説明

ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法

本発明は、懸濁液中に含まれている固体がナノ粒子状の一次粒子又は極めて小さい凝集体の形で存在することにより特徴付けられる、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法に関する。
【0002】
ナノメートルのオーダーの粒子はナノ粒子と呼ばれる。これらの粒子はこれらのサイズが原子系もしくは単分子系と、連続的な巨視的構造との間の遷移領域内にある。ナノ粒子は、それらのたいてい極めて大きな表面積に加えて、それらのより大きな粒子とは明らかに相違する特別な物理的性質及び化学的性質により特徴付けられている。例えば、ナノ粒子は、同一材料の巨視的な粒子よりも低い融点を有し、より短い波長の光を吸収し、かつ異なる機械的性質、電気的性質及び磁気的性質を有する。成分としてのナノ粒子の使用により、これらの特別な性質の多くが巨視的な材料にも利用されうる(Winnacker/Kuechler, Chemische Technik: Prozesse und Produkte, (編集: R. Dittmayer, W. Keim, G. Kreysa, A. Oberholz), 2巻: Neue Technologien, 9章, Wiley-VCH Verlag 2004)。
【0003】
ナノ粒子の製造は、気相中で行われることができる。前記文献において、ナノ粒子の気相合成の多数の方法、その中にはフレーム反応器、プラズマ反応器及びホットウォール反応器中での方法、不活性ガス凝縮法、フリージェット系及び超臨界膨張が、知られている(Winnacker/Kuechler、上記参照)。これらの方法の場合に不利であるのは、製造される粒子が気相中でそれらの高い移動度に基づいて依然として凝集しうることであり、かつ生じた凝集体が、粒子間の強いファンデルワールス相互作用及びそれらから生じる高い結合力に基づいて、極めて劣悪にのみ流体中に再分散可能であることである。前記粒子が小さくなればなるほど、前記問題はより大きくなる。ファンデルワールス相互作用に加えて、焼結又は共有結合も、再分散性に不利な影響を及ぼしうる。
【0004】
できるだけ均一な性質を有するナノ粒子を得るためには、当業者に一般的に知られているように、気相転化を空間的に及び時間的に安定化させることが有利である。これにより、全ての装入原料が前記転化の間に、ほぼ同一の条件に暴露され、ひいては均一な生成物粒子に反応することが保証されることができる。
【0005】
米国特許出願公開(US)第2004/0050207号明細書には、バーナーを用いるナノ粒子の製造が記載されており、その際に出発物質は多数の管中で反応帯域に導かれ、かつそこではじめて混合され、かつ反応される。類似して、米国特許出願公開(US)第2002/0047110号明細書には、窒化アルミニウム粉末の製造が、及び特開昭(JP)61-031325号公報には、光学ガラス粉末の合成が説明されている。
【0006】
独国特許(DE)第10243307号明細書には、ナノカーボンブラック粒子の合成が記載されている。気相反応は、フラッシュバック防止装置(Rueckschlagsicherung)として利用される多孔体と、その上に配置された蓄積プレート(Stauplatte)との間で実施される。出発物質ガスは、多孔体を経て反応空間へ導かれ、そこで転化される。
【0007】
気相中でカーボンナノ粒子を製造するためのバーナー及び方法は、米国特許出願公開(US)第2003/0044342号明細書に記載されている。その際に、出発物質ガスは多孔体の外側で転化される。
【0008】
欧州特許(EP)第1004545号明細書には、金属酸化物の熱分解による製造方法が紹介されており、その際に反応物は、連続したチャネルを有する成形体に導かれ、かつ反応空間中で転化される。
【0009】
本発明の課題は、懸濁液中に含まれている固体が、ナノ粒子状の一次粒子又は極めて小さい凝集体の形で存在することにより特徴付けられる、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法を提供することにあった。これらの懸濁液は、ナノ粒子状固体の単純化されたさらなる加工を可能にする。本発明のさらなる課題は、他の経路では困難を伴ってのみ得ることができる、熱的に不安定な生成物のナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法を提供することであった。
【0010】
この課題は、気相反応において製造されたナノ粒子状固体が、液相中へ直接移動させる方法により解決される。
【0011】
本発明の対象は、故に、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法であって、この方法は、
a)少なくとも1つの装入原料及び場合により別の成分を、少なくとも1つの反応帯域に送り、その際に熱により転化させ、それによりナノ粒子状の一次粒子が形成され、
b)工程a)において得られた反応生成物を急速冷却させ、かつ
c)工程b)において得られた冷却された反応生成物を液体中へ導通し、その際に、含まれている固体がナノ粒子状の一次粒子又は極めて小さい凝集体の形で存在する懸濁液が形成される
ことによって特徴付けられている。
【0012】
本発明による方法により実施される熱による転化は原則的に、熱的に誘導され、かつナノ粒子状固体の形成をもたらす任意の化学的な転化であってよい。好ましい実施態様は、酸化反応、還元反応、熱分解反応及び加水分解反応である。さらに、前記転化は、転化に必要なエネルギーが外から供給される異熱の(allothermes)方法、並びに必要なエネルギーが装入原料の部分転化から生じる自己熱の方法であってよい。位置固定した反応を開始するために、バーナーは、プラズマ源と同じように考慮に値する。
【0013】
本発明による方法を用いてナノ粒子状固体として得られることができる典型的な生成物は、カーボンブラック、Si、Al、Ti、In、Zn、Ce、Fe、Nb、Zr、Sn、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Ba、B、Y、V、Laの少なくとも1つの元素の酸化物、そのうえLi、Na、K、Rb、Cs、B、Alの少なくとも1つの元素の水素化物、さらに硫化物、例えばMoS2、炭化物、窒化物、塩化物、オキシ塩化物並びに元素状の金属又は半金属、例えばLi、Na、B、Ga、Si、Ge、P、As、Sb、La並びにそれらの混合物である。
【0014】
本発明による方法は、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造を、多数の異なる装入原料及び場合により別の成分から出発して、可能にする。前記の生成物の少なくとも1つを取得するのに適した方法形態は以下により詳細に記載される。
【0015】
気相転化の過程の制御は、さらに加えて、次のパラメーターを通じて行われることができる:
・反応ガスの組成(装入原料、付加的な成分、不活性成分の種類及び量)及び
・転化の際の反応条件(反応温度、滞留時間、反応帯域への装入原料の供給、触媒の存在)。
【0016】
ナノ粒子状固体の懸濁液の本発明による製造方法は、以下により詳細に記載される次の部分工程に区分されることができる。
【0017】
工程a)
本発明によれば、反応帯域に少なくとも1つの装入原料及び場合により1つ又はそれ以上の別の成分が供給され、その際に熱による転化にかけられ、それによりナノ粒子状の一次粒子が形成される。
【0018】
装入原料として、反応条件下にガス状で存在するように気相中へ好ましくは移動されることができ、かつ熱による転化によりナノ粒子状固体を形成することができる任意の物質が考慮に値する。所望の生成物に応じて、本発明による方法のための装入原料は、例えば、元素水素化合物、例えば炭化水素類、水素化ホウ素類又は水素化リン類、さらに金属酸化物、金属水素化物、金属カルボニル、金属アルキル、金属ハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属−オレフィン錯体、金属アルコキシド、金属ギ酸塩、金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属ホウ酸塩又は金属アセチルアセトナート並びに元素状金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、ランタン、スズ、セリウム、チタン、ケイ素、モリブデン、タングステン、白金、ロジウム、ルテニウム、亜鉛又はアルミニウムであってよい。好ましい装入原料は、元素水素化合物並びに元素状金属であるホウ素、亜鉛、ランタン、スズ、セリウム、チタン、ケイ素、モリブデン、タングステン、白金、ロジウム、ルテニウム及びアルミニウムである。
【0019】
少なくとも1つの装入原料に加えて、前記反応帯域に、別の成分として酸化剤、例えば分子状酸素、含酸素ガス混合物、酸素を含有する化合物及びそれらの混合物が供給されることができる。好ましい一実施態様において、酸素源として分子状酸素が使用される。このことは、前記反応帯域中の不活性化合物の含量を低く保持することを可能にする。しかしながら、酸素源として空気又は空気/酸素混合物を使用することも可能である。酸素を含有する化合物として、例えば水、好ましくは水蒸気の形で、及び/又は二酸化炭素が使用される。二酸化炭素の使用は、転化の際に得られるガス状反応生成物からの再循環される二酸化炭素であってよい。
【0020】
本発明のさらなる一実施態様において、前記反応帯域に、別の成分として還元剤、例えば分子状水素、アンモニア、ヒドラジン、メタン、含水素ガス混合物、水素を含有する化合物及びそれらの混合物が供給されることができる。水素−アルゴンプラズマ中でのアルミニウムの転化による水素化アルミニウム(AlH3)の形成並びに酸化ランタンとホウ素又はホウ素化合物との転化による六ホウ化ランタン(LaB6)の形成が特に好ましい。
【0021】
必要な場合には、前記反応帯域に、別の成分として、転化に必要なエネルギーを供給する燃焼ガスが供給されることができる。これらは、例えば、H2/O2ガス混合物、H2/空気混合物、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、エチレン又はアセチレンと空気又は他の含酸素ガス混合物との混合物であってよい。
【0022】
個々に並びに一緒に使用可能であるこれまで挙げた成分以外に、さらに少なくとも1つの別の成分が前記反応帯域に供給されることができる。これらには、例えば、場合により返送されるガス状反応生成物、粗合成ガス、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)並びに特定の生成物の収率及び/又は選択率、あるいは粒度に影響を与えるための別のガス、例えば水素又は不活性ガス、例えば窒素又は希ガスが含まれる。さらに、エーロゾルとして微細に分散した固体又は液体も供給されることができる。これらは、例えば、前記方法において変性、後処理又はコーティングに使用されるか又はそれら自体が装入原料である固体又は液体であってよい。
【0023】
本発明の好ましい一実施態様は、2つの異なる金属が同時に前記反応帯域に供給されることにより特徴付けられている。これは、双方の金属のプリミックスの形で並びに双方の個々の金属の別個の供給により行われることができる。リチウム及びアルミニウムの金属を水素の存在でプラズマ中で転化することによる水素化リチウムアルミニウムの形成が特に好ましい。
【0024】
前記反応帯域中への固体の装入原料の供給は、例えば、当業者に知られた装置を用いて、例えば回転ブラシ式計量供給装置(Buerstendosierer)又はスクリュー式供給装置、及び引き続き同伴流供給装置(Flugstromfoerderung)を用いて実施されることができる。固体の装入原料は、好ましくは粉末化された形で使用され、かつキャリヤーガスと共にエーロゾルを形成し、それらの中での固体の装入原料の粒度は、本発明による方法により得ることができるナノ粒子状固体の粒度と同じ範囲内であってよい。固体装入原料の平均粒度もしくは凝集体サイズは、その場合に、典型的には0.01〜500μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜5μmである。より大きな平均粒度もしくは凝集体サイズの場合に、前記反応帯域中で、気相中への不完全な移動の危険があるので、そのようなより大きな粒子は、前記反応のために利用できないか又は不完全にのみ利用することができる。場合により、不完全に蒸発された粒子上で、表面反応はそれらの不動態化をもたらすことができる。
【0025】
液体の装入原料は、例えばガス状で又はまた液滴を含有する蒸気の形でも、前記反応帯域に、同様に当業者に知られた装置を用いて、供給されることができる。このためには、蒸発器、例えば薄膜型蒸発缶又はフラッシュ蒸発器、噴霧と同伴流蒸発器(Flugstromverdampfer)との組合せ又は発熱反応の存在での蒸発(低温炎)が適している。噴霧された液体の装入原料の不完全な反応は、液滴が50μm未満のエーロゾルに典型的な寸法を有する限りは、通例懸念される必要はない。
【0026】
本発明の好ましい一実施態様において、装入原料及び場合により存在している別の成分が、それらが前記反応帯域中へ導入される前に既に気相中へ移動され、かつ互いに混合される。これは、特に低沸点の装入原料及び場合により存在している別の成分の場合に提案される、それというのも、これらは、まだ化学的な転化が行われない温度で、既にガス状で存在しうるからである。選択的に、しかしまた、異なる装入原料及び場合により存在している別の成分が、別個に気相中へ移動されことができ、かつその都度別個のガス流中で前記反応帯域に供給されることができ、その際にこの場合にそれらの混合は有利に前記反応帯域中へ入る直前に行われる。
【0027】
固体の装入原料及び場合により別の成分が使用され、かつその都度別個にキャリヤーガスにより前記反応帯域中へ輸送される場合には、キャリヤーガスの負荷は通常その都度、0.01〜2.0g/l、好ましくは0.05〜0.5g/lである。固体の装入原料及び場合により別の成分が使用され、かつ既に混合物としてキャリヤーガスにより前記反応帯域中へ輸送される場合には、固体の装入原料の全量での前記キャリヤーガスの負荷は通常0.01〜2.0g/l、好ましくは0.05〜0.5g/lである。液体及び気体の装入原料の場合に、一般的に、前記のものよりも高い負荷が可能である。それぞれの処理条件に適した負荷は、相応する予備試験によりたいてい容易に算出されることができる。
【0028】
固体又は液体の装入原料及び場合により別の成分を前記反応帯域中へ輸送するためのキャリヤーガスとして、前記のガスのそれぞれが、熱による転化を妨害しない限り、使用されることができる。好ましくは、キャリヤーガスとして希ガスが使用される。
【0029】
前記反応帯域中へ導入される装入原料及び場合により別の成分は、本発明によれば、熱による転化にかけられ、それによりナノ粒子状の一次粒子が形成される。これは、通例、高温への加熱により行われ、その際にこのためには特に、火炎又は熱プラズマ、マイクロ波プラズマ、アークプラズマ、誘導プラズマ、対流加熱及び/又は放射加熱、自己熱の反応操作又は前記の方法の組合せが考慮に値する。
【0030】
火炎又は熱プラズマ、マイクロ波プラズマ、アークプラズマ、誘導プラズマ、対流加熱及び/又は放射加熱、自己熱の反応操作又は前記の方法の組合せにより前記反応帯域中での前記成分の加熱をもたらすために、相応する処理手順及び処理条件は、当業者に十分に知られている。
【0031】
自己熱の反応操作の場合に、火炎の発生のためには、例えば水素ガス及びハロゲンガス、特に塩素ガスの混合物が使用される。さらに、前記火炎は、一方では炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン類、エチレン又はアセチレン又はまた前記のガスの混合物を用いても、及び他方では酸化剤、例えば酸素又は含酸素ガス混合物を用いて発生されることができ、その際に後者は、火炎の前記反応帯域中での還元性条件が好ましい場合に、不足量でも使用されることができる。
【0032】
プラズマの発生のためには、しばしばいわゆるプラズマスプレーガンが使用される。これは、例えば、アノードとして利用されるケーシングと、その中で中央に配置され、水冷される銅カソードとからなり、その際にカソードとケーシングとの間で高エネルギー密度の電気アークが燃焼する。供給されるプラズマガス、例えばアルゴン又は水素/アルゴン混合物は、プラズマへとイオン化し、かつ銃を15000〜20000Kの温度で高速(約300〜700m/s)で出ていく。前記装入原料は、このプラズマジェット中へ直接導入され、そこで蒸発され、かつ引き続き反応性雰囲気中で及び予冷後に、適した温度で所望の生成物に転化される。
【0033】
プラズマを発生させるためのガス又はガス混合物として、通常、希ガス、例えばヘリウム又はアルゴン、又は希ガス混合物、例えばヘリウム及びアルゴンからなる、並びに水素が使用される。
【0034】
希ガス、例えばヘリウム又はアルゴン又は、希ガス混合物、例えばヘリウム及びアルゴンからなる、は、前記反応帯域中で不活性成分としても使用されることができる。特別な場合に、窒素も、場合により前記の希ガスとの混合物で、不活性成分として前記反応帯域中で使用されることができる、それというのも、ここではより高い温度で及び前記装入原料の性質に依存して、場合により窒化物の形成を計算に入れなければならないからである。
【0035】
プラズマ中へ導入される典型的な出力は、数kW〜数100kWの範囲内である。また、より大きな出力のプラズマ源も、合成のために原則的に使用されることができる。それ以外では、定常的なプラズマ炎を発生させるための手順は、特に導入される出力、ガス圧、プラズマガス及び保護ガスについてのガス量に関して、当業者によく知られている。そのうえ、通例、不活性な保護ガスが使用され、この保護ガスは前記プラズマの発生に使用される反応器の壁と前記反応帯域との間にガス層を配置し、その際に後者の反応帯域は、プラズマが反応器中に存在する領域に本質的に相当する。
【0036】
転化の過程で、本発明によれば、核形成が行われた後に、まず最初にナノ粒子状の一次粒子が生じ、これらの粒子は、凝集過程及び合体過程(Koagulations- und Koaleszenzvorgaenge)によりさらに粒子成長しうる。粒子形成及び粒子成長は、典型的には全反応帯域において行われ、かつ反応帯域を出ていった後でもなお、急速冷却までさらに進行しうる。前記転化の間に1よりも多い固体生成物が生じる場合には、形成される異なる一次粒子は互いに結合されてもよく、その際にナノ粒子状の生成物混合物は、例えば混晶又は無定形の混合物の形で、生じる。転化の間に複数の異なる固体の形成が異なる時間で行われる場合には、生成物のまず最初に形成された一次粒子が1つ又はそれ以上の他の生成物の層により包囲されている、覆われた生成物も生じうる。
【0037】
本発明のさらなる一実施態様は、前記反応帯域中への装入原料の段階的な添加を含む。これにより、場合により、シェルでのコアの均質なコーティングは、極めて迅速な(すなわちほんの数ms以内の)、第一段階において形成された粒子と第二段階において添加された装入原料との均質な混合が行われることがとりわけ保証されている場合に達成されることができる。適したプロセス操作により、第二段階の生成物からのほんの数nmの厚さの層での第一段階からの粒子の均質なコーティングが、この配置が熱力学的に好ましくない場合でも(例えば酸化亜鉛粒子上の二酸化ケイ素層)、可能である。
【0038】
これらの粒子形成プロセスの制御は、前記装入原料及び場合により別の成分の組成並びに転化条件によって以外にも、前記反応生成物の工程b)に記載された冷却の種類及び時点によっても制御されることができる。
【0039】
いずれにせよ、前記反応帯域内部の温度は、使用される装入原料及び場合により存在している別の成分の沸騰温度を上回っていなければならない。好ましくは、前記反応帯域中での転化は、自己熱の反応操作については600〜1800℃、好ましくは800〜1500℃の範囲内の温度で、及びプラズマプロセスについては600〜10000℃、好ましくは800〜6000℃の範囲内の温度で、行われる。
【0040】
通例、前記反応帯域中の装入原料及び場合により別の成分の滞留時間は0.002s〜2s、好ましくは0.005s〜0.2sである。
【0041】
本発明によるナノ粒子状固体の懸濁液を製造するための装入原料及び場合により別の成分の熱による転化は、本発明による方法によれば、任意の圧力で、好ましくは0.05bar〜5barの範囲内で、特に大気圧で行われることができる。
【0042】
工程b)
工程a)における装入原料及び場合により別の成分の転化に続いて、本発明によれば、得られた反応生成物の急速冷却が工程b)において行われる。急速冷却は、本発明の範囲内で、少なくとも104K/s、好ましくは少なくとも105K/s、特に好ましくは少なくとも106K/sの冷却速度での温度低下であると理解される。
【0043】
この急速冷却は、例えば、直接冷却、間接冷却、膨張冷却又は直接冷却と間接冷却との組合せにより行われることができる。直接冷却(クエンチング)の場合に、冷却剤は、熱い反応生成物と、これを冷却するために直接接触される。直接冷却は、例えば、冷却剤としてクエンチ油、水、蒸気、液体窒素又は冷ガス、場合によりまた冷たい再循環ガスの供給により、実施されることができる。前記冷却剤を供給するためには、例えば、極めて高くかつ均一なクエンチ速度を可能にし、かつ当業者にそれ自体として知られている環状スリットバーナーが使用されることができる。
【0044】
間接冷却の場合に、前記反応生成物から、これが冷却剤と直接接触することなく、熱エネルギーが奪われる。間接冷却にとっては、これが通例、冷却剤へ移動した熱エネルギーの有効利用を可能にすることが有利である。そのためには、前記反応生成物は、適した熱交換器の交換面と接触されることができる。温められた冷却剤は、例えば装入原料の加熱のために、本発明による方法において又はそれとは異なる吸熱法において使用されることができる。さらに、反応生成物から奪われた熱は、例えば蒸気発生器の運転のためにも使用されることができる。
【0045】
好ましくは、本発明による方法は、得られた反応生成物が工程b)において1800℃〜20℃の範囲内の温度へ冷却されるように実施される。プロセス及び生成物に応じて、粒子のさらなる成長及びそれらの凝集又は焼結を防止するために、650℃未満又はまた250℃未満の温度への冷却が必要でありうる。
【0046】
本発明の好ましい一実施態様において、前記冷却は2つの段階で行われ、その際に直接冷却(プレクエンチ)及び間接冷却の組み合わせた使用も可能である。この場合に、直接冷却(プレクエンチ)により、工程a)において得られた反応生成物は1000℃未満の温度へ好ましくは冷却されることができる。二段階の冷却は、特に熱的に不安定な生成物のために、それらの分解を防止するために提案される。その際に、前記生成物は、第一段階においてできるだけ急速冷却で(すなわち少なくとも105K/s、好ましくは少なくとも106K/sのできるだけ高い冷却速度で)、分解温度未満の温度に冷却されるべきである。好ましくは、第一段階において、分解プロセス又は焼結プロセスをできるだけ抑制するために、前記生成物のそれぞれの溶融温度又は分解温度の3分の1未満である温度[単位:ケルビン]に急速冷却される。引き続き、より低い冷却速度でさらに冷却されることができる。第一段階は、例えば、ガス流中への液体窒素又はホワイト油の添加による直接冷却を含んでよく、第二段階は、熱交換器を介しての間接冷却を含んでよい。
【0047】
本発明による方法により製造されるナノ粒子状固体の懸濁液中の固体粒子のサイズは、通常1〜500nm、好ましくは2〜100nmの範囲内にある。
【0048】
本発明による方法のさらなる一実施態様において、急冷中又は急冷直後に、気相中での形成された粒子のさらなる処理が、例えば有機被覆でのコーティングにより及び/又は有機化合物での前記表面の変性により、行われることができる。好ましくは、この場合に、クエンチガス及び変性剤が同時に添加される。変性剤として適した有機化合物は、当業者に原則的に知られている。好ましくは、分解せずに気相中へ移動されることができ、かつ形成された粒子の表面への共有結合又は接着結合(adhaesive Bindung)を形成することができる化合物が使用される。前記の有機被覆もしくは有機変性のためには、例えば金属酸化物粒子については、異なるオルガノシラン、例えばジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン又はオクチルトリエトキシシランが使用されることができる。前記粒子がSiO2からなるか又はSiO2で被覆された粒子が存在する場合には、SiOH基は、前記粒子の表面上で、場合により直接、前記シランと共有結合又は接着結合をしうる。前記粒子の表面上に存在しているシランによって、これらがスペーサーとして前記粒子間の相互作用を低下させ、湿式集じん機中での有機マトリックス中への物質移動を軽減し、かつ場合により続くさらなる官能化の際に(場合により濃縮後に)、結合サイトとして機能しうることが期待される。
【0049】
好ましくは、前記変性のプロセスは、クエンチガスの供給又はクエンチガスの供給後の制御された熱の切り離し(Waermeauskopplung)により、前記粒子上への前記変性剤の意図的な凝縮が行われるように実施される。さらにまた、後接続された工程において、別の水性又は有機の変性剤が凝縮促進のために添加されることができる。その際に、工程c)において使用される液体中にも含まれている変性剤の使用が特に好ましい。
【0050】
工程c)
本発明による方法により、工程b)において得られた冷却された反応生成物は、液体中へ導通され、その際に、含まれている固体がナノ粒子状の一次粒子又はそれらの極めて小さい凝集体の形で存在する懸濁液が形成される。これにより、依然として単離されて存在しているナノ粒子状の一次粒子又は極めて小さい凝集体は、これらが液相中へ直接導入されることによって、さらなるアグロメレーションから保護される。
【0051】
前記液体は、本発明によれば、水性又は非水性の、有機又は無機の液体又はこれらの液体の少なくとも2つの混合物であってよい。さらに、イオン性液体も使用されることができる。好ましい液体は、ホワイト油、テトラヒドロフラン、ジグリメ(Diglyme;ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ソルベントナフサ、水又は1,4−ブタンジオールである。前記液体中に、別の成分、例えば塩、界面活性剤又はポリマーが溶解されていてよく、これらはとりわけ変性剤として利用され、かつ前記懸濁液の安定性を高めることができる。好ましくは、水性液体又は有機液体、特に水が使用される。
【0052】
本発明による処理工程c)を実施するためには、当業者に知られた常用の装置、例えば湿式電気集じん機又はベンチュリスクラバーが使用されることができる。場合により、形成されたナノ粒子状固体は、前記沈殿の間に、例えば分別沈殿により、分別されることができる。前記沈殿は、場合により凝縮促進により強化され、かつ形成された懸濁液は、変性剤によりさらに安定化されることができる。表面変性に適した物質は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン界面活性剤、例えばBASF Aktiengesellschaft社のLutensol(登録商標)ブランド又はSokalan(登録商標)ブランドである。
【0053】
本発明の好ましい一実施態様において、湿式電気集じん機の上流側の部分へ、界面活性剤含有の液体が連続的に計量供給される。湿式電気集じん機の通例垂直の配置に基づいて、その管状の沈殿容器内部で、まとまった液膜が壁上で形成する。連続的に循環搬送される液体は、湿式電気集じん機の下流側の部分で捕集され、かつポンプを介して搬送される。好ましくは液体に対して向流で、ナノ粒子状固体が負荷されたガス流は、湿式電気集じん機へ流れる。管状の沈殿容器中には、中央に配置され、スプレー電極として機能するワイヤが存在する。対向電極として利用される容器壁とスプレー電極との間に、約50〜70kVの電圧が印加される。ナノ粒子状固体が負荷されたガス流は、上から沈殿容器中へ流れ、その際にガスで運ばれた粒子は、スプレー電極により帯電され、こうして前記粒子の沈殿は対向電極(すなわち湿式電気集じん機の壁)上で誘導される。壁上で沿って流れる液膜に基づいて、前記粒子は前記液膜中で直接沈殿される。その際に、前記粒子の帯電は同時に望ましくない粒子アグロメレーションの回避をもたらす。界面活性剤は安定な懸濁液の形成をもたらす。沈殿度は通例、95%を上回る。
【0054】
本発明のさらに好ましい一実施態様において、ベンチュリスクラバーが沈殿のために使用される。ベンチュリスロートの領域内の高い乱れに基づき、ナノ粒子状固体も極めて効率的に沈殿する。循環搬送される沈殿媒体(例えば水、ホワイト油、THF)への界面活性剤の添加により、沈殿された粒子のアグロメレーションが回避されることができる。好ましくは、前記ベンチュリスクラバーのスロートを介しての圧力差は、20〜1000mbar、特に好ましくは150〜300mbarの範囲内に調節される。この方法を用いて、50nm未満の粒径を有するナノ粒子は、90%よりも大きい沈殿度で沈殿されることができる。
【0055】
後処理のためには、工程b)において得られた反応生成物は、液体中へ導通される前に、少なくとも1つの分離工程及び/又は精製工程にかけられることができる。その際に、形成されたナノ粒子状固体は、反応生成物の残りの成分から分離される。
【0056】
本発明による方法は、それゆえ、ナノ粒子状固体の懸濁液の連続的又は不連続な製造に適している。この方法の重要な特徴は、高い温度水準での迅速なエネルギー供給、前記反応条件下での通例短くかつ均一な滞留時間及び反応生成物の急速冷却("Abschrecken")、それに引き続く前記粒子の液相への移動であり、それにより、形成されたナノ粒子状の一次粒子のアグロメレーション又は過度の転化は回避される。本発明による方法により得ることができる生成物は、容易にさらに加工されることができ、かつナノ粒子状固体に起因されうる新規の材料特性の単純な達成を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】例1からのHMDSを用いる1,3−ブタンジオール中でのZnO懸濁液の粒度分布。
【図2】例2からのLutensol(登録商標) AO5を用いる1,3−ブタンジオール中でのZnO懸濁液の粒度分布。
【図3】例3からのHMDSを用いるソルベントナフサ中でのZnO懸濁液の粒度分布。
【図4】例4からのAlH3粒子のTEM写真(懸濁液をろ過し、かつ固体を撮影用に調製した)。
【図5】例6からのMoS2粒子のTEM写真(懸濁液をろ過し、かつ固体を撮影用に調製した)。
【0058】
本発明は、以下の例によってより詳細に説明される。
【0059】
例1〜3:ナノ粒子状酸化亜鉛の懸濁液の製造
元素状亜鉛を、回転ブラシ式計量供給装置を用いて10〜40g/hの質量流量で、窒素キャリヤーガス流(1Nm3/h)と共に管形炉中へ導通し、かつそこで約1000℃で蒸発させ、引き続いてガス状でバーナーの反応帯域中へ導入し、かつそこで空気酸素(4Nm3/h)で950〜1200℃の範囲内の温度で酸化亜鉛に転化させた。反応温度を維持するかもしくは和らげるために、付加的に水素(1Nm3/h)及び空気(6Nm3/h)を前記反応帯域中へ計量供給した。20ms〜50msの反応帯域中の滞留時間後に、反応生成物を、環状スリットを介してクエンチ媒体としての空気(100〜150Nm3/h)で約150℃に冷却し、その際に冷却速度は少なくとも105K/sである。表面変性のために、蒸発されたヘキサメチルジシロキサンを添加した。
【0060】
引き続き、ガスで運ばれた酸化亜鉛粒子を、沈殿媒体としてのヘキサメチルジシロキサン(HMDS、例1)2質量%又はLutensol(登録商標) AO5(例2)2質量%を有する1,3−ブタンジオールもしくはHMDS 2質量%を有するソルベントナフサ(例3)を、ポンプを介して循環搬送させた湿式電気集じん機により、沈殿させた。前記湿式電気集じん機中へ入っている酸化亜鉛粒子への電荷の適用を、湿式電気集じん機中で中央に配置されているスプレー電極により行った。印加された電圧は60kVであった。
【0061】
図1〜3は、得られた懸濁液の粒度分布を示している。
【0062】
これらの結果は、製造された試料が、分散軟弱であり(dispergierweich)、かつ粒度分布が、配合物に著しく依存することを示している。
【0063】
例4:ホワイト油中のナノ粒子状水素化アルミニウムの懸濁液の製造
プラズマ装置(Sulzer Metco社)を用いて、45kWの電力を有するアークプラズマを用意し、その際に導入される熱出力に基づいてT約10000Kの温度に達した。プラズマガスとして、体積流量V=50Nl/minを有するアルゴン及びV=20Nl/minを有する水素を使用した。さらに、装入原料としてのd50=9μmの平均サイズを有するアルミニウム粒子を、V=14Nl/minのアルゴンキャリヤーガス流を用いて、前記プラズマの反応帯域中へ搬送した。反応器入口の前で、反応ガスとしての水素を、反応相手としてアルミニウムと反応させて水素化アルミニウムを得るために、V=35Nm3/hまでで計量供給した。ほんの数μs後に、前記反応帯域中で環状スリットを介してアルゴン(V=330Nm3/hまで)の添加によりクエンチした。温度はクエンチ後に約350Kであり、クエンチ速度は106K/sであった。
【0064】
14mmのスロート直径を有するベンチュリスクラバー中で、前記粒子をホワイト油(V=125l/h)中で沈殿させ、これをそしてまたサイクロン中で沈殿させ、かつ受け器容器中で捕集した。廃ガスをスプレースクラバーに導通した。スクラバー中のプロセス圧は約1.5bar(abs)であった。前記スクラバーの下流で、本質的にアルゴン及び水素からなり、固体を含まないプロセスガスを、クエンチ媒体として繰り返し使用することによって、再循環させた。
【0065】
得られた生成物の粒度分布は、約30〜50nmの平均粒度を示した。図4は、前記生成物から単離された固体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【0066】
例5:ホワイト油中のナノ粒子状の六ホウ化ランタンの懸濁液の製造
無定形ホウ素40質量%及びLa23 60質量%(モル比B:La=10:1)からなる高分散性混合物20g/hを、アルゴンキャリヤーガス流(180l/h)と共に、誘導プラズマの反応帯域中へ5000Kを上回る温度で計量供給した。付加的に、誘導プラズマに、Ar 75体積%、水素10体積%及びHe 15体積%からなるガス混合物3.6Nm3/hの流れを添加した。プラズマを30kWの出力で印加した。迅速なクエンチ後に、粒子が負荷されたガス流を、ベンチュリスクラバー中へ導通し、前記スクラバー中ではホワイト油が沈殿媒体として循環していた。形成されたLaB6のナノ粒子状生成物は、迅速なクエンチ及びホワイト油中でのLaB6粒子の直ちの沈殿に基づいてほぼアグロメレートを有しなかった。得られた一次粒子は25〜50nmのサイズを有していた。前記懸濁液中で動的光散乱を用いて測定された粒度分布は、50nmのD50値及び85nmのD90値を示した。
【0067】
例6:ホワイト油中のナノ粒子状二硫化モリブデンの懸濁液の製造
30kWの電力を有するホットウォール反応器中で、800℃の温度を用意した。加熱された管用のパージガスとして、V=0.5Nm3/hを有する窒素及びV=0.1Nm3/hを有する水素を使用した。前記パージガスを、175℃に予熱し、かつ塩化モリブデンを有する175℃に加熱された受け器中へ導通した。塩化モリブデンはこの際に、前記パージガスの飽和に達するまで、揮発した。前記混合物を、ホットウォール反応器中へ入る直前に硫化水素30Nl/hと混合した。前記反応帯域中で、塩化モリブデンが硫化水素と反応して二硫化モリブデンが得られた。約150msの滞留時間後に、10Nm3/hの体積流量を有する窒素を熱ガス中へクエンチとして導通した。クエンチ後の温度は約350Kであり、プロセス圧は980mbar絶対であった。後接続されたベンチュリスクラバー中で、20〜50nmの粒度を有する粒子をホワイト油(V=250l/h)中で沈殿させ、これをそしてまたサイクロン中で沈殿させ、かつ受け器容器中に捕集した。廃ガスを後燃焼に供給した。図5は、前記生成物から単離された固体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法であって、
a)少なくとも1つの装入原料及び場合により別の成分を、少なくとも1つの反応帯域に送り、その際に熱により転化させ、それによりナノ粒子状の一次粒子が形成され、
b)工程a)において得られた反応生成物を急速冷却させ、かつ
c)工程b)において得られた冷却された反応生成物を液体中へ導通し、その際に、含まれている固体がナノ粒子状の一次粒子又は極めて小さい凝集体の形で存在する懸濁液が形成される
ことを特徴とする、ナノ粒子状固体の懸濁液の製造方法。
【請求項2】
装入原料が、ホウ素、亜鉛、ランタン、スズ、セリウム、チタン、ケイ素、モリブデン、タングステン、白金、ロジウム、ルテニウム及びアルミニウムからなる群から選択される元素水素化合物又は元素状金属である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
装入原料としてアルミニウム及び別の成分として水素を使用し、これらを反応帯域中で水素化アルミニウムに転化させる、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
装入原料として酸化ランタン及びホウ素又はホウ素化合物を使用し、これらを反応帯域中で六ホウ化ランタンに転化させる、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
装入原料としてリチウム及びアルミニウム及び別の成分として水素を使用し、これらを反応帯域中で水素化リチウムアルミニウムに転化させる、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ナノ粒子状固体の粒度が1〜500nmの範囲内である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応帯域中の装入原料及び場合により別の成分の滞留時間が0.002s〜2sである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
反応ガスの熱による転化が0.05bar〜5barの範囲内の圧力で進行する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程b)における急速冷却を、少なくとも104K/sの冷却速度で行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
生成物の溶融温度又は分解温度の3分の1未満である温度[単位:ケルビン]への急速冷却を工程b)において行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
工程c)において使用される液体が、ホワイト油、テトラヒドロフラン、ジグリメ(Diglyme)、ソルベントナフサ、水又は1,4−ブタンジオールである、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程c)において湿式電気集じん機又はベンチュリスクラバーを使用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
工程b)が変性剤の添加を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
クエンチガス及び変性剤を同時に添加する、請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−536093(P2009−536093A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508376(P2009−508376)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054457
【国際公開番号】WO2007/128821
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】