説明

ナノ大で分散された顔料を含む有色透明コーティング塗料組成物、コーティングされた基材及びその製造方法

本発明は、ナノ大で分散された顔料および添加剤を含む有色透明コーティング塗料組成物およびその製造方法に関するものであり、ガラスにコーティングした時に透明性を維持し続けながら多様な色を付与し、また紫外線遮断効果を付与し、優れた鉛筆硬度、付着性、耐溶剤性、紫外線遮断効果等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ大の有機顔料、分散剤、溶剤を混合して有機顔料がナノ大で安定的に分散されている顔料分散液を製造した後、バインダーとして使用されるゾル−ゲル有無機複合樹脂液と混合して有機顔料がナノ大で安定的に分散されてガラスにコーティングした際、有色の透明ガラスが製造可能な有色透明コーティング塗料組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスが有する高級なイメージに、色を付けた有色透明ガラスが建築用内外装材として多く使用されている。例えば、ガラスに塗料をコーティングしたカラーガラス、2枚のガラス間に樹脂やフィルムを入れた接合ガラス、ガラス製造時に金属添加物を入れて製造したカラーガラス等がある。しかし、塗料をコーティングしたカラーガラスは、ガラスに付着した塗料に含まれている顔料の大きさによって全ての光が透過できない隠蔽性を有する。接合ガラスは、2枚のガラス間に有色の透明な樹脂やフィルムを入れて色を有すると共に透明性を維持できるが、このような色を発現させるために紫外線に弱い染料を使用することにより、時間の経過によって顔料を使用したものに比べて脱色が早く進行する。よって、近年は金属添加物を入れて製造したカラーガラスが、透明性を有すると共に全ての色を発現でき、紫外線にも強いため建築内外装材用として多く使用されている。
【0003】
しかし、現在の建築用内外装材として使用されている金属添加物を入れて製造したカラーガラスは、製造過程で重金属を使用するため環境汚染を誘発し、採算性を勘案した制限された生産によって、色が緑色、青色、青銅色Green、Blue、Bronzeのように、各製造社で色を限定して生産/販売することにより、顧客が好む色及び物量に適切に対応できずにいる。
【0004】
このような問題点を解決するために、ガラスにコーティングして透明性を維持しながら多様な色を表すことができるコーティング組成物に対する研究が進められて来た。
【0005】
従来技術として、特許文献1に、ガラスにコーティングする時に優れた付着性、耐熱性、耐溶剤性を有するように、バインダーとして有無機複合樹脂を使用し、多様な色を付けるためにそこに適切な透明顔料を使用したことが記載されている。
【0006】
しかし、ガラスにコーティングする時に優れた付着性、耐熱性、耐溶剤性を有するように使用した有無機複合樹脂に、色を付けるために使用した顔料の分散が良好な場合は一定の色を表すと同時に透明性が維持できるが、大部分は顔料の粒子の大きさが0.01マイクロ以下と非常に小さいため凝集し易く、有無機複合樹脂との相溶性低下による分散安定性の減少によって顔料粒子の大きさが大きくなり、透明性が低下するという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2004−0072338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明はガラスにコーティングして透明性を維持しながら多様な色を表すことができるように有機顔料がナノ大で安定的に分散される顔料分散液の製造を通じて、既存の透明コーティング塗料の粒子の大きさによる透明性の低下を改善すると同時に、有無機複合樹脂液に顔料分散液を混合する場合、有機顔料が固まる現象が表れることなく顔料分散液が有無機複合樹脂液に均一、且つ安定的に分散されるためガラスにコーティングした時に優れた付着性、耐熱性、耐溶剤性を有する有色透明コーティング塗料組成物及びその製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者等は、前記のような問題点を解決するために、先にナノ大の有機顔料を、本発明の特定分散剤及び溶剤を混合して有機顔料がナノ大で安定的に分散されている顔料分散液を製造した後、バインダーとして使用されるゾル−ゲル有無機複合樹脂液と混合したところ、ゾル−ゲル有無機複合樹脂液に有機顔料がナノ大で安定的に分散されることが分かった。
【0010】
即ち、ナノ大の有機顔料が安定的に分散されるためには、分散剤の選択が重要だが、ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダーの場合は、有機顔料を囲んでいる分散剤内に含まれている塩基の官能基と反応し有機顔料の分散安定性が劣ることになるため、アミン価を表さなかったり低い値を有する分散剤を使用すると、ゾル−ゲル有無機複合樹脂液に有機顔料がナノ大で安定的に分散されるということが分かった。
【0011】
また、このような有色透明コーティング塗料組成物を目的とする色に応じて混合使用しても、相互異なる色の有機顔料が固まる現象が表れることなく均等に分散され、ガラスにコーティングすると、有色の透明ガラスが製造できるということが分かった。さらに、有色透明コーティング塗料組成物に金属酸化物を使用した時、金属酸化物が安定的に分散されて紫外線遮断効果があるということが分かり本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、ゾル−ゲル有無機複合樹脂液バインダーと反応を起こさない分散剤を選択して、有機顔料、分散剤、有機溶剤を含む顔料分散液を製造した後、ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダーと混合して製造した有色透明コーティング塗料組成物で以って、単独または望む色に混合してガラスにコーティングすると、有機顔料がナノ大で安定的に分散されているためガラスの透明性をそのまま維持すると共に、多様な色を付けることができ、このような有色透明コーティング塗料組成物を、透明性を有するガラス、アクリル、ポリカーボネート(Polycarbonate)等のような素材にコーティングすると、建築用内外装材、インテリア用素材、自動車用ガラス等の多様な用途として使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0014】
本発明にかかる有色透明コーティング塗料組成物には、ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダー 液、顔料分散液、紫外線遮断剤が混合されており、それぞれについて次の通り説明する。
【0015】
有色透明コーティング塗料組成物に使用されるバインダーとしては、鉛筆硬度、付着性、耐溶剤性に優れたゾル−ゲル有無機複合樹脂液が使用される。ゾル−ゲル有無機複合樹脂液は、金属コロイダルゾルとシランを反応させて合成された無機樹脂とアクリル系共重合体の有機樹脂で構成された有・無機複合樹脂として知られている。
【0016】
ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダー液は、アクリル高分子樹脂と無機セラミックから成り固形分含量が50〜80重量%のゾル−ゲル有無機複合樹脂 を溶剤として、塗膜の融着等を考慮して適宜更に希釈して粘度を調整した。このようなゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダー液の使用量は、有色透明コーティング塗料組成物100重量%に対して80〜99.9重量%で使用されるため、もしバインダー 液の含量が80重量%未満の場合は、コーティングされた塗膜の鉛筆硬度、付着性、耐溶剤性が減少する。
【0017】
ゾル−ゲル有無機複合樹脂希釈時に使用される有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールから単独または2種以上混合して使用される。
【0018】
特に、本発明のゾル−ゲル有無機複合樹脂は、アクリル高分子樹脂と無機セラミックであるゾルゲルシリケートから成り、アクリル高分子樹脂は疎水性(非極性)を表し、ゾルゲルシリケートは親水性(極性)を表すため、希釈溶剤としては非極性溶剤及び極性溶剤を混合使用することが好ましく、溶剤の選択及び混合比の決定は、指触乾燥時間、流れ等の不良発生、塗膜の融着、クラック現象(Mud Crack)の発生有無等を考慮して適切に組み合わせて使用することが好ましい。
【0019】
顔料分散液に使用される有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ペリレン系、キノフタロン(Quinophthalone)系、イソインドリノン系、イソインドリノン(Isoindolinone)系、ジ−ピロロ−ピロール系等が使用され、1次粒子の大きさが10〜200ナノメートルの大きさを有する有機顔料を使用する。このような有機顔料は、目的とする色を表すために単独あるいは混合して使用できる。有機顔料の使用量は、顔料分散液100重量%に対して1重量%〜30重量%が使用される。有機顔料の使用量が30重量%を超えると、有機顔料の分散安定性が劣るようになる。
【0020】
顔料分散液に使用される分散剤としては、ポリエステル系分散剤、ポリアクリレート系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリエーテル系分散剤等が使用される。このような分散剤は、アミン価(Amine Value)10mgKOH/g以内の非イオン性高分子分散剤を単独または2種以上混合して使用される。
【0021】
従来の分散剤は、顔料、溶剤と一緒に分散させる過程で添加され、これを混合すると顔料分散剤組成物を収得できる。しかし、このような顔料分散剤組成物は、顔料粒子が凝集し易いという欠点有している。また、有機顔料は個別分子で構成されており、大部分が非極性の表面を有しているため、これを十分に脱凝集させて安定化させることができない。
【0022】
よって、分散剤は顔料の表面に吸着して静電気的反発力を発生させるためのヒドロキシ基、カルボキシ基、アミン基等の極性の顔料親和グループによって分散力を増加させ、相溶性に優れた非極性の鎖部分を同時に有する分子構造によって立体障害効果を奏して顔料間の間隔を維持させて顔料が再凝集することを防ぐ分散性が同時に要求される。
【0023】
特に、本発明で使用される分散剤は、有機顔料を分散させる分散剤として、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミン基で構成された群から選ばれる少なくとも一つの顔料親和グループを含むポリアクリレート系非イオン性高分子分散剤を使用する。
【0024】
ポリアクリレート系分散剤は、線形構造の C−C骨格(C−C backbone)を有し、これによって多様な顔料と作用する固定基(anchoring group)(顔料親和グループ)を作り、他のグループはアクリレート樹脂として作用して隣接した顔料が再凝集できないように立体障害効果を付与する。
【0025】
ところが、ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダーは、有機顔料を囲んでいる分散内に含まれている塩基の官能基と反応して有機顔料の分散安定性が落ちることになるため、アミン価を表さなかったり、低い値を有する分散剤を使用する。
【0026】
この場合、ポリアクリレート系分散剤のアミン価は0〜10mgKOH/gが好ましい。アミン価が10mgKOH/g以上の場合は、分散粒子の凝固現象が起こり分散安定性が低下する。
【0027】
また、分散剤の重量平均分子量は4,000〜35,000g/molが好ましい。重量平均分子量が4,000g/mol以下だと分散性が低下し、35,000g/mol以上だと立体障害効果が低下して、粒子間の凝固現象により安定性が低下する。
【0028】
このような分散剤の使用量は、顔料分散液100重量%に対して1〜30重量%の量が使用される。
【0029】
顔料分散液に使用される有機溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールから単独または2種以上混合して使用される。前記有機溶剤は、顔料分散液100重量%に対して40重量%〜90重量%の量が使用される。
【0030】
有機顔料の大部分は、非極性のため一般的に水等の極性溶媒に溶けないが、実際の顔料は少量の不純物を含んでおり、このような不純物が水等の極性溶媒に溶ける場合が多いため、このような不純物が溶けないように溶剤の極性を抑制する必要がある。
【0031】
また、溶媒の極性を調整することにより、塗料内で顔料が凝集せず顔料の分散を向上させることができ、樹脂の溶解性と分散剤の溶解性を同時に向上させることができるため、その結果、樹脂・顔料共に分散性の良い塗料を得ることができる。
【0032】
よって、本発明の顔料分散液に使用される有機溶剤は、極性値(sp値)が0.5以下のものであれば特に限定されない。
【0033】
ここで、溶剤のsp値とは、溶解度パラメーター(solubility parameter;δ)であり、溶剤の極性値を表す尺度である。溶剤のsp値は、下記式で表されるように、凝集エネルギー密度と分子容量で表示される値である。
【0034】
溶解度パラメーター(δ)=(△Ev/V)1/2
(ここで、△Evは凝集エネルギー密度であり、Vは分子容量である。)
【0035】
前記のように、有機顔料、分散剤及び溶剤が混合された顔料分散液は、有機顔料1〜30重量%、分散剤1〜30重量%、溶剤40〜90重量%が均一に分散された顔料分散液の使用量を、有色透明コーティング塗料組成物100重量%に対して0.1〜20重量%使用し、顔料分散液の最終粒度(Particle Size)は10〜400nmであり、粘度は常温で30cPs.以下になることが好ましい。
【0036】
本発明の有色透明ガラスコーティング組成物は、紫外線遮断剤、平滑剤、熱遮断剤、撥水剤、親水剤、発熱剤等の添加剤を1種以上、有色透明コーティング塗料組成物の総重量に対して0.01〜2重量%追加できる。
【0037】
本発明の有色透明コーティング塗料組成物を製造するための方法は、具体的に顔料分散液組成物100重量%を基準に分散剤1〜30重量%、溶剤40〜90重量%を分散器に入れ、均一な液になるまで攪拌する段階;顔料分散液組成物100重量%を基準に、目的とする色の有機顔料1〜30重量%を入れて顔料が分散溶液にウェッテング(wetting)されるようにした後、均一に分散させて顔料分散液を製造する段階;アクリル高分子樹脂と無機セラミックから成るゾルゲル有無機複合樹脂50〜80重量%、溶剤20〜50重量%を混合均質化してゾルゲル有無機複合樹脂バインダー液を製造する段階;有色透明ガラスコーティング組成物100重量%を基準に、前記顔料分散液0.1〜20重量%とゾルゲル有無機複合樹脂バインダー液80〜99.9重量%を混合して有色透明コーティング塗料組成物を製造する段階を含む。
【0038】
本発明の有色透明ガラスコーティング組成物の製造方法において、顔料分散液とゾルゲル有無機複合樹脂バインダー液を混合する段階で、紫外線遮断剤、平滑剤、熱遮断剤、撥水剤、親水剤、発熱剤等の添加剤を1種以上、有色透明コーティング塗料組成物の総重量に対して0.01〜2重量%追加することができる。
【0039】
有色透明コーティング塗料組成物の最終粒度(Particle Size)は、顔料分散液の最終粒度(Particle Size)である10〜400nmと同じようになる。
【0040】
このように製造された有色透明コーティング塗料組成物を、ガラス、アクリル、フィルム等の透明基板にコーティング処理する方法としては、スプレーコーティング(Spray coating)、スリットコーティング(Slit coating)、ロールコーティング(Roll coating)、スクリーンコーティング(Screen coating)等から一つの方法が使用され、コーティングされた組成物の硬化は、組成物に混合されたバインダーの硬化条件に応じて自然硬化、熱硬化、紫外線硬化等で進められ、コーティング膜を形成する。このようなコーティング膜の厚さは、バインダーの固形分含量、色の濃度、目的とする物性によって調整が可能で、1〜30μmの塗膜厚が好ましい。もし、塗膜厚が30μm以上だと、塗膜の付着性の低下及び塗膜クラックの発生等の問題点が発生する。
【0041】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0042】
下記表1の組成で垂直ビーズミル(Vertical Bead Mill)に有機溶剤と分散剤を計量して入れた後、30分間攪拌する。ここにフタロシアニン系Blue有機顔料を入れて分散剤溶液にウェッテイング(wetting)されるように1時間攪拌した後、イットリウムジルコニウムビーズ(bead)を混合溶液のような体積比になるように添加して2時間2500〜3000rpmで分散させて顔料分散液を製造した。顔料分散液の粒度はOTSUKA社ELS−8000粒度分析器で、粘度はAND社SV粘度計で測定して表2に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
このようにして製造した顔料分散液をバインダーであるゾル−ゲル有無機複合樹脂液と紫外線遮断剤である20ナノメートル大の酸化亜鉛(Zinc Oxide)を表1の組成のように常温で混合して有色透明コーティング塗料組成物を製造した。有色透明コーティング塗料組成物の粒度はOTSUKA社のELS−8000粒度分析器で測定して表2に示した。
【0045】
【表2】

【0046】
前記表2の結果に見られるように、ガラス用バインダーと顔料分散液を混合して製造した有色透明コーティング塗料組成物の粒度を測定した結果、本発明の実施例では有機顔料及び金属酸化物の粒子の大きさが安定的に維持されることを確認し、比較例1でアミン価が45の分散剤を使用した場合は、バインダーとの混合時に有機顔料の凝集現象が発生して分散されないため粒度測定ができなく、バインダーと分離する現象を見せた。
【0047】
前記のように製造した有色透明コーティング塗料組成物をスプレー塗装方法でガラス試片に10±5μmの塗膜厚で塗布し、摂氏80度で3分間、摂氏180度で40分間、順に強制乾燥させた後、鉛筆硬度、付着性、耐溶剤性及び紫外線透過率を次のような方法で評価してその結果を表3に示した。
【0048】
(物性評価方法)
【0049】
(1)鉛筆硬度
コーティング塗膜の硬度を測定するために、荷重1kg、角度45度、速度50mm/分、移送距離100mmで測定した。
【0050】
(2)付着性
コーティング塗膜を1mm間隔で横及び縦に切断面をカットして1×1mmの大きさで100個作った後、100℃の沸騰水にコーティングされたガラスを30分間出し入れしてセロハンテープを切断面に均一に付着させた後、瞬間的に着脱して切断面に残っている1×1mmの個数を観察した。
【0051】
(3)耐溶剤性
エタノールを付けた布を試片に100回往復させた後、肉眼で観察した。
【0052】
(4)紫外線透過率(%)
JIS A5759:1998で282.5〜377.5nmの領域で紫外線透過率(%)を測定した。
【0053】
【表3】

【0054】
表3の結果から分かるように、本願発明の実施例の有色透明コーティング塗料組成物をガラスにコーティングした時、鉛筆硬度、付着性、耐溶剤性に優れる一方で、比較例1の場合は物性は実施例1と違いがないが、顔料の分散性低下によりコーティング面の色が均等ではなく、特に、実施例2で金属酸化物を使用したときは著しい紫外線遮断効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル高分子樹脂と無機セラミックから成り、固形分含量が50〜80重量%であるゾル−ゲル有無機複合樹脂を、溶剤で更に希釈して粘度を調節したゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダー液80〜99.9重量%;有機顔料1〜30重量%、アミン価が0〜10mgKOH/gで、重量平均分子量が4,000〜35,000g/molの分散剤1〜30重量%、溶剤40〜90重量%が均一に分散された顔料分散液0.1〜20重量%を含む有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項2】
添加剤として、紫外線遮断剤、平滑剤、熱遮断剤、撥水剤、親水剤、発熱剤を1種以上、有色透明コーティング塗料組成物総重量に対して0.01〜2重量%さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項3】
前記有機顔料は、1次粒子の大きさが10〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項4】
前記ゾル−ゲル有無機複合樹脂希釈溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうち単独または2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項5】
前記ゾル−ゲル有無機複合樹脂希釈溶剤は、非極性溶剤及び極性溶剤を混合した混合溶剤であることを特徴とする請求項4に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項6】
前記顔料分散液溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうち単独または2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項7】
前記顔料分散液溶剤は、非極性溶剤単独または非極性溶剤及び極性溶剤を混合した混合溶剤であり、極性値(sp値)が0.5以下であることを特徴とする請求項6に記載の有色透明コーティング塗料組成物。
【請求項8】
顔料分散液100重量%を基準にアミン価が0〜10mgKOH/gで、重量平均分子量が4,000〜35,000g/molの分散剤1〜30重量%、溶剤40〜90重量%を分散器に入れ、均一な分散溶液になるまで攪拌すること;
前記分散剤及び溶剤の分散溶液が顔料分散液100重量%を基準に、目的とする色の有機顔料1〜30重量%を入れて顔料が分散溶液にウェッティング(wetting)されるようにした後、均一に分散させて顔料分散液を製造すること;
アクリル高分子樹脂と無機セラミックから成り固形分含量が50〜80重量%であるゾル−ゲル有無機複合樹脂を、溶剤で更に希釈して粘度を調節した有無機複合樹脂バインダー液を製造すること;
有色透明ガラスコーティング組成物100重量%を基準に、前記顔料分散液0.1〜20重量%と、ゾル−ゲル有無機複合樹脂バインダー液80〜99.9重量%から選択的に添加剤を混合して有色透明コーティング塗料組成物を製造すること;を含む有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項9】
添加剤として、紫外線遮断剤、平滑剤、熱遮断剤、撥水剤、親水剤、発熱剤を1種以上、有色透明コーティング塗料組成物総重量に対して0.01〜2重量%さらに含むことを特徴とする請求項8に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項10】
前記有機顔料は、1次粒子の大きさが10〜200nmであることを特徴とする請求項8に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項11】
前記ゾル−ゲル有無機複合樹脂希釈溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうち単独または2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項8に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項12】
前記ゾル−ゲル有無機複合樹脂希釈溶剤は、非極性溶剤及び極性溶剤を混合した混合溶剤であることを特徴とする請求項11に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項13】
前記顔料分散液溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エポキシプロピオン酸、キシレン、トルエン、エチルアセテート、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールのうち単独または2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項8に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項14】
前記顔料分散液溶剤は、非極性溶剤単独または非極性溶剤及び極性溶剤を混合した混合溶剤であり、極性値(sp値)が0.5以下であることを特徴とする請求項13に記載の有色透明コーティング塗料組成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の有色透明コーティング塗料組成物を、スプレーコーティング(Spray coating)、スリットコーティング(Slit coating)、ロールコーティング(Roll coating)、スクリーンコーティング(Screen coating)のいずれかの方法でコーティング処理したことを特徴とする有色透明コーティング基板。

【公表番号】特表2012−514678(P2012−514678A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545289(P2011−545289)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/KR2009/008010
【国際公開番号】WO2010/079923
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(506110737)ネペス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】