説明

ネットワークプリンタおよびこれを用いた印刷方法

【課題】プリンタ自体の構成の複雑化やコストアップを招来することなしに、印刷物の高画質化や高品質化に対処することのできるプリンタシステムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末から第1の通信チャネルを介してプリンタに送られた印刷コマンドに対しプリンタが対応可能か否かを判定し、対応不可能と判定したとき、前記プリンタは第2の通信チャネルを介してクラウドコンピュータに対して、前記印刷コマンドの実行に必要な情報を要求し、前記クラウドコンピュータから前記プリンタに前記印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードした後、前記印刷コマンドを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ネットワークプリンタおよびこれを用いた印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に対する高画質・高品質化の要求に伴い、プリンタにはより高度な画像処理や印字処理、省電力化等の機能が求められている。このような要求に対処すべく、プリンタ自体に高度な画像処理機能や印字処理機能を実現するアプリケーションソフトや、種々の印字フォントを搭載することが種々試みられている。しかしこの場合、プリンタ自体の構成が複雑化することのみならず、消費電力量の増大やコストアップが否めない。
【0003】
一方、ユーザ側機器(外部機器)から指定された印字フォントがプリンタに搭載されていない場合、その印字フォントをホストコンピュータからダウンロードして使用するプリンタが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−48548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した技術は、プリンタに備えるべき多種類の印字フォントをホストコンピュータに備えたることにより、プリンタ自体の構成を簡素化することが可能であるが、プリンタとしては常にホストコンピュータとネットワークで接続して使用する必要があり、全体としては大型化、高コスト化は避けられない。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、プリンタ自体の構成の複雑化やコストアップを招来することなしに、印刷物の高画質化や高品質化に効果的に対処することのできるネットワークプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するべく本実施形態に係るネットワークプリンタは、ユーザ端末との間で情報通信する第1の通信チャネルと、クラウドコンピュータとの間で情報通信する第2の通信チャネルと、前記第1の通信チャネルから取得した前記ユーザ端末からの印刷コマンドを分析し、前記印刷コマンドの実行に必要な情報を検出する印刷コマンド分析処理部と、この印刷コマンド分析処理部により検出された前記印刷コマンドの実行に必要な情報の提供を前記第2の通信チャネルを介して前記クラウドコンピュータに要求し、前記クラウドコンピュータから前記印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードするダウンロード部と、このダウンロード部によりダウンロードした前記印刷コマンドの実行に必要な情報を用いて生成された描画データの用紙への印刷を実行する印字ヘッドおよび用紙搬送部と、この印字ヘッドおよび前記用紙搬送部による用紙への印刷を制御する印刷制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本実施形態に係るネットワークプリンタを用いた印刷方法は、ユーザ端末との間で情報通信する第1の通信チャネルと、クラウドコンピュータとの間で情報通信する第2の通信チャネルと、前記第1の通信チャネルから取得した前記ユーザ端末からの印刷コマンドを分析し、前記印刷コマンドの実行に必要な情報を検出する印刷コマンド分析処理部と、この印刷コマンド分析処理部により検出された前記印刷コマンドの実行に必要な情報の提供を前記第2の通信チャネルを介して前記クラウドコンピュータに要求し、前記クラウドコンピュータから前記印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードするダウンロード部と、このダウンロード部によりダウンロードした前記印刷コマンドの実行に必要な情報を用いて生成された描画データの用紙への印刷を実行する印字ヘッドおよび用紙搬送部と、この印字ヘッドおよび前記用紙搬送部による用紙への印刷を制御する印刷制御部と、を備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係るネットワークプリンタのシステム構成を示す概略構成図。
【図2】図1に示すプリンタでの概略的な出力制御の流れを示す図。
【図3】他の実施形態に係るネットワークプリンタのシステム構成を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して一実施形態に係るネットワークプリンタについて説明する。
【0011】
図1は一実施形態に係るネットワークプリンタの概略構成図で、図中1はネットワークプリンタ(以下プリンタという)、2はクラウドコンピュータである。上記プリンタ1は、基本的には必要最小限の印刷処理機能だけを備えた簡易型のものである。また前記クラウドコンピュータ2は、種々提唱されている高画質化技術や高品質化技術にそれぞれ対処可能な高度な処理機能を備えたコンピュータ、具体的には多種多様な文字フォントを搭載すると共に、高度で緻密な描画処理機能や印刷制御機能等を、いわゆるクラウドコンピューティング機能を用いて実現した高機能・高速処理型のコンピュータである。またこのクラウドコンピュータ2には、プリンタ1の動作状態を示す各種センサの出力情報を供給することにより、プリンタ1を最適条件で動作させるための種々の動作制御パラメータを求める等の機能も備える。
【0012】
前記プリンタ1は、例えばインクリボンを用いた熱転写式のサーマルプリンタであって、ロール状に卷回された用紙1aを巻き戻して印字に供するプラテンローラ1b等のメカニカル機構や、インクリボンを用いて上記用紙1に文字等を印刷する印字ヘッド(サーマルヘッド)1c等を備える。尚、ここではサーマルプリンタを例に説明するが、その他の印刷方式のプリンタであっても良いことは言うまでもない。
【0013】
一方、ユーザ端末3は、上述したネットワークプリンタ1を用いて文書等の印刷を行うものであって、例えば一般的なオフィスコンピュータやパーソナルコンピュータからなる。この種のユーザ端末3は、所定の通信チャネルを介して印刷コマンドおよび印刷データを前記プリンタ1に出力することでプリンタ1を動作させる。
【0014】
ここで前記プリンタ1は、第1の通信チャネル11と第2の通信チャネル12とからなる2つの独立した通信チャネルを備える。第1の通信チャネル11は、前記クラウドコンピュータ2との間で情報通信し、プリンタ1が必要とする情報、具体的には印刷用のアプリケーションソフトや印字フォント、更には印刷制御用の各種制御パラメータ(制御設定値)等を該プリンタ1に対して適宜ダウンロードする役割を担う。また第2の通信チャネル12は、前記ユーザ端末3との間で従来一般的な印刷コマンドや印刷データを情報通信する役割を担う。尚、プリンタ1は、全体制御用のCPU13、印刷処理を実行する上での基本的なアプリケーションソフト用のROM14や印字フォント用のROM15、文書データ等の展開に用いられる描画メモリ16、更には前述したメカニカル機構等の動作を制御する印刷制御部17を備える。
【0015】
これに対して前記クラウドコンピュータ2は、その高度な処理機能を有する演算・処理部21、多様な印刷形態に対応可能な複数種の印刷用アプリケーションソフト22(22a,22b,…)および複数種の印字フォント23(23a,23b,…)を内蔵している。これらの印刷用アプリケーションソフト22(22a,22b,…)および印字フォント23(23a,23b,…)は、後述するように前記プリンタ1からの要求により、選択的にダウンロードされる。
【0016】
尚、上記印刷用アプリケーションソフト22(22a,22b,…)は、例えば種々の画像処理用のプログラムや、サーマルヘッドに対する加熱制御用のプログラム、更には他社製プリンタで用いられているアプリケーションソフトの解析プログラムや、その処理ソフトに対するエミュレーション用のソフトプログラム等を含む。
【0017】
図2は上述したプリンタ1本体の基本的な動作手順の流れを示す図である。プリンタ1のCPU13は前述した第2の通信チャネル12を介してユーザ端末3から出力された印刷コマンドを受信することで動作開始する〈ステップS1〉。CPU13は、先ずプリンタ1が受信した印刷コマンドに対処し得るか否かを判定する〈ステップS2〉。つまり印刷コマンドにより指定される印字フォントおよび印刷品質で印刷データを印刷し対処し得るアプリケーションソフトおよび印字フォントを内蔵しているか否かを判定する。この判定は、例えば受信した印刷コマンドに含まれるフォーマット情報が、予めプリンタ1に登録されているか否かを調べることによってなされる。
【0018】
この結果、印刷コマンドにより指定された印刷品質に対処し得るアプリケーションソフトおよび印字フォントを予めプリンタ1が内蔵されている場合、換言すればプリンタ1が基本的に搭載しているアプリケーションソフト14および印字フォント15により前記印刷コマンドに対処可能な場合には、当該アプリケーションソフト14および印字フォント15を用いて、前記ユーザ端末3から与えられる印刷データを前記描画メモリ16上に展開する〈ステップS3〉。そして前記印刷制御部16の下で前述したメカニカル機構を動作させ、描画メモリ15上に描画したデータを用紙1aに印刷出力する〈ステップS4〉。
【0019】
これに対してプリンタ1が備えるアプリケーションソフト14および印字フォント15では前述した印刷コマンドに対処できない場合、プリンタ1のCPU13は、不足したアプリケーションソフト14および印字フォント15を含むプリンタ情報を収集する〈ステップS5〉。
【0020】
しかる後、ユーザ端末3から受けた印刷コマンドと共に、上述した如く収集したプリンタ情報を前述した第1の通信チャネル11を介してクラウドコンピュータ2に通知し、その供給を要求する〈ステップS6〉。するとクラウドコンピュータ2においては、前述した分析処理部21において前記印刷コマンドおよびプリンタ情報を分析し、前記プリンタ1において受信した印刷コマンドを実行する上で必要なアプリケーションソフト22と印字フォント23を検索して検出する。プリンタ1のCPU12は、このようにして検出されたアプリケーションソフト22および印字フォント23を、第1の通信チャネル11を介してクラウドコンピュータ2から受信する〈ステップS7〉。
【0021】
即ち、プリンタ1は、前述した印刷コマンドを実行する上で不足するアプリケーションソフト22および印字フォント23を、クラウドコンピュータ2からダウンロードして、図示しない内部メモリに登録する〈ステップS8〉。
【0022】
プリンタ1は、このようにして印刷コマンドに対処可能なアプリケーションソフト22および印字フォント23をクラウドコンピュータ2からダウンロードした後、前述した印刷コマンドの判定処理を再度実行する〈ステップS2〉。すると今度は前記印刷コマンドに対処可能なアプリケーションソフト22および印字フォント23を備えているので、当該アプリケーションソフト22および印字フォント23を用いて前記ユーザ端末3から与えられる印刷データを前記描画メモリ15上に展開し〈ステップS3〉、更に前記印刷制御部17の下でメカニカル機構を動作させて印刷データを用紙1aに印刷出力する〈ステップS4〉。
【0023】
かくして上述した構成のネットワークプリンタによれば、プリンタ1の本体はその基本機能だけを備えた簡易な構成であっても、適宜、クラウドコンピュータ2から印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードするので、ユーザ端末3から与えられる種々の印刷コマンドに確実に対処することができる。しかもプリンタ1においては、与えられた印刷コマンドに対処し得るか否かだけを判定し、対処できない場合には、当該印刷コマンドの実行に必要なアプリケーションソフト22や印字フォント23をクラウドコンピュータ2からダウンロードするだけで良い。
【0024】
従ってプリンタ1においては、予め種々のアプリケーションソフト22(22a,22b,…)および多種多様な印字フォント23(23a,23b,…)の全てを搭載していなくても、ユーザ端末3から与えられた印刷コマンドに対処可能なアプリケーションソフトと印字フォントを、クラウドコンピュータ2から適宜ダウンロードすることができる。故にプリンタ1の構成が複雑化することがなく、コスト高となることもない。
【0025】
しかもプリンタ1は、前記印刷コマンドの実行に必要な情報をインターネットを介して前記クラウドコンピュータ2からダウンロードするため、プリンタ1が持つ基本的な印刷制御機能を超えた高い性能を有するクラウドコンピュータ2を有効に活用して前記印刷コマンドで指定される品質・印字フォントで印刷データを展開し、これを印刷出力することができる。したがって、プリンタにサーバコンピュータを併設した従来のサーバープリンタと異なり、プリンタ1はサーバコンピュータにより直接的な制御を受けることなく、クラウドコンピュータが有する高度な印刷機能を任意の時間に、任意の場所から利用することができる。
【0026】
また、プリンタ1とクラウドコンピュータ2との情報通信は第1の通信チャネル11を介することで前記ユーザ端末3とは独立して行われる。従ってユーザ端末3は、単にプリンタ1が備える第2の通信チャネル12を介して印刷コマンドおよび印刷データを該プリンタ1に出力するだけで良い。故にユーザ端末3においてはプリンタ1本体の処理能力を考慮することなく印刷コマンドを出力するだけで所望とする品質の印刷物を得ることが可能となる。この結果、ユーザ端末3での処理負担を軽減することができ、またユーザ端末3の取り扱い性を容易化することができる。
【0027】
図3は他の実施形態を示す図である。この実施形態においては、前記クラウドコンピュータ2が備える高度な分析処理機能、特にプリンタ1の動作状態の管理機能を活用して次プリンタ1の動作最適化を図ることが可能である。
【0028】
すなわち、図3にその概念を示すように、前述した印刷コマンドをプリンタ1からクラウドコンピュータ2に印刷コマンドの実行に必要な情報を要求する際、プリンタ1に組み込まれた各種センサ18の出力情報をクラウドコンピュータ2に通知する。各種のセンサ情報とは、プリンタ1の動作環境やメカニカル機構の状態等を示すものであり、例えばサーマルプリンタの場合、用紙センサにより検出される前記用紙1aの有無(切れ目)を示す情報、ヘッド温度センサにより検出されるサーマルヘッドの温度情報、環境温度センサによって検出されるプリンタの周囲温度情報、リボンエンコーダにより検出されるインクリボンの情報、更にはサーマルヘッドの抵抗値の情報等からなる。
【0029】
そしてクラウドコンピュータ2は、その演算・処理部21において上記センサ情報を分析し、プリンタ1を動作させる上での最適化条件を求める。例えばサーマルプリンタの場合、用紙1aの種類と環境温度に応じて、高品質な印字を実現する上でサーマルヘッドの発熱温度をどの程度に設定するか、またサーマルヘッドを上記発熱温度にする上で該サーマルヘッドをどのように駆動するか、等のプリンタ1の最適な動作条件を分析する。そしてその分析結果である最適動作条件を制御用設定値19としてプリンタ1にダウンロードする。
【0030】
例えば、連続的にラベル印刷を行う場合、ラベル部とギャップ部との境界を定める閾値を設定する必要がある。この際、プリンタ1から用紙センサで検出した出力波形をクラウドコンピュータ2に送ることにより、クラウドコンピュータ2は、用紙(ラベル)搬送時の用紙センサ出力波形を、用紙の複数枚に亘りマクロ的に把握することができる。この結果クラウドコンピュータ2は、最適な閾値を決定することができ、この値をプリンタ1に供給することにより、プリンタ1に複雑な最適化処理を強いることなしに最適な閾値をプリンタ1に設定することが可能となる。
【0031】
またプリンタ1からクラウドコンピュータ2に印刷時のサーマルヘッドの温度をセンサ出力情報として送ることにより、クラウドコンピュータ2ではサーマルヘッドの温度変化を時系列的に観察できるため、従来プリンタ1内で瞬時的な温度により決定していた熱エネルギー制御よりも最適な制御が可能となる。すなわち、サーマルプリンタにおいては、感熱塗料を塗布した感熱用紙を熱発色させるか、インクリボンを用紙に熱転写させる等により印刷を行う。最適な印刷結果を得るためには、用紙あるいはインクリボンに最適な印加熱量を指定できることはもとより、印加を繰り返す中で発生するサーマルヘッドの蓄熱・周囲温度の上昇、近隣発熱体からの影響、あるいは過去・未来の熱印加履歴を考慮した印加制御を行っている。従来このような制御は、プリンタ内に制御用ロジックを内臓しておくことが一般的である。本実施形態においては、プリンタ1から、用紙、インクリボン、印刷速度、印刷枚数などのパラメータ及びセンサ出力を印刷コマンド情報とともにクラウドコンピュータ2に送信し、クラウドコンピュータ2は、これらの情報および印刷イメージからサーマルヘッド発熱体の熱履歴を評価したうえで、最適なサーマルヘッド実印加データおよび印加時間を算出してプリンタ1へ送信する。プリンタ1は受信したサーマルヘッド実印加データおよび印加時間を用いることにより、最適な印刷結果が得られる。
【0032】
このようにしてプリンタ1の最適動作条件の決定処理をクラウドコンピュータ2に委ね、それによって求められた最適動作条件を制御用設定値19としてプリンタ1にダウンロードするプリンタシステムによれば、プリンタ1の動作条件を利用者側において経験的に設定する必要がない。またプリンタ1に、複雑で高度な分析処理を伴う動作条件の最適化設定プログラムを組み込む必要もないので、プリンタ1の情報処理能力(処理速度や処理容量)を徒に高める必要がない。従ってプリンタ1での印刷性能(印刷品質)を十分に高く保ちながら、プリンタ(プリンタ本体)1自体の構成の大幅な簡素化を図ることが可能なる。しかもクラウドコンピュータ2が有する処理能力を十分に活用して、動作環境に応じた最適な動作条件を応答性良く、しかも容易に設定することが可能となる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリンタ自体の構成の複雑化やコストアップを招来することなしに、印刷物の高画質化や高品質化に効果的に対処することのできるネットワークプリンタを提供することができる。
【0034】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態においてはサーマルプリンタを例についても説明したが、インクジェットやレーザプリンタ等の他の印刷方式を採用したプリンタに同様に適用可能なことは言うまでもない。また前記クラウドコンピュータ2については、複数台のプリンタ1を管理するものであっても良いことは勿論のことである。更にクラウドコンピュータ2における印刷コードの分析アルゴリズム等についても特に限定されるものではなく、また印刷用のアプリケーションプログラムとして、コマンドフォーマット自体を異にする印刷コマンドに対する、いわゆるエミュレーションソフトを含んでも良いことは言うまでもない。
【0035】
また、上述した実施形態においては、クラウドコンピュータから、プリンタに不足するアプリケーションソフトあるいは印字フォントからダウンロードしたが、アプリケーションソフトあるいは印字フォントをダウンロードする代わりに、これらのアプリケーションソフトあるいは印字フォントを用いた描画データをクラウドコンピュータにより生成させ、その結果である描画データをプリンタに送信する。プリンタはこれを受信し描画データメモリに記憶し、これを読み出して印刷することも可能である。
【0036】
また前述したプリンタ1の動作条件の最適化設定については、必ずしもアプリケーションソフトおよび/または印加フォントのダウンロードと一括して実行する必要もない。更には文字データの印刷出力のみならず、CADデータに基づいて図形を描画出力する場合にも同様に適用可能である。その他、本発明その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 プリンタ(プリンタ本体)
1c 印字ヘッド
2 クラウドコンピュータ
3 ユーザ端末(オフィスコンピュータ)
11 第1の通信チャネル
12 第2の通信チャネル
13 CPU
14,22 アプリケーションソフト
15,23 印字フォント
16 描画メモリ
17 印刷制御部
21 演算・処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末との間で情報通信する第1の通信チャネルと、
クラウドコンピュータとの間で情報通信する第2の通信チャネルと、
前記第1の通信チャネルから取得した前記ユーザ端末からの印刷コマンドを分析し、前記印刷コマンドの実行に必要な情報を検出する印刷コマンド分析処理部と、
この印刷コマンド分析処理部により検出された前記印刷コマンドの実行に必要な情報の提供を前記第2の通信チャネルを介して前記クラウドコンピュータに要求し、前記クラウドコンピュータから前記印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードするダウンロード部と、
このダウンロード部によりダウンロードした前記印刷コマンドの実行に必要な情報を用いて生成された描画データの用紙への印刷を実行する印字ヘッドおよび用紙搬送部と、
この印字ヘッドおよび前記用紙搬送部による用紙への印刷を制御する印刷制御部と、を備えたことを特徴とするネットワークプリンタ。
【請求項2】
前記プリンタ用アプリケーションソフトには、前記プリンタにおいて備えられていないプリンタ用アプリケーションソフト、このプリンタ用アプリケーションソフトにより処理された結果データあるいは印字フォントを含むことを特徴とする請求項2に記載のネットワークプリンタ。
【請求項3】
前記プリンタ用アプリケーションソフトには、前記プリンタに備えられている各種センサの出力データに基づいて、前記クラウドコンピュータの演算処理により得られた制御用設定値を含むことを特徴とする請求項2に記載のネットワークプリンタ。
【請求項4】
ユーザ端末から第1の通信チャネルを介してプリンタに送られた印刷コマンドに対しプリンタが対応可能か否かを判定し、対応不可能と判定したとき、前記プリンタは第2の通信チャネルを介してクラウドコンピュータに対して、前記印刷コマンドの実行に必要な情報を要求し、前記クラウドコンピュータから前記プリンタに前記印刷コマンドの実行に必要な情報をダウンロードした後、前記印刷コマンドを実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
前記印刷コマンドの実行に必要な情報には、前記プリンタにおいて備えられていないプリンタ用アプリケーションソフト、このプリンタ用アプリケーションソフトにより処理された結果データあるいは印字フォントを含むことを特徴とする請求項4に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記印刷コマンドの実行に必要な情報には、前記プリンタに備えられている各種センサの出力データに基づいて、前記クラウドコンピュータの演算処理により得られた制御用設定値を含むことを特徴とする請求項5に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−248160(P2012−248160A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121830(P2011−121830)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】