説明

ナノ繊維の遠心溶液紡糸方法

本発明は、平面を有する高速回転スピンディスクを用いて、紡糸液からナノ繊維を形成するための方法に関する。このナノ繊維を収集して、選択的バリアの最終用途のための均一なウェブにすることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、米国仮特許出願第61/007,881号(2007年12月17日に出願)の優先権を主張するものであり、その開示内容は、完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ナノ繊維および繊維ウェブを形成するための方法に関する。特に、ナノ繊維を、フィルタ、電池セパレータ、および通気性の医療衣などの選択的バリアの最終用途に有用な繊維ウェブへと作製および収集することが可能である。
【背景技術】
【0003】
成形用流体および電場とともに用いられる回転噴霧器は、目的とする装置をコーティングするために、塗料を霧化するのに有用である。回転噴霧器によって与えられる遠心力により、塗料を霧化させるのに十分なせん断が生成され、成形用流体および電場により、霧化された塗料が目的とする装置に吸い付けられる。この方法は、霧化された液滴を生成するために最適化されている。多過ぎる霧化された液滴が凝集して比較的大きな物体になると欠陥が生じる。先行技術では、霧化された液滴および大きくない物体の作製に向けて教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
微細繊維と、微細繊維から作製された繊維ウェブに対する必要性が高まっている。これらのタイプのウェブは、選択的バリアの最終用途に有用である。現在、微細繊維は、溶融紡糸「海島」断面繊維、スプリット繊維、いくつかのメルトブロー法、および電界紡糸法から作製される。微細繊維および均一な繊維ウェブを作製するための高処理量の方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高速回転スピンディスクを使用することによって、ナノ繊維および均一なウェブを作製するための高処理量の方法を提供する。
【0006】
第1の実施形態では、本発明は、約100℃と溶媒の凝固点との間の温度で、少なくとも1種の溶媒に少なくとも1種のポリマーを溶解させた紡糸液を、約4,000rpm〜約100,000rpmの回転速度で回転するスピンディスク(spin disk)に供給する工程であって、スピンディスクが平面と前方面吐出縁部とを有する工程と、スピンディスクの平面を完全に濡らすとともに、スピンディスクの吐出縁部の前方面に向かって紡糸液を膜として分配するように、平面に沿ってスピンディスクから紡糸液を放出する工程と、紡糸液から分離された繊維流れを形成する一方、溶媒を蒸発させてポリマーナノ繊維を生成する工程とを含む、ナノ繊維の形成方法に関する。
【0007】
第2の実施形態では、本発明は、約100℃と溶媒の凝固点との間の温度で、少なくとも1種の溶媒に少なくとも1種のポリマーを溶解させた紡糸液を、約4,000rpm〜約100,000rpmの回転速度で回転するスピンディスクに供給する工程であって、スピンディスクが平面と前方面吐出縁部とを有するとともに、スピンディスクの中心に対して半径方向距離の40%以内に同心円状に位置している、前記平面と比べて窪んだ領域を有し、窪んだ領域が貯蔵部を画定する工程と、紡糸液を貯蔵部に放出する工程と、スピンディスクの平面を完全に濡らすとともに、スピンディスクの吐出縁部の前方面に向かって紡糸液を膜として分配するように、平面に沿ってスピンディスクから紡糸液を放出する工程と、紡糸液から分離された繊維流れを形成する一方、溶媒を蒸発させてポリマーナノ繊維を生成する工程とを含む、ナノ繊維の形成方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に使用するのに適した平面を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図2】本発明に使用するのに適した平面を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図3】本発明に使用するのに適した平面および貯蔵部を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図4】本発明に使用するのに適した平面および貯蔵部を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図5】本発明に使用するのに適した平面および貯蔵部を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図6】本発明に使用するのに適した平面および貯蔵部を有する回転スピンディスクの断面図である。
【図7】実施例1の平坦なスピンディスクで作製されたポリ(エチレンオキシド)ナノ繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】比較例Aの凹状のスピンディスクから作製されたポリ(エチレンオキシド)ナノ繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例2の貯蔵部を備えた平坦なスピンディスクで作製されたポリ(エチレンオキシド)ナノ繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】実施例3の貯蔵部を備えた平坦なスピンディスクで作製されたポリ(エチレンオキシド)ナノ繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】実施例4の貯蔵部を備えた平坦なスピンディスクで作製されたポリ(ビニルアルコール)ナノ繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、平面を有する高速回転スピンディスクを用いて、紡糸液からナノ繊維を形成するための方法に関する。
【0010】
「ナノ繊維」という用語は、数十ナノメートルから数百ナノメートルまでの範囲であるが、一般に、約1マイクロメートル未満、さらには約0.8マイクロメートル未満、さらには約0.5マイクロメートル未満の直径を有する繊維を意味する。
【0011】
本発明の溶液紡糸した布帛およびウェブは、少なくとも1層のポリマーナノ繊維を含む。ナノ繊維は、約1μm未満、好ましくは約0.1μm〜約1μmの平均繊維径、ならびに空気/液体ろ過媒体、電池およびコンデンサのセパレータ、防護衣などの様々な商業的な最終用途を満たすのに十分高い坪量を有する。
【0012】
この紡糸液は、少なくとも1種の溶媒に溶解された少なくとも1種のポリマーを含む。蒸発され得る溶媒に溶解することが可能な任意の繊維形成ポリマーを使用することができる。好適なポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンベースのポリマーおよびコポリマー、ビニルポリマーおよびコポリマー、フルオロポリマー、ポリエステルおよびコポリエステル、ポリウレタン、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリアラミド、熱可塑性ポリマー、液晶ポリマー、エンジニアリングポリマー、生分解性ポリマー、バイオベースポリマー、天然ポリマー、ならびにタンパク質ポリマーが挙げられる。一般に、約10cP〜約100,000cP、より好都合には約100cP〜約75,000cP、最も好都合には約1,000cP〜約50,000cPの粘度を有する紡糸液が有用である。
【0013】
図1は、紡糸液からナノ繊維を形成するのに適した回転スピンディスクの図である。回転スピンディスクは、回転噴霧装置または遠心紡糸装置(図示せず)の紡糸口金部分に使用することができる。平面11と前方面吐出縁部12とを有する回転スピンディスク10は、高速モータ(図示せず)に連結された駆動軸13に取り付けられている。紡糸液が、少なくとも1種のポリマーを少なくとも1種の溶媒に溶解させることによって調製される。約100℃と溶媒の凝固点との間の温度における紡糸液は、供給管14を通って送られ、この供給管14は、駆動軸13と同軸上に延在しており、スピンディスク10における、駆動軸13に結合された側と反対側で、スピンディスク10の中心に近接している。紡糸液の処理量は、約1cc/分〜約500cc/分である。紡糸液は、供給管14を出ると、回転スピンディスク10と接触するように向けられ、スピンディスクの平面を完全に濡らすとともに、前方面吐出縁部12に達するまで紡糸液を膜として分配するように、平面11に沿って移動する。スピンディスク10の回転速度は、約4,000rpm〜約100,000rpm、より好都合には約6,000rpm〜約100,000rpm、最も好都合には約8,000rpm〜約100,000rpmである。前方面吐出縁部12は、尖っていてもまたは丸みを帯びていてもよく、鋸歯状の縁またはギザギザ状の突起(dividing ridge)を含み得る。スピンディスク10の回転速度は、紡糸液を、平面11に沿って、前方面吐出縁部12を越えて推進させて、分離した繊維流れを形成し、この繊維流れを遠心力によって吐出縁部から放出する。同時に、本発明のナノ繊維が形成されるまで溶媒を蒸発させる。ナノ繊維をコレクタ(図示せず)上に収集して繊維ウェブを形成することができる。
【0014】
あるいは、図2は、紡糸液が、駆動軸23の同軸中空部分を介してスピンディスク20に供給されているのを示す。紡糸液は、駆動軸23に結合された側と反対側で、スピンディスク20の中心に位置する出口24を介して駆動軸23の中空部分を出て、平面11に沿って、前方面吐出縁部12を越えていくか、または、スピンディスク20に隣接している駆動軸23を中心に好ましくは対称に配置され、かつ駆動軸23を貫通している1つまたは複数の出口25(1つが図示されている)を介して駆動軸23の中空部分を出て、平面11’に沿って、吐出縁前方面吐出縁部12’を越えていくか、あるいは両方のタイプの出口を介して出ることができる。
【0015】
図3は、紡糸液からナノ繊維を形成するのに適した回転スピンディスクの別の実施形態の図である。平面11と前方面吐出縁部12とを有する回転スピンディスク30は、高速モータ(図示せず)に連結された駆動軸33に取り付けられている。スピンディスク30は、駆動軸33に結合された側と反対側に位置する、スピンディスク30の中心に対して半径方向距離の40%以内に同心円状に位置している、平面と比べて窪んだ領域34を有する。この窪んだ領域34は、紡糸液を受け入れるための貯蔵部を画定する。貯蔵部はハウジング35で封入されてもよく、ハウジング35は、紡糸(spinning)供給管36を介して紡糸液を受け入れるための同軸上の入口と、好ましくはハウジング35を中心に対称に配置された、紡糸液を排出するための1つまたは複数の出口37とを備えている。出口37と、窪んだ領域を画定する、スピンディスク30の平面の垂直部分との間に間隙38が存在し得る。スピンディスクの内縁39が、スピンディスクの垂直部分がスピンディスクの平面11と交わるところに位置している。スピンディスクの内縁39は、丸みを帯びていてもまたは尖っていてもよい。
【0016】
あるいは、図4は、紡糸液が、駆動軸43の同軸中空部分を介してスピンディスク40に供給されているのを示していることを除いて、図3と同様である。紡糸液は、駆動軸43に結合された側の反対側でスピンディスク40の中心に位置している出口44を介して駆動軸43の中空部分を出ることができる。
【0017】
あるいは、図5は、紡糸液が、スピンディスク50における、窪んだ部分34がある側と同じ側に位置している、駆動軸53の同軸中空部分を介してスピンディスク50に供給されているのを示していることを除いて、図4と同様である。紡糸液は、スピンディスク50に隣接している駆動軸53を貫通する好ましくは対称の1つまたは複数の出口54を介して駆動軸53の中空部分を出ることができる。
【0018】
あるいは、図6は、紡糸液が、入口67でハウジング35を通過している供給管66を介してスピンディスク60に供給されているのを示していることを除いて、図5と同様である。スピンディスク60は、スピンディスク60における、窪んだ部分34がある側と同じ側に位置している駆動軸63に結合されている。
【0019】
成形用流体をスピンディスクの周りに流して、紡糸液をスピンディスクから離れる方向に向けてもよい。流体は、回転スピンディスクに対して環状の配置で位置決めされたノズルを介して供給され得る。成形用流体は気体であり得る。様々な気体を様々な温度で用いて、溶媒蒸発の速度を遅くしたりまたは速めたりして、製造されるナノ繊維のタイプに影響を与えることが可能である。このように、成形用気体は、溶媒蒸発の速度を最適化するために加熱または冷却することができる。使用するのに適した気体は空気および窒素であるが、ナノ繊維の形成に悪影響を与えない任意の他の気体を用いることができる。
【0020】
任意に、本方法に電場を加えることができる。スピンディスクとコレクタとの間に電位差を加えることができる。スピンディスクまたはコレクタのいずれかを、実質的に接地された他の部品を用いて帯電させることが可能であり、あるいは、それらの間に電位差がある限り、それらの両方を帯電させることが可能である。さらに、電極をスピンディスクとコレクタとの間に配置することが可能であり、ここで、電極は、電極とスピンディスクおよび/またはコレクタとの間に電位差が生じるように帯電される。電場は、約1kV〜約150kVの電位差を有する。意外にも、電場は、平均繊維径にほとんど影響を与えないようであるが、より均一な繊維ウェブを生成するように、ナノ繊維が分離され、コレクタに向かって移動するのを助ける。
【0021】
本方法により、約1,000nm未満、より好都合には約500nm未満、最も好都合には約100nm未満の平均繊維径を有するナノ繊維、好ましくは連続ナノ繊維を作製することができる。このナノ繊維をコレクタ上に収集して繊維ウェブにすることができる。このコレクタは、自身とスピンディスクまたは電極との間に電場を生成するために導電性であり得る。また、このコレクタは、真空装置の使用を可能にして、蒸発された溶媒および任意に成形用気体をナノ繊維から引き離して、繊維ウェブを作製するためにナノ繊維をコレクタに固定するのを助けるために、多孔性であってもよい。スクリム上に直接ナノ繊維を収集できるようにスクリム材料をコレクタ上に置いて、それによって複合材料を作製することができる。例えば、スパンボンド不織布をコレクタ上に置いて、ナノ繊維をスパンボンド不織布上に付着させることができる。このようにして、複合不織布材料を製造することができる。
【0022】
試験方法
上記の説明および次の非限定的な実施例では、以下の試験方法を用いて、様々な報告された特徴および特性を測定した。
【0023】
20mmの平行板が装備されたThermo RheoStress 600レオメータで粘度を測定した。23℃において0秒-1から1,000秒-1まで連続的にせん断速度を上昇させて4分間にわたってデータを収集し、10秒-1におけるcPで報告した。
【0024】
以下のように繊維径を測定した。各ナノ繊維層試料の5,000倍の倍率における10枚の走査電子顕微鏡(SEM)画像を撮影した。各SEM画像から11個の明らかに区別できるナノ繊維の直径を測定し、報告した。欠陥(すなわち、ナノ繊維の塊、ポリマー液滴、ナノ繊維の交差部分)は含まれていなかった。各試料の平均繊維径を計算し、ナノメートル(nm)で報告した。
【実施例】
【0025】
これより、以下の実施例において本発明をより詳細に説明する。
【0026】
実施例1には、平坦なスピンディスクを用いたポリ(エチレンオキシド)連続ナノ繊維の作製が記載されている。比較例Aには、先行技術の窪んだスピンディスクを用いたポリ(エチレンオキシド)長繊維の作製が記載されている。実施例2には、貯蔵部を含む平坦なスピンディスクを用いたポリ(エチレンオキシド)連続ナノ繊維の作製が記載されている。実施例3には、貯蔵部を含む大きな平坦なスピンディスクを用いたポリ(エチレンオキシド)連続ナノ繊維の作製が記載されている。実施例4には、貯蔵部を含む大きな平坦なスピンディスクを用いたポリ(ビニルアルコール)連続ナノ繊維の作製が記載されている。
【0027】
実施例1
高速電気モータによって駆動される平坦なディスク(図1に示されるような)を備えた実験室規模の回転ユニットを用いて、連続ナノ繊維を作製した。約300,000の平均分子量(Mw)を有する8.0重量%のポリ(エチレンオキシド)の紡糸液と、92.0重量%の水とを均一になるまで混合し、シリンジポンプに注ぎ入れて、約2cc/分の流量で供給管を通して直径3.0cmの平坦な回転ディスクに送達した。回転速度を一定の40,000rpmに設定した。溶液の粘度は、25℃で3,150cPであった。この試験中に電場を用いなかった。スピンディスクを囲む直径約25cmの管形状に保持されたアルミニウム箔上にナノ繊維を収集し、スピンディスクを管状のコレクタの中心に設置した。成形用流体は適用しなかった。ナノ繊維のSEM画像が図7に見られる。SEMを用いて、アルミニウム箔上に収集されたナノ繊維の画像から繊維の大きさを測定した。643番手のナノ繊維から繊維径を測定し、決定したところ、20nm〜500nmの範囲であり、中央値が127nmであった。平均繊維径は141nmであり、95%信頼区間で標準偏差が62nmであった。
【0028】
比較例A
特殊な20個の孔のタービン板と、高圧およびタービン速度制御用の制御筐体とを備えた標準ITW TurboDisk霧化器(ITW Automotive Finishing Group製)を用いて、長繊維を作製した。Pulse Track Systemを用いて、コーティングを適用する際の回転霧化器の一定速度を保つ。電圧主電源から高圧を供給する。約300,000のMwを有する10.0重量%のポリ(エチレンオキシド)の紡糸液と、92.0重量%の水とを均一になるまで混合し、3:1 2.54cmの隔膜ポンプに注ぎ入れて、60cc/分の一定の流量で供給管を通して回転ディスク霧化器に送達した。直径15cmの凹状のスピンディスクを使用した。回転速度を一定の27,000rpmに設定した。電流制御モードで+50kV電源を用いて、電流を0.02amに設定した。この試験中、約73kVの高電圧をかけた。溶液の粘度は、25℃で12,500cPであった。スピンディスクの縁部は、約937ピッチで鋸歯状であった。スピンディスクを囲む直径約284cmの管形状に保持されたアルミニウム箔上に繊維を収集し、スピンディスクを管状のコレクタの中心に設置した。成形用流体は適用しなかった。ナノ繊維のSEM画像が図8に見られる。SEMを用いて、アルミニウム箔上に収集された繊維の画像から繊維の大きさを測定した。660番手の繊維から繊維径を測定し、決定したところ、32nm〜502nmの範囲であり、中央値が182nmであった。平均繊維径は191nmであり、95%信頼区間で標準偏差が76nmであった。
【0029】
実施例2
貯蔵部およびディスクの内縁を備えた15cmの平坦なスピンディスク(図6に示されるような)を使用したことを除いて、比較例Aと同様に実施例2を調製した。全ての試験条件は比較例Aと同じであった。ナノ繊維のSEM画像が図9に見られる。SEMを用いて、アルミニウム箔上に収集されたナノ繊維の画像から繊維の大きさを測定した。571番手のナノ繊維から繊維径を測定し、決定したところ、23nm〜190nmの範囲であり、中央値が82nmであった。平均繊維径は84nmであり、95%信頼区間で標準偏差が27nmであった。
【0030】
実施例2で用いた貯蔵部を備えた平坦なスピンディスクにより、比較例Aの窪んだスピンディスクより小さな繊維径の繊維が作製された。
【0031】
実施例3
貯蔵部およびディスクの内縁を備えた30cmの平坦なスピンディスクを使用したことを除いて、実施例2と同様に実施例3を調製した。約300,000のMwを有する12.0%のポリ(エチレンオキシド)の紡糸液と88.0%の水とを使用した。この溶液の粘度は、25℃で34,000cPであった。この試験では、200cc/分ではるかに高い流量を使用し、ディスクの回転速度は21,000rpmであった。成形用流体は適用しなかった。ナノ繊維のSEM画像が図10に見られる。SEMを用いて、アルミニウム箔上に収集されたナノ繊維の画像から繊維の大きさを測定した。790番手のナノ繊維から繊維径を測定し、決定したところ、52nm〜716nmの範囲であり、中央値が222nmであった。平均繊維径は254nmであり、95%信頼区間で標準偏差が122nmであった。
【0032】
実施例4
実施例3と同様に実施例4を調製した。貯蔵部およびディスクの内縁を備えた30cmの平坦なスピンディスクを使用した。15重量%のポリ(ビニルアルコール)の紡糸液(DuPont Evanol 80−18)と、85重量%の水とを使用した。この溶液の粘度は、25℃で5,850cPであった。この試験では、流量を33cc/分に設定し、ディスクの回転速度は8,000rpmであった。成形用流体は適用しなかった。ナノ繊維のSEM画像が図11に見られる。SEMを用いて、アルミニウム箔上に収集されたナノ繊維の画像から繊維の大きさを測定した。323番手のナノ繊維から繊維径を測定し、決定したところ、98nm〜665nmの範囲であり、中央値が264nmであった。平均繊維径は277nmであり、95%信頼区間で標準偏差が172nmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100℃と溶媒の凝固点との間の温度で、少なくとも1種の溶媒に少なくとも1種のポリマーを溶解させた紡糸液を、約4,000rpm〜約100,000rpmの回転速度で回転するスピンディスクに供給する工程、ここで、前記スピンディスクが平面と前方面吐出縁部とを有する;前記スピンディスクの平面を完全に濡らすとともに、前記スピンディスクの吐出縁部の前方面に向かって前記紡糸液を膜として分配するように、前記平面に沿って前記スピンディスクから前記紡糸液を放出する工程と;前記紡糸液から分離された繊維流れを形成する一方、前記溶媒を蒸発させてポリマーナノ繊維を生成する工程とを含む、ナノ繊維の形成方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリアルキレンオキシド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレンベースのポリマーおよびコポリマー、ビニルポリマーおよびコポリマー、フルオロポリマー、ポリエステルおよびコポリエステル、ポリウレタン、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリアラミド、熱可塑性ポリマー、液晶ポリマー、エンジニアリングポリマー、生分解性ポリマー、バイオベースポリマー、天然ポリマー、ならびにタンパク質ポリマーを含む群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記紡糸液が、約10cP〜約100,000cPの粘度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記紡糸液が、約100cP〜約75,000cPの粘度を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記紡糸液が、約1,000cP〜約50,000cPの粘度を有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記紡糸液が、約1cc/分〜約500cc/分の処理量で供給される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スピンディスクの回転速度が、約6,000rpm〜約100,000rpmである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スピンディスクの回転速度が、約8,000rpm〜約100,000rpmである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ繊維が、約1,000nm未満の平均繊維径を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記平均繊維径が約500nm未満である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平均繊維径が約100nm未満である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記紡糸液を前記スピンディスクから離れる方向に向けるために前記スピンディスクの周りに成形用流体を流す工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記成形用流体が気体を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記気体が、空気または窒素であり、加熱または冷却可能である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コレクタ上に前記ナノ繊維を収集して、繊維ウェブを形成する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記コレクタに真空をかけて前記ナノ繊維を前記コレクタ上に引き付けて、繊維ウェブを形成する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
電場を提供する一方、前記紡糸液から分離された繊維流れを形成しながら、前記溶媒を蒸発させてポリマーナノ繊維を生成する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記電場が約1kV〜約150kVの電位差を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コレクタに真空をかけて前記ナノ繊維を前記コレクタ上に引き付けて、繊維ウェブを形成する工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電位差が前記スピンディスクと前記コレクタとの間で維持される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電位差が、前記スピンディスクと、前記スピンディスクと前記コレクタとの間に配置される電極との間で維持される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記前方面吐出縁部が鋸歯状である請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記スピンディスクが、前記スピンディスクの中心に対して半径方向距離の40%以内に同心円状に位置している、前記平面と比べて窪んだ領域を有し、前記窪んだ領域が、前記紡糸液を受け入れるための貯蔵部を画定する請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記貯蔵部が、前記紡糸液を受け入れるための入口と、前記紡糸液を排出するための分散孔の出口とで封入される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
間隙が、前記貯蔵部の出口と、前記窪んだ領域を画定する、前記スピンディスクの平面の垂直部分との間に存在し、前記スピンディスクの垂直部分が前記スピンディスクの平面と交わるところでスピンディスク内縁が画定される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記スピンディスク内縁が丸みを帯びているかまたは尖っている請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−506797(P2011−506797A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539714(P2010−539714)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087058
【国際公開番号】WO2009/079523
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】