説明

ネットワークシステムおよび通信障害復旧方法

【課題】システムダウンへの耐性を高めたネットワークシステムを提供すること。
【解決手段】ARCNET(登録商標)を用いて形成されるネットワークにおいて、ノードが接続されるアクティブハブ100のポートに検波部dを設け、レベル信号の継続時間からバースト信号を検出し、連続バースト送信の異常発生を検出して、遮断部により異常ノードが接続されたポートをオープンし、ネットワークから隔離する。復旧ノードがアクティブハブに装着されると、3回連続したバースト信号を受信しその後1秒間の待機後バーストが検出されない場合、ポートをクローズしてノードを接続して当該ノードのバースト信号受信によりログオン処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ARCNET(Attached Resource Computer Network)(登録商標)に準拠するネットワークシステムと、このシステムで用いられるおよび通信障害復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送設備のデジタル化に伴い種々の放送機器を制御するための設備もデジタル化され、例えば、番組自動送出制御設備では、映像素材を蓄積したレコーダや、複数の映像を切り替えるスイッチャなどの被制御機器との間がLAN(Local Area Network)系のネットワークで接続されて制御情報が伝送されている。このようなネットワークでは、保証された応答時間内で確実に信号伝送されるリアルタイム制御が必要であり、ARCNET(登録商標)が代表的に用いられている。
【0003】
ARCNET(登録商標)の特徴は、各ノードからのアクセス衝突を避けたトークンパッシング方式を採用するネットワークであることと、障害発生や、ノードの追加などネットワークトポロジが変化するとただちに物理層レベルでのコンフィギュレーションデータの再構築処理が起動される。
【0004】
その反面、何らかの障害により再構築要求信号(バースト信号)を繰り返し出し続けるノードが生じると、LAN上のノードはトークン(使用権)を次のノードに受け渡す(トークンパスする)ことができず、ネットワーク内におけるトークンの回周が停止してしまう。このような状況に陥るとLAN全体がシステムダウンしてしまい、一切の通信ができなくなってしまうおそれがある。
【0005】
例えばトークンリング方式を採用する光LANにおいてネットワークのダウンの防止を図る技術は知られているが(特許文献1を参照)、この技術をARCNET(登録商標)に応用することはできない。ARCNET(登録商標)の仕様のゆえに生じるバースト信号の発生に対処でき、ARCNET(登録商標)−LANのダウンを防止可能な技術が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−61623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ARCNET(登録商標)においては、バースト信号を出し続けるノードが生じると、ネットワークの仕様のゆえに、ノード間でトークンの受け渡しができなくなる。このような状況に陥ればシステム全体がダウンするおそれがあり、何らかの対策が求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、システムダウンへの耐性を高めたネットワークシステム、および通信障害復旧方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本実施形態のネットワークシステムは、ハブ装置を介して接続される複数のノードにより形成されるネットワークをARCNET(Attached Resource Computer Network)(登録商標)プロトコルで運用するネットワークシステムにおいて、自ノードを再起動する指示を入力するリセット手段と、前記リセット手段から前記指示が入力された場合、再構築を要求するバースト信号を840ms未満の時間を置いて少なくとも2回の所定の回数繰り返して送出した後、840ms以上待機してから前記バースト信号を前記ネットワークに送出する再構築要求手段とを備える前記各ノードと、前記ノードがそれぞれ固有に装着される接続ポートと、各前記接続ポートに備えられ、前記ネットワークと前記ノードとの間の接続の開閉をする遮断スイッチと、前記遮断スイッチのノード側接点に接続されて前記ノードが送信する信号を検出し、その信号のレベル情報を出力するレベルモニタ手段と、前記レベル情報を監視して所定レベル以上になる継続時間から前記バースト信号を検出し、検出したバースト信号が前記所定の繰り返し回数よりも1回以上多く繰り返された場合、そのバースト信号が入力されている接続ポートに接続されているノードを異常と判定して当該接続ポートの前記遮断スイッチを開く制御を行い、前記開かれた遮断スイッチに接続されているレベルモニタ手段から前記バースト信号が840ms未満の時間を置いて前記繰り返し回数入力された後続いて840ms以上経過後前記バースト信号が入力した事を検出した場合、当該接続ポートに正常なノードが再装着されたと判定して開放中の前記遮断スイッチを閉じる制御を行う制御手段とを備えるハブ装置とを具備する事を特徴とする。
【0010】
また、本発明のネットワークシステムの通信障害復旧方法は、それぞれがリセット手段を有する複数のノードおよび、各前記ノードが装着される接続ポートと、前記ポート毎にネットワークと当該ノードとの間接続を開閉する遮断スイッチとを有するハブ装置を備え、前記各ポートに装着される複数のノードの間が前記ハブ装置を介して接続されるネットワークをARCNET(Attached Resource Computer Network)(登録商標)プロトコルで運用するネットワークシステムの通信障害復旧方法において、各前記ノードは、前記ハブ装置の前記各ノードが固有に装着される接続ポートに装着され、前記リセット手段から当該ノードを再起動するリセット指示が入力された場合、ネットワーク再構築を要求する前記ARCNET(登録商標)所定のバースト信号を840ms未満の間をおいて少なくとも2回の所定の回数繰り返して送出した後、840ms以上待機し、前記ハブ装置は、前記遮断スイッチのノード側の接点に入力する信号のレベルを監視して、その信号レベルが所定のレベル以上となる継続時間から入力中の信号がバースト信号と判定して検出し、前記検出したバースト信号が前記繰り返し回数よりも1回以上多く繰り返すとそのバースト信号が入力されている接続ポートに接続されているノードを異常と判定して当該ポートの前記遮断スイッチを開く制御を行い、前記ハブ装置は、前記開かれた遮断スイッチのノード側からバースト信号と判定されるレベルの信号が840ms未満の時間を置いて前記繰り返し回数入力された後、続いて840ms以上経過してもバースト信号が入力していない場合、当該ポートに装着されたノードは正常と判定して開放中の前記遮断スイッチを閉じて再接続する制御を行い、前記再接続されたノードは前記待機した後前記バースト信号を前記接続ポートへ送出することによりネットワークにログオンする処理を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係わるネットワークシステムの実施の形態を示す図。
【図2】図1のネットワークシステムの論理的な接続関係を示す模式図。
【図3】アクティブハブに各ノードが接続された状態の一例を示す図。
【図4】アクティブハブの実施の形態を示す機能ブロック図。
【図5】制御ユニットの実施の形態を示す機能ブロック図。
【図6】ノードの実施の形態を示す機能ブロック図
【図7】ノードがネットワークに再ログオンする処理手順を説明するフローチャート。
【図8】復旧時のバースト信号の送信タイミングを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下実施形態のネットワークシステムを図面を参照して説明する。
【0013】
まず、ARCNET(登録商標)について説明する。ARCNET(登録商標)はメッセージ送信権であるトークンをノード間で受け渡すことにより、ネットワーク上でメッセージを送信するネットワークシステムである。ネットワーク上のノードは番号で示されるネットワークID(識別子)を持ち、トークンはID順にノードを回周する。
【0014】
送信するメッセージが無いノードは、トークンを受信するとすぐに次のノードにトークンをパス(渡す)する。メッセージを送信するノードは、トークンを受け取ったときにのみメッセージを送信し、その後に次のノードへトークンを渡すことにより複数のノードが同時に送信することなく、ネットワーク上の衝突を防いでいる。トークンは同時に全てのノードで受信されるが、メッセージを送信できるのはトークンに記載される番号の次の順番のID番号を持つノードのみである。
【0015】
ARCNET(登録商標)では、ネットワークに新しいノードが加わる場合、新しいノードは、トークンのパスが中断されるよう所定の時間連続するバースト信号をネットワーク上に送出する。これによりトークンを持っているノードからの送信が妨害され、どこにもトークンの存在しない状態が作り出される。その後、ARCNET(登録商標)プロトコルに基づく手順によりトークンの周回する経路が再構築(リコンフィグレーション)される。
【0016】
また、なんらかの原因でトークンが消失した場合にもバースト送信による再構築が行われる。ネットワーク上のノードにバースト信号を出し続ける障害が発生すると、ネットワーク上のノードはトークンを次のノードに受け渡すことができなくなり、一切の通信ができなくなる。以下ではこのような問題を解決することの可能な実施形態について説明する。
【0017】
図1は、この発明に係わるネットワークシステムの実施の形態を示す図である。図1のシステムは複数のノードをハブ装置(アクティブハブ)100を介して接続して構成される。各ノードには#01〜#255(FE)までの識別子(ID)がユニークに割り当てられる。
【0018】
言い換えれば、ARCNET(登録商標)では最大で255台のノードが同じネットワークに存在(ログオン)することが可能である。実際にネットワークにログオンするノードには#01〜#255(FE)のうちから固有のIDが割り当てられる。また、アクティブハブ100にここでは、ノードのIDとして#255を割り当て、このアクティブハブ100もノードとして機能させる。
【0019】
ARCNET(登録商標)では再構築処理におけるトークン回周は、IDの大きいノードから順に送信権を得るようになっている。そこでIDの最大値である#255(#FE)をアクティブハブ100に与えると、アクティブハブ100は常に最初にトークンの送信権を得られる。その結果、アクティブハブ100はネットワークの監視機能を有することができる。
【0020】
図2は、図1のネットワークシステムの論理的な接続関係を示す模式図である。ARCNET(登録商標)はトークンパッシング型のプロトコルであり、トークンの回周する順序でみればノード間の論理的な接続形態はリング状になる。ネットワークの状態が安定していれば、トークンはこのリングのノードを順番に伝達される。この実施形態では、アクティブハブ100も一つのノードとしてネットワークに参加する。
【0021】
何らかの障害によりトークンを受信できないノード(図2では#02)が生じた場合について
説明する。ノード#02でトークンを受信できない状態が一定期間、すなわちARCNET(登録商標)では840ミリ秒が経過すると、ノード#02の内部タイマ(ネットワーク状態監視タイマ)がタイムアウトする。そうするとノード#02は直ちにバースト信号をネットワークに送出してネットワークの再構築(リコンフィグレーション)を要求する。バースト信号を検出したノードはただちに再構築処理を開始する。
【0022】
図3は、アクティブハブ100に各ノードが接続された状態の一例を示す図である。図3においてアクティブハブ100は複数のポート1〜8を備え、このうちポート1,2,4,5,8にそれぞれが対応してノード#05、ノード#02、ノード#10、ノード#01、ノード#212が装着され、各ノードとネットワークとの間が接続されるとする。アクティブハブ100にはポート番号とノードIDとの対応関係が図示されない内部メモリ等に予め書き込み記憶されている。
【0023】
図4は、アクティブハブ100の実施の形態を示す機能ブロック図である。図4において、アクティブハブ100の各ポート1,2,3,…はそれぞれ遮断部11,21,31,…に接続されて装置内に引き込まれる。遮断部11,21,31,…は制御ユニット200により制御され、ポートの遮断/接続を行う。また、遮断部11,21,31,…は、ノードからの入力信号を検波整流(積分)してその直流レベルをモニタし、制御ユニット200へ通知する検波部dが各ポート側(機器側)の接点に接続されている。
【0024】
ここで、制御ユニット200にはIDの最大値#256(#FF)より1つ少ないIDである#255(#FE)が割り当てられる。制御ユニット200はノードの1つとして機能することにより各ポートから入力される信号をモニタし、図1のネットワークの状態を把握する。特に制御ユニット200は後述の手法により障害の生じたノード(障害ノード)を特定し、この障害ノードに接続されるポートを遮断する。
【0025】
さらに、アクティブハブ100はリセットボタン20と、発光ダイオード(LED)30とを備える。リセットボタン20は遮断されたポートを再接続するためのもので、ノード障害の復旧後に操作されることで、復旧したノードはネットワークに再接続される。LED30は例えばその表示色を変更して、遮断ポートの生じたことをネットワークの管理者などに通知する。
【0026】
図5は、アクティブハブ100の制御ユニット200の実施の形態を示す機能ブロック図である。
制御ユニット200は、ハードウェア(H/W)インタフェース部10、メモリ40、CPU(Central Processing Unit)50、およびARCNET(登録商標)チップセット60を備える。
【0027】
このうちH/Wインタフェース部10はリセットボタン20およびLED30に接続され、CPU50からの指示を電気信号に変換する。また、H/Wインタフェース部10からは、検波部dからの各ポートに信号入力があることを示すレベル信号がCPU50へ通知される。
【0028】
CPU50はメモリ40に記憶されるプログラムに基づく処理機能として、トークンキャプチャ部50a、モニタ処理部50b、特定処理部50c、遮断処理部50d、通知処理部50e、およびこれらの機能を物理層に近いレベルでサポートするファームウェア50fを備える。なお、ファームウェア50fには、後述のバースト信号を監視する専用のアプリケーションプログラムが搭載されている。
【0029】
メモリ40は、この実施形態に特有の一時記憶手段として管理レジスタ40aを備える。管理レジスタ40aはバースト信号が入力されたポートを記録するもので、障害ノードの特定を始めとして、ノードのネットワークへの参加(ログオン)状態の監視などに用いられる。また、カウンタ40cは、バースト信号の受信回数をカウント記憶する。
【0030】
トークンキャプチャ部50aは、ネットワーク内で回周するトークンをキャプチャする。モニタ処理部50bは、所定の値以上のレベル信号が入力されたタイミングにそのレベル信号が入力されたポート番号をメモリ40の管理レジスタ40aに書き込み記憶する。
【0031】
なお、ノードからハブのポートへ入力される信号がバイフェーズまたは、RZなど、符号化されている場合、バースト信号が検出出来るようベースバンド信号へ復号し検波、整流(積分)をする(検波回路の時定数を例えば、50μs以上に調整する。)ことにより、検波信号に直流レベルが生じるようにする。この直流のレベル信号は、予め設定されたスレショルドレベルによってレベル判定され、バースト信号の様に“1”が8個連続した中に“0”が1個有っても、連続して「HIGH」に在る信号として変換される。
【0032】
そして、このレベル信号が「HIGH」になる時間がバーストの送信時間2.7msに近いことから入力中の信号がバースト信号であることが判定可能になる。
【0033】
特定処理部50cは、「HIGH」レベルの信号が入力されると内部タイマ60cを参照して「HIGH」になる時間を調べ、例えば2、7ms±0.3msであれば、バースト信号と判定する。または後述のチップセット60からのバーストの通知があるかを調べて入力中の信号がバースト信号で有る場合、管理レジスタ40aの内容からそのポート番号をバースト信号受信ポートとして特定するとともに、バースト受信ポートとして管理レジスタ40aに「受信」と書き込み記憶する。正常なバースト処理が行われ、そのポートに接続されたノードがログイン処理出来た場合、管理レジスタ40aのバースト「受信」がクリアされる。
【0034】
この管理レジスタを監視している遮断処理部50dは、複数回、例えば、4回以上繰り返してバースト信号を受信している場合、バースト信号を出力していると特定されたノードに接続されたポート(ここでは、ポート2。)を異常と判定して遮断部21をオープンしてノードをネットワークから遮断する。この繰り返し回数は、後述の様にノードがハブ装置に装着されてリセットスイッチを押された後、所定時間待機してから送出するバースト信号を含めて送出する回数とする。
【0035】
また、遮断処理部50dは、特定処理部50cが特定したバースト信号を送出したノードがARCNET規定以上の時間、例えば、3.1ms以上連続していると遮断処理部50dは、遮断すべきポートに繋がる遮断部をオープンして、当該ポートを介して接続されるノードをネットワークから隔離する。
【0036】
通知処理部50eは、遮断処理部50dにより遮断されたポートが生じるとLED30(図5)を点灯し、その旨をユーザあるいはネットワークの管理者などに通知する。なお遮断ポートが生じたことをネットワークを介して外部のサーバ装置などに通知するようにしてもよい。
【0037】
ARCNET(登録商標)チップセット60はARCNET(登録商標)に準拠するノード装置に搭載される既存のチップセットであり、トークン処理部60a、再構築処理部60b、内部タイマ60c、およびバースト信号送出部60dを備える。すなわちこの実施形態では制御ユニット200はノードとしての機能も併せ持つ。
【0038】
トークン処理部60aはトークンの送受に関わる処理を行う。再構築処理部60bはトークンが未達の状態でネットワーク状態監視タイマがタイムアウトするとバースト信号送出部60dに指示を与え、バースト信号をネットワークに送出してネットワークの再構築を要求する。また、他のノードからのバースト信号を検出すると、再構築処理部60bはネットワークの再構築処理を開始する。
【0039】
内部タイマ60cはARCNET(登録商標)に準拠するノードが備える計時機能であり、840ms(ミリ秒)でタイムアウトするネットワーク状態監視タイマのほか、ネットワーク応答監視タイマ(78μs:マイクロ秒)でタイムアウト)と、アイドル状態監視タイマ(86μsでタイムアウト)として機能する。次に上記構成における作用を説明する。
【0040】
従来、バーストを受信した場合、予め設定された判定方法によりチップセット60は、CPU50へ例えば、以下の方法によりデータ等の信号を受信しているかまたは、受信した信号がバースト信号であるかを通知する。
【0041】
受信中の信号がバーストであるかを判定する方法は、例えば、チップセットがバーストフォーマット信号「“1”X8 + “0”X1」を受信した場合に、バースト信号であることを判定して出力するバースト受信フラグをCPU50へも通知する。どのポートに接続されているノードが異常であるかを検出するには、特開2010−74515号に示される再構築前にトークンが何処まで回ったかを監視して判読する方法等がある。
【0042】
本実施形態においては、先に述べたようにアクティブハブが各ポートのレベル信号を監視することにより異常なバーストが入力されるポートを物理的に検出して異常ノードとの接続を遮断(遮断部のスイッチをオープン)する。この遮断方法については、従来と同じくトークン監視方法によって異常と特定されたノードが接続されたポートの遮断部をオープンに(接続遮断)する方法を採用しても良い。
【0043】
遮断処理部50dは、異常なバーストを受信しているポートに対応する遮断部を切り離すとともに、管理レジスタ40aに当該ポートの遮断部が「オープン」状態で在ることを書き込み記憶する。この「オープン」が設定されると通知処理部50eは、LED30を点灯するか、または、ネットワーク等(図示せず。)を通じた警報によりネットワーク管理者へ以上が発生したことを通知する。そして、管理者は、異常の発生したノードについて、交換、修理等所要の処置を行う。
【0044】
この管理レジスタ40aは、「オープン」がセットされるとファームウェア50fからクリア指示を受けるまでその状態を保つ。ファームウェア50fは、レジスタを監視し、異常が修復され遮断部が接続の「クローズ」状態に戻った場合、管理レジスタ40aの「オープン」をクリアする。
【0045】
以下、本実施形態における異常が修復したノードが再度ログオンするまでのアクティブハブ100とノードとのバースト信号処理手順について説明する。
図6は、ノードの実施の形態を示す機能ブロック図、図7は、本実施の形態の復旧ノードがネットワークに再ログオンする処理手順を説明するフローチャート、図8は、復旧時のバースト信号の送信タイミングを説明する図である。
図6に示されるノードは、図5に示される制御ユニットと同様の機能、構成については同じ番号を付与し、その詳細説明は省略する。
【0046】
図6においてノード(#01)、(#02)・・・は、アクティブハブの制御ユニット200と類似の機能構成をしている。H/Wインタフェース10Nは、例えば、ビデオサーバなどの被制御機器Uxと接続され、情報を授受する機能が制御ユニット200の場合に比べて追加されている。また、メモリ40内の管理レジスタ40aは省略され、カウンタ40cのみでも良い。
【0047】
また、CPU50のファームウェア50fnには、バースト信号を出力制御するアプリケーションプログラムが搭載されている。また、被接続機器Uxとの間の情報授受に係わる伝送制御アプリケーションプログラムが組み込まれている。各ノードは、ARCNET(登録商標)のプロトコルに従って、前述のトークン監視、バースト信号送信などのネットワークアクセスに係わる基本動作を実行する。そして、以降の説明は、この基本動作に加えてバースト信号を連続送信する異常状態から修復したノードが再びネットワークにログオンする処理手順に係わるものである。
【0048】
再び、アクティブハブ装置100の動作について説明する。この実施形態では、制御ユニット200の特定処理部50cにより障害ノード(#02)が特定されると、遮断処理部50dはノード#02に接続されるポート2の遮断部21(スイッチ)をオープンとし、障害発生要因となるノード(#02)がネットワークから隔離されている。しかし、遮断部21がオープンであっても、そのノード側スイッチ接点からは、レベル信号がH/Wインタフェース10Nを介してモニタ処理部50bへ入力されている。
【0049】
ノード(#02)が接続されているアクティブハブ100のポート2からのレベル信号を監視しているモニタ処理部50bは、管理者が故障のノード(#02)をネットワークの接続から外すと、レベル信号がゼロレベルになったことを検知する。しかし、ファームウェア50fは、遮断処理部50dに対してそのまま遮断部21を「オープン」のままとさせる制御を行いレジスタ40aも「オープン」が継続される。
【0050】
次にノードの動作を説明する。管理者が、交換用、または修理を終えた正常な(修復)ノード(#02)をアクティブハブ100のポート2に装着した後ネットワークに再接続させるためにリセットスイッチを押す(図7のステップs1)。ノード(#02)のファームウェア50fnは、このリセット情報を検知するとバースト処理手順を開始し(ステップs2)ARCNETチップセットのバースト信号送出部60dをアクティブにし、図8のβ1で示されるバースト信号を送出させ、バースト送信回数をカウントするカウンタ40cに1をカウントする(ステップs3)。
【0051】
そして送出後ネットワーク応答監視タイマのタイムアウト時間840msec未満の時間、例えば、800msec間隔で続いて、図7のβ2のバースト信号を送信し、更にカウント回数を+1(加算)し(ステップs4)、カウント回数が3回になる(ステップs5がYes)までバースト信号の送信を繰り返す。送信回数が3回になった場合、ネットワーク応答監視タイマのタイムアウト840ms以上の時間、ここでは1秒待機し(ステップs6)もう一度バースト信号β4を送信する(ステップs7)。このバースト信号β4送信から、ノード(#02)ではARCNET(登録商標)規定のログオン処理が開始される(ステップs15)。そして他の各ノード、およびアクティブハブ100でも、正常なネットワーク再構築のためのバースト信号として受信され、所定の手順が開始される。
【0052】
従来のARCNET(登録商標)のノードは、ネットワークへログオンしたい場合、バースト送信後、他ノードからのトークンを待つ処理手順に入るが、本実施の形態のノードでは、ネットワークから遮断されているので、他のノードへもバーストは届かず、また他ノードからのトークンも受信することがない。
【0053】
本実施形態のノードは、アクティブハブ100のポートに再装着された後、アクティブハブがそのノードを正常と判断した時に遮断されているポートの遮断部(スイッチ)がクローズされてネットワークへ再接続される。そのための手順として上記の如くバースト信号を所定の回数と間隔で送信し、アクティブハブ100は、そのバースト信号を判読し、CPU50は当該ノードをネットワークに再接続させるべくポートの遮断部(スイッチ)をクローズする操作を行う。
【0054】
ここでは、図8においてアクティブハブ100では、修復したノード(#02)からバースト信号のパルスβ1を受信し(ステップs8)、それから生成されたレベル信号をバースト信号と判定するとノード(#02)からのバースト信号の受信カウンタ40cを1カウントする(ステップs9)。そして引き続きパルスβ2、β3の受信を繰り返し3回目の受信後(ステップs10がYes)、1秒間待機し(ステップs11)バースト信号の受信が無い場合(ステップs12がYes)、ノード(#02)は正常と判断して受信ポート2(遮断部21)を接続(クローズ)する(ステップs13)。
【0055】
詳述すれば、図8でバースト信号β3が送出されたのち、もしノード(#2)が異常な場合はバースト信号(X)が連続して送出されるが、修復されたノードで有れば、バースト(X)は送出されないのでアクティブハブ100は、ノード(#02)が正常であると判断する。遮断部21が「クローズ」になると、管理レジスタ40aは「オープン」がクリアされアクティブハブ100は、ノード(#02)を含めてネットワーク監視を行う状態に復帰する。
【0056】
続いてノード(#02)からバースト信号β4を受信すると、前述のARCNET(登録商標)のプロトコルに従ったログオン処理をノード(#02)に対して実施する手順に入る。他の各ノードも所定のARCNET(登録商標)のログオン処理が各ノードでも実施されて最終的にネットワークが再構築される。
【0057】
なお、上記の手順説明では、修復して装着されたノードが正常か、または異常かを判定するためのバースト受信回数を3回にしているが、2回に減らして、装着後のログオン時間をより短くしても良い。
【0058】
以上をまとめるとこの実施形態では、ARCNET(登録商標)ネットワークを形成する複数のノードが接続されるアクティブハブ100にもノードID(例えば、#FE)を与えてノードとして機能させる。また、ノードが接続されるポート毎にネットワークとの接続を遮断するスイッチ機能を設けるとともに、各ポートのスイッチのノード側接点に検波部を設けて信号レベルを判定することによりバースト信号の検出機能を実装する。そしてバースト異常を検出するとそのノードに接続されるポートのスイッチにより遮断し、障害ノードをネットワークから隔離するようにする。すなわち障害の検知とともに障害ノードが自動的にネットワークから遮断されるので、システム全体のダウン時間を最小限に抑えることができるようになり、システムダウンへの耐性を高めたネットワークシステム、ハブ装置および障害ノード特定方法を提供することが可能となる。
【0059】
また、ノードが修復したか正常動作品と交換されてネットワークに再ログインする場合には、ノードのアプリケーション制御機能として予め決められた回数のバースト送信繰り返しとそれに続く所定時間の待機時間からアクティブハブは、異常ノードが正常復帰したことを検出する。そして当該ノードを隔離状態から再度ネットワークに接続するネットワークの通信障害復旧方法が提供出来る。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
100 アクティブハブ
1〜8 ポート
11,21,31 遮断部
200 制御ユニット
20 リセットボタン
30 発光ダイオード(LED)
10、10N ハードウェア(H/W)インタフェース部
40 メモリ
40a 管理レジスタ
40c カウンタ
50 CPU(Central Processing Unit)
60 ARCNET(登録商標)チップセット
50a トークンキャプチャ部
50b モニタ処理部
50c 特定処理部
50d 遮断処理部
50e 通知処理部
50f、50fn ファームウェア
40a 管理レジスタ
60a トークン処理部
60b 再構築処理部、
60c 内部タイマ
60d バースト信号送出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ装置を介して接続される複数のノードにより形成されるネットワークをARCNET(Attached Resource Computer Network)(登録商標)プロトコルで運用するネットワークシステムにおいて、
自ノードを再起動する指示を入力するリセット手段と、
前記リセット手段から前記指示が入力された場合、再構築を要求するバースト信号を840ms未満の時間を置いて少なくとも2回の所定の回数繰り返して送出した後、840ms以上待機してから前記バースト信号を前記ネットワークに送出する再構築要求手段とを
備える前記各ノードと、
前記ノードがそれぞれ固有に装着される接続ポートと、
各前記接続ポートに備えられ、前記ネットワークと前記ノードとの間の接続の開閉をする遮断スイッチと、
前記遮断スイッチのノード側接点に接続されて前記ノードが送信する信号を検出し、その信号のレベル情報を出力するレベルモニタ手段と、
前記レベル情報を監視して所定レベル以上になる継続時間から前記バースト信号を検出し、検出したバースト信号が前記所定の回数よりも1回以上多く繰り返された場合、そのバースト信号が入力されている接続ポートに接続されているノードを異常と判定して当該接続ポートの前記遮断スイッチを開く制御を行い、前記開かれた遮断スイッチに接続されているレベルモニタ手段から前記バースト信号が840ms未満の時間を置いて前記繰り返し回数入力された後続いて840ms以上経過後前記バースト信号が入力した事を検出した場合、当該接続ポートに正常なノードが再装着されたと判定して開放中の前記遮断スイッチを閉じる制御を行う制御手段とを備える
ハブ装置とを
具備する事を特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
それぞれがリセット手段を有する複数のノードおよび、各前記ノードが装着される接続ポートと、前記ポート毎にネットワークと当該ノードとの間接続を開閉する遮断スイッチとを有するハブ装置を備え、前記各ポートに装着される複数のノードの間が前記ハブ装置を介して接続されるネットワークをARCNET(Attached Resource Computer Network)(登録商標)プロトコルで運用するネットワークシステムの通信障害復旧方法において、
各前記ノードは、前記ハブ装置の前記各ノードが固有に装着される接続ポートに装着され、前記リセット手段から当該ノードを再起動するリセット指示が入力された場合、ネットワーク再構築を要求する前記ARCNET(登録商標)所定のバースト信号を840ms未満の間をおいて少なくとも2回の所定の回数繰り返して送出した後、840ms以上待機し、
前記ハブ装置は、前記遮断スイッチのノード側の接点に入力する信号のレベルを監視して、その信号レベルが所定のレベル以上となる継続時間から入力中の信号がバースト信号と判定して検出し、
前記検出したバースト信号が前記繰り返し回数よりも1回以上多く繰り返すとそのバースト信号が入力されている接続ポートに接続されているノードを異常と判定して当該ポートの前記遮断スイッチを開く制御を行い、
前記ハブ装置は、前記開かれた遮断スイッチのノード側からバースト信号と判定されるレベルの信号が840ms未満の時間を置いて前記繰り返し回数入力された後、続いて840ms以上経過してもバースト信号が入力していない場合、当該ポートに装着されたノードは正常と判定して開放中の前記遮断スイッチを閉じて再接続する制御を行い、
前記再接続されたノードは前記待機した後前記バースト信号を前記接続ポートへ送出することによりネットワークにログオンする処理を行う
ことを特徴とするネットワークシステムの通信障害復旧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26638(P2013−26638A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156166(P2011−156166)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】