができるフィルターに近接して、出口を設けてよい。
【0018】
本発明の別の態様において、出力を発生させる方法が提供される。その方法は、反射経路をまず提供することを含む。次に、放射エネルギーを、反射経路の一方の端から反射経路の対向する端に方向付けてよい。その後、反射経路の対向する端で放射エネルギーをフィルタリングして、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみを選択することを許容してよい。その後、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみが反射経路から出ることを許容してよい。
【0019】
本発明の放射エネルギー発生器による様々な使用および用途も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】図1Aは、本発明の一の態様による、ナノチューブを製造するための化学蒸着システムを示す。
【図1B】図1Bは、本発明の一の態様による、ナノチューブを製造するための化学蒸着システムを示す。
【図2】図2は、図1に示すシステムと関連して用いられる、製造されるカーボンナノチューブのキラリティを受動的に制御するためのマイクロ波空洞を示す。
【図3】図3は、図1に示すシステムと関連して用いられる、製造されるカーボンナノチューブのキラリティを受動的に制御するための放射板を示す。
【図4】図4は、本発明の一の態様と関連する、図2および3のシステムを用いて発生させたカーボンナノチューブに関する振動数−直径曲線を示す。
【図5】図5は、図1に示すシステムと関連して用いられる、製造の間に特定のキラリティを有するカーボンナノチューブを能動的に選択するためのテラヘルツ(THz)フィルターの概略図を示す。
【図6】図6は、外側要素61、内側要素62、および内側要素62と各外側要素61との間に設けられたフィルタリング要素63を含むフィルター51を示す。
【図7】図7は、著しい出力を発生させることができるTHz発生器70を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
現在のところ、ナノチューブを成長させる複数のプロセスおよびその変形が存在する。これらのプロセスおよびその変形として、以下のものが挙げられる:(1)化学蒸着(CVD)、周囲圧力付近または高圧において約400℃より高温で起こり得る一般的プロセス、(2)アーク放電、高い完成度を有するチューブを生成することのできる高温プロセス、および(3)レーザー・アブレーション。
【0022】
一の態様において、本発明は、カーボンナノチューブを含む適切なナノ構造を発生させるために、CVD法またはその産業で公知の同様の気相熱分解法を採用する。全体を通じて炭素から合成されるナノチューブに言及しているが、(1種類または複数種の)他の化合物を、本発明に関連するナノチューブの合成に用いてよいことに留意するべきである。例えば、ホウ素ナノチューブも成長させてよいが、異なる化学的前駆体と共に成長させてよいことを理解するべきである。プラズマCVD等の他の方法も用いることができる。
【0023】
CVD法の成長温度は、比較的低温の範囲、例えば約400℃〜約1300℃であり得る。本発明のある態様において、カーボンナノチューブ(単層(SWNT)または多層(MWNT)の両方)は、反応物である炭素含有ガス(即ちガス状炭素源)の存在下でナノ構造の触媒粒子をさらすことによって成長させてよい。特に、ナノ構造の触媒粒子は、既存の粒子を加えることによって、または金属−有機前駆体(または非金属触媒でさえも)からの粒子のインサイチュー(in situ)合成によって、反応物である炭素含有ガスに導入してよい。SWNTおよびMWNTの両方を成長させてよいが、ある例において、SWNTは成長速度が比較的速く、また取り扱い、熱伝導性、電子特性および強度において利点を有し得るロープ状構造を形成する傾向にあるので、SWNTを選択してよい。
【0024】
本発明に関連して発生する個々のカーボンナノチューブの強度は、約30GPaまたはそれより大きくてよい。強度が欠陥に対して敏感であることに留意するべきである。しかし、本発明において製造されるカーボンナノチューブの弾性率は、欠陥に対して敏感でないことがあり、約1〜約1.2TPaで変化し得る。更に、これらのナノチューブの破断歪み(一般に、これは構造に対して敏感なパラメータであり得る)は、本発明において数%から最大で約15%の範囲に及ぶことがある。
【0025】
更に、本発明のナノチューブは、比較的小さい直径を有することができ、その結果、これらの材料を電極の形態で用いる場合に比較的大きい二重層静電容量を発生させ得る。本発明の態様において、本発明において製造されるナノチューブは、1nm未満から約10nmの範囲の直径を有し得る。
【0026】
本発明に関連して発生する個々のカーボンナノチューブ、特に単層カーボンナノチューブは、そのキラリティも実質的に同一であり得る。本発明の態様において、特定のナノチューブ直径のラディアル・ブリージング・モード(RBM)は同一であってよく、それを用いることによって、特定の直径、従ってキラリティを有する単層ナノチューブを、その後、製造の間に選択することが可能であり得る。特に、RBMはナノチューブのキラル性に固有であり得るので、各々のカーボンナノチューブを成長させ得るところの触媒粒子は、成長プロセスの間中、その直径を実質的に保持する限りにおいては、RBMは、製造の前にキラリティを選択すること、および成長プロセスの間中保持することを可能にするフットプリントを提供し得る。課される電磁放射をナノチューブに作用させてそのキラリティに影響を与えるために、触媒からのナノチューブの成長を開始させなければならないであろうことが理解される。
【0027】
約0.948aナノメートルの直径寸法を含む特定の直径範囲を有するカーボンナノチューブは半導体的特性を示し、一方、約0.793aナノメートルの直径寸法を含む比較的小さい直径範囲を有するカーボンナノチューブは金属導体であり得る。特定の直径の一様性、従ってキラリティの一様性によって、本発明のカーボンナノチューブを特定の用途と関連して用いることが可能となる。例えば、本発明の半導性単層カーボンナノチューブは、例えば、メモリデバイス、センサー等に用いることができ、一方、本発明の金属性単層カーボンナノチューブは、例えば、セルの電極材料、電磁シールド、マイクロ波アンテナ、導電体等に用いることができる。
【0028】
[ナノチューブを製造するためのシステム]
ここで、図1Aを参照して、米国特許出願第11/488,387号(これは引用することによって本明細書に組み込まれる)において開示されたシステムと同様の、ナノチューブの製造に使用されるシステム10を説明する。ある態様において、システム10は合成室11と連結してよい。合成室11は、一般に、反応ガスを供給し得る入口端111、長尺のナノチューブ113の合成が起こり得るホットゾーン112、および反応生成物、即ちナノチューブおよび排ガスが出て集められ得る出口端114を含む。ある態様において、合成室11は炉116の中に延びる(または広がっている)石英管115を含んでよい。システム10によって発生するナノチューブは、一方では、個々の単層ナノチューブ、そのようなナノチューブの束、および/または縒り合わされた単層ナノチューブ(例えばナノチューブのロープ)であってよい。
【0029】
本発明の一の態様において、システム10は、実質的に気密に設計されて、それにより潜在的に有害な浮遊(または空気中の)微粒子の合成室11内部から周囲への放出が僅かとなるハウジング12を含んでもよい。ハウジング12は、酸素がシステム10の中に入って合成室11に達するのを妨げる働きも有し得る。特に、合成室11内の酸素の存在は、一体性に影響を及ぼしてナノチューブ113の製造を阻害し得る。
【0030】
システム10は、ハウジング12内に配置された移動ベルト120を含んでもよく、この移動ベルト120は、システム10の合成室11の内部でCVD法から作製される合成されたナノチューブ113をまとめるように設計される。特に、ベルト120は、その上でまとめられたナノチューブを、その後、実質的に連続した延長可能な構造121、例えば不織シートに形成することを可能にするために用いてよい。そのような不織シートは、シートとして取り扱うのに十分な構造的一体性を有する、圧縮された、実質的に配向していない、且つ混ぜ合わされたナノチューブ113、ナノチューブの束または縒り合わされたナノチューブ(例えばナノチューブのロープ)から生産されてよい。
【0031】
製造したナノチューブ113をまとめるために、ベルト120を合成室11の出口端114に近接して配置し、それによってナノチューブがベルト120上に堆積するのを可能にしてよい。一の態様において、ベルト120は、図1Aに示すように、出口端114からのガスの流れに対して実質的に平行に配置してよい。別法として、ベルト120は、出口端114からのガスの流れに対して実質的に垂直に配置してよく、また、ベルト120は事実上多孔質であってよく、それによって、ナノ材料を運ぶガスの流れがそこを通過することが可能となる。ベルト120は、常套的なコンベア・ベルトと同様に、連続的な輪として設計してよい。その目的のために、ある態様において、ベルト120は対向する回転要素122(例えばローラー)の周りで輪にしてよく、電気モーター等の機械装置によって駆動してよい。別法として、ベルト120は剛性シリンダー(rigid cylinder)であってよい。一の態様において、モーターはコンピューターまたはマイクロプロセッサ等の制御システムを使用することによって制御してよく、それによって張力および速度を最適化し得る。
【0032】
別の態様において、不織シートの代わりに、製造された単層ナノチューブ113を合成室11からまとめてよく、その後、糸(またはヤーン、yarn)131を形成してよい。具体的には、ナノチューブ113が合成室11から現れると、それらを束132へとまとめて、スピンドル134の取り入れ端(intake end)133に供給し、次に、その中で糸131へと縒り合わせてよく、または紡いでよい。糸131に対する継続的ねじれが、新たなナノチューブ113がスピンドル134に到達する地点付近における、更なる糸形成プロセスに対する回転を引き起こすのに十分な角応力(angular stress)を確立し得ることに留意するべきである。更に、継続的な圧力を糸131に加えてよく、または制御された速度で糸131が収集室13の中に進入することを許容してよく、それによって、糸131を糸巻き135の周りで円周方向に取り込むことが可能となる。
【0033】
糸131の形成は、通常、ナノチューブ113を束ねることによって起こり、その後、それを堅く紡いで縒り糸にしてよい。別法として、糸131の主な縒りをシステム10の内部のいくつかの地点で固定してよく、まとめられたナノチューブ113を縒り糸131に巻き付けてよい。これらの成長モードの両方を本発明に関連して実施することができる。
【0034】
以下により詳細に示すように、本発明のシステム10は、以下のものを提供するように構成することができる。(1)ナノチューブのキラリティを、製造の前に、実質的に正確に特定または規定することを許容し、それによって、製造されるナノチューブが特定のキラリティを有することができるアプローチ、および(2)製造の間に、特定の又は規定されたキラリティを有するナノチューブを正確に選択することができるアプローチ。
【0035】
[キラリティの受動的制御]
本発明のシステム10は、製造されるナノチューブのキラリティを、成長する間に受動的に制御する装置を含むように設計することができる。特に、システム10は、そのような装置を用いることによって、発生する単層ナノチューブのキラリティを、製造の前に実質的に正確に特定または規定することを可能にし得る。従って、特定のキラリティを有する単層ナノチューブのみを、その後製造することができる。従って、システム10は、キラリティが同じである実質的に一様なカーボンナノチューブを製造するのに用いることができる。
【0036】
本発明の態様によると、図2に示すように、炉116のCVD合成室11(即ち反応器)の内部に空洞共振器(または共振空洞、resonant cavity)21を設けてよい。ある態様において、空洞共振器21を、実質的に高振動数の場の存在下で、所望の振動数、例えば所望のナノチューブの共振振動数における振動数またはそれに近い振動数で共振させる様に設計してよい。一の態様において、共振振動は、Techtrol Cyclonetics社(ペンシルバニア州ニューカンバーランド)から入手可能なものと同様のマイクロ波源等の発生源22によって発生させてよい。もちろん、共振振動は、THzEM振動数を作り出すための公知の他の任意の機構、例えば、合成室11の周りのコイルからの誘導電流、または合成室11の周囲に存在する振動磁場からの誘導電流等によって発生させてもよい。
【0037】
空洞共振器21は、実質的に完全に合成室11の内部に存在しているように図示されているが、合成室11の内部に配置されてよく、または一部が合成室11の内部に配置されてもよいことを理解するべきである。空洞共振器21が完全に合成室11の内部に配置され得る限りにおいては、空洞共振器21を実質的に高い温度、即ちナノチューブの成長を可能にするのに必要な温度にさらしてよい。しかし、一部を合成室11の内部に配置する場合、空洞共振器21は炉116の入口部23の周囲に位置し得、その結果、空洞11は、合成室11内の最高温度を実質上「経験し」ない。
【0038】
ある態様において、空洞共振器21は、例えばモリブデンまたは他の類似の金属等の高温金属から作製してよく、システム10は気相熱分解システムを用いるシステムであり得る。別の態様において、システム10は、ナノチューブの成長を誘発するためにマイクロ波プラズマを用いるように設計してよい。
【0039】
また、図2によると、システム10は個別の入口24および25を含んでよく、それらの入口を通じて、反応ガス(即ち炭素源)および適切な触媒前駆体(即ち触媒粒子源)の各々を、加熱された合成室11に導入してよい。触媒前駆体25は、触媒粒子を発生させることのできる源を提供し、その触媒粒子は、その後、その上で単層ナノチューブを成長させるためのものである。一方、反応ガス24は、ナノチューブを成長させるために触媒粒子上に炭素原子を蒸着するための炭素源を提供する。ある例において、状態調節(またはコンディショニング、conditioner)化合物を合成室11に導入することも望ましいだろう。ある態様において、状態調節化合物は、触媒前駆体25から発生する触媒粒子の粒度分布、従って各触媒粒子において成長するナノチューブの直径を制御するように働き得る。システム10は反応ガス24および触媒前駆体25のための個別の入口を提供するが、反応ガス24および触媒前駆体25の混合物を状態調節化合物に加えて供給する場合、そのような混合物を、一つの入口を通して合成室11に導入し得ることを理解するべきである。
【0040】
本発明と関連して用いられる反応ガス24の例としては、エタノール、ギ酸メチル、プロパノール、酢酸、ヘキサン、メタノール、もしくはメタノールとエタノールとの混合物、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。C、CHおよびCHまたはそれらの組み合わせを含む、他の炭素源を用いてもよい。
【0041】
触媒粒子を発生させ得るところの触媒前駆体25としては、例えば、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン;鉄、鉄合金、銅、金、ニッケルもしくはコバルト等の材料、それらの酸化物もしくはそれらの合金、それらのいずれかの組み合わせ、またはそれらのいずれかと他の金属もしくはセラミックス化合物(酸化アルミニウム、MnO等)もしくは他の類似の酸化物との組み合わせが挙げられる。別法として、触媒粒子は、Fe、FeもしくはFeO等の金属酸化物、またはコバルトもしくはニッケルの同様の酸化物、またはそれらの組み合わせから作製してよい。別の代替物は、鉄、コバルトまたはニッケルのカルボニル化合物である。
【0042】
本発明の流体混合物と関連して使用される状態調節化合物としては、例えば、チオフェン、HS、他の硫黄含有化合物またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
本発明の一の態様において、システム10に導入される触媒前駆体25が、その後、合成室11の内部で触媒粒子のバッチを供給することができるように、システム10を設計することが可能であり、このバッチは、触媒粒子の層流または触媒粒子の流動床のいずれかであり、そこからナノチューブが成長し得る。
【0044】
別の態様において、触媒粒子のバッチを作るよりもむしろ、触媒を予め播種した(preseeded)基板を、合成室11の内部においてガス流れの方向に対して水平または垂直に配置して、ナノチューブを成長させ得るところの基部を与えてよい。基板を垂直に配置し得る限りにおいては、基板は、ガス流れがその基板を通過することを可能にするために多孔質であってよい。触媒を予め播種した基板を用いる場合、システム10は触媒前駆体25を合成室11内に導入する必要がないだろう。
【0045】
流動床または触媒を予め播種した基板のいずれかの態様において、システム10の内部で、触媒粒子を、合成室11の空洞21内の実質的に高振動数の場、例えば電磁場、電場または磁場等にさらしてよい。上述のように、高振動数の場を発生源22によって発生させ得る。一の態様において、発生源22によって課されるべき選択された共振振動数は、特定の又は予め規定されたナノチューブ径のラディアル・ブリージング・モード(RBM)に調節してよい。このRBMはナノチューブのキラル性に固有であり得るので、従って、製造すべきナノチューブのキラリティは、成長の前に予め選択し得、成長工程中を通して保持し得る。ある態様において、特定のキラリティを発現させるために、特定のキラルのナノチューブに固有のラディアル・ブリージング・モードに対応する、テラヘルツ(THz)領域における電磁放射の幅の狭いバンドを選択してよい。
【0046】
その後、製造されるナノチューブおよびナノチューブの成長が起こるところの触媒粒子の両方は、発生源22によって課される振動数と同じ振動数で共振するので、開始させられるが課される共振振動数では開始させられないナノチューブをいずれも抑制し得る。その結果、課される共振振動数、従って特定のキラリティで成長するそれらのナノチューブのみが成長し続け得る。
【0047】
ここで図3によると、本発明の別の態様において、システム10は、製造されるナノチューブのキラリティを受動的に制御するための代替アプローチを提供するように変更してよい。具体的には、ナノチューブを製造し得る炉116も実質的に高い温度のレベルで操作されるので、合成室11の高温環境内で単層ナノチューブが一旦成長を開始すると、これらのナノチューブは、それら自身の固有振動数で再放射し得る。ある態様において、そのような振動数は、再放射するナノチューブの直径と近似し得る。従って、これらのナノチューブが再放射すると、それらは近接するナノチューブを刺激して同様の振動数で共振させ、それによって、近接するナノチューブを、同様の直径またはそれに近い直径、従って同様のキラリティで成長させることができる。そのために、システム10は、炉116の熱放射によって刺激されて放射板31の固有振動数で再放射し得る少なくとも1個の放射板31を備えてよい。一の態様において、放射板31は、合成室11の内部においてガス流れの方向に対して垂直または水平に配置してよい。そのような放射板31は、所望のキラリティ(例えば、直径が約1.4nmで(10,10))を有する予め選択された個別の(またはバラバラの)ナノチューブを備えた、播種された基板であってよい。もちろん、他のキラル特性および直径を用いてよい。放射板31は、ガス流れの方向に対して垂直に配置する場合、反応ガスがそこを通って流れるのを許容するために多孔質であってよい。
【0048】
ここで図4を参照して、本発明と関連して用いられる触媒粒子は、通常、製造されるカーボンナノチューブよりも比較的大きくてよく、約1.6倍もの大きさであり得ることを理解するべきである。従って、実質的に同一の直径および実質的に一様のキラリティを有するチューブを全てが製造する幅広い触媒直径を有し得る。合成室11内の温度が1250℃を超える場合に予想されるように、ある態様において、触媒が溶融し得る場合にそのような可能性が起こり得る。
【0049】
従って、記載されているように、本発明のシステム10は、製造されるナノチューブのキラリティを受動的に制御するための手順を提供するように構成することが可能である。そのような性能の結果、システム10は、キラリティが同一である実質的に一様なカーボンナノチューブを製造するのに使用することが可能である。
【0050】
[キラリティの能動的制御]
システム10は製造されるナノチューブのキラリティを能動的に制御するための手順を提供するように構成することも可能である。このアプローチにおいて、システム10は、エネルギー(即ち熱放射)を発生させるための第1炉、および、特定の振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーを選択し、その一方で他の振動数をブロックし又はそらしてそれらが通過するのを妨げるための、第1炉の内部のフィルターを含んでよい。ある態様において、選択されたエネルギーは、特定のTHz振動数内またはTHz振動数の小さいバンド内であってよい。システムは、選択されたエネルギーを受けるための第2炉、および(i)粒子のバッチ、例えば、触媒粒子の層流もしくは触媒粒子の流動床、または(ii)播種された基板、例えば、触媒粒子もしくは所望のキラリティを有するナノチューブを播種した基板のいずれかを含んでもよい。ある態様において、粒子のバッチまたは播種された基板は、対象となる特定の放射バンド内の選択されたエネルギーの存在下で直接刺激してよく、また、選択された/所望の直径またはそれに近い直径、従って選択された/所望のキラリティでナノチューブの成長を開始させるために、テンプレート(即ちフットプリント)を提供してよい。
【0051】
一の態様において、図5および6で示すように、システム10は、第1炉50、および合成室52の内部に設けられた振動数選択フィルター51を備えてよい。振動数選択フィルター51は、エネルギー、例えば特定のTHz振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーがそれを通過することを許容するように設計してよい。図6に示すように、フィルター51は、外側要素61、内側要素62、および内側要素62と各外側要素61との間に設けられたフィルタリング要素63を含む。
【0052】
ある態様において、外側要素61および内側要素62は、誘電体から作製してよく、実質的に一定の振動数のバンド幅および特定の入射角のエネルギーがそれを通過することを選択的に許容するように設計してよい。フィルタリング要素63は、同様に誘電体から作製してよく、その中に組み込まれた振動数選択面64を含んでよい。ある態様において、振動数選択面64は、1個またはそれより多くのスロット65を含んでよく、各スロットは、所望の振動数または振動数の小さいバンドのエネルギーがそれを通過することを許容するために、同様に寸法が定められる。図示しているように、スロット65は所望の幾何学模様で設けてよい。更に、各スロット65は、3個のローブ(または突出部)(即ちトリローブ)66を含んでよい。一の態様によれば、ローブ66は、実質的に互いに等距離であってよい。
【0053】
システム10は、第1炉50と流体連結する第2炉53を含んでもよい。ある態様において、第2炉53は、図2に示す炉と同様のものであってよく、触媒粒子の層流、触媒粒子の流動床または触媒粒子を播種した基板(図示せず)を合成室54の内部に含んでよい。別法として、第2炉53は、図3に示す炉と同様のものであってよく、所望のキラリティを有するナノチューブを播種した基板(図示せず)を合成室54の内部に含んでよい。第1炉50と流体連結する第2炉53は、選択されたエネルギーを第1炉50から合成室54の中に方向付けて、それによって、合成室54の内部の基板上の触媒粒子またはナノチューブを直接刺激し、選択された若しくは所望の直径またはそれに近い直径(従ってキラリティ)でナノチューブの成長を開始させるように設計してよい。
【0054】
ナノチューブの成長を開始させるために、テラヘルツ(THz)レンジの熱放射(即ちエネルギー)を発生させる本発明の炉の能力を利用して、特に炉内温度が約1250℃より高温に達する場合、炉50は、合成室52の内部でTHzレンジの必要な熱放射を発生させることが可能であってよい。熱放射は、その後、合成室52においてフィルター51の方へ下流に方向付けられてよく、そこで、特定の振動数または振動数の小さいバンドの熱放射が振動数選択面64を通過することが許容され得る。その後、選択された放射は、経路55を通って第2炉53の中に方向付けられてよい。
【0055】
第2炉53が図2における炉と同様のものであってよい態様において、選択された放射は、特定のTHzレンジ内の振動数または振動数の小さいバンドで共振するので、選択された放射は、そのような共振振動数または共振振動数のバンドを、ナノチューブの成長が起こるところの触媒粒子、および成長を開始したいずれかのナノチューブに同様に課すことができる。課された共振振動数の存在下では、開始させられているが課される共振振動数では開始させられていないいずれのナノチューブも抑制し得る。その結果、課された共振振動数、従って特定のキラリティで成長するそれらのナノチューブのみが成長し続けることが可能である。
【0056】
第2炉53が図3の炉と同様のものであり得る態様において、選択された放射が、特定のTHzレンジ内の振動数または振動数の小さいバンドで共振するので、選択された放射は、そのような共振振動数または振動数のバンドを、所望のキラリティのナノチューブを有する基板に同様に課すことができる。課された共振振動数の存在下では、単層ナノチューブが一旦成長を開始すると、ナノチューブは、それ自身の固有振動数で再放射して近接するナノチューブを刺激し、それによって、それらのナノチューブもまた、同様の直径またはそれに近い直径、従って同様のキラリティで成長し得る。
【0057】
テラヘルツレンジ内のエネルギー/放射について言及しているが、他の振動数レンジ内のエネルギー/放射を選択するために、システム10の炉50を変更してよいことを理解するべきである。
【0058】
[THz発生器]
特に炉内温度が約1250℃より高温に達する場合における、テラヘルツ(THz)レンジにおける熱放射(即ちエネルギー)を発生させる本発明の炉50の能力と、フィルター51の設計によってフィルター51がTHzレンジ内のエネルギーのみの通過を選択的に許容するノッチ・フィルターとして実質的に理想的になるという事実とを利用して、炉50をフィルター51と一緒に変更して、図7に示すような、かなりの出力を発生させ得るTHz発生器70を提供してよい。そのようなTHz発生器70は、多数の異なる用途に用いることが可能である。
【0059】
ある態様において、THz発生器70は、側面711を有するハウジング71、ハウジング71の一方の端に設けられた熱源72(フラッシュランプ等)、およびハウジング71の反対側に設けられた振動数選択フィルター51を含む。ある態様において、熱源72は、テラヘルツレンジ内の必要な熱放射(例えば1250℃より高温)の短パルスを発生させるのに用いてよい。従って、熱源72は、熱源がそのようなレベルの熱放射を発生させ得るのに十分な出力を供給することができるコンデンサ73と組み合わせてよい。発生器70は、フィルター51によって選択された振動数の熱放射がハウジング71を出ることを許容するために、フィルター51に近接する出口74を含んでもよい。
【0060】
前述のように、フィルター51は、フィルタリング要素63を含み、そのフィルタリング要素63は、振動数選択面64における各スロット65が中心振動数(即ち目的とする振動数)を選択可能であり得るように設計してよい。ある態様において、中心振動数は5THzであってよく、または任意の他の所望の振動数であってよい。一方、フィルター51の外側要素61および内側要素62は、振動数バンド幅が中心振動数に対して約±0.3で実質的に一定であり、且つ入射角が法線入射角に対して約45°であるエネルギーを選択的に許容するように設計してよい。ある例において、通過が許容される中心振動数(即ち目的とする振動数)が例えば5THzである場合、外側要素61および内側要素62に45°またはそれより大きい角度で衝突するエネルギーは、約3.5THz〜約6.5THzの振動数で通過するだろう。このバンド幅は、入射角が法線方向の衝突に近付くにつれて小さくなって、5THzの単一の振動数になり得る。フィルタリング要素63およびそれらの誘電体の設計を考えると、バンド幅が約4.55THz〜約5.45THzへと更に小さくなり得ることを理解するべきである。特に、振動数選択面64における各スロット65は、選択された特定の中心振動数に関する伝達/受容曲線のピークの原因であってよい。更に、フィルタリング要素63は、実質的に同一である振動数選択面64の各々に対して約0°〜60°の入射角に関して曲線を形成し得る。この目的のために、バンド幅は理想的なノッチ・フィルターに近付く。具体的には、曲線は速やかに所望の振動数へと上昇し、次いで、その振動数の後にかなり急に下降する。
【0061】
[例]
THzレンジ内の十分な熱放射を供給するように発生器70を設計し得ることを説明するために、発生器70のハウジング71内部の熱源72によって発生する温度が約1250℃であると仮定して、最大エネルギーを放射し得る場合の波長は、ウィーンの変位則を用いて下記の式
【数3】

で定義され、従って、その波長は
【数4】

【数5】

または
【数6】

であり得る。
【0062】
ここで、プランクの法則を用いて、発生器70から放射し得る、例えば5THzにおける出力を求めるために、下記の式
【数7】

を用いて、下記の式
【数8】

が算出され、これは、単位時間、単位表面積、単位立体角、単位波長当たりの単位エネルギーである。
【0063】
ハウジング内の熱源72によって発生する熱放射が、出口74を有するハウジング71の端を通って出る前に、側面711の表面によってハウジング71の長さに沿って反射されるであろうことに留意するべきである。従って、これらの各側面711が約0.7mである例において、熱放射を反射する働きを有し得るハウジング71の表面積は約0.5mである。I(λ,T)にハウジング71の表面積を乗じる場合、立体角が球面(それは約4πラジアンである)であり、波長が約60μmであってよいと仮定すると、ワット数は下記の通りである:
【数9】

【0064】
これは、発生器70によって発生する所定の振動数に関する大きなワット数である。しかし、振動数選択フィルター51の存在下では、ハウジング71を通過してそこから出ることができるエネルギーの量、従って出力は減少するだろう。上述の構造およびパラメータによって、フィルター51は、他の全ての振動数を高度に減衰させながら、約4.55THz〜約5.45THzの振動数のエネルギーがフィルター51を通過することを許容するべきである。
【0065】
ハウジング71の出口74を通って出る出力の大きさを解明するために、側面711がハウジング71の内側に沿ってエネルギーを完全に反射すると仮定すると、ハウジング71の各側面711を構成する材料に対して透過係数を計算することができ、出口74を通過するものに関して規定することができる。
【0066】
エネルギーの偏向が平行であり、入射角が約0°であると仮定して、この出力を、出口74を通って出るエネルギーを通して端部の面積で除すると、発生器70に関する出力密度を得ることができる。実際には、平行な偏向と垂直な偏向の両方、および多数の入射角が存在するだろう。従って、これらの入射角は、出力の透過の総量を減少させる働きを有し得る。計算可能なものは最大透過出力であるが、それでも尚、少なくとも出力の大きさのオーダーの着想(またはアイデア)を提供することが可能である。下記の等式
【数10】

を用いて、下記の表を計算することができる:
【0067】
【表1】

【0068】
次に、上述の結果に基づいて、出口74から放射される総出力を下記のように計算することができる。
【数11】

【0069】
これは、既に提示した考察による最大出力であろう。しかし、フィルター51の透過面を作製する材料は、出力を更に減少させる働きを有し得る。具体的には、フィルター51を通る臨界角は約41.2°であり得るので、前記材料は出力を更に減少させる働きを有し得る。フィルター51におけるより高密度の誘電材料、例えば比誘電率が3の誘電材料から、フィルター51におけるより低密度の誘電材料、例えば比誘電率が1.3の誘電材料へと進む際に臨界角が発生する。その結果、発生器70から出口74を通って伝達(または透過)し得る最大出力は、下記の式で表すことができる:
【数12】

ノッチ・フィルターを低温に保つために、フィルター51と熱発生器72との間の分離が必要とされることがあり、この分離がエネルギー出力を更に減少させ得ることが理解される。
【0070】
[用途]
かなりの出力を発生させることができるTHz発生器を提供し得る限りにおいては、そのようなTHz発生器は、多数の異なる用途に用いることができる。更に、ハウジング71は小さい寸法または運搬可能な寸法に変更することができるので、THz発生技術は、この技術を用いなければ現在のところ不可能であり得る方法において、工業的に用いてもよい。特に、本発明のTHz発生技術は、(1)通常EOシステムと関連付けられた高い角度分解能を伴うより良好な気象洞察(weather penetration)を含むレーダー感知、(2)所望の波長で共振し得る化学物質および生物学的物質の遠隔検出、(3)スペースシャトルの発泡体における亀裂の検出、(4)腫瘍、例えば乳房組織における腫瘍の造影(またはイメージング)、(5)例えば紙幣の偽物の透かしの検出等の偽物の検出、および(6)特に化学種および生物学的種における材料の組成に関する有益な分光学的情報の提供と関連付けて使用することが可能であり、これらの全ては、THz発生器から出るエネルギーと同様の振動数で共振し得る。
【0071】
特定の態様を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更をしてよく、また、それらの要素を均等物で置き換えてよいことを、当業者は理解するであろう。更に、特定の状態または材料を本発明の教示事項に適合させるために、本発明の範囲から逸脱することなく多数の改良を行ってよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノチューブを製造するためのシステムであって、
内部でナノチューブの成長を開始させることができる合成室;
合成室内に配置された、製造すべきナノチューブの所望のキラル性に固有のラディアル・ブリージング・モードに調節された、選択された共振振動数で共振するように設計された空洞;および
空洞において選択された共振振動数を発生させ、それによって合成室内にある複数の触媒粒子に選択された共振振動数を課すことが可能であり、その触媒粒子からナノチューブの成長がおこり得、その結果、選択された共振振動数と実質的に同様の、従って所望のキラル性に固有の振動数と同様の共振振動数を示すナノチューブの成長が許容される発生源
を含むシステム。
【請求項2】
合成室が、ナノチューブの成長のための反応ガスを導入してよい入口を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
合成室が、触媒粒子を発生させ得るところの触媒前駆体であって、その触媒粒子からナノチューブが成長する触媒前駆体を導入してよい入口を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
空洞が、ナノチューブの成長を可能にするのに必要とされる実質的に高い温度内であることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
空洞が高温金属から作製される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
発生源が、空洞内で実質的に高振動数の場を発生させることのできる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
実質的に高振動数の場が、電磁場、電場または磁場の一つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
選択された共振振動数が、特定の又は所定のナノチューブ直径のラディアル・ブリージング・モード(RBM)に調節される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
所定のナノチューブの直径のRBMが、そのナノチューブのキラル性に固有であり得る、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
合成室内の複数の触媒粒子が、触媒粒子の層流、触媒粒子の流動床または触媒粒子を播種した基板の一つとして供給され得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ナノチューブを製造するためのシステムであって、
内部でナノチューブの成長を開始させることができる合成室;
合成室内に配置された放射板であって、所望のキラル性を有する予め選択された少なくとも1個のナノチューブをその上に有する放射板;および
合成室と連通する熱源であって、放射板上の予め選択されたナノチューブをその固有振動数で再放射させるのに十分な熱エネルギーを発生し、それによって、合成室内で、予め選択されたナノチューブと近接して成長するナノチューブを刺激して、同様の振動数で共振させ、予め選択されたナノチューブが示すキラリティと実質的に同様のキラリティで成長させるように設計された熱源
を含むシステム。
【請求項12】
合成室が、ナノチューブの成長のための反応ガスを導入してよい入口を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
反応ガスが、エタノール、ギ酸メチル、プロパノール、酢酸、ヘキサン、メタノール、メタノールとエタノールの組み合わせ、C、CH、CHまたはそれらの組み合わせの一つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
合成室が、触媒粒子を発生させ得るところの触媒前駆体であってその触媒粒子からナノチューブが成長する触媒前駆体を導入してよい入口を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
触媒前駆体が、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン、鉄、鉄合金、銅、金、ニッケル、コバルト、それらの酸化物またはそれらの合金、それらのいずれかの組み合わせ、それらのいずれかと他の金属またはセラミック化合物との組み合わせの一つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
触媒前駆体が、酸化アルミニウム、MnO、他の類似の酸化物、Fe、Fe、FeO、鉄もしくはコバルトもしくはニッケルのカルボニル化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせの一つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
放射板を、合成室の内部においてガス流れの方向に対して実質的に水平または実質的に垂直に設ける、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
放射板上の予め選択されたナノチューブが、その直径に近似する固有振動数で再放射し得る、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
放射板が、熱源の存在下で、選択されたナノチューブをその固有振動数で共振させて、そのナノチューブと近接して成長するナノチューブを、選択されたナノチューブの直径で又はその直径と近い直径で成長させることを許容し得る、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
熱源が、約1250℃を超える温度を発生させることができる、請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
ナノチューブを製造するための方法であって、
ナノチューブを成長させ得るところの複数の触媒粒子を、実質的に高振動数の場にさらすこと;
製造すべきナノチューブの所望のキラル性に固有のラディアル・ブリージング・モードに調節された、選択された共振振動数で、触媒粒子を共振させること;および
選択された共振振動数と実質的に同様の共振振動数、従って固有の所望のキラル性を有するそれらのナノチューブを成長させることを許容すること
を含む方法。
【請求項22】
さらす工程において、実質的に高振動数の場が、電磁場、電場または磁場の一つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
さらす工程が、触媒粒子を、ナノチューブの成長を可能にするのに必要な実質的に高い温度にさらすことを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
さらす工程が、触媒粒子におけるナノチューブの成長源として用いるために、反応ガスに触媒粒子を導入することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
共振工程が、実質的に高振動数の場を発生させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
発生工程が、電磁場、電場または磁場の一つを提供することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
共振工程において、ラディアル・ブリージング・モード(RBM)を、製造すべきナノチューブの直径に調節する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
共振工程において、RBMを調節する直径が、ナノチューブのキラル性に固有であり得る、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
共振工程において、複数の触媒粒子が、触媒粒子の層流、触媒粒子の流動床または触媒粒子を播種した基板の一つとして供給される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
許容工程が、そのキラル性において実質的に一様であるナノチューブの製造を可能にすることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
ナノチューブを製造する方法であって、
所望のキラル性を有する予め選択されたナノチューブを、その予め選択されたナノチューブに照射するのに十分な熱エネルギーを備えた熱源を有する環境にさらすこと;
照射されたナノチューブが、熱源の存在下で、その固有振動数で再放射することを許容すること;および
再放射するナノチューブが、そのナノチューブと近接して成長するナノチューブを刺激し、それによって、再放射するナノチューブが示すキラリティと実質的に同様のキラリティで成長させることを可能にすること
を含む方法。
【請求項32】
さらす工程が、予め選択されたナノチューブを、その後熱源にさらすために基板上に固定することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
さらす工程が、ナノチューブを、約1250℃を超える実質的に高い温度に付すことを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
さらす工程が、触媒粒子を発生させ得るところの触媒前駆体であって、その触媒粒子上でナノチューブが成長する触媒前駆体を環境に導入することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
導入工程において、触媒前駆体が、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン、鉄、鉄合金、銅、金、ニッケル、コバルト、それらの酸化物またはそれらの合金、それらのいずれかの組み合わせ、それらのいずれかと他の金属またはセラミック化合物との組み合わせの一つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
導入工程において、触媒前駆体が、酸化アルミニウム、MnO、他の類似の酸化物、Fe、Fe、FeO、鉄もしくはコバルトもしくはニッケルのカルボニル化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせの一つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
導入工程が、触媒粒子上のナノチューブの成長源として用いるための反応ガスを環境に導入することを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
更なる導入工程において、反応ガスが、エタノール、ギ酸メチル、プロパノール、酢酸、ヘキサン、メタノール、メタノールとエタノールとの組み合わせ、C、CH、CHまたはそれらの組み合わせの一つを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
許容工程は、自身の固有振動数におけるナノチューブの再放射が、そのナノチューブと近接して成長するナノチューブが選択されたナノチューブの直径またはそれに近い直径で成長することを可能にする振動数で共振することを許容することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
許容工程が、そのキラル性において実質的に一様であるナノチューブの製造を許容することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
ナノチューブを製造するためのシステムであって、
放射エネルギーを発生させるための第1炉;
第1炉の内部に設けられた、所望のナノチューブのキラル性に対応する特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーを選択するためのフィルター;
特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内の選択されたエネルギーを受け取るための、第1炉と流体連結している第2炉;および
ナノチューブが成長し得るところのフットプリントを提供するための、第2炉に設けられたテンプレートであって、選択されたエネルギーの存在下で刺激され、それによって、選択された共振振動数または振動数の小さいバンドと実質的に同様の共振振動数を示すナノチューブ、従って所望のキラル性を示すナノチューブの成長が可能となり得るテンプレート
を含むシステム。
【請求項42】
第1炉内の放射エネルギーが約1250℃を超える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
放射エネルギーが、特定のテラヘルツ振動数内またはテラヘルツ振動数内の小さいバンド内のエネルギーを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項44】
第1炉内のフィルターが、選択された特定の共振振動数または振動数の小さいバンドの外側のエネルギーがその中を通過することをブロックし得る、請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
フィルターが、そのフィルター内に組み込まれた振動数選択面を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
振動数選択面が、特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーの通過を可能にするように寸法が定められた、1個またはそれより多くのスロットを含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
第2炉が、ナノチューブの成長のために反応ガスを導入してよい入口を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項48】
第2炉が、触媒粒子を発生させ得るところの触媒前駆体であって、その触媒粒子上でナノチューブが成長する触媒前駆体を導入してよい入口を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
テンプレートが、粒子のバッチまたは播種された基板の一つを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
粒子のバッチが、触媒粒子の層流または触媒粒子の流動床を含み、播種された基板が、触媒粒子を播種した基板または所望のキラリティを有するナノチューブを播種した基板を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
ナノチューブを製造する方法であって、
第1環境内で放射エネルギーを発生させること;
第1環境の中で放射エネルギーをフィルタリングして、それによって、所望のナノチューブのキラル性に対応する特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内のエネルギーを選択すること;
特定の共振振動数内または振動数の小さいバンド内の選択されたエネルギーを、第1環境から第2環境中に方向付けること;
第2環境内に配置されたテンプレートを選択されたエネルギーにさらして、その結果、選択されたエネルギーの存在下でテンプレートを刺激して、ナノチューブが成長し得るところのフットプリントを提供できるようにすること;および
選択された共振振動数または振動数の小さいバンドと実質的に同様の共振振動数、従って所望のキラル性を示すナノチューブをテンプレートから成長させることを可能にすること
を含む方法。
【請求項52】
発生工程において、第1環境内の放射エネルギーが約1250℃を超える、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
発生工程において、放射エネルギーが、特定のテラヘルツ振動数内またはテラヘルツ振動数の小さいバンド内のエネルギーを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
フィルタリング工程が、選択された特定の共振振動数または振動数の小さいバンドの外側のエネルギーをブロックすることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
方向付け工程が、ナノチューブの成長を開始させるために、反応ガスを第2環境中に導入することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
さらす工程において、テンプレートが、粒子のバッチまたは播種された基板の一つを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
さらす工程において、粒子のバッチが、触媒粒子の層流または触媒粒子の流動床を含み、播種された基板が、触媒粒子を播種した基板を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
さらす工程において、播種された基板が、所望のキラリティを有するナノチューブを播種した基板を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
さらす工程が、基板上でナノチューブを成長させるための、触媒前駆体および反応ガスの第2環境への導入を方向付けることを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
許容工程が、そのキラル性において実質的に一様であるナノチューブの製造を許容することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
第1端、対向する第2端、および第1端と第2端との間に広がる反射内部表面を有するハウジング;
ハウジングの第1端に設けられた、放射エネルギーを発生させるための熱源;
ハウジングの第2端に設けられた、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみの通過を許容するためのフィルター;および
ハウジングの第2端における、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみが通過してハウジングを出るフィルターに近接する出口
を含む放射エネルギー発生器。
【請求項62】
ハウジングが十分小さい寸法または運搬可能な寸法である、請求項61に記載の発生器。
【請求項63】
熱源によって発生する放射熱が約1250℃を超える、請求項61に記載の発生器。
【請求項64】
熱源が、放射エネルギーのパルスを発生するように設計されている、請求項61に記載の発生器。
【請求項65】
熱源がフラッシュランプである、請求項61に記載の発生器。
【請求項66】
熱源が必要なレベルの放射エネルギーを発生させ得るのに十分な出力を供給するための熱源と組み合わせたコンデンサを更に含む、請求項61に記載の発生器。
【請求項67】
フィルターが、そのフィルター内に組み込まれた振動数選択面を含む、請求項61に記載の発生器。
【請求項68】
振動数選択面が、テラヘルツレンジ内のエネルギーの通過を可能にするように寸法が定められた1個またはそれより多くのスロットを含む、請求項65に記載の発生器。
【請求項69】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振するものの存在を感知して検出するレーダーと組み合わせて用いることが可能である、請求項61に記載の発生器。
【請求項70】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振する化学物質および生物学的物質の一つの遠隔検出と組み合わせて用いることができる、請求項61に記載の発生器。
【請求項71】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振する硬質発泡体中の亀裂の検出と組み合わせて用いることができる、請求項61に記載の発生器。
【請求項72】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振するガン組織を検出するための腫瘍造影と組み合わせて用いることができる、請求項61に記載の発生器。
【請求項73】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振する透かしの偽札の検出と組み合わせて用いることができる、請求項61に記載の発生器。
【請求項74】
出口から出るエネルギーを、その出口から出るエネルギーと同様の振動数で共振する材料の組成に関する分光学的情報の提供と組み合わせて用いることができる、請求項61に記載の発生器。
【請求項75】
放射エネルギーを発生させる方法であって、
反射経路を提供すること;
放射エネルギーを、反射経路の一方の端から反射経路の対向する端に方向付けること;
反射経路の対向する端で放射エネルギーをフィルタリングして、テラヘルツレンジ内のエネルギーのみの通過を許容すること;および
テラヘルツレンジ内のエネルギーのみが反射経路から出ることを許容すること
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−534613(P2010−534613A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518417(P2010−518417)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/071220
【国際公開番号】WO2009/048672
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(506243220)ナノコンプ テクノロジーズ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】