説明

ニップ駆動式カーブコンベヤ用搬送ベルト

【課題】ニップ駆動式カーブコンベヤにおいて、搬送用ベルトの耐久性を向上する。
【解決手段】第1の熱可塑性樹脂層100と、透孔を有する第1の帆布101と、第2の熱可塑性樹脂層102と、透孔を有さない第2の帆布103とをこの順で積層する。第1の帆布101に織目に隙間がある粗目織物を用い、第2の帆布103に織目の詰まった織物を用いる。熱可塑性樹脂が第1の帆布の透孔を通して流通し、第1および第2の熱可塑性樹脂層100、102が融着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニップ駆動式カーブコンベヤに使用される搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ニップベアリングを用いたベルトコンベヤでは、ニップベアリングによりベルトを駆動ローラに押し当て、駆動ローラを回転させることによりベルトを駆動している。従来カーブコンベヤ用の搬送ベルトには、透孔を有さないポリエステル帆布と熱可塑性樹脂を積層したベルトが用いられている。しかし、カーブコンベヤではベルトに中心方向に向かう向心力が働くため、ニップベアリングと駆動ローラに挟まれた位置において搬送ベルトに大きな剪断力が働き、熱可塑性樹脂が帆布から剥離するという現象が起こる。
【0003】
一方、帆布と熱可塑性樹脂との接着を強固なものとする方法としては、テント製造、フレキシブルコンテナ製造、土木工事資材製造などで用いられるターポリンシートにおいて、帆布のメッシュ部を通して接着剤を流通させ、表裏の熱可塑性樹脂をブリッジングして、帆布と熱可塑性樹脂との接着を強固にしたものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−158471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載されたターポリンシートは、あくまでもテント製造、フレキシブルコンテナ製造、土木工事資材製造などへの利用を想定したもので、カーブコンベヤの搬送ベルトとしては十分な耐久力を発揮するものではない。
【0005】
本発明は、ニップ駆動式カーブコンベヤにおいて、十分な耐久性を有する搬送用ベルトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送ベルトは、ニップ駆動式カーブコンベヤに用いられる搬送ベルトであって、透孔を有する第1の帆布と、透孔を有さない第2の帆布と、帆布のカバー材からなる第1および第2の層とを備え、第1の層、第1の帆布、第2の層、第2の帆布の順で積層され、カバー材が第1の帆布の透孔を通して第1および第2の層を融着したことを特徴としている。
【0007】
第1の帆布は粗目織物であることが好ましく、透孔は織目の隙間である。カバー材は熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂は例えばウレタン樹脂またはポリ塩化ビニルである。第1または第2の帆布は、例えばポリエステル帆布である。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、ニップ駆動式カーブコンベヤにおいて、十分な耐久性を有する搬送用ベルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるニップ駆動式カーブコンベヤ用搬送ベルトの模式的な部分拡大断面図であり、その積層構造が示されている。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態の搬送用ベルト10は、例えばポリエステルからなる2枚の帆布と、帆布のカバー材である熱可塑性樹脂層を交互にシート状に積層したものである。すなわち、第1の熱可塑性樹脂層100、次に第1の帆布101、その下に第2の熱可塑性樹脂層102、更にその下に第2の帆布103が積層されている。なお、熱可塑性樹脂としては、例えばウレタン樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル)などが用いられる。
【0011】
図2に第1の帆布101の織り構造を示す模式的な部分拡大図を示す。第1の帆布101は、例えば粗目織物であり、横糸101A、縦糸101Bは、それぞれ隣りの糸と距離を置いて配置される。すなわち、縦糸101Aおよび縦糸101Bにより形成される織目は、例えば格子状の隙間(透孔)101Cとして形成される。透孔101Cの大きさは、カバー材として用いられる熱可塑性樹脂が製造時に流通できる大きさである。例えば透孔101Cの大きさは0.5mm×0.5mm〜3.0mm×3.0mmである。
【0012】
これにより、熱可塑性樹脂は第1の帆布101の透孔101Cを介して流通し、第1および第2の熱可塑性樹脂層100、102は透孔101Cを通った熱可塑性樹脂の融着により強固に接着される。
【0013】
一方、第2の帆布103は、従来の搬送ベルトで用いられる織目の詰まった織物と同様であり、縦糸、横糸は隙間なく互いに密接しており、熱可塑性樹脂が流通できる透孔は存在しない。第2の熱可塑性樹脂層102は、従来と同様の方法で第2の帆布103と接着される。
【実施例】
【0014】
次に本実施形態の搬送ベルト10に対応する実施例1を、図3、図4に示される構造の比較例1、2の搬送ベルトと、比較例3(図示せず)と比較した結果について説明する。
【0015】
図3に示される比較例1の搬送ベルト20は、帆布201に透孔を備えた粗目織物を使用し、帆布201の両面に熱可塑性樹脂層200、202を積層したものである。また、比較例2の搬送ベルト30は、本実施形態の第2の帆布103を第1の帆布101と同じ基布で置き換えたものに相当する。すなわち、第1および第2の熱可塑性樹脂層300、302が、透孔を有する第1の帆布301の両面に積層され、透孔を通して融着され、第2の熱可塑性樹脂層302の下には、第1の帆布301と同じ種類の透孔を備えた帆布303が接着される。なお、比較例3には、透孔を備えない帆布の両面に熱可塑性樹脂層を形成した搬送ベルトが用いられた。
【0016】
また、実施例1、比較例1〜3では何れも、試験機に300mm幅のニップ駆動式カーブコンベヤが用いられ、搬送重量5kg、搬送速度30m/min、ベルト表面に油脂成分を付着させて走行させた。
【0017】
このとき、実施例1の搬送ベルトでは2000時間異常なく走行した。しかし、比較例1では60時間走行後、ベルトに波打ちが発生した。また比較例2では70時間走行後、裏面帆布摩耗が発生した。更に比較例3では、150時間走行後、ベルト剥離が発生した。
【0018】
以上のように、本実施形態によれば、カーブコンベヤにおいて顕著な耐久性を示す搬送用ベルトを得ることができる。
【0019】
本実施形態では、熱可塑性樹脂をカバー材として用いたがこれに限定されるものではない。また、帆布として本実施形態では織物を用いたが、同様の効果が得られるものであれば、織物以外の透孔を備えたシートと備えないシートを用いて本発明を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態である搬送ベルトの模式的な拡大側断面図である。
【図2】図1に示された搬送ベルトの織り構造を示す部分拡大平面図である。
【図3】比較例1の搬送ベルトの模式的な拡大側断面図である。
【図4】比較例2の搬送ベルトの模式的な拡大側断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 カーブコンベヤ用搬送ベルト
100 第1の熱可塑性樹脂層
101 第1の帆布
102 第2の熱可塑性樹脂層
103 第2の帆布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップ駆動式カーブコンベヤに用いられる搬送ベルトであって、
透孔を有する第1の帆布と、
透孔を有さない第2の帆布と、
帆布のカバー材からなる第1および第2の層とを備え、
前記第1の層、前記第1の帆布、前記第2の層、前記第2の帆布の順で積層され、前記カバー材が前記第1の帆布の透孔を通して前記第1および第2の層を融着する
ことを特徴とするに搬送ベルト。
【請求項2】
前記第1の帆布が粗目織物であり、前記透孔が織目の隙間であることを特徴とする請求項1に記載の搬送ベルト。
【請求項3】
前記カバー材が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の搬送ベルト。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がウレタン樹脂またはポリ塩化ビニルであることを特徴とする請求項3に記載の搬送ベルト。
【請求項5】
前記第1または第2の帆布がポリエステル帆布であることを特徴とする請求項1に記載の搬送ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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