説明

ノコギリヤシ抽出物を含有する栄養補助食品及び発癌予防剤

【課題】男性ホルモン非依存性癌の予防における補完療法のための安全性の高い新規な栄養補助食品、及び男性ホルモン非依存性癌予防剤を提供する。
【解決手段】植物由来のノコギリヤシ抽出物を含有する、男性ホルモン非依存性癌の予防における補完療法のための栄養補助食品。また、ノコギリヤシ抽出物を含有する男性ホルモン非依存性癌予防剤。これらは、男性ホルモン非依存性癌、特に、皮膚癌及び肺癌の発癌を予防するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来成分、詳細には、ノコギリヤシ抽出物を含有する、男性ホルモン非依存性癌の予防における補完療法のための栄養補助食品、及び、男性ホルモン非依存性癌予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
我国における癌死亡者数は年間30万人以上を超え、死亡原因第一位の疾患であり、その予防法や治療法の確立が求められている。癌の発生部位によっても異なるが、癌治療法は外科的治療法、抗癌剤による化学療法、放射線療法の3つが中心となっている。これらの治療法を組み合わせて治療が施されているが、未だ有効な治療法は確立されていない。
一方、癌による死亡を減らすためには、癌を予防することが重要であるとの考えが定着しつつある。癌の発生要因の約80%は身近な環境要因によることが判明している。環境中の発癌要因として紫外線や自動車などの排気ガスに含まれるベンツピレン類があげられる。また、食事中の発癌物質としては、肉や魚の焦げに含まれる成分、カビが生成するアフラトキシンなどの化合物、野菜などに含まれる亜硝酸塩とアミノ化合物が反応して生成するニトロソアミン類などが知られている。
癌予防には生活習慣の改善のほか、これらの発癌要因に拮抗する有効な成分を日常的に取り入れる方法が提案されている。
ノコギリヤシ(Serenoa repens)は北米原産のPalmoae科に属する植物であり、その果実エキスは前立腺肥大に有効であることが知られていた。前立腺肥大の発症にはテストステロンが5−α−還元酵素の作用を受けて生じるジヒドロテストステロンが関わっており、ノコギリヤシ抽出物は5−α−還元酵素を阻害することにより前立腺肥大症の治療または予防効果を発揮する(例えば、非特許文献1)と考えられている。また、前立腺癌などの男性ホルモン依存性癌では、その増殖に男性ホルモンを必要とし、テストステロンに比べてジヒドロテストステロンが強い増殖刺激作用を示すことから、ノコギリヤシ抽出物が男性ホルモン依存性癌を抑制することが期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、男性ホルモン非依存性癌、例えば皮膚癌又は肺癌に対するノコギリヤシ抽出物の効果はこれまで知られていなかった。環境や食品中に存在する発癌要因に拮抗し、男性ホルモン非依存性癌の発癌の予防効果を奏する物質の利用により、その種の癌の予防法及び治療に役立つことが望まれていた。さらにまた、かような予防効果を奏する物質を含有した栄養補助食品として手軽に摂取することにより、男性ホルモン非依存性癌の予防における補完療法としても役立つことが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、ノコギリヤシ抽出物が男性ホルモン非依存性癌の顕著な抑制作用を有するという事実を新たに見出し、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の一の態様は、ノコギリヤシ抽出物を含有する、男性ホルモン非依存性癌、特に皮膚癌又は肺癌の予防における補完療法のための栄養補助食品に関する。
本発明の第二の態様は、ノコギリヤシ抽出物を含有する男性ホルモン非依存性癌予防剤に関する。その中で好ましくは、男性ホルモン非依存性癌予防剤は、皮膚癌及び肺癌を予防するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の栄養補助食品は、ノコギリヤシ抽出物を含有するものであるため、男性ホルモ
ン非依存性癌、特に皮膚癌又は肺癌の予防にあたって、補完療法として有用である。一方、本発明の男性ホルモン非依存性癌予防剤は、これら癌の発癌を効果的に予防し得る。さらには、ノコギリヤシからの抽出物は食経験のある植物であるため、これを含有する本発明の栄養補助食品及び癌予防剤は、安全性が高く、従って毎日摂取することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明について詳細に説明する。
ノコギリヤシ抽出物が具体的にどのような機構で発癌の予防に関与するのかは明らかになっていないが、一例を挙げると、本発明の癌予防剤を投与すると、該癌予防剤を投与しなかった場合と比較して、肺癌の発生率が効果的に低下し得る。また例えば、本発明の癌予防剤を予め皮膚に塗布すると、該癌予防剤を塗布しなかった皮膚と比較して、皮膚癌の発生率を効果的に低下し得る。本発明の栄養補助食品及び癌予防剤の投与量としては、ノコギリヤシ抽出物として1日当りおよそ100ないし1000mgとなる量が適当である。これにより、本発明の男性ホルモン非依存性癌予防剤は優れた発癌の予防効果を発揮し得る。もちろん、同様にノコギリヤシ抽出物を含有する本発明の栄養補助食品もまた、発癌の予防効果が期待されることは言うまでもない。また、本発明の栄養補助食品と癌予防剤とを併用することも可能である。
【0007】
本発明におけるノコギリヤシ抽出物は、市販のものやノコギリヤシから直接抽出したものが用いられる。抽出原料としては、ノコギリヤシのいずれの部位からも適宜選択することができるが、特にノコギリヤシの果実が好ましい。ノコギリヤシ抽出物は、抽出原料から、植物抽出物の抽出に一般に用いられている方法により得ることができる。ノコギリヤシ抽出物は例えば、ノコギリヤシの果実を生のまま又は乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して、任意の抽出溶媒、例えば水、又はアルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなど)、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールなど)、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサンなどの有機溶媒、並びにこれらの2種以上の混合物を用いて、室温から還流加熱下で、溶媒の種類や抽出規模に応じて任意の装置を用いて抽出され得る。具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料であるノコギリヤシの果実を投入し、時々攪拌して可溶性成分を溶出する。その後、濾過して抽出残渣を除き、得られた抽出液を濃縮、乾燥することにより、ノコギリヤシ抽出物を得ることができる。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜90℃にて30分〜2時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃にて30分〜2時間程度である。得られたノコギリヤシ抽出物は脱色、脱臭、活性向上等を目的として精製することもできる。また、ノコギリヤシ抽出物は二酸化炭素で超臨界抽出したものであっても良い。市販のノコギリヤシ抽出物としては、インデナ社(イタリア)の商品名サバルセレクト(超臨界抽出法により製造されたもの)などが挙げられる。
【0008】
このようにして抽出されたノコギリヤシ抽出物は、本発明における用途に応じて、他の種々の成分と共に通常使用され得る種々の剤形、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などに製剤化される。剤形として具体的には、例えば、錠剤(口腔内崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、リモナーデ剤、ゼリー剤、ペースト剤などが挙げられる。この内、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤などの固形剤、及び液剤が好適である。栄養補助食品としては、内容成分の味又は臭いを気にする必要がなく、しかも水とともに飲み下しやすい剤形である硬カプセル剤又は軟カプセル剤が特に好ましい。癌予防剤としては、内服剤、外用剤又は注射剤として採用され得
る液剤が特に好ましい。
【0009】
本発明の栄養補助食品及び癌予防剤には、ノコギリヤシ抽出物の他に、それぞれの用途又は剤形に応じて、食品、健康食品、健康補助食品、化粧品、医薬部外品、医薬品に通常使用される成分を適宜配合することももちろん出来る。
配合可能な食品成分としては、例えば、大豆イソフラボン、オタネ人参、エキナセア、霊芝、アガリクス、メシマコブ、乳酸菌、酵母、麹菌などの菌類、黒豆、羅漢果、田七人参、甘草、西洋オトギリ草、天麻、卵黄油、カモミール、松葉エキス、バレリアン、カキ肉エキス、ハブ茶、ケール、ビワの葉、ハトムギ、スギナ、タラの芽、羅布麻茶、アマチャズル、ヨモギ、イチョウ葉エキス、ジュアール、シソ、核酸、ウコン、ふかひれ軟骨、ローヤルゼリー、ノニ、アロエ、紅麹、高麗人参、スッポン、ケール、スピルリナ、ドクダミ、カモミール、ペイチー茶、フコイダン、レモンバーム、プロポリス、ガジュツ、ハチミツ、クロレラ、ケフィア、深海鮫エキス、クランベリー、ガウクルア、アセロラ、コラーゲン、木酢液、プラセンタ、プルーン、マカ、ヨモギ、ザクロ、クコ、ウラジロ、根コンブ、オリゴ糖、梅肉、サイリウム、にがり、豆乳、デキストリン、ゲンノショウコ、ギムネマ、バナバ茶、まいたけ、リポ酸、モロヘイヤ、冬虫夏草、松の花粉、シベリアジンセン、姫マツタケ、日本山人参、プーアル茶、グアバ茶、納豆、ニンニク、ブルーベリー、玄米、カキの葉、桑の葉、キチン、米胚芽、根コンブ、杜仲茶、ドクダミ、ガジュツ、大麦若葉エキス、リンゴ酢、山査子、紫イペ等、及びこれらからの抽出物、及びレチノール、カロテノイド、トコフェロール、アスコルビン酸などのビタミン類、亜鉛やセレニウムなどのミネラル類、カテキン等のポリフェノール類、EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸類、L−カルニチン、サイリウム、コエンザイム、ムコ多糖類、ルチン、コンドロイチン、リコピン、AHCC、ヒアルロン酸、フラボノイド等が挙げられる。
配合可能な医薬品成分としては、抗癌剤、抗生物質、アスピリンなどの抗炎症剤、インターフェロンなどのサイトカイン類が挙げられる。また、製剤化に使用され得る種々の添加剤も用いることができる。
【0010】
本発明の栄養補助食品又は癌予防剤は、例えば以下記載するような方法で製造され得る。
顆粒剤・細粒・散剤:ノコギリヤシ抽出物を必要により賦形剤と共にスプレードライ機を用いて乾燥して得られる。
錠剤:例えば、上記の方法により得られた顆粒剤・細粒・散剤を、必要によりバインダ等と混合して所定形状に打錠成形することにより得られる。
硬カプセル剤・軟カプセル剤:例えば、ノコギリヤシ抽出物を含む内容成分を、自動ロータリー式カプセル充填機等を用いてゼラチン皮膜で被包成型することにより得ることができる。
液剤:例えばノコギリヤシ抽出物を、必要に応じて乳化剤を用いて、水、その他の溶媒に溶解して得られる。経口投与を目的としたものであれば、使用される成分は、医薬的に又は食品的に許容可能なものから選択される。
【0011】
ノコギリヤシ抽出物を、一般の食品又は化粧品に含有させることがまた可能である。このような食品としては、例えばアイスクリーム、飴、ガム、菓子、パン、麺類や、アルコール飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、コーヒー、紅茶などの清涼飲料などの一般食品が挙げられる。また、ノコギリヤシ抽出物を上記の剤形などの形態として、健康補助食品、特定保健用食品や栄養機能食品として摂取することもできる。
一方、ノコギリヤシ抽出物を含有させることができる化粧品としては、例えば、石鹸、洗顔料、クリーム、乳液、化粧水、パウダー、香水、口紅などの皮膚化粧品や浴用化粧品、更にはシャンプー、リンスなどの毛髪用化粧品などが挙げられる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1:栄養補助食品(軟カプセル剤1)
下記表1の配合に従って各成分を計量後、霊芝抽出物、ノコギリヤシ抽出物(市販品;商品名:サバルセレクト;インデナ社製(イタリア))、シソ油、ミツロウ及びグリセリン脂肪酸エステルを均質に混合した。その後、該混合液を内容液として自動ロータリー式カプセル充填機を用いてゼラチンとグリセリンの皮膜で被包成型し、乾燥後、本発明の栄養補助食品1(軟カプセル剤)を得た。
【表1】

【0014】
実施例2:栄養補助食品(軟カプセル剤2)
下記表2の配合に従って各成分を計量後、ノコギリヤシ抽出物、大豆イソフラボン、酵母抽出物、アスコルビン酸及びグルコン酸亜鉛を内容液として自動ロータリー式カプセル充填機を用いてゼラチンとグリセリンの皮膜で被包成型し、乾燥後、本発明の栄養補助食品(軟カプセル剤2)を得た。
【表2】

【0015】
実施例3:栄養補助食品(軟カプセル剤3)
下記表3の配合に従って各成分を計量後、ノコギリヤシ抽出物、カテキン、ローヤルゼリー及びヒアルロン酸を内容液として自動ロータリー式カプセル充填機を用いてゼラチンとグリセリンの皮膜で被包成型し、乾燥後、本発明の栄養補助食品(軟カプセル剤3)を得た。
【表3】

【0016】
実施例4:栄養補助食品(液剤)
下記表4の配合に従って各成分を計量し、ミキサー中で均質となるまで混合して、本発明の栄養補助食品(液剤)を得た。
【表4】

【0017】
実施例5:栄養補助食品(錠剤)
下記表5の配合に従って、市販のノコギリヤシ抽出物と他の添加剤を計量後、流動層造粒機で数分間混合し、造粒液をスプレーしながら造粒し、送風温度およそ80℃で乾燥した。その後、得られた顆粒を打錠機を用いて打錠し、本発明の栄養補助食品(錠剤)を得た。
【表5】

【0018】
実施例6:栄養補助食品(顆粒剤)
下記表6の配合に従って各成分を秤量後、混合した。次に、該混合物を押出し造粒装置を用いて造粒し、熱風乾燥機を用いて45℃にて乾燥減量が7%以下になるように乾燥した後、男性ホルモン非依存性癌予防剤(顆粒剤)を得た。
【表6】

【0019】
実施例7:癌予防剤(半固形剤(軟膏))
下記表7の配合に従って各成分を計量し、ミキサー中で均質となるまで混合して、本発明の癌予防剤(半固形剤(軟膏))を得た。
【表7】

【0020】
実施例8:癌予防剤(液剤(経口投与用))
下記表8の配合に従って各成分を計量し、ミキサー中で均質となるまで混合して、本発明の男性ホルモン非依存性癌予防剤(液剤(経口投与用))を得た。
【表8】

【0021】
実施例9:癌予防剤(錠剤)
下記表9の配合に従って、市販のノコギリヤシ抽出物と他の添加剤を計量後、流動層造粒機で数分間混合し、造粒液をスプレーしながら造粒し、送風温度およそ80℃で乾燥した。その後、得られた顆粒を打錠機を用いて打錠し、本発明の癌予防剤(錠剤)を得た。
【表9】

【0022】
実施例10:癌予防剤(顆粒剤)
下記表10の配合に従って各成分を秤量後、混合した。次に、該混合物を押出し造粒装置を用いて造粒し、熱風乾燥機を用いて45℃にて乾燥減量が7%以下になるように乾燥した後、男性ホルモン非依存性癌予防剤(顆粒剤)を得た。
【表10】

【0023】
[試験例1:本発明の男性ホルモン非依存性含予防剤による皮膚癌の抑制効果]
6週齢の雌ICR系マウスの背部を剃毛し100μgのDMBAを塗布した。続いて、該DMBA塗布部位に、実施例7の癌予防剤を、ノコギリヤシ抽出物50μgとなる量で塗布した。その1時間後、皮膚乳頭腫を誘発するために、DMBA塗布部位にホルボールエステル(TPA)1μgを塗布し、以後、ノコギリヤシ抽出物50μgとTPA1μgとを同様に1週間に2回、20週間塗布し続けて、これらマウス群を実施例群とした。なお、実施例7の癌予防剤を塗布せずに、DMBA塗布部位に対して直接にホルボールエステルを塗布したマウス群を対照群とした。実施例群及び対照のそれぞれにおいて、毎週2回目のTPA塗布後に、全マウスに対する乳頭腫の発生しているマウスの割合(発生率%)を求め、及び、マウス1匹当りのDMBA塗布部位に発生した乳頭腫の数の平均値を求めた。結果を下記表11並びに図1及び図2に示す。
【表11】

上記表11及び図1の結果より、乳頭腫の発生率を見ると、対照群においては、TPA塗布開始6週間後から乳頭腫の発生が確認され、そして10週間後にはすべてのマウスに乳頭腫の発生が確認された。これに対して、実施例群においては、乳頭腫の発生が8週間後にまで抑制され、そして10週間後においてもわずか13.3%の発生率に抑制されていた。また、乳頭腫数を見ると、対照群においては、20週間後には1匹当り平均9.1個もの乳頭腫が発生したのに対し、実施例群においては20週間後においてもわずか平均4.0個にまで抑制された。
【0024】
[試験例2:本発明の男性ホルモン非依存性含予防剤による肺癌の発癌抑制効果]
6週齢の雌ICR系マウスの背部に4NQOを10mg/kgとなるように注射した。
その5週間後から、実施例8の男性ホルモン非依存性癌予防剤にグリセロールを8質量%の濃度になるように混合したものを毎日自由に飲ませてさらに25週間飼育したマウス群を実施例群とした。なお、男性ホルモン非依存性癌予防剤を含有しない8%グリセロール水溶液を同様に経口投与したマウス群を対照群とした。実施例群及び対照群ともにマウス15匹に対して試験を行い、投与終了後に剖検し、肺をホルマリン固定し、発生した肺腺腫の総数、1個体当りの肺腺腫数、肺腺腫が発生したマウスの割合(%)を求めた。結果を下記表12に示す。
【表12】

表12を見ると、対照群においては、93.3%(15匹中14匹)という非常に高い確率で肺腺腫が発生し、1個体当りの肺腺腫数は3.2個であった。これに対し、実施例群においては、肺腺腫が発生したマウスは53.3%(15匹中8匹)に抑制され、1個体当りの肺腺腫数もわずか0.8個であった。以上より、実施例群は肺腺腫の発生が効果的に予防されたことが判る。
【0025】
[まとめ]
以上の結果より、ノコギリヤシ抽出物を含有した本発明の男性ホルモン非依存性癌予防剤は、効果的に発癌を予防し得ることが判る。さらにまた、本発明の栄養補助食品は、同様にノコギリヤシ抽出物を含有するものであるため、発癌の予防効果が期待され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】縦軸は乳頭腫の発生率(%)を示し、横軸は試験開始からの経過時間(週)を示し、図中の三角印を結ぶ折れ線は実施例の試験結果を示し、矩形印を結ぶ折れ線は対照の試験結果を示すグラフである。
【図2】縦軸は腫瘍数(個/マウス)を示し、横軸は試験開始からの経過時間(週)を示し、図中の三角印を結ぶ折れ線は実施例の試験結果を示し、矩形印を結ぶ折れ線は対照の試験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノコギリヤシ抽出物を含有する、男性ホルモン非依存性癌の予防における補完療法のための栄養補助食品。
【請求項2】
前記男性ホルモン非依存性癌は、皮膚癌である、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項3】
前記男性ホルモン非依存性癌は、肺癌である、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項4】
ノコギリヤシ抽出物を含有する、男性ホルモン非依存性癌予防剤。
【請求項5】
前記男性ホルモン非依存性癌予防剤は、皮膚癌を予防するものである、請求項4に記載の前記男性ホルモン非依存性癌予防剤。
【請求項6】
前記男性ホルモン非依存性癌予防剤は、肺癌を予防するものである、請求項4に記載の前記男性ホルモン非依存性癌予防剤。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−230888(P2007−230888A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52533(P2006−52533)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】