説明

ノイズ除去部材用保持部材、画像形成装置および画像形成システム

【課題】複数の位置にノイズ除去部材を設置させる手段を持つことで、オプション有無でのケーブルルート最適化を行い、ノイズ低減およびコストダウンを図れるノイズ除去部材用保持部材を提供する。
【解決手段】フェライトコア103のコアホルダ101への取り付け・固定位置を第1の位置P1と第2の位置P2とに変更・移動可能とすることで、図12(b)の1ビン装着時のオプション機(第2の位置関係)での最短最適長さとしつつ、図12(a)のデフォルト機(第1の位置関係)でもフラットケーブル105同士が接触しあわず低コストで済む構成とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ除去部材用保持部材、画像形成装置および画像形成システムに関し、さらに詳しくは、ケーブルのノイズを除去するノイズ除去部材を保持するノイズ除去部材用保持部材、それを用いた電子写真方式の複写機、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ等、あるいはインクジェット方式のプリンタ、孔版印刷装置を含む印刷機等、これら2つ以上の機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓋を有するフラットケーブル保持部材に、ノイズ低減用のフェライトコア(ノイズ除去部材)を位置決めできるコアホルダ部を設け、フラットケーブルおよびフェライトコアを配線後に蓋を閉じることで、フラットケーブルにフェライトコアを位置決めして固定する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ノイズ低減するためのフェライトコアの位置を安定させる目的で、蓋を有するフラットケーブル保持部材(フェライトコアケース)に、フェライトコアを位置決めできるコアホルダ部(コアケース部)を設け、フラットケーブルおよびフェライトコアを配線後に蓋を閉じることで、フラットケーブルにフェライトコアを位置決めして固定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術を含め、今までの、フラットケーブルにフェライトコアを位置決めして固定する技術では、以下のような問題点がある。すなわち、オプション装着により、フラットケーブルで接続する機器同士の位置関係が変わる場合、ケーブルルートも変わってしまう。このため、デフォルト機器(オプション機器を除くベースとなる機器を意味する)でもオプション装着可能なケーブル長としている(各条件の最大長)。
【0005】
これにより、オプション増設を行う場合に、フラットケーブル交換を行わなくても済むため、オプション増設が簡単かつ迅速に行うことができ、ユーザへの負担を減らすことができる。通常、フラットケーブルの一端(コネクタ等の接続部)は、機器の内部深くにある場合が多く、実質的に交換不可能に近い。その場合、中継ケーブルを設けることで対応できるが、中継基板も必要となることでコストアップし、機器大型化の問題点が発生する。
【0006】
フラットケーブルは、可撓性を有するため、ケーブルルートの自由度が高く、弛みを持たせることなどでケーブル長のばらつき吸収も比較的容易である。しかし、通常、ノイズ対策を行うためフェライトコアを装着するため、その部分のケーブルは方向を固定されてしまい、フェライトコア入口、出口側に出るケーブルもコシ付けされるため、フェライトコア周辺のケーブルルートはフェライトコアの位置、方向が支配的であるといえる。
そのため、デフォルト時とオプション増設時とでケーブルの這い回しが変わるのに、フェライトコアの位置を変えない場合、無駄なケーブル長増大を来したり、望まない接触によるノイズ発生が起こしたり、品質安定性低下やコストアップとなってしまう問題も生じる。
【0007】
つまり、今までのコアホルダは、フェライトコアおよびフラットケーブル(もしくはフラットハーネス)を特定ルートにのみ固定してしまうため、オプション増設時を考慮してケーブル長を長くしておく場合、オプション無しモデルでは非常に長いケーブルとしておくことが必要になり、ノイズがのり易く、またコストアップするという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題・事情に鑑みてなされたものであり、複数の位置にノイズ除去部材を設置させる手段を持つことで、オプション有無でのケーブルルート最適化を行い、ノイズ低減およびコストダウンを図れるノイズ除去部材用保持部材、それを用いた画像形成装置および画像形成システムを実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、第1の筺体に配置された電装基板と第2の筺体に配置された電装基板とを、ノイズ除去部材を装着したケーブルを用いて接続し、第1の筺体と第2の筺体とが複数の位置関係で接続され得る電子機器であり、第1の筺体と第2の筺体における第1の位置関係と第2の位置関係とで、同じ前記ケーブルを用いて配線し、第1の位置関係と第2の位置関係とでそれぞれ異なる第1の位置と第2の位置とに、前記ケーブルまたは前記ノイズ除去部材が規制される電子機器において、前記ノイズ除去部材を、第1の位置および第2の位置の少なくとも一方に固定することを特徴とするノイズ除去部材用保持部材である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のノイズ除去部材用保持部材において、前記ノイズ除去部材用保持部材は、前記ノイズ除去部材の位置および方向を規制する保持部と、前記ケーブルを案内するガイド部とを有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のノイズ除去部材用保持部材において、前記ノイズ除去部材用保持部材は、前記電装基板を内蔵する第1および第2の筐体の少なくとも一方のケーシング部材を通過するよう配設されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載のノイズ除去部材用保持部材において、前記ノイズ除去部材用保持部材には、第1の位置における前記ノイズ除去部材の前記保持部と、第2の位置における前記ノイズ除去部材の前記保持部との間に、互いを接続する連続した空間が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材において、前記ケーブルは、フラットケーブルであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材において、前記ノイズ除去部材用保持部材は、第1の位置および第2の位置の何れにある前記ノイズ除去部材も固定することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材において、第1の筺体は、画像読取装置および画像形成装置の何れか一方であり、第2の筺体は、前記画像読取装置および前記画像形成装置の何れか他方であることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材を有することを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前記課題を解決して新規なノイズ除去部材用保持部材、画像形成装置および画像形成システムを実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、前記構成により、複数の位置にノイズ除去部材を設置させるノイズ除去部材用保持部材を有することで、オプション有無でのケーブルルート最適化を行えるため、ケーブルルートの違いによるケーブル長差を最低限に抑えることができるとともに、ノイズ低減およびコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的なマルチファンクションプリンタ(以下、「MFP」と略記する)デフォルト機の代表構成例を示す斜視図である。
【図2】1ビントレイオプション装着状態の構成例を示す斜視図である。
【図3】図1のデフォルト機で1ビントレイオプションに対応できるようにしたケーブルの配線状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すコアホルダの図であって、コアホルダの第1の位置にフェライトコアが取り付け・固定された状態を表わす要部の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すコアホルダの図であって、コアホルダの第2の位置にフェライトコアが取り付け・固定された状態を表わす要部の斜視図である。
【図6】コアホルダの細部構成を示す斜視図である。
【図7】電装ボックスの細部構成を示す斜視図である。
【図8】フェライトコアの細部構成を示す斜視図である。
【図9】(a)、(b)は、スキャナの画像形成装置本体への組付け時におけるフラットケーブルの這い回しの変化を説明する要部の断面図である。
【図10】(a)は、デフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しに関して課題を有する場合の要部を示す断面図、(b)は、1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを説明するための要部の断面図である。
【図11】(a)は、デフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しに関して課題を有する場合の要部を示す断面図、(b)は、1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを説明するための要部の断面図である。
【図12】(a)は、本実施形態のデフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを、(b)は、本実施形態の1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを、それぞれ説明するための要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態および各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0016】
まず、図1〜図3を参照して、後述する実施形態を具体的に理解しやすいように、本発明を適用する画像形成装置のオプション有無で取り得る位置関係とケーブル配線状態等について説明する。図1は、一般的なマルチファンクションプリンタ(以下、「MFP」と略記する)デフォルト機の代表構成例を示す斜視図、図2は、1ビントレイオプション装着状態の構成例を示す斜視図、図3は、デフォルト機で1ビントレイオプションに対応できるようにしたケーブルの配線状態を示す斜視図である。
【0017】
図1は、MFPデフォルト機の代表構成例を示している。同図において、104は、画像読取装置および第1の筺体としてのスキャナを示す。120は、画像形成装置および第2の筺体としての画像形成装置本体(以下、「画像形成装置」ともいう)を示す。スキャナ104と画像形成装置本体120とは、広義の画像形成装置を構成している。
【0018】
図1に示すように、スキャナ104は、図示しない、光源、反射ミラー、レンズ、CCDセンサ等を備え、図中両矢印方向に移動可能な読取ユニット化されたキャリッジ111を有している。スキャナ104は、フラットケーブル105により、画像形成装置120内部のケーシング部材としての電装ボックス102内に設置されたプリント基板とも呼ばれる電装基板122(以下、「PCB」と略記する)へと接続され、相互に信号の送受信を行い、スキャンやコピーなどの動作が可能となっている。
【0019】
画像形成装置120側のPCB122には、画像形成装置本体120の給排紙、画像形成部、定着部等に配設されている各種センサからの信号に基づいて上記各部およびスキャナ104の各種駆動手段を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータや各種制御回路などが設けられている。
【0020】
図1に示すようなローエンドMFPにおいては、現在、上述したCCD(電荷結合素子からなる画像センサ)一体型キャリッジ方式のスキャナ104が一般的であり、この方式ではフラットケーブル105による信号送受信が一般的である。コピー、プリントされた用紙(図示せず)は画像形成装置の胴内空間124に配置された排紙トレイ125に積載されていく。
【0021】
フラットケーブル105は、一端がスキャナ104内部のキャリッジ111の電装基板(図示せず)に接続され、キャリッジ111の動きを邪魔しないように両面テープで固定して、他端(画像形成装置120側のPCB122側)が機器外に露出され、サブ組みされる。
【0022】
図2に示す1ビントレイ127は、ファクシミリ受信物を仕分けるためなどに装着される追加トレイである。1ビントレイ127を、スキャナ104と画像形成装置120の間の胴内空間124に配置することで、オプション非装着時同等の設置面積とすることが可能であるが、機器の高さ方向が多く必要になってしまうため、デフォルト機器では高さを抑えておき、1ビントレイ127装着時にスキャナ104の高さを変更して排紙のための胴内空間124を拡張し、1ビントレイ127を装着する手段が既に提案されている。
【0023】
この場合、前述のフラットケーブル105の長さも長くすることが必要となるが、フラットケーブル105の一端はスキャナ104内部のキャリッジ111に装着されており、交換にはスキャナ104を分解しなければならず、オプション増設設置性が悪化してしまう。それ故に、図3に示すように、デフォルト機でも1ビントレイに対応した長さのフラットケーブル105とし、撓ませてスキャナ104内部に収納しておくことで、フラットケーブルの交換が不要になり、設置性が向上する。
【0024】
ここで、信号のノイズ低減のため、ノイズ除去部材としてのフェライトコア103をフラットケーブル105に装着する場合、フェライトコア103のノイズ低減効果は電装ボックス102側のフラットケーブルコネクタ(例えば図9等参照)からの距離による影響があるため、安定した性能発揮のためには固定しておくことが望ましくコアケースやコアホルダなどを設けて保持するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)
【0025】
フラットケーブルのノイズ低減に対しては、フラットケーブルを金属に接触させないこと、フラットケーブル同士を接触させないこと、フェライトコアの位置をコネクタに近づけることが重要である。そこで、本発明は、前述のフラットケーブルが弛む構成においてもノイズを低減し、かつ、コスト低減の効果を得られる用にするためのものである。
【0026】
図4および図5を参照して、本発明の一実施形態を説明する。図4は、フェライトコア103がコアホルダ101に第1の位置P1に取り付け・固定された状態を、図5は、フェライトコア103がコアホルダ101に第2の位置P2に取り付け・固定された状態を、それぞれ示す要部の斜視図である。
図4および図5において、コアホルダ101は、ノイズ除去部材としてのフェライトコア103を、第1の位置P1および第2の位置P2の少なくとも一方(本実施形態では両方の位置)に固定するノイズ除去部材用保持部材として機能する。
【0027】
本実施形態における構成では、電装ボックス102に、コアホルダ101が取り付けられている。コアホルダ101には、フェライトコア103が、図4に示す第1の位置P1と、図5に示す第2の位置P2とに取り付け・固定可能となっている。
【0028】
図6〜図8を参照して、コアホルダ101、電装ボックス102、フェライトコア103の細部構成を説明する。図6は、コアホルダ101の細部構成を、図7は、電装ボックス102の細部構成を、図8は、フェライトコア103の細部構成を、それぞれ示す斜視図である。
【0029】
コアホルダ101は、図6に示すように、ケーブル保護部1、第1コアガイド2a,2b,3a,3b、爪4a,4b、スライド爪5a,5b、爪6、位置決め7a,7b、ケーブル出口8、ケーブルガイド9、第2コアガイド10a,10b、受け部11a,11b,11c,11d、爪12a等の部位を有し、例えばポリカーボネート(PC)やABS樹脂あるいはこれらのエンジニアリングプラスチック材料を用いて一体的に形成されている。
【0030】
コアホルダ101の第1コアガイド2a,2b,3a,3b、爪4a,4b、スライド爪5a,5b、爪6、位置決め7a,7b、第2コアガイド10a,10b、受け部11a,11b,11c,11d、爪12a等は、フェライトコア103の位置および方向を規制する保持部として機能する。
コアホルダ101のケーブル保護部1、ケーブル出口8およびケーブルガイド9等は、フラットケーブル105を案内するガイド部として機能する。
【0031】
電装ボックス102は、図7に示すように、ケーブル通過孔21、保持孔22a,22b、受け部23a,23b、孔24等を有し、例えば鉄製の薄い板材である板金で一体形成されている。
フェライトコア103は、図8に示すように、被ガイド部31、フラットケーブル105を挿通するための貫通したフェライトコア内部32等を有し、強磁性体の金属製酸化物であるフェライトで形成されている。
【0032】
次に、コアホルダ101の電装ボックス102への取り付け、フェライトコア103のコアホルダ101への取り付けの仕方について説明する。
コアホルダ101は自身のケーブル保護部1、スライド爪5a,5bを電装ボックス102のケーブル通過孔21、保持孔22a,22bに嵌め込みスライドさせることで、コアホルダ101の位置決め7a,7bが電装ボックス102の受け部23a,23bに突き当たるところで、爪6が孔24に嵌りこみ、コアホルダ101が電装ボックス102に固定される。
【0033】
コアホルダ101の爪4a,4bの保持面は可撓性かつ弾性復帰性を有している。フェライトコア103はコアホルダ101両側の爪4a,4bを押し広げながら、両側の被ガイド部31がコアホルダ101の第1コアガイド2a,2b,3a,3bに沿って挿入され、ガイドの奥へ突き当たるところでフェライトコア103が爪4a,4bを通過することで、コアホルダ101に固定され、図4に示した第1の位置P1へとセットされる。
【0034】
また、コアホルダ101の爪12a,12bの保持面は、爪4a,4bの保持面と同様に可撓性かつ弾性復帰性を有している。フェライトコア103はコアホルダ101両側の爪12a,12bを押し広げながら、両側の被ガイド部31が第2コアガイド10a,10bに沿って挿入され、受け部11a,11b,11c,11dに突き当たるところで固定され、図5に示した第2の位置P2へとセットされる。
【0035】
上記したとおり、コアホルダ101には、第1の位置P1におけるフェライトコア103の第1コアガイド2a,2b,3a,3b(上記保持部)と、第2の位置P2におけるフェライトコア103の第2コアガイド10a,10b(上記保持部)との間に、互いを連通・接続する連続した空間が設けられているので、第1の位置P1と第2の位置P2とでフラットケーブル105を挿通し保持・固定することができる。
【0036】
本実施形態によれば、以下の理由により以下の利点・効果を奏する。
図4において、フェライトコア103がコアホルダ101の第1の位置P1に固定された状態で、フラットケーブル105をフェライトコア内部32へ差し込むと、フラットケーブル105はケーブルガイド9にガイドされ、ケーブル出口8から出て電装ボックス102の内部に入り込む。このとき、フラットケーブル105と電装ボックス102とはケーブル保護部1により仕切られているため、接触することはない。
上記したように、コアホルダ101は、PCB122を内蔵する画像形成装置本体120のケーシング部材である電装ボックス102を通過するよう配設される。
【0037】
図5において、フェライトコア103がコアホルダ101の第2の位置P2に固定された状態で、フラットケーブル105をフェライトコア内部32へ差し込むと、フラットケーブル105は、そのまま真っ直ぐケーブル出口8から出て電装ボックス102の内部に入り込む。このとき、フラットケーブル105と電装ボックス102とはケーブル保護部1により仕切られているため、接触することはない。
これにより、第1の位置P1および第2の位置P2の何れの位置にフェライトコア103を設置しても、ノイズ発生を抑えることができる。
【0038】
また、第1コアガイド2a,2b,3a,3bと第2コアガイド10a,10bとの間は、フラットケーブル105の幅より広くなっており、フラットケーブル105は移動可能となっている。これにより、コアホルダ101の第1の位置P1に配置したフェライトコア103は、フラットケーブル105を内部32に通したままで第2の位置P2へと付け替えることが可能である。
これにより、いちいちフラットケーブル105をコネクタから抜くことなく、フェライトコア103の位置を変更することができるため、後述のオプション設置が容易で短時間で作業完了するため、ユーザの待ち時間が低減され利便性が向上する。
【0039】
また、コアホルダ101における両側の第2コアガイド10a,10bの間には、フラットケーブル105の幅より広い部分を有している。これにより、フェライトコア103を第1の位置P1に設置するとき、第2コアガイド10a,10bの間もフラットケーブル105を這い回すことができるため、省スペースでの這い回しができるため、機器の小型化が可能となる。
【0040】
図9〜図12を参照して、本実施形態の効果を検証・説明する。図9(a)、図9(b)は、スキャナの画像形成装置本体への組付け時におけるフラットケーブルの這い回しの変化を説明する要部の断面図、図10(a)は、デフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しに関して課題を有する場合の要部を示す断面図、図10(b)は、1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを説明するための要部の断面図、図11(a)は、デフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しに関して課題を有する場合の要部を示す断面図、図11(b)は、1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを説明するための要部の断面図、図12(a)は、本実施形態のデフォルト機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを、図12(b)は、本実施形態の1ビン装着時のオプション機の組付け時におけるフラットケーブルの這い回しを、それぞれ説明するための要部の断面図である。なお、図9〜図12では、図の簡明化のため、第1または第2の筐体を構成する、スキャナ104や画像形成装置本体120、あるいは電装ボックス102等のケーシング部材の板材断面にはハッチを省略して図示している。
【0041】
図9を参照して、スキャナの画像形成装置本体への組付け時におけるフラットケーブルの這い回しの変化状態について説明する。まず、スキャナ104の画像形成装置本体120への組付けについて説明する。図9(a)に示すように、スキャナ104は自身のフラットケーブル出口114からフラットケーブル105を外部に垂らした状態で、画像形成装置本体120の上方から組み付けられる(第1の位置関係)。スキャナ104は重量物のため、組付けの際は両手を用いる必要があるため、スキャナ104組付時には、フラットケーブル105は破線で示すように電装ボックス102の外部に垂らす状態となる。
【0042】
スキャナ104を画像形成装置本体120に固定した後、実線で示すようにフラットケーブル105をフェライトコア103のコア内部32へと通すと、フラットケーブル105はケーブルガイド9に当たり進行方向を変え、ケーブル出口8を通って電装ボックス102内へ入ってゆく。ケーブル出口8は電装ボックス102内部にまで入りこんでいるため、フラットケーブル105は電装ボックス102に触れることなく這い回すことができる。次いで、フラットケーブル105をフラットケーブルコネクタ107へと接続すると、フラットケーブル105は自身の有する可撓性によってコシが付与され、コア内部32を通る進行方向直線Aに沿って伸びるような力を受ける(図9(a)参照)。
【0043】
ここで、図9(b)に示すように、スキャナ104の背面上部には前記の進行方向直線Aから最も近い壁51を含む、壁52、壁53に囲まれた凹空間54が備えられており、前述のフラットケーブル105を壁51を乗り越えて押し込むと、フラットケーブル105は自身のコシにより凹空間54の各壁面に密着するようにして配置されるため、凹空間54が十分な場合はフラットケーブル105同士が触れることなく、かつフラットケーブルコネクタ107からのフェライトコア103位置を安定した長さに保った状態でフラットケーブル105を収容することが可能となり、ノイズを低減することができる。当然、凹空間54は連続した曲面からなる形状でも良い。なお、図9(b)において、112は、スキャナ内部ハーネス経路を、113は、キャリッジ移動領域を、それぞれ示している。
【0044】
しかしながら、近年では機器の小型化により凹空間54は十分な容量を確保することは困難となっている。図10(b)に示すように、図9のオプション機の組付け時(第2の位置関係)と同様に、1ビン装着時の1ビン装着機体128と同様の向きにフェライトコア103を配置している場合は、フラットケーブル105のケーブル長(以下、単に「ケーブル長」ともいう)が長くなるため、デフォルト機ではフラットケーブル105の弛みが過剰になり、接触を起こしてしまう(図10(a)参照)。また、ケーブル長が長いこと自体もノイズ悪化要因となってしまう。
【0045】
また、図11(b)に示す1ビン装着時のオプション機(第2の位置関係)のように、ケーブル長さを抑えるために1ビン装着時でフェライトコア103を立てて配置するとケーブル長を短くできるが、図11(a)に示すデフォルト機(第1の位置関係)ではフラットケーブル105同士の接触を防止するのが困難となり、かつ、組立も困難となってしまう。
【0046】
つまり、本実施形態の構成では、図12(a)、図12(b)の両方に示すように、フェライトコア103のコアホルダ101への取り付け・固定位置を第1の位置P1と第2の位置P2とに変更・移動可能とすることで、図12(b)の1ビン装着時のオプション機(第2の位置関係)での最短最適長さとしつつ、図12(a)のデフォルト機(第1の位置関係)でもフラットケーブル105同士が接触しあわず低コストで済む構成とすることができる。
すなわち、本実施形態によれば、前記構成により、第1の位置P1と第2の位置P2とにノイズ除去部材であるフェライトコア103を設置させるノイズ除去部材用保持部材としてのコアホルダ101を有することにより、オプション有無でのケーブルルート最適化を行えるため、ケーブルルートの違いによるケーブル長差を最低限に抑えることができるとともに、ノイズ低減およびコストダウンを図ることができる。
【0047】
上記実施形態では、説明の簡明化のため、フェライトコア103のコアホルダ101への取り付け・固定位置を、特定の角度をなす場合を例に取って説明したが、第1の位置と第2の位置とは、複数の電子・電気機器(もしくは筐体)同士の接続・組付け位置関係(第1の位置関係と第2の位置関係)状態を考慮の上、最適な位置角度をなすように設定されることは無論である。
【0048】
また、1本のフラットケーブル105に装着される一組の、1個のフェライトコア103と1個のコアホルダ101について説明したが、1本のフラットケーブル105に装着される複数組の、複数個のフェライトコア103と複数個のコアホルダ101でも良く、画像形成装置において複数本のフラットケーブルで電装基板に接続する必要のある場合においても、複数本のフラットケーブルに関して同様に適用できることは無論である。
【0049】
ノイズ除去部材用保持部材は、上述した電子写真方式の画像形成装置であるMFPに適用することに限らず、電子写真方式や磁気記録方式等の複写機、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ等、あるいはインクジェット方式のプリンタ、孔版印刷装置を含む印刷機等、これら2つ以上の機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置、あるいはインターネット(LAN等を含む)接続される画像形成装置同士や、パソコン等のコンピュータを含む周辺機器、あるいは画像形成システムにも適用できることは言うまでもない。
【0050】
画像形成システムとしては、上記実施形態のMFP(画像形成装置)と機械的に連結され、かつ、図示しない通信ケーブル等を介して通信可能に接続されたソータやパンチング処理やステープル処理等を施すなどのシート後処理とから構成されるものや、画像形成装置と、画像形成装置本体外での給紙機能を担うインサータ(例えば、特開2003−280305号公報の図1に示されている合紙インサータ(120)等)と、折り装置(例えば、特開2009−67537号公報の図1および図2に示されている折り処理装置)とから構成される画像形成システムなどが挙げられる。
【0051】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1 ケーブル保護部(ノイズ除去部材用保持部材のガイド部)
2a,2b,3a,3b 第1コアガイド(ノイズ除去部材用保持部材の保持部)
9 ケーブルガイド(ノイズ除去部材用保持部材のガイド部)
101 コアホルダ(ノイズ除去部材用保持部材)
102 電装ボックス(ケーシング部材)
103 フェライトコア(ノイズ除去部材)
104 スキャナ(画像読取装置、第1および第2の筐体の何れか一方)
105 フラットケーブル(ケーブル)
107 フラットケーブルコネクタ
111 キャリッジ
120 画像形成装置本体(画像形成装置、第1および第2の筐体の何れか他方)
122 PCB、プリント基板(電装基板)
127 1ビントレイ
P1 第1の位置
P2 第2の位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2007−317776号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筺体に配置された電装基板と第2の筺体に配置された電装基板とを、ノイズ除去部材を装着したケーブルを用いて接続し、
第1の筺体と第2の筺体とが複数の位置関係で接続され得る電子機器であり、
第1の筺体と第2の筺体における第1の位置関係と第2の位置関係とで、同じ前記ケーブルを用いて配線し、
第1の位置関係と第2の位置関係とでそれぞれ異なる第1の位置と第2の位置とに、前記ケーブルまたは前記ノイズ除去部材が規制される電子機器において、
前記ノイズ除去部材を、第1の位置および第2の位置の少なくとも一方に固定することを特徴とするノイズ除去部材用保持部材。
【請求項2】
前記ノイズ除去部材用保持部材は、
前記ノイズ除去部材の位置および方向を規制する保持部と、
前記ケーブルを案内するガイド部と、
を有することを特徴とする請求項1記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項3】
前記ノイズ除去部材用保持部材は、前記電装基板を内蔵する第1および第2の筐体の少なくとも一方のケーシング部材を通過するよう配設されることを特徴とする請求項1または2記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項4】
前記ノイズ除去部材用保持部材には、第1の位置における前記ノイズ除去部材の前記保持部と、第2の位置における前記ノイズ除去部材の前記保持部との間に、互いを接続する連続した空間が設けられていることを特徴とする請求項2記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項5】
前記ケーブルは、フラットケーブルであることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項6】
前記ノイズ除去部材用保持部材は、第1の位置および第2の位置の何れにある前記ノイズ除去部材も固定することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項7】
第1の筺体は、画像読取装置および画像形成装置の何れか一方であり、第2の筺体は、前記画像読取装置および前記画像形成装置の何れか他方であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一つに記載のノイズ除去部材用保持部材を有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−189813(P2012−189813A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53356(P2011−53356)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】