説明

ナビゲーション装置及び記憶媒体

【課題】 施設名称検索におけるヒット率を向上させる。
【解決手段】 文字入力手段(1)と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段(3)と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段(9)とを備えたナビゲーション装置において、前記施設名称データベースには文字種別毎の施設名称データが格納されるとともに、さらに文字種別を選択する文字種別選択手段(7)を備え、前記施設検索手段は、前記文字種別選択手段で選択された文字種別により入力された文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文字列により施設名称を検索する機能を有するナビゲーション装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地を設定して経路探索し、探索した経路に沿って案内を行うナビゲーション装置において、格納されている地点データから目的地として設定する地点を検索する際、検索対象を絞り込む方法として、文字列から施設名称を検索する50音検索、施設のジャンルにより検索するジャンル検索、電話番号検索、住所検索、郵便番号検索等が知られている。これらの中でも一番使われているのが50音検索である。
【0003】
50音検索は、図6に示すように検索画面上に表示されるひらがなの50音から1字づつ施設の名称を表す文字列を入力していき、入力した文字列と格納されている施設名称データとを比較して一致するものを検索するというものであり、施設名称の文字をすべて入力するまでの各段階の文字列で検索が行われる。図示の例では「やまうみ」と入力した段階で対象となる施設が3744件あったことが示されている。
【0004】
50音検索に用いられる施設名称データは、図7に示すように、例えば、飲食店の「やまうみ」、スーパーの「ヤマウミ」、化粧品店の「YAMAUMI 」というように各施設名称に対して全てひらがな読み「やまうみ」を付加したものからなっている。そのため、図6のように、スーパーの”ヤマウミ”を検索する場合、ひらがなで”やまうみ”と入力するが、飲食店の「やまうみ」、化粧品店の「YAMAUMI 」等、読みが”やまうみ”の施設がすべて検索されてしまうため、対象となる施設が3744件にもなり、探したい施設のヒット率が非常に低いという問題がある。
【0005】
そこで、図8に示すように、「やまうみ」による検索結果を一度表示させてから、エリアやジャンルで絞り込むことが必要になる。図示の例では、エリアを愛知県全域、ジャンルは全ジャンルとして対象となる施設が336件に絞りこまれたことを示している。
【0006】
また、50音検索機能を備えたナビゲーション装置において、検索データを階層化し、階層化された上位の名称を表示して結果の特定をし易くするとともに、使い勝手を良くするようにしたものも提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−310712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の50音検索はヒット率が非常に低く、施設名称の文字列をほぼ全部入力したり、一度検索結果を表示させてから他の条件で絞り込みを行う場合が多いのが実情であり、ヒット率が低いという点では上記特許文献1などで提案されている方法でも同様である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、施設名称検索におけるヒット率を向上させることを目的とする。
そのために本発明は、文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備えたナビゲーション装置であって、前記施設名称データベースには文字種別毎の施設名称データが格納されるとともに、さらに文字種別を選択する文字種別選択手段を備え、前記施設検索手段は、前記文字種別選択手段で選択された文字種別により入力された文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索することを特徴とする。
また、本発明は、文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備えたナビゲーション装置であって、前記施設名称データベースには施設名称に文字種別ごとの読みが付加されたデータが格納されるとともに、さらに入力された文字列の文字種別を他の文字種別に変換する文字種別変換手段を備え、前記施設検索手段は、前記文字種別変換手段で変換された文字種別の文字列により前記施設名称データベースから対応する施設名称を検索することを特徴とする。
また、本発明は、文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備え、前記施設名称データベースに文字種別毎の施設名称データが格納されたナビゲーション装置に用いられるデータを供給する記憶媒体であって、前記文字入力手段で入力される文字種別を選択するステップ、前記ステップで選択された文字種別により入力された文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索するステップによる処理を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶したことを特徴とする。
また、本発明は、文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備え、前記施設名称データベースには施設名称に文字種別ごとの読みが付加されたデータが格納されたナビゲーション装置に用いられるデータを供給する記憶媒体であって、前記文字入力手段で入力された文字列の文字種別を他の文字種別に変換するステップ、前記ステップで変換された文字種別の文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索するステップによる処理を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、施設名称の特徴にできるだけ近い文字種別で入力した文字列による検索が可能であるため、施設名称検索におけるヒット率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示す図である。出発地や目的地等の経路案内に関する情報を入力する入力装置1、自車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、地図データ、経路の探索に必要なナビゲーション用データ、経路案内に必要な表示/音声の案内データ、さらに地図の表示、経路探索、音声案内等の案内を行うためのプログラム(アプリケーション及び/又はOS)等が記録されている情報記憶装置3、ナビゲータ処理手段として地図の表示処理、経路探索処理、経路案内に必要な表示/音声案内処理、さらにシステム全体の制御を行う中央処理装置4、車両の走行に関する情報である、例えば道路情報、交通情報を送受信したり、車両の現在位置に関する情報を検出したり、さらに現在位置に関する情報を送受信したりする情報送受信装置5、経路案内に関する情報を出力するディスプレイやスピーカその他の出力装置6から構成されている。
【0011】
本実施形態の入力装置1は文字入力装置を備え、ひらがな入力に加え、片仮名入力、漢字入力、ローマ字入力、数字入力等の異なる文字種別を選択して入力が行えるようになっている。これに対応して、情報記憶装置3には文字種別毎の施設名称データ、従来のひらがな読みが付された施設名称に加えて片仮名、漢字、ローマ字、数字読み等の異なる文字種別の読みが付加された施設名称データベースが格納されている。また、中央処理装置4は、施設名称の文字列を入力する際の文字種別を選択する文字種別選択手段7、所定の文字種別で入力した文字列を他の文字種別の文字列に変換する文字種別変換手段8、文字種別選択手段7で選択された文字種別により入力された文字列、或いは文字種別変換手段8で変換された文字種別による文字列により施設名称を検索する施設検索手段9を有している。
【0012】
次に、施設名称検索に使用する施設名称データの例について説明する。
図2は文字種別毎の施設名称データベースの例を示している。
図示するように、ひらがな、カタカナ(全角及び半角)、アルファベット(全角及び半角)等のような文字種別毎の施設名称データを作成し、各施設名称に対してはひらがな読みを共通して付加する。なお、図示はしていないが漢字データベースを備え、変換ソフトを内蔵してひらがな入力した後、変換して漢字による検索もできるようになっている。このようなデータベースにより、文字種別毎の検索が可能となる。
【0013】
図3は現在の施設名称データベースに文字種別を表す識別データを追加した例を示している。
現在の施設名称データベースは、図7に示したように、各施設名称に対してひらがな読みを付加したものからなっている。ここでは、各施設名称に実際の名称に使用されている文字種別を表す符号(図の○印)等の識別データを追加し、ひらがな、カタカナ、英字、数字、漢字等の文字種別を付加して、文字種別ごとの文字列による検索ができるようにしている。
【0014】
図2のような文字種別毎のデータ、図3のような文字種別識別データを付加することにより、文字種別ごとの施設名称検索が可能となり、特に、ひらがな以外の文字種別を選択して検索するということは、それなりに名称に特徴があるということであるので、ヒット率を確実に向上させることが期待できる。なお、図2、図3においてひらがなは全データに共通しているので、特に指定しなければひらがなによる検索となり、文字種別を指定する手段を設けてひらがなを指定した場合にはひらがなデータベースを検索するように構成する。
【0015】
図4は施設名称検索画面において文字種別を選択してから文字入力を行う例を示す図である。
この例では、施設名称検索画面の下部にひらがな、カタカナ、英字、数記号等の文字種別選択手段の例として選択キーが設けらている。選択キーはタッチスイッチや遠隔操作ボタン等からなっていて、このキー操作により入力する文字種別が選択できる。図4(a)は文字種別としてカタカナ、図5(b)は文字種別としてひらがな、図4(c)は文字種別として英字、図4(d)は文字種別として数記号がそれぞれ選択された例を示している。こうして、施設名称検索に際して文字種別を選択してから文字入力を行うことにより、名称の特徴に近い文字種別で検索できるのでヒット率を向上させることが期待できる。なお、この例では漢字選択キーが設けられていないが、図4(b)に示すようにひらがな入力を選択して入力し、変換キーを操作して漢字データベースにより検索を行う。
【0016】
図5は文字種別を変換して検索する例を示す図である。
図4に示した例では、最初に文字種別を、例えば「カナ入力」と選択してから入力を行う必要があり、例えば、「カナ入力」により検索結果をみて「ひらがな」に変換することはできないため、再度ひらがな入力をしなければならない。そこで、この例ではある文字種別による検索結果をみて、他の文字種別に変換して検索できるようにする。
【0017】
図示の例では、検索画面の上部に文字種別変換手段として、かな、カナ、数字、アルファベット、漢字等の各変換キー(タッチスイッチや遠隔操作ボタン等)が設けられている。図5(a)はカタカナで「ヤマウミ」と文字入力した状態で、対象となる施設が154件であることを示している。図5(b)は「ヤマウミ」をかな変換した「やまうみ」の文字列による検索画面で対象となる施設が336件、図5(c)は「ヤマウミ」をアルファベット変換した「YAMAUMI 」の文字列による検索画面で対象となる施設が3件であることを示している。図5(d)は「ヤマウミ」を数字に変換しようとする場合を示しており、「該当する施設がありません」という表示が出されている。なお、数字変換の場合、例えば、ワン、イチのような文字を「1」に対応させるなど文字と数字との対応を記憶させておき、これに基づいて変換するようにすることも可能である。図5(e)は「ヤマウミ」を漢字変換した「山海」の文字列による検索画面で、山海、山宇美が検索されている。
【0018】
このように、一度入力した文字列は変換キーで他の文字種別に変換して検索できるので、名称の特徴に近い文字種別での検索が可能となり、ヒット率を確実に向上させることが期待でき、また、一度入力した文字列は再度入力し直す必要がなく他の文字種別に変換できるので使い勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、施設名称検索におけるヒット率を向上させることが可能となり、産業上の利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の例を示す図である。
【図2】文字種別毎の施設名称データベースの例を示す図である。
【図3】施設名称データベースに文字種別を表す識別データを追加した例を示す図である。
【図4】文字種別を選択してから文字入力を行う例を示す図である。
【図5】文字種別を変換して検索する例を示す図である。
【図6】従来の50音検索画面を説明する図である。
【図7】50音検索に用いられる従来の施設名称データを説明する図である。
【図8】従来の絞り込み検索を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
1…入力装置、2…現在位置検出装置、3…情報記憶装置、4…中央処理装置、5…情報送受信装置、6…出力装置、7…文字種別選択手段、8…文字種別変換手段、9…目的地検索手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備えたナビゲーション装置であって、
前記施設名称データベースには文字種別毎の施設名称データが格納されるとともに、さらに文字種別を選択する文字種別選択手段を備え、
前記施設検索手段は、前記文字種別選択手段で選択された文字種別により入力された文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備えたナビゲーション装置であって、
前記施設名称データベースには施設名称に文字種別ごとの読みが付加されたデータが格納されるとともに、さらに入力された文字列の文字種別を他の文字種別に変換する文字種別変換手段を備え、
前記施設検索手段は、前記文字種別変換手段で変換された文字種別の文字列により前記施設名称データベースから対応する施設名称を検索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備え、前記施設名称データベースに文字種別毎の施設名称データが格納されたナビゲーション装置に用いられるデータを供給する記憶媒体であって、
前記文字入力手段で入力される文字種別を選択するステップ、
前記ステップで選択された文字種別により入力された文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索するステップ、
による処理を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項4】
文字を入力する文字入力手段と、施設名称データベースを記憶した情報記憶手段と、入力された文字列に対応する施設名称を検索する施設検索手段とを備え、前記施設名称データベースには施設名称に文字種別ごとの読みが付加されたデータが格納されたナビゲーション装置に用いられるデータを供給する記憶媒体であって、
前記文字入力手段で入力された文字列の文字種別を他の文字種別に変換するステップ、
前記ステップで変換された文字種別の文字列に対応する施設名称を前記施設名称データベースから検索するステップ、
による処理を行うコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−138743(P2006−138743A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328651(P2004−328651)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】