ノズル付き押出容器
【課題】底壁を押し込むことで充填空間を加圧して内容物を外界に圧送する一方、押し込みの解除で外気を導入して再び底壁の押し込みにより、内容物を圧送が可能となるノズル付き押出容器を提供する。
【解決手段】底壁3の押し込みによって圧送された内容物がノズル5の貫通路Rを通して排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズル付き押出容器であって、周壁2の開口端の内側には、貫通路に向かって突出して充填空間S0から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部A1を有して先端部12が弁座としてなる仕切壁を設けられており、弾性弁20は、仕切壁に差し込まれる筒状基部21を有し、筒状基部の先端側端縁23が弁座に全周に亘って着座して開口部を閉じることで充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により弁座から離間して開口部を開くことで充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる。
【解決手段】底壁3の押し込みによって圧送された内容物がノズル5の貫通路Rを通して排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズル付き押出容器であって、周壁2の開口端の内側には、貫通路に向かって突出して充填空間S0から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部A1を有して先端部12が弁座としてなる仕切壁を設けられており、弾性弁20は、仕切壁に差し込まれる筒状基部21を有し、筒状基部の先端側端縁23が弁座に全周に亘って着座して開口部を閉じることで充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により弁座から離間して開口部を開くことで充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の底壁の押し込みにより、ノズルの貫通路から内容物を注出するノズル付き押出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体の底壁を押し込むことにより、ノズルの貫通路を通して内容物を外界に注出するものとしては、例えば、滴下式注出容器と呼ばれるものがある(例えば、「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平04−43500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした容器は、ノズルの先端を下に向ける等すると、ノズルから内容物が垂れ易いという問題があった。また、こうした容器は、底壁の押し込みにより内容物を取り出す構造のため、容器本体内の圧力が上昇すると、内容物が飛び出す(噴出する)ことがある。
【0005】
本発明の目的とするところは、底壁を押し込むことで充填空間を加圧して内容物を外界に圧送する一方、押し込みの解除によって外気を導入することで、再び底壁の押し込みにより、内容物を圧送が可能となるノズル付き押出容器にあって、予期せぬ内容物の噴出や垂れを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
胴体部分を形成する周壁と当該周壁の下端に繋がる底壁とを有して周壁と底壁によって形成された充填空間に内容物が充填される容器本体と、周壁の開口端に固定保持される装着筒を有し、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズルとを備えたノズル付き押出容器であって、
周壁の開口端の内側に、ノズルの貫通路に向かって突出して充填空間から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部を有して先端部が弁座としてなる仕切壁を設けると共に、当該仕切壁に弾性弁を設け、
当該弾性弁は、仕切壁に差し込まれる下端開口部が形成された筒状の基部を有し、当該筒状の基部の先端側端縁が当該弁座に全周に亘って着座して仕切壁の開口部を閉じることで充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により貫通路側に弾性変形することで弁座から離間して充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる一方、
当該筒状の基部の外周側から突出した外周側端縁がノズルの装着筒に設けた弁座に全周に亘って着座して当該筒状の基部と装着筒との間に形成された環状の隙間と貫通路との間を仕切ると共に、環状の隙間に生じた負圧により充填空間側に弾性変形することでノズルの装着筒に設けた弁座から離間して環状の隙間を貫通路に通じさせる外気吸入弁としてなり、
仕切壁に、環状の隙間を充填空間に通じさせる貫通孔を形成することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明では、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部頂面に着座するものとすることができる。また、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部側面に着座するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器を倒立させても、内容物を積極的に加圧しない限り、吐出弁によりノズルの貫通路が遮断されているため、内容物の噴出や垂れを生じることがない。このため、本発明によれば、予期せぬ内容物の噴出や垂れを生じないノズル付き押出容器を提供することができる。
【0009】
また、本発明は、吐出弁と外気吸入弁とが一体に構成されているため、部品点数の削減を図りつつ、簡易な構造を実現することができる。
【0010】
更に、本発明は、上述のとおり、充填空間の内容物を貫通路まで圧送する経路と、貫通路から導入した外気を充填空間に導入するまでの経路とを分けたため、吐出弁の先端に空気が巻き込まれることがないから、安定した吐出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従う、ノズル付き押出容器の一形態を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1の弾性弁及びその周辺を示す拡大図である。
【図3】本発明に従う、他の形態の弾性弁及びその周辺を一部断面で示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に従う、ノズル付き押出容器の各形態を詳細に説明する。
【0013】
図中、符号1は、容器本体である。容器本体1は、胴体部分を形成する周壁2と、この周壁2の下端に繋がる底壁3とを有する。これにより、容器本体1は、周壁2と底壁3によって内容物が充填される充填空間S0を形成する。底壁3は、外部からの押し込みにより変形し、その押し込みを解除することにより復元する弾性材料からなる。また、底壁3は、周壁2に対してリング部材4によって抜け止め保持されている。
【0014】
符号5は、貫通路Rを有するノズルである。ノズル5は、その下端を拡径させてなる肩部6から装着筒7が一体に垂下する。装着筒7は、肩部6に繋がる外筒7aに、フランジ7bを介して嵌合筒7cが一体に繋がる。ノズル5は、嵌合筒7cを介して周壁2の開口端に、スプライン嵌合C1及びアンダーカット嵌合C2によって固定保持される。
【0015】
これにより、ノズル5は、底壁3が押し込まれることによって充填空間S0から圧送された内容物を、貫通路Rを通して外界に排出する一方、底壁3の押し込みが解除されることによって貫通路Rを通して外気を導入する。
【0016】
周壁2の開口端の内側には、ノズルの貫通路Rに向かって突出する、先細り状の仕切壁が一体に設けられている。仕切壁は、図2に示すように、周壁2の内周面と環状の内向きフランジ8を介して繋がる大径筒部9と、この大径筒部9と環状の段差部10を介して繋がる小径筒部11とを有する。仕切壁の先端部12は、後述のように弁座として機能し、小径筒部11の周方向に間隔を空けて配置された複数のアーム13で保持されている。これにより、仕切壁には、アーム13の間に、小径筒部11の上端開口を通して充填空間S0に通じる複数の開口部A1が形成されている。
【0017】
符号20は、変形及び復元の可能な、例えば、ゴムやエラストマ等の弾性材料からなる弾性弁である。弾性弁20は、図2に示すように、筒状の基部(以下、「筒状基部」)21を有する。この筒状基部11には、仕切壁の小径筒部11に差し込まれる下端開口部が形成されている。これにより、弾性弁20は、仕切壁の小径筒部11に嵌合保持されている。
【0018】
また、筒状基部21の先端側部分23は、仕切壁の先端部(以下、「弁座」)12の頂面f1に向かって延在する延在部23aと、頂面f1に向かって縮径する縮径部23bと、この縮径部23bから頂面f1の上側から内向きに折り返す折り返し部23cとを有し、折り返し部23cの内側には開口部A2が形成されている。
【0019】
また折り返し部23cには、開口部A2に沿って頂面f1に向かって突出する環状の先端側端縁23dが設けられている。先端側端縁23dは、弁座12の頂面(以下、「座面」)f1に全周に亘って着座して仕切壁の開口部A1を閉じることで、充填空間S0と、ノズルの貫通路Rとの間を仕切っている。これにより、先端側部分23は、充填空間S0からの内容物が開口部A1を通して圧送されない限り、実線に示すように、弁座12に着座して内容物の流出を阻止するが、充填空間S0から内容物が圧送されると、破線に示すように、下流側(図面上向きの側)に弾性変形することで、弁座12から離間して、弾性弁20の開口部A2と仕切壁の開口部A2とを介して充填空間S0を貫通路Rに通じさせる。即ち、先端側部分23は、吐出弁として機能する。
【0020】
なお、本発明に従えば、吐出弁として機能は、折り返し部分23c及び先端側端縁23dだけでも可能であるが、本形態の如く、先端側部分に縮径部23bを設ければ、吐出弁としての開閉動作が良好なものとなる。
【0021】
他方、筒状基部21の外周側から突出した外周側部分24は、装着筒7に向かって拡径し、その外周側端縁14aがフランジ(弁座)7bの裏面(以下、「座面」)f2に全周に亘って着座して筒状基部21と装着筒7との間に形成された環状の隙間(以下、「環状隙間」)S2と貫通路Rとを仕切っている。これにより、外周側部分24は、充填空間S0に負圧が生じない限り、実線で示すように、フランジ7bに着座して外気の流入を阻止するが、充填空間S0に負圧が生じると、破線に示すように、上流側(図面下向きの側)に弾性変形することで、フランジ7bから離間して、貫通路Rを環状隙間S2に通じさせる。
【0022】
そして、仕切壁の大径筒部9には、環状隙間S2を充填空間Rに通じさせる貫通孔A3が形成されている。即ち、外周側部分24は、外気吸入弁として機能する。なお、貫通孔A3については、先端部12と同様、大径筒部9を複数のアームで構成し、当該アームの相互間に形成された開口部をもって貫通孔A3とすることができる。
【0023】
本形態によれば、容器本体1の底壁3を押し込むと、内容物を充填した充填空間S0の圧力が増大することにより、先端側部分(以下、「吐出弁」)23が開放される。即ち、内容物は、底壁3を押し込むと、吐出弁23からノズル5の貫通路Rを通して外界に圧送される。他方、外気吸入弁24は、充填空間S0に負圧が生じていないため、開放されることがない。このため、外気は、底壁3の押し込みによっては貫通路Rを通して充填空間S0に導入されることがない。
【0024】
これに対し、底壁3の押し込みを解除すると、底壁3の復帰により充填空間S0に負圧が生じることにより、外気吸入弁24が開放される。即ち、外気は、底壁3の押し込みが解除されると、貫通路Rから外気吸入弁24を通して充填空間S0に吸入される。他方、吐出弁23は、充填空間S0が加圧されていないため、初期位置(図2の実線)に復元し、開放されることがない。このため、内容物は、底壁3の押し込みの解除によっては貫通路Rを通して外界に圧送されることがない。
【0025】
従って、本形態によれば、容器を倒立させても、内容物を積極的に加圧しない限り、吐出弁23によりノズル5の貫通路Rが遮断されているため、内容物の噴出や垂れを生じることがない。このため、本形態によれば、予期せぬ内容物の噴出や垂れを生じないノズル付き押出容器を提供することができる。
【0026】
また、本形態は、吐出弁23と外気吸入弁24とが一体に構成されているため、部品点数の削減を図りつつ、簡易な構造を実現することができる。
【0027】
更に、本形態は、上述のとおり、充填空間S0の内容物を貫通路Rまで圧送する経路と、貫通路Rから導入した外気を充填空間S0に導入するまでの経路とを分けたため、吐出弁23の先端側端縁23dに空気が巻き込まれることがないから、安定した吐出が可能となる。
【0028】
図3は、本発明に従う、ノズル付き押出容器の他の形態の要部拡大側面図である。本発明に従えば、弾性弁は、同形態の弾性弁20のように、筒状基部21の先端側端縁23dは、仕切壁の先端部側面f3に着座させることも可能である。なお、本形態において、図1及び2と同一の部分は同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0029】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、本発明に従えば、種々の変更を加えることができる。例えば、本形態では、ノズル5には、バージンキャップ40が設けられている。バージンキャップ40は、肩部6に固定される本体31と、この本体41に対して破断によって分離可能なオーバーキャップ42とで構成されているが、キャップはこれに限定されるものではなく、様々なタイプのキャップを採用することができる。また、ノズル5を容器本体に装着する手段も、スプライン嵌合C1とアンダーカット嵌合C2との組み合わせによるものだけでなく、凹凸や凸同士の嵌合等の様々な手段を採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズル付き押出容器であれば、化粧用容器、医療用容器等の、様々な容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 容器本体
2 周壁
3 底壁
4 リング部材
5 ノズル
6 肩部
7 装着筒
8 フランジ
9 大径筒部
10 段差部
11 小径筒部
12 先端(弁座)
13 アーム
20 弾性弁
21 筒状基部
23 先端側部分(吐出弁)
23a 延在部
23b 縮径部
23c 折り返し部
23d 先端側端縁
24 外周側部分(外気吸入弁)
24a 外周側端縁
f1 先端部頂面(吐出弁用座面)
f2 装着筒裏面(吸入弁用座面)
f3 先端部側面(吐出弁用座面)
S0 充填空間
S2 環状隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の底壁の押し込みにより、ノズルの貫通路から内容物を注出するノズル付き押出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体の底壁を押し込むことにより、ノズルの貫通路を通して内容物を外界に注出するものとしては、例えば、滴下式注出容器と呼ばれるものがある(例えば、「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平04−43500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした容器は、ノズルの先端を下に向ける等すると、ノズルから内容物が垂れ易いという問題があった。また、こうした容器は、底壁の押し込みにより内容物を取り出す構造のため、容器本体内の圧力が上昇すると、内容物が飛び出す(噴出する)ことがある。
【0005】
本発明の目的とするところは、底壁を押し込むことで充填空間を加圧して内容物を外界に圧送する一方、押し込みの解除によって外気を導入することで、再び底壁の押し込みにより、内容物を圧送が可能となるノズル付き押出容器にあって、予期せぬ内容物の噴出や垂れを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
胴体部分を形成する周壁と当該周壁の下端に繋がる底壁とを有して周壁と底壁によって形成された充填空間に内容物が充填される容器本体と、周壁の開口端に固定保持される装着筒を有し、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズルとを備えたノズル付き押出容器であって、
周壁の開口端の内側に、ノズルの貫通路に向かって突出して充填空間から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部を有して先端部が弁座としてなる仕切壁を設けると共に、当該仕切壁に弾性弁を設け、
当該弾性弁は、仕切壁に差し込まれる下端開口部が形成された筒状の基部を有し、当該筒状の基部の先端側端縁が当該弁座に全周に亘って着座して仕切壁の開口部を閉じることで充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により貫通路側に弾性変形することで弁座から離間して充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる一方、
当該筒状の基部の外周側から突出した外周側端縁がノズルの装着筒に設けた弁座に全周に亘って着座して当該筒状の基部と装着筒との間に形成された環状の隙間と貫通路との間を仕切ると共に、環状の隙間に生じた負圧により充填空間側に弾性変形することでノズルの装着筒に設けた弁座から離間して環状の隙間を貫通路に通じさせる外気吸入弁としてなり、
仕切壁に、環状の隙間を充填空間に通じさせる貫通孔を形成することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明では、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部頂面に着座するものとすることができる。また、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部側面に着座するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器を倒立させても、内容物を積極的に加圧しない限り、吐出弁によりノズルの貫通路が遮断されているため、内容物の噴出や垂れを生じることがない。このため、本発明によれば、予期せぬ内容物の噴出や垂れを生じないノズル付き押出容器を提供することができる。
【0009】
また、本発明は、吐出弁と外気吸入弁とが一体に構成されているため、部品点数の削減を図りつつ、簡易な構造を実現することができる。
【0010】
更に、本発明は、上述のとおり、充填空間の内容物を貫通路まで圧送する経路と、貫通路から導入した外気を充填空間に導入するまでの経路とを分けたため、吐出弁の先端に空気が巻き込まれることがないから、安定した吐出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従う、ノズル付き押出容器の一形態を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1の弾性弁及びその周辺を示す拡大図である。
【図3】本発明に従う、他の形態の弾性弁及びその周辺を一部断面で示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に従う、ノズル付き押出容器の各形態を詳細に説明する。
【0013】
図中、符号1は、容器本体である。容器本体1は、胴体部分を形成する周壁2と、この周壁2の下端に繋がる底壁3とを有する。これにより、容器本体1は、周壁2と底壁3によって内容物が充填される充填空間S0を形成する。底壁3は、外部からの押し込みにより変形し、その押し込みを解除することにより復元する弾性材料からなる。また、底壁3は、周壁2に対してリング部材4によって抜け止め保持されている。
【0014】
符号5は、貫通路Rを有するノズルである。ノズル5は、その下端を拡径させてなる肩部6から装着筒7が一体に垂下する。装着筒7は、肩部6に繋がる外筒7aに、フランジ7bを介して嵌合筒7cが一体に繋がる。ノズル5は、嵌合筒7cを介して周壁2の開口端に、スプライン嵌合C1及びアンダーカット嵌合C2によって固定保持される。
【0015】
これにより、ノズル5は、底壁3が押し込まれることによって充填空間S0から圧送された内容物を、貫通路Rを通して外界に排出する一方、底壁3の押し込みが解除されることによって貫通路Rを通して外気を導入する。
【0016】
周壁2の開口端の内側には、ノズルの貫通路Rに向かって突出する、先細り状の仕切壁が一体に設けられている。仕切壁は、図2に示すように、周壁2の内周面と環状の内向きフランジ8を介して繋がる大径筒部9と、この大径筒部9と環状の段差部10を介して繋がる小径筒部11とを有する。仕切壁の先端部12は、後述のように弁座として機能し、小径筒部11の周方向に間隔を空けて配置された複数のアーム13で保持されている。これにより、仕切壁には、アーム13の間に、小径筒部11の上端開口を通して充填空間S0に通じる複数の開口部A1が形成されている。
【0017】
符号20は、変形及び復元の可能な、例えば、ゴムやエラストマ等の弾性材料からなる弾性弁である。弾性弁20は、図2に示すように、筒状の基部(以下、「筒状基部」)21を有する。この筒状基部11には、仕切壁の小径筒部11に差し込まれる下端開口部が形成されている。これにより、弾性弁20は、仕切壁の小径筒部11に嵌合保持されている。
【0018】
また、筒状基部21の先端側部分23は、仕切壁の先端部(以下、「弁座」)12の頂面f1に向かって延在する延在部23aと、頂面f1に向かって縮径する縮径部23bと、この縮径部23bから頂面f1の上側から内向きに折り返す折り返し部23cとを有し、折り返し部23cの内側には開口部A2が形成されている。
【0019】
また折り返し部23cには、開口部A2に沿って頂面f1に向かって突出する環状の先端側端縁23dが設けられている。先端側端縁23dは、弁座12の頂面(以下、「座面」)f1に全周に亘って着座して仕切壁の開口部A1を閉じることで、充填空間S0と、ノズルの貫通路Rとの間を仕切っている。これにより、先端側部分23は、充填空間S0からの内容物が開口部A1を通して圧送されない限り、実線に示すように、弁座12に着座して内容物の流出を阻止するが、充填空間S0から内容物が圧送されると、破線に示すように、下流側(図面上向きの側)に弾性変形することで、弁座12から離間して、弾性弁20の開口部A2と仕切壁の開口部A2とを介して充填空間S0を貫通路Rに通じさせる。即ち、先端側部分23は、吐出弁として機能する。
【0020】
なお、本発明に従えば、吐出弁として機能は、折り返し部分23c及び先端側端縁23dだけでも可能であるが、本形態の如く、先端側部分に縮径部23bを設ければ、吐出弁としての開閉動作が良好なものとなる。
【0021】
他方、筒状基部21の外周側から突出した外周側部分24は、装着筒7に向かって拡径し、その外周側端縁14aがフランジ(弁座)7bの裏面(以下、「座面」)f2に全周に亘って着座して筒状基部21と装着筒7との間に形成された環状の隙間(以下、「環状隙間」)S2と貫通路Rとを仕切っている。これにより、外周側部分24は、充填空間S0に負圧が生じない限り、実線で示すように、フランジ7bに着座して外気の流入を阻止するが、充填空間S0に負圧が生じると、破線に示すように、上流側(図面下向きの側)に弾性変形することで、フランジ7bから離間して、貫通路Rを環状隙間S2に通じさせる。
【0022】
そして、仕切壁の大径筒部9には、環状隙間S2を充填空間Rに通じさせる貫通孔A3が形成されている。即ち、外周側部分24は、外気吸入弁として機能する。なお、貫通孔A3については、先端部12と同様、大径筒部9を複数のアームで構成し、当該アームの相互間に形成された開口部をもって貫通孔A3とすることができる。
【0023】
本形態によれば、容器本体1の底壁3を押し込むと、内容物を充填した充填空間S0の圧力が増大することにより、先端側部分(以下、「吐出弁」)23が開放される。即ち、内容物は、底壁3を押し込むと、吐出弁23からノズル5の貫通路Rを通して外界に圧送される。他方、外気吸入弁24は、充填空間S0に負圧が生じていないため、開放されることがない。このため、外気は、底壁3の押し込みによっては貫通路Rを通して充填空間S0に導入されることがない。
【0024】
これに対し、底壁3の押し込みを解除すると、底壁3の復帰により充填空間S0に負圧が生じることにより、外気吸入弁24が開放される。即ち、外気は、底壁3の押し込みが解除されると、貫通路Rから外気吸入弁24を通して充填空間S0に吸入される。他方、吐出弁23は、充填空間S0が加圧されていないため、初期位置(図2の実線)に復元し、開放されることがない。このため、内容物は、底壁3の押し込みの解除によっては貫通路Rを通して外界に圧送されることがない。
【0025】
従って、本形態によれば、容器を倒立させても、内容物を積極的に加圧しない限り、吐出弁23によりノズル5の貫通路Rが遮断されているため、内容物の噴出や垂れを生じることがない。このため、本形態によれば、予期せぬ内容物の噴出や垂れを生じないノズル付き押出容器を提供することができる。
【0026】
また、本形態は、吐出弁23と外気吸入弁24とが一体に構成されているため、部品点数の削減を図りつつ、簡易な構造を実現することができる。
【0027】
更に、本形態は、上述のとおり、充填空間S0の内容物を貫通路Rまで圧送する経路と、貫通路Rから導入した外気を充填空間S0に導入するまでの経路とを分けたため、吐出弁23の先端側端縁23dに空気が巻き込まれることがないから、安定した吐出が可能となる。
【0028】
図3は、本発明に従う、ノズル付き押出容器の他の形態の要部拡大側面図である。本発明に従えば、弾性弁は、同形態の弾性弁20のように、筒状基部21の先端側端縁23dは、仕切壁の先端部側面f3に着座させることも可能である。なお、本形態において、図1及び2と同一の部分は同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0029】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、本発明に従えば、種々の変更を加えることができる。例えば、本形態では、ノズル5には、バージンキャップ40が設けられている。バージンキャップ40は、肩部6に固定される本体31と、この本体41に対して破断によって分離可能なオーバーキャップ42とで構成されているが、キャップはこれに限定されるものではなく、様々なタイプのキャップを採用することができる。また、ノズル5を容器本体に装着する手段も、スプライン嵌合C1とアンダーカット嵌合C2との組み合わせによるものだけでなく、凹凸や凸同士の嵌合等の様々な手段を採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズル付き押出容器であれば、化粧用容器、医療用容器等の、様々な容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 容器本体
2 周壁
3 底壁
4 リング部材
5 ノズル
6 肩部
7 装着筒
8 フランジ
9 大径筒部
10 段差部
11 小径筒部
12 先端(弁座)
13 アーム
20 弾性弁
21 筒状基部
23 先端側部分(吐出弁)
23a 延在部
23b 縮径部
23c 折り返し部
23d 先端側端縁
24 外周側部分(外気吸入弁)
24a 外周側端縁
f1 先端部頂面(吐出弁用座面)
f2 装着筒裏面(吸入弁用座面)
f3 先端部側面(吐出弁用座面)
S0 充填空間
S2 環状隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部分を形成する周壁と当該周壁の下端に繋がる底壁とを有して周壁と底壁によって形成された充填空間に内容物が充填される容器本体と、周壁の開口端に固定保持される装着筒を有し、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズルとを備えたノズル付き押出容器であって、
周壁の開口端の内側に、ノズルの貫通路に向かって突出して充填空間から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部を有して先端部が弁座としてなる仕切壁を設けると共に、当該仕切壁に弾性弁を設け、
当該弾性弁は、仕切壁に差し込まれる下端開口部が形成された筒状の基部を有し、当該筒状の基部の先端側端縁が当該弁座に全周に亘って着座して充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により貫通路側に弾性変形することで弁座から離間して充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる一方、
当該筒状の基部の外周側から突出した外周側端縁がノズルの装着筒に設けた弁座に全周に亘って着座して当該筒状の基部と装着筒との間に形成された環状の隙間と貫通路との間を仕切ると共に、環状の隙間に生じた負圧により充填空間側に弾性変形することでノズルの装着筒に設けた弁座から離間して環状の隙間を貫通路に通じさせる外気吸入弁としてなり、
仕切壁に、環状の隙間を充填空間に通じさせる貫通孔を形成したことを特徴とするノズル付き押出容器。
【請求項2】
請求項1において、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部頂面に着座するものであることを特徴とするノズル付き押出容器。
【請求項3】
請求項1において、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部側面に着座するものであることを特徴とするノズル付き押出容器。
【請求項1】
胴体部分を形成する周壁と当該周壁の下端に繋がる底壁とを有して周壁と底壁によって形成された充填空間に内容物が充填される容器本体と、周壁の開口端に固定保持される装着筒を有し、底壁の押し込みによって圧送された内容物が貫通路を通して外界に排出される一方、押し込みの解除によって外気が貫通路を通して吸入されるノズルとを備えたノズル付き押出容器であって、
周壁の開口端の内側に、ノズルの貫通路に向かって突出して充填空間から圧送された内容物を貫通路側に通じさせる開口部を有して先端部が弁座としてなる仕切壁を設けると共に、当該仕切壁に弾性弁を設け、
当該弾性弁は、仕切壁に差し込まれる下端開口部が形成された筒状の基部を有し、当該筒状の基部の先端側端縁が当該弁座に全周に亘って着座して充填空間と貫通路との間を仕切ると共に、内容物の圧送により貫通路側に弾性変形することで弁座から離間して充填空間を貫通路に通じさせる吐出弁としてなる一方、
当該筒状の基部の外周側から突出した外周側端縁がノズルの装着筒に設けた弁座に全周に亘って着座して当該筒状の基部と装着筒との間に形成された環状の隙間と貫通路との間を仕切ると共に、環状の隙間に生じた負圧により充填空間側に弾性変形することでノズルの装着筒に設けた弁座から離間して環状の隙間を貫通路に通じさせる外気吸入弁としてなり、
仕切壁に、環状の隙間を充填空間に通じさせる貫通孔を形成したことを特徴とするノズル付き押出容器。
【請求項2】
請求項1において、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部頂面に着座するものであることを特徴とするノズル付き押出容器。
【請求項3】
請求項1において、筒状の基部の先端側端縁は、仕切壁の先端部側面に着座するものであることを特徴とするノズル付き押出容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−51606(P2012−51606A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194628(P2010−194628)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]