説明

ニコチン性アセチルコリン受容体モジュレーター

新規でかつ選択的な高親和性α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体リガンドおよびその医薬組成物が提供される。他の実施形態では、ここで開示された化合物および組成物を用いて、例えば薬物中毒や疼痛などの種々の医学的障害を治療、予防または改善する方法が提供される。さらに他の実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を調節する方法が提供される。さらに他の実施形態では、ここで開示された化合物および組成物を用いて、例えばα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体などの受容体を選択的にアンタゴナイズする方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2010年1月11日に出願された米国仮特許出願第61/294,044号の優先権を主張し、この仮特許出願はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書により、新規でかつ選択的な高親和性α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体リガンドおよびその医薬組成物が提供される。他の実施形態として、ここで開示された化合物および組成物を用いて、例えば薬物中毒や疼痛などの種々の医学的障害を治療、予防または改善する方法が提供される。さらに他の実施形態として、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を調節する方法が提供される。さらに他の実施形態として、ここで開示された化合物および組成物を用いて、例えばα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体などの受容体を選択的にアンタゴナイズする(antagonizing)方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、リガンド依存性イオンチャネル(ligand
gated ion channels)を形成し、種々のサブタイプからなるコリン作動性受容体である。ニコチン性アセチルコリン受容体は、内在性神経伝達物質であるアセチルコリンの仲介を通じて、CNSや他の生理的機能を調節する。したがって、多種多様な医学的状態(例えば、学習障害や摂食障害、神経変性疾患、疼痛や薬物中毒)がニコチン性アセチルコリン受容体と関連しており、これらの受容体の機能を妨げる化合物を用いて治療または予防され得る。
【0004】
したがって、ニコチン性アセチルコリン受容体を調節(modulate)し、かつ/または特定の受容体サブタイプをアンタゴナイズして、種々の障害(例えば薬物中毒、神経変性障害、疼痛など)を治療および/または予防する化合物が絶えず必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)で表される化合物を提供することによって、この必要性およびその他の必要性に応えるものである。
【化1】

ここで、式中、
は、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルまたは−COであり;
は、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
Yは−NRであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリールヘテロアルキルまたは置換アリールヘテロアルキルであり;
Xは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;
ただし、RがメチルでありYが−NH−であるとき、Xはフェニルではなく、また、RがHでありYが−NH−であるとき、Xは3−クロロフェニルではなく、かつ式(I)で表される化合物は、N−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1.]ノン−3−イル)−1Hインダゾール−5−アミンを含まない;
なお、上記化合物は、その塩、水和物もしくは溶媒和物を包含する。
【0006】
また、本明細書により、例えば薬物中毒、薬物中毒(例えば、コカイン中毒、アヘン中毒(ヘロイン、モルヒネ、オキシコンチン、トラムドールなど)、アンフェタミン(メタンフェタミン、デキセドリン、MDMAなど)、ニコチン中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、またはこれらの組合せ(combination)やこれらに類似する症状(modification)、疼痛、神経変性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、および精神障害(例えば統合失調症)などの医学的障害を治療、予防、または改善する方法が提供される。本方法の実施にあたっては、治療有効量の化合物または治療有効濃度の化合物を含有する組成物が投与される。
【0007】
本明細書のいくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を調節するための方法が提供される。他の実施形態では、例えば、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体などの受容体をアンタゴナイズする方法が提供される。本方法の実施にあたっては、式(I)の化合物またはその組成物の有効量が投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、α4β2アセチルコリンニコチン性受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して10倍を超えて選択的である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔定義〕
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中の用語に関して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節の定義が優先される。
【0009】
「アルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、親アルカン(parent
alkane)、親アルケンまたは親アルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる、飽和または不飽和の、分岐鎖状、直鎖状または環状の、一価の炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキル基としては、メチル;エタニル、エテニル、エチニルなどのエチル;プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、シクロプロプ−1−エン−1−イル、シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなどのプロピル;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなどのブチル;および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、この「アルキル」という用語は、任意の飽和度または飽和レベルの基、すなわち、炭素−炭素単結合のみを有する基、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する基、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する基、および炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合の混合物を有する基を含む意図である。特定の飽和レベルの基を指す場合には、「アルカニル」、「アルケニル」、および「アルキニル」という用語を使用する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を含む(C−C20アルキル)。他の実施形態では、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を含む(C−C10アルキル)。さらに他の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含む(C−Cアルキル)。
【0010】
「アルカニル」は、単独で、または他の置換基の一部として、親化合物たるアルカンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる、飽和の、分岐鎖状、直鎖状または環状のアルキルラジカルを指す。典型的なアルカニル基としては、メタニル;エタニル;プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなどのプロパニル;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなどのブタニル;および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
「アルケニル」は、単独で、または他の置換基の一部として、親アルケンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の、分岐鎖状、直鎖状または環状のアルキルラジカルを指す。この基は、二重結合に関して、シスおよびトランスのいずれの立体配置であってもよい。典型的なアルケニル基としては、エテニル;プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イルなどのプロペニル;ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなどのブテニル;および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「アルキニル」は、単独で、または他の置換基の一部として、親アルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和の、分岐鎖状、直鎖状または環状のアルキルラジカルを指す。典型的なアルキニル基としては、エチニル;プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなどのプロピニル;ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなどのブチニル;および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
「アルコキシ」は、単独で、または他の置換基の一部として、式−O−R400(式中、R400は、本明細書で定義されるアルキルまたは置換アルキルである)で表されるラジカルを指す。
【0014】
「アシル」は、単独で、または他の置換基の一部として、−C(O)R401ラジカル(式中、R401は、本明細書で定義される水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである)を指す。代表的な例としては、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「アリール」は、それ自体または別の置換基の一部として、本明細書で定義される親芳香族環系の単一の炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる一価の芳香族炭化水素基を指す。典型的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニリン、トリナフタレンなどに由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は、6〜20個の炭素原子を含む(C−C20アリール)。他の実施形態では、アリール基は、6〜15個の炭素原子を含む(C−C15アリール)。さらに他の実施形態では、アリール基は、6〜15個の炭素原子を含む(C−C10アリール)。
【0016】
「アリールアルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、炭素原子(典型的には末端の炭素原子またはsp炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つが、本明細書で定義されたアリール基と置換されている非環状アルキル基を指す。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分を指す場合には、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルという用語を使用する。いくつかの実施形態では、アリールアルキル基は(C−C30)アリールアルキルであり、例えば、そのアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C−C10)アルキルであり、アリール部分は(C−C20)アリールである。他の実施形態では、アリールアルキル基は(C−C20)アリールアルキルであり、例えば、そのアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C−C)アルキルであり、アリール部分は(C−C12)アリールである。さらに他の実施形態では、アリールアルキル基は(C−C15)アリールアルキルであり、例えば、そのアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C−C)アルキルであり、アリール部分は(C−C10)アリールである。
【0017】
「化合物」は、ここに開示された構造式に包含される化合物を指し、これらの式中の任意の具体的な化合物であってその構造が本明細書に開示されているものを含む。化合物は、その化学構造および/または化学名によって特定され得る。化学構造と化学名が矛盾する場合は、化学構造により化合物を特定する。ここに記載された化合物は、1つまたは複数の不斉中心および/または二重結合を含み得る。そのため、二重結合異性体(幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、ここに示された化学構造は、純粋な立体異性体的(例えば、純粋な幾何異性体、純粋なエナンチオマーまたは純粋なジアステレオマー)、ならびにエナンチオマー混合物や立体異性体混合物を含む、例示された化合物の全ての可能なエナンチオマーおよび立体異性体を包含するものである。エナンチオマー混合物および立体異体混合物は、当業者に周知の分離技術や不斉合成技術を用いて、その成分たるエナンチオマーまたは立体異性体に分割することができる。これらの化合物は、エノール形、ケト形およびこれらの混合物を含む数種の互変異性の形態でも存在し得る。したがって、ここに示された化学構造は、例示された化合物の全ての可能な互変異性形態を包含するものである。ここに記載された化合物には、1つまたは複数の原子が自然界における通常の原子質量とは異なる原子質量を有する同位体標識化合物(同位元素標識化合物)も包含される。ここに開示される化合物に取り込ませ得る同位体の例としては、H、H、13C、14C、15N、18O、17Oなどが挙げられるが、これらに限定されない。化合物は、非溶媒和形態または非水和形態であってもよく、水和物等の溶媒和形態であってもよく、N−オキシドであってもよい。つまり、ここに開示される化合物は、水和物、溶媒和物、またはN−オキシドであり得る。特定の化合物は、様々な結晶形態または非晶質形態であり得る。一般に、全ての物理的形態は、本明細書の意図する用途に対して等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。なお、化合物の部分構造を例示する場合、括弧は、その部分構造と分子の残部との結合点を示す。
【0018】
「ハロ」は、単独で、または他の置換基の一部として、−F、−Cl、−Brまたは−Iのラジカルを指す。
【0019】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、単独で、または他の置換基の一部として、それぞれ、炭素原子(および場合により、関連する任意の水素原子)のうちの1つまたは複数が各々、互いに独立に、同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基と置換されている、アルキル基、アルカニル基、アルケニル基およびアルキニル基を指す。炭素原子と置換され得る典型的なヘテロ原子またはヘテロ原子基としては、−O−、−S−、−N−、−Si−、−NH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NH−、−S(O)NH−などおよびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロ原子またはヘテロ原子基は、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基中の任意の位置に存在し得る。典型的なヘテロ原子基としては、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−NR501502−、=N−N=、−N=N−、−N=N−NR503404、−PR505−、−P(O)−、−POR506−、−O−P(O)−、−SO−、−SO−、−SnR507508−(ここで、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507およびR508は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「ヘテロアリール」は、単独で、または他の置換基の一部として、ここで定義される親ヘテロ芳香族環系の単一の原子から1つの水素原子を除去して得られる、一価のヘテロ芳香族ラジカルを指す。典型的なヘテロアリール基としては、アクリジン、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどに由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5〜20個の環原子を含む(5〜20員ヘテロアリール)。他の実施形態では、ヘテロアリール基は、5〜10個の環原子を含む(5〜10員ヘテロアリール)。ヘテロアリール基の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾールおよびピラジンに由来するものが挙げられる。
【0021】
「ヘテロアリールアルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、炭素原子(典型的には、末端の炭素原子またはsp炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリール基と置換されている非環状アルキル基を指す。特定のアルキル部分を指す場合には、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニルという用語を使用する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールアルキル基は6〜21員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C−C)アルキルであり、ヘテロアリール部分は5〜15員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールアルキルは6〜13員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、アルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C−C)アルキルであり、ヘテロアリール部分は5〜10員ヘテロアリールである。
【0022】
「親芳香族環系」は、共役したπ電子系を有する、不飽和の環式または多環式環系を指す。この「親芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、環の1つまたは複数が芳香族であり、かつ環の1つまたは複数が飽和または不飽和であるもの、例えばフルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどである。典型的な親芳香族環系としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「親ヘテロ芳香族環系」は、1つ以上の炭素原子(および場合により、関連する任意の水素原子)が、各々独立に、同じまたは異なるヘテロ原子と置換されている親芳香族環系を指す。炭素原子に代わる典型的なヘテロ原子としては、N、P、O、S、Siなどが挙げられるが、これらに限定されない。「親ヘテロ芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、環の1つまたは複数が芳香族であり、かつ環の1つまたは複数が飽和または不飽和であるもの、例えばベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどの縮合環系である。典型的な親ヘテロ芳香族環系としては、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「予防すること(preventing)」または「予防(prevention)」は、疾患または障害にかかる(すなわち、疾患にさらされる可能性、またはその疾患にかかりやすい傾向があるが、その疾患の症状をまだ経験または呈示していない患者において、その疾患の臨床症状の少なくとも1つを生じさせる)リスクの軽減を指す。障害または疾患を予防することまたは予防のための治療の適用は、「予防(prophylaxis)」として知られている。いくつかの実施形態では、ここで提供された化合物は、長期的副作用が長期にわたって少ないために、優れた予防を提供する。
【0025】
「保護基」は、分子中の反応性官能基に結合したとき、化学合成中においてその官能基の反応性をマスクし、低下させ、または抑制する原子団を指す。保護基の例は、Greenら,“Protective Groups in Organic Chemistry”(Wiley,第2版,1991)およびHarrisonら,“Compendium of Synthetic Organic Methods”、第1〜8巻(John Wiley and Sons,1971−1996)等に記載されている。アミノ基の代表的な保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「SES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシ基の代表的な保護基としては、ヒドロキシ基がアシル化またはアルキル化されているもの、例えば、ベンジル、およびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「塩」とは、化合物の塩を指し、その親化合物の望ましい薬理活性を有する。そのような塩としては、(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)を用いて形成されるか;もしくは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−二スルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)を用いて形成される、酸付加塩;または(2)親化合物中にある酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオン)によって置換されるか;もしくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位結合して形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
特定の基またはラジカルを修飾するために用いられる場合の「置換された」とは、特定の基またはラジカルの1つまたは複数の水素原子が各々、互いに独立に、同じまたは異なる置換基と置換されていることを意味する。特定の基またはラジカル中の飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基としては、−R、ハロ(halo)、−O、=O、−OR、−SR、−S、=S、−NR、=NR、=N−OR、トリハロメチル、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)、−S(O)NR、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)O、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(R)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)O、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)O、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NR(ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;各Rは、独立に、水素またはRであり;各Rは、独立にRであるか、あるいは2つのRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって(さらに、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個の同一または異なるヘテロ原子を任意に含んでもよい)4員、5員、6員もしくは7員シクロヘテロアルキルを形成する)が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例として、例えば−NRは、−NH、−NH−アルキル、N−ピロリジニルおよびN−モルホリニルを包含するよう意図される。
【0028】
同様に、特定の基またはラジカル中の不飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基としては、−R、ハロ(halo)、−O、−OR、−SR、−S、−NR、トリハロメチル、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、−N、−S(O)、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)O、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)O、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)O、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NR(ここで、R、RおよびRは、先に定義したものと同様である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基中の窒素原子を置換するのに有用な置換基としては、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、トリハロメチル、−CF、−CN、−NO、−NO、−S(O)、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NR(ここで、R、RおよびRは、先に定義したものと同様である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
上記でリストアップされた置換基が、他の特定の基または原子を置換するためにも有用であることは、当業者には明らかである。
【0031】
特定の基を置換するために用いられる置換基は、さらに置換(典型的には、上記で特定された様々な基から選択される、同一または異なる基の1つまたは複数によって置換)されていてもよい。
【0032】
「対象」、「個体」または「患者」は、ここでは互換的に用いられており、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を指す。哺乳動物としては、マウス、齧歯類、サル、ヒト、家畜、競技用動物(sport animal)およびペットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
任意の疾患または障害を「治療すること」または「治療」は、いくつかの実施形態では、疾患または障害を改善すること(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を抑制または軽減すること)を指す。治療は、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を改善するか、抑制するか、または予防するための先制的または予防的投与を含むとみなすこともできる。さらなる特徴では、提供される治療は、複数年にわたって長期的副作用の可能性が低い。他の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、少なくとも1つの身体的パラメーター(患者が自覚していない場合もあり得る。)を改善することを指す。さらに他の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患または障害を、身体的に(例えば、認識し得る症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメーターの安定化)、または両方で抑制することを指す。さらに他の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患または障害の発症を遅延させることを指す。
【0034】
「治療有効量」は、疾患の治療のため患者に投与した場合において、かかる疾患の治療をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。その「治療有効量」は、投与する化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療されるべき患者の年齢、体重、吸収、分布、代謝および排出などによって異なる。
【0035】
「ビヒクル(vehicle)」は、化合物とともに対象に投与される、希釈剤、賦形剤(excipient)または担体(carrier)を指す。
【0036】
〔化合物〕
本明細書によると、式(I)で表される化合物が提供される。
【化2】

ここで、式中、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルまたは−COであり、Rは、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり、Yは、−NRであり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アリールヘテロアルキルまたは置換アリールヘテロアルキルであり、Xは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、ただし、RがメチルでありYが−NH−であるとき、Xはフェニルではなく、RがHでありYが−NH−であるとき、Xは3−クロロフェニルではなく、かつ式(I)で表される化合物は、N−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1.]ノン−3−イル)−1Hイミダゾール−5−アミンを含まない。なお、上記化合物は、その塩、水和物もしくは溶媒和物を包含する。
【0037】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COである。他の実施形態では、Rは、水素、アルキルまたは置換アルキルである。さらに他の実施形態では、Rは、水素、メチル、エチル、
【化3】

である。さらに他の実施形態では、Rはアリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。さらに他の実施形態では、Rは、
【化4】

である。さらに他の実施形態では、Rはフェニルまたは置換フェニルである。さらに他の実施形態では、Rは、
【化5】

である。
【0038】
いくつかの実施形態では、Rは−COであり、Rは二置換フェニルである。他の実施形態では、Rは、
【化6】

である。
【0039】
いくつかの実施形態では、Xはフェニルまたは置換フェニルである。他の実施形態では、Xはo−置換フェニルである。さらに他の実施形態では、Xは、
【化7】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、Xはm−置換フェニルである。他の実施形態では、Xは置換アリールである。さらに他の実施形態では、Xは、
【化8】

である。
【0041】
いくつかの実施形態では、Xはヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。さらに他の実施形態では、Xは、2−ピリジル、または、5位が−Brもしくは−NOで置換された2−ピリジルである。
【0042】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、メチル、またはアルキルである。他の実施形態では、Yは−NH−または−NCH−である。
【0043】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COであり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。他の実施形態では、Rは、水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは−COであり、Rは二置換フェニルであり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、水素、メチル、エチル、
【化9】

であり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、
【化10】

であり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、
【化11】

であり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、RはCOであり、Rは、
【化12】

であり、Xは、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yは−NH−または−NCH−である。
【0044】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COであり、Xは、
【化13】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。他の実施形態では、Rは、水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Xは、
【化14】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rはアリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、Xは、
【化15】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。RはCOであり、Rは二置換フェニルであり、Xは、
【化16】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、水素、メチル、エチル、
【化17】

であり、Xは、
【化18】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、
【化19】

であり、Xは、
【化20】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、Rは、
【化21】

であり、Xは、
【化22】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。さらに他の実施形態では、RはCOであり、Rは、
【化23】

であり、Xは、
【化24】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yは−NH−または−NCH−である。
【0045】
いくつかの実施形態では、Rはメチルであり、Yは−NH−であり、Xは、
【化25】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)である。他の実施形態では、Rはメチルであり、Yは−NH−であり、Xは、
【化26】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CF、−OCF、−NOまたは−CNである)である。さらに他の実施形態では、Rはメチルであり、Yは−NH−であり、Xは、メタ位においてブロモまたはクロロで置換されたフェニルである。さらに他の実施形態では、Rはメチルであり、Yは−NCH−であり、Xは、
【化27】

(式中、Rは−Brである)である。さらに他の実施形態では、Rは水素であり、Yは−NH−であり、Xは、
【化28】

(式中、Rは−NOである)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、Rはメチルであり、Yは−NH−であり、Xは、2−ピリジルまたは3位が−Brもしくは−NOで置換された2−ピリジルである。他の実施形態では、Rは、エチル、
【化29】

であり、Yは−NH−であり、Xは、
【化30】

(式中、Rは−Brである)である。さらに他の実施形態では、Rはメチルであり、Xは2−ブロモフェニルであり、Yは−NR−であり、Rは、−CHCHOZ(式中、Zは置換フェニルである)である。いくつかの実施形態では、Zは、p−ブロモフェニル、m−メトキシフェニルまたはm−ニトロフェニルである。
【0047】
式(I)で表される化合物には、以下の表に示す化合物が含まれる。
【0048】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0049】
いくつかの実施形態では、ここで開示された化合物は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約10μΜ未満の親和性を有する。他の実施形態では、ここで開示された化合物は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約2μΜ未満の親和性を有する。他の実施形態では、ここで開示された化合物は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約0.5μΜ未満の親和性を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ここで開示された化合物のα異性体は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約10μΜ未満の親和性を有する。いくつかの実施形態では、ここで開示された化合物のα異性体は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約2μΜ未満の親和性を有する。他の実施形態では、ここで開示された化合物のα異性体は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約0.5μΜ未満の親和性を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ここで開示された化合物のα異性体は、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して、ここで開示された化合物のβ異性体よりも大きな親和性を有する。
【0052】
〔化合物の調製〕
式(I)の化合物は、概して、有機化学の当業者に周知の方法によって調製することができる。スキーム1に示すように、既知の合成法で作製し得る化合物Aをアミノ化合物で処理して、中間体としてイミノ化合物Bを提供し、これを還元して、所望の化合物Cを得ることができる。
【化31】

【0053】
あるいは、スキーム2に示すように、中間体としてのヒドロキシルアミン付加物のin
situ還元によってアミンB’を得、これを、遷移金属化学を利用してクロスカップリング(例えば、ハロゲン化フェニルとクロスカップリング)させて化合物C’を得ることもできる。当業者にはわかるように、アミンB’をハロゲン化アリールおよびハロゲン化ヘテロアリールとクロスカップリングさせることもできる。
【化32】

【0054】
〔医薬組成物およびその投与方法〕
ここで提供される医薬組成物は、ここに記載された疾患または障害の1つまたは複数の症状の予防、治療、または改善に有用であってここで提供される1つまたは複数の化合物の治療有効量と、薬学的に許容し得るビヒクルとを含有する。ここで提供される化合物の投与に好適な医薬ビヒクルとしては、特定の投与様式に好適であることが当業者に知られている任意の担体等が挙げられる。
【0055】
さらに、上記化合物を、組成物中の唯一の医薬活性成分として処方してもよく、また他の活性成分と組み合わせてもよい。
【0056】
組成物は、ここで提供される1つまたは複数の化合物を含む。この化合物は、いくつかの実施形態において、経口投与のための液剤、懸濁剤、錠剤、分散性錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤もしくはエリキシル剤に処方され、あるいは非経口投与、ならびに局所(topic)投与、経皮投与およびネブライザー、加圧式定量吸入器および乾燥粉末吸入器による吸入投与のための滅菌液剤もしくは懸濁剤などの好適な医薬調製物に処方される。いくつかの実施形態では、上述の化合物は、当該技術分野で周知の技術および手順を用いて、医薬組成物に処方される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,第17版(1999)を参照されたい)。
【0057】
ここに開示される組成物は、有効濃度の1つまたは複数の化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体と、好適な医薬担体との混合物である。化合物は、上述のように、処方の前に、対応する塩、エステル、エノールエーテルもしくはエノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、イオン対、水和物またはプロドラッグへと誘導体化することができる。組成物中における化合物の濃度は、治療対象に投与したときに、ここに記載した疾患または障害の1つまたは複数の症状を治療、予防、または改善する量の送達に有効である。いくつかの実施形態では、該組成物を、1回の投与用に処方する。組成物の処方においては、所定の重量分率の化合物が、治療される疾病が緩和されるか、予防されるか、または1つまたは複数の症状が改善されるような有効濃度で、選択されたビヒクルに溶解されるか、懸濁されるか、分散させられるか、または別の方法で混合される。
【0058】
活性化合物は、治療される患者に対する望ましくない副作用の非存在下で治療に有用な効果を発揮するのに十分な量で、薬学的に許容し得るビヒクルに含有される。治療有効濃度は、当業者に周知のin vitro およびin vivoの系で化合物を試験することによって実験的に決定した後、そこからヒトに対する投薬量を推定することができる。次に、通常、ヒト用量を臨床試験で微調整し、応答に合せて調節する。
【0059】
医薬組成物中における活性化合物の濃度は、その活性化合物の吸収、不活性化および排出速度、その化合物の物理化学的特性、投薬スケジュール、および投与量、ならびに当業者に公知の他の因子に依存する。例えば、送達される量は、ここに記載された疾患または障害の1つまたは複数の症状を改善するのに十分である。
【0060】
いくつかの実施形態では、治療に有効な投薬量は、活性成分の血清濃度が約0.001ng/mlから約50〜200μg/mlとなるように調整される。他の実施形態では、医薬組成物の投薬量は、1日に体重1kg当たり約0.0001mg〜約70mgの化合物が提供されるように調整される。医薬投与単位形態は、投与単位形態当たり約0.01mg、0.1mgまたは1mgから約500mg、1000mgまたは5000mg、およびいくつかの実施形態では、約10mg〜約500mgの活性成分もしくは基本成分の組合せが提供されるように調製される。
【0061】
活性成分は、1回で投与することができ、または、少量づつ数回に分割して、時間間隔をあけて投与してもよい。正確な投薬量や治療期間は、治療される疾患の関数であり、既知の試験プロトコルを用いて実験的に、またはin vivoもしくはin vitroの試験データもしくはその後の臨床試験からの推定によって決定することができる。濃度と投薬量の値は、軽減されるべき疾病の重症度によっても異なり得る。任意の特定の対象にとって、具体的な投薬レジメン(regimen)は、個々のニーズや、組成物の投与を管理および監督する人の専門的判断に従って経時的に調整すべきものである。また、ここに示した濃度範囲は、単なる例示であって、特許請求された組成物の範囲または実施を限定するものではない。
【0062】
化合物の溶解性が不十分である場合には、リポソーム、プロドラッグ、錯化/キレート化、ナノ粒子、またはエマルジョンもしくは三次元テンプレーティングの使用などの、化合物を可溶化する方法を用いることができる。そのような方法は当業者に公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤もしくは表面修飾物質の使用、またはイオン化促進による溶解(すなわち、重炭酸ナトリウム水溶液への溶解)を含むが、これらに限定されない。有効な医薬組成物を処方するために、化合物の誘導体、例えば該化合物のプロドラッグなどを用いることもできる。
【0063】
化合物の混合または添加により得られる混合物の形態は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得る。得られる混合物の形態は、意図される投与様式および選択されるビヒクル中における化合物の溶解性等の、いくつかの要因によって決定される。有効濃度とは、治療される疾患、障害または疾病の症状を改善するのに十分な濃度であって、実験的に決定することができる。
【0064】
ヒトおよび動物に単位剤形で投与され、好適な分量の化合物もしくはその薬学的に許容し得る誘導体を含有する医薬組成物が提供される。単位剤形は、例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)、加圧式定量吸入器(pMDI)、ネブライザー、錠剤、カプセル剤、丸剤、舌下用テープ/生体侵食性ストリップ、錠剤もしくはカプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、ローション剤、軟膏剤、坐剤、速溶剤、経皮パッチもしくは他の経皮適用装置/調製物、滅菌非経口液剤もしくは懸濁剤、および経口液剤もしくは懸濁剤、ならびに油−水乳剤などである。医薬的治療活性化合物およびその誘導体は、いくつかの実施形態では、単位剤形または複数回剤形で処方および投与される。本明細書において、単位用量形態とは、ヒトおよび動物対象に好適であり、かつ当技術分野で知られているように個別に包装された、物理的に別個の単位を指す。各々の単位用量は、必要とされる医薬ビヒクルと関連して、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定の分量の治療活性化合物を含有する。単位用量形態の例としては、アンプルおよびシリンジおよび個別包装された錠剤またはカプセル剤が挙げられる。単位用量形態は、その分数または倍数で投与され得る。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与されるように単一の容器に包装された、複数の同一の単位剤形である。複数用量形態の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶またはパイント瓶もしくはガロン瓶が挙げられる。したがって、複数用量形態は、パッケージでは分離されていない複数の単位用量である。
【0065】
医薬として投与可能な液体組成物は、例えば、上で定義された活性化合物と、任意の医薬アジュバントとを、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどのようなビヒクル中で溶解させるか、分散させるか、または別の方法で混合し、それによって、溶液もしくは懸濁液、コロイド状分散液、エマルジョンまたはリポソーム製剤を形成させることによって調製することができる。所望により、投与すべき医薬組成物は、さらに、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など、例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート、およびそのような作用を有する他の剤などの、少量の非毒性補助物質を含み得る。
【0066】
そのような剤形に調製する実際の方法は公知であるか、または当業者に明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,第15版,1975またはその後の版を参照されたい。
【0067】
剤形または組成物は、0.005%〜100%の範囲の活性成分を含み、残りはビヒクルまたは担体で構成されるように調製することができる。こうした組成物の調製方法は、当業者に公知である。企図される組成物は、0.001%〜100%(一実施形態では0.1〜95%、別の実施形態では0.4〜10%)の活性成分を含むことができる。
【0068】
ある実施形態では、組成物は、当技術分野で周知であって例えば米国薬局方(USP)25−NF20(2002)に記載されている賦形剤を含む、ラクトースフリーの組成物である。一般に、ラクトースフリー組成物は、医薬適合性があって薬学的に許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤を含む。特定のラクトースフリー剤形は、活性成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0069】
さらに、活性成分を含む無水医薬組成物および剤形が提供される。水は、一部の化合物の分解を促進することがあるためである。例えば、製剤の貯蔵寿命または経時的な安定性などの特性を判定するために長期保存をシミュレートする手段として、水(例えば5%)を添加することは、医薬分野において広く認められている。例えば、Jens T.Carstensen,Drug Stability:Principles & Practice,第2版,Marcel Dekker,NY,NY,1995,pp.379−80を参照されたい。実際、水および熱は、一部の化合物の分解を加速させる。このように、製剤に対する水の影響は極めて大きい可能性があるが、それは、製剤の製造、取扱い、包装、貯蔵、輸送、および使用中に、水分および/または湿気に曝されることが多いからである。
【0070】
ここで提供される無水の医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分と、低水分または低湿度条件とを用いて調製することができる。
【0071】
無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように製造および貯蔵するべきである。したがって、無水の組成物は、好適な製剤キットに含めることができるように、通常は、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装されていることが好ましい。好適な包装の例として、密封されたホイル、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
経口医薬剤形は、固体、ゲルまたは液体のいずれかの形態である。固体の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、および混合散剤(bulk powder)が挙げられる。経口錠剤の種類としては、圧縮成型したチュワブルロゼンジ剤および錠剤が挙げられる。これらは、腸溶性コーティング、糖コーティングまたは膜コーティングされていてもよい。カプセル剤は、硬質のゼラチンカプセルであってもよく、軟質のゼラチンカプセルであってもよい。顆粒剤および散剤は、当業者に公知の他の成分と組み合わせて、非発泡性または発泡性の形態で提供され得る。
【0073】
ある実施形態では、製剤は、例えば、カプセル剤または錠剤などの固体剤形である。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分、またはこれらと性質が類似した化合物の1つもしくは複数を含むことができる:結合剤;滑沢剤;希釈剤;流動促進剤;崩解剤;着色剤;甘味剤;香味剤;湿潤剤;腸溶性コーティング;膜コーティングおよび放出修飾剤。結合剤の例としては、微結晶性セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アラビアゴム漿、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリドン、ポビドン、クロスポビドン、スクロースならびにデンプンおよびデンプン誘導体が挙げられる。滑沢剤の例としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム/カルシウム、石松子およびステアリン酸が挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよび第二リン酸カルシウムが挙げられる。流動促進剤としては、限定されるものではないが、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメローセナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、例えば、認可された水溶性FD色素およびC色素、これらの混合物;ならびにアルミナ白の上で懸濁された水不溶性のFD色素およびC色素、ならびに当業者に公知の改良着色料または偽造防止色/乳白色添加剤が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、およびサッカリンなどの人工甘味剤、ならびに任意の数のスプレードライ香料が挙げられる。香味剤としては、植物、例えば、果実から抽出した天然香料、ならびに限定されるものではないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチルなどの、心地良い感覚を生み出すかまたは不快な味をマスクする化合物の合成ブレンドが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。腸溶性コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア処理したセラックおよびセルロースアセテートフタレートが挙げられる。膜コーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000およびセルロースアセテートフタレートが挙げられる。放出修飾剤としては、Eudragit(登録商標)シリーズおよびセルロースエステルなどのポリマーが挙げられる。
【0074】
化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体は、それらを胃の酸性環境から保護する組成物の形態で提供され得る。組成物は、例えば、胃の中ではそのままの形態を維持し、腸で活性化合物を放出するような腸溶性コーティングを用いて処方することができる。また、組成物は、制酸剤または他のそのような成分と組み合わせて処方してもよい。
【0075】
投薬単位形態(dosage unit form)がカプセル剤である場合、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含むことができる。さらに、投薬単位形態は、例えば、糖および他の腸溶性作用剤のコーティングなどの、投薬単位の物理的形態を修飾する様々な他の材料を含むことができる。化合物は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、スプリンクル、チューインガムなどの成分として投与することもできる。シロップは、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロースならびに特定の保存料、色素、着色料および香料を含むことができる。
【0076】
活性材料は、所望の作用を損なわない他の活性材料、または所望の作用を補う材料、例えば、制酸剤、H2ブロッカー、および利尿薬と混合することもできる。活性成分は、ここに記載された化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体である。活性成分は、高濃度(最大約98重量%)で含まれてもよい。
【0077】
全ての実施形態において、錠剤およびカプセル剤製剤は、活性成分の溶解を制御するかまたは持続させるために、当業者に知られているようにコーティングしてもよい。したがって、例えば、従来公知のサリチル酸フェニル、ワックスおよびセルロースアセテートフタレートなどの、腸で消化されるコーティングでコートされていてもよい。
【0078】
液体経口剤形としては、水性液剤、乳剤、懸濁剤、非発泡性顆粒から再構成された(reconstituted)液剤および/または懸濁剤、ならびにび発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物が挙げられる。水性液剤としては、例えば、エリキシル剤およびシロップ剤が挙げられる。乳剤は、水中油型または油中水型のいずれかである。
【0079】
エリキシル剤は、透明で甘みのある含水アルコール調製物である。エリキシル剤に使用される薬学的に許容し得るビヒクルとしては、溶媒が挙げられる。シロップ剤は、例えば、スクロースのような糖の濃縮水溶液であり、保存料を含んでいてもよい。乳剤は、1つの液体が別の液体の全体に微小球の形態で分散した二相系である。乳剤に使用される薬学的に許容し得る担体は、非水系液体、乳化剤および保存料である。懸濁剤には、薬学的に許容し得る懸濁化剤および保存料が用いられる。液体経口剤形に再構成されるべき非発泡性顆粒に使用される薬学的に許容し得る物質としては、希釈剤、甘味剤および湿潤剤が挙げられる。液体経口剤形へと再構成されるべき発泡性顆粒に使用される薬学的に許容し得る物質としては、有機酸および二酸化炭素源が挙げられる。上記の剤形の全てに着色剤および香味剤が使用される。
【0080】
溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが挙げられる。保存料の例としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。乳剤に使用される非水系液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。乳化剤の例としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガムおよびアカシアが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、シロップ、グリセリン、およびサッカリンなどの人工甘味剤が挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、認可された水溶性FD色素およびC色素、ならびにこれらの混合物が挙げられる。香味剤としては、植物、例えば、果実から抽出した天然香料、および心地よい味覚を生み出す化合物の合成ブレンドが挙げられる。
【0081】
固体剤形の場合、いくつかの実施形態では、例えば、プロピレンカーボネート、植物油またはトリグリセリド中の液剤または懸濁剤がゼラチンカプセル中に封入される。そのような溶液、ならびにその調製および封入は、米国特許第4,328,245号明細書;同第4,409,239号明細書;および同第4,410,545号明細書に開示されている。液体剤形の場合、溶液(例えば、ポリエチレングリコール中の溶液)は、投与の際の計量が容易になるように、十分な分量の薬学的に許容し得る液体ビヒクル(例えば水)で希釈されてもよい。
【0082】
液体または半固体の経口製剤は、活性化合物または塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えばプロピレンカーボネート)および他のそのような担体に溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を硬質または軟質のゼラチンカプセルシェルの中に封入することによって調製してもよい。他の有用な製剤としては、米国再発行特許第28,819号明細書および米国特許第4,358,603号明細書に示されている製剤が挙げられる。簡潔に述べると、そのような製剤は、ここで提供される化合物と、限定されるものではないが、1,2−ジメトキシメタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテルおよびポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(ここで、350、550および750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を指す)などのジアルキル化モノまたはポリアルキレングルコールと、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートなどの1つまたは複数の酸化防止剤と、を含む製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
他の製剤としては、薬学的に許容し得るアセタールを含む水性アルコール溶液が挙げられるが、これらに限定されない。こうした製剤に使用されるアルコールは、限定されるものではないが、プロピレングリコールおよびエタノールを含む、1つまたは複数のヒドロキシル基を有する任意の薬学的に許容し得る水混和性溶媒である。アセタールとしては、アセトアルデヒドジエチルアセタールなどの低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書で企図されるいくつかの実施形態では、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかへの注射によって、該化合物を非経口投与する。注射液は、液体の溶液もしくは懸濁液として、または注射前の液体中での溶解もしくは懸濁に好適な固体形態として、あるいはエマルジョンとして、通常の形態で調製することができる。注射液、溶液およびエマルジョンは、1つまたは複数の賦形剤を含むこともできる。好適な賦形剤としては、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールが挙げられる。投与されるべき医薬組成物は、所望により、さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性向上剤、および他のそのような作用剤(例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートおよびシクロデキストリン)などの少量の非毒性補助物質も含み得る。
【0085】
ここに開示される投与方法には、一定レベルの投薬量を維持する遅延放出系または持続放出系を埋め込むこと(implantation)(例えば、米国特許第3,710,795号明細書参照)が包含される。簡潔に述べると、体液に溶けない外側高分子膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、塩化ビニルと塩化ビニリデンとのコポリマー、塩化ビニルとエチレンとのコポリマーおよび塩化ビニルとプロピレンとのコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー)で囲まれた固体の内部マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸やメタクリル酸のエステルのヒドロゲル)、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび架橋された部分加水分解ポリ酢酸ビニル)に、ここで提供される化合物を分散させる。上記化合物は、放出速度を制御する段階において、外側高分子膜を通って拡散する。そのような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質、ならびに化合物の活性および対象のニーズに大きく左右される。
【0086】
組成物の非経口投与としては、静脈内投与、皮下投与および筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用の調製物としては、注射用滅菌溶液、使用直前に溶媒と混合し得る凍結乾燥粉末などの可溶性滅菌乾燥生成物(皮下注射用の錠剤を含む)、注射用滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと混合し得る不溶性滅菌乾燥生成物、および滅菌エマルジョンが挙げられる。溶液は、水性および非水性のいずれかであり得る。
【0087】
静脈内投与する場合、好適な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールならびにこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0088】
非経口調製物に用いられる薬学的に許容し得るビヒクルとしては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、部分麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤ならびに他の薬学的に許容し得る物質が挙げられる。
【0089】
水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、ブドウ糖および乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。非水性ビヒクルの例としては、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油および落花生油が挙げられる。複数用量容器に包装された非経口調製物には、静菌性または静真菌性の濃度の抗微生物剤(フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステルおよびプロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムを含有する)が添加される。等張剤としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。酸化防止剤としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。部分麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(Tween(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤としてはEDTAが挙げられる。医薬担体としては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も挙げられる。
【0090】
医薬活性化合物の濃度は、注射により有効量が提供されて所望の薬理効果が得られるように調整される。正確な用量は、当技術分野で知られているように、患者または動物の年齢、体重、体表面積および状態に依存する。
【0091】
単位用量非経口調製物は、アンプル、バイアルまたは針付き注射器に包装することができる。非経口投与用の調製物は全て、当技術分野で知られ、実施されているように、滅菌されていなければならない。
【0092】
一例として、活性化合物を含む滅菌水溶液の静脈内または動脈内への注入は、有効な投与様式である。別の実施形態は、所望の薬理学的効果をもたらすために必要に応じて注射される活性材料を含む、滅菌水性溶液もしくは懸濁液、または滅菌油性溶液もしくは懸濁液である。
【0093】
注射液は、部分(local)投与および全身投与用に設計される。一実施形態では、治療上有効な投薬量は、治療される組織に対して、少なくとも約0.01%w/wから最大約90%w/wまたはそれを上回る濃度の、特定の実施形態では0.1%w/wを上回る濃度の活性化合物を含むように処方される。
【0094】
化合物は、微粉化された形態もしくは他の好適な形態で懸濁してもよく、またはより可溶性の高い活性生成物を生成するかもしくはプロドラッグを生成するように誘導体化してもよい。得られる混合物の形態は、意図される投与様式や、選択された担体またはビヒクル中における化合物の溶解度を含む、いくつかの因子によって決まる。有効濃度は、疾病の症状を改善するのに十分な濃度であって、実験的に決定することができる。
【0095】
ここで提供される活性成分は、当業者に周知の、制御された放出手段または送達装置で投与することができる。例としては、米国特許第3,845,770号明細書;同第3,916,899号明細書;同第3,536,809号明細書;同第3,598,123号明細書;同第4,008,719号明細書;同第5,674,533号明細書;同第5,059,595号明細書;同第5,591,767号明細書;同第5,120,548号明細書;同第5,073,543号明細書;同第5,639,476号明細書;同第5,354,556号明細書;同第5,639,480号明細書;同第5,733,566号明細書;同第5,739,108号明細書;同第5,891,474号明細書;同第5,922,356号明細書;同第5,972,891号明細書;同第5,980,945号明細書;同第5,993,855号明細書;同第6,045,830号明細書;同第6,087,324号明細書;同第6,113,943号明細書;同第6,197,350号明細書;同第6,248,363号明細書;同第6,264,970号明細書;同第6,267,981号明細書;同第6,376,461号明細書;同第6,419,961号明細書;同第6,589,548号明細書;同第6,613,358号明細書;同第6,699,500号明細書および同第6,740,634号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、微小球、またはこれらの組合せを用いて、1種または複数種の活性成分の放出速度を低下させる等、放出速度を調節し、様々な比率の所望の放出プロファイルを提供することができる。ここで開示される活性成分を使用する際には、ここに記載されているものを含む、当業者に公知の放出制御製剤を容易に選択することができる。
【0096】
制御放出医薬品は、いずれも、対応する非制御型の製剤よりも薬物療法を改善するために用いられる。最適に設計された放出制御製剤の使用により、最小限の薬剤物質により短時間で疾病を治癒または制御することができる。制御放出製剤の利点としては、薬物の活性延長、投薬頻度の減少、および患者コンプライアンスの向上が挙げられる。さらに、放出制御製剤を用いることにより、作用の発現時間、または薬物の血中レベルなどの他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0097】
ほとんどの放出制御製剤は、所望の治療効果を素早く生み出す量の薬物(活性成分)を最初に放出し、そして、残りの量の薬物を徐々にかつ継続的に放出して治療効果または予防効果を長期間にわたって維持するように設計されている。体内での薬物濃度を一定に維持するために、薬物は、代謝されて体から排出される薬物の量を補う速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、pH、温度、酵素、水、または他の生理的条件または化合物を含むがこれらに限定されない様々な条件によって刺激することができる。
【0098】
特定の実施形態では、薬剤は、静脈内注入、埋込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を用いて投与し得る。いくつかの実施形態では、ポンプを用いてもよい(Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al,Surgery 88:507(1980);Saudek et al,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照されたい)。他の実施形態では、ポリマー材料を用いることができる。他の実施形態では、制御放出システムは治療標的の近くに配置することができる。すなわち、必要とされるのは全身投与量の一部のみである(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,第2巻,pp.115−138(1984)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、制御放出装置は、不適切な免疫活性化の部位または腫瘍の近くにおいて対象に導入される。他の制御放出システムは、Langer(Science 249:1527−1533(1990))の総説で考察されている。活性成分は、体液に溶けない外側高分子膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、塩化ビニルと塩化ビニリデンとのコポリマー、塩化ビニルとエチレンとのコポリマーおよび塩化ビニルとプロピレンとのコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー)で囲まれた固体の内部マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸やメタクリル酸のエステルのヒドロゲル)、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび架橋された部分的加水分解ポリ酢酸ビニル)に分散させることができる。その後、活性成分は、放出速度を制御する段階において、外側高分子膜を通って拡散する。そのような非経口組成物に含まれる活性成分の割合は、その特定の性質、および対象のニーズに大きく左右される。
【0099】
他の目的として、投与のための溶液、エマルジョンおよび他の混合物として再構成できる凍結乾燥粉末であってもよい。また、それらを固体またはゲルとして再構成および処方してもよい。
【0100】
滅菌凍結乾燥粉末は、ここで提供される化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体を、好適な溶媒に溶解させることによって調製される。かかる溶媒は、粉末または粉末から調製された再構成溶液の安定性または他の薬理学的要素を向上させる賦形剤を含んでいてもよい。使用し得る賦形剤としては、酸化防止剤、緩衝剤および増量剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、賦形剤は、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースおよび他の好適な剤から選択される。溶媒は、ほぼ中性のpHで、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム緩衝剤、または当業者に公知の他のそのような緩衝剤を含み得る。その後、溶液を滅菌濾過し、次いで当業者に公知の標準的な条件下で凍結乾燥することによって、所望の製剤が提供される。いくつかの実施形態では、得られた溶液を複数の凍結乾燥用バイアルに分配する。各バイアルは、単回投薬量または複数回投薬量の化合物を含む。かかる凍結乾燥粉末は、適切な条件下、例えば、約4℃〜室温で保存することができる。
【0101】
この凍結乾燥粉末を注射用水で再構成(reconstruction)することにより、非経口投与に用いられる製剤が提供される。再構成の際には、凍結乾燥粉末を、滅菌水または他の好適な担体に添加する。正確な量は、選択した化合物によっても異なり、実験的に決定することができる。
【0102】
局所用混合物は、上述した部分投与および全身投与と同様にして調製される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであってもよく、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、乳剤、液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、エアゾール剤、潅注剤、スプレー剤、坐剤、包帯剤、皮膚パッチ剤または局所投与に好適な任意の他の製剤として処方される。
【0103】
化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体は、例えば、吸入による局所適用のためのエアゾール剤として処方されてもよい。例えば、炎症性疾患(特に喘息)の治療に有用なステロイドを送達するためのエアゾール剤を記載している、米国特許第4,044,126号明細書、同第4,414,209号明細書、および同第4,364,923号明細書を参照されたい。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせたネブライザー用のエアゾール剤や液剤の形態であってもよく、吹送用の微粉末の形態であってもよい。かかる製剤の粒子は、いくつかの実施形態では質量中央幾何学径が5ミクロン未満であり、他の実施形態では質量中央幾何学径が10ミクロン未満である。
【0104】
化合物は、部分適用または局所適用のために、例えば皮膚および粘膜(例えば眼内)への局所適用のために、例えば、ゲル剤、クリーム剤、およびローション剤の形態で処方してもよく、また眼への適用のため、または嚢内もしくは脊髄内適用のために処方してもよい。局所投与により、経皮送達、眼や粘膜への投与、または吸入治療を行い得る。活性化合物は、単独で、または他の薬学的に許容し得る賦形剤と組み合わせた点鼻液として投与することもできる。
【0105】
鼻腔内投与の場合、調製物は、エアゾール剤適用のための液体担体(特に水性担体)に溶解または懸濁されたエステル化ホスホン酸化合物を含み得る。該担体は、プロピレングリコールなどの可溶化剤、界面活性剤、レシチンもしくはシクロデキストリンなどの吸収促進剤、または防腐剤を含んでいてもよい。
【0106】
これらの溶液(特に眼科用の溶液)は、適切な塩を含む、pHが約5〜7.4であって0.01%〜10%の等張溶液として処方することができる。
【0107】
イオン泳動装置や電気泳動装置を含む経皮パッチ、ならびに直腸投与などの他の投与経路も、本明細書の意図に含まれる。
【0108】
イオン泳動装置や電気泳動装置を含む経皮パッチは、当業者に周知である。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号明細書、同第6,261,595号明細書、同第6,256,533号明細書、同第6,167,301号明細書、同第6,024,975号明細書、同第6,010715号明細書、同第5,985,317号明細書、同第5,983,134号明細書、同第5,948,433号明細書、同第5,860,957号明細書に開示されている。
【0109】
直腸投与用医薬剤形は、例えば、全身効果用の直腸用坐剤、カプセル剤および錠剤である。直腸用坐剤は、ここでは、体温で溶けるかまたは軟化して、1種または複数種の薬理学的または治療的活性成分を放出する直腸挿入用固体を意味する。直腸用坐剤に用いられる薬学的に許容し得る物質は、基剤またはビヒクルおよび融点を上昇させる剤である。基剤の例としては、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)および脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基剤の組合せを使用し得る。坐剤の融点を上昇させる剤としては、鯨ろうおよびワックスが挙げられる。直腸用坐剤は、圧縮法によるか、または成型法によって調製し得る。直腸用坐剤の重量は、一実施形態では、約2〜3gである。直腸投与用の錠剤およびカプセル剤は、経口投与用製剤と同様の薬学的に許容し得る物質を用いて、かつ経口投与用製剤と同様の手法で製造される。
【0110】
ここで提供される化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体は、特定の組織、受容体、または治療されるべき対象の体の他の部分に標的されるように処方され得る。そのような標的化方法は当業者に周知である。かかる標的化方法は、いずれも、本組成物に使用することができる。標的化方法としては、特に限定されないが、例えば、米国特許第6,316,652号明細書、同第6,274,552号明細書、同第6,271,359号明細書、同第6,253,872号明細書、同第6,139,865号明細書、同第6,131,570号明細書、同第6,120,751号明細書、同第6,071,495号明細書、同第6,060,082号明細書、同第6,048,736号明細書、同第6,039,975号明細書、同第6,004,534号明細書、同第5,985,307号明細書、同第5,972,366号明細書、同第5,900,252号明細書、同第5,840,674号明細書、同第5,759,542号明細書、同第5,709,874号明細書を参照されたい。
【0111】
いくつかの実施形態では、組織に標的されるリポソーム(例えば腫瘍に標的されるリポソーム)を含むリポソーム懸濁液も、薬学的に許容し得る担体として好適であり得る。これらは、当業者に公知の方法に従って調製することができる。例えば、リポソーム製剤を、米国特許第4,522,811号明細書の記載に基づいて調製してもよい。より具体的には、多層小胞(MLV)などのリポソームは、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリン(モル比7:3)をフラスコ内部で乾燥(drying down)させることによって形成され得る。二価のカチオンを欠くリン酸緩衝食塩水(PBS)中に本明細書で提供される化合物を含む溶液を添加し、脂質膜が分散されるまで上記フラスコを振盪する。得られた小胞を洗浄して、封入されていない化合物を除去し、遠心分離によってペレットにし、その後、PBSに再懸濁する。
【0112】
化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体は、製品として包装(パッケージ化)してもよい。その製品は、包装材料を含み、その包装材料内に、ここで提供される化合物またはその薬学的に許容し得る誘導体であって上述した疾患または障害の1つ以上の症状の治療、予防または改善に有効なものを有し、そして、上記化合物もしくは組成物またはその薬学的に許容し得る誘導体が上述した疾患または障害の1つまたは複数の症状の治療、予防または改善に用いられることを示すラベルを含み得る。
【0113】
ここで提供される製品は、包装材料を含む。医薬品の包装に用いられる包装材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号明細書、同第5,052,558号明細書および同第5,033,252号明細書を参照されたい。医薬包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、ボトル、ならびに選択された製剤および意図される投与および治療の様式に好適な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。ここで提供される化合物および組成物は、ここに記載された任意の疾患または障害の種々の治療のために、多様形態の製剤であり得る。
【0114】
〔投薬量〕
ヒトの治療では、医師は、予防的治療か治癒的治療かによって、また年齢、体重、疾患の段階および治療されるべき対象に特異的な他の因子によって、最も適切な投薬レジメンを決定する。医薬組成物の投薬量は、ある実施形態では、1日に体重1キログラム当たり約0.0001mg〜約70mgの化合物が提供されるようにすべきである。医薬投薬単位形態は、投薬単位形態当たり、約0.01mg、0.1mgまたは1mgから、約500mg、1000mgまたは5000mgまで(いくつかの実施形態では、約10mgから約500mgまで)の活性成分または基本成分の組合せを提供するように調製される。ここで提供される製剤中の活性成分の、障害またはその症状の1つもしくは複数の予防または治療に有効な量は、疾患または疾病の性質および重症度、ならびに活性成分が投与される経路によって異なる。頻度および投薬量もまた、投与される具体的な治療(例えば、治療剤か予防剤か)、障害、疾患、または疾病の重症度、投与経路、ならびに対象の年齢、身体、体重、応答、および過去の病歴に応じた、各々の対象に特異的な因子によって異なる。
【0115】
製剤の例示的な用量として、対象または試料の重量1キログラム当たり、ミリグラムオーダーまたはマイクログラムオーダー(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約50ミリグラム、1キログラム当たり約10マイクログラム〜1キログラム当たり約30ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約10ミリグラム、または1キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約5ミリグラム)の活性化合物を含む用量が挙げられる。
【0116】
当業者には明らかなように、場合によっては、上記範囲外の活性成分の投薬量を採用し得る。さらに、臨床医または治療医師は、対象の応答に合わせて、治療をどのようにしていつ中断、調整、または終了するかを調整し得る。
【0117】
当業者には明らかなように、異なる疾患および疾病には、異なる治療有効量が適用され得る。上記の投薬量および投与頻度スケジュールは、障害を予防、管理、治療または改善するのに十分であるが、ここで関連する副作用を引き起こすには至らない、または副作用が軽減されるように決定され得る。さらに、ここで提供される組成物が対象に複数回投薬される場合、各回の投薬量は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、対象に投与される投薬量を、組成物の予防的もしくは治療的効果を高めるように増大させてもよいし、1つまたは複数の副作用を軽減するように減少させてもよい。
【0118】
ここで提供される同じ製剤の投与は繰り返して行ってもよく、例えば、各投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または6カ月の間隔をあけて行うことができる。
【0119】
〔化合物および組成物の使用方法〕
本明細書によると、また、例えば、薬物中毒(例えば、コカイン中毒、アヘン中毒(例えば、ヘロイン、モルヒネ、オキシコンチン、トラムドールなど)、アンフェタミン(例えば、メタンフェタミン、デキセドリン、MDMAなど)、ニコチン中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、またはこれらの組合せや類似する症状)、疼痛、神経変性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、および精神障害(例えば、統合失調症)などの医学的障害を治療、予防、または改善する方法が提供される。本方法を実施する際には、有効量の化合物または該化合物を治療有効濃度で含む組成物を投与する。
【0120】
いくつかの実施形態では、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を調節する方法が、本明細書により提供される。他の実施形態として、例えば、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体などの受容体をアンタゴナイズする方法も、本明細書により提供される。さらに他の実施形態では、式(I)で表される化合物は、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約200倍を超えて選択的である。さらに他の実施形態では、式(I)で表される化合物は、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約100倍を超えて選択的である。さらに他の実施形態では、式(I)で表される化合物は、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して50倍を超えて選択的である。さらに他の実施形態では、式(I)で表される化合物は、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して10倍を超えて選択的である。本方法を実施する際は、ここに記載した化合物または組成物の治療有効量を投与する。
【0121】
〔併用療法〕
ここに開示された化合物および組成物はまた、1種または複数種の他の活性成分と組み合わせて用いてもよい。特定の実施形態において、該化合物を、別の治療剤と組み合わせて、または別の治療剤と連続的に投与してもよい。そのような他の治療剤としては、薬物中毒、疼痛、神経変性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、および精神障害(例えば、統合失調症)と関連する1つまたは複数の症状を治療、予防、または改善することが知られている薬剤が挙げられる。
【0122】
ここで提供される化合物および組成物は、1つまたは複数の上記の治療剤、および場合により1つまたは複数のさらなる薬理学的活性物質と任意に組み合わせることができ、そのような組合せも本開示の範囲内に包含される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のさらなる活性成分の前に、または1つまたは複数のさらなる活性成分の後に、ここに開示される化合物および組成物を投与する。
【0123】
ここで提供される化合物および組成物の任意の組合せを他の薬剤とともに用いて、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体をアンタゴナイズすることもできる。
【0124】
最後に、本発明を実施する別の方法が存在することに留意すべきである。したがって、ここに開示される実施形態は、あくまでも例示であって、本発明を限定するものではない。本発明は、ここで開示された細部には限定されず、特許請求の範囲およびこれと均等な範囲内で適宜変更することもできる。
【0125】
本明細書に引用された刊行物および特許は全て、その全体が参照により援用される。
【0126】
以下の実施例は、単に例示を目的として提供されるのであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0127】
〔概要〕
H NMRスペクトルは、クロロホルム(δ7.27)を内部標準として、Varian Gemini 300MHz分光計(それぞれ、300MHzおよび75MHz)で記録した。H NMRのデータは、以下のように報告される:化学シフト(δppm)、多重度(s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項)、カップリング定数(Hz)、積分値、および帰属。質量スペクトルは、ThermoFinnigan LCQ Duo LC/MS/MS装置およびエレクトロスプレーイオン化プローブを用いて得た。薄層クロマトグラフィーは、Analtech UniplateシリカゲルTLCプレート上で行った。フラッシュクロマトグラフィーは、Merck等級9385、230〜400メッシュのシリカゲルを用いて行った。
【0128】
<実施例1>
【化33】

〔一般的な方法〕
(工程1:9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン(化合物I−1))
250mLのRBフラスコに、9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−オン(10g)、NHOH.HCl(5.26g)、NaOAc.3HO(10.26g)、EtOH(56mL)、およびHO(26mL)を添加した。その混合物を1.5時間還流し、室温に冷却した。溶媒を除去し、残渣を水性KCO(3M)とCHClとの間に分配した。有機相を分離し、水相をCHClで2回抽出した。合わせたCHCl溶液を塩水(brine)で1回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、褐色のオイルにした。これを静置すると、固化した。この固体を500mLのParrフラスコに移した。これに、Raney−Ni(6.2g、湿重量)と、MeOH中にNHを20分間バブリングして作製したNHのMeOH溶液(150mL)とを添加した。この混合物を、40〜45psiのH圧下、室温で18時間水素化した。混合物をCeliteのパッドに通して濾過した。全ての揮発性物質をロータリーエバポレーターで除去した。その残渣にEtOH(50mL)を添加し、その後、蒸発させると、化合物I−1がオイル(9.5g、94%)として得られた。この粗生成物は2つの異性体を含有していた。これをさらに精製することなく用いた。
【0129】
(工程2:置換臭化アリールとのカップリング)
工程1から得られたアミンI−1(1当量)、2−置換ブロモベンゼン(2当量)、Pd(OAc)(2mol%)、rac−BINAP(2mol%)、NaOBu(4当量)およびPhMe(3mL/mmol)をSchlenkフラスコ中で混合し、反応が終了するまで(2〜3時間)、80℃で撹拌した。得られた濃い色の混合物を酢酸エチルと水との間に分配した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで1回抽出した。合わせた酢酸エチル溶液をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、濃い色のオイルにした。これを、DCM/MeOH(10%のNH.HOを含む)(95/5〜90/10)で溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。通常は2つの異性体が得られた。極性がより低い異性体のデータを以下に報告する。
【0130】
N−(2−ブロモフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを51%の収率で泡状固体として得た。R 0.31。H NMR(300MHz,CDCl)δppm 7.40(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.15(ddd,J=8.4,6.9,1.2Hz,1H),6.77(dd,J=8.1,0.9Hz,1H),6.51(ddd,J=7.8,7.5,1.2Hz,1H),4.07(d,J=8.1Hz,1H),4.04−3.84(m,1H),3.08(d,J=10.8Hz,2H),2.64−2.56(m,2H),2.51(s,3H),2.06−1.91(m,3H),1.59−1.47(m,1H),1.24(ddd,J=12.3,7.8,2.7Hz,2H),1.06−0.94(m,2H);MS(ESI)m/z309,311(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオフホワイト色の粉末として得られた。
【0131】
N−(2−クロロフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを55%収率の収率で泡状固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.23(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.11(ddd,J=7.8,7.0,1.6Hz,1H),6.80(dd,J=8.2,1.0Hz,1H),6.57(ddd,J=7.6,7.6,1.2Hz,1H),4.04(d,J=8.4Hz,1H),4.15−3.86(m,1H),3.09(d,J=10.8Hz,2H),2.56(td,J=12.0,6.0Hz,2H),2.51(s,3H),2.08−1.94(m,3H),1.60−1.45(m,1H),1.24(ddd,J=12.4,9.2,3.2Hz,2H),1.06−0.94(m,2H);MS(ESI)m/z265(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオフホワイト色の粉末として得られた。
【0132】
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを41%の収率で泡状固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.32−7.26(m,2H),6.76(d,J=9.2Hz,1H),6.55(ddd,J=7.6,7.6,0.8Hz,1H),4.21(d,J=8.4Hz,1H),4.01(br,1H),3.07(d,J=10.4Hz,2H),2.54−2.42(m,2H),2.45(s,3H),2.00−1.85(m,3H),1.55−1.45(m,1H),1.22(ddd,J=12.4,10.8,3.2Hz,2H),1.04−0.92(m,2H);MS(ESI)m/z256(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオフホワイト色の粉末として得られた。
【0133】
N−(2−ニトロフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを54%の収率でオレンジ色のろう状固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.14(dd,J=8.8,1.6Hz,1H),7.99(d,J=7.2Hz),7.41(ddd,J=7.8,7.8,0.8Hz,1H),7.06(d,J=8.8Hz,1H),6.60(ddd,J=7.8,7.2,1.2Hz,1H),4.22(s,1H),3.22(d,J=10.0Hz,2H),2.70−2.50(m,2H),2.58(s,3H),2.10−1.91(m,3H),1.65−1.50(m,1H),1.41(ddd,J=12.5,11.0,3.0Hz,2H),1.09(s,br,2H);MS(ESI)m/z276(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオレンジ色の結晶として得られた。
【0134】
N−(2−シアノフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを18%の収率で黄色味を帯びた固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.32−7.26(m,2H),6.78(d,J=8.8Hz,1H),6.55(ddd,J=7.6,7.8,0.8Hz,1H),4.20(d,J=8.4Hz,1H),4.04(s,br,1H),3.08(d,J=11.4Hz,2H),2.55−2.43(m,2H),2.47(s,3H),2.10−1.84(m,3H),1.58−1.44(m,1H),1.23(ddd,J=12.6,11.0,3.2Hz,2H),1.05−0.94(m,2H);MS(ESI)m/z256(M+H)
【0135】
(2−((9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−イル)アミノ)フェニル)(フェニル)メタノン:フリーベースを28%の収率で黄色の固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.62(d,J=7.6Hz,1H),7.62−7.57(m,2H),7.53−7.41(m,4H),6.92(d,J=8.4Hz,1H),6.47(ddd,J=7.5,7.0,1.0Hz,1H),4.14−4.01(m,1H),3.11(d,J=11.2Hz,2H),2.65−2.54(m,2H),2.52(s,3H),2.12−1.94(m,3H),1.58−1.48(m,1H),1.38(ddd,J=12.4,10.8,3.2Hz,2H),1.08−0.97(m,2H);MS(ESI)m/z335(M+H)
【0136】
N−(2−ヨードフェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを53%の収率でろう状固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.40(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),7.17(ddd,J=7.8,7.0,1.4Hz,1H),6.70(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),6.39(ddd,J=7.4,7.2,1.6Hz,1H),4.00−3.84(m,2H),3.08(d,J=11.2Hz,2H),2.62−2.49(m,2H),2.50(s,3H),2.08−1.92(m,3H),1.59−1.49(m,1H),1.30−1.20(m,2H),1.05−0.95(m,2H);MS(ESI)m/z357(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩が白色の粉末として得られた。
【0137】
<実施例2>
【化34】

〔一般的な方法〕
(脱メチル化)
DCE(15mL/mmol)中のN−(2−R−フェニル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン(1当量)とNaHCO(10当量)の混合物に、0℃において、1−クロロエチルクロロフォルメート(10〜15当量)を添加した。得られた混合物を一晩還流した。室温に冷却した後、反応混合物をNaCO(2N)に注ぎ入れ、DCM(2×)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾燥させた。その残渣をEtOH(10mL/mmol)に溶解させ、3時間還流した。全ての揮発性物質を除去して粗生成物を得た。この粗材料は、さらに精製することなく、還元アミノ化に使用し得る。DCM/MeOH(10%NH.HO)(95/5〜80/20)で溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにより、純粋な生成物を得た。
【0138】
N−(2−ブロモフェニル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを92%の収率でろう状固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.40(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.15(ddd,J=7.7,7.0,1.4Hz,1H),6.74(dd,J=8.4,1.6Hz,1H),6.53(ddd,J=7.5,7.4,1.4Hz,1H),4.07(d,J=8.0Hz,1H),3.73−3.60(m,1H),3.44−3.35(m,2H),2.50−2.36(m,2H),1.98(qt,J=13.2,4.6,1H),1.65(tt,J=13.0,4.4,2H),1.60−1.50(m,1H),1.48−1.39(m,2H),1.16(ddd,J=12.7,12.0,3.6Hz,2H);MS(ESI)m/z295,297(M+H)
【0139】
N−(2−ニトロフェニル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを91%の収率でオレンジ色の固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.16(dd,J=8.6,1.4Hz,1H),7.98(d,br,J=7.2Hz,1H),7.41(ddd,J=7.8,7.2,1.2Hz,1H),6.97(d,J=8.4,1.6Hz,1H),6.60(ddd,J=8.5,7.0,1.4Hz,1H),3.97−3.83(m,1H),3.49−3.38(m,2H),2.53−2.40(m,2H),2.06−1.90(m,1H),1.72−1.53(m,3H),1.52−1.42(m,2H),1.30(ddd,J=12.8,12.0,3.6Hz,2H);MS(ESI)m/z262(M+H)
【0140】
(還元アミノ化)
1,2−ジクロロエタン中のN−(2−R−フェニル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン塩酸塩(1当量)と適当なアルデヒド(1.5〜2.0当量)の混合物に、NaBH(OAc)(2.0〜3.0当量)、およびHOAc(1.0〜2.0当量)を順次添加した。得られた懸濁液を、出発物質たるアミンが消失するまで室温で撹拌した。この混合物を、酢酸エチルとNaHCO(飽和)との間に分配した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで1回抽出した。合わせた酢酸エチル溶液をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、オイルにした。これを、酢酸エチル/ヘキサン(0/100〜30/70)で溶離させるシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。
【0141】
N−(2−ブロモフェニル)−9−シンナミル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを81%の収率で黄色味を帯びたろう状固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 7.44−7.38(m,3H),7.36−7.29(m,2H),7.23(tt,J=7.4,1.6Hz,1H),7.18(ddd,J=7.6,7.2,1.6Hz,1H),6.78(dd,J=8.2,1.4Hz,1H),6.56(d,J=16.0Hz,1H),6.53(ddd,J=7.6,7.2,1.6Hz,1H),6.24(dt,J=16.0,6.4Hz,1H),4.20−3.90(m,1H),3.49(dd,J=6.4,1.6Hz,2H),3.22(d,J=11.2Hz,2H),2.54(ddd,J=12.0,12.0,5.6Hz,2H),2.14−2.00(m,1H),1.94(tt,J=13.2,4.4Hz,2H),1.55(d,J=12.8Hz,1H),1.32−1.22(m,2H),1.18−1.10(m,2H);MS(ESI)m/z411,413(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオフホワイト色の固体として得られた。
【0142】
N−(2−ブロモフェニル)−9−(3−フェニルプロピル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを65%の収率で無色のオイルとして得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.41(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),7.36−7.14(m,6H),6.69(d,J=8.4Hz,1H),6.53(ddd,J=7.6,6.8,1.6Hz,1H),4.06(d,J=8.4Hz,1H),3.90−3.76(m,1H),3.18(d,J=11.2Hz,2H),2.90(t,J=7.6Hz,2H),2.73(t,J=7.6Hz,2H),2.48(td,J=7.8,6.0Hz,2H),2.00(qt,J=13.4,4.0Hz,1H),1.89(tt,J=13.2,4.0Hz,2H),1.52(d,J=13.6Hz,1H),1.23(ddd,J=12.8,11.0,2.8Hz,2H),1.03(d,J=12.4Hz,2H);MS(ESI)m/z399,401(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩が白色の固体として得られた。
【0143】
N−(2−ブロモフェニル)−9−(4−メトキシベンジル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを11%の収率でオイルとして得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 7.33(d,J=8.0Hz,1H),7.21(d,J=8.4Hz,2H),7.11(t,J=7.6Hz,1H),6.80(d,J=8.4Hz,2H),6.68(d,J=8.0Hz,1H),6.44(t,J=7.4Hz,1H),4.08−3.84(m,2H),3.74(s,3H),3.72(s,2H),3.05(d,J=10.8Hz,2H),2.48(td,J=12.0,5.6Hz,2H),2.08−1.83(m,3H),1.49(d,J=12.4Hz,1H),1.26−1.10(m,2H),0.94(d,J=12.0Hz,2H);MS(ESI)m/z415,417(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオフホワイト色の固体として得られた。
【0144】
N−(2−ブロモフェニル)−9−(4−ブロモベンジル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン−3−アミン:フリーベースを61%の収率でオレンジ色の固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.17(d,J=8.8Hz,1H),8.02(d,J=7.6Hz,1H),7.45(d,J=8.4Hz,2H),7.44(t,J=7.2Hz,1H),7.45(d,J=8.4Hz,2H),6.95(d,J=8.4Hz,1H),6.61(t,J=7.6Hz,1H),4.22−4.08(m,1H),3.80(s,2H),3.12(d,J=10.8Hz,2H),2.51(td,J=12.0,6.0Hz,2H),2.12−1.90(m,3H),1.59(d,J=10.0Hz,1H),1.39(ddd,J=12.6,11.2,1.2Hz,2H),1.06(d,J=11.6Hz,2H);MS(ESI)m/z430,432(M+H)。フリーベースをHCl/EtO溶液で処理すると、HCl塩がオレンジ色の固体として得られた。
【0145】
<実施例3:[H]エピバチジンと競合させたリガンドの、α3β4受容体およびα4β2受容体との結合親和性についてのin vitro試験>
H]エピバチジンと競合させた各化合物についてKi±SEMを決定した。化合物の試験は、ラットのα3β4受容体とα4β2受容体をトランスフェクトしたHEK細胞に由来する膜上で行う。具体的な実験を以下に記載する。
【0146】
〔細胞培養〕
KXα3β4R2細胞とKXα4β2R2細胞を、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.5%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび0.4mg/mlのジェネティシン(geneticin)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養する。その細胞を37℃の加湿式インキュベーターにて7.5%COの大気中で維持する。バインディングアッセイのために、細胞を100mmディッシュにプレーティングする。ファンクショナルアッセイのために、細胞を96ウェルのコラーゲンコートプレート(Becton Dickinson Biocoat)に約50,000細胞/ウェルの密度で播種する。この密度で播種された細胞は、増殖して、24〜30時間でコンフルエントな単層になる。
【0147】
〔バインディングアッセイ〕
プレートをラバーポリスマンでこすって細胞を回収し、その後、500×g(2200rpm)で10分間遠心分離する。細胞ペレットをトリスバッファーに懸濁し、ポリトロン型ホモジナイザーでホモジナイズし、20,000×g(13,500rpm)で20分間の遠心分離を2回繰り返す。最後に、細胞を5mlのトリスバッファーに懸濁して、そのタンパク質含有量を決定する。結合させるために、0.3nMの[H]エピバチジンの存在下で、10−5〜10−10Mの範囲の濃度の試験化合物とともに細胞膜をインキュベートする。室温で3時間インキュベートした後、Tomtec細胞ハーベスターを用いて試料をガラス繊維フィルターで濾過し、0.1%ポリエチレンイミン(PEI)にプレソーク(presoak)する。フィルターをベータプレートリーダー(Wallac)でカウントする。0.1μΜの未標識エピバチジンを用いて非特異的結合を決定する。化合物の完全なキャラクタリゼーションには、PRISMプログラムを用いることによるIC50値およびHill係数のデータの解析が含まれる。Ki値は、Cheng Prusoff変換:
【数1】

(ここで、Lは放射性リガンド濃度であり、Kdは、あらかじめ飽和分析により決定された放射性リガンドの結合親和性である)により算出される。ここに開示された化合物は、概して、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して2μMを上回る親和性を有しており、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に比べて、α3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して少なくとも10倍の選択性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表される化合物。
【化1】

ここで、式中、
は、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルまたは−COであり;
は、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
Yは−NRであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキルもしくは置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり;
Xは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;
ただし、RがメチルでありYが−NH−であるとき、Xはフェニルではなく、また、RがHでありYが−NH−であるとき、Xは3−クロロフェニルではなく、かつ式(I)で表される化合物は、N−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1.]ノン−3−イル)−1Hインダゾール−5−アミンを含まない;
なお、前記化合物は、その塩、水和物もしくは溶媒和物を包含する。
【請求項2】
が、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素、アルキルまたは置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、メチル、エチル、
【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がアリールアルキルまたは置換アリールアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、
【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がフェニルまたは置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が−COであり、Rは二置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、
【化5】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Xがフェニルまたは置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Xがo−置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Xが、
【化6】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Xが、m−置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Xが、置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Xが、
【化7】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Xが、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Xが、2−ピリジルまたは3位が−Brもしくは−NOで置換された2−ピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
が、水素、メチル、またはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
が、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COであり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
が、水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
が−COであり、Rが二置換フェニルであり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、水素、メチル、エチル、
【化8】

であり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
が、
【化9】

であり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
が、
【化10】

であり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
が−COであり、Rが、
【化11】

であり、Xが、アリール、ヘテロアリール、フェニル、置換フェニル、o−置換フェニル、m−置換フェニルであり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
が、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルまたは−COであり、Xが、
【化12】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
が、水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Xが、
【化13】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
がアリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、Xが、
【化14】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
が−COであり、Rが二置換フェニルであり、Xが、
【化15】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
が、水素、メチル、エチル、
【化16】

であり、Xが、
【化17】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
が、
【化18】

であり、Xが、
【化19】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
が、
【化20】

であり、Xが、
【化21】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
が−COであり、R
【化22】

であり、Xが、
【化23】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)であり、Yが−NH−または−NCH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
がメチルであり、Yが−NHであり、Xが、
【化24】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CH、−CF、−OCF、−OH、−COt−Bu、−NO、−NH、−COCHまたは−CNである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
がメチルであり、Yが−NHであり、Xが、
【化25】

(式中、Rは、−Cl、−Br、−F、−I、−CF、−OCF、−NOまたは−CNである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
がメチルであり、Yが−NH−であり、Xが、ブロモまたはクロロで置換されたメタフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
がメチルであり、Yが−NCH−であり、Xが、
【化26】

(式中、Rは−Brである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
が水素であり、Yが−NH−であり、Xが、
【化27】

(式中、Rは−NOである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
がメチルであり、Yが−NH−であり、Xが、2−ピリジルまたは5位が−Brもしくは−NOで置換された2−ピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
が、エチル、
【化28】

であり、Yが−NH−であり、Xが、
【化29】

(式中、Rは−Brである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
がメチルであり、Xが2−ブロモフェニルであり、Yが−NR−であり、Rが−CHCHOZ(式中、Zは置換フェニルである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項45】
Zが、p−ブロモフェニル、m−メトキシフェニルまたはm−ニトロフェニルである、請求項45に記載の化合物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物およびビヒクルを含む組成物。
【請求項47】
患者のα3β4ニコチン性受容体をアンタゴナイズする(antagonizing)方法であって、それを必要とする患者に請求項1に記載の化合物または請求項46に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物が、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約50倍を超えて選択的である、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
請求項1に記載の化合物が、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約100倍を超えて選択的である、請求項1に記載の化合物。
【請求項50】
請求項1に記載の化合物が、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体よりもα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対して約200倍を超えて選択的である、請求項1に記載の化合物。
【請求項51】
患者の薬物中毒を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項46に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項52】
前記薬物中毒が、コカイン、アヘン、アンフェタミン、アルコール、マリファナ、ニコチン中毒、またはこれらの組合せやこれらに類似する症状である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
患者の疼痛を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項46に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項54】
患者の神経変性障害、アルツハイマー病およびパーキンソン病を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項46に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項55】
患者のニコチン性受容体を調節する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項46に記載の組成物を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2013−516496(P2013−516496A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548234(P2012−548234)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020881
【国際公開番号】WO2011/085389
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512181248)アストライア セラピューティクス, エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAEA THERAPEUTICS, LLC
【Fターム(参考)】