説明

ヌクレオチドの変異について核酸をスクリーニングする方法

【課題】単一および複数の塩基置換、挿入および欠失を含むすべての可能な塩基変異を検出し得る方法を提供すること。
【解決手段】第一の核酸内のヌクレオチド変異を検出する以下の工程を包含する方法:第一の核酸から、修飾ヌクレオチドを取り込むことにより3’末端ヌクレオチド塩基に対するエキソヌクレアーゼ活性を制限しかつ種々の長さを有する1セットの一本鎖伸長産物を生成する工程;この伸長産物を参照核酸にハイブリダイズさせる工程;ハイブリダイズする核酸を、選択した標識ヌクレオチドの存在下で伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去および置換し得る酵素と接触させ、参照核酸内の対応する位置とハイブリダイズしない3’ヌクレオチドで停止する伸長産物が、参照核酸内の対応するヌクレオチドとハイブリダイズする1以上のヌクレオチドで置き換えられる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、核酸におけるヌクレオチド変異を検出する分野に関する。より詳細には、本発明は、核酸におけるヌクレオチド変異を検出する方法に関する。この方法は、サンプルから核酸の種々の長さのコピーを生成する工程、参照核酸に対して、生成された核酸をハイブリダイズする工程、およびその種々の長さの核酸における3’末端位置または最後から2番目の3’位置においてヌクレオチド変異の存在または非存在を検出する工程による。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
遺伝子変異に関連する疾患の数は、ヒトゲノムの配列が明らかにされるにつれて、継続して増加している。核酸配列決定は、ヌクレオチド変異を検出するための究極的な標準である。核酸配列決定は、標的核酸セグメント内の任意の塩基に生じ得る未知の変異または多型性を検出するために充分に適している。最も一般的に使用される方法である酵素的なDNA配列決定の化学は、その着想以来本質的に同じままである(Sangerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,74,5463(1977))。当該分野は、蛍光色素、ロボット工学および自動検出を伴う改良された電気泳動システムの導入のようなその自動化を可能にした技術によって改良されてきた。しかし、遺伝的変異がサンプル集団において低頻度で生じる場合、自動化は、大抵の研究室にとってコストが高すぎる結果となる。手動様式においてさえ、配列決定は、コスト的に見合わない可能性がある。なぜなら、手動様式は労働集約的であるからである。従って、配列決定の前に、未知のヌクレオチド変異について核酸をスクリーニングするための単純で安価なプロセスについて、当該分野において必要性が存在する。
【0003】
当該分野におけるこの必要性は、未知の変異についてスクリーニングするために開発されている方法の数によって証拠付けられる。一本鎖コンフォメーション多型性(SSCP)は、Oritaら、Genomics、5:874−879(1989)によって開示されるように、非変性ゲル中で既知のサンプルに対して一本鎖状態での移動速度を比較することによって未知のサンプル中の変異を検出する。ヌクレオチド配列における変化は、DNA分子の二次構造またはコンフォメーションに影響する。これは、電気泳動中のDNA分子の移動速度を変更し得る。しかし、この技術は、200bp未満の小さな標的に限定されており、感度が限定されており、そして再現性のある、厳格な電気泳動条件を要求する。SSCP分析における改良(例えば、ジデオキシフィンガープリンティング(一方向性(Sarkarら、Genomics、13:441−443(1992))および二方向性(Liuら、Hum.Mol.Genet.、5:107−114(1996))の両方、ならびに制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング(LiuおよびSommer、Biotechniques、18:470−477(1995)))は、1kbの範囲にわたる変異を検出し得るが、単純さのために感度を犠牲にする。なぜなら、これらのプロセスによって生成するDNAバンドの複雑なパターンによって、変異を容易に検出することが困難となるからである。
【0004】
核酸におけるヌクレオチド変異についてスクリーニングするために使用される別の方法は、ヘテロ二重鎖分子が、ゲルマトリクス中を移動する際のそのヘテロ二重鎖分子の示差的な移動度に基づく。ヘテロ二重鎖分析と呼ばれるその最も単純な形態において、Nagamineら(Am.J.Hum.Genet.、45、337−339(1989))によって最初に記載されるように、特徴付けられていないDNAセグメント(通常は、増幅またはPCRの産物)を、対応する野生型セグメントと混合し、加熱し、そして緩和に再生させる。この特徴付けられていない核酸が、野生型配列とは異なる配列を有する場合、ヘテロ二重鎖分子が形成される。ヘテロ二重鎖における塩基ミスマッチは、そのヘテロ二重鎖の移動速度を変更し、非変性ゲルにおいてホモ二重鎖とは部分的に分離されることが可能になる。
【0005】
変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)と呼ばれるより感度の高いアプローチは、FisherおよびLerman.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、80:1579−1583(1983))によって最初に記載されるように、勾配ゲル形式において、変性体の増加レベルに対してヘテロ二重鎖分子を供させる。このヘテロ二重鎖分子が、その変性体を通って移動する場合、そのヘテロ二重鎖分子は、融解し始めるか、または変性し始める。この時点で、移動は遅くなり、そしてもはや線形ではなくなる。融点は、ホモ二重鎖分子についてのわずかに異なっており、ヘテロ二重鎖分子の部分的な分離が可能になる。(電)場の強さ、温度および時間の正確な制御が、再現性のある結果を達成するために重要であり、そして一貫して再現することは困難である。
【0006】
定常変性ゲル電気泳動(CDGE)では、これらの変数はあまり重要ではない。なぜなら、変性体の濃度が、ゲル全体において同じであるからである(Hovigら、Mut.Res.、262:63−71(1991))。この技術の顕著な制限は、核酸セグメントが1を超える融解ドメインを有し得ることである。そのため、異なる変性濃度での分離ゲルが実行されねばならない。
【0007】
一過的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE)は、Borresenら(Bioradiations、99:12−113(1997))によって記載されるように、この問題を、電気泳動中の温度を徐々に上昇させることによって解決しようと試みる。これは、CDGEと、変性体として温度のみを使用する温度勾配ゲル電気泳動(Rosenbaum and Riesner、Biophys.Chem.、26:235−246(1987))とのハイブリッド技術である。しかし、予期されるように、この技術もまた、実行することが困難で、そしてまた、再現することも困難である。
【0008】
塩基切除配列スキャニング(BESS)と呼ばれる近年導入された技術は、ddTTPを用いたジデオキシフィンガープリンティングに、分離配列決定反応についての必要性を省略することによって改良を加える(Epicentre Technologies、Madison、WI.)。目的の標的を、標識されたプライマーおよび制限量のdUTPを用いてPCRによって増幅する。増幅後、この産物を、ウラシルDNAグリコシラーゼを用いて処理して、ウラシル部位を切断する。次いで、このフラグメントの変性ゲル電気泳動によって、ジデオキシT配列決定ラダーとほぼ同一のラダーが生成される。この技術は、変異について1kbまでのDNAセグメントをスクリーニングするために有用であるが、ゲル電気泳動の解像度によって制限を受け、そしてGからCへのトランスバージョンまたはその逆を検出しない。
【0009】
近年導入された別の技術は、クリーバーゼ(cleavase)と呼ばれる構造特異的なエンドヌクレアーゼを使用して、鎖内の構造を消化し、そしてフラグメント長の多型性(CFLP)を生成し、そしてこれは、Browら、J.Clin.Microbiol.、34:3129−3137(1996)によって記載される。この構造は、DNAのセグメントを変性し、次いで、消化温度へと迅速にそれを冷却し、そしてその酵素を添加することによって作製される。所定のセグメントについての折り畳みパターンは、その酵素での消化の際に変性ゲル上の独特のバンドパターンを生成する配列変異によって変動し得る。しかし、この技術は、ゲル電気泳動の解像度およびこのプロセスによって生成されたDNAバンドの複雑なパターンによって厳しく制限を受け、これによって、変異を検出することは困難となる。
【0010】
ヘテロ二重鎖DNA中の塩基対ミスマッチの化学酵素的切断による変異の検出は、Noackら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、83:586−590(1986)、Cottonら Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:4394−4401(1988)、Cottonら、U.S.Pat.No.5,202,231、(Winterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82:7575−7579(1989)、Myersら、Science、230:1245−1246(1985))、(LuおよびHsu、Genomics、14:249−255(1992),)ならびに米国特許第5,698,400号によって記載されている。これらの技術の多くは、切断試薬が塩基対ミスマッチの全ての型を認識することができないことによって制限を受け、そして他のものについて、これは、DNAセグメントの両鎖を分析することによって克服され得る。今日までに、これらの技術が広汎に使用されていることは観察されておらず、これは、部分的に、これらの技術が非常に毒性のある試薬を必要とし、そしてそのプロセスを実施することが困難であるからである。
【0011】
DNAチップまたはマイクロアレイとして知られるDNAハイブリダイゼーションプロセスの小さな固体表面へのミニチュア化は、ゲル電気泳動なしのDNAセグメントの分析を可能にする。Macevicz、米国特許第5,002,867号、Drmanac.、米国特許第5,202,231号、Lipshutzら、Biotechniques、9(3):442−447(1995)およびCheeら、Science、274:610−614(1996)を参照のこと。しかし、ゲル電気泳動の解像度は、DNA配列決定を含む上記の変異検出技術のすべてについて分析され得るDNAセグメントの大きさを厳密に制限し、そしてこのプロセスにおいて使用される装置およびチップの高価格は、その広汎な使用の普及を制限する。
【0012】
本発明は、これらの従来技術の方法に対する必要とされている改良を、単一および複数の塩基置換、挿入および欠失を含むすべての可能な塩基変異を検出し得る方法を提供することによって提供する。これらの変異は、1つ以上の部位において生じ得、そして所定の位置について各部位で1つ以上のヌクレオチドに影響を与え得る。第二に、スクリーニングプロセスとして、これらの方法は、明らかな陽性および陰性の結果を提供する。第三に、このプロセスは、ゲル電気泳動の解像力によっては制限されず、それゆえ、大きさが1kbを超えるDNAセグメントの分析を可能にする。最後に、電気泳動検出を省くことによって、自動化に非常に受け入れられやすく、それゆえ、高容量スクリーニングに適切である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明の目的に従って、本明細書において具体化され、そして広汎に記載されるように、本発明は、一つの局面において、第一の核酸内でヌクレオチド変異を検出する方法に関する。この方法は、以下の工程を包含する:第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、この伸長産物が修飾ヌクレオチドを取り込み、それによって、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限し、かつ、この伸長産物が種々の長さを有する、工程、この種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程、このハイブリダイズする核酸を、選択された標識ヌクレオチドの存在下で、この伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、この参照核酸における対応する位置とハイブリダイズしない3’ヌクレオチドで停止する伸長産物が、この参照核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドで置き換えられ、そして、この3’末端においてハイブリダイズしないヌクレオチドを有していた伸長産物が今度は、この3’末端においてハイブリダイズするヌクレオチドを有していた伸長産物から識別され得る、工程;その3’末端においてハイブリダイズしないヌクレオチドを有していた伸長産物を、その3’末端においてハイブリダイズするヌクレオチドを有していた伸長産物から識別し、それによって、この第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程。
【0014】
本発明はまた、核酸変異の存在を第一の核酸内で検出する方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、この伸長産物が、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限する修飾ヌクレオチドを取り込み、かつ、この伸長産物が種々の長さを有する、工程、この種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程、このハイブリダイズする核酸を、さらなる置換に対して耐性であり、そして伸長産物に取り込まれたときにこの伸長産物のさらなる伸長を阻害する選択された修飾ヌクレオチドの存在下で、この伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、修飾されていないヌクレオチドで停止する伸長産物が、さらに伸長され得、それによって、さらに伸長され得ない伸長産物から識別され得る、工程;この取り込まれていない選択された、修飾ヌクレオチドを除去する工程;さらに伸長され得る伸長産物を伸長する工程;さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から識別し、それによって、この第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程。
【0015】
本発明はさらに、第一の核酸内でヌクレオチド変異を検出する方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:この第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基および連鎖終結ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、この伸長産物が、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限する修飾ヌクレオチドを取り込み、かつ、この伸長産物が種々の長さを有する、工程、この種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程、このハイブリダイズする核酸を、デオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、この伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、最後から2番目の3’ヌクレオチドが、この伸長産物からの除去に耐性であり、この参照核酸上の対応する位置でハイブリダイズしない最後から2番目の3’ヌクレオチドが、この参照核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドでは置換されず、それによって、さらに伸長され得ない、工程、さらに伸長され得る伸長産物を伸長する工程、さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から識別し、それによって、この第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程。
【0016】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 第一の核酸内におけるヌクレオチド変異を検出する方法であって、以下の工程:
a)該第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、該伸長産物が修飾ヌクレオチドを取り込み、それによって、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限し、かつ、該伸長産物が種々の長さを有する、工程;
b)該種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程;
c)該ハイブリダイズする核酸を、選択された標識ヌクレオチドの存在下で、該伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、該参照核酸における対応する位置とハイブリダイズしない3’ヌクレオチドで停止する伸長産物が、該参照核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドで置き換えられ、そして、該3’末端においてハイブリダイズしないヌクレオチドを有していた伸長産物が今度は、該3’末端においてハイブリダイズするヌクレオチドを有していた伸長産物から識別され得る、工程;および
d)その3’末端においてハイブリダイズしないヌクレオチドを有していた伸長産物を、その3’末端においてハイブリダイズするヌクレオチドを有していた伸長産物から識別し、それによって、該第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目2) 前記修飾ヌクレオチドがチオ修飾されたデオキシヌクレオチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記修飾ヌクレオチドがボラン修飾されたデオキシヌクレオチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目4) 前記伸長産物において3’末端ヌクレオチドを除去し、そして置換する前記酵素がプルーフリーディングポリメラーゼを含む、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記伸長産物が修飾されている、項目1に記載の方法。
(項目6) 前記修飾が前記伸長産物にビオチンを連結させることを含む、項目5に記載の方法。
(項目7) 前記修飾が前記伸長産物に対してハプテンを連結させることを含む、項目5に記載の方法。
(項目8) さらに、前記工程a)の伸長産物を、固体支持体に結合させることによって、該伸長産物を単離する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記伸長産物が、ビオチンで標識されており、そして該伸長産物をストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体へと結合させることによって単離される、項目6に記載の方法。
(項目10) 前記工程c)が、さらに、第二の標識で標識されたジデオキシヌクレオチド三リン酸の形態において、前記選択されたヌクレオチド塩基の存在下で、前記接触工程を実施し、それによって、前記酵素の機能について陽性コントロールを提供することを包含する、項目1に記載の方法。
(項目11) 前記伸長産物が、連鎖終結ヌクレオチドの該伸長産物への取り込みによって種々の長さになる、項目1に記載の方法。
(項目12) 前記伸長産物が、該伸長産物の部分的なエキソヌクレアーゼ消化によって種々の長さになる、項目1に記載の方法。
(項目13) 第一の核酸内においてヌクレオチド変異の存在を検出する方法であって、以下の工程:
a)該第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、該伸長産物が、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限する修飾ヌクレオチドを取り込み、かつ、該伸長産物が種々の長さを有する、工程;
b)該種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程;
c)該ハイブリダイズする核酸を、さらなる置換に対して耐性であり、そして伸長産物に取り込まれたときに該伸長産物のさらなる伸長を阻害する選択された修飾ヌクレオチドの存在下で、該伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、修飾されていないヌクレオチドで停止する伸長産物が、さらに伸長され得、それによって、さらに伸長され得ない伸長産物から識別され得る、工程;
d)該取り込まれていない選択された、修飾ヌクレオチドを除去する工程;
e)さらに伸長され得る伸長産物を伸長する工程;および
f)さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から識別し、それによって、該第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目14) 前記選択された修飾ヌクレオチドが、チオ修飾されたジデオキシヌクレオチド三リン酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目15) 前記選択された修飾ヌクレオチドが、ボラン修飾されたジデオキシヌクレオチド三リン酸を含む、項目13に記載の方法。
(項目16) 前記工程(d)が、さらに、酵素エビアルカリホスファターゼの活性のために適切な条件下で、該酵素エビアルカリホスファターゼを添加し、続いて、該酵素を不活化することを包含する、項目13に記載の方法。
(項目17) 前記伸長産物において3’末端ヌクレオチドを除去し、そして置換する前記酵素がプルーフリーディングポリメラーゼを含む、項目13に記載の方法。
(項目18) 前記伸長産物が修飾されている、項目13に記載の方法。
(項目19) 前記修飾が前記伸長産物にビオチンを連結させることを含む、項目18に記載の方法。
(項目20) 前記修飾が前記伸長産物に対してハプテンを連結させることを含む、項目18に記載の方法。
(項目21) さらに、前記工程a)の伸長産物を、固体支持体に結合させることによって、該伸長産物を単離する工程を包含する、項目13に記載の方法。
(項目22) 前記伸長産物が、ビオチンで標識されており、そして該伸長産物をストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体へと結合させることによって単離される、項目19に記載の方法。
(項目23) 前記伸長産物が、連鎖終結ヌクレオチドの該伸長産物への取り込みによって種々の長さになる、項目13に記載の方法。
(項目24) 前記伸長産物が、該伸長産物の部分的なエキソヌクレアーゼ消化によって種々の長さになる、項目13に記載の方法。
(項目25) 第一の核酸内のヌクレオチド変異を検出する方法であって、以下の工程:
a)該第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基および連鎖終結ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、該伸長産物が、3’末端ヌクレオチド塩基に対してエキソヌクレアーゼ活性を制限する修飾ヌクレオチドを取り込み、かつ、該伸長産物が種々の長さを有する、工程;
b)該種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程;
c)該ハイブリダイズする核酸を、デオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、該伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去し得、そして置換し得る酵素と接触させる工程であって、最後から2番目の3’ヌクレオチドが、該伸長産物からの除去に耐性であり、該参照核酸上の対応する位置でハイブリダイズしない最後から2番目の3’ヌクレオチドが、該参照核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドでは置換されず、それによって、さらに伸長され得ない、工程;
d)さらに伸長され得る伸長産物を伸長する工程;および
e)さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から識別し、それによって、該第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目26) 前記一本鎖伸長産物が、検出可能な標識で標識されており、前記識別する工程e)が、前記工程d)からの反応物のゲル電気泳動を行うことを包含し、ここで、該電気泳動が、さらに伸長されていない標識された伸長産物と、さらに伸長された標識された伸長産物との間を識別するに充分な解像度である、項目25に記載の方法。
(項目27) 前記修飾ヌクレオチドが、チオ修飾されたデオキシヌクレオチドを含む、項目25に記載の方法。
(項目28) 前記修飾ヌクレオチドが、ボラン修飾されたデオキシヌクレオチドを含む、項目25に記載の方法。
(項目29) 前記伸長産物において3’末端ヌクレオチドを除去し、そして置換する前記酵素がプルーフリーディングポリメラーゼを含む、項目25に記載の方法。
(項目30) 前記伸長産物が修飾されている、項目25に記載の方法。
(項目31) 前記修飾が前記伸長産物にビオチンを連結させることを含む、項目30に記載の方法。
(項目32) 前記修飾が前記伸長産物に対してハプテンを連結させることを含む、項目30に記載の方法。
(項目33) さらに、前記工程a)の伸長産物を、固体支持体に結合させることによって、該伸長産物を単離する工程を包含する、項目25に記載の方法。
(項目34) 前記伸長産物が、ビオチンで標識されており、そして該伸長産物をストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体へと結合させることによって単離される、項目25に記載の方法。
(項目35) 第一の核酸内のヌクレオチド変異を検出する方法であって、以下の工程:
a)該第一の核酸から、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下で生成する工程であって、該伸長産物が、3’末端ヌクレオチド塩基においてエキソヌクレアーゼ活性を阻害する修飾ヌクレオチドを取り込み、かつ、該伸長産物が種々の長さを有する、工程;
b)該種々の長さの伸長産物を、参照核酸に対してハイブリダイズさせる工程;
c)該ハイブリダイズする核酸を、デオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、該参照核酸上の対応する位置でハイブリダイズする3’末端ヌクレオチドを有する伸長産物をさらに伸長し得、それによって、該参照核酸上の対応する位置でハイブリダイズしない3’末端ヌクレオチドを含む伸長産物がさらに伸長されない、工程;
d)さらに伸長され得る伸長産物を伸長する工程;および
e)さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から識別し、それによって、該第一の核酸におけるヌクレオチド変異を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目36) 前記伸長産物が、該伸長産物の部分的なエキソヌクレアーゼ消化によって種々の長さになる、項目35に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、単一塩基伸長テンプレート交換反応伸長検出法を模式的に示す。
【図2】図2は、伸長検出法を模式的に示す。
【図3】図3は、エキソ制限末端を用いる、非伸長テンプレート交換伸長反応検出法を模式的に示す。
【図4】図4は、3’末端に組み込まれたジデオキシヌクレオチドを用いる、非伸長テンプレート交換伸長反応検出法を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の本発明の好適な実施態様およびそこに含められる実施例の詳細な説明を参照して、より容易に理解され得る。
【0019】
本発明の化合物および方法が開示され、かつ記載される前に、本発明が特定の核酸、連鎖終結ヌクレオチド、エディティング酵素(editing enzyme)、伸長酵素および/または増幅酵素、検出可能な部分、ならびに本明細書中に記載される方法で使用される他の試薬に制限されず、もちろんそれ自体変化し得ることは理解されるべきである。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施態様を記載する目的にすぎず、そして制限することは意図されないことがやはり理解されるべきである。
【0020】
本明細書中および添付の請求の範囲で使用される場合、文脈が明らかにそれ以外のものを指示しない限り、単数形態「a」、「an」、および「the」は複数対象を含むことが注意されなければならない。従って、例えば、「核酸」に対する言及は、核酸の複数コピーを含み、そしてやはり1つを超える特定の種の分子を含み得る。
【0021】
1つの局面で、本発明は、第一の核酸内のヌクレオチドバリエーションを検出する方法に関し、この方法は、修飾されたヌクレオチド塩基の存在下で第一の核酸由来の一本鎖伸長産物のセットを生成する工程(ここで、この伸長産物は修飾されたヌクレオチドを取り込み、そしてこれによって、3’末端ヌクレオチド塩基に対するエキソヌクレアーゼ活性を制限し、そしてここでこの伸長産物が種々の長さを有する)、この種々の長さの伸長産物を参照核酸とハイブリダイズさせる工程、このハイブリダイズした核酸と、選択された標識ヌクレオチドの存在下で伸長産物の3’末端ヌクレオチドを取り除き得、かつ置換し得る酵素とを接触させる工程(ここで、この参照核酸上での対応位置とハイブリダイズしない3’ヌクレオチドで終結する伸長産物は、この参照核酸上での対応ヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドと置き換わり、そしてここで、3’末端でハイブリダイズしないヌクレオチドを有したそれらの伸長産物は、3’末端でハイブリダイズするヌクレオチドを有したそれらの伸長産物とは区別され得る)、それらの3’末端でハイブリダイズしないヌクレオチドを有した伸長産物と、それらの3’末端にハイブリダイズするヌクレオチドを有したそれらの伸長産物とを区別し、これにより、第一の核酸におけるヌクレオチドバリエーションを検出する工程を包含する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、核酸バリエーションとは、核酸(第一の核酸)中の1つ以上の位置における任意のヌクレオチド置換および核酸上での1つ以上の位置での任意の挿入または欠失、ならびにそれらの任意の組み合わせをいう。例えば、核酸は、アッセイされている領域に単一塩基置換を有し得るか、またはその核酸は、その領域に複数の塩基置換、もしくは塩基の置換、挿入、および欠失の任意の組み合わせを有し得る。本明細書中で使用される場合、ヌクレオチドバリエーションとは、改変された表現型または遺伝子型を生じ得る任意のヌクレオチド修飾もまたいう。本明細書中に記載される方法は、塩基の置換、欠失、および挿入、ならびに別個の少なくとも部分的に相補的な核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズしない、核酸上のヌクレオチドを生じる任意の他の変異の存在を検出し得る。
【0023】
第一の核酸は、サンプル(すなわち、患者または実験サンプル)由来の一本鎖核酸または二本鎖核酸であり得、そして参照核酸は、第一の核酸がハイブリダイズされ、そして/もしくは比較される標準核酸または参照核酸であり得る。本明細書中に記載される方法において、第一の核酸の1つ以上の鎖を使用して、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性に少なくとも部分的に抵抗性である一本鎖伸長産物のセットを生成し、そして必要に応じて、それらの3’末端に連鎖終結ヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドを含ませて、可変長の一本鎖伸長産物のセットを生成し得る。
【0024】
本発明における使用のための第一の核酸の生成または単離は、必要に応じて、プラスミドまたはファージのような複製ベクターに目的の領域をクローニングして、二本鎖分子もしくは一本鎖分子のいずれかを生成することによる標的領域の増幅によって促進され得る。第一の核酸が核酸のクローニングにより生成される場合、クローニングベクター内の核酸が複製された後にクローニングベクターから核酸を単離するための多くの公知の技術(例えば、ファージ単離、細菌の溶解によるプラスミドの単離、次いで、細胞タンパク質の変性および核酸の遠心分離、またはさらに密度勾配遠心分離によるプラスミドもしくはファージ核酸の密度バンド形成)が存在する。
【0025】
当業者は、核酸の1以上の鎖のコピーを産生するための他の多くの公知の増幅技法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))が存在することを認識する。しかし、他の増幅技法、自立性配列複製(3SR)系、転写ベースの増幅系(TAS)、およびQβレプリカーゼに基づくRNA複製系もまた、核酸を増幅するために使用され得る。従って、増幅の産物、第一の核酸、および/または参照核酸は、1本鎖または2本鎖のいずれかの、DNAまたはRNAであり得る。増幅の産物が2本鎖である場合、1本鎖が、当該分野で周知の方法によって単離され得、この方法は、ビオチン結合増殖プライマーの使用、またはλエキソヌクレアーゼを使用するリン酸化した鎖の選択的分解である(例えば、HiguchiおよびOchman、Nucleic Acids Research,17:5865(1989)によって記載される)。1本鎖テンプレートの産生の代替の方法(例えば、非対称PCR(Ausbelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley&Sons、New York(1987))および固相捕捉(Holtmanら、Nucleic Acids Research,17:4937−4969(1989)))がまた、当該分野で公知である。増幅手順の産物がRNAである場合、DNAを、逆トランスクリプターゼの使用のような当該分野で周知の技法を使用して、そのRNAから産生し得る。
【0026】
本明細書中で記載される方法における使用のための第一の核酸が増殖されたかどうか、または第一の核酸が直接(例えば、親サンプルからまたは任意の他の実験的サンプルから)得られるかどうかにかかわらず、その核酸を、次いで、可変長の1本鎖伸長産物のセットを産生するためのテンプレートとして使用する。例えば、連鎖終結ジデオキシヌクレオチドが、この反応において使用され得、その結果、得られる1本鎖伸長産物のセットは、このジデオキシヌクレオチドが組み込まれた各位置で終結する1本鎖伸長産物を含む。好ましくは、この実施態様における可変長の1本鎖伸長産物のセットは、特定の種類のジデオキシヌクレオチドについて利用可能な各位置へジデオキシヌクレオチドを組み込んだ少なくとも1個の1本鎖伸長産物(すなわち「塩基配列決定ラダー」)を含む。ジデオキシ塩基配列決定ラダーは、当該分野で周知であり、そして市販の配列決定キットを用いて達成され得る。本発明の好ましい実施態様において、塩基配列決定ラダーは、サーマルサイクル塩基配列決定によって産生され、このサーマルサイクル塩基配列決定は、第一の核酸に対応する複数の塩基配列決定ラダーを産生し、参照核酸上の対応する位置でヌクレオチドへハイブリダイズする3’末端ヌクレオチドか、または参照核酸上の対応する位置でヌクレオチドへハイブリダイズしない3’末端ヌクレオチドを有する、1本鎖伸長産物の後の検出を容易にする。
【0027】
あるいは、可変長の1本鎖伸長産物のセットを、種々の手順によって産生し得る。例えば、1本鎖伸長産物を、反応混合物中に連鎖終結ヌクレオチドの存在を伴わず、プライマー配列の伸長によって産生し得るが、ここで、デオキシヌクレオチドは、限られた量で存在する。あるいは、デオキシヌクレオチドは、1本鎖伸長産物のセット(これは、第一の核酸の全長に対応する)を合成するに十分な量で存在し得るが、これを、次いで、例えば、デオキシヌクレオチドの非存在下または制限量下で、例えば、エキソヌクレアーゼIまたはIIIあるいはT4DNAポリメラーゼ使用して、この1本鎖伸長産物の部分的末端分解によって、可変長の1本鎖伸長産物のセットを産生するために使用する。当業者は、1本鎖伸長産物のセットを産生するために使用される特定の技法(単数または複数)が変化し得ることを理解する。
【0028】
当業者はまた、1本鎖伸長産物のセットの産生は、伸長反応が進行するためにプライマーを要求することを認識する。プライマーは内因性であり得る(例えば、同一分子の3’−領域〜5’領域のハイブリダイゼーション)か、またはプライマーは外因性であり得る(例えば、第一の核酸上の好ましい部位(単数または複数)へハイブリダイズし得る合成プライマーの使用)。
【0029】
第一の核酸、1本鎖伸長産物、およびプライマーを、例えば、別の分子(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、抗体、酵素)、あるいはこれらの分子の単離および/または検出を容易にし得る別の部分)へ結合させることによって、修飾し得る。本明細書中の実施例の節において議論するように、プライマーはビオチンに結合され得、そしてその修飾されたプライマーを使用した伸長反応の結果として産生された1本鎖伸長産物のセットを、第一の核酸および伸長反応の他の成分から、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズを使用して、分離し得る。
【0030】
必要に応じて、修飾された第一の核酸、1本鎖伸長産物、および/またはプライマーを、これらを固体支持体へ結合させることによって反応混合物および/または他の核酸から精製または単離し得る。例えば、伸長反応において使用されるプライマーの少なくとも一部分に相補的な核酸は、固体支持体(例えば、カラムクロマトグラフィーにおいて使用されるビーズ)へ連結され得、そしてこのプライマーが伸長した後、その反応混合物は、第一の核酸から伸長産物を変性して離させるために加熱され得る。そしてこの混合物を、伸長産物がビーズに結合された核酸にハイブリダイズするが第一の核酸へはハイブリダイズしない条件下で、カラムを通過させ、それによって、伸長産物を第一の核酸から精製する。例えば、プライマーは、第一の核酸に相補的な配列を含み得、そしてまたは第一の核酸に相補的でない配列を含む5’領域(例えば、ポリ(C)領域)を有し得る。ビーズへ結合した核酸は、次いで、伸長産物が第一の核酸へハイブリダイズしない条件下で、ポリ(C)領域へハイブリダイズし得るポリ(G)領域を含み得る。当業者は、伸長反応の一方の鎖をその相補鎖から、あるいは部分的相補鎖から分離させるために使用される他の多くの手順の例が存在し、そして本明細書中で記載される方法は、いかなる特定の単離、分離、または精製手順にも限定されないことを認識する。
【0031】
あるいは、1本鎖伸長産物のセットを産生するために使用されるプライマーは、5’末端でリン酸化され得、λエキソヌクレアーゼ(HiguchiおよびOchman(Nucleic Acids Research,17:5865(1989)に記載)を用いてのリン酸化した鎖の引き続いての分解を可能にする。1本鎖テンプレートの産生のための代替の方法(例えば、非対称PCR(Ausbelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley&Sons、New York(1987))および固相捕捉(Holtmanら、Nucleic Acids Resarch,17:4937−4969(1989)))がまた、当該分野において公知である。
【0032】
一本鎖伸長産物は、代表的には、生成反応において使用され、そしてそれによって一本鎖伸長産物中に取り込まれる、少なくとも1つのタイプの修飾ヌクレオチドの存在下で生成され、従って、この一本鎖伸長産物は、少なくとも部分的には、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性に抵抗性である。修飾ヌクレオチドのヌクレオチドとしての取り込み後の主要な機能は、3’ジデオキシヌクレオチドに対する続く3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を制限することである。これらの修飾ヌクレオチドは、当該分野で周知であり、このような修飾ヌクレオチドとしては、チオ修飾、デオキシヌクレオチド三リン酸、ホウ酸(borano)修飾デオキシヌクレオチド三リン酸(EcksteinおよびGish、Trends in Biochem.Sci.,14:97−100(1989)、およびPorter Nucleic Acids Research、25:1611−1617(1997))が挙げられる。
【0033】
可変長の一本鎖伸長産物のセットが生成され、そして必要に応じて第一の核酸から単離された後、次いで、一本鎖伸長産物は、参照核酸にハイブリダイズされる。この参照核酸は、代表的には、特定の遺伝子または、この遺伝子の構造および調節領域を含む遺伝子の一部について「野生型」であるとみなされる核酸であり得る。例えば、参照核酸は、変異された場合、個体において変化された表現型または疾患を生じる特定の遺伝子中または近傍で変異について遺伝子座であることが知られる核酸であり得る。あるいは、変異は、有益であるとみなされる異なる表現型を生じ得る(例えば、今や毒素を解毒し得る細菌種)。任意の変異は、本明細書中に記載の方法によって検出されるものとして意図され、そして変異の具体的な正体は、これらの方法の適用性を限定しない。さらに、参照核酸の供給源もまた、本発明の方法を限定するものではないので、参照核酸は、当該分野に記載の任意の方法によって本明細書中に記載の方法において使用するために、単離され、生成され、合成され、または増幅され得る。
【0034】
ハイブリダイゼーションの正確な条件は、もちろん、参照核酸の特定の配列および第一の核酸に依存して変動する。特定の条件は、当業者によって容易に入手可能であり、そして代表的なハイブリダイゼーション条件および至適化条件は、広範な種々の供給源参照から利用可能である。例えば、Innisら(「PCR
Protocols: A Guide to Methods and Applications」Academic Press、Inc.1990)およびErlich、H.A.(PCR Technology、Principles and Applications for DNA Amplification)は共に、核酸増幅についての標準的なハイブリダイゼーション条件を開示し、そしてSambrookら(「Molecular Cloning、a Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))は、これらの方法についての代表的な核酸ハイブリダイゼーションおよび至適化手順についての一般的な方法を記載する。必要に応じて、一本鎖伸長産物と参照核酸との間の特定のハイブリダイゼーション条件は、一本鎖伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去および置換し得る酵素の活性が保持され、そして代表的には非常に高い活性であり、そして特異的であるような条件である。
【0035】
一本鎖伸長産物が参照核酸にハイブリダイズした後、伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去および置換し得る酵素(すなわち、「プルーフリーディング」酵素)がこれらのハイブリッドに添加される。本発明の1つの実施態様では、この反応は、連鎖終結ヌクレオチドの存在下で生じ得、そして3’末端ヌクレオチドが参照核酸にハイブリダイズする場合、その3’末端ヌクレオチドは、同じ正体の連鎖終結ヌクレオチドと置換される(図1)。伸長産物の3’末端のヌクレオチドは、参照核酸にハイブリダイズしない場合、例えば、伸長の3’末端ヌクレオチドがその特定の位置で第一の核酸における変異を示す場合、プルーフリーディング酵素は、伸長産物におけるこのミスマッチ塩基を除去し、そしてそれを、参照核酸にハイブリダイズし、そして検出され得る塩基と置換する。
【0036】
本明細書中に記載の方法において使用される特定のプルーフリーディング酵素は、DNAポリメラーゼに限定されないが、3’末端ヌクレオチドを除去し得るか、またはこの3’末端ヌクレオチドを同じまたは異なる正体の別のヌクレオチドと置換し得る任意の酵素、または酵素の組み合わせを包含する。例えば、プルーフリーディング酵素は、例えば、Vent(登録商標)DNA Polymerase、Deep Vent(登録商標)DNA Polymerase、E.coli DNA Polymerase I、クレノウフラグメントDNA
Polymerase I、T4 DNA Polymerase、T7 DNA Polymerase、Ultima(登録商標)DNA Polymerase、およびPfu(登録商標)DNA Polymeraseのような熱安定性ポリメラーゼであり得る。あるいは、3’末端ヌクレオチドを除去する酵素は、さらなる工程を用いて同じ結果を有効に達成するために、T4 DNA Polymeraseのようなポリメラーゼと組み合わせて使用されるE.coliエキソヌクレアーゼIIIまたはエキソヌクレアーゼIのようなエキソヌクレアーゼであり得る。あるいは、非プルーフリーディングポリメラーゼ酵素は、本明細書中に記載の方法において使用され得る。非プルーフリーディングポリメラーゼはミスマッチを伸長することができないことが、当該分野で周知であり、そして対立遺伝子特異的PCRおよび増幅不応変異系(amplification refractory mutation systems;ARMS)の根拠である。Wuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、86:2757−2760(1989)およびNewtonら、Nucleic Acids Res.、17:2503−2516(1989)を参照のこと。
【0037】
参照核酸にハイブリダイズしなかった3’末端ヌクレオチドを有する伸長産物中に取り込まれるヌクレオチドは、3’末端ヌクレオチドがまず参照核酸にハイブリダイズする伸長産物の3’末端ヌクレオチドと同じ正体を有するヌクレオチドの存在下で検出され得るヌクレオチドを含み得る。例えば、伸長反応が、dATPに対応する連鎖終結ヌクレオチドの存在下で実施される場合、参照核酸にハイブリダイズしない3’末端ヌクレオチドが参照核酸にハイブリダイズするヌクレオチドによって置換される、切り出し/置換反応が、放射性標識dGTP、dCTP、およびdTTPの存在下で実施され得る。本実施例において、放射性標識dGTP、dCTP、およびdTTPヌクレオチドのいずれかが伸長産物中に取り込まれる場合、その産物は、放射能の存在によって検出され得る。さらに、この反応は、内部コントロール(例えば、標識の異なるヌクレオチド(例えば、本実施例における35S−dATPまたは蛍光dATP)を含み得る。それによりこの標識は、参照核酸上の対応する位置にハイブリダイズした3’ヌクレオチドを有する一本鎖伸長産物中に取り込まれ得る。従って、特に、ほとんどまたは全く変異が検出されない場合に、活性についての反応をモニタリングし得る。なぜなら、3’末端ヌクレオチドでハイブリダイズするヌクレオチドを有する伸長産物および3’末端ヌクレオチドでハイブリダイズしないヌクレオチドを有する伸長産物の両方が、検出され得、そしてまた識別され得るからである。あるいは、標識は、その3’末端ヌクレオチド位置でハイブリダイズするヌクレオチドを有する伸長産物にのみ取り込まれ得る。
【0038】
変異の存在を検出するために使用される特異的な標識は、もちろん、変化し得る。例えば、この標識は、放射線標識、蛍光標識、発光標識、引き続き検出され得るヌクレオチドに結合した抗体、引き続き検出され得るヌクレオチドに結合したハプテン、あるいは直接的または間接的のいずれかで検出され得る、他の任意のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを含み得る。従って、3’末端ヌクレオチドが参照核酸とハイブリダイズされた一本鎖伸長産物と、3’末端ヌクレオチドが参照核酸とハイブリダイズされなかった一本鎖伸長産物とを区別するために使用される特異的な方法(単数または複数)は、本明細書中に記載の方法で使用される特異的な標識に依存して、変化する。例えば、標識ヌクレオチドが放射線標識ヌクレオチドである場合には、その検出方法は、シンチレーション計数、または反応生成物のフィルムへの露光(これは、現像すると、標識核酸と非標識核酸とを区別し得る)を包含し得る。
【0039】
本発明により、第一核酸においてヌクレオチド変異体の存在を検出する方法もまた提供され、この方法は、1セットの一本鎖伸長産物を、修飾ヌクレオチド塩基の存在下でこの第一核酸から生成する工程(ここで、この伸長産物は、3’末端ヌクレオチド塩基に対するエキソヌクレアーゼ活性を制限する修飾ヌクレオチドを取り込み、そしてここで、この伸長産物は、様々な長さを有する)、この様々な長さの伸長産物を、参照核酸とハイブリダイズさせる工程、このハイブリダイズする核酸を、選択した修飾ヌクレオチド(これは、さらなる置換に対して抵抗性があり、そして伸長産物に取り込まれると、その伸長産物のさらなる伸長を阻害する)の存在下でその伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去および置換し得る酵素と接触させる工程(ここで、非修飾ヌクレオチドで終結する伸長産物がさらに伸長され得、これによって、さらに伸長され得ない伸長産物から区別され得る)、取り込まれなかった選択された修飾ヌクレオチドを除去する工程、さらに伸長され得る伸長産物を伸長させる工程、さらに伸長された伸長産物を、さらに伸長され得ない伸長産物から区別し、これによって第一核酸中のヌクレオチド変異体を検出する工程を包含する。
【0040】
この特定の方法は、プルーフリーディングポリメラーゼが、マッチング末端連鎖終結ヌクレオチド(例えば、ジデオキシヌクレオチド)を、不可逆反応または「自殺(suicide)」反応において、3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の修飾連鎖終結ヌクレオチドと置換する能力に基づく。第一核酸から生成する様々な長さの一本鎖伸長産物は、既知のテンプレートまたは参照核酸と混合されて、安定なハイブリッドを形成する。このハイブリッドは、さらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の連鎖終結ヌクレオチド(例えば、α−チオ−ジデオキシヌクレオチドであって、これは、この伸長産物の3’末端塩基の塩基当価体(base−equivalent)である)の存在下で、この伸長産物の3’末端ヌクレオチドの切出しおよびさらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の連鎖終結ヌクレオチドとのその置換に適切な条件下で、上述のように、プルーフリーディングポリメラーゼに曝露されるか、またはそれと等価な反応に供される(図2)。この伸長産物の3’末端ヌクレオチドが、第一核酸の対応する位置とハイブリダイズする場合には、この3’末端ヌクレオチドは切り出され、そしてさらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の、対応する連鎖終結ヌクレオチドと置換される。このプルーフリーディングポリメラーゼ酵素は、もはや、3’末端ヌクレオチドをプルーフリードし得ず、そしてまた、マッチング末端塩基を伸長し得ない。なぜなら、この酵素が連鎖終結ヌクレオチドであるためである。しかし、一本鎖伸長産物の3’末端ヌクレオチドが、参照核酸とハイブリダイズしない(すなわち、末端塩基においてミスマッチが存在する)場合には、このプルーフリーディングポリメラーゼは、この一本鎖伸長産物の3’末端ヌクレオチドを切り出すが、その位置に連鎖終結ヌクレオチドを挿入しない。なぜなら、例えば、参照核酸上の対応する位置とハイブリダイズし得る連鎖終結ヌクレオチドが、その反応混合物中に存在しないためである。次いで、このプルーフリード伸長産物は、さらに伸長され得、そしてこの伸長した産物が、検出され得る。従って、3’末端ヌクレオチドが参照核酸の対応する位置に対して相補的である伸長産物は、不可逆的に終結され得るが、3’末端ヌクレオチドが参照核酸の対応する位置に対して相補的ではない伸長産物は、プルーフリードされ得、そして引き続く伸長反応(これが検出され得る)のためのプライマーとして作用する準備ができている。
【0041】
引き続く伸長反応のためには、さらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性である連鎖終結ヌクレオチドを、その反応から除去することが望ましくあり得る。このことは、この反応混合物に、この反応混合物に、さらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の連鎖終結ヌクレオチドを、一本鎖伸長産物(例えば、この連鎖終結ヌクレオチド上の三リン酸を加水分解するシュリンプ(shrimp)アルカリホスファターゼ)にさらに付加されることに対して効果的に不能にする活性を追加すること(この後、この酵素は熱的に不活化され得る)により、達成され得る。あるいは、このテンプレートおよび伸長産物は、さらなる3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性に対して抵抗性の連鎖終結ヌクレオチドから、当業者に周知の他の方法(例えば、分子量分離もしくは分子サイズ分離、伸長産物を上記のような固体支持体に結合させること、および遊離ヌクレオチドの選択的分解)によって、精製され得る。
【0042】
この方法におけるプライマー伸長反応は、上記のように、標識の取り込みによって検出され得るか、または、例えばDNA合成中にポリメラーゼにより媒介されるヌクレオシド取り込みの結果である無機ピロリン酸の放出によって間接的に検出され得る。(Nyren、Anal.Biochem.、167:235〜238(1987))。この実施態様は、この反応におけるポリメラーゼ活性の連続的なモニタリングを可能にするという利点を有する。この特定の反応は、ヌクレオシド三リン酸塩基、D−ルシフェリン、L−ルシフェリン、ATPスルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、ならびに既知のテンプレートの5’末端における領域またはその近くの領域と同じ配列を有し、伸長反応をプライミングし得るオリゴヌクレオチドを添加することによって、開始され得る。このオリゴヌクレオチドを使用して、生成する任意の全長伸長産物を逆プライミングすることによって、このアッセイの感度を増加させ得る。このことは、ミスマッチ/変異が既知の参照核酸の5’末端の近くで生じる場合に、特に重要である。なぜなら、比較的少ないヌクレオチドが、このテンプレートの末端に達する前に付加されるためである。代表的な閾値計検出については、Nyrenら(Anal.Biochem.、244:367〜373(1997))を参照のこと。熱的に安定なルシフェラーゼの使用は、この伸長反応がより高温で起こることを可能とし、そしてこの反応の感度および特異性を増加させる。(KaliyamaおよびNakano、Biosci.Biotechnol.Biochem.、58:1170〜1171(1994))。
【0043】
多塩基プライマー伸長を検出するための方法の他の例は、Perkin Elmer,Foster City,CAから入手可能である蛍光発生5’ヌクレアーゼアッセイを利用し、Hollandら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,88,7276−7280(1991)により記載される通りである。この方法は、レポーターおよびクエンチング剤染料とともに、Taq Manプローブ(登録商標)と呼ばれるプローブを標識化する工程を包含する。このプローブは、増幅される特定の核酸における内部配列に対して特異的であり得る。Taq DNAポリメラーゼは、増幅プライマーを伸長するにつれて、Taq Man(登録商標)プローブと遭遇し、その5’→3’エキソヌクレアーゼ活性と共に分解する。このクエンチング剤からのレポーターの解離は、蛍光における増加という結果となる。本方法の多塩基伸長検出への適用は、公知の鋳型の5’末端配列に相補的なTaq Man(登録商標)プローブの合成のみを要求する。生物発光検出に関して、本方法は、反応中のポリメラーゼ活性の連続的なモニタリングを可能とする。この反応が熱循環反応における高温で実行され得るため、追加の利点は、高い感度および特異性である。
【0044】
本方法の1つの変形において、取り込まれていない修飾されたヌクレオチドの除去がそれ自体、検出され得る工程を包含し得る場合、この検出工程の前にさらに伸長され得るそれらの伸長産物を伸長する工程は、除かれる。例えば、3’末端塩基がクエンチングヌクレオチドであり、そしてそのヌクレオチドの除去が核酸の検出を可能とする場合、検出可能部分を取り込むための伸長産物の伸長は、その後の検出工程のためには必要ではない。
【0045】
検出のための他の代替の方法は、修飾したデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を、この伸長産物へ取り込む工程を包含する。実施例は、放射性、蛍光性、およびハプテン標識したdNTPを含む。例えば、蛍光標識したdNTPは、直接の非放射性検出を可能にする。この方法の感度は、生物発光検出と同様に、公知の鋳型の5’末端における領域または5’末端の近くの領域へハイブリダイズし得、かつこれは伸長反応合成を第一の核酸から初回刺激することを可能とするオリゴヌクレオチドを利用することにより高められる。この方法は、蛍光発生5’ヌクレアーゼアッセイと同様、この伸長反応が熱循環反応などにおける高温で実行され得るために高い感度および特異性という利点を有する。この方法は、上記のように任意の取り込まれていない標識を除去する追加の工程を追加し得、それに次いで取り込まれた標識の直接または間接の検出が続く。1つの実施形態において、固相精製が使用され得て、伸長されたオリゴマーを、任意の取り込まれていない蛍光標識したdNTPから、捕獲するかまたは精製し、その後蛍光定量的検出が続く。
【0046】
参照核酸上の対応する位置においてヌクレオチドとハイブリダイズした3’末端ヌクレオチドを有したそれらの一本鎖伸長産物を、参照核酸上の対応する位置においてヌクレオチドとハイブリダイズしなかった3’末端ヌクレオチドを有した産物から、区別するなお他の方法は、プルーフリーディング活性が3’末端ヌクレオチドを置換し、さらにその伸長産物をさらに伸長した後、全長伸長産物の存在について本方法の産物を例えば、一本鎖(全長および全長ではないものの両方)を視覚化するための変性ゲル電気泳動により、分離する工程を、包含し得る。
【0047】
本発明の特定の適用において、分析される細胞の全数中、ほんの少しの割合の悪性細胞が存在し得る、初期のガン検出におけるような、全分析物の少ない割合を損なう変異を増幅することが所望され得る。変異が既知の部位(例えばK−ras遺伝子)で生じる場合の変異遺伝子の選択的増幅は、Storkら(Oncogene,6:857−862(1991))により記載されるように、変異を増幅するための特定のプライマーの設計により容易に達成される。しかし、野生型遺伝子の高い割合での遺伝子におけるランダムな変異の選択的増幅は、標準的なPCRによっては可能ではない。これらの適用において、この変異鋳型の選択的増幅が好まれ得る。従って、変異鋳型からの伸長産物は、その既知の鋳型から精製され、その配列が不明であるサンプルから精製した増幅核酸へハイブリダイズされる。この増幅された核酸は、この伸長産物との混合の前に残りのプライマーから精製され得て、野生型鋳型の再増幅を防ぐ。ハイブリッドは、例えば伸長産物の重合に適切な熱循環条件のもとで、熱安定性ポリメラーゼおよびdNTPに暴露され得る。3’末端ミスマッチによる既知の鋳型上で伸長に不応性であった伸長産物は、今度は変異鋳型へハイブリダイズし得る。それらはそこから形成されたものであり、そしてポリメラーゼにより伸長される。好ましくは、dNTPの1つが例えばジゴキシゲニンなどのハプテンを使用して標識化され、伸長産物の固相捕獲を可能にする。ハプテン標識された伸長産物の固相捕獲は、続いて初期の標的増幅のために使用されるプライマーを用いる標準PCR増幅を行うことは、変異を含むこの鋳型を優先的に増幅する。このPCR産物は、次いで標準的方法により配列決定され得て、変異またはヌクレオチド変化の正確な位置を具体的に同定する。
【0048】
本発明はまた、第一の核酸内のヌクレオチド変化を検出する方法を提供し、この方法は、修飾されたヌクレオチド塩基の存在下で、そして必要に応じて鎖末端ヌクレオチド塩基の存在下で、第一の核酸から一セットの一本鎖伸長産物を生成する工程であって、ここで伸長産物は、エキソヌクレアーゼ活性を3’末端ヌクレオチド塩基へ制限する修飾されたヌクレオチドを取り込み、そしてここで伸長産物は可変長を有する、工程、可変長伸長産物を参照核酸へハイブリダイズする工程、ハイブリダイズしている核酸を、デオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で、伸長産物の3’末端ヌクレオチドを除去および、置換し得る酵素と接触させる工程であって、ここで最後から2番目の3’ヌクレオチドは、伸長産物からの除去へ抵抗性であり、それにより参照核酸上の対応する位置とハイブリダイズしない最後から2番目の3’ヌクレオチドを含む伸長産物は、参照核酸上の対応するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチドと置換されず、それによりさらには伸長され得ない、工程、さらに伸長され得るそれらの伸長産物を伸長する工程、さらに伸長されたそれらの伸長産物を、さらには伸長され得ないそれらの伸長産物から区別する工程、それにより第一の核酸中のヌクレオチド変化を検出する工程を包含する。
【0049】
この特定の方法は、チオ修飾ヌクレオチドまたはボラン修飾ヌクレオチドのような、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性による除去に抵抗性のある不一致3’ヌクレオチドを削除および/または伸長するプルーフリーディングポリメラーゼの不能に基づいている。この方法において、種々の長さの一本鎖伸長産物のセットが、上記のように産生され、それら伸長産物が、参照核酸にハイブリダイズされ、そしてこのハイブリッドが、プルーフリーディングおよび重合に適した条件下で4つすべてのデオキシヌクレオチドの存在中でプルーフリーディング酵素に接触される。(図3および図4)3’末端ヌクレオチドが既知の参照核酸に一致する一本鎖伸長産物において、ポリメラーゼが、連鎖終結ヌクレオチドまたは他の3’末端ヌクレオチドを削除し、そしてそのヌクレオチドを置換し、そしてさらにその伸長産物を伸長させる。しかし、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性に抵抗性があり、一致または不一致の3’末端ヌクレオチドに隣接する(すなわち3’末端ヌクレオチド(図3)またはその末端から2番目の3’ヌクレオチド(図4))修飾ヌクレオチドに不一致が存在する場合、このプルーフリーディング酵素は、不一致の末端ヌクレオチドまたは末端から2番目の不一致のヌクレオチドを削除せず、その伸長産物をさらに伸長させ得ない。次いで、この反応産物を、例えば、変性ゲル電気泳動により分析し得、それによって、さらに伸長されなかった伸長産物の検出が、未知核酸と参照核酸との間のヌクレオチド変異を示し、そして伸長産物のさらなる伸長が、その鋳型が3’末端に塩基相補性を有し、従って、参照核酸と比較して第一の核酸の3’末端に核酸変異は存在しないことを示す。
【0050】
末端塩基の同一性が、連鎖終結ヌクレオチドを利用するこの実施態様に重要ではないので、その末端塩基は、一本鎖伸長産物が参照核酸とハイブリダイズする前に、除去され得る。3’→5’活性を有するいくつかのエキソヌクレアーゼは、この実施態様に適しており、容易に入手可能である。いくつかの例が、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレーゼIIIである。さらに、その末端塩基の除去が、後の反応におけるプルーフリーディング酵素についての必要性を取り除く。従って、Bst DNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラーゼの大フラグメントのような3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠如する酵素が、伸長検出に使用されうる。
【0051】
また、この3’末端ヌクレオチドは、ポリメラーゼの伸長活性に適切な基質であることだけを必要とするので、代替的な配列決定方法を使用し、この検出方法において使用するための一本鎖伸長産物のセットを産生し得る。例は、プライマー伸長反応に続いてエキソヌクレアーゼIIIでの酵素的消化において、チオリン酸化またはボランリン酸化修飾ヌクレオチドを区切り記号として使用する配列決定方法を含む。(Labeitら、DNA、5:173(1986)および、Porter、Nucleic Acids Research 25:1611〜1617(1997)を参照のこと)。これらの過程で産生された種々の長さの一連の一本鎖伸長産物が、チオ修飾ヌクレオチドまたはボラン修飾ヌクレオチドで終結され得、従って、この方法に対してよく適合する。
【0052】
下記の実施例は、完全な開示および特許請求される方法の説明を当業者に提供するために発表され、本発明の全くの例示であることが意図され、そして本発明者らがその発明としてみなすものの範囲を限定することが意図されない。数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証するための努力がなされたが、いくらかの誤差および偏差が考慮されるべきである。他に示されない限り、割合は重量での割合であり、温度は℃で示され、そして圧力は、大気圧またはその近くである。
【実施例】
【0053】
(鋳型分子の調製)
(K−rasの増幅)K−ras遺伝子エキソン1の275bp領域を、プライマーK−ras p−A(p−CAGAGAAACCTTTATCTG)(配列番号1)(5’リン酸を含む)およびK−ras p−B(GTACTGGTGGAGTATTT)(配列番号2)(Storkら、Oncogene、6:857〜862(1991)により開示されているように)を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。すべてのプライマーが、Oligos Etc.,Inc.、Wilsonville、ORにより合成された。この反応液(20μl)は、pH8.3の10mM Tris−HCl、50mM KCl、2.0mM MgCl2、1pm/μl KrasA&Bプライマー、20μMの各dNTP、1ng/μlのK562ゲノムDNA(Promega、Madison、WI)および0.025units/μlのTaqDNAポリメラーゼ(Perkin Elmer、Foster City、CA)を含んだ。製造業者の指示に従い、Taqポリメラーゼを使用する直前に、Taq Start抗体(Clontech、Palo Alto、CA)と混合した。熱サイクルをGeneAmp 9600 PCR System(Perkin Elmer)において、以下のプログラム(ホールド:95℃5分間、サイクル:95℃15秒間、53℃30秒間、72℃15秒間を33サイクル、ホールド:72℃5分間)で実施した。
【0054】
(配列決定)増幅されたDNAを、Wizard PCR Preps DNA Purification System(Promega)を使用し、サイクル配列決定のために精製した。K−ras AプライマーまたはK−ras Bプライマーのいずれかを使用して、両方向で配列決定をした。サイクル配列決定および検出を、製造者によって記載されるように、Silver Sequence DNA Sequencing System(Promega)で実施した。サイクル条件は:95℃5分間、サイクル:95℃30秒間、50℃30秒間、72℃60秒間を60サイクル、ホールド:4℃永久であった。この配列が、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTにおけるGenBank+EMBL+DDBJ+PDBデータベースに対するBLAST分析(Altschulら、J.Mol.Biol.、215:403〜10(1990))により、細胞性c−Ki−ras2プロトオンコジーンエキソン1の野生型すなわち正常の配列であることを確認した。
【0055】
(一本鎖鋳型の産生)精製されたPCR産物を、Pharmacia Biotech、Inc.、Piscataway、NJからのPCR Template Preparation Kitを使用し、λエキソヌクレアーゼ(HiguchiおよびOchman、Nucleic Acids Research、17:5865(1989))で消化することにより、一本鎖化した。
【0056】
(ジデオキシ−末端オリゴマーの産生)
(増幅および配列決定) k−ras遺伝子の同じ領域を、細胞株SW480(American Type Culture Collection、Rockvill、MD)のゲノムDNAから増幅し、そして上で概略を述べたように精製した。この精製したテンプレート(40ng)を、10pmのK−ras b−Aプライマー(10μlの0.7×Sequenase Reaction Buffer(Amersham)中)と混合し、2分間で100℃まで加熱し、次いで即座に5分間氷浴中で冷却した。5μlのEnzyme Mix[1μlの0.1M DTT(Amersham)+2μlの5×Sequenase Buffer(Amersham)+2μlのSequenase Version 2.0(Amersham)を、Enzyme Dilution
Buffer(Amersham)中に1:8で希釈したもの]を、氷冷DNA混合物に添加した。次いで、この混合物(3.5μl)を、37℃で200μMのα−チオ−dNTP(Amersham)および1μMのddATP(Pharmacia)の各々2.5μlを含むチューブに添加した。このことを、同様に残る3つのddNTPの各々に対して繰り返した。37℃で5分間、このサンプルをインキュベートした後、30μlの1×TE pH7.5(10mM Tris−Cl pH7.5 1mM EDTA)をこの反応を停止するために各チューブに添加した。
【0057】
(テンプレートからの伸長産物(extension product)の精製) ストレプトアジビンでコートした磁気ビーズ(Dynabeads M−280、Dynal Inc.,Lake Success,NY)を、伸長産物の固相捕捉のために使用した。使用の前に、製造者の指示に従ってDynabeadsを2×B&W緩衝液(10mM Tris−HCl,pH7.5,1mM EDTA,2M NaCl)で洗浄した。各完了したジデオキシ配列決定反応に対して、40μlの1.25μg/μlのストレプトアジビンでコートした磁気ビーズ(2×B&W緩衝液中)を各反応に添加した。継続的にボルテックスしながら15分間室温でインキュベートした後、このビーズを捕捉し、そして40μlの2×B&W緩衝液で洗浄した。DNA二重鎖の融解およびストランドの分離を、製造者の指示に従って実施した。
【0058】
(変異体および野生型テンプレートからのα−チオ末端オリゴマーの産生)
同じ領域のk−ras遺伝子を、K562およびSW480(American Type Culture Collection、Rockvill、MD)細胞株の両方のゲノムDNAから増幅し、そして上で概略を述べたように精製した。精製したテンプレート(240ng)を、60pmのK−ras b−Aプライマー(60μlの0.07×Sequenase Reaction Buffer中)と混合し、3つの20μlアリコートに分散し、3分間で100℃まで加熱し、次いで即座に5分間氷浴中で冷却した。10μlのEnzyme Mix[1μlの0.1M DTT+2μlの5×Sequenase Buffer+2μlのSequenase Version 2.0を、Enzyme Dilution Buffer中に1:8で希釈したもの]を、氷冷DNA混合物に添加した。次いで、この混合物(28μl)を、37℃で20μlの26μMα−チオ−dATP、54μMのdATPおよび80μMの残りの3つのdNTPを含むチューブに添加した。37℃で5分間、このサンプルをインキュベートした後、この反応を、75℃で10分間、加熱することによって不活化した。16μlの20U/μl Exonuclease III(Promega)(7×Exonuclease III Buffer(Promega)中)を含有する溶液を、各不活化した伸長反応に添加した。この反応を、37℃で30分間不活化し、次いで70℃で10分間不活化した。
【0059】
(ヌクレオチド変異の伸長検出)
(非−伸長検出) 2つのハイブリダイゼーション反応は、SW480およびK562α−チオ末端オリゴマー(K562由来のss k−rasテンプレートDNAを含むオリゴマーおよびテンプレートDNAを含まないオリゴマー)に対して設定された。ハイブリダイゼーション反応を含むテンプレートは、以下を含んでいた:K562またはSW480のいずれか由来の36μlのα−チオ末端オリゴマー、100ngのK562由来のss k−rasテンプレート、60μlの2×B&W緩衝液(10mM Tris−HCl,pH7.5,1.0mM EDTA,2M NaCl)および最終の体積が120μlになるような分子生物学グレード(MBG)水(Sigma,W−4502,St.Louis,MO)。平行反応は、テンプレートDNAなしで設定された。この反応を、2分間で99.9℃に加熱させ、そして1℃/分で58℃まで冷却した。この反応物を、Microcon YM−30遠心分離フィルター装置に移し、そして7200×gで5分間遠心分離した。保持物を450μlのMBG水と混合し、そして2回再濃縮した。この保持物を、最終容量12μlに、MBG水で調節した。この6μlの保持物を、4μl伸長マスターミックス:25mMのTris−HCl,pH8.3,125mM KCl,50mM MgCl2,500μMの各dNTPおよび0.125ユニット/μlのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)と混合した。Taqポリメラーゼを使用する直前に、製造業者の指示に従ってTaq Star抗体(Clontech,Palo Alto,CA)と混合した。この反応を、以下のように熱サイクルにかけた:ホールド:95℃で5分間、サイクル:95℃で15秒、次いで94℃で15秒(2℃減少/サイクル)(14サイクル)、サイクル:95℃で15秒、68℃で15秒(2℃減少/サイクル)、72℃で15秒(19サイクル)。完了後、4μlの停止溶液(95%ホルムアミド,20mM EDTA,0.05%ブロモフェノールブルー,0.05%キシレンシアノ−ルFF)を各反応に添加した。3μlの上清を、0.4mm×20cm×34cmの分析用の6%の変性ポリアシルアミドゲルに充填した。このゲルを、サンプルを充填しする前に30分間40Wで予め泳動し、そして40wで50分間泳動した。このPhototope−Star Detection Kit(New England Biolabs)を、製造者によって示されるビオチン化伸長産物の化学ルミネセンス検出用に使用した。
【0060】
(単一塩基伸長検出) 6μlの単一塩基伸長マスターミックスは、以下を含む:1×ThermoPol Reaction Buffer(New England Biolabs,Inc.,Beverly.MA)、2.0mMのMgSO4、200μMの未標識のddNTP(末端のジデオキシヌクレオチドに一致する)、200μMの33Pで標識した3つの残るddNTP(Amersham)、1ng/μlの一本鎖テンプレートDNAおよび0.01ユニット/μlのVent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)を、固相伸長産物を懸濁するために使用した。熱サイクルを以下のようにかけた:ホールド:95℃で5分間、サイクル:95℃で15秒、次いで94℃で15秒(2℃減少/サイクル)(14サイクル)、サイクル:95℃で15秒、68℃で15秒(2℃減少/サイクル)、72℃で15秒(19サイクル)、ホールド:4℃。
【0061】
本願の全体で、種々の刊行物が引用される。これらの刊行物の開示の全体は、本発明が属する技術水準をより十分に記載するために、明細書中において本願に参考として援用される。
【0062】
本発明のプロセスは、その特定の実施態様の詳細な説明に参照として記載されが、このような説明は、添付の特許請求の範囲に含まれる範囲を除き、本発明の範囲を限定するものとして扱われることを意図するものではない。
【0063】
(配列表)
【0064】
【化1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−63469(P2010−63469A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291508(P2009−291508)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【分割の表示】特願2000−566473(P2000−566473)の分割
【原出願日】平成11年8月18日(1999.8.18)
【出願人】(509353894)インサイト ジェネティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】