説明

ナースコールシステム

【課題】 担当医療従事者を事前に登録する必要を無くすことができるようにするとともに、呼び出しを行った患者の状況を詳しく把握している医療従事者を優先して呼び出すことができる。
【解決手段】 無線機5と携帯通信端末20とを医療従事者に携行させ、読み取り範囲内の無線機5から無線機識別情報を読み取る読取装置6とナースコール子機1とを患者のベッド近傍に設置する。ナースコール子機1が操作されると、そのナースコール子機1が設置されているベッド近傍に設置されている読取装置6が多く読み取った無線機識別情報により特定される無線機5を携行する医療従事者が携帯する携帯通信端末20を報知させる。これにより、ベッド近傍に設置された読取装置6によって無線機識別情報を読み取られた回数が多い無線機5を携行する医療従事者が優先して呼び出されるので、呼び出しを行った患者のベッド近傍に頻繁に赴いた医療従事者が呼び出されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて医療従事者や介護者を呼び出すナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、単に病院とする)では、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の部屋(例えば、病室など)内の患者や被介護者(以下、単に患者とする)の近辺(例えば、ベッド近傍など)やトイレなどに設置されたナースコール子機および医療従事者や介護者(以下、単に医療従事者とする)の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール親機によっては、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)を無線によって接続するものも存在する。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末(以下、単にナースコール親機とする)は、自装置に設けられた報知部を動作させて、報知用スピーカーから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
各医療従事者が携行している無線式の携帯通信端末を使用して患者からの呼び出しを医療従事者に知らせるナースコールシステムとしては特許文献1に記載の技術などが知られている。特許文献1に記載のナースコールシステムでは、各患者のベッド近傍に設置されているナースコール子機が操作されると、各医療従事者が携行している携帯通信端末により報知が行われる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ナースコール子機が操作されると、全ての携帯通信端末が報知を行うので、ナースコール子機を操作した患者を担当していない医療従事者が携帯通信端末により患者からの呼び出しに応答するケースが生じてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するための技術として、各患者に対して複数の担当医療従事者を割り振り、患者が呼び出しを行った場合に、その患者を担当する担当医療従事者が携行する携帯通信端末での応答回数を均一とする技術が知られている(例えば、特許文献2など)。この特許文献2に記載の技術では、患者とその患者を担当する複数の担当医療従事者とを予め登録しておき、患者が呼び出しを行った場合に、応答回数が少ない担当医療従事者の携行する携帯通信端末を優先して報知させるようにしている。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、各患者に対して複数の担当医療従事者を割り振る登録作業を事前に行わなければならないという問題があった。
【0005】
また、患者に対して複数の担当医療従事者を割り振った場合、複数の担当医療従事者の中でも、その患者の状況を詳しく把握している担当医療従事者とそうではない担当医療従事者とが存在してしまう。そのため、特許文献2に記載の技術のように、各担当医療従事者が携行する携帯通信端末での応答回数を均一とするように特定の携帯通信端末を優先して報知させた場合に、患者の状況を詳しく把握している担当医療従事者よりも患者の状況を詳しく把握していない担当医療従事者の携行する携帯通信端末を優先して報知させるケースが生じてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−290821号公報
【特許文献2】特開2006−238902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者を担当する医療従事者を事前に登録する必要を無くすことができるようにするとともに、呼び出しを行った患者の状況を詳しく把握している医療従事者を優先して呼び出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、医療従事者に無線機および携帯通信端末を携行させ、読み取り範囲に入った無線機から無線機識別情報を読み取る読取装置および医療従事者を呼び出すためのナースコール子機を患者が使用するベッド近傍に設置し、各読取装置が無線機識別情報を読み取った回数を無線機識別情報毎に集計しておく。そして、ナースコール子機が操作された場合に、そのナースコール子機が設置されているベッド近傍に設置されている読取装置に対して集計された回数が多い無線機識別情報により特定される無線機を携行している医療従事者の携帯する携帯通信端末を報知させるようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、患者がナースコール子機により呼び出しを行った場合に、ベッド近傍に設置された読取装置によって無線機識別情報を読み取られた回数が多い無線機を携行する医療従事者が優先して呼び出されるので、呼び出しを行った患者のベッド近傍に頻繁に赴いた医療従事者が呼び出されることになる。このように、呼び出しを行った患者のベッド近傍に来た回数の多い医療従事者は、その患者の状態を詳しく把握している可能性が高いため、患者を担当する医療従事者を事前に登録しておく必要が無くなり、呼び出しを行った患者の状態を詳しく把握している医療従事者を優先して呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態によるナースコースシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコールシステムを適用した病室およびナースステーションの状態例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムの記憶装置の記憶内容の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図であり、図2は、本実施形態によるナースコールシステムを適用した病室およびナースステーションの状態例を示す図である。図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール子機1、無線機5、読取装置6、制御装置7、インターフェース装置(以下、I/F装置と記載する)8、記憶装置9、集計装置10、交換機11、無線基地局12、携帯通信端末20を備えて構成されている。
【0012】
図1において、ナースコール子機1は、病室内の各患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出すためのものである。ここで、ナースコール子機1は、伝送線を介してI/F装置8に接続されている。また、ナースコール子機1は、子機用制御部2、呼出操作部3、子機用インターフェース部(以下、I/F部と記載する)4を備えて構成されている。また、図2に示す例では、病室内のベッドaの近傍には、ナースコール子機1aが設置されており、病室内のベッドbの近傍には、ナースコール子機1bが設置されている。
【0013】
子機用制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御する。呼出操作部3は、ボタンなどにより構成されており、患者により医療従事者を呼び出すために操作される。呼出操作部3が操作されると、子機用制御部2は、医療従事者に対して呼び出しを行うための呼出信号を生成する。ここで、呼出信号は、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報を含む。
【0014】
子機用I/F部4は、ナースコール子機1にI/F装置8を接続しており、子機用制御部2にて生成した呼出信号をI/F装置8へ出力する。また、子機用I/F部4は、I/F装置8、交換機11および無線基地局12を介して携帯通信端末20から送信された復旧信号を入力する。ここで、復旧信号は、ナースコール子機1を呼出操作部3が操作される前の状態に戻すための信号である。呼出操作部3が操作されて子機用制御部2が呼出信号を生成すると、呼出操作部3が続けて操作されても、子機用I/F部4が復旧信号を入力するまで、子機用制御部2は呼出信号を生成しなくなる。
【0015】
無線機5は、例えばICタグにより構成されており、各患者のベッド近傍に医療従事者が来た回数を集計するために各医療従事者により携行される。ここで、無線機5は、この無線機5を他の無線機5と識別するための無線機識別情報を記憶している。また、図2に示す例では、病院内のナースステーションに居る医療従事者Aにより無線機5aが携行され、病院内のナースステーションに居る医療従事者Bにより無線機5bが携行されて、病院内のナースステーションに居る医療従事者Cにより無線機5cが携行されている。
【0016】
読取装置6は、ナースコール子機1が設置されているベッド近傍に設置されており、このベッド近傍を読み取り範囲とするタグリーダーなどにより構成されている。また、読取装置6は、伝送線を介してI/F装置8に接続されている。また、読取装置6は、読み取り範囲に入った無線機5に電源を供給し、電源が供給された無線機5は、記憶されている無線機識別情報を送信する。読取装置6は、送信された無線機識別情報を読み取り、この無線機識別情報を含む検出信号を生成してI/F装置8へ出力する。ここで、検出信号は、この読取装置6を他の読取装置6と識別するための読取装置識別情報を含む。また、図2に示す例では、病室内のベッドa上の天井部分には、読取装置6aが設置されており、病室内のベッドb上の天井部分には、読取装置6bが設置されている。
【0017】
制御装置7は、パーソナルコンピューターなどにより構成されており、ナースステーションなどに設置されている。また、制御装置7は、I/F装置8、記憶装置9、集計装置10を後述するように制御する。また、制御装置7は、後述する集計装置10にて集計した結果により特定した携帯通信端末20を報知させるための報知信号を生成する。ここで、報知信号は、その携帯通信端末20の端末識別情報および後述するI/F装置8が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報を含む。
【0018】
I/F装置8は、ナースコール子機1、読取装置6、交換機11を接続している。また、I/F装置8は、ナースコール子機1から出力された呼出信号、読取装置6から出力された検出信号を入力する。また、I/F装置8は、制御装置7にて生成された報知信号を交換機11および無線基地局12を介して携帯通信端末20へ出力する。また、I/F装置8は、交換機11および無線基地局12を介して携帯通信端末20から送信された復旧信号を入力し、入力した復旧信号をナースコール子機1へ出力する。また、I/F装置8とナースコール子機1との間には、図示しない制御機が設置されている。制御機は、ナースコール子機1とI/F装置8との間の通信を制御する。
【0019】
記憶装置9は、メモリなどにより構成されている。また、記憶装置9は、読取装置6の読取装置識別情報およびその読取装置6が近傍に設置されているベッドの近傍に設置されているナースコール子機1の子機識別情報を関連付けて予め記憶している。記憶装置9は、図3(a)に示すように、読取装置識別情報「6a」に対して子機識別情報「1a」を関連付けて予め記憶している。また、読取装置識別情報「6b」に対して子機識別情報「1b」を関連付けて予め記憶している。
【0020】
また、記憶装置9は、無線機5の無線機識別情報およびその無線機5を携行している医療従事者が携帯している携帯通信端末20の端末識別情報を関連付けて予め記憶している。記憶装置9は、図3(b)に示すように、無線機識別情報「5a」に対して端末識別情報「20a」を関連付けて予め記憶している。また、無線機識別情報「5b」に対して端末識別情報「20b」を関連付けて予め記憶している。また、無線機識別情報「5c」に対して端末識別情報「20c」を関連付けて予め記憶している。
【0021】
集計装置10は、読取装置6が同一の無線機識別情報を読み取った回数を集計し、その集計を読取装置6毎に行う。また、集計装置10には図示しないメモリが内蔵されており、このメモリは、集計した結果を示す集計データを記憶する。ここで、集計データは、無線機識別情報を読み取った読取装置6の読取装置識別情報と、その読取装置6が読み取った無線機識別情報と、その読取装置6がその無線機識別情報を読み取った回数を示す回数情報とにより構成されている。また、集計装置10は、患者が他のベッドへ移ったタイミングや患者が退院したタイミングなどで集計データを削除する。
【0022】
集計装置10は、I/F装置8が読取装置6から出力された検出信号を入力すると、入力した検出信号に含まれる読取装置識別情報および無線機識別情報を抽出する。また、集計装置10はメモリを参照し、抽出した読取装置識別情報および無線機識別情報に関連付けて記憶されている回数情報の値に1を加えて書き換える。
【0023】
交換機11は、例えばPBX(Private Branch eXchange)により構成されており、携帯通信端末20をI/F装置8に接続して通信を行うための中継装置である。ここで、交換機11は、I/F装置8に伝送線を介して接続されている。無線基地局12は、携帯通信端末20との間で無線通信し、携帯通信端末20を交換機11に接続するためのものである。ここで、無線基地局12は、交換機11に伝送線を介して接続されている。また、無線基地局12は、病院内の各所に分散して配置されている。これにより、携帯通信端末20は、病院内の各所でI/F装置8と通信することができる。
【0024】
携帯通信端末20は、例えば、PHSやコードレス電話などであり、無線機5を携行している医療従事者によりそれぞれ携帯されている。また、携帯通信端末20は、患者からの呼び出しを医療従事者に報知するために使用される。ここで、各携帯通信端末20には、この携帯通信端末20を他の携帯通信端末20と識別するための端末識別情報が割り振られている。携帯通信端末20は、無線通信可能な無線基地局12と接続される。また、携帯通信端末20は、制御部21、無線通信部22、報知部23、復旧操作部24を備えて構成されている。また、図2に示す例では、ナースステーションに居る医療従事者Aにより携帯通信端末20aが携帯され、ナースステーションに居る医療従事者Bにより携帯通信端末20bが携帯されて、ナースステーションに居る医療従事者Cにより携帯通信端末20cが携帯されている。
【0025】
制御部21は、CPUなどにより構成されており、携帯通信端末20の各構成要素を後述するように制御する。無線通信部22は、呼び出しが行われたナースコール子機1との間で無線通信を行う。また、無線通信部22は、交換機10および無線基地局12を介してI/F装置8から出力された報知信号を受信する。また、無線通信部22は、後述する処理により生成された復旧信号をI/F装置8、交換機10および無線基地局12を介してナースコール子機1へ送信する。
【0026】
報知部23は、患者からの呼び出しを医療従事者に報知するためのものである。また、報知部23は、スピーカーや表示ディスプレイなどにより構成されている。ここで、報知部23は、I/F装置8から出力された報知信号に含まれる子機識別情報により、呼び出しが行われたナースコール子機1を特定し、その情報をスピーカーから音声を出力したり、表示ディスプレイによって表示したりして報知を行う。
【0027】
復旧操作部24は、ボタンなどにより構成されており、報知部23による報知を停止するために操作される。報知部23による報知が行われている状態で、復旧操作部24が操作されると、制御部21は報知部23の動作を停止させるとともに、報知部23の報知により特定されているナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を生成する。
【0028】
このように構成されたナースコールシステムにおいて、ナースコール子機1にて呼出操作部3が操作されると、子機用制御部2は呼出信号を生成する。そして、子機用I/F部4は、子機用制御部2にて生成した呼出信号をI/F装置8へ出力する。I/F装置8がナースコール子機1から出力された呼出信号を入力した場合に、制御装置7は記憶装置9を参照し、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている読取装置識別情報を取得する。また、制御装置7は集計装置10のメモリを参照して、記憶装置9から取得した読取装置識別情報に関連付けて記憶されている回数情報の値が最も多い回数情報に関連付けて記憶されている無線機識別情報を取得する。
【0029】
そして、制御装置7は記憶装置9を参照して、取得した無線機識別情報に関連付けて記憶されている端末識別情報を取得する。そして、制御装置7は、取得した端末識別情報およびI/F装置8が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報を含む報知信号を生成する。I/F装置8は、制御装置7にて生成した報知信号を全ての携帯通信端末20へ送信する。
【0030】
携帯通信端末20では、この携帯通信端末20の端末識別情報を含む報知信号を無線通信部22にて受信した場合に、制御部21が報知部23を動作させ、報知部23は報知を行う。報知部23による報知が行われている状態で、復旧操作部24が操作された場合に、制御部21は、報知部23の動作を停止させるとともに、報知部23を動作させた報知信号に含まれていた子機識別情報を含む復旧信号を生成する。また、報知部23は報知を停止し、無線通信部22は制御部21にて生成した復旧信号を送信する。
【0031】
ナースコール子機1では、このナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を子機用I/F部4にて入力した場合に、子機用制御部2は、呼出信号を再び生成することができるようになる。
【0032】
図2に示す例では、ナースコール子機1aが設置されているベッドaの近傍に無線機5aおよび携帯通信端末20aを携行している医療従事者Aが5回赴き、ナースコール子機1aが設置されているベッドaの近傍に無線機5bおよび携帯通信端末20bを携行している医療従事者Bが2回赴いて、ナースコール子機1aが設置されているベッドaの近傍に無線機5cおよび携帯通信端末20cを携行している医療従事者Cが1回赴いたとする。また、図2に示す例では、ナースコール子機1bが設置されているベッドbの近傍に無線機5aおよび携帯通信端末20aを携行している医療従事者Aが3回赴き、ナースコール子機1bが設置されているベッドbの近傍に無線機5bおよび携帯通信端末20bを携行している医療従事者Bが4回赴いて、ナースコール子機1bが設置されているベッドbの近傍に無線機5cおよび携帯通信端末20cを携行している医療従事者Cが7回赴いたとする。
【0033】
すると、ベッドa上の天井部分に設置されている読取装置6aは無線機識別情報「5a」を5回読み取り、読取装置識別情報「6a」および無線機識別情報「5a」を含む検出信号をI/F装置8へ5回送信する。また、読取装置6aは無線機識別情報「5b」を2回読み取り、読取装置識別情報「6a」および無線機識別情報「5b」を含む検出信号をI/F装置8へ2回送信する。また、読取装置6aは無線機識別情報「5c」を1回読み取り、読取装置識別情報「6a」および無線機識別情報「5c」を含む検出信号をI/F装置8へ1回送信する。
【0034】
また、ベッドb上の天井部分に設置されている読取装置6bは無線機識別情報を3回読み取り、読取装置識別情報「6b」および無線機識別情報「5a」を含む検出信号をI/F装置8へ3回送信する。また、読取装置6bは無線機識別情報「5b」を4回読み取り、読取装置識別情報「6b」および無線機識別情報「5b」を含む検出信号をI/F装置8へ4回送信する。また、読取装置6bは無線機識別情報「5c」を7回読み取り、読取装置識別情報「6b」および無線機識別情報「5c」を含む検出信号をI/F装置8へ7回送信する。
【0035】
I/F装置8が検出信号を入力すると、集計装置10は、各患者のベッド近傍に医療従事者が来た回数を集計し、集計した結果を示す集計データをメモリに記憶させる。その結果、集計装置10は、読取装置識別情報「6a」と無線機識別情報「5a」と回数情報「5」とを関連付けてメモリに記憶し、読取装置識別情報「6a」と無線機識別情報「5b」と回数情報「2」とを関連付けてメモリに記憶して、読取装置識別情報「6a」と無線機識別情報「5c」と回数情報「1」とを関連付けてメモリに記憶する。また、集計装置10は、読取装置識別情報「6b」と無線機識別情報「5a」と回数情報「3」とを関連付けてメモリに記憶し、読取装置識別情報「6b」と無線機識別情報「5b」と回数情報「4」とを関連付けてメモリに記憶して、読取装置識別情報「6b」と無線機識別情報「5c」と回数情報「7」とを関連付けてメモリに記憶する。
【0036】
この状態でベッドaに居る患者がベッドaの近傍に設置されているナースコール子機1aの呼出操作部3を操作すると、ナースコール子機1aは、子機識別情報「1a」を含む呼出信号を出力する。I/F装置8がナースコール子機1aから出力された呼出信号を入力すると、制御装置7は記憶装置9を参照し(図3(a))、呼出信号に含まれる子機識別情報「1a」に関連付けて記憶されている読取装置識別情報「6a」を取得する。また、制御装置7は集計装置10のメモリを参照し、記憶装置9から取得した読取装置識別情報「6a」に関連付けて記憶されている回数情報の値が最も多い回数情報「5」に関連付けて記憶されている無線機識別情報「5a」を取得する。
【0037】
そして、制御装置7は、記憶装置9を参照して(図3(b))、取得した無線機識別情報「5a」に関連付けて記憶されている端末識別情報「20a」を取得する。そして、制御装置7は、取得した端末識別情報「20a」およびI/F装置8が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報「1a」を含む報知信号を生成する。I/F装置8は、制御装置7にて生成した報知信号を全ての携帯通信端末20へ交換機11および無線基地局12を介して出力する。
【0038】
端末識別情報が「20a」である携帯通信端末20では、この端末識別情報「20a」を含む報知信号を無線通信部22が受信すると、制御部21は報知部23を動作させ、報知部23は報知を行う。そして、報知を把握した医療従事者Aは、自分が携帯している携帯通信端末20aの復旧操作部24を操作して報知を停止させる。
【0039】
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコースシステムでは、医療従事者に無線機5および携帯通信端末20を携行させ、読み取り範囲に入った無線機5から無線機識別情報を読み取る読取装置6およびナースコール子機1を患者のベッド近傍に設置する。読取装置6は無線機識別情報を読み取ると、この読取装置6の読取装置識別情報および読み取った無線機識別情報を含む検出信号を集計装置10へ出力する。集計装置10は、検出信号に含まれる読取装置識別情報により特定される読取装置6が同一の無線機識別情報を読み取った回数を示す回数情報を読取装置6毎に集計する。そして、ナースコール子機1の呼出操作部3が操作された場合に、制御装置7は記憶装置9を参照して、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている読取装置識別情報を取得する。また、制御装置7は集計装置10を参照して、取得した読取装置識別情報について回数情報の値が最も多い無線機識別情報を取得する。また、制御装置7は記憶装置9を参照して、取得した無線機識別情報に関連付けて記憶されている端末識別情報を取得する。そして、制御装置7は、取得した端末識別情報および呼出信号に含まれる子機識別情報を含む報知信号を生成し、I/F装置8は、制御装置7にて生成した報知信号を携帯通信端末20へ出力する。制御部21は、無線通信部22がこの携帯通信端末20の端末識別情報を含む報知信号を受信すると、報知部23を動作させるようにしている。
【0040】
これにより、患者がナースコール子機1により呼び出しを行った場合に、その患者のベッド近傍に設置された読取装置6によって無線機識別情報を読み取られた回数が多い無線機5を携行する医療従事者が優先して呼び出されるので、呼び出しを行った患者のベッド近傍に頻繁に赴いた医療従事者が呼び出されることになる。このように、呼び出しを行った患者のベッド近傍に来た回数の多い医療従事者は、その患者の状態を詳しく把握している可能性が高いため、患者を担当する医療従事者を事前に登録しておく必要が無くなり、呼び出しを行った患者の状態を詳しく把握している医療従事者を優先して呼び出すことができる。
【0041】
なお、前述した実施形態では、読取装置6が無線機識別情報を多く読み取った無線機5を携行している医療従事者が携帯している携帯通信端末20のみを優先して呼び出しているが、これに限定されない。例えば、上述した携帯通信端末20に加えて、読取装置6が無線機識別情報を次に多く読み取った無線機5を携行している医療従事者が携帯している携帯通信端末20を呼び出すようにしても良い。
【0042】
また、前述した実施形態では、集計装置10のメモリに記憶されている回数情報の値を示す集計データを、患者が他のベッドへ移ったタイミングや患者が退院したタイミングなどで削除するようにしているが、これに限定されない。例えば、集計装置10のメモリに記憶されている集計データを毎日決まったタイミングで削除するようにしても良い。
【0043】
また、前述した実施形態では、制御装置7は集計装置10のメモリを参照し、読取装置識別情報に関連付けて記憶されている回数情報の値が最も多い無線機識別情報を取得して、その無線機識別情報により特定される無線機5を携行している医療従事者が携帯している携帯通信端末20を呼び出しているが、これに限定されない。例えば、上述した携帯通信端末20を携帯している医療従事者が呼び出しに応答しない場合に、その無線機識別情報の次に回数情報の値が多い無線機識別情報を取得して、その無線機識別情報により特定される無線機5を携行している医療従事者が携帯している携帯通信端末20を呼び出すようにしても良い。
【0044】
具体的には、時間を計測する図示しないタイマーを制御装置7に内蔵する。制御装置7は集計装置10のメモリを参照して、読取装置識別情報に関連付けて記憶されている回数情報の値が最も多い無線機識別情報を取得する。制御装置7は記憶装置9を参照して、取得した無線機識別情報に関連付けて記憶されている端末識別情報を取得する。制御装置7は、取得した端末識別情報および呼出信号に含まれる子機識別情報を含む報知信号を生成し、タイマーを動作させる。I/F装置8は、制御装置7が生成した報知信号を計端通信端末20へ出力する。制御装置7は、タイマーが計測した時間が所定時間に達するまでに、報知信号に含まれる端末識別情報により特定される携帯通信端末20から送信された復旧信号をI/F装置8が入力していない場合に、取得していた無線機識別情報の回数情報の値が次に多い無線機識別情報を取得して、上述の処理と同様に報知信号を生成する。また、制御装置7はタイマーをリセットして、I/F装置8は、制御装置7が生成した報知信号を計端通信端末20へ出力する。制御装置7は、タイマーが計測した時間が所定時間に達するまでに、報知信号に含まれる端末識別情報により特定される携帯通信端末20から送信された復旧信号をI/F装置8が入力していない場合に、制御装置7は上述の処理を繰り返す。
【0045】
また、前述した実施形態では、無線機5と携帯通信端末20とは別々に設けられているが、これに限定されない。例えば、無線機5と携帯通信端末20とを一体的に設けるようにしても良い。
【0046】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1、1a、1b ナースコール子機
2 子機用制御部
3 呼出操作部
4 子機用インターフェース(I/F)部
5、5a、5b、5c 無線機
6、6a、6b 読取装置
7 制御装置
8 インターフェース(I/F)装置
9 記憶装置
10 集計装置
11 交換機
12 無線基地局
20、20a、20b、20c 携帯通信端末
21 制御部
22 無線通信部
23 報知部
24 復旧操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者により携行され、自装置を他の装置と識別するための無線機識別情報を記憶する無線機と、
前記医療従事者により携帯され、自装置を他の装置と識別するための端末識別情報と同一の端末識別情報を含む報知信号を受信した場合に呼び出しを報知する携帯通信端末と、
各患者が使用するベッド近傍に設置され、読み取り範囲に入った無線機から無線機識別情報を読み取る読取装置と、
前記ベッド近傍に設置され、前記医療従事者を呼び出すための呼出操作が行われた場合に、自装置を他の装置と識別するための子機識別情報を含む呼出信号を生成して出力するナースコール子機と、
前記読取装置を他の読取装置と識別するための読取装置識別情報および前記読取装置が設置されているベッド近傍に設置されているナースコール子機の子機識別情報を関連付けて予め記憶しておくとともに、同じ医療従事者が携行している無線機の無線機識別情報および携帯通信端末の端末識別情報を関連付けて予め記憶しておく記憶装置と、
読取装置が無線機識別情報を読み取った回数を無線機識別情報および読取装置識別情報毎に集計する集計装置と、
前記ナースコール子機から出力された呼出信号を入力するとともに、前記携帯通信端末へ報知信号を出力するインターフェース装置と、
前記インターフェース装置が呼出信号を入力した場合に、前記記憶装置を参照して、前記インターフェース装置が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている読取装置識別情報を取得し、取得した読取装置識別情報について読み取った回数の多い無線機識別情報を前記集計装置にて特定して、特定した無線機識別情報に関連付けて記憶されている端末識別情報を含む報知信号を生成する制御装置と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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