説明

ネットワーク伝言板システム、ネットワーク伝言板装置、ネットワーク伝言方法及びプログラム

【課題】ネットワークを介した伝言板において、より確実な双方向コミュニケーションを取ることができるとともに、より少ない通信で複数のユーザが情報を共有できるネットワーク伝言板システム、ネットワーク伝言板装置、ネットワーク伝言方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムであって、情報処理端末装置からネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の伝言板を用い、複数の情報処理端末装置間で情報の伝達等を行うことができるネットワーク伝言板システム、ネットワーク伝言板装置、ネットワーク伝言板方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話各社が提供している災害伝言板サービスが存在する。この災害伝言板サービスは、大地震などの災害の被災者が、サーバ等により実現されるネットワーク上の災害伝言板にメッセージ(自分の状況を示す情報など)を登録して、被災者の身を心配している家族や友人などが自由にネットワーク伝言板にアクセスして、被災者のメッセージを参照できる。
【0003】
しかし、この災害伝言板サービスでは以下のような問題点があった。
第1の問題点は、被災者の安否情報を知りたい人(心配している側の人)が必ずしも知りたい時に確認できる訳ではない点である。なぜなら、この災害伝言板サービスでは、被災者がメッセージを登録しない間は安否確認ができないので、心配している側の人は常に『受身の立場』であり、心配している側の人はメッセージが登録されるのを待つしかなく、一方通行なコミュニケーションしか取れなかった。つまり、被災者側の書き込みがなければ結局はメールや電話で被災者に連絡を試みるしか方法がなかった。
【0004】
第2の問題点は、現状の災害伝言板サービスでは一人一人の電話番号を入力して確認する方法をとっている点である。安否情報を確認したい対象として家族や友人などが考えられる。必ずしもではないが、家族や友人は複数の人が近隣の地域に住んでいる可能性が高く安否情報を確認したい対象が多数存在するケースが考えられ、従来の伝言板システムだと一人一人の電話番号を入力して一人一人の安否を確認しないといけない為、あまり使い勝手が良いとは言えず不便な面があった。更に第1の問題点のような状況で安否を確認できない人が複数存在する場合、確認のためのメールや音声通話のトラフィックが増大し、繋がりにくくなるといった二次災害が発生する可能性があった。
【0005】
従来のネットワーク伝言板システムの例としては、特許文献1の「インターネット災害伝言板システム」がある。これは災害時に幼稚園や小学校などが保護者に対してインターネット上に伝言を書き込んでおき、それを見た保護者が幼稚園や小学校に対して電話やメールをする、あるいは、伝言内容で指定された場所に迎えに行くなどの方法を取っている。
【0006】
この特許文献1では双方向通信を可能にした事を利点にあげているが、それにも次のような問題点があった。
まず、保護者が伝言板を見たかどうかの確認が取れない点である。仮に保護者が見ていなかった場合、伝言を残した側(幼稚園や小学校)からはそれが確認できず、いつまでも保護者から連絡もなく迎えにも来ない可能性があった。
【0007】
また、この方法では伝言板に書き込めるのは最初に伝言を残した側(幼稚園や小学校)だけであるため、災害の影響で音声通話が繋がりにくい状況で、かつメールにも遅延等が発生した場合、上記第1の問題点と同様に保護者から連絡が取れない可能性がある。また、トラブル等で最初に書き込んだ伝言内容が変更になった場合も、変更した旨を通知できる訳ではないので変更に気付かない保護者が出る可能性もあった。
【0008】
つまり、通信障害等の二次災害を極力抑え、連絡のすれ違いをなくす為には、より確実な双方向コミュニケーションを取ることができるシステム及び方法が必要となる。
【0009】
また、例えば、特許文献2に開示されているようなコミュニティサービスシステムを災害時に利用することも考えられるが、例えば特許文献2は、複数ある端末のうちのいずれかの端末でメッセージの書き込みや更新等がされると、登録されている全てのメンバーの端末にその通知がされてしまう。よって、災害時は多くのユーザが同時にシステムを利用することが想定されるので、メールトラフィックが集中してしまう可能性が高い。また、特許文献2において、災害時に多くのユーザが同時に更新を行ったとすると、1つの端末で受信する情報量が膨大であり、また、受信する情報はメンバー個々の情報であるので、膨大な情報を個々に把握することは難しく、よって、全てのメンバーの安否を確認することは困難である。
【0010】
よって、災害時の場合は、メールトラフィックを最小限に抑えるとともに、多くの人の安否を一括して確認できるシステム及び方法が望まれる。
【特許文献1】特開2005−196709号公報
【特許文献2】特開2005−228122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ネットワークを介した伝言板において、より確実な双方向コミュニケーションを取ることができるとともに、より少ない通信で複数のユーザが情報を共有できるネットワーク伝言板システム、ネットワーク伝言板装置、ネットワーク伝言方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムであって、ネットワーク伝言板装置は、新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納手段と、ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対してネットワーク伝言板を表示するネットワーク伝言板表示手段と、情報処理端末装置からネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させてネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新手段と、ネットワーク伝言板更新手段によって更新が行われた場合、入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、メール生成送信手段は、メールにネットワーク伝言板のURLを含んで生成することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、メール生成送信手段は、複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対してメールを送信することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板は、複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報を全て表示する形態であることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板は、メールの送信対象となる情報処理端末装置を任意に選択できる形態であることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のネットワーク伝言板システムで用いられることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムで行われるネットワーク伝言方法であって、ネットワーク伝言板装置は、新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納ステップと、ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対してネットワーク伝言板を表示させるネットワーク伝言板表示ステップと、情報処理端末装置からネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させてネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新ステップと、ネットワーク伝言板更新ステップによって更新が行われた場合、入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信ステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、メール生成送信ステップは、メールにネットワーク伝言板のURLを含んで生成することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、メール生成送信ステップは、複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対してメールを送信することを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項7から9のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板は、複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報を全て表示する形態であることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項7から10のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板は、メールの送信対象となる情報処理端末装置を任意に選択できる形態であることを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明は、予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムにネットワーク伝言方法を実行させるためのプログラムであって、ネットワーク伝言板装置に、新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納処理と、ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対してネットワーク伝言板を表示させるネットワーク伝言板表示処理と、情報処理端末装置からネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させてネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新処理と、ネットワーク伝言板更新処理によって更新が行われた場合、入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信処理と、を実行させることを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、メール生成送信処理は、メールにネットワーク伝言板のURLを含んで生成する処理であることを特徴とする。
【0025】
請求項14記載の発明は、請求項12又は13記載の発明において、メール生成送信処理は、複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対してメールを送信する処理であることを特徴とする。
【0026】
請求項15記載の発明は、請求項12から14のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板装置に、複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報をネットワーク伝言板上に全て表示する処理を実行させることを特徴とする。
【0027】
請求項16記載の発明は、請求項12から15のいずれか1項に記載の発明において、ネットワーク伝言板装置に、メールの送信対象となる情報処理端末装置をネットワーク伝言板上で任意に選択させる処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ネットワークを介した伝言板において、より確実な双方向コミュニケーションを取ることができるとともに、より少ない通信で複数のユーザが情報を共有できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
本発明は、電話やメールが繋がりにくい災害時などに、携帯電話等の情報処理端末装置を用いてネットワーク上の伝言板で情報の伝達や閲覧ができるネットワーク伝言板システムである。本発明のネットワーク伝言板システムは、大地震などの被災者の身を心配している家族や友人などが、ネットワーク上の伝言板に被災者の安否確認のメッセージを書き込み、安否を確認したい相手(主に被災者やその身近な人など複数選択可)を任意に選択でき、選択した相手に対して、安否確認のメッセージと同じ文面と、文末にネットワーク伝言板のURLとを含むメールを自動的に送ることができる。そのメールを受け取った被災者は、自己の端末からネットワーク伝言板にアクセスして、例えば「無事です。何事もありません。」などのメッセージを自分のメッセージ欄に書き込むことができ、それ以降は同じグループとして登録されたメンバーなら誰でもその伝言板を参照することができるので、必要以上にメールの送受信が繰り返されることがなく、メールサーバへの負荷は少なくてすむ。万一、災害により一時的にメールトランザクションが高まり、被災者の元に届く予定のメールに遅延が発生した場合でも、伝言板にはメッセージが書かれているので、被災者がそれに気付いたら自分のメッセージ欄に返信を書き込めば問題ない。また被災者がメッセージを書き込んだ場合も、更新した旨を伝えたい人を選択すれば自動的にメールを送信することができる。
【0031】
本発明のネットワーク伝言板システムの概要について図10を参照して説明する。
まず、被災地のA201の安否を心配するB202が伝言板を確認した時にまだA201による書き込みがなかった場合、伝言板でA201に対して心配している旨のメッセージを書き込み、伝言メール送信機能211によりメッセージを書き込んだ旨をA201に対してメール配信する。心配している人B202は、従来であればA201が書き込むのを待つしかなかったが、この機能により、双方向からアクセスできるため、より効果的な伝言板サービスを提供することができる。
【0032】
また、同じくA201の安否を心配するC203が伝言板を確認した時にもまだA201による書き込みがなかった場合、伝言メール確認機能212により既にA201に対して登録依頼のメールを送った人(B202)が存在することを確認できる。これにより、複数人からの登録依頼メールの重複によるメールトラフィックの増大を事前に防止することができる。
【0033】
最後に、参照処理機能214によりグループ内の他のメンバーが書き込んだ内容を参照することができるため、複数人の安否情報を確認したい場合でも1度のアクセスでメンバー全員分のメッセージが参照可能な為、操作性の面においても、従来技術に比べ、優れたサービスの提供が可能となる。
【実施例】
【0034】
本発明の実施例の構成について図1を用いて説明する。
図1を参照すると、本実施例のネットワーク伝言板システムは、ネットワーク伝言板利用者100の携帯電話A101、B102、C103、D104、Z105と、ネットワーク伝言板装置110とから構成されている。
【0035】
ネットワーク伝言板利用者100は、大地震などの災害時に、本実施例のネットワーク伝言板システムを利用するユーザである。各ユーザが使用する端末として、携帯電話A101、携帯電話B102、携帯電話C103、携帯電話D104、及び携帯電話Z105を例とする。なお、本実施例では、ネットワーク伝言板利用者100の利用する端末を携帯電話としたが、ネットワーク通信機能を有するその他の情報処理端末装置(移動体通信端末を含む)でもよい。
【0036】
ネットワーク伝言板装置110は、ネットワーク伝言板利用者100が使用する携帯電話と通信可能なネットワーク上のサーバ装置であり、ウェブページであるネットワーク伝言板を管理する。ネットワーク伝言板装置110は、ユーザがネットワーク伝言板にログインする際にアカウントやパスワードに基づいてユーザ認証を行う入力チェック機能111と、ユーザから要求された処理(ネットワーク伝言板の新規作成、参照、書き込みなど)を行う処理要求制御部120と、ユーザに対して要求された処理の応答(ネットワーク伝言板の表示、更新が行われたことを知らせるメールの送信など)を行う処理要求応答部130と、作成・登録されたネットワーク伝言板(図2,5,6,8,9参照)のデータを格納・保持する伝言記憶部140とを有する。
【0037】
ネットワーク伝言板装置110において、処理要求制御部120は、参照処理機能121(図10の伝言メール確認機能212と、参照処理機能214とを含む)と、更新処理機能122(図10の登録処理機能213を含む)と、を有する。参照処理機能121は、所定のユーザから所定のネットワーク伝言板の参照(閲覧)要求があった場合に、そのユーザがメンバーとなっているネットワーク伝言板のデータを伝言記憶部140から取り出す。更新処理機能122は、所定のユーザから所定のネットワーク伝言板へのメッセージ書き込み(メッセージ更新)要求があった場合に、そのユーザがメンバーとなっているネットワーク伝言板のデータを伝言記憶部140から取り出し、ユーザによる書き込み内容をネットワーク伝言板に反映させる。
【0038】
ネットワーク伝言板装置110において、処理要求応答部130は、参照処理応答機能131と、伝言メール送信機能132(図10の伝言メール送信機能211と同じ)と、を有する。参照処理応答機能131は、参照処理機能121が伝言記憶部140から取り出したネットワーク伝言板のデータを受け取り、参照要求を行ったユーザの携帯電話に対してネットワーク伝言板のデータを送信する。このデータをダウンロードした携帯電話は、自分がメンバーとして登録されたネットワーク伝言板を参照することができる。伝言メール送信機能132は、更新処理機能122からメッセージとして書き込まれた(更新された)文章のデータを受け取り、そのデータに基づいて、メッセージとして書き込まれた(更新された)文章と、ネットワーク伝言板のURLとを含むメール(図3,7参照)を生成し、書き込みの際にユーザが指定した宛先(登録されているメンバーのうち、指定されたアドレス)に対して、生成したメールを送信する。このメールを受け取った携帯電話は、ネットワーク伝言板に書き込みや更新があったことを知ることができる。
【0039】
ネットワーク伝言板装置110における上記各機能はそれぞれ以下のように動作する。
まず、例えば、携帯電話A101のユーザが自分を含む例えば大学時代の友達(携帯電話A101〜携帯電話Z105)専用の伝言板(図2参照)を伝言記憶部140に作成する。1グループの最大メンバー数は例えば20名とする。
【0040】
伝言記憶部140に作成された伝言板には、図2に示すように、グループ名『大学時代の友達』と、メンバーそれぞれの名前、アドレス、電話番号、メッセージ、最終更新日時、メール送信チェック欄が表示されている。
【0041】
専用伝言板を作成したら各自のアカウントとパスワード(初期パスワードはアカウントと同じ)が払い出され、自動的にメンバー全員に対して、各自のアカウント及びパスワードと、専用伝言板のURLとが記述された伝言板開設を知らせるメールが送信される。このメールの送信以降、伝言記憶部140にアクセスする際に入力チェック機能111でパスワード等によるユーザ認証を行う。
【0042】
入力されたパスワード等に基づいてユーザ認証をクリアすると、処理要求制御部120の参照処理機能121や更新処理機能122によって情報の参照や登録された情報の編集(書き込みや更新)ができる。編集する際に勝手に他のメンバーの情報を書き換えることがないように自分の項目には各自最初のログイン時にパスワードを(アカウントと違うものに)変更しておく。伝言板を編集すると最終更新日時がアップデートされ、処理要求応答部130の伝言メール送信機能132が、メール送信欄にチェックを入れたユーザ宛てにURLとメッセージを含むメールを自動配信する。
【0043】
次に、図1〜図3、図5〜図8及び図4のフローチャートを参照して本実施例の全体の動作について詳細に説明する。
【0044】
まず、ネットワーク伝言板システムに自分のグループ専用伝言板を作成する。この作成方法については、例えば携帯電話A101がネットワーク伝言板装置110に対して、入力チェック機能111を経てログインし、伝言板の新規作成を選択すると、伝言記憶部140に対して図2のように『大学時代の友達(メンバー)』で構成されたグループ専用のネットワーク伝言板を作成することができる。伝言記憶部140は作成されたネットワーク伝言板をデータとして保持する。
【0045】
『名前』と、『アドレス』と、『携帯番号』は、携帯電話A101が持つ電話帳から簡単に登録できることとする。『グループ名』は今後グループが複数に増えても分別がつく様な名前に設定しておく。『メッセージ』にはメンバー全員に伝言板を作成した旨を通知する為のメッセージを書き込んでおく。『最終更新時間』は編集後、最後に保存をしたタイミングが表示されるので初期状態では作成者以外は出力されない。『メール送信』の欄にチェックを入れると、処理要求応答部130の伝言メール送信機能132がチェックを入れたメンバーの登録アドレスに対して、「書き込んだメッセージ内容」、「伝言板のグループ専用URL」、対象メンバーの「アカウント」(メールアドレスから自動的に抽出)を含むメールで配信する。
【0046】
グループ専用伝言板の初期作成の場合に限り、『メール送信』の欄にチェックを入れなくても、グループに追加する(自分も含む)全メンバーに対して自動的にチェックが入り、更新が完了すると、図3に示すメールが必ず一斉に配信される。メール本文には、「メッセージ」、「URL」、「アカウント」に加えて、初期作成の場合に限りパスワード(アカウントと同じ)が自動的に入って配信される。パスワードはその後、各自ログインした時に変更しておく。
【0047】
次に、携帯電話A101のユーザが所属するグループのメンバーであり、携帯電話B102のユーザが暮らす地域で大震災などの災害が発生した場合(図4のステップS1)、携帯電話A101のユーザがそのメンバーの安否を心配して伝言板のメッセージを確認するには、携帯電話A101を用いてネットワーク伝言板装置110にアクセスし、入力チェック機能111にて自分のアカウントとパスワードを入れてログインし(図4のステップS2)、処理要求制御部120の参照処理機能121にて伝言記憶部140に携帯電話B102のユーザの書き込みがあるか確認する(図4のステップS3)。
【0048】
伝言記憶部140に携帯電話B102のユーザによる書き込み(図5参照)があった場合(図4のステップS3/YES)、安否が確認できた旨の返信を書き込み(図4のステップS7)、処理を終える。被災地に同じグループのメンバーが複数人居る場合でも、図5に示すようにネットワーク伝言板は一覧となっているので、全員の状況を確認できる。
【0049】
仮に携帯電話B102のユーザや他に被災地に居ると思われるメンバーの書き込みがなかった場合は(図4のステップS3/NO)、処理要求制御部120の更新処理機能122にて伝言記憶部140の対象のメンバーに対して図6に示すような安否を気遣うメッセージを書き込んでおく(図4のステップS4)。この時、『メール送信』の欄にチェックを付けておくことで処理要求応答部130の伝言メール送信機能132により書き込みメッセージのメール配信(図7参照)が行われるため、メールに遅延が出ていなければすぐに気付かせることができる。ただし、図10の伝言メール確認機能212により、既に他のメンバーが書き込みメッセージのメール配信を実施済みの場合、伝言記憶部140への書き込みのみ有効になりメール配信は行われない。この伝言メール確認機能212によって、余計なメールトラフィックの増加を抑止できる。
【0050】
暫く待っても携帯電話B102から書き込みメッセージによる返信が来ない場合(図4のステップS5/NO)、震災による影響でメールに遅延が発生している、もしくはメッセージの書き込みはしたものの『メール送信』の欄(選択手段)にチェックを付けていないだけで実際には伝言記憶部140にはメッセージが記入されている可能性があるので、ネットワーク伝言板装置110にログインして伝言記憶部140を確認し(図4のステップS6)、まだ書き込まれていない場合は、図4のステップS5とステップS6の処理を繰り返し行う。仮に携帯電話B102や他に被災地に居ると思われるメンバーによるメッセージ(図8や図9参照)が確認できた場合(図4のステップS5/YES及びステップS6/YES)、安否が確認できた旨の返信を書き込み(図4のステップS7)、処理を終える。
【0051】
以上説明したように、本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
第1の効果は、被災者がメッセージを書いていない場合でもその安否情報を確認したい側の人からメッセージを書き込むことができ、それを確認した被災者が返信をする形で相互にコミュニケーションを行うことできる点である。
その理由は、従来の伝言板システムでは被災者が書き込まない間、安否情報を知りたい人は一方的に心配するだけでどうすることもできなかったが、本システムでは予めグループに登録しておけば、メンバー間の情報を相互に確認すること(情報の共有)ができる為である。
【0052】
第2の効果は、例えば、被災地に親類が多く居る場合、従来であれば安否情報を知りたい人は一人一人の情報を順番に確認しなければならなかったが、同じグループに入っていれば一度の参照操作により一目でグループ内全員の安否情報が確認できる点である。
その理由は、本システムはグループ専用の伝言板なので家族や友人など情報を確認したい人を予めグループ登録しておけば、グループ内のメンバー全員が1つの伝言板に対してアクセスできる為である。
【0053】
第3の効果は、災害時におけるメールトラフィックの肥大を抑えることができる点である。
その理由は、最初にメールで安否情報のやりとりを行い伝言板にメッセージが書き込まれさえすれば、それ以降に確認したい人は伝言板を見ればメールを送ることなく確認したい人と連絡を取り合う必要がない為である。また、それぞれのメンバーが個々にメールで連絡を取り合うよりも1つの伝言板にアクセスした方が利便性に優れている為である。
【0054】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、災害による被害・混乱を少しでも抑える防災システムの分野や営業担当など外出する機会が多いビジネスの分野等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のネットワーク伝言板システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のネットワーク伝言板の一例を示すイメージ図である。
【図3】本発明のネットワーク伝言板システムのお知らせメールの一例を示すイメージ図である。
【図4】本発明のネットワーク伝言板システムの全体動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明のネットワーク伝言板の一例を示すイメージ図である。
【図6】本発明のネットワーク伝言板の一例を示すイメージ図である。
【図7】本発明のネットワーク伝言板システムのお知らせメールの一例を示すイメージ図である。
【図8】本発明のネットワーク伝言板の一例を示すイメージ図である。
【図9】本発明のネットワーク伝言板の一例を示すイメージ図である。
【図10】本発明のネットワーク伝言板システムの概要を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100 ネットワーク利用者
101 携帯電話A
102 携帯電話B
103 携帯電話C
104 携帯電話D
105 携帯電話Z
110 ネットワーク伝言板装置
111 入力チェック機能
120 処理要求制御部
121 参照処理機能(ネットワーク伝言板表示手段)
122 更新処理機能(ネットワーク伝言板更新手段)
130 処理要求応答部
131 参照処理応答機能(ネットワーク伝言板表示手段)
132 伝言メール送信機能(メール生成送信手段)
140 伝言記憶部(ネットワーク伝言板格納手段)
201 被災者
202、203 被災者Aを心配している人
211 伝言メール送信機能
212 伝言メール確認機能
213 登録処理機能
214 参照処理機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、前記複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムであって、
前記ネットワーク伝言板装置は、
新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納手段と、
前記ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対して前記ネットワーク伝言板を表示するネットワーク伝言板表示手段と、
前記情報処理端末装置から前記ネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させて前記ネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新手段と、
前記ネットワーク伝言板更新手段によって更新が行われた場合、前記入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信手段と、
を有することを特徴とするネットワーク伝言板システム。
【請求項2】
前記メール生成送信手段は、前記メールに前記ネットワーク伝言板のURLを含んで生成することを特徴とする請求項1記載のネットワーク伝言板システム。
【請求項3】
前記メール生成送信手段は、前記複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対して前記メールを送信することを特徴とする請求項1又は2記載のネットワーク伝言板システム。
【請求項4】
前記ネットワーク伝言板は、前記複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報を全て表示する形態であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク伝言板システム。
【請求項5】
前記ネットワーク伝言板は、前記メールの送信対象となる情報処理端末装置を任意に選択できる形態であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のネットワーク伝言板システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のネットワーク伝言板システムで用いられることを特徴とするネットワーク伝言板装置。
【請求項7】
予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、前記複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムで行われるネットワーク伝言方法であって、
前記ネットワーク伝言板装置は、
新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納ステップと、
前記ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対して前記ネットワーク伝言板を表示させるネットワーク伝言板表示ステップと、
前記情報処理端末装置から前記ネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させて前記ネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新ステップと、
前記ネットワーク伝言板更新ステップによって更新が行われた場合、前記入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信ステップと、
を有することを特徴とするネットワーク伝言方法。
【請求項8】
前記メール生成送信ステップは、前記メールに前記ネットワーク伝言板のURLを含んで生成することを特徴とする請求項7記載のネットワーク伝言方法。
【請求項9】
前記メール生成送信ステップは、前記複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対して前記メールを送信することを特徴とする請求項7又は8記載のネットワーク伝言方法。
【請求項10】
前記ネットワーク伝言板は、前記複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報を全て表示する形態であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のネットワーク伝言方法。
【請求項11】
前記ネットワーク伝言板は、前記メールの送信対象となる情報処理端末装置を任意に選択できる形態であることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のネットワーク伝言方法。
【請求項12】
予めメンバー登録された複数の情報処理端末装置と、前記複数の情報処理端末装置間で所定の情報を共有するためのウェブページであるネットワーク伝言板を管理するネットワーク伝言板装置と、を有するネットワーク伝言板システムにネットワーク伝言方法を実行させるためのプログラムであって、
前記ネットワーク伝言板装置に、
新規登録されたネットワーク伝言板を格納するネットワーク伝言板格納処理と、
前記ネットワーク伝言板の参照要求をした情報処理端末装置に対して前記ネットワーク伝言板を表示させるネットワーク伝言板表示処理と、
前記情報処理端末装置から前記ネットワーク伝言板に所定の情報が入力された場合、入力された情報を反映させて前記ネットワーク伝言板を更新するネットワーク伝言板更新処理と、
前記ネットワーク伝言板更新処理によって更新が行われた場合、前記入力された情報を含むメールを生成し、所定の情報処理端末装置へ送信するメール生成送信処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
前記メール生成送信処理は、前記メールに前記ネットワーク伝言板のURLを含んで生成する処理であることを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
前記メール生成送信処理は、前記複数の情報処理端末装置のうち予め指定された情報処理端末装置に対して前記メールを送信する処理であることを特徴とする請求項12又は13記載のプログラム。
【請求項15】
前記ネットワーク伝言板装置に、
前記複数の情報処理端末装置から入力された情報のうち最新の情報を前記ネットワーク伝言板上に全て表示する処理を実行させることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記ネットワーク伝言板装置に、
前記メールの送信対象となる情報処理端末装置を前記ネットワーク伝言板上で任意に選択させる処理を実行させることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−206817(P2007−206817A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22627(P2006−22627)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】