ニコチン免疫ナノ治療剤
本発明は、免疫系の細胞へのナノキャリアの送達のための組成物およびシステムを提供する。本発明は、T細胞におけるおよび/またはB細胞における免疫応答を刺激することができるナノキャリアを提供する。本発明は、複数のニコチン成分を有する免疫特徴表面を含むナノキャリアを提供する。本発明は、本発明のナノキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、本発明のナノキャリアおよびその薬学的組成物を設計し、製造し、使用するための方法を提供する。例えば、本発明は、免疫応答および抗ニコチン抗体の産生を誘導することができるナノキャリアを提供する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1つの表面を有し、その第1の表面が、複数のニコチン成分を含む免疫特徴表面を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項2】
免疫刺激作用物質をさらに含み、前記免疫刺激作用物質は、(i)前記免疫特徴表面と結合している、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面と結合している、または(iii)前記ナノキャリア内に封入されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記合成ナノキャリアは、ヒトに投与された場合に、CD4+T細胞、NKT細胞、またはその両方を活性化することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記合成ナノキャリアは、ヒトに投与された場合に、抗ニコチンIgG抗体の産生を刺激することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記合成ナノキャリアは、ヒト被験体において体液性免疫応答を誘導することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記合成ナノキャリアがヒト被験体に投与される場合に、前記合成ナノキャリアは、前記被験体において、SCSマクロファージによって被膜下洞(SCS)壁を横断することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫刺激作用物質は、TLRアゴニスト、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、およびアジュバントから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記合成ナノキャリアは、ポリマー分子を含み、前記複数のニコチン成分は、前記ポリマー分子に共有結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記複数のニコチン成分は、(S)−(−)−ニコチン成分であり、前記合成ナノキャリアは、式(I)の構造を有するポリマーを含み、
(I)(X)n−L1−(Y)m−L2−A
式中、
Xは、疎水性ポリマーセグメントであり、
Yは、親水性ポリマーセグメントであり、
nおよびmは、0および1から選択され、ただし、nおよびmは、共に0ではなく、
L1およびL2は、結合および連結基から独立して選択され、
Aは、(S)−(−)−ニコチンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記複数のニコチン成分は、
【化7】
の構造を有する(S)−(−)−ニコチンを含み、
R1〜R7のうちの1つは、前記ポリマーに相当し、他のものは、H、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリール、およびアラルキルから選択され、これらのうちのいずれも、置換されてもいてもよくまたは置換されていなくてもよく、1つまたは複数のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記複数のニコチン成分は、抗原提示細胞(APC)結合アッセイにおいてモノクローナル抗体(MAb)について観察される、最大固定化の少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在し、ただし、前記APC結合アッセイにおいて、前記複数の成分についての最大半量の結合密度は前記MAbについての最大半量の結合密度の少なくとも2倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記複数のニコチン成分は、前記APC結合アッセイにおいてMAbについて観察される、最大固定化の少なくとも20%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記複数の成分についての前記最大半量の結合密度は、前記MAbについての前記最大半量の結合密度の少なくとも4倍である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記APC結合アッセイは、
(a)機能成分のコーティングを一連の表面コーティング密度で有する、一連の基材を調製する工程であって、前記機能成分は樹状細胞(DC)または被膜下洞マクロファージ表面受容体に結合することができる、工程、
(b)前記一連の基材をDCまたは被膜下洞マクロファージの単一細胞懸濁物に所定の期間、曝露する工程、
(c)前記一連の基材から非接着APCを除去し、前記一連の基材に接着したAPCを固定する工程、
(d)前記一連の基材のそれぞれの基材に関し、単位表面積当たりの接着したAPCの数を定量する工程、
(e)前記機能成分の前記コーティング密度に対して前記(d)からの結果をプロットする工程、
(f)前記一連の基材についての単位表面積当たりの接着したAPCの最大数を決定することによって、前記最大固定化の値を得る工程、および
(g)前記最大の50%をもたらす前記表面コーティング密度を決定することによって、最大半量の結合密度の値を得る工程
を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記MAbは、抗CD1c(BDCA−1)クローンAD5−8E7またはラット抗マウスCD169、クローン3D6.112、アイソタイプIgG2aである、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記ニコチンは、ニコチンの誘導体、代謝産物、または類似体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
100ng/ml未満のベースラインIgG抗ニコチン抗体血清濃度を有する対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む方法であって、前記対象における投与後抗ニコチンIgG抗体ピーク血清濃度は200ng/mlを超える、方法。
【請求項18】
以前にニコチンに対してワクチン接種していない対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む方法であって、前記対象における投与後抗ニコチン抗体ピーク濃度は100ng/ml以上である、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物の初回用量を被験体に投与する工程および
前記初回用量の投与後のある期間に請求項1に記載の組成物の第1の継続用量を前記被験体に投与する工程
を含む方法。
【請求項20】
前記初回用量の投与後の前記期間は、1日〜1年である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の継続用量の投与後のある期間に請求項1に記載の組成物の第2の継続用量を前記被験体に投与する工程さらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の継続用量の投与後の前記期間は、1日〜1年である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(1)少なくとも1つの表面を有し、その第1の表面が、ニコチン成分に対して体液性応答をもたらすのに有効な量で複数の前記ニコチン成分を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項24】
前記ニコチン成分は、哺乳動物抗原提示細胞に対するアビディティベースの結合をもたらすのに有効な量で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
樹状細胞を標的にする、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
補体を実質的に活性化しない、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1または23に記載の組成物を投与する工程を含む、体液性免疫応答を誘導するための方法。
【請求項1】
(1)少なくとも1つの表面を有し、その第1の表面が、複数のニコチン成分を含む免疫特徴表面を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項2】
免疫刺激作用物質をさらに含み、前記免疫刺激作用物質は、(i)前記免疫特徴表面と結合している、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面と結合している、または(iii)前記ナノキャリア内に封入されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記合成ナノキャリアは、ヒトに投与された場合に、CD4+T細胞、NKT細胞、またはその両方を活性化することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記合成ナノキャリアは、ヒトに投与された場合に、抗ニコチンIgG抗体の産生を刺激することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記合成ナノキャリアは、ヒト被験体において体液性免疫応答を誘導することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記合成ナノキャリアがヒト被験体に投与される場合に、前記合成ナノキャリアは、前記被験体において、SCSマクロファージによって被膜下洞(SCS)壁を横断することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫刺激作用物質は、TLRアゴニスト、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、およびアジュバントから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記合成ナノキャリアは、ポリマー分子を含み、前記複数のニコチン成分は、前記ポリマー分子に共有結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記複数のニコチン成分は、(S)−(−)−ニコチン成分であり、前記合成ナノキャリアは、式(I)の構造を有するポリマーを含み、
(I)(X)n−L1−(Y)m−L2−A
式中、
Xは、疎水性ポリマーセグメントであり、
Yは、親水性ポリマーセグメントであり、
nおよびmは、0および1から選択され、ただし、nおよびmは、共に0ではなく、
L1およびL2は、結合および連結基から独立して選択され、
Aは、(S)−(−)−ニコチンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記複数のニコチン成分は、
【化7】
の構造を有する(S)−(−)−ニコチンを含み、
R1〜R7のうちの1つは、前記ポリマーに相当し、他のものは、H、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリール、およびアラルキルから選択され、これらのうちのいずれも、置換されてもいてもよくまたは置換されていなくてもよく、1つまたは複数のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記複数のニコチン成分は、抗原提示細胞(APC)結合アッセイにおいてモノクローナル抗体(MAb)について観察される、最大固定化の少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在し、ただし、前記APC結合アッセイにおいて、前記複数の成分についての最大半量の結合密度は前記MAbについての最大半量の結合密度の少なくとも2倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記複数のニコチン成分は、前記APC結合アッセイにおいてMAbについて観察される、最大固定化の少なくとも20%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記複数の成分についての前記最大半量の結合密度は、前記MAbについての前記最大半量の結合密度の少なくとも4倍である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記APC結合アッセイは、
(a)機能成分のコーティングを一連の表面コーティング密度で有する、一連の基材を調製する工程であって、前記機能成分は樹状細胞(DC)または被膜下洞マクロファージ表面受容体に結合することができる、工程、
(b)前記一連の基材をDCまたは被膜下洞マクロファージの単一細胞懸濁物に所定の期間、曝露する工程、
(c)前記一連の基材から非接着APCを除去し、前記一連の基材に接着したAPCを固定する工程、
(d)前記一連の基材のそれぞれの基材に関し、単位表面積当たりの接着したAPCの数を定量する工程、
(e)前記機能成分の前記コーティング密度に対して前記(d)からの結果をプロットする工程、
(f)前記一連の基材についての単位表面積当たりの接着したAPCの最大数を決定することによって、前記最大固定化の値を得る工程、および
(g)前記最大の50%をもたらす前記表面コーティング密度を決定することによって、最大半量の結合密度の値を得る工程
を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記MAbは、抗CD1c(BDCA−1)クローンAD5−8E7またはラット抗マウスCD169、クローン3D6.112、アイソタイプIgG2aである、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記ニコチンは、ニコチンの誘導体、代謝産物、または類似体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
100ng/ml未満のベースラインIgG抗ニコチン抗体血清濃度を有する対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む方法であって、前記対象における投与後抗ニコチンIgG抗体ピーク血清濃度は200ng/mlを超える、方法。
【請求項18】
以前にニコチンに対してワクチン接種していない対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む方法であって、前記対象における投与後抗ニコチン抗体ピーク濃度は100ng/ml以上である、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物の初回用量を被験体に投与する工程および
前記初回用量の投与後のある期間に請求項1に記載の組成物の第1の継続用量を前記被験体に投与する工程
を含む方法。
【請求項20】
前記初回用量の投与後の前記期間は、1日〜1年である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の継続用量の投与後のある期間に請求項1に記載の組成物の第2の継続用量を前記被験体に投与する工程さらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の継続用量の投与後の前記期間は、1日〜1年である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(1)少なくとも1つの表面を有し、その第1の表面が、ニコチン成分に対して体液性応答をもたらすのに有効な量で複数の前記ニコチン成分を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項24】
前記ニコチン成分は、哺乳動物抗原提示細胞に対するアビディティベースの結合をもたらすのに有効な量で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
樹状細胞を標的にする、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
補体を実質的に活性化しない、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1または23に記載の組成物を投与する工程を含む、体液性免疫応答を誘導するための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図17−2】
【図17−3】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19−1】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37(a)】
【図37(b)】
【図11−1】
【図11−2】
【図13A】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図19−2】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図17−2】
【図17−3】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19−1】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37(a)】
【図37(b)】
【図11−1】
【図11−2】
【図13A】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図19−2】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2012−505246(P2012−505246A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531220(P2011−531220)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060236
【国際公開番号】WO2010/042866
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060236
【国際公開番号】WO2010/042866
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】
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