説明

ノイズ低減回路、電子機器、ノイズ低減方法

【課題】 ノイズレベルに近い小さなレベルの音声信号に対する影響を抑えつつノイズ低減を図れるノイズ低減回路、電子機器、ノイズ低減方法を提供すること。
【解決手段】 複数のマイクロホン51、52、53から出力されるそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下のノイズ成分n1、n2、n3を抽出する低レベル成分抽出手段71と、それぞれの音声信号に、他のマイクロホンの音声信号から抽出されたノイズ成分を加算して平均する演算手段61、62、63を備える。各演算手段61、62、63から出力される信号のノイズ成分は{(n1+n2+n3)/3}となり、レベルは1/√3に低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマイクロホンからの音声信号などに混入するノイズを低減するノイズ低減回路、このノイズ低減回路を具備した電子機器、ノイズ低減方法に関し、詳しくは、ノイズレベルと同レベル付近の低レベルな音声成分に対する影響を抑えつつノイズの低減を図ることができるノイズ低減回路、電子機器、ノイズ低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ、IC(integrated circuit)レコーダなどのマイクロホンを備えた電子機器において、音声信号に混入するノイズは、外部ノイズと内部ノイズとに大きく分けられる。外部ノイズには、マイクロホンの付近に設置される機械構成部分などの機械的動作に起因するノイズや、ノイズ発生源からの飛び込みノイズ、各種スイッチ操作で生じるノイズなどの外部発生要因のノイズが挙げられる。内部ノイズには、マイクロホンなどのいわゆるセンサ部品や、前段増幅器(プリアンプ)などを構成する抵抗や半導体素子から発生する熱雑音があり、これらはホワイトノイズと呼ばれ、広帯域の周波数成分を均等に含むランダムノイズである。
【0003】
最近のビデオカメラには複数のマイクロホンが搭載され、各マイクロホンからの出力にステレオ音場処理を施すことが行われ、それぞれのマイクロホンの音声信号に混入するホワイトノイズがそのステレオ音場処理により強調されてしまうという問題があった。
【0004】
図15に、例えば特許文献1によるビデオカメラのステレオ音場処理回路を示す。
【特許文献1】特許第2946638号公報
【0005】
この回路は、2つの無指向性マイクロホン1、2のうち一方のマイクロホンから出力された音声信号が2つのマイクロホン1、2の離間距離に対応する時間遅延される遅延回路5、6と、遅延回路5、6により遅延された音声信号が減衰器7、8を介して極性が反転されて重畳される加算器10、9と、加算器10、9からの出力信号の周波数特性を整えるイコライザ12、11とを有する。
【0006】
音源に対して例えばRチャンネル用のマイクロホン1の方が近い位置にある場合、Lチャンネル用のマイクロホン2に音波が到達する時間は、マイクロホン1への到達よりも遅れる。したがって、その遅れ時間分だけ、アンプ3を介したマイクロホン1の出力信号が遅延回路5で遅延され、その遅延された信号を、アンプ4を介したマイクロホン2の出力信号から減算することにより、加算器10の出力は略相殺される。逆に、音源がマイクロホン2に近い場合には、Rチャンネルの出力が相殺される。これによりステレオ感(左右のレベル差)を得ることができる。
【0007】
すなわち、上記ステレオ音場処理回路はわずかな位相差を強調する回路であり、マイクロホン1、2の音声信号に位相差がない場合には図16(a)に示すように上記回路での演算処理後の指向性パターンはL(実線)とR(破線)とがほぼ一致するモノラル特性を示すが、両者に位相差がある場合にはその位相差に応じて図16(b)に示すように指向性パターンはL(実線)とR(破線)とがそれぞれ左右方向に分離してステレオ特性を示すようになる。
【0008】
LチャンネルとRチャンネルにそれぞれ生じるホワイトノイズはランダムな位相差で生じるためにそのランダムノイズがステレオ音場処理回路でステレオ処理され、例えば加算器9及び10で入力信号が同相で加算された場合にはレベルが悪化してしまい、さらに後段のイコライザ11及び12でノイズ帯域のゲインを上げてしまう。また、図16(b)に示したようなステレオ特性をもつためにノイズが音場全体に広がり、発生するホワイトノイズが非常に微小レベルであっても強調されてしまう。
【0009】
外部ノイズに対しては、マイクロホンとノイズ発生源とを音響的に隔離するなどの構造的手法や、適応フィルタなどを利用した電気的手法により低減することが可能であるが、ホワイトノイズなどの内部ノイズについては可聴音の周波数成分を均等に含んでいるために、特定帯域のみ除去するフィルタでは容易に除去できず、音声成分も同時に除去してしまうなどの不具合があった。
【0010】
また、熱雑音(ホワイトノイズ)が少なくなるように設計された専用の素子や半導体部品など、汎用部品以外の高価な部品を使用することで内部ノイズの発生を抑えることができるが、コストや回路規模などの点から特に民生用機器にとっては採用し難い。
【0011】
そこで、電気的な信号処理にてノイズを低減することが好ましい。例えば特許文献2に示されるノイズ低減回路では、信号の(振幅)レベルに基づいて音声成分とノイズとを区別し、そしてレベルが所定レベル以下である場合には、音声成分がなくノイズだけであるとみなしてその信号を出力しない、あるいは信号レベルを低減させている。
【特許文献2】特開平7−44996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
音声成分とノイズとの区別の目安として上記所定レベルを設定したとしても、その所定レベル以下の信号はノイズだけとは限らず、レベルの小さい音声成分も含まれている場合がある。したがって、上記特許文献2のように、信号が所定レベル以下である場合には信号を出力しない、あるいは信号レベルを低減してしまうと、その所定レベル以下に含まれる音声成分までもが除去あるいはレベル低減されることになり、レベルの小さな音声成分が聞こえなくなる、あるいは聞こえにくくなってしまう。
【0013】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、その目的とするところは、ノイズレベルに近い小さなレベルの音声成分に対する影響を抑えつつノイズ低減が図れるノイズ低減回路、電子機器、ノイズ低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のノイズ低減回路は、N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルと、N個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段と、N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された低レベル成分をすべて、選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算する演算手段とを有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の電子機器は、N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルと、N個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段と、N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された低レベル成分をすべて、選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算する演算手段とを有するノイズ低減回路を備えることを特徴としている。
【0016】
上記低レベル成分抽出手段によって抽出される低レベル成分には、ノイズ成分のほとんどと、音声成分の一部が含まれている。そして、各音声チャンネル(音声信号の伝送経路)における音声信号に含まれるノイズ成分は音声成分と比べて、互いに相関性がないランダムノイズであり、これらランダムノイズを加算すると音声成分に対してレベルが減少する。すなわち、ある音声チャンネルの音声信号に対しては、この音声チャンネルとは異なる他の音声チャンネルの低レベル成分(ノイズ成分)を加算することで、ランダムなノイズどうしが加算されることになり、音声成分に対して、そのレベルを低減させることができる。
【0017】
そして、上記低レベル成分抽出手段によって抽出された低レベル成分に、ノイズ成分の他に、低レベルな音声成分が含まれていても、従来のように各々の音声信号から低レベル成分を除去するのではなく、異なる音声チャンネルの音声信号から抽出された低レベル成分どうしを加算するので、低レベル成分に含まれる音声成分が除去されない。したがって、小さな音の再生にそれほど影響を与えずにノイズ成分だけを低減できる。
【0018】
一般に、上記低レベル成分に含まれるN個のランダムノイズを加算平均すると、そのレベルは1/√Nに低減される。
【0019】
また、複数の音声チャンネルからの音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段を設け、さらにその音声信号レベル検出手段で検出された音声信号の総和レベルに応じて、低レベル成分抽出手段におけるリミッタレベルを変えるリミッタレベル可変手段を設ければ、音声信号のレベルがノイズが気にならないくらいに大きく、それほどノイズ低減を行う必要のない場合においては、リミッタレベルを小さくすることでノイズ低減を行わないあるいは低減の程度を落とすようにして、ノイズレベル付近の小さなレベルの音声成分に対する影響を抑えることができる。
【0020】
また、複数の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段を設け、さらにその音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、低レベル成分抽出手段で抽出された低レベル成分が加算された音声信号に含まれる複数の低レベル成分相互の比率を変える低レベル成分比率可変手段を設ければ、音声信号のレベルがノイズが気にならないくらいに大きく、それほどノイズ低減を行う必要のない場合においては、上記低レベル成分相互の比率を変えることで、ノイズ低減を行わないあるいは低減の程度を落とすようにして、ノイズレベル付近の小さなレベルの音声成分に対する影響を抑えることができる。
【0021】
また、上記演算手段の出力信号の入力を受け、所定のゲートレベル以下の低レベル成分については入力レベルよりも出力レベルを小さくして出力するノイズゲート手段を備える構成とすれば、上記演算手段にてレベル低減された低レベル成分に対して、さらなるレベル低減を行え、ノイズ低減効果をよりいっそう高めることができる。
【0022】
また、複数の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、その音声信号レベル検出手段で検出された総和レベルに応じて、上記ゲートレベルを変えるゲートレベル可変手段とを備える構成とすれば、音声信号のレベルがノイズが気にならないくらいに大きく、それほどノイズ低減を行う必要のない場合においては、ゲートレベルを小さくすることでノイズ低減を行わないあるいは低減の程度を落とすようにして、ノイズレベル付近の小さなレベルの音声成分に対する影響を抑えることができる。
【0023】
また、本発明のノイズ低減方法は、N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出するステップと、N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された低レベル成分をすべて、選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算するステップとを有することを特徴としている。
【0024】
上記低レベル成分には、ノイズ成分のほとんどと、音声成分の一部が含まれている。そして、各音声チャンネル(音声信号の伝送経路)における音声信号に含まれるノイズ成分は音声成分と比べて互いに相関性がないランダムノイズであり、これらランダムノイズを加算すると音声成分に対してレベルが減少する。すなわち、ある音声チャンネルの音声信号に対しては、この音声チャンネルとは異なる他の音声チャンネルの低レベル成分(ノイズ成分)を加算することで、ランダムなノイズどうしが加算されることになり、音声成分に対して、そのレベルを低減させることができる。
【0025】
そして、上記低レベル成分に、ノイズ成分の他に、低レベルな音声成分が含まれていても、従来のように各々の音声信号から低レベル成分を除去するのではなく、異なる音声チャンネルの音声信号から抽出された低レベル成分どうしを加算するので、低レベル成分に含まれる音声成分が除去されない。したがって、小さな音の再生にそれほど影響を与えずに、ノイズ成分だけを低減できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のノイズ低減回路によれば、ノイズレベル付近のレベルを持つ音声成分が聞こえにくくなったり、聞こえなくなるということを避けつつ、ノイズ低減を図れ、必要とする音声信号をクリアに再生して聞くことができる。また、ノイズを発生しにくいように設計された高価な専用部品や回路が不要であり、回路規模の大型化を抑制したり、コスト低減が図れる。
【0027】
本発明の電子機器によれば、ノイズレベル付近のレベルを持つ音声成分が聞こえにくくなったり、聞こえなくなるということを避けつつ、ノイズ低減を図れ、必要とする音声信号をクリアに再生して聞くことができ、電子機器の品質を向上させることができる。また、ノイズを発生しにくいように設計された高価な専用部品や回路が不要であり、電子機器の大型化を抑制したり、コスト低減が図れる。
【0028】
本発明のノイズ低減方法によれば、ノイズレベル付近のレベルを持つ音声成分が聞こえにくくなったり、聞こえなくなるということを避けつつ、ノイズ低減を図れ、必要とする音声信号をクリアに再生して聞くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るノイズ低減回路を示す。このノイズ低減回路は、3つのマイクロホン51、52、53に対応する3つの音声チャンネル(音声信号の伝送経路)を有する。また、3つのマイクロホン51、52、53に対応してそれぞれ設けられた3つの演算手段61、62、63を備え、各マイクロホン51、52、53と各演算手段61、62、63との間にはアンプ54、55、56がそれぞれ接続されている。さらに、各アンプ54、55、56からのそれぞれの出力信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段71を備える。
【0030】
各マイクロホン51、52、53は可聴音を電気信号である音声信号に変換する。各マイクロホン51、52、53は無指向性として説明するが、有指向性でもかまわない。また、ノイズ低減回路への入力は、マイクロホンからに限らず、他の音声出力機器からの音声チャンネル出力でもかまわない。
【0031】
低レベル成分抽出手段71の具体的構成の一例を図10に示す。低レベル成分抽出手段71は、各アンプ54、55、56を介した各マイクロホン51、52、53からの出力信号の信号レベルを絶対値化する絶対値化手段104と、絶対値化手段104の出力を受け各マイクロホン51、52、53からのそれぞれの出力信号の信号レベルのピーク値または平均値を検出するレベル検出手段105と、レベル検出手段105で検出されたピーク値または平均値と、所定のリミッタレベル103とを比較する比較手段106と、比較手段106の出力に応じて端子107cを端子107aと接続させるか、あるいは端子107bと接続させるかを切り替えるスイッチ107とを備える。
【0032】
なお、これに限らず、各マイクロホン51、52、53からのそれぞれの出力信号に対して図10と同様の構成で低レベル成分を抽出することができる。例えば、アナログ回路では、絶対値化手段104は整流回路で構成でき、レベル検出手段105はローパスフィルタなどの検波回路で構成でき、比較手段106はコンパレータで構成できる。
【0033】
図1に戻って、演算手段61は、アンプ54の出力信号に、低レベル成分抽出手段71によって他のアンプ55、56の出力信号からそれぞれ抽出された低レベル成分を加算し、さらに全ての低レベル成分の加算平均を行う。同様に、演算手段62は、アンプ55の出力信号に、低レベル成分抽出手段71によって他のアンプ54、56の出力信号からそれぞれ抽出された低レベル成分を加算し、さらに全ての低レベル成分の加算平均を行う。同様に、演算手段63は、アンプ56の出力信号に、低レベル成分抽出手段71によって他のアンプ54、55の出力信号からそれぞれ抽出された低レベル成分を加算し、さらに全ての低レベル成分の加算平均を行う。
【0034】
以上のように構成されるノイズ低減回路において、次にその作用について説明する。
【0035】
各マイクロホン51、52、53から出力される音声信号はそれぞれアンプ54、55、56にて後段の処理に最適なレベルに増幅された後、対応する演算手段61、62、63と、低レベル成分抽出手段71に入力される。
【0036】
低レベル成分抽出手段71では、アンプ54、55、56を介してそれぞれのマイクロホン51、52、53からの音声信号の入力を受け、所定のリミッタレベル以下の低レベル成分が抽出される。リミッタレベルは図13(a)に示すように音声信号に混入しているホワイトノイズのレベル付近に設定され、低レベル成分抽出手段71は、そのリミッタレベルを越える音声信号が存在する期間は図13(b)に示すようにレベル0の無信号にする操作を行い、音声信号レベルに対して微小レベルにあるホワイトノイズを抽出する。
【0037】
具体的には、例えばアンプ54を介したマイクロホン51の音声信号は、図10に示すスイッチ107の端子107aと、絶対値化手段104に入力する。
【0038】
絶対値化手段104では、マイクロホン51からの音声信号レベルが絶対値化され、その出力はレベル検出手段105に入力する。レベル検出手段105では、絶対値化された音声信号レベルのピーク値あるいは平均値が検波され、その値は比較手段106にて、端子103より設定されるリミッタレベルと比較される。
【0039】
比較手段106は、リミッタレベルよりもレベルの大きい入力信号のタイミングでスイッチ107の端子107cを端子107bに接続させ、それ以外のタイミングすなわちリミッタレベル以下の入力信号のタイミングではスイッチ107の端子107cを端子107aに接続させる。
【0040】
スイッチ107の端子107bはグランドに接続されているので、リミッタレベルよりもレベルの大きい入力信号のタイミングでは端子107cからの出力信号のレベルは0になり、リミッタレベル以下の入力信号のタイミングではそのリミッタレベル以下の信号がそのまま出力される。
【0041】
他のアンプ55、56を介したマイクロホン52、53からの音声信号についても同様に低レベル成分抽出手段71にてそれぞれの音声信号に含まれる低レベル成分が抽出される。
【0042】
演算手段61には、アンプ54を介したマイクロホン51からの音声信号と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン52からの音声信号に含まれるノイズ成分n2と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン53からの音声信号に含まれるノイズ成分n3とが入力され、マイクロホン51からの音声信号に含まれるノイズ成分n1と、マイクロホン52からの音声信号に含まれるノイズ成分n2と、マイクロホン53からの音声信号に含まれるノイズ成分n3との加算平均処理が行われる。
【0043】
さらに、演算手段61には、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン52からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s2’と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン53からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s3’とが入力され、マイクロホン51からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s1’と、マイクロホン52からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s2’と、マイクロホン53からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s3’との加算平均処理が行われる。
【0044】
以上の結果、演算手段61は、s1+{(n1+n2+n3)/3}+{(s1’+s2’+s3’)/3}を出力する。なお、この出力におけるs1は、マイクロホン51からの音声信号において上述したレベルリミッタよりレベルの大きい音声成分を表す。
【0045】
同様に、演算手段62には、アンプ55を介したマイクロホン52からの音声信号と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン51からの音声信号に含まれるノイズ成分n1と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン53からの音声信号に含まれるノイズ成分n3とが入力され、マイクロホン51からの音声信号に含まれるノイズ成分n1と、マイクロホン52からの音声信号に含まれるノイズ成分n2と、マイクロホン53からの音声信号に含まれるノイズ成分n3との加算平均処理が行われる。
【0046】
さらに、演算手段62には、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン51からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s1’と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン53からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s3’とが入力され、マイクロホン52からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s2’と、マイクロホン51からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s1’と、マイクロホン53からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s3’との加算平均処理が行われる。
【0047】
以上の結果、演算手段62は、s2+{(n1+n2+n3)/3}+{(s1’+s2’+s3’)/3}を出力する。なお、この出力におけるs2は、マイクロホン52からの音声信号において上述したレベルリミッタよりレベルの大きい音声成分を表す。
【0048】
同様に、演算手段63には、アンプ56を介したマイクロホン53からの音声信号と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン51からの音声信号に含まれるノイズ成分n1と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン52からの音声信号に含まれるノイズ成分n2とが入力され、マイクロホン51からの音声信号に含まれるノイズ成分n1と、マイクロホン52からの音声信号に含まれるノイズ成分n2と、マイクロホン53からの音声信号に含まれるノイズ成分n3との加算平均処理が行われる。
【0049】
さらに、演算手段63には、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン51からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s1’と、低レベル成分抽出手段71で抽出されたマイクロホン52からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s2’とが入力され、マイクロホン53からの音声信号に含まれる上記リミッタレベル以下の低レベル音声成分s3’と、マイクロホン51からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s1’と、マイクロホン51からの音声信号に含まれる低レベル音声成分s1’との加算平均処理が行われる。
【0050】
以上の結果、演算手段63は、s3+{(n1+n2+n3)/3}+{(s1’+s2’+s3’)/3}を出力する。なお、この出力におけるs3は、マイクロホン53からの音声信号において上述したレベルリミッタよりレベルの大きい音声成分を表す。
【0051】
上記ノイズ成分n1、n2、n3は、言い換えればそれぞれ互いに相関性がない(位相がばらばらな)ホワイトノイズであり、一般にこのようなN個のランダム波形を加算平均するとレベルは1/√Nに低減される。本実施形態では1/√3に低減することができる。これに対して低レベル音声成分s1’、s2’、s3’は、通常それぞれのマイクロホン51、52、53間の間隔に対して十分に離れた音源から発せられるために相関性があり、加算平均してもレベル減少は生じない。
【0052】
なお、マイクロホンの数は3個に限ることなく、上述したようにN個のマイクロホンそれぞれからのホワイトノイズを加算平均すればレベルを1/√Nに低減することができるため、マイクロホンの個数が多くなればなるほどノイズ低減効果は高まる。特に最近のビデオカメラではマルチサラウンド音場を得るために、搭載マイクロホンの個数が多くなる傾向にあるという本発明を適用するにあたって有利な背景がある。
【0053】
以上のように、本実施形態では各音声チャンネル(各マイクロホンからの音声信号の伝送経路)に含まれるホワイトノイズのランダム性を利用して、それらホワイトノイズを加算平均することによってノイズレベルの低減を図っており、従来のように音声信号から低レベル成分を除去しているわけではない。このため、リミッタレベル以下のレベルにある、ホワイトノイズ以外の音声成分を除去してしまうことがなく、ホワイトノイズのレベルに近い小さなレベルの音に対する影響を抑えることができる。
【0054】
また、上述したように各音声チャンネルに含まれるホワイトノイズ成分は何れも{(n1+n2+n3)/3}というように同レベル、同位相の同じ波形すなわちモノラル化された信号になるため、前述の図15に示した各音声チャンネル間の信号位相差を強調するステレオ演算処理回路で各音声チャンネルの信号をステレオ演算処理しても、ホワイトノイズ成分が強調されなくなる。
【0055】
[第2の実施形態]
図2は本発明の第2の実施形態に係るノイズ低減回路を示し、これは上記第1の実施形態で示したノイズ低減回路において、マイクロホンが2つの場合(すなわち音声チャンネルが2つの場合)についてより具体化したものである。
【0056】
本実施形態に係るノイズ低減回路は、2つのマイクロホン21、22に対応してそれぞれ設けられた2つの加算器27、28と、マイクロホン21と加算器27との間に接続されたアンプ23と遅延器25と、マイクロホン22と加算器28との間に接続されたアンプ24と遅延器26とを備える。さらにアンプ23の出力を−端子に受け、アンプ24の出力を+端子に受ける加算器30と、この加算器30の出力信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段31と、低レベル成分抽出手段31の出力に係数を乗じて、加算器27の+端子と、加算器28の−端子に出力するアンプ32とを備える。
【0057】
本実施形態では、加算器30、アンプ32、加算器27、加算器28が、第1の実施形態の演算手段に対応する。
【0058】
各マイクロホン21、22は可聴音を電気信号である音声信号に変換する。各マイクロホン21、22は無指向性で説明するが、有指向性でもかまわない。また、ノイズ低減回路への入力は、マイクロホンからに限らず、他の音声出力機器からの音声チャンネル出力でもかまわない。
【0059】
マイクロホン21の出力信号は、アンプ23、遅延器25を介して加算器27の一方の+端子に入力され、またアンプ23を介して加算器30の−端子にも入力される。マイクロホン22の出力信号は、アンプ24、遅延器26を介して加算器28の+端子に入力され、またアンプ24を介して加算器30の+端子にも入力される。
【0060】
加算器30からは、マイクロホン22の出力信号とマイクロホン21の出力信号との差信号が出力される。この差信号には、それぞれのマイクロホン22、21の音声成分の差信号と、ホワイトノイズの差信号が含まれる。ここで例えばビデオカメラの場合を考えると、音声成分の音源である被写体は2つのマイクロホン22、21間の間隔よりも十分に遠くに位置する場合がほとんどであり、音源に対して相対的に等距離に位置するために相関性が高く、加算器30で両者を減算すると音声信号は打ち消され、加算器30の出力信号にはホワイトノイズ信号成分が多く得られることになる。
【0061】
加算器30の出力信号は低レベル成分抽出手段31に入力される。低レベル成分抽出手段31は、例えば上記第1の実施形態と同様、図10に示す構成からなり、入力信号に含まれる所定のリミッタレベル以下の低レベル成分が抽出される。図13(a)は低レベル成分抽出手段31への入力信号を表し、図13(b)は低レベル成分抽出手段31からの出力信号を表す。リミッタレベルは図13(a)に示すように音声信号に混入しているホワイトノイズのレベル付近に設定され、低レベル成分抽出手段31は、そのリミッタレベルを越える音声信号が存在する期間は図13(b)に示すようにレベル0の無信号にする操作を行い、音声信号に対して微小レベルにあるホワイトノイズを抽出する。
【0062】
低レベル成分抽出手段31からの出力信号はアンプ32に入力され、そのアンプ32で係数0.5が乗じられて、加算器27の他方の+端子と、加算器28の−端子にそれぞれ入力される。
【0063】
ここで、マイクロホン21から出力される信号に含まれる音声成分をRs、ノイズ成分をRn、またマイクロホン22から出力される信号に含まれる音声成分をLs、ノイズ成分をLnとすると、加算器27、28からの出力Ra、Laはそれぞれ、下記(1)式、(2)式で表される。
【0064】
Ra=(Rs+Rn)+0.5(Ln−Rn)=Rs+0.5(Ln+Rn)…(1)
La=(Ls+Ln)−0.5(Ln−Rn)=Ls+0.5(Ln+Rn)…(2)
【0065】
つまり、加算器27では、アンプ23及び遅延器25を介したマイクロホン21からの信号(Rs+Rn)と、低レベル成分抽出手段31にて抽出されアンプ32にて係数0.5が乗じられた0.5(Ln−Rn)とが加算され、加算器28では、アンプ24及び遅延器26を介したマイクロホン22からの信号(Ls+Ln)と、低レベル成分抽出手段31にて抽出されアンプ32にて係数0.5が乗じられた{−0.5(Ln−Rn)}とが加算され、この結果、Ra、La共に低レベル成分が0.5(Ln+Rn)となる。
【0066】
上記低レベル成分Ln、Rnは、互いに相関性がない(位相がばらばらな)ホワイトノイズに相当し、そして0.5(Ln+Rn)はLnとRnとの加算平均である。したがって、上記第1の実施形態でも述べたように、一般にN個のランダム波形を加算平均すると、レベルを1/√Nに低減することができるので、本実施形態ではホワイトノイズのレベルを1/√2に低減することができる。
【0067】
さらに本実施形態では、加算器30、アンプ32、加算器27、加算器28で構成される演算手段において、ノイズ成分Ln及びRnのみ上記加算平均処理を行うようにしている。つまり、マイクロホン21、22からの音声成分Ls、Rsは互いに相関がある(略同相)のに対して、ノイズ成分Ln、Rnは互いに相関性がないため、加算器30で(Ls+Ln)と(Rs+Rn)との減算が行われると、ノイズ成分が抽出され、音声成分は抽出されず、音声成分に対する影響を少なくできる。
【0068】
以上のように、本実施形態では各音声チャンネル(各マイクロホン21、22からの音声信号の伝送経路)に含まれるホワイトノイズのランダム性を利用して、それらを加算平均することによってノイズレベルの低減を図っており、従来のように音声信号から低レベル成分を除去するわけではない。このため、リミッタレベル以下のレベルにある、ホワイトノイズ以外の音声成分を除去してしまうことがなく、ホワイトノイズのレベルに近い小さなレベルの音に対する影響を抑えることができる。
【0069】
また、上述したように各音声チャンネルの音声信号に含まれるホワイトノイズ成分は何れも0.5(Ln+Rn)というように同レベル、同位相の同じ波形すなわちモノラル信号になるため、前述の図15に示した各チャンネル間の信号の位相差を強調するステレオ音場処理回路で各チャンネルの信号をステレオ演算処理しても、ホワイトノイズ成分が強調されなくなる。
【0070】
なお、遅延器25、26は、それぞれ、加算器27、28で加算すべき信号のタイミングを合わせるためのものであり、必ずしも必要ではない。
【0071】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係るノイズ低減回路を示す。本実施形態のノイズ低減回路は、上記第1の実施形態のノイズ低減回路に、音声信号レベル検出手段70と、リミッタレベル可変手段73とを加えた構成であり、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
上記各実施形態では、演算手段における加算平均後の各音声チャンネルの低レベル成分は同相、同レベルで同じ波形のモノラル信号となってしまうため、リミッタレベル以下にわずかな低レベルな音声成分が含まれていてもそれがモノラル化され、例えば前述の図15に示した各音声チャンネル間の信号位相差を強調するステレオ音場処理回路で各音声チャンネルの信号をステレオ演算処理しても、リミッタレベル以下の音声成文についてはステレオ感が得られなくなってしまう。
【0073】
そこで、本実施形態では、人間の聴覚のマスキング効果を利用して、マイクロホンからの音声信号が比較的大きなレベルにあるときはノイズの低減を行わないあるいはノイズの低減程度を下げるようにしている。これは人間の聴覚は、例えば大きな騒音の中では人の声が聞き取りにくくなるように、相対的に大きな音の中にあるような小さな音(ここではホワイトノイズ)の存在に気が付かない。このため、本実施形態では各マイクロホンからの音声信号の総和レベルを検出して、その検出レベルに応じてリミッタレベルを変えて、必要以上のノイズ低減を行わないようにして、リミッタレベル以下の音声信号に対する影響を抑えるようにする。
【0074】
各マイクロホン51、52、53からの音声信号の総和レベルは音声信号レベル検出手段70にて検出される。具体的には、図11に示す絶対値化手段114にて、各マイクロホン51、52、53からの音声信号の総和レベルが絶対値化され、その出力はレベル検出手段115に入力する。レベル検出手段115では、絶対値化された音声信号の総和レベルのピーク値あるいは平均値が検出される。
【0075】
そのレベルに応じてリミッタレベル可変手段73にて係数が生成され、この係数に応じて低レベル信号抽出手段71におけるリミッタレベルが設定される。例えば音声信号の総和レベルが比較的大きくてホワイトノイズがそれほど目立たない場合には、図13(a)に示すリミッタレベルを0にして、すなわち低レベル信号抽出手段71にて抽出される低レベル成分を0にして、各演算手段61、62、63からは各アンプ54、55、56を介した各マイクロホン51、52、53からの出力信号がそのまま出力されるようにする。
【0076】
あるいは、音声信号の総和レベルが大きくなればなるほどリミッタレベルを小さくして、ホワイトノイズと共にモノラル化されてしまう低レベルな音声成分の割合を小さくする。
【0077】
[第4の実施形態]
図4は本発明の第4の実施形態に係るノイズ低減回路を示し、これは上記第3の実施形態で示したノイズ低減回路において、マイクロホンが2つの場合についてより具体化したものである。
【0078】
本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第2の実施形態に係るノイズ低減回路に、加算器29、レベル検出手段35、比較手段36、係数生成手段37を加えた構成となっている。なお、上記第2の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態では、加算器29とレベル検出手段35とが音声信号レベル検出手段として機能し、比較手段36と係数生成手段37とが低レベル成分比率可変手段として機能する。
【0080】
加算器29は、アンプ23を介したマイクロホン21からの音声信号と、アンプ24を介したマイクロホン22からの音声信号を加算する。レベル検出手段35は加算器29の出力を受け、前記加算された音声信号の総和レベルを検出する。レベル検出35の作用について具体的に説明すると、図11に示す絶対値化手段114にて、各マイクロホン21、22からの音声信号の総和レベルが絶対値化され、その出力はレベル検出手段115に入力する。レベル検出手段115では、絶対値化された音声信号の総和レベルのピーク値あるいは平均値が検出される。
【0081】
例えば、アナログ回路では、絶対値化手段114は整流回路で構成でき、レベル検出手段115はローパスフィルタなどの検波回路で構成できる。
【0082】
上記ピーク値あるいは平均値は、比較手段(例えばコンパレータ)36にて端子38より設定された基準レベルと比較される。例えば音声信号総和レベルが基準レベルよりも大きい場合には、後段の係数生成手段37にて生成する係数を小さくし、逆に音声信号総和レベルが基準レベルよりも小さい場合には、係数生成手段37にて生成する係数を大きくする。
【0083】
係数生成手段37にて生成された係数はアンプ32におけるゲインを設定する。そして、音声信号総和レベルが大きくホワイトノイズが気にならない場合には係数を0にして加算平均によるノイズ低減を行わないようにして、リミッタレベル以下の低レベルな音声成分がモノラル化されることを防ぐ。上記係数が0に設定されると、加算器27からは上記第2の実施形態で示したマイクロホン21からの(アンプ23を介した)出力信号(Rs+Rn)がそのまま出力される。同様に、加算器28からはマイクロホン22からの(アンプ24を介した)出力信号(Ls+Ln)がそのまま出力される。
【0084】
逆に、音声信号総和レベルが小さくホワイトノイズが相対的に目立つ場合には係数を0.5にして上記第2の実施形態のごとくリミッタレベル以下の低レベル成分の加算平均によるノイズ低減を行う。
【0085】
また、係数は0〜0.5の範囲に設定することができ、例えば係数を0.3とした場合には、上記第2の実施形態における(1)式は下記(1a)式となり、(2)式は下記(2a)式となる。
【0086】
Ra=(Rs+Rn)+0.3(Ln−Rn)=Rs+0.3Ln+0.7Rn…(1a)
La=(Ls+Ln)−0.3(Ln−Rn)=Ls+0.7Ln+0.3Rn…(2a)
【0087】
すなわち、(1)式、(2)式と比べて、それぞれのRa、Laに含まれる低レベル成分Rn、Lnの比率が変わる。係数を0.3とした場合には、係数を0.5すなわち低レベル成分Rn、Lnの加算平均を行った場合に比べてホワイトノイズを含む低レベル成分の低減効果は低下する。係数が0.5すなわち低レベル成分RnとLnとの加算平均を行ったときに最大のノイズ低減効果が得られ、係数が0ではノイズ低減は行われず各音声チャンネルの信号はそのまま出力され、係数が0から0.5に近づくほどノイズ低減効果は向上する。
【0088】
上記(1a)式、(2a)式において、Ra、Laにそれぞれ含まれる低レベル成分は(0.3Ln+0.7Rn)と(0.7Ln+0.3Rn)というように同じではなくなるため、これらに含まれる音声信号の低レベル成分がモノラル化せず、後段でステレオ演算処理を行うことで低レベルな音声成分についてもステレオ感を得ることができる。これは、0<係数<0.5の範囲内にある係数について言える。
【0089】
また、比較手段36と係数生成手段37とをリミッタレベル可変手段として機能させることもでき、上記第3の実施形態と同様に、係数生成手段37で生成した係数により低レベル成分抽出手段31におけるリミッタレベルを変化させることで、ノイズの低減レベルと、ノイズと同レベル付近の低レベルな音声成分に与える影響とのバランス調整を図ってもよい。
【0090】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係るノイズ低減回路を示す。本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第1の実施形態に係るノイズ低減回路にノイズゲート手段64、65、66を加えた構成となっている。したがって、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
各ノイズゲート手段64、65、66は、それぞれ演算手段61、62、63に接続され、各演算手段61、62、63にて所定のリミッタレベル以下の低レベル成分が低減された各音声信号は、それぞれノイズゲート手段64、65、66に入力される。
【0092】
各ノイズゲート手段64、65、66は、所定のゲートレベル以下の低レベル成分については入力レベルよりも出力レベルを小さくして出力する。これについて図14を参照して説明する。図14において横軸は各ノイズゲート手段64、65、66への入力信号のレベル(入力レベル)を表し、縦軸は各ノイズゲート手段64、65、66からの出力信号のレベル(出力レベル)を表す。そして、ゲートレベルは、各演算手段61、62、63における加算平均にてモノラル化されたノイズ成分{(n1+n2+n3)/3}のレベル以下に設定され、このゲートレベルより小さな入力レベル(図14に示すゲート領域の入力レベル)については、出力しない、あるいは出力レベルを入力レベルよりも下げるようにしている。ゲートレベルを越える入力レベルの信号に対しては、入力をそのまま(入力:出力=1:1として)出力する。
【0093】
このように本実施形態では、各演算手段61、62、63における加算平均処理にて所定リミッタレベル以下のホワイトノイズが低減された信号から、さらにその信号に含まれる上記所定ゲートレベル以下のホワイトノイズを除去あるいはレベルを下げて出力するので、よりいっそうノイズ低減効果を高めることができる。
【0094】
[第6の実施形態]
図6は本発明の第6の実施形態に係るノイズ低減回路を示し、これは上記第5の実施形態で示したノイズ低減回路において、マイクロホンが2つの場合についてより具体化したものである。
【0095】
本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第2の実施形態に係るノイズ低減回路に、加算器39、低レベル成分抽出手段43、アンプ45、遅延器40、41、加算器46、47を加えた構成となっている。上記第2の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0096】
本実施形態では、加算器39、低レベル成分抽出手段43、アンプ45、加算器46、47が、ノイズゲート手段として機能する。
【0097】
加算器27の出力は、加算器39の一方の+端子と、遅延器40を介して加算器46の+端子に入力される。加算器28の出力は、加算器39の他方の+端子と、遅延器41を介して加算器47の+端子に入力される。加算器39の出力は低レベル成分抽出手段43に入力され、そこで所定のリミッタレベル以下の低レベル成分が抽出され、アンプ45を介して加算器46、47のそれぞれの−端子に入力される。
【0098】
ここで、加算器27の出力信号を上述の(1)式からRaとし、加算器28の出力信号を上述の(2)式からLaとし、マイクロホン21から出力される信号に含まれる音声成分をRs、ノイズ成分をRn、またマイクロホン22から出力される信号に含まれる音声成分をLs、ノイズ成分をLnとし、さらにアンプ45における乗算係数を0.5とすれば、加算器46の出力Rbと、加算器47の出力Lbは、それぞれ下記(3)式、(4)式で表される。
【0099】
Rb=Ra−0.5(Ln+Rn)=Rs+0.5(Ln+Rn)−0.5(Ln+Rn)=Rs…(3)
Lb=La−0.5(Ln+Rn)=Ls+0.5(Ln+Rn)−0.5(Ln+Rn)=Ls…(4)
【0100】
つまり、ホワイトノイズを含む低レベル成分Ln、Rnは打ち消されて、音声成分RsとLsのみが出力される。
【0101】
[第7の実施形態]
図7は、本発明の第7の実施形態に係るノイズ低減回路を示す。本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第3の実施形態に係るノイズ低減回路と第5の実施形態に係るノイズ低減回路とを組み合わせたものに、ゲートレベル可変手段74を加えた構成となっている。したがって、上記第3の実施形態、第5の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0102】
ゲートレベル可変手段74は、音声信号レベル検出手段71にて検出された各マイクロホン51、52、53からの音声信号の総和レベルに応じて、係数生成手段73にて生成される係数を受けて、各ノイズゲート手段64、65、66におけるゲートレベルを設定する。
【0103】
これにより、比較的各マイクロホンからの音声信号総和レベルが大きく、ホワイトノイズが気にならないときには、各ノイズゲート手段64、65、66における上述したような低レベル成分に対するゲートレベルを0にする、あるいはレベルを低減させる処理を行わないようにする。この結果、上記ゲートレベル以下のレベルにある、ホワイトノイズ以外の音声成分を除去したり、レベル低減させてしまうことを回避でき、上記ゲートレベル以下の小さな音の再生が可能になる。
【0104】
また、各演算手段61、62、63からの出力信号に含まれるノイズ成分は、上述したように例えば{(n1+n2+n3)/3}というように同じにされているので、共通のゲートレベルを設定でき、ゲートレベル可変手段74を各音声チャンネルごとに設ける必要はなく、1つだけで済む。これにより、コスト低減や、回路規模、電子器の小型化が図れる。
【0105】
[第8の実施形態]
図8は本発明の第8の実施形態に係るノイズ低減回路を示し、これは上記第7の実施形態で示したノイズ低減回路において、マイクロホンが2つの場合についてより具体化したものである。
【0106】
本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第4の実施形態に係るノイズ低減回路と、第6の実施形態に係るノイズ低減回路とを組み合わせた構成となっている。したがって、上記第4の実施形態、第6の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0107】
すなわち、各マイクロホン21、22からの音声信号の総和レベルに応じて、低レベル成分抽出手段31におけるリミッタレベルや低レベル抽出手段43におけるゲートレベルを変えたり、あるいはアンプ32、45における乗算係数を変えることにより、ノイズの低減レベルと、ノイズと同レベル付近の低レベルな音声信号に与える影響とのバランス調整を図る。
【0108】
なお、低レベル成分抽出手段31と、低レベル成分抽出手段43とでそれぞれ設定されるリミッタレベルとゲートレベルは同じにすることに限らない。例えば加算器27と加算28では、低レベル成分の加算平均によりレベル低減を行い、レベルリミッタ以下の音声信号が除去されることがないので、リミッタレベルを比較的大きくし、アンプ32における乗算係数はアンプ45における乗算係数に比べて大きく(例えば0.5に)し、これに対して加算器46、47ではゲートレベル以下の低レベル成分を除去あるいは減じるので、ゲートレベルをリミッタレベルより小さくし、アンプ45における乗算係数をアンプ32における乗算係数より小さく(0.5より小さく)すれば、ノイズレベルと同レベル付近のレベルを持つ音声成分に対する影響を抑えつつ、最適なノイズ低減処理が行える。
【0109】
[第9の実施形態]
図9は、本発明の第9の実施形態に係るノイズ低減回路を示す。本実施形態に係るノイズ低減回路は、上記第7の実施形態に係るノイズ低減回路において、マイクロホン及びこれに対応して設けられた演算手段、ノイズゲート手段を2つにして、さらに音声信号レベル抽出手段として自動利得制御回路(AGC:Automatic Gain Control)75を用いた構成となっている。なお、上記第7の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0110】
本実施形態では、AGC75から各マイクロホン51、52の音声信号の総和レベルを得る。例えばビデオカメラの場合には、マイクロホンに入力される音を所定のダイナミックレンジにして記録する必要があるために、一般に、マイクロホンからの音声信号のレベルをAGCにて制御している。つまり音声信号が大きい場合にはAGCにてレベルを落とすようにし、逆に小さい場合にはAGCにてレベルを上げて人間にとって聞きやすいようにしているため、ホワイトノイズのような低レベルノイズは、このAGCにおけるレベルゲインが小さい場合にはレベルが抑えられてほとんど聞こえなくなり、逆にレベルゲインが大きい場合には非常に目立って聞こえるようになってしまう。
【0111】
そこで、本実施形態では、AGC75におけるレベルゲインが小さい場合には低レベル成分抽出手段71におけるリミッタレベルやノイズゲート手段64、65におけるゲートレベルを小さくしてノイズ低減効果を落とすようにし、逆にAGC75におけるレベルゲインが大きい場合には、リミッタレベルやゲートレベルを大きくしてノイズ低減効果を上げれば、AGC75におけるゲイン制御動作に合わせてノイズ低減効果を最適化することができる。
【0112】
このように本実施形態では、音声信号レベル検出手段を新たに設ける必要がなく、既存の構成であるAGC75を用いるので、コストの上昇を抑え、また回路規模や電子機器の小型化の妨げにならない。
【0113】
上述した各実施形態に示したノイズ低減回路は、特にマイクロホンを備えた電子機器、一例として、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、記録媒体としてテープ、ディスク、半導体メモリを用いた各種レコーダなどに適用することができるが、これ以外にも複数チャンネルの入出力を備えた電子機器、一例としてサラウンド対応のマルチチャンネル記録再生機器にも適用できる。
【0114】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0115】
また、各実施形態は、後段にてステレオ音場処理やマルチサラウンド音場処理を行わない場合にも本発明は適用できる。また、マイクロホンは指向性を有するものであってもよい。
【0116】
低レベル成分抽出手段で抽出する低レベル成分には設定したリミッタレベルと等しいレベルの成分を含まず、リミッタレベルよりも小さい成分のみを抽出するようにしてもよい。ゲートレベルについても同様のことが言える。
【0117】
図4、図8における係数生成手段37での係数生成は、音声信号の総和レベルが基準レベルに対して大か小かに基づくことに限らず、例えば図12に示すような反転手段136をレベル検出手段35と係数生成手段37との間に介在させて、レベル検出手段35の出力レベルから直接に係数生成してもよい。すなわち音声信号の総和レベルが大きい場合には係数生成手段37にて生成される係数が小さくなるように(ノイズ低減効果が低下するように)し、逆にレベル検出手段35の出力すなわち音声信号の総和レベルが小さい場合には係数生成手段37にて生成される係数が大きくなる(ノイズ低減効果が大きくなる)構成としてもよい。
【0118】
低減対象ノイズは内部部品のホワイトノイズ(熱雑音)に限らず、外部から混入するノイズであっても、音声信号に比べてレベルが小さく、各音声チャンネル間で相関性がないランダムな波形であれば本発明により低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第7の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第8の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第9の実施形態に係るノイズ低減回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る低レベル成分抽出手段の一構成例を示す図である。
【図11】本発明に係る音声信号レベル検出手段の一構成例を示す図である。
【図12】音声信号レベルに応じた係数を生成する構成の変形例を示す図である。
【図13】低レベル成分抽出手段における低レベル成分抽出作用を説明する図である。
【図14】ノイズゲート手段におけるノイズゲート作用を説明する図である。
【図15】ステレオ演算処理回路の一例を示す回路図である。
【図16】2つのマイクロホンの音声信号に位相差がないときと、あるときの指向性パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0120】
21,22,51〜53…マイクロホン、25,26,40,41…遅延器、27,28,29,30,39,46,47…加算器、31,71…低レベル成分抽出手段、32,45…アンプ、35,70,75…音声信号レベル検出手段、61〜63…演算手段、64〜66…ノイズゲート手段、74…ゲートレベル可変手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルと、
前記N個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段と、
前記N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された前記低レベル成分をすべて前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算する演算手段と、
を有することを特徴とするノイズ低減回路。
【請求項2】
前記演算手段は、前記N個の低レベル成分の加算平均を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減回路。
【請求項3】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記リミッタレベルを変えるリミッタレベル可変手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減回路。
【請求項4】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記低レベル成分抽出手段で抽出された低レベル成分が加算された、前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に含まれるN個の低レベル成分相互の比率を変える低レベル成分比率可変手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減回路。
【請求項5】
前記演算手段の出力信号の入力を受け、所定のゲートレベル以下の低レベル成分については入力レベルよりも出力レベルを小さくして出力するノイズゲート手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減回路。
【請求項6】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記ゲートレベルを変えるゲートレベル可変手段と、
を有することを特徴とする請求項5に記載のノイズ低減回路。
【請求項7】
N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルと、
前記N個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出する低レベル成分抽出手段と、
前記N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された前記低レベル成分をすべて前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算する演算手段と、を有するノイズ低減回路を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記演算手段は、前記N個の低レベル成分の加算平均を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記リミッタレベルを変えるリミッタレベル可変手段と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記低レベル成分抽出手段で抽出された低レベル成分が加算された、前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に含まれるN個の低レベル成分相互の比率を変える低レベル成分比率可変手段と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記演算手段の出力信号の入力を受け、所定のゲートレベル以下の低レベル成分については入力レベルよりも出力レベルを小さくして出力するノイズゲート手段を備える
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項12】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出する音声信号レベル検出手段と、
前記音声信号レベル検出手段で検出された前記総和レベルに応じて、前記ゲートレベルを変えるゲートレベル可変手段と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
N(Nは2以上の正数)個の音声チャンネルのそれぞれの音声信号から所定のリミッタレベル以下の低レベル成分を抽出するステップと、
前記N個の音声チャンネルから選択される1つの音声チャンネル以外のN−1個の音声チャンネルの音声信号から抽出された前記低レベル成分をすべて前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に加算するステップと、
を有することを特徴とするノイズ低減方法。
【請求項14】
前記低レベル成分を加算するステップでは、N個の低レベル成分の加算平均を行う
ことを特徴とする請求項13に記載のノイズ低減方法。
【請求項15】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出するステップと、
前記総和レベルに応じて、前記リミッタレベルを変えるステップと、
を有することを特徴とする請求項13に記載のノイズ低減方法。
【請求項16】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出するステップと、
前記総和レベルに応じて、前記抽出された低レベル成分が加算された、前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号に含まれるN個の低レベル成分相互の比率を変えるステップと、
を有することを特徴とする請求項13に記載のノイズ低減方法。
【請求項17】
前記低レベル成分が加算された、前記選択された1つの音声チャンネルの音声信号の入力を受け、所定のゲートレベル以下の低レベル成分については入力レベルよりも出力レベルを小さくして出力するステップを有する
ことを特徴とする請求項13に記載のノイズ低減方法。
【請求項18】
前記N個の音声信号の総和レベルを検出するステップと、
前記総和レベルに応じて、前記ゲートレベルを変えるステップと、
を有することを特徴とする請求項17に記載のノイズ低減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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