説明

ネットワーク監視システム、ネットワーク監視方法

【課題】障害レベルに応じて適切な担当者に適切なタイミングで障害の発生を通知可能なネットワーク監視システムを提供すること。
【解決手段】機器又は回線の障害を検出する障害検出手段12と、障害判定テーブル18と、影響範囲決定テーブル20と、障害レベルテーブル19と、障害レベルに対応づけて障害の状態の通知先ユーザが登録されたユーザテーブル24と、障害判定テーブルを参照して、要素の状態をそれぞれ決定し、要素の状態の組み合わせに基づき影響範囲決定テーブルを参照して、影響範囲を決定する影響範囲決定手段15と、影響範囲と経過時間に基づき障害レベルテーブルを参照して障害レベルを決定する障害レベル決定手段16と、ユーザテーブルにて障害レベルに対応づけられた通知先ユーザに障害の内容を知らせる電子メールを送信する電子メール送信手段22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを構成する機器又は回線の障害を監視し、障害の状態をネットワークユーザに通知するネットワーク監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに障害が生じると事業所などの業務に支障が生じるため、ネットワークの障害の発生に迅速に対応可能なネットワーク監視システムが望まれる。ネットワークに生じる障害は、サーバやルータなどのネットワーク機器の障害、回線のトラブル、ネットワークの過剰な負荷等があるが、ネットワークに接続された監視装置はそれぞれの障害の監視に適切な手法で障害を監視している(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、複数の被監視装置からの情報信号に応じた処理を実行しかつ情報信号に応じた警報電子メールを生成する監視装置と、複数の電子メール送受信端末との間における電子メールの送受信を為す電子メールサーバと、を含む警報監視システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
監視装置が障害アラートを検出して発行するメールは、適切な連絡先(担当者〜経営層)に送信される。障害の拠点、発生した時間帯、及び、障害重要度(障害レベル)によって対応方法や担当者が異なるためである。
【0004】
ここで、障害レベルは障害が継続している時間によって変化するため、管理者が、障害復旧までの障害継続時間を計測して、閾値を超える毎に障害レベルをレベルアップすることが考えられる。障害レベルをレベルアップすることで、監視装置は障害レベルに応じた連絡先を追加してメールの送信を行えばよいことになる。
【0005】
しかしながら、従来、障害レベルの決定や障害経過時間の計測に明確な規定がなく、障害の程度と障害レベルの関係があいまいであった。また、障害経過時間とレベルアップのタイミングにも統一性がなかった。このため、同じ障害の程度でも、メールによる障害の通知が適切な担当者に送信されるタイミングにばらつきがあり、対応が遅れる可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、障害の程度に応じて適切な担当者に適切なタイミングで障害の発生を通知可能なネットワーク監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ネットワークを構成する機器又は回線の障害を監視し、障害の状態をネットワークユーザに通知するネットワーク監視システムであって、構内通信網を備えた拠点間を接続する前記機器若しくは前記回線の障害、検出日時、及び、機器若しくは回線の状態を含む障害情報を検出する障害検出手段と、前記拠点の拠点名、前記拠点の重要度、前記拠点の業務時間、前記機器又は前記回線の障害内容と該機器の利用可否判定基準、又は、障害の広狭を判定する判定基準、を対応づけた障害判定テーブルと、前記重要度、障害の検出日時が前記業務時間内か若しくは外か、前記機器若しくは回線の利用可否状態、又は、前記広狭、の各要素の状態の組み合わせに基づき前記機器又は回線の障害が及ぼす影響範囲の大きさが登録された影響範囲決定テーブルと、前記影響範囲の大きさと障害検出からの経過時間に対応づけて障害レベルが登録された障害レベルテーブルと、前記障害レベルに対応づけて障害の状態の通知先ユーザが登録されたユーザテーブルと、前記障害判定テーブルを参照して、前記要素の状態をそれぞれ決定し、前記要素の状態の組み合わせに基づき前記影響範囲決定テーブルを参照して、前記影響範囲を決定する影響範囲決定手段と、前記影響範囲と前記経過時間に基づき前記障害レベルテーブルを参照して前記障害レベルを決定する障害レベル決定手段と、前記ユーザテーブルにて前記障害レベルに対応づけられた前記通知先ユーザに障害の内容を知らせる電子メールを送信する電子メール送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
障害レベルに応じて適切な担当者に適切なタイミングで障害の発生を通知可能なネットワーク監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ネットワーク監視システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【図2】監視装置、障害管理サーバ、又は、メールサーバのハードウェア構成図の一例を示す。
【図3】ネットワーク監視システムの機能ブロック図の一例である。
【図4】ネットワーク監視システムの概略を説明する図の一例である。
【図5】拠点識別テーブルの一例を示す図である。
【図6】監視装置が検出するログを示す図の一例である。
【図7】監視装置が検出するログを視覚化した図の一例である。
【図8】4つの要素に基づき決定される影響範囲を説明する図の一例である。
【図9】仮決め時の影響範囲を模式的に説明する図の一例である。
【図10】広域障害の仮決め時の影響範囲を模式的に説明する図の一例である。
【図11】範囲決定テーブルの一例を示す図である。
【図12】障害レベルテーブルの一例である。
【図13】記録用メールの生成を説明する図の一例である。
【図14】記録用メールの一例を示す図である。
【図15】障害レベルと連絡先の関係を説明する図の一例である。
【図16】メールサーバが送信するメールを説明する図の一例である。
【図17】ネットワーク監視システムがネットワークの障害を監視する手順を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のネットワーク監視システムの概略的な構成の一例を示す図である。監視装置100は、ネットワークを監視して何らかの障害が生じていないかを監視している。監視装置100が障害を検出すると、障害管理サーバ200が障害内容を解析して「影響範囲」を特定する。影響範囲は例えば、甚大、大、中、小である。
【0011】
また、障害管理サーバ200は影響範囲に応じて、初期の「障害レベル」を決定する。図の例では、影響範囲が甚大又は大であれば初期の障害レベルは3、影響範囲が中であれば初期の障害レベルは2、影響範囲が小であれば初期の障害レベルは1、となる。
【0012】
初期の障害レベルが決定されると、障害管理サーバ200はメールサーバ300に障害の状況と障害レベルを通知するので、メールサーバ300は障害レベルに応じて、予め定められている連絡先にメールを送信する。
【0013】
また、障害管理サーバ200は、障害が継続している場合、障害の継続時間を計測する。そして、継続時間が閾値を超える毎に、障害レベルを大きくする。障害レベルが遷移する毎に、障害管理サーバ200はメールサーバ300に障害レベルを通知するので、メールサーバ300は障害レベルにより予め定められている連絡先にメールを送信する。
【0014】
このように、本実施形態のネットワーク監視システム500は、影響範囲を解析して障害レベルを決定するので、障害の程度と障害レベルの対応を統一させることができる。また、障害レベルは障害の継続時間が閾値を超える毎に大きくなるので、障害の継続時間と障害レベルの対応を統一させることができる。したがって、障害に対しメールの宛先を統一でき、企業などが障害に対し適切な対応を取ることが可能になる。
【0015】
〔構成例〕
図1に示したように、ネットワーク監視システム500は、監視装置100、障害管理サーバ200、及び、メールサーバ300を有している。これらは機能的な分類であり、一台以上のコンピュータに各装置の機能が搭載されていればよい。
【0016】
ネットワーク内には、各種のネットワーク機器(図の被監視装置)が存在する。ネットワーク機器はデータ通信などサービスの提供に必要であるが、ネットワーク監視システム500の構成要素である必要はない。ネットワーク機器は、例えば、ルータ、L3スイッチ、サーバなどである。これらのネットワーク機器にケーブルが接続されIPアドレスが付与されるポートは、他のネットワークとの接続口となるのでインタフェースと呼ばれることがある。
【0017】
図2は、監視装置100、障害管理サーバ200、又は、メールサーバ300のハードウェア構成図の一例を示す。監視装置100、障害管理サーバ200、又は、メールサーバ300はいずれもコンピュータとして機能すればよいので、以下、監視装置100の構成として説明する。
【0018】
監視装置100はコンピュータの一形態である。監視装置100はそれぞれバスで相互に接続されているCPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体装着部104、通信装置105、入力装置106、描画制御部107、及び、HDD108を有する。CPU101は、OS(Operating System)やプログラムをHDD108から読み出して実行することで種々の機能を提供すると共に、監視装置100が行う処理を統括的に制御する。
【0019】
RAM102はCPU101がプログラムを実行する際に必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM103はBIOS(Basic Input Output System)やOSを起動するためのプログラム、静的なデータが記憶されている。
【0020】
記憶媒体装着部104には記憶媒体110が着脱可能であり、記憶媒体110に記録されたプログラムを読み込み、HDD108に記憶させる。また、記憶媒体装着部104は、HDD108に記憶されたデータを記憶媒体110に書き込むこともできる。記憶媒体110は例えば、USDメモリ、SDカード等である。
【0021】
入力装置106は、キーボードやマウス、トラックボールなどであり、監視装置100の製造管理者の様々な操作指示を受け付ける。
【0022】
HDD108は、SSD等の不揮発メモリでもよく、OS、プログラム、規格値などの各種のデータが記憶されている。監視装置100は、障害を検出して障害情報を通知したり、障害アラートを発行したり、障害の状況を視覚化するプログラム111を有している。障害管理サーバ200は、影響範囲を決定したり、障害レベルを決定するプログラム111を有している。メールサーバ300は障害レベルに応じた連絡先にメールを送信するプログラム111を有している。
【0023】
通信装置105は、インターネットなどのネットワーク301に接続するためのNIC(Network Interface Card)であり、例えば、イーサネット(登録商標)カードである。
【0024】
描画制御部107は、CPU101がプログラム111を実行してグラフィックメモリに書き込んだ描画コマンドを解釈して、画面を生成しディスプレイ109に描画する。
【0025】
図3は、ネットワーク監視システム500の機能ブロック図の一例を示す。監視装置100、障害管理サーバ200、及び、メールサーバ300のいずれもCPUがプログラムを実行することと、メモリなどのハードウェアが協働することで実現されている。
【0026】
被監視装置400は、監視装置100に監視されるネットワーク機器や回線など、ネットワークを用いたサービスの提供に必要なリソースである。ネットワークを構成する全ての機器が含まれる。例えば、ルータ、サーバ、レイヤ3スイッチ、負荷分散装置、セキュリティ装置等である。これらは、ネットワークとのインタフェース毎にIPアドレスを有し、インタフェース単位で障害が監視される。ネットワーク機器は通常、複数のインタフェースを有するので、1つのネットワーク機器から複数の障害が検出されることもある。
【0027】
監視装置100は、機器監視部12、拠点識別テーブル11、及び、送受信部13を有する。機器監視部12は、被監視装置400の障害の発生を検出する。拠点識別テーブル11は、障害の生じた機器又は回線と、拠点の識別情報を対応づけたテーブルである。障害の発生を検出する方法には様々な方法があるが、本実施形態のネットワーク監視システム500では、その方法は問わない。具体的な方法や拠点については後述する。
【0028】
障害管理サーバ200は、範囲解析部15、障害レベル決定部16、メール生成部17、送受信部14、範囲決定テーブル18及び障害レベルテーブル19を有する。範囲解析部15は、範囲決定テーブル18を用いて障害の影響範囲を決定する。障害レベル決定部16は、障害レベルテーブル19を参照して、影響範囲と障害の継続時間から障害レベルを決定する。これらの詳細は後述する。メール生成部17は、障害の情報と管理者によるメール情報の入力を受け付け、記録用メールを生成する。
【0029】
メールサーバ300は、メール送信部22、送受信部21、インシデント管理DB23、連絡先テーブル24及びメールテンプレート25を有する。メール送信部22は、障害レベルに応じた連絡先に障害を報告するメールを送信する。インシデント管理DB23は、障害の進捗や障害の履歴を記録するためのデータベースである。インシデント管理DB23はメールサーバ300が有するとしているが、NAS(Network Attached Storage)や他のサーバなど、独立した装置に搭載されていてもよい。また、メールサーバ300は障害管理サーバ200と同じコンピュータに搭載してもよい。
【0030】
〔概略〕
図4は、ネットワーク監視システム500の概略を説明する図の一例である。ネットワーク監視システム500は、上述した監視装置100、障害管理サーバ200及びメールサーバ300を有する。
(1)まず、監視装置100は、ネットワーク機器や回線の障害を監視し、障害を検出すると障害アラートを発行する。障害アラートには例えば、障害のあった拠点、検出の日時、通信可能か否かなどの機器の状態等、種々の情報が含まれる。以下、これを障害情報という。障害が発生すると監視装置100はパトライトを点灯し、警報音を出力する。
(2)障害管理サーバ200は、障害情報を取得して、拠点の重要度、障害の検出日時が拠点の業務時間内か又は外か、ネットワーク機器や回線の利用可否状態、及び、ネットワーク機器や回線の障害が及ぼす対象範囲の広狭、の組み合わせに基づき、障害の影響範囲を決定する。なお、障害管理サーバ200は、監視装置100と一体に構成することもできる。
【0031】
障害管理サーバ200は、影響範囲に基づき初期の障害レベルを決定する。障害が長い時間、継続することは、障害が大きくなると考えられるので、障害管理サーバ200は時間の経過と共に障害レベルを大きくする。
(3)障害管理サーバ200は、管理者からメールの送信に必要な情報の入力を受け付け、障害情報を利用して記録用メールを生成する。この記録用メールは障害管理のためインシデント管理DB23に記憶される。
(4)メールサーバ300は、障害レベルに基づき連絡先を決定し障害の状況などを伝えるための電子メールを送信する。障害レベルが大きくなれば、その度に、電子メールを送信する。
【0032】
以下、監視装置100、障害管理サーバ200、及び、メールサーバ300について詳細に説明する。
【0033】
〔監視装置による監視など〕
被監視装置400には大きくネットワーク機器と回線があるが、回線に障害があると監視装置100がネットワーク機器と通信できなくなるので、ネットワーク機器と回線の障害は特に区別しなくてよい。しかし、監視装置100は通信自体ができないことを、回線の電圧レベル(L1、L2レベル)を監視するなどして検出することができる。
【0034】
ネットワーク機器のIPレベルの障害を監視するには、機器監視部12はPingコマンドを例えばルータに向けて送信し、タイムアウトの有無、タイムアウトの回数、等により障害発生の有無や程度を監視する。ネットワーク機器のより上位層の障害を監視するには、機器監視部12は、例えばTCPポートへの接続を試みる。ネットワーク機器がWebサーバならTCPポートの80を指定してTCPパケットを生成し、ネットワーク機器に送信する。同様に、タイムアウトの有無、タイムアウトの回数、等により障害発生の有無や程度を監視する。サーバの種類によって、TCPポート番号を代えることでサーバに応じた監視が可能である。
【0035】
TCPよりも上位層の障害を監視する場合、HTTPやSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、FTP、POP3などのアプリケーションレベルのプロトコルに従い、機器監視部12が疑似トランザクションを生成し、各サーバに送信する。この場合、タイムアウトの有無だけでなく、レスポンスコードなどから高度な監視が可能になる。
【0036】
また、機器監視部12は、SNMPを利用してネットワーク機器を監視してもよい。機器監視部12はSNMPのマネージャであり、ネットワーク機器がエージェントになる。SNMPのマネージャはネットワーク機器が管理するMIB(Management Information Base)の内容を問い合わせる。また、ネットワーク機器は、予め指定されたイベントを検出するとSNMPトラップというイベント通知を監視装置100に通知する。したがって、機器監視部12は、イベント内容からネットワーク機器に生じた障害を検出することができる。
【0037】
機器監視部12は以上のようにして障害との関係が大きいIPアドレスを収集する。IPアドレスが分かれば拠点を判別することができる。
【0038】
図5は、拠点識別テーブル11の一例を示す図である。拠点識別テーブル11は、ソース、インタフェース、及び、回線の各フィールドを有する。ソースは拠点の識別情報である。拠点とは、部署や事業所、営業所、データセンタなどである。拠点は、広域のネットワークに接続されているLAN(構内通信網)を有し、通信網からみるとネットワークアドレスで区分される小規模なネットワークである。拠点は、例えば、ルータやL3スイッチによりインターネット側、他の拠点等と区別されている。拠点間は回線で接続されている。拠点の識別情報(ソース)はルータやL3スイッチの識別情報となる場合が多い。なお、ソースには(緯度、経度)が付与されており、物理的な位置が明らかになっている。
【0039】
インタフェースは、拠点のLAN側のインタフェースやインターネット側のインタフェースのIPアドレスである。回線は、インタフェースに接続された回線の識別名や商品名又はサービス名である。
【0040】
このような拠点識別テーブル11によれば、障害の発生したインタフェースや回線から影響を受ける拠点が明らかになる。なお、ソースが分かれば一般的な拠点名(事業所名など)も明らかになる。
【0041】
〔監視装置が生成するアラート例〕
図6は、監視装置100が検出するログを示す図の一例である。図6では1行のログが1つのインタフェースの動作状態を記述している。1行のログには、重要度、日時、ソース、及び、メッセージが記述される。
【0042】
ログには正常な動作が記述されるものと、障害アラートが記述されるものがある。障害アラートはさらに、その重要度により注意状態、警戒状態、重要警戒状態、危険状態とに分類される。ある障害アラートをどの状態に分類するかは、監視装置100に、検出されたインタフェースとその状態に対応づけて設定されている。
重要なインタフェースが停止した:重要警戒状態
通常のインタフェースが停止した:警戒状態
「重要度」には、このように障害アラートの内容に基づき監視装置100が判断した結果として正常状態、警戒状態、重要警戒状態の区別が記述される。「日時」には、不図示のタイムサーバ等から取得した、障害が検出された日時情報が記述される。「ソース」にはネットワーク機器から取得したソース名、又は、インタフェースのIPアドレスに基づき拠点識別テーブル11から読み出されたソースが記述される。「メッセージ」にはインタフェースのIPアドレス、インタフェース名、インタフェースの状態、が記述される。この他、SNMPトラップのトラップ内容など、監視装置100の監視結果がログに記述される。
【0043】
図7は、監視装置100が検出するログを視覚化した図の一例である。日本地図上に地域名と、地域間を接続する回線の回線名(サービス名)が表示される。この地域名は、表示領域の都合上、各地域に含まれる拠点を1つに表したものであり、例えば関東という地域名には、関東地方の複数の拠点が含まれている。
【0044】
管理者が日本地図上の地域名をマウスでクリックすると、この地域名に含まれる都道府県がそれぞれ表示される。図では、関東地方という地域名がクリックされ、東京、茨城、栃木、千葉、という都道府県名が表示されている。
【0045】
そして、管理者が日本地図上の都道府県名をマウスでクリックすると、クリックした都道府県に含まれる拠点の拠点名がそれぞれ表示される。
【0046】
この拠点名又は拠点を示すアイコンは、例えば、重要警戒状態以上のアラートが検出されていると赤色で表示される。後述するように、赤色の拠点が例えば5個以上の場合、障害の対象範囲は"広"と判断される。
【0047】
このため、赤色の拠点が5個以上の場合、都道府県の地図の1つの都道府県名又は都道府県を示すアイコンが、赤色で表示される。1つ以上の都道府県が赤色の場合、日本地図上の地域名又は地域名を示すアイコンが赤色で表示される。
【0048】
なお、図では日本を例にしたが各国のネットワークを同様に表示でき、また、世界地図上にネットワークを表示することもできる。
【0049】
〔障害管理サーバ200〕
〔影響範囲〕
まず、影響範囲の考えたかについて説明する。影響範囲の決定には以下の4つの要素を使用する。
1.対象重要度
2.業務時間
3.提供サービス状態
4.対象範囲
1.対象重要度
対象重要度は、監視対象のネットワーク機器や回線に障害が生じた際に他の機器に与える影響度である。本実施形態では高、中、低の3つに区分する。
高:停止により企業全体の事業活動に大きな影響があるネットワーク機器
中:停止により影響を受ける業務や人員が所定数以上のネットワーク機器
低:その他
対象重要度が高のネットワーク機器は、例えば、メインサーバ(Mail、DB、HUB等)、共通ドメインサーバ、中のネットワーク機器はバックアップサーバ、パススルーサーバ、対象重要度が低のネットワーク機器はその他のサーバである。
【0050】
2.業務時間
障害の検知時刻が、社員が業務を実施している時間帯の場合、影響が大きいと考えられる。よって、業務時間内、又は、業務時間外かを、影響範囲の決定要素とする。業務時間は企業によって異なるが、例えば次のようなパターンがある。
パターン1: 24h(365日)
パターン2: 7:00〜22:00(月〜土)
パターン3: 8:00〜20:00(祝日を除く月〜金)
なお、月末、締め日(五十日)などだけ業務時間を変更してもよいし、サマータイムなどを反映させてもよい。
【0051】
3.提供サービス状態
提供サービス状態は例えば提供サービスの利用が可能かどうかの状態である。提供サービス状態は、大きく回線による状態とサーバによるものがある。
【0052】
<回線による提供サービス状態>
・利用不可:障害が発生し、二重化された回線の両方が使用不可な状態
障害が発生し、単独回線が使用不可な状態
回線にて瞬断が発生し、10分以内に再発した状態
初検知から再検知の復旧までの時間、通信が不安定なため提供サービスが利用不可な状態
二重化された回線で1分以下の通信断が複数回、発生し、経路切り換えが頻発している場合も該当する
・利用可能(一部断):二重化された回線、機器の一方は使用可能だが、他方を使用することで提供サービスは利用可能な状態
<サーバによる提供サービス状態>
・利用不可:サーバへのアクセスが不可の障害
システムDBの破損障害
メール配信停止となる障害
サーバ運用不可(ミラーリング、正、副障害)となる障害
・利用可能:各種リソース(ディスク、メモリー)通知
メール配信状況に異常があり、滞留が発生している障害
バックアップ再取得不可の障害
障害が発生しているが、サーバ運用可の障害
サーバへのアクセス障害が発生したが、自動再起動処理により復旧した場合
4.対象範囲
1つの原因で障害が同時に多発し、対象数が多い(複数停止)場合は、業務への影響が大きいと推測される。このため、影響範囲を確定する要素として、本実施形態では対象範囲を取り入れる。対象範囲の決定には、同時(例えば数分以内など、ほぼ同時と見なせる時間差)の障害検知件数を利用する。同時の定義は、提供サービス毎に検知タイミングに差異が生じるため、拠点や回線毎に決定する。
【0053】
例えば、ある単体の拠点に障害が発生すると、監視装置100は、1件〜5件程のアラートを検知する。このため、単純な障害発生件数では、対象範囲の広さをはかれない。
そこで、本実施形態では、障害拠点件数を障害発生件数としてカウントし、対象範囲を広域性(障害拠点分布範囲)で表現する。広域とは、拠点が都道府県にまたがる場合、又は、各個別都道府県内でも多くの拠点に障害が検出される場合、と定義する。例えば、各都道府県単位で接続されている拠点数が5拠点以上であるとする。この場合、5拠点以上で同時の障害が発生した場合、各都道府県の多くの接続拠点が障害に影響を受けていると考えられるので、広域の障害とみなすことができる。
・広:5拠点以上
・狭:4拠点以下
想定される障害は、広の場合、地域災害、キャリア網障害、中継拠点障害、中継局障害、狭の場合、収容局障害によりある区内に影響がある障害、アクセス回線障害等で個別の拠点に影響がある障害、が想定される。
【0054】
図8は、4つの要素に基づき決定される影響範囲を説明する図の一例である。この図は、後述する影響範囲決定テーブル20の一例となる。障害管理サーバ200の範囲解析部15は、対象重要度、業務時間、提供サービス状態、対象範囲の判定結果に応じて以下のように、影響範囲を決定する。
対象重要度:高 業務時間:内又は外 提供サービス状態:利用不可 対象範囲:狭又は広 の場合、影響範囲は甚大となる。
対象重要度:中 業務時間:内 提供サービス状態:利用不可 対象範囲:狭 の場合、影響範囲は大となる。
対象重要度:高 業務時間:内及び外 提供サービス状態:利用可能 対象範囲:狭及び広 の場合、影響範囲は中となる。
対象重要度:中 業務時間:内及び外 提供サービス状態:利用不可 対象範囲:狭及び広 の場合、影響範囲は小となる。
【0055】
<影響範囲の仮決め>
より具体的には、範囲解析部15は、拠点毎、インタフェース毎のアラートを精査し、各要素を求める。しかし、障害の対象範囲が広い場合(広域の場合)、提供サービス状態の判別に時間を要するおそれがある。
【0056】
そのため、まず、要素を対象重要度と業務時間及び提供サービス状態の3つに限定して影響範囲を仮決めし、ある程度の時間が経過した段階で本決定することも有効である。
【0057】
図9は、仮決め時の影響範囲を模式的に説明する図の一例である。要素は対象重要度、業務時間及び提供サービス状態の3つである。
【0058】
図9では、対象重要度、業務時間及び提供サービス状態から、影響範囲(甚大 大 中 小)が決定されている。例えば、関西DC(データセンタ)で平日の午前9時に提供サービスが利用不可となった場合、対象重要度が高、業務時間内であるため、影響範囲は甚大となる。また、例えば、サービスセンタ(SS)で休日15時にサービス利用不可となった場合、対象重要度が低、業務時間外であるため、影響範囲は低となる。
【0059】
また、広域障害の場合、提供サービス状態を確定することに時間がかかることも予想される。しかし、SLA(Service Level Agreement)などのサービスの品質保証を維持するには、広域障害か否かを確定するまで待つべきない。そこで、広域障害の場合、対象重要度と業務時間のみから影響範囲を仮決めすることも有効である。
【0060】
図10(a)は広域障害の仮決め時の影響範囲を模式的に説明する図の一例である。要素は対象重要度及び業務時間の2つになっている。例えば、対象重要度に高が含まれており、業務時間内又は外の場合、影響範囲は甚大になる。また、対象重要度が低であり、業務時間外の場合、影響範囲は低になる。なお、暫定的に影響範囲を仮決定する際は、各要素で選択肢が2つ以上ある場合、影響範囲の確定時に判明する各要素の一番高いものを有効とする。こうすることで、障害レベルを大きい方にバイアスできるので、報告漏れ防止できる。
【0061】
提供サービス状態が確定すると、範囲解析部15は影響範囲を修正する。図10(b)では、提供サービス状態が追加されている。提供サービス状態が追加されることで、影響範囲が変わるのであれば、判明した段階で、影響範囲を再決定する。また、新たな障害の原因が判明した場合、影響範囲は再決定される。
【0062】
〔影響範囲の決定〕
範囲解析部15は、以上のような考え方に基づき障害の影響範囲(例えば甚大、大、中、小)を決定する。
【0063】
図11は、範囲決定テーブル18の一例を示す図である。範囲決定テーブル18は、これまで説明した影響範囲の考え方に基づき、影響範囲を決定するためのテーブルである。まず、図11(a)では、拠点毎に、拠点名、ソース、インタフェース、対象重要度、業務時間、利用可否判定基準、及び、対象範囲の広狭基準が登録されている。拠点名は一般的な呼称である。
【0064】
ソースは、上述したように拠点で使用される各種のネットワーク機器の識別名である。1つの拠点で1つ以上のルータやレイヤ3スイッチが利用されているが、それぞれに名称を付けるのは困難なのでソースという統一した名称を付与した。
【0065】
インタフェースも上述したものと同じであり、インタフェースを識別するため、例えばルータにおいて、WANやインターネット等とを接続する境界のIPアドレスを利用する。例えば、拠点内にLANがあり他の拠点のLANとWANを形成している場合、拠点のルータのLAN側のIPアドレスとWAN側のIPアドレスが登録される。
【0066】
対象重要度は、拠点の重要度であり上記の考え方に基づき予め登録されている。業務時間も、予めパターン化されたいくつかの業務時間のパターンが登録されている。利用可否判定基準は、障害発生時のソース(ネットワーク機器や回線)の利用可否を判定するためのテーブルとのリンク情報が登録されている。
【0067】
図11(b)は川崎CC(MZR009A)の利用可否判定基準の一例を示す図である。利用可否判定基準には、インタフェースの死活状態又はその組み合わせに応じて、利用可否の判定が登録されている。例えば、川崎CC(MZR009A)の場合、3つのインタフェースFa1、Tu1、Tu2の全てが停止すると利用不可と判定されることが登録されている。
【0068】
また、WAN側のインタフェースであるインタフェースTu1のみが停止した場合、利用可能(一部)と判定されることが登録されている。
【0069】
対象範囲の広狭基準は、障害の対象範囲が広か狭の判定基準である。図では5個以上で「広」、4個以下で「狭」となっている。本実施形態では、重要警戒状態以上の拠点数をカウントするものする。よって、例えば、機器監視部12が重要警戒状態のインタフェースを検出した場合、範囲解析部15は拠点識別テーブル11から重要警戒状態のインタフェースが対応づけられた拠点名を特定し、その拠点数をカウントする。そしてこの数を判定基準と比較して対象範囲が広か狭かを判定する。重複しないように重要警戒状態となったソースをカウントすることで拠点数が明らかになる。
【0070】
また、拠点の数だけでなく、障害が検出されたネットワーク機器の数から障害の対象範囲が「広」か「狭」かを判定することができる。電源異常や空調異常などの環境面で障害が発生した場合、複数のネットワーク機器に障害が生じるおそれがある。例えば、ネットワーク機器の1つであるサーバに障害が生じると多くのユーザに影響を与える。このため、障害が検出されたネットワーク機器の数から障害の対象範囲が「広」か「狭」かを判定することも有効である。この場合の「対象範囲の広狭基準」は、拠点数の場合の広狭基準と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0071】
例えば、広域を影響を受ける業務の範囲が広いことと定義する。この場合、ある拠点のサーバに障害が発生した場合に、どのような業務に影響が生じるかはサーバによって異なる。例えば、サーバに人事システムだけが含まれる場合と、人事システムと販売システムがが含まれる場合とでは、ユーザが影響を受ける業務範囲が異なる。したがって、拠点の数だけでなく、障害が生じたネットワーク機器の数が多い場合に、広域障害が発生したと判断できる。
【0072】
範囲解析部15は重要警戒状態のソースと業務種別(人事、販売、生産等)が対応づけられたテーブルを参照し、業務に影響のあるソースに障害が発生したか否かを判定する。そして、業務に影響のあるソースの数を重複しないようにカウントし、広狭基準と比較することで障害の対象範囲が「広」か「狭」かを判定する。
【0073】
範囲解析部15は、障害情報から範囲決定テーブル18を参照し、4つの要素のそれぞれの状態を決定する。そして、上記の影響範囲決定テーブル20を参照して、4つの要素の状態が適合する影響範囲(甚大、大、中、小)を決定する。
【0074】
<障害レベルの決定>
障害レベル決定部16は、障害レベルテーブル19を参照して影響範囲から初期の障害レベルを決定する。
図12(a)は障害レベルテーブル19の一例を示す。障害レベルテーブル19は、影響範囲と障害レベルを対応づける。そして、障害レベルは障害の経過時間と共に大きくなっていくことが特徴の1つになっている。
【0075】
なお、障害レベルの意味は例えば次のようになる。
・障害レベル5:経営としての危機管理が必要なレベル
・障害レベル4:業務的影響の経過管理が必要なレベル
・障害レベル3:業務代替手段の検討が必要なレベル
・障害レベル2:問合せ対応が必要なレベル
・障害レベル1:障害として管理が必要な最低レベル
より詳細な障害例として以下を挙げておく。
・障害レベル5:発生から長期化しており、重要なエリアや複数(又は広範囲)提供サービスで甚大な被害に結びつく恐れがあると想定される障害
・障害レベル4:重要なエリアや複数(又は広範囲)提供サービスに影響があり一定時間以上経過している障害
・障害レベル3:業務に何らかの影響が出ており、利用者が体感的に気づき、システム的にも検知している障害
・障害レベル2:重要度の低い特定のエリアに限定され、利用者が体感的に気づきにくいが、システム的に検知している障害
・障害レベル1:業務に実質的な被害が無いが、システム的に検知している障害(冗長化機能が働いている、等)
障害が長期にわたれば被害は大きいものとなるため、障害レベル決定部16は経過時間を考慮して、障害レベルの変更を行う。ここで、障害レベルが1つレベルアップする閾値の時間は均一ではない。例えば、障害レベル1から障害レベル2に変更するための閾値の時間は、障害レベル2から障害レベル3に変更するための閾値の時間と、同じであるとは限らない(同じであってもよい)。また、閾値の時間は提供サービス毎に適宜設定されるものとする。
【0076】
図12(b)は経過時間と障害レベルの関係の一例を示す図である。
【0077】
経過時間は、例えば、下記を基準とし、それを境に障害レベルの変更を行う。
・1分 ・・・ システム的に検知される瞬断の時間
・10分 ・・・ 現地利用者が体感的に気付く目安の時間
・60分 ・・・ 障害の継続により業務への影響が大きくなると判断できる時間
・240分・・・ 復旧時間(サービスレベル)が守れなくなる時間
なお、経過時間のカウントには、業務時間を考慮することが好ましい。影響範囲の決定に障害の検出日時が業務時間内か外かを判定要素としたが、これは検出日時だけを見ている。しかし、障害の継続時間が長くなり実時間が業務時間となれば障害レベルは大きいとみなすべきである。このため、障害レベル決定部16は、例えば、実時間が業務時間となれば、障害レベルを1段階大きくする。また、業務時間内は、閾値時間に0.8などの定数を掛けて業務時間外よりも早く障害レベルが大きくなるようにする。
【0078】
また、復旧予定時間が確定し、予め障害継続時間が判明している場合は、経過時間がゼロでも、復旧予定時間が確定した時点で、障害レベルを決めてしまう。これにより、障害レベルを早期に確定できる。
【0079】
図12(c)は提供サービスがADSL回線の場合の障害レベルの遷移を説明する図の一例である。ADSL回線はベストエフォート型なので、別影響範囲としている。すなわち、障害レベルは1から始まり、10分経過後に障害レベルは2となるが、その後は経過時間に関係なく障害レベル2を維持する。
【0080】
<メールの生成>
障害管理サーバ200のメール生成部17は、障害情報、対象重要度、業務時間内・外、提供サービス状態、対象範囲、及び、管理者が入力した情報を受け付け、記録用メールを生成する。記録用メールはユーザに送信されるメールとは異なるメールである。
【0081】
図13は、記録用メールの生成を説明する図の一例である。記録用メールの生成に入力される情報は、例えば以下のものである。
一連番号、日時、ソース情報、メッセージ(IPアドレス)
一連番号はメール生成部17が最後に生成した一連番号に1を足すなどして、重複しない連番が付与される。日時は、管理者が所定のキー(例えば"ctrl"キー +":"キー)を押下することで自動的に入力される。また、日時には障害情報に含まれる障害の検知時刻も取り込まれる。ソース情報は対象重要度又は対象範囲の決定時に明らかな拠点のソース名である。
【0082】
メッセージは、管理者がIPアドレスを選択することで入力される。メール生成部17は、範囲決定テーブル18にてソースに対応づけられたIPアドレスを表示するので、管理者はその中から障害の発生している機器のIPアドレスを選択する。このIPアドレスからLAN側、WAN側などの障害現象を記録用メールに記述できる。
【0083】
図14は、記録用メールの一例を示す図である。記録用メールには、1障害発見先、2障害発生地点、3障害日時、4お客様担当者、5障害現象、6障害原因、7処置、8一次切り分け結果、9備考等である。また、対象重要度、業務時間の内・外が含まれる。
【0084】
1障害発見先は障害を検出した装置名である。2障害発生地点は拠点名である。3障害日時は障害の発生日時、復旧日時(復旧した場合)、完了日時(例えば冗長構成によるバックアップ状態から障害前の状態に戻った場合)である。4お客様担当者は、障害のあった拠点を顧客が使用する場合の顧客の担当者名である。5障害現象は、アラートのメッセージから読み取り可能な障害の状態である。6障害原因は、障害の原因である。7処置は、障害に対し施された処置である。8一次切り分け結果は、障害の生じたルータなどを切り離したことによる状況である。
【0085】
このうち、4,6,7,8,9は管理者が入力することができる。5の障害現象は障害アラートと範囲決定テーブル18から明らかであるが、管理者が追記してもよい。なお、回線や機器名は、拠点識別テーブル11や、不図示のデータベースから読み出される。
【0086】
メール生成部17は作成した記録用メールをインシデント管理DB23に登録する。インシデント管理DB23は、障害の進捗、履歴を管理するためのデータベースである。また、障害レベル決定部16が決定した障害レベルはメールサーバ300に通知される。
【0087】
〔メールサーバ〕
メールサーバ300のメール送信部22は、障害レベルに応じて連絡先を決定して、障害の内容を伝えるメールを生成し、送信する。連絡先テーブル24には、各連絡先に所属するユーザと、そのユーザのメールアドレスが登録されている。また、メールテンプレート25にはメールの文章やフォーマットのテンプレートが登録されている。
【0088】
<障害レベルと連絡先>
図15は、障害レベルと連絡先の関係を説明する図の一例である。図では連絡先をユーザ側とサービス側に区分した。ユーザ側はネットワークシステムを利用する側の人間であり、例えば経営層、各社責任区、LAN管理区(責任者)、LAN管理区(担当者)、拠点(担当者)などがある。サービス側は、サービスを提供する側の人間であり、例えば、経営層、責任区、案件責任者、案件担当者である。なお、提供区はサービス運営部門であり、主管区はサービス提供側の管理部門である。
【0089】
障害レベル1:ユーザ側の拠点(担当者)
障害レベル2:LAN管理区と案件担当者
障害レベル3:LAN管理区(責任者)、案件責任者
障害レベル4:LAN管理区と責任区
障害レベル5:経営層
なお、障害レベルの上位は、下位の連絡先を含む。すなわち、障害レベル1の場合、メールは障害レベル1の連絡先に送信される。障害レベル2の場合、メールは障害レベル1と2の連絡先に送信される。障害レベル3の場合、メールは障害レベル1〜3の連絡先に送信される。障害レベル4の場合、メールは障害レベル1〜4の連絡先に送信される。障害レベル5の場合、メールは障害レベル1〜5の連絡先に送信される。
【0090】
メール送信部22は、連絡先を決定すると連絡先テーブルから連絡先のユーザのメールアドレスを読み出し、電子メールの連絡先に設定する。
【0091】
<メール内容例>
図16は、メールサーバ300が送信するメールを説明する図の一例である。なお、障害管理サーバ200が送信するメールでなく、メールサーバ300がメールを送信するのは、ユーザに障害内容を適切な表現で伝えるためである。メール送信部22は、いくつかのメールテンプレート25を有しており、メールテンプレート25に必要事項を記入することでメールを生成する。
【0092】
メールテンプレート25には、「Subject」「いつも大変お世話になっております。 監視センターです。監視システムよりアラートの通知を確認致しましたので、取り急ぎご連絡させていただきます。」というメッセージ、国内用の「R−WAN国内系サービス障害連絡票」というメッセージ、が用意されている。
【0093】
また、「1.障害発生拠点 2.障害日時 3.障害影響 4.接続網 5.障害原因 6.対応」という項目名が用意されている。また、「詳細につきましては、現在調査中の為、追ってご報告させていただきます。以上、宜しくお願い申し上げます。」「<監視センタ-担当者>:○○(xx-xxxx-xxxx)」というメッセージが用意されている。
【0094】
メール送信部22は、このようなメールテンプレート25に、上記の項目、拠点名、インシデントNo、及び、障害のステータスを追加して記述してメールを完成させる。「1.障害発生拠点」は記録用メールの障害発生拠点である。「2.障害日時」は記録用メールの障害日時である。「3.障害影響」は、記録用メールの障害現象、処置、一次切り分け結果から生成された内容又は同じ内容である。「4.接続網」は、記録用メールの回線である。「5.障害原因」は記録用メールの障害原因である。「6.対応」は障害が復旧していなければ対応中となり、障害が復旧すると対応済となる。
【0095】
また、拠点名は記録用メールの障害発生拠点であり、インシデントNoは、メール生成部17が生成したレポートNoである。障害ステータスは、例えば「発生、発生/復旧、再発、再発/復旧、発生/復旧/完了、再発/復旧/完了」から選択する。障害が復旧したか否かは少なくとも管理者が把握しており、復旧していなければ「発生」、復旧していれば「発生/復旧」、復旧しておらず過去に遡って所定時間内に同じ拠点に障害がある場合は「再発」、再発だが復旧していれば「再発/復旧」、バックアップなどでなく元の状態に戻ると「発生/復旧/完了」又は「再発/復旧/完了」となる。
このようなメールにより、受け取ったユーザは障害の状況を容易に把握できる。
【0096】
〔動作手順〕
図17は、ネットワーク監視システム500がネットワークの障害を監視する手順を説明するフローチャート図の一例である。図17の手順は、監視装置100が障害を関している間、繰り返し実行される。
【0097】
まず、機器監視部12が障害を検出し、障害アラートを発行する(S10)。機器監視部12は障害情報を障害管理サーバ200に通知する。
【0098】
次に、障害管理サーバ200の範囲解析部15は影響範囲を解析し、障害レベル決定部16は初期の障害レベルを決定する(S20)。メール生成部17は記録用メールをメールサーバ300に送信するので、メールサーバ300の送受信部21はインシデント管理DB23に記録用メールを記憶させる。
【0099】
そして、メール生成部17は障害レベルに応じた連絡先にメールを送信する(S30)。
【0100】
機器監視部12は、障害の監視を継続しているので、監視結果に基づき障害が復旧したか否かを判定する(S40)。
【0101】
復旧した場合には(S40のYes)、メール送信部22は復旧したことを連絡先にメールで通知する(S50)。
復旧しない場合(S40のNo)、障害レベル決定部16は閾値時間が経過したか否かに基づき障害をレベルアップするか否かを判定する(S60)。レベルアップしなければ復旧を待機する。
【0102】
障害がレベルアップした場合(S60のYes)、障害レベル決定部16は障害レベルを1つ大きくする(S70)。
【0103】
そして、メール生成部17は障害レベルに応じた連絡先にメールを送信する(S80)。この時、すでに送信した連絡先にもメールを送信することが好ましい。これにより、障害レベルがアップしたことを通知できる。一方、すでに送信した連絡先にはメールを送信しないこととしてもよい。すでに障害の発生は通知済みだからである。
【0104】
以上説明したように、本実施形態のネットワーク監視システム500は、ネットワークの障害時に監視装置100より通知される障害情報により障害レベルを決定し、障害レベルに応じて連絡すべき連絡先を決定することができる。障害継続時間と共に障害レベルを大きくするので、障害の重要性に応じて連絡先を制御することができる。
【符号の説明】
【0105】
11 拠点識別テーブル
12 機器監視部
13、14,21 送受信部
15 範囲解析部
16 障害レベル決定部
17 メール生成部
18 範囲決定テーブル
19 障害レベルテーブル
20 影響範囲決定テーブル
22 メール送信部
23 インシデント管理DB
24 連絡先テーブル
25 メールテンプレート
100 監視装置
200 障害管理サーバ
300 メールサーバ
500 ネットワーク監視システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2004−206598号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを構成する機器又は回線の障害を監視し、障害の状態をネットワークユーザに通知するネットワーク監視システムであって、
構内通信網を備えた拠点間を接続する前記機器若しくは前記回線の障害、検出日時、及び、機器若しくは回線の状態を含む障害情報を検出する障害検出手段と、
前記拠点の拠点名、前記拠点の重要度、前記拠点の業務時間、前記機器又は前記回線の障害内容と該機器の利用可否判定基準、又は、障害の広狭を判定する判定基準、を対応づけた障害判定テーブルと、
前記重要度、障害の検出日時が前記業務時間内か若しくは外か、前記機器若しくは回線の利用可否状態、又は、前記広狭、の各要素の状態の組み合わせに基づき前記機器又は回線の障害が及ぼす影響範囲の大きさが登録された影響範囲決定テーブルと、
前記影響範囲の大きさと障害検出からの経過時間に対応づけて障害レベルが登録された障害レベルテーブルと、
前記障害レベルに対応づけて障害の状態の通知先ユーザが登録されたユーザテーブルと、
前記障害判定テーブルを参照して、前記障害情報に基づき前記要素の状態をそれぞれ決定し、前記要素の状態の組み合わせに基づき前記影響範囲決定テーブルを参照して、前記影響範囲を決定する影響範囲決定手段と、
前記影響範囲と前記経過時間に基づき前記障害レベルテーブルを参照して前記障害レベルを決定する障害レベル決定手段と、
前記ユーザテーブルにて前記障害レベルに対応づけられた前記通知先ユーザに障害の内容を知らせる電子メールを送信する電子メール送信手段と、
を有するネットワーク監視システム。
【請求項2】
前記障害レベル決定手段は、前記経過時間が閾値を越える毎に前記障害レベルを一段階大きくし、
前記電子メール送信手段は、新たな前記障害レベルに対応づけられた前記通知先ユーザに障害の内容を知らせる電子メールを送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のネットワーク監視システム。
【請求項3】
前記障害レベルテーブルには、障害レベルを一段階大きくするための閾値がレベル間毎に登録されている、
ことを特徴とする請求項2記載のネットワーク監視システム。
【請求項4】
前記影響範囲決定手段は、前記要素の2つ以上の状態を決定して、前記要素の2つの状態の組み合わせに基づき前記影響範囲を仮決定しておき、前記要素の残りの状態が決定したタイミングで、前記影響範囲を更新する、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のネットワーク監視システム。
【請求項5】
前記機器に付与された1つ以上のIPアドレスと、前記機器が接続された前記回線と、前記機器又は前記回線の障害の影響を受ける拠点の拠点識別情報とを対応づけた拠点識別テーブル、を有し、
前記影響範囲決定手段は、障害が検出された前記機器のIPアドレス又は前記回線が接続された前記機器のIPアドレスに対応づけられた拠点の数を、重複しないように前記拠点識別テーブルからカウントし、
前記拠点の数が前記判定基準以上の場合、障害が広域に渡っていると判定する、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のネットワーク監視システム。
【請求項6】
前記影響範囲決定手段は、障害が検出された前記機器の数を重複しないようにカウントし、
前記機器の数が判定基準以上の場合、障害が広域に渡っていると判定する、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のネットワーク監視システム。
【請求項7】
ネットワーク監視システムがネットワークを構成する機器又は回線の障害を監視し、障害の状態をネットワークユーザに通知するネットワーク監視方法であって、
障害検出手段が、構内通信網を備えた拠点間を接続する前記機器若しくは前記回線の障害、検出日時、及び、機器若しくは回線の状態を含む障害情報を検出するステップと、
前記拠点の拠点名、前記拠点の重要度、前記拠点の業務時間、前記機器又は前記回線の障害内容と該機器の利用可否判定基準、及び、障害の広狭を判定する判定基準、を対応づけた障害判定テーブルを参照して、
影響範囲決定手段が、前記要素の状態をそれぞれ決定し、さらに
前記重要度、障害の検出日時が前記業務時間内か又は外か、前記機器又は回線の利用可否状態、及び、前記広狭、の各要素の状態の組み合わせに基づき前記機器又は回線の障害が及ぼす影響範囲の大きさが登録された影響範囲決定テーブルを参照して、前記障害情報に基づき前記要素の状態をそれぞれ決定し、前記要素の状態の組み合わせに基づき影響範囲を決定するステップと、
障害レベル決定手段が、前記影響範囲の大きさと障害検出からの経過時間に対応づけて障害レベルが登録された障害レベルテーブルを参照して、前記影響範囲と経過時間に基づき前記障害レベルを決定するステップと、
前記電子メール送信手段が、前記障害レベルに対応づけて障害の状態の通知先ユーザが登録されたユーザテーブルを参照し、前記障害レベルに対応づけられた前記通知先ユーザに障害の内容を知らせる電子メールを送信するステップと、
を有するネットワーク監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−30826(P2013−30826A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163441(P2011−163441)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(596017761)リコーテクノシステムズ株式会社 (37)
【Fターム(参考)】