説明

ネットワークサービス提供装置

【課題】安全かつ効率のよい、汎用的なネットワークサービスを提供すること。
【解決手段】端末23が、通信ネットワーク機能部25のアドレス情報をデータベース15に問い合わせると、データベース15は、端末23に対してサービスバス13のアドレスを通知する。サービスバス13は、サービス要求メッセージを端末23から受け付け、サービスバス13に設定されている実行順序に従って処理を行い、実行制御サーバ11に該要求メッセージを送信する。実行制御サーバは処理を実行後、サービスバスを介して、サービスを提供する通信ネットワーク機能部25に、要求メッセージを送信する。通信ネットワーク機能部25は要求されたサービスを実施し、サービスバス13に対して応答メッセージを送信し、サービスバス13は、要求されたサービスの実行結果等を端末23に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク、情報ネットワークのサービスを提供する汎用的なネットワークサービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークのIP(Internet Protocol)化に伴い、通信ネットワークと情報ネットワークとを連携する技術が国際的に開発されている。例えば、通信ネットワークの国際標準化機関ITU−Tでは、通信ネットワークをIP化した次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)におけるインタフェースやサービスの標準化活動が活発に行われている。
また、Webサービスを効率よく実現するための機構として、標準的なインタフェースを有する再利用可能なソフトウェア部品の組み合わせによってシステムを構成するサービス指向アーキテクチャ(SOA:Service-oriented architecture)という技術を用いたWebサービスシステムが構築されている。SOA技術を用いることにより、新規サービスを開発する場合でも、既存のソフトウェア部品を利用して、効率よくかつ短時間に該サービスの提供が可能となる。例えば、特許文献1には、通信ネットワークと情報ネットワークの連携によるサービスの具体的な提供手段が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−332122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来技術は、主に特定のサービスを提供するためのものであり、汎用的なサービス提供システムではないため、提供するサービスごとにサービス提供システムを開発する必要があるという問題があった。
また、従来の技術では、個々のサービス提供システムごとにサービス要求者の認証処理やトラフィック監視処理等を行わなければならず、個々のサービス提供元に負担が係るという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、通信ネットワークサービスと情報ネットワークサービスとを提供するものであり、個々のサービス提供元での認証処理やトラフィック監視といった処理を行うことなく、安全で、かつ効率のよい、汎用的なネットワークサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために本発明は、通信ネットワークサービスと情報ネットワークサービスとのうち少なくともいずれか一方を提供するネットワークサービス機能部と、前記ネットワーク機能部からのサービスを要求する端末とに、通信可能に接続するサービスバスと、前記サービスバスに接続する実行制御部と、前記端末に通信可能に接続され、前記ネットワークサービス機能部のアドレスを保持するデータベースと、を具備し、前記データベースは、前記端末から前記ネットワークサービス機能部のアドレスに関する検索要求を前記端末から受け付けた際に、前記端末に前記サービスバスのアドレスを通知し、前記サービスバスは、前記端末からサービス要求メッセージと認証情報とを受け付け、前記実行制御部は、前記認証情報を認証し、前記実行制御部による前記認証情報の認証が確認されると、前記サービスバスは、前記サービス要求メッセージを前記ネットワークサービス機能部に送信し、前記ネットワークサービス機能部は前記サービスバスを介して前記端末にサービスを提供することを特徴とする。
【0007】
端末からのサービス要求はサービスバスに送られる。実行制御部が端末の認証処理を行うため、サービス提供元では認証処理を行う必要がない。また、実行制御部がトラフィック監視処理を行うことも可能である。
また、サービスバスは、ネットワークサービス機能部の実行順序の設定を保持し、設定に従って、前記ネットワークサービス機能部は前記サービスバスを介して端末にサービスを提供する。
サービスバスが保持する設定は変更可能であり、この設定を元にサービス提供の実行を制御するため、複数の、或いは、異なる形態のサービス機能部からのサービスの提供処理を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、提供するネットワークサービスやサービスを受ける通信端末側の種類や形態等に拠らず、安全に効率よくネットワークサービスが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に係るネットワークサービス提供装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0010】
図1は、本発明の本実施の形態に係るネットワークサービス提供システム1の構成例を示す機能ブロック構成図である。
図1に示すように、ネットワークサービス提供システム1は、ネットワークサービス提供装置3、端末23、通信ネットワーク機能部25、情報ネットワーク機能部27等から構成される。
ネットワークサービス提供システム1では、サービ要求者Aは、端末23を用いて、ネットワークサービス提供装置3を介して、通信ネットワーク機能部25或いは情報ネットワーク機能部27の提供するサービスを受けるものである。
【0011】
端末23は、ネットワークサービス提供装置3に接続し、ネットワークサービス提供装置3を介して、通信ネットワーク機能部25、情報ネットワーク機能部27に対して通信や情報のサービス提供を要求する。端末23は、例えば、コンピュータや携帯型電話端末(携帯電話端末あるいはPHS(登録商標、パーソナル・ハンディフォン・システム)端末)やPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などである。
【0012】
通信ネットワーク機能部25は、例えば電話サービス、TV電話サービス、メールサービス、企業内網等であり、情報ネットワーク機能部27は、例えば、Webサービス(情報提供サービス)、放送サービス等であり、両者とも企業などのサービス提供者から提供される。
【0013】
ネットワークサービス提供装置3は、実行制御機能部5とデータベース15から構成される。実行制御機能部5は、実行制御サーバ11とサービスバス13からなる。
サービスバス13は、端末23、通信ネットワーク機能部25、情報ネットワーク機能部27等に接続するインタフェースである。サービスバス13は、実行制御の順番等の設定を記憶する機能を有し、その設定は容易に変更可能である。そして、実行制御の順番設定により、通信ネットワーク機能部25や情報ネットワーク機能部27の個々の機能ごとに実行制御のON/OFF、実行順序の変更が行われる。
【0014】
サービスバス13は端末23から受け取った要求メッセージや設定等を実行制御サーバ11に通知し、実行制御サーバ11は、端末23から送られたメッセージ、認証情報、或いはサービスバスの設定を元に、端末23の認証、記録等の処理を行う。
実行制御サーバ11が複数ある場合でも、サービスバス13の記憶する設定により、複数のサーバの実行順序、処理等を制御することが可能である。
データベース15は、通信ネットワーク機能部25や情報ネットワーク機能部27が提供するサービスのアドレス等を記憶する。
【0015】
次に、ネットワークサービス提供装置3によるサービス提供処理について説明する。図2は、ネットワークサービス提供装置3による通信サービス提供処理の流れを示すシーケンス図である。
サービス要求者Aは、端末23からデータベース15に対して、通信ネットワーク機能部25のアドレス情報を問い合わせる(ステップS101)。データベース15は問い合わせを受け付け、端末23に対してサービスバス13のアドレスを通知する(ステップS102)。
【0016】
端末23は、サービスバス13に通信ネットワークサービスの要求メッセージを送信する。この際、要求メッセージと共に、サービス要求者Aの認証情報やトラフィック監視処理に必要なパラメータが送られることもある。サービスバス13は、サービス要求者Aによって入力されたサービス要求メッセージを端末23から受け付け(ステップS103)、サービスバス13に設定されている実行順序に基づいて、実行制御サーバ11に該要求メッセージ等を送信する(ステップS104)。実行制御サーバ11は、送信されたメッセージや認証情報、トラフィック監視処理パラメータ等を元に、端末23に対するサービス要求の認証、該要求メッセージの受信時刻の記録等の処理を行う(ステップS105)。
【0017】
実行制御サーバ11は、認証に必要な認証情報(ユーザ名やパスワード等)或いはトラフィック監視処理に必要なパラメータ等を削除し、サービスバスに対して要求メッセージを送信する(ステップS106)。サービスバス13は、サービスを提供する通信ネットワーク機能部25に、要求メッセージを送信する(ステップS107)。通信ネットワーク機能部25は要求されたサービスを実施し(ステップS108)、サービスバス13に対して応答メッセージを送信する(ステップ109)。
【0018】
サービスバス13は、応答メッセージを実行制御サーバ11に転送し(ステップS110)、実行制御サーバ11は応答メッセージを受信し、当該通信サービス機能の実施にかかった時間等を記録した後(ステップS111)、メッセージをサービスバス13に送信する(ステップS112)。サービスバス13は、要求されたサービスの実行結果等を端末23に通知する(ステップS113)。
ステップS103からステップS113の実行順序等はサービスバス13が記憶する設定によって決められる。この設定は変更可能である。
また、端末23から情報ネットワーク機能部27によるサービス提供を要求した場合も同様の流れとなる。
【0019】
以上説明したネットワークサービス提供装置3によるサービス提供処理について、具体的な例をあげて以下に説明する。
ネットワークサービス提供装置3が、通信ネットワークサービスを提供する場合について説明する。例えば、サービス要求者Aがサービス要求者Bとの電話接続サービスを要求する場合について説明する。図3は、電話接続サービス提供システムの機能ブロック構成図である。
【0020】
サービス要求者Aは、端末23aを用いて、電話サービス名とサービス提供元のアドレスを管理するデータベース15に対して、電話接続サービス提供元(電話サービス提供サーバ)のアドレスを検索する。データベース15はアドレスの検索要求を受け付け、端末23aに対してサービスバス13のアドレスを通知する。
【0021】
サービス要求者Aは、通知されたサービスバス13のアドレスに対して、サービス要求者Aのユーザ名とパスワードと共に、端末23aとサービス要求者Bの端末23bとの電話接続サービスの要求メッセージを送信する。サービスバス13は要求メッセージ等を受け付け、実行制御サーバ11に送信する。実行制御サーバ11は、送られたユーザ名とパスワード等からサービス要求者Aがサービスを利用可能かどうかを判定する。サービス要求者Aが電話接続サービスを利用可能な権限を有すると判断された場合、実行制御サーバ11は、サービスバス13を通して、電話接続サービスを提供する通信ネットワーク機能部25−1に対して、要求メッセージを送信すると同時に、送信時刻の記録を行う。
【0022】
要求メッセージを受信した通信ネットワーク機能部25−1は、要求メッセージに基づいて、端末23aと端末23bとの電話接続を行う。電話接続を実施した通信ネットワーク機能部25−1は、サービスバス13に対して応答メッセージを送信する。サービスバス13は受信した応答メッセージを実行制御サーバ11に送信する。実行制御サーバ11は、先の要求メッセージ送信時刻と応答メッセージの受信時刻との差分を取って、サービスにかかった処理時間を算出し、記録し、応答メッセージをサービスバス13に送信する。サービスバス13は、応答メッセージをサービス要求者Aの端末23aに送信する。
【0023】
次に、ネットワークサービス提供装置3が、情報ネットワークサービスを提供する場合について説明する。例えば、サービス要求者Aが旅行パック検索/予約サービスを利用する場合について、図1を参照して以下に説明する。この場合、図1に示すブロック構成図において、情報ネットワーク機能部27は旅行パック検索/予約サービスに相当する。
【0024】
サービス要求者Aは、端末23を用いて、旅行パック検索/予約サービス提供元のアドレスを管理するデータベース15に対して、旅行パック検索/予約サービス提供元のアドレスを検索する。データベース15はアドレスの検索要求を受け付け、端末23に対して、旅行パック検索/予約サービス提供元のアドレスとしてサービスバス13のアドレスを通知する。
【0025】
サービス要求者Aは、通知されたサービスバス13のアドレスに対して、旅行サービス要求者Aのユーザ名とパスワードと共に、パックの希望価格、旅行先の希望、旅行期間といった旅行パック選択に必要な情報を端末23から入力し、サービスの要求メッセージとして送信する。サービスバス13は要求メッセージを受け付け、実行制御サーバ11に送信する。実行制御サーバ11は、送られたユーザ名とパスワード等からサービス要求者Aがサービス利用可能かどうかを判定する。
【0026】
サービス要求者Aが旅行パック検索/予約サービスを利用可能な権限を有すると判断された場合、実行制御サーバ11は、要求メッセージからユーザ名とパスワードを除去し、その要求メッセージをサービスバス13を通して旅行パック検索/予約サービスを提供する情報ネットワーク機能部27に対して送信すると同時に、送信時刻の記録を行う。
【0027】
要求メッセージを受信した情報ネットワーク機能部27は、要求メッセージに基づいて、旅行パック検索/予約の検索処理を行う。検索処理を実施した、旅行パック検索/予約サービス提供元である情報ネットワーク機能部27は、サービスバス13に対して、検索結果の旅行パック、キャンセル料がかかる日付等の情報を含んだ応答メッセージを送信する。サービスバス13は受信した応答メッセージを実行制御サーバ11に送信する。実行制御サーバ11は、先の要求メッセージ送信時刻と応答メッセージの受信時刻との差分を取って、サービスにかかった処理時間を算出し、記録し、応答メッセージをサービスバス13に送信する。サービスバス13は、応答メッセージをサービス要求者Aの端末23に送信する。
【0028】
また、ネットワークサービス提供装置3は、通信ネットワークサービスと情報ネットワークサービスを組み合わせて提供することも可能である。例えば、サービス要求者Aの端末23が先の旅行パック検索/予約サービスの検索結果を受けた後、本ネットワークサービス提供装置3を用いて、旅行パックの提供元である旅行会社に対して電話接続サービスを受けることも可能である。
【0029】
例えば、旅行パック検索/予約サービス/電話通知付きサービスとして、情報ネットワークサービス機能部27が旅行パックの検索を行い、検索結果がサービスバス13を介して端末23に通知される。この検索予約された旅行パックのキャンセル料開始日に、サービス要求者Aの端末23には通信ネットワーク機能部25によるサービスが自動的に提供され、旅行パックを提供する旅行会社などへの電話接続サービスが行われ、予約された旅行パックをキャンセルするかどうかの確認作業が行われてもよい。
【0030】
以上述べたように、本ネットワークサービス提供装置3によれば、サービスを提供する通信ネットワーク機能部25或いは情報ネットワーク機能部27は、サービス要求者の認証処理やトラフィック監視等の処理を行うことがなく、サービスを提供することができる。そのため、サービス提供側ではサービス提供処理にかかる時間もコストも削減でき、サービス要求者にとっても処理時間が短くなるという効果がある。
また、サービスバス13を用いることによって、通信ネットワーク機能部25及び情報ネットワーク機能部27の種類、サービス提供形態等に関係なく、サービスを提供することができる。また、サービスバス13が、複数のサービスの組み合わせやその実行順序の設定を記憶するため、様々なサービスを組み合わせて提供することが可能となる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るネットワークサービス提供装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態に係るサービス提供システム1の機能ブロック構図
【図2】ネットワークサービス提供装置3による通信ネットワークサービスの提供処理の流れを示すシーケンス図
【図3】通信ネットワークサービス提供システムの機能ブロック構図
【符号の説明】
【0033】
1………ネットワークサービス提供システム
3………ネットワークサービス提供装置
5………実行制御機能部
11………実行制御サーバ
13………サービスバス
15………データベース
23………端末
25………通信ネットワーク機能部
27………情報ネットワーク機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークサービスと情報ネットワークサービスとのうち少なくともいずれか一方を提供するネットワークサービス機能部と、前記ネットワーク機能部からのサービスを要求する端末とに、通信可能に接続するサービスバスと、
前記サービスバスに接続する実行制御部と、
前記端末に通信可能に接続され、前記ネットワークサービス機能部のアドレスを保持するデータベースと、
を具備し、
前記データベースは、前記端末から前記ネットワークサービス機能部のアドレスに関する検索要求を前記端末から受け付けると、前記端末に前記サービスバスのアドレスを通知し、
前記サービスバスは、前記端末からサービス要求メッセージと認証情報とを受け付け、
前記実行制御部は、前記認証情報を認証し、
前記実行制御部による前記認証情報の認証が確認されると、前記サービスバスは、前記サービス要求メッセージを前記ネットワークサービス機能部に送信し、前記ネットワークサービス機能部は前記サービスバスを介して前記端末にサービスを提供することを特徴とするネットワークサービス提供装置。
【請求項2】
前記サービスバスは、前記ネットワークサービス機能部の実行順序の設定を保持し、前記設定に従って、前記ネットワークサービス機能部は前記サービスバスを介して前記端末にサービスを提供することを特徴とする請求項1記載のネットワークサービス提供装置。
【請求項3】
前記サービスバスは、前記サービス要求メッセージとともに、トラフィック監視処理に必要なパラメータを前記端末から受け付け、
前記実行制御部は、前記パラメータを用いてトラフィック監視処理を行うことを特徴とする請求項1記載のネットワークサービス提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−217111(P2008−217111A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50010(P2007−50010)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】