説明

ナノ構造体デバイスを利用した計測装置及び計測方法

【課題】本発明の目的は、個々のナノ構造体の蛍光増強効果を高精度に測定することに関する。
【解決手段】本発明は、ナノ構造体を有するデバイスに液体を流し、個々のナノ構造体近傍から発生する表面増強ラマン散乱を計測し、個々のナノ構造体の蛍光増強効果を計算することに関する。本発明により、例えば、核酸配列解析などに適した基質濃度とすることができ、核酸配列解析などのスループットを向上させることができる。本発明は、ナノ構造体基板に限らず、原子間力顕微鏡用プローブ,近接場顕微鏡用プローブなど、増強度を利用するナノ構造体に対しても用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造体の蛍光増強効果を利用した核酸解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のDNAシークエンス法は、主にサンガー法と呼ばれるDNA断片調整法と電気泳動法を組合せたキャピラリーシークエンス方式が用いられており、ヒトゲノム解析等に用いられて大きな成果をあげている。しかし、テーラーメイド医療などの観点から個人のゲノム解析を考えたとき、キャピラリーシークエンス方式で一度に解析できるDNA断片の長さよりもはるかに長い断片を、迅速・簡便・安価に解析できる技術が強く求められている。従来のヒトゲノム解析では、一人のヒトゲノムを解読するのに約1000万ドルが必要であった。しかし、将来、10000分の1の1000ドルでヒトゲノム解析を行うことにより、シークエンスの医療分野への応用が飛躍的に進むと期待されている。従来のキャピラリーシークエンス方式の改良のみでは、これらの要求に応えることは不可能と考えられている。究極的には、解読したい核酸を、PCRなどの核酸増幅を行うことなく、単一分子レベルでシークエンスすることが望まれている。核酸増幅が無い分、試薬代が安価であり、迅速・簡便なシークエンスが可能となるためである。更に、単一分子シークエンスでは、核酸増幅に起因する増幅効率の差が無いため、従来法と比較して細胞中で発現しているmRNAなどの個数をより高精度に定量することが可能となる。従って、新たな方式に基づく単一分子DNAシークエンスが待望されている。
【0003】
これを実現するための新しい方式に基づく手法として、走査型電子顕微鏡を用いてDNAを直接シークエンスする方法や、1本鎖DNAがナノメートルサイズの孔(ポア)を通過するときの電圧値がA,G,C,Tの塩基で異なることを利用してシークエンスするナノポア法が提唱されている。ただし、いずれの方法も技術的課題が多く、実用化には困難が予想されている。
【0004】
それらに代わるDNAシークエンスの最も有望な方法として、光技術を用いた超並列解析法が提唱されており、既に数社から化学発光や蛍光の原理に基づく装置が市販されている。これらの方法の特徴は、マイクロビーズや微細加工技術を用いて反応場を区分けすることにより、超並列解析を可能としたことである。従来のキャピラリーシークエンス方式では、多チャンネル化(〜384本)によって解析効率の向上が図られているが、本方式では1億個以上の超並列解析も可能であり、キャピラリーシークエンス方式と比較して圧倒的に多い。従って、読み取り塩基長では100塩基以下と1000塩基近い解読が可能なキャピラリーシークエンス方式に劣るものの、スループットとしては、例えば100塩基×1億個(108)で1日当たり10ギガ(1010)塩基となり、キャピラリー方式と比較して1000倍以上のスループットが達成できている。また、超並列解析により1サンプル当たりの試薬量は少なくなるため、結果的に試薬コストの低下に繋がる。従って、解析コストは、現状、ヒトゲノム一人当たり約10万ドルとキャピラリーシークエンス方式の約100分の1となっている。ただし、これらの方式の場合、解読したい核酸を核酸増幅してシークエンスしているため、これ以上の解析コスト低減は難しい。
【0005】
更なる解析コスト低減を達成するために、光技術を用いた超並列解析法による単一分子DNAシークエンスする方法が、「PNAS 2003,Vol. 100,pp. 3960-3964(非特許文献1)」で提唱されている。これについて、以下、詳細に説明する。
【0006】
レーザーとして波長532nm及び635nmを用い、それぞれ蛍光体Cy3及び蛍光体Cy5の蛍光検出に用いている。試料溶液を2枚のスライドガラス間に挟んでから、スライドガラスと試料溶液との屈折率境界平面上の溶液層側に、単一の標的DNA分子を、ビオチン−アビジン結合を利用して固定化する。次に、溶液中に、Cy3標識したプライマーを溶液交換によって一定濃度になるように導入すると、単一のCy3標識プライマー分子が標的DNA分子にハイブリダイズして、核酸二本鎖を形成する。その後、洗浄操作により、未反応のCy3標識プライマー分子を除く。
【0007】
標的DNA分子にハイブリダイズしたCy3標識プライマー分子は、エバネッセント場の特定の位置に存在するため、標的DNA分子の結合位置を蛍光検出によって確認することができる。標的DNA分子にハイブリダイズするCy3標識プライマー分子が、エバネッセントの1視野内に複数存在する場合は、Cy3標識プライマー分子の位置を全て把握しておくことにより、以降のシークエンスを並列的に行うことができる。更に、標的DNA分子にハイブリダイズするCy3標識プライマー分子が、エバネッセントの1視野内に複数存在し、且つ複数視野に跨って存在する場合には、スライドガラスを保持しているステージを動かして視野を移動させながらCy3標識プライマー分子の位置を全て把握しておくことにより、以降のシークエンスを超並列的に行うことができる。配列解析のスループットを上げるためには、顕微鏡を低倍率にして視野を大きくしたほうが良い。また、ステージの移動速度を上げて、蛍光観察できない視野間の移動時間を短くしたほうが良い。
【0008】
全てのプライマー分子の位置を確認後、Cy3を高出力の励起光で一定時間照射して蛍光退色(消光)させることにより、以降の蛍光発光を抑制する。これは、次工程以降でCy3を用いる際に、前工程のCy3が検出されてしまうことを防ぐためである。次工程以降でCy3と異なる蛍光色素を用いる場合には、必ずしも消光しなくてよいが、Cy3の蛍光波長領域が他の蛍光色素の蛍光波長領域とオーバーラップする可能性もあるため、極力消光しておくことが望ましい。
【0009】
次に、二本鎖核酸に塩基を付加する酵素と、Cy5で蛍光標識したdNTP(NはA(アデニン),C(シトシン),G(グアニン),T(チミン)のうちの1種類)を含む溶液を、溶液交換によって一定濃度になるように導入する。標的DNA分子に対して相補鎖の関係(AとT,CとG)である場合に限り、蛍光標識したCy5−dNTP分子が、二本鎖核酸のうちのプライマー分子の伸長鎖に取り込まれる。通常、Cy5で蛍光標識したdNTPがプライマー分子の伸長鎖に取り込まれると、酵素は次の塩基を取り込もうとする。しかし、例えばCy5−dNTP分子の塩基の部分に特定の分子を結合させておき、2塩基以上は連続して取り込まないような仕組みを構築しておく。その後、洗浄操作により、未反応のCy5−dNTP分子を除く。
【0010】
伸長鎖に取り込まれたCy5−dNTPは、エバネッセント場の特定の位置に存在するため、蛍光検出によってCy5−dNTPの結合位置を確認することができる。更に、Cy5−dNTPの結合位置と、前記標的DNA分子の結合位置が一致する箇所を特定することにより、エバネッセント場の特定位置に固定された標的DNA分子の配列を解読することができる。プライマー分子の伸長鎖に取り込まれるCy5−dNTPが、エバネッセントの1視野内に複数存在する場合は、結合したCy5−dNTPの位置を全て把握しておくことにより、標的DNA分子の配列を並列的に解読することができる。また、プライマー分子の伸長鎖に取り込まれるCy5−dNTPが、エバネッセントの1視野内に複数存在し、かつ複数視野に跨って存在する場合には、スライドガラスを保持しているステージを動かすことにより、視野を移動させながらCy5−dNTPの位置を全て把握しておくことにより、標的DNA分子の配列を超並列的に解読することができる。配列解析のスループットを上げるためには、顕微鏡を低倍率にして視野を大きくしたほうが良い。また、ステージの移動速度を上げて、蛍光観察できない視野間の移動時間を短くしたほうが良い。
【0011】
全てのCy5−dNTPの配列(1塩基)を確認後、Cy5を高出力の励起光で一定時間照射して蛍光退色(消光)させることにより、以降の蛍光発光を抑制する。次工程以降でCy5と異なる蛍光色素を用いる場合には、必ずしも消光しなくてよいが、Cy5の蛍光波長領域が他の蛍光色素の蛍光波長領域とオーバーラップする可能性もあるため、極力消光しておくことが望ましい。Cy5消光後、2塩基以上連続して取り込まないようにCy5−dNTP分子に結合させた特定の分子を、触媒や光解離などの手段を用いて切り離す。これで次の塩基を伸長させることができる。
【0012】
以上のCy5−dNTPの伸長反応プロセスを、例えばdATP→dCTP→dGTP→dTTP→dATPのように4種類の塩基を順番に繰り返して行うことにより、固定された標的DNA分子の塩基配列を決定できる。dNTPの伸長反応プロセスを超並列処理することによって、複数のターゲットDNA分子を超並列的にシークエンスできる。この単一分子シークエンスの原理はCy3,Cy5の2色の蛍光色素を例に挙げて説明したが、これら2つの色素に限定されるものではなく、他の蛍光色素や方法で実現可能である。例えば4種類の異なる蛍光色素でdNTPをそれぞれ標識することにより、前記に示したdATP→dCTP→dGTP→dTTP→dATPの4種類の塩基を順番に繰り返して伸長反応させる必要がなくなるため、スループットは単純計算で4倍速くなる。またプライマー分子とdNTPを全て同じ蛍光色素(1色)で標識することもできる。
【0013】
前記文献よりも更にハイスループットな単一分子DNAシークエンスの方法として、リアルタイムでの単一分子シーケンスが「PNAS 105(4) 1176-1181. (2008)(非特許文献2)」で報告されている。従来のDNAシークエンスの多くは、酵素としてDNAポリメラーゼを利用しているが、前記文献のように伸長反応とシークエンスを一塩基ごとに行う方法では、酵素に備わっている連続的に塩基を取り込む能力を無駄にしている。DNAポリメラーゼ1分子が塩基を取り込む能力は、1秒に約1000塩基で、10万塩基以上の長さにわたって読み取ることができ、更に取り込む塩基の正確性も非常に高い。該文献では以下2つの技術を用いて、核酸を連続的に伸長させながらリアルタイムでシークエンスしている。
【0014】
1つ目の技術は、蛍光標識を塩基ではなく、末端のリン酸にホスホリンクヌクレオチドをつけることにより、酵素が塩基を取り込む過程で蛍光色素を切り離す技術である。これにより、塩基を取り込んだ後は、完全に自然な二本鎖DNAが残る。酵素が塩基を取り込む時の塩基に対応した蛍光を、リアルタイムに検出することにより、連続的なシークエンスが可能である。ただし、4種類の塩基はそれぞれ異なる蛍光標識をしておく必要がある。なお、酵素が取り込むまでの一定時間のみ、蛍光色素はエバネッセント場の特定の場所に存在するため、この時の位置を把握することによりシークエンスできる。なお、2つ目の技術により、蛍光色素が切り離された後は、蛍光色素はブラウン運動で溶液中を漂うことになるため、シークエンスへの影響はない。また、伸長反応とシークエンスを一塩基ごとに行う方法のように、高出力のレーザーを照射して蛍光色素を消光する工程も必要ない。
【0015】
2つ目の技術は、単一分子検出を可能にしたゼロモード導波技術である。これにより、ナノメートルサイズの穴内部の蛍光色素のみを測定できるため、塩基から切り離された蛍光色素や、伸長反応に寄与していない未反応の蛍光標識塩基を洗浄操作により除去すること無く測定できる。これらの技術により、リアルタイムDNAシークエンスの実現性が示唆されている。
【0016】
非特許文献2とは異なる方法により単分子DNAのシーケンスを行う方法として、ナノ構造体に励起光を照射した際に構造体表面近傍(波長以下)に発生する蛍光増強効果を利用する方法がある。局在型表面プラズモンの蛍光増強効果は、数倍から数十倍程度見込むことができる。その影響が及ぶ範囲は10nmから20nm程度であり、プローブDNAを固定した金属構造体の表面で局在型表面プラズモンが発生すれば、プローブDNAに取り込まれた色素だけが蛍光増強の恩恵を受け、浮遊する色素とは数倍から数十倍以上の蛍光強度の差がもたらされる。金属構造体の適切な大きさは、照射する光の波長によって異なる。すなわち、表面プラズモンの発生に適する共鳴周波数は、金属構造体表面の自由電子群と光との相互作用によるものである。励起光を可視光とすると、金属構造体の大きさは、幅・高さともに、30から1000nm程度が適しているが、この条件に縛られるものではない。金属としては、光がもたらす電場によって金属中により大きな反分極場(光による印加電場とは反対の位相を持つ電場)ができることが強力な局在型表面プラズモン形成につながるため、より大きな負の誘電率を持つ金属が好ましく、金,銀,白金等の貴金属が望ましい。ナノ構造体デバイスの材料として、金,銀,銅,白金,ルテニウム,ロジウム,アルミニウム,チタン,パラジウム,オスミウム,イリジウム,タングステン,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,タンタルの1種類または複数種類の合金が考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】PNAS 2003,Vol. 100,pp. 3960-3964
【非特許文献2】PNAS 105(4) 1176-1181. (2008)
【非特許文献3】Adv. Mater., 20, 26 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ナノ構造体の蛍光増強効果を利用した核酸解析方法に関して本願発明者が鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
【0019】
蛍光増強の効果はナノ構造体の寸法に大きく依存するが、ナノメートルサイズでばらつきの少ないデバイスを作製することは非常に難しい。特に、100万個から1億個程度の反応場(ナノ構造体)を設けて塩基配列を解析する超並列型のDNAシーケンサにおいて、ナノ構造体のサイズを全て揃えることは極めて難しく、局在型表面プラズモンの蛍光増強効果は個々のナノ構造体で異なるという課題が発生する。
【0020】
蛍光増強効果が小さい場合、浮遊する色素との蛍光強度差が小さくなるため、S/Nが低くなる。S/Nは浮遊する蛍光色素濃度と、蛍光増強効果により決定されるため、蛍光色素濃度が高く、蛍光増強効果が小さい場合には、S/Nが低いため取り込んだ蛍光色素を検出できなくなる。
【0021】
一方、蛍光色素濃度が高いほど、核酸への取込速度が速くなるため、核酸配列解析(シーケンス)の速度を上げられる。従って、蛍光測定前に個々のナノ構造体の蛍光増強効果を把握しておくことが、シーケンスのスループットを最大にするためには重要である。
【0022】
個々のナノ構造体の蛍光増強効果を見積もる方法として、以下2つが考えられる。
【0023】
一つ目は、電子顕微鏡を用いた寸法計測を行い、ナノ構造体の大きさを測ることにより、シミュレーションから蛍光増強効果を見積もる方法である。ただし、計測に時間がかかること、3次元の寸法測定が難しいこと、寸法とシミュレーションから見積もった蛍光増強効果が必ずしも一致しないこと等の課題がある。これは、表面プラズモンのシミュレーション理論と実験結果とに解離が発生するためである。
【0024】
二つ目は、フォトルミネッセンスによる方法である。例として二光子吸収による金のナノ構造体の光電場増強効果が「Adv. Mater., 20, 26 (2008)(非特許文献3)」で実証されている。ただし、Auでは測定できるが、Alのように計測できない金属があることから、全てのナノ構造体に応用できるわけではなく、汎用性が低いことが課題である。
【0025】
本発明の目的は、個々のナノ構造体の蛍光増強効果を高精度に測定することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、ナノ構造体を有するデバイスに液体を流し、個々のナノ構造体近傍から発生する表面増強ラマン散乱を計測し、個々のナノ構造体の蛍光増強効果を計算することに関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、例えば、核酸配列解析などに適した基質濃度とすることができ、核酸配列解析などのスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】プリズム型全反射顕微鏡。
【図2】反応模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施例では、ナノ構造体デバイスの表面増強ラマン散乱を計測し、その情報に基づいて該デバイスを利用した計測を行う計測装置及び計測方法を開示する。
【0030】
また、ナノ構造体デバイスを利用した計測が、表面増強ラマン散乱計測,蛍光計測,化学発光計測,原子間力顕微鏡計測、又は近接場顕微鏡計測のいずれかであることを開示する。
【0031】
また、ナノ構造体デバイスを利用した計測が、生体分子を固定する工程と、該生体分子に標識分子を結合する工程と、結合した該標識分子を検出する工程を含むことを開示する。
【0032】
また、生体分子が核酸であり、標識分子が蛍光標識塩基であり、核酸の塩基配列を決定することを開示する。
【0033】
また、生体分子が抗体であり、標識分子が蛍光標識抗体であり、抗体に特異的に反応する抗原を検出することを開示する。
【0034】
また、表面増強ラマン散乱が強い位置に標識分子を固定することを開示する。
【0035】
また、標識分子が、塩基,核酸,抗体、又は蛋白質であることを開示する。
【0036】
また、標識分子の標識方法として、蛍光、又は化学発光を用いることを開示する。
【0037】
また、表面増強ラマン散乱の信号強度をナノ構造体ごとに算出する工程と、得られた信号強度を統計処理する工程と、該統計処理結果に基づいて該デバイスを利用した計測を行うことを開示する。
【0038】
また、表面増強ラマン散乱の信号強度をナノ構造体ごとに算出し、該信号強度が閾値以上であるナノ構造体のみを利用した計測を行うことを開示する。
【0039】
また、該標識分子の濃度を調整して、該デバイスを利用した計測のスループットを上げることを開示する。
【0040】
また、ナノ構造体デバイスに液体を流して表面増強ラマン散乱を測定することを開示する。
【0041】
また、液体が、水,アルコール類,芳香族炭化水素,脂環式炭化水素,ケトン類,エステル類,エーテル類、またはそれらの混合物であることを開示する。
【0042】
また、ナノ構造体デバイスに気体を流して表面増強ラマン散乱を測定することを開示する。
【0043】
また、気体が、水,アルコール類,芳香族炭化水素,脂環式炭化水素,ケトン類,エステル類,エーテル類、またはそれらの混合物であることを開示する。
【0044】
また、ナノ構造体デバイスが、金属微粒子,ナノロッド,ナノプローブ,ナノインプリント,回折格子、又は針で構成される構造体を備えることを開示する。
【0045】
また、ナノ構造体デバイスの材料が、金,銀,銅,白金,ルテニウム,ロジウム,アルミニウム,チタン,パラジウム,オスミウム,イリジウム,タングステン,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,タンタルの1種類または複数種類の合金からなることを開示する。
【0046】
また、表面増強ラマン散乱と蛍光計測を同時に行うことを開示する。
【0047】
また、表面増強ラマン散乱を計測する際に近赤外線レーザーを照射することを開示する。
【0048】
また、表面増強ラマン散乱の計測時にオートフォーカスを行うことを開示する。
【0049】
また、ラマン散乱を複数のCCDで同時に検出することを開示する。
【0050】
また、レーザーを切り替えることにより、複数のCCDの感度補正を行うことを開示する。
【0051】
また、ナノ構造体の表面増強ラマン散乱を測定することにより、各ナノ構造体の増強度を把握することを開示する。
【0052】
また、ナノ構造体が、ナノ構造体基板,原子間力顕微鏡用プローブ、又は近接場顕微鏡用プローブであることを開示する。
【0053】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について図面を参照して説明する。なお、図面は専ら説明のために用いるものであり、権利範囲を限定するものではない。
【0054】
〔実施例〕
本実施例では、DNAシーケンスを行うナノ構造体デバイスにおいて、メタノールなどの液体を流して個々のナノ構造体の表面増強ラマン散乱を計測し、その情報に基づき個々のナノ構造体の蛍光増強効果を推定し、該推定に基づいて個々のナノ構造体に固定した核酸に取り込まれる蛍光標識塩基と浮遊している蛍光塩基とを区別できる蛍光標識塩基濃度の最大値を算出し、当該蛍光塩基濃度のよりDNAシーケンスを行っている。これにより、ナノ構造体デバイスを用いたDNAシーケンスのスループットを最大化している。
【0055】
図1は、本実施例で用いるプリズム型全反射顕微鏡の概要である。レーザー101から発振されたレーザービームは、λ/4波長板102で円偏光となり、集光レンズ103を通過した後に、プリズム104へ垂直入射する。プリズム104のガラスには、極めて高い均質性で製造可能な光学ガラスが求められるため、合成石英または高透過率で高均質なBK7もしくはBSC7を用いる。レーザー101は、可視光〜近赤外光の波長を持つものが望ましく、紫外光の波長を持つものも使用できる。
【0056】
レーザービームは、局所温調装置制御ユニット108により、温度制御された局所温調装置105の穴の開いた部分を通過することにより、蛍光測定を妨害する局所温調装置105由来の自家蛍光を低減する。測定基板用ステージ107に設置された測定基板の屈折率境界平面、即ちナノ構造体デバイス基板106と溶液の界面に対して、入射角度約68°でレーザービームを入射させることにより、レーザービームを全反射させ、エバネッセント波を形成する。全反射の起きる角度はスネルの法則より導出される。なお、エバネッセント波は全反射境界面から50〜150nmの高さまで染み出す漏れ光のことである。この際、局所温調装置105の穴の開いた部分は、プリズム104と屈折率の近いグリセロールなどの液体で充填することにより、レーザービームが、プリズム104と局所温調装置105の穴の開いた部分で全反射することを防いでいる。同様の理由から、局所温調装置105とナノ構造体デバイス基板106の間もグリセロールなどで充填している。ただし、グリセロールは高粘度の液体ではあるが、穴からナノ構造体デバイス基板106へ漏れやすい。プリズム104と局所温調装置105の穴の開いた部分との間に少しでも空気層が入ると、その部分でレーザービームは全反射してしまう。これを防ぐ方法として、局所温調装置105の穴を自家蛍光の少ない液体材料で穴を塞いだ後に、液体材料を固化させる方法がある。このような材料としては、例えばシリコン樹脂であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。PDMSは弾性材料であり、プリズム104とナノ構造体デバイス基板106にそれぞれ押し付けることにより、空気層を無くすことができる。グリセロールを使用する必要が無いため、ナノ構造体デバイス基板106の設置が容易であり、装置の自動化にも有利である。また、穴に相当する部分を自家蛍光の少ない材料で予め形成しておく方法もある。例えばガラスヒーターの透明導電膜を化学気相蒸積法により高温蒸着させる場合、レーザービームが局所温調装置105に入射する箇所と反射する箇所に相当する位置を、蒸着膜が塗布されないように予めマスクをして局所温調装置105を形成することにより、自家蛍光の主要因である酸化インジウムや酸化錫がレーザーに当たらないようにできる。また透明導電膜の代わりに微小な導電性の配線を張り巡らせて温調する方式においても、穴に相当する部分に配線を行わないことにより、自家蛍光を低減することができる。従って蛍光1分子観察することが可能となる。
【0057】
エバネッセント場では、励起光強度が屈折率境界平面から離れるに従って指数関数的に減衰し、50〜150nm程度の距離で励起光強度が1/e(eは自然対数)になる。落射蛍光検出と比較して、励起光照射体積が大幅に低減できるため、溶液中に浮遊している遊離蛍光体の蛍光発光や、水のラマン散乱をはじめとする背景光を飛躍的に低減することが可能となる。エバネッセント波による蛍光は、対物レンズ用Z軸ステージ110により焦点を合わせた対物レンズ109から、フィルタユニット111を経由して不要な波長成分が除去された後に、結像レンズ112を経て2次元検出器であるCCD113上に結像する。結像した信号は、制御用PC114で処理され、結果がモニタ115に表示される。
【0058】
図1におけるフィルタユニット111と結像レンズ112との間に分散プリズムを設置することもできる。これにより、各波長成分に蛍光を分離し、CCD113によりスペクトルとして検出することができる。また、ダイクロイックミラーをフィルタユニット111に設置して、ダイクロイックミラーの個数+1個のCCDを設置することにより、複数のCCDで同時に異なる波長成分を計測することもできる。これにより、例えばDNAシーケンスにおける4つの塩基(A,G,C,T)に対応した4種類の蛍光標識塩基の取り込みを、4個のCCDで同時検出することもできる。更に、レーザー101の波長切り替えや、ナノ構造体デバイス基板106に流す液体を交換することにより、複数台のCCDのオートフォーカス,CCD間の感度補正,位置ずれ補正などを行うことができる。
【0059】
また、試薬容器116から分注ユニット117により吸引した試薬を、送液チューブ118を通してナノ構造体デバイス基板106の屈折率境界平面と平行に送液できる機構を備えている。これにより、連続的に異なる試薬を送液することができる。送液した試薬は、廃液チューブ119を通り、廃液溜め120に回収される。
【0060】
ナノ構造体デバイス基板106には、複数のナノ構造体が構成されている。超並列型のDNAシーケンサでは、100万個〜1億個程度の反応場に相当するナノ構造体が構成されている。表面増強ラマン散乱は、送液チューブ118を通してナノ構造体デバイス基板106に液体を流すことにより、CCD113で検出される。CCD113からの信号が制御用PC114により処理され、モニタ115に結果が表示される。
【0061】
液体の種類としては、水,アルコール類であるメタノール,エタノール,プロパノール,ヘキサノール,エチレングリコール、芳香族炭化水素であるキシレン,トルエン、脂環式炭化水素であるシクロヘキサン、ケトン類であるアセトン,メチルエチルケトン、エステル類である酢酸エチル,酢酸ブチル、エーテル類であるエチレングリコール,モノブチルエーテル、上記の混合物が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アセトン,アルコールなどの沸点の低い液体を気化させて、気体として測定することもできる。
【0062】
表面増強ラマン散乱のピーク波長は、レーザー101の波長によりシフトする。参考として、水とメタノールの表面増強ラマン散乱のピーク波長を計算した。なお、レーザー101の波長によりピーク波長は異なるため、488nm,505nm,642nmの3波長の計算結果を示している。例えばメタノールを満たしたナノ構造体デバイス基板106に、488nmの波長を照射した場合の表面増強ラマン散乱に起因するピーク波長は513nmと525.2nmに検出される。各ピーク波長の強度は物質により決まっており、メタノールの場合、513nmの強度は525.2nmの強度の約2倍である。従って、フィルタユニット111の構成を表面増強ラマンのピーク波長が通過できる設定にすることにより、各ナノ構造体の表面増強ラマンを測定することができる。ラマンシフトの値と、表面増強ラマン散乱波長ごとのピーク波長強度は、物質により固有の値を持つため、物質の同定に使用されるのが通常の使用方法である。ラマンシフトは通常1000〜4000cm-1であり、化学結合の種類によって決定される。
【0063】
例えば、メタノールをナノ構造体デバイス基板106へ流してレーザー101で励起すると、ナノ構造体近傍において表面増強ラマン散乱が発生し、その値は個々のナノ構造体により異なる。これはナノメートルサイズでばらつきの少ないデバイスを作製することは非常に難しく、ナノ構造体の寸法や材料の配向が個々のナノ構造体で異なることに起因する。ここで、ナノ構造体デバイスとは、金属微粒子,ナノロッド,ナノプローブ,ナノインプリント,回折格子,針などのマイクロメートル以下の寸法で構成される構造体のことである。
【0064】
【表1】

【0065】
各ナノ構造体の表面増強ラマン散乱の増強度測定方法として、メタノールを用いた例を示す。なお、測定方法はこれに限定されるものではない。ナノ構造体デバイス基板106を測定基板用ステージ107に設置し、試薬容器116,分注ユニット117,送液チューブ118,廃液チューブ119及び廃液溜め120の機構を用いて超純水を送液する。レーザー101の波長を488nmとし、フィルタユニット111に、488nmのレーザー波長と525.2nmのメタノールのピーク波長を通さずに、515nmのメタノールのピーク波長のみを透過するバンドパスフィルタ(例えば515±5nmを透過するフィルタ)を用意する。対物レンズ用Z軸ステージ110にて対物レンズ109の焦点をあわせた後に、10フレーム/秒など任意のフレームレートで、ナノ構造体の無い部分を撮影する。これにより、CCD113の信号強度(Signal 1)が測定できる。次にメタノールを送液し、対物レンズ109の焦点をあわせた後に、10フレーム/秒など任意のフレームレートで、ナノ構造体の無い部分を撮影する。これによりCCD113の信号強度(Signal 2)を測定する。またナノ構造体のある部分も撮影する。これによりCCD113の信号強度(Signal 3)を測定する。
【0066】
Signal 2からSignal 1を引いた値(A=Signal 2−Signal 1)が、ナノ構造体が無い場合のラマン散乱強度であり、Signal 3からSignal 1を引いた値(B=Signal 3−Signal 1)が、ナノ構造体がある場合の表面増強ラマン散乱強度であり、各ナノ構造体で異なる値を持つ。BをAで割った値が、ナノ構造体による表面増強ラマン散乱の増強倍率となり、各ナノ構造体で異なる増強倍率となる。なお表面増強ラマン散乱による増強倍率は、1012〜1015になることが報告されている。Aの値はナノ構造体が無い時の値であることからゼロに近くなる。また測定誤差の関係でゼロ以下の値となる可能性もある。その場合には、ナノ構造体がある場合の値Bと、増強効果による蛍光強度またはS/Nとの関係を示す検量線を予め算出しておくことにより、核酸配列解析のスループットを最大とする蛍光標識塩基濃度を計算する。スループットを最大とするためのS/Nの下限値は10以上に設定することが望ましいが、3以上のS/Nでも計測可能である。またナノ構造体デバイス基板106の材質によっては、レーザー照射によりフォトルミネッセンスが検出されることがあるが、AとBは減算した値なのでキャンセルできる。ただし、極力オーバーラップしないレーザー波長を使うことが望ましい。
【0067】
以上の方法により、個々のナノ構造体における表面増強ラマン散乱を計算し、その増強度を元に蛍光標識塩基を入れた際の蛍光増強効果を計算して、核酸配列解析のスループットを最大とする蛍光標識塩基濃度が計算できる。蛍光増強効果が小さいナノ構造体では、浮遊する蛍光標識塩基との蛍光強度差が小さくなるため、S/Nが低くなる。S/Nは浮遊する蛍光標識塩基濃度と、蛍光増強効果により決定されるため、蛍光標識塩基濃度が高く、蛍光増強効果が小さい場合には、S/Nが低いため、ナノ構造体に固定された核酸に取り込まれる蛍光標識塩基を検出できなくなる。蛍光標識塩基濃度が高いほど、核酸への取込速度が速くなるため、核酸配列解析(シーケンス)の速度(スループット)を上げられる。従って、蛍光測定前に個々のナノ構造体の蛍光増強効果を把握しておくことが、シーケンスのスループットを最大とするために重要である。
【0068】
図2を用いて単分子DNAシークエンスの工程を説明する。図2は、図1におけるプリズム104,局所温調装置105,ナノ構造体デバイス基板106を拡大かつ詳細表示したものである。ナノ構造体デバイス基板106には複数のナノ構造体が構成されており、個々のナノ構造体の表面増強ラマン散乱は計測済である。なお、試薬は、図1に示すフローシステムを用いて供給している。特に指定が無い場合には、局所温調装置105を25℃に設定して実験を行った。
【0069】
ナノ構造体基板204と溶液205との屈折率境界界面の溶液側に、ビオチンBSAとストレプトアビジンの結合を介して、ビオチン化プライマー208をナノ構造体に固定する。次に、シークエンス対象の標的核酸209をフローさせて、ビオチン化プライマーとハイブリダイズさせる。これにより、ビオチン化プライマー208と標的核酸209との2本鎖核酸が形成される。なお、各工程の間には、必ずトリスバッファーなどの洗浄液で洗浄し、未反応の試薬を除去している。または、基板洗浄をイソプロパノールなどの表面増強ラマン散乱が測定できる液体で行うことにより、増強度の経時変化をモニタしたり、オートフォーカスを調整することができる。
【0070】
次に、図1の局所温調装置105を37℃に設定し、T4 DNA polymeraseとCy3−dNTP210(Cy3で標識された1種類の塩基のdNTP(NはA,C,G,Tのいずれか))を導入する。
【0071】
Cy3−dNTPの蛍光標識塩基濃度は、以下の方法で決定する。表面増強ラマン散乱の信号強度をナノ構造体ごとに算出する工程と、得られた信号強度を統計処理して増強率の平均値や中央値を算出する工程と、蛍光標識塩基濃度と蛍光増強倍率との関係から、S/Nが基準値(例えばS/N10)を超える基質濃度を決定する工程である。S/Nは、レーザー強度やビームの集光率など顕微鏡の設定によっても異なる。また、平均値や中央値の代わりに表面増強ラマン散乱の信号強度が閾値以上であるナノ構造体のみを計測することにより、蛍光増強効果が小さく、S/Nが基準値以下となるナノ構造体の解析をスキップすることもできる。標的核酸209に対して相補鎖を形成できる場合に限り、Cy3−dNTP分子がビオチン化プライマー208の伸長鎖に取り込まれ、蛍光増強効果が認められるナノ構造体について基準値以上のS/Nが確保されるため、核酸配列解析を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ナノ構造体基板に限らず、原子間力顕微鏡用プローブ,近接場顕微鏡用プローブなど、増強度を利用するナノ構造体に対しても用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
101 レーザー
102 λ/4波長板
103 集光レンズ
104,201 プリズム
105,202 局所温調装置
106 ナノ構造体デバイス基板
107 測定基板用ステージ
108 局所温調装置制御ユニット
109 対物レンズ
110 対物レンズ用Z軸ステージ
111 フィルタユニット
112 結像レンズ
113 CCD
114 制御用PC
115 モニタ
116 試薬容器
117 分注ユニット
118 送液チューブ
119 廃液チューブ
120 廃液溜め
203 グリセロール
204 ナノ構造体基板
205 溶液
206 アルゴンレーザー
207 エバネッセント波
208 ビオチン化プライマー
209 標的核酸
210 Cy3−dNTP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造体デバイスの表面増強ラマン散乱を計測し、その情報に基づいて該デバイスを利用した計測を行う計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスを利用した計測が、表面増強ラマン散乱計測,蛍光計測,化学発光計測,原子間力顕微鏡計測、又は近接場顕微鏡計測のいずれかであることを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスを利用した計測が、生体分子を固定する工程と、該生体分子に標識分子を結合する工程と、結合した該標識分子を検出する工程を含むことを特徴とする計測装置。
【請求項4】
請求項3記載の計測装置であって、
前記生体分子が核酸であり、前記標識分子が蛍光標識塩基であり、
前記核酸の塩基配列を決定することを特徴とする計測装置。
【請求項5】
請求項3記載の計測装置であって、
前記生体分子が抗体であり、前記標識分子が蛍光標識抗体であり、
前記抗体に特異的に反応する抗原を検出することを特徴とする計測装置。
【請求項6】
請求項3記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱が強い位置に標識分子を固定することを特徴とする計測装置。
【請求項7】
請求項3記載の計測装置であって、
前記標識分子が、塩基,核酸,抗体、又は蛋白質であることを特徴とする計測装置。
【請求項8】
請求項3記載の計測装置であって、
標識分子の標識方法として、蛍光、又は化学発光を用いることを特徴とする計測装置。
【請求項9】
請求項1記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱の信号強度をナノ構造体ごとに算出する工程と、得られた信号強度を統計処理する工程と、該統計処理結果に基づいて該デバイスを利用した計測を行うことを特徴とする計測装置。
【請求項10】
請求項1記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱の信号強度をナノ構造体ごとに算出し、該信号強度が閾値以上であるナノ構造体のみを利用した計測を行うことを特徴とする計測装置。
【請求項11】
請求項1記載の計測装置であって、
該標識分子の濃度を調整して、該デバイスを利用した計測のスループットを上げることを特徴とする計測装置。
【請求項12】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスに液体を流して表面増強ラマン散乱を測定することを特徴とする計測装置。
【請求項13】
請求項12記載の計測装置であって、
前記液体が、水,アルコール類,芳香族炭化水素,脂環式炭化水素,ケトン類,エステル類,エーテル類、またはそれらの混合物であることを特徴とする計測装置。
【請求項14】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスに気体を流して表面増強ラマン散乱を測定することを特徴とする計測装置。
【請求項15】
請求項14記載の計測装置であって、
前記気体が、水,アルコール類,芳香族炭化水素,脂環式炭化水素,ケトン類,エステル類,エーテル類、またはそれらの混合物であることを特徴とする計測装置。
【請求項16】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスが、金属微粒子,ナノロッド,ナノプローブ,ナノインプリント,回折格子、又は針で構成される構造体を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項17】
請求項1記載の計測装置であって、
前記ナノ構造体デバイスの材料が、金,銀,銅,白金,ルテニウム,ロジウム,アルミニウム,チタン,パラジウム,オスミウム,イリジウム,タングステン,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,タンタルの1種類または複数種類の合金からなることを特徴とする計測装置。
【請求項18】
請求項1記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱と蛍光計測を同時に行うことを特徴とする計測装置。
【請求項19】
請求項1記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱を計測する際に近赤外線レーザーを照射することを特徴とする計測装置。
【請求項20】
請求項1記載の計測装置であって、
表面増強ラマン散乱の計測時にオートフォーカスを行うことを特徴とする計測装置。
【請求項21】
請求項1記載の計測装置であって、
ラマン散乱を複数のCCDで同時に検出することを特徴とする計測装置。
【請求項22】
請求項1記載の計測装置であって、
レーザーを切り替えることにより、複数のCCDの感度補正を行うことを特徴とする計測装置。
【請求項23】
請求項1記載の計測装置であって、
ナノ構造体の表面増強ラマン散乱を測定することにより、各ナノ構造体の増強度を把握することを特徴とする計測装置。
【請求項24】
請求項1記載の計測装置であって、
ナノ構造体が、ナノ構造体基板,原子間力顕微鏡用プローブ、又は近接場顕微鏡用プローブであることを特徴とする計測装置。
【請求項25】
前記ナノ構造体デバイスの表面増強ラマン散乱を計測し、その情報に基づいて該デバイスを利用した計測を行う計測方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−243267(P2010−243267A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90628(P2009−90628)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】