説明

ノズル取付構造

【課題】噴射される液体の汚損を防止する。パイプの内部の清掃を容易にする。
【解決手段】パイプ1に穿孔された取付孔11に液体を噴射するノズル6が取付けられる。パイプ1は、取付孔11の周囲に平坦な座面12が設けられている。ノズル6は、パイプ1の座面12にパイプ1の内部から当接されるフランジ61bと、フランジ61bに連続されてパイプ1の取付孔11から外部に突出されるネジ部61cと、ネジ部61cの先端部に設けられて工具等が係合される係合部61dと、ネジ部61cにパイプ1の外部から螺合されるナット62とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプに液体を噴射するノズルを取付けるノズル取付構造に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
最近、食器洗浄機では、パイプの軸方向に一定間隔で多数個の比較的小型の洗浄ノズルを取付けて食器類に多角的方向から大量の洗浄液を同時的に噴射する洗浄方法が採られるようになってきている。このため、パイプに対して洗浄ノズルを簡単,確実に取付けることのできる技術の開発が必要とされている。
【0003】
従来、パイプに対して洗浄ノズルを簡単,確実に取付けることを指向した技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【特許文献1】実公平6−34779号公報
【0004】
特許文献1には、パイプに穿孔された取付孔に洗浄ノズルを螺合取付けするノズル取付構造が記載されている。
【0005】
特許文献1に係るノズル取付構造は、パイプに穿孔された取付孔に洗浄ノズルを挿入して回転させ、パイプに穿孔された取付孔に洗浄ノズルの外周面に刻設されたネジ部を食込ませることで、パイプに対して洗浄ノズルを簡単,確実に取付けることができるようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係るノズル取付構造では、洗浄ノズルのネジ部をパイプの内部にある程度侵入させなければならないため、パイプの内部に異物が付着しやすい凹凸構造が形成されて噴射される洗浄液が汚損されやすくなるという問題点がある。また、このパイプの内部を清掃する際に凹凸構造が清掃液の噴射やブラッシングの障害物となってしまい、パイプの内部の清掃を困難にするという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、噴射される液体の汚損が防止されるとともにパイプの内部の清掃が容易なノズル取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明に係るノズル取付構造は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0009】
即ち、本発明では、パイプに穿孔された取付孔に液体を噴射するノズルが取付けられるノズル取付構造において、パイプは取付孔の周囲に平坦な座面が設けられ、ノズルはパイプの座面にパイプの内部から当接されるフランジとフランジに連続されてパイプの取付孔から外部に突出されるネジ部とネジ部の先端部に設けられて工具等が係合される係合部とネジ部にパイプの外部から螺合されるナットとからなることを特徴とする。
【0010】
この手段では、パイプに設けられた座面にノズルのフランジを当接させ、ノズルのネジ部にナットを螺合させることで、パイプの内部にノズルのフランジのみを抜止めとして位置させる。
【0011】
また、本発明では、パイプの座面とノズルのフランジとの間にシール材が介装されることを特徴とする。
【0012】
この手段では、パイプの座面とノズルのフランジとの間にシール材が介装されることで、パイプ,ノズルの間のシール性が高くなる。
【0013】
即ち、本発明では、ノズルの係合部は外周面に工具等が相対して係合される平行な2つの面が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この手段では、ノズルの係合部に工具等が相対して係合される平行な2つの面が形成されることで、工具等をノズルの係合部を挟込むようにして確実に係合させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るノズル取付構造は、パイプに設けられた座面にノズルのフランジを当接させ、ノズルのネジ部にナットを螺合させることで、パイプの内部にノズルのフランジのみを抜止めとして位置させ、パイプの内部に異物が付着しやすい凹凸構造が形成されるのを避けることができるため、噴射される液体の汚損が防止されるとともにパイプの内部の清掃が容易になる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るノズル取付構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
この形態では、食器洗浄機の洗浄ノズルの取付けに好適なものを示してある。
【0018】
この形態は図1,図2に示すように、パイプ1,ノズル6,シール材7の各部で構成されている。
【0019】
パイプ1は、内部を食器類を洗浄する洗浄液が流通されるステンレス材等の直状管からなる。パイプ1には、軸方向に一定間隔で取付孔11が貫通して設けられ、取付孔11の周囲に平坦な座面12が設けられている。
【0020】
ノズル6は、チップ61とナット62とからなる。チップ61は、内部に先絞形となった洗浄液の通路61aが設けられ、一端部にパイプ1の座面12にパイプ1の内部から当接されるフランジ61bが設けられ、フランジ61bに連続されてパイプ1の取付孔11から外部に突出されるネジ部61cが設けられ、他端部となるネジ部61cの先端部に工具等が係合される係合部61dが設けられている。通路61aは、フランジ61bから係合部61dまで貫通されている。フランジ61bは、パイプ1の座面12とほぼ一致する大きさで薄性に形成されている。ネジ部61cは、軸長がナット62の軸長とパイプ1の座面12の厚さとの合計と一致されて無用に露出しないようになっている。係合部61dは、外周面に工具等が相対して係合される平行な2つの面が形成されている。
【0021】
シール材7は、薄性の防水性シール材でノズル6のチップ61のネジ部61cが挿通されるリング形に形成されている。
【0022】
この形態の取付工作としては、図1(A)に示すように、ノズル6のチップ61のネジ部61cをシール材7に挿通してパイプ1の内部からパイプ1の取付孔11に挿通することになる。この結果、図1(B)に示すように、ノズル6のチップ61のネジ部61cがパイプ1の取付孔11から突出され、ノズル6のチップ61のフランジ61bがシール材7を介してパイプ1の座面12に当接される。
【0023】
この後、図1(C)に示すように、ノズル6のチップ61のネジ部61cに係合部61d側からナット62を螺合させて締付けることになる。この結果、ノズル6のチップ61のフランジ61bとナット62との締付けによって、パイプ1にノズル6が確実に取付けられる。
【0024】
ノズル6のチップ61のネジ部61cにナット62を締付ける際には、図1(D)に示すように、係合部61dに工具等を係合させるとチップ61,ナット62の共回りを防止して確実な締付けを達成することができる。なお、ノズル6のチップ61の係合部61dの外周面に工具等が相対して係合される平行な2つの面が形成されているため、工具等を係合部61dを挟込むようにして確実に係合させることができる。
【0025】
この形態によると、パイプ1における座面という少しの加工と、ノズル6のチップ61,ナット62への分割という構造で実現され、構造が複雑になったり製造加工が面倒になったりすることがないため、安価,容易に製造することができる。また、螺合締付けを基本とする取付工作であるため、取付工作が面倒になることもない。
【0026】
パイプ1にノズル6が取り付けられた状態では、パイプ1の内部にノズル6のチップ61のフランジ61bのみが抜止めとして位置され、パイプ1の内部に異物が付着しやすい凹凸構造が形成されるのが避けられる。従って、噴射される液体の汚損が防止されるとともにパイプ1の内部の清掃が容易になる。
【0027】
さらに、この形態では、パイプ1の配設の端末部分に以下の構成が備えられている。
【0028】
即ち、図3〜図5に示すように、パイプ1の端部に取付板2,支持部材3,逆止弁4,逆止弁操作機構5の各部が設けられている。
【0029】
取付板2は、扇形部分,方形部分からなるばち形の取付板本体21の中央部に貫通孔22が穿孔されている。取付板本体21は、パイプ1の径よりも少し大きく形成されてパイプ1の端面に当接されて固定され、パイプ1の開放された端口の一部のみを閉塞する格好になっている。貫通孔22は、中心がパイプ1の軸中心に位置されている。
【0030】
支持部材3は、断面コ字形の支持枠31のパイプ1の端口に対面する面に円形の窓32が開口され、窓32の径方向へ突出された舌片形の支持片33に貫通孔34が穿孔されている。支持枠31は、長さ方向に多数個の窓32,支持片33,貫通孔34が適当な間隔で並列されている。窓32は、径がパイプ1の径よりも少し大きく取付板2の取付板本体21よりも少し小さく形成されている。支持片33は、窓32の中心を少し超えるように突出されている。貫通孔34は、取付板2の貫通孔22と同一の径とされ中心が窓32の中心に位置されている。
【0031】
逆止弁4は、パイプ1の端部付近の内部に径方向へ突出して設けられた環状の弁座41と、パイプ1の内部の弁座41よりも奥側に自由状態で収容されたボール形の弁体42とからなる。弁座41は、パイプ1を環状に断面U字形に絞り加工することで形成されている。弁体42は、弁座41に水密に当接されるゴム材等の弾性材料からなる。なお、図8に示すように、パイプ1の内部にノズル6がほとんど突出していないため、弁体42のパイプ1の内部への収容は支障なく行える。
【0032】
逆止弁操作機構5は、ヘッド51が取付けられたロッド52がナット53,ワッシャ54が螺合されるスリーブボルト55に挿通され、ロッド52の位置が2つの規制溝56,57によって選択的に決定されるようになっている。ヘッド51は、当接する逆止弁4の弁体42を損傷することのない丸頭形に形成されてロッド52の先端部に螺合取付けされるナット体かに形成されている。ロッド52は、ヘッド51が螺合されるネジ部52aと、ネジ部52aが設けられた先端部から直線状に延びてスリーブボルト55の内部をスライドするスライド部52bと、スライド部52bの後端部でほぼ90度に屈曲されて延びた操作部52cとからなる。ナット53は、スリーブボルト55の後述するネジ部55cに螺合される。ワッシャ54は、スリーブボルト53の後述するネジ部55cに嵌合されてナット53の締付けを受ける。スリーブボルト55は、軸中心に貫通されロッド52のスライド部52bが挿通されるスリーブ55aと、取付板2の貫通孔22と支持部材3の貫通孔34とよりも大きく形成された頭部55bと、外径が取付板2の貫通孔22と支持部材3の貫通孔34との径よりも小さく形成されたネジ部55cとからなる。規制溝56,57は、支持部材3の支持枠31の窓32が開口された面に直交する面にロッド52の操作部52cが係合する半長孔形,長孔形に形成され、パイプ1の軸方向となる方向へ並列されている。
【0033】
このパイプ1の配設の端末部分の構成では、逆止弁操作機構5のスリーブボルト55のネジ部55cを取付板2の貫通孔22と支持部材3の貫通孔34とに挿通して、スリーブボルト55のネジ部55cにナット53,ワッシャ54を嵌合,螺合させて締付けることで、パイプ1を取付板2を介して支持部材3に連結取付けすることができる。この結果、取付板2,支持部材3の連結のための専用別個の連結部材が不要になるため、部材点数が削減されて構造が簡素化され製造コストが低減される。
【0034】
そして、支持部材3に支持されて配設されたパイプ1の開放された端口は、取付板2によって一部が閉塞されるものの、支持部材3の窓32に連通されてさらに外部へと連通されることになる。
【0035】
なお、取付板2,支持部材3を連結したスリーブボルト55に挿通された逆止弁操作機構5のロッド52については、操作部52cがパイプ1から離れた側の半長孔形の規制溝56に係合している場合(図4(A)参照)にヘッド51が逆止弁4の弁体42に当接しないように後退され、操作部52cがパイプ1に近接した側の長孔形の規制溝57に係合している場合(図4(B)参照)にヘッド51が逆止弁4の弁体42を押して弁座41から離間させるように進出される。ロッド52の操作部52cと規制溝56,57との係合,離脱については、ロッド52の回転,スライドによって簡単に行うことができる(図5参照)。
【0036】
この構成によると、食器洗浄機を運転する際には、図4(A)に示すように、逆止弁操作機構5のロッド52を後退させておくことになる。
【0037】
食器洗浄機の運転によってノズル6に洗浄液が供給されると、パイプ1に流通される洗浄液の水圧で逆止弁4の弁体42が弁座41に押付けられる。この結果、逆止弁4が閉鎖されてパイプ1の端口からの洗浄液の漏出が阻止される。
【0038】
パイプ1の内部を清掃するには、図4(B)に示すように、逆止弁操作機構5のロッド52を進出させることになる。
【0039】
逆止弁操作機構5のロッド52の進出は、逆止弁4の弁体42の弁座41からの離間をもたらす。この結果、逆止弁4が開放されて弁体42の弁座41の間に隙間Sが形成されれる。従って、図6に示すように、食器洗浄のための洗浄液の流通経路を利用して清掃液Wを噴射等することによって、パイプ1の内部を清掃し汚損した清掃液Wをパイプ1の端口から支持部材3の窓32を介してさらに外部に排出することができる。
【0040】
パイプ1の内部を清掃の後には、図4(A)に示すように、逆止弁操作機構5のロッド52を復帰(後退)させることになる。
【0041】
即ち、パイプ1の内部を清掃する際に、パイプ1の支持等についての分解,組付作業や付随作業を不要にすることができる。従って、パイプ1の内部の清掃作業を確実に容易化することができる。
【0042】
また、パイプ1の内部を清掃する際には、図7に示すように、外部から支持部材3の窓32を介してパイプ1の端口へ清掃液Wを噴射等することもできる。
【0043】
清掃液Wを逆方向から噴射等した場合、清掃液Wの水圧で逆止弁4の弁体42をパイプ1の内部で回転,転動させてパイプ1の内壁を払拭することができる。この結果、パイプ1の内部の清掃効果を高めることができる。なお、図8に示すように、パイプ1の内部にノズル6がほとんど突出していないため、弁体42のパイプ1の内部での回転,転動は円滑になされる。
【0044】
また、清掃液Wをいずれの方向から噴射等するにしても、外部から支持部材3の窓32を介してパイプ1の端口へブラシを挿入して、逆止弁4の周囲をブラッシングすることができる。この結果、汚物等の付着しやすい逆止弁4の周囲を綺麗に清掃することができる。
【0045】
以上、図示した形態の外に、パイプ1とノズル6のナットとの間にもシール材7を介装することも可能である。
【0046】
さらに、逆止弁4を板形の弁体42が開閉される構造のもの等とすることも可能である。また、逆止弁4の構造の変更にともなって、逆止弁操作機構5の構造等を変更することも可能である。
【0047】
さらに、清掃液Wを交互に逆方向から噴射等する清掃を行うことも可能である。
可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るノズル取付構造は、食器洗浄以外に食品製造,塗装等の液体を噴射する広範な分野で実施することが可能である。
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るノズル取付構造を実施するための最良の形態の断面図であり、(A)〜(D)に取付工作の工程順が示されている。
【図2】図1の一部切断,分解の斜視図である。
【図3】本発明に係るノズル取付構造を実施するための最良の形態に追加される構成の分解斜視図である。
【図4】図3の組付け状態の断面図であり、(A),(B)に異なる動作状態が示されている。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4(B)の状態における清掃例を示す図であり、一部が図2のX−X線に沿って切断されている。
【図7】図6とは異なる清掃例を示す図である。
【図8】図7の側面断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 パイプ
2 取付板
3 支持部材
32 窓
4 逆止弁
41 弁座
42 弁体
5 逆止弁操作機構
6 ノズル
61 チップ
61b フランジ
61c ネジ部
61d 係合部
62 ナット
7 シール材
W 清掃液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプに穿孔された取付孔に液体を噴射するノズルが取付けられるノズル取付構造において、パイプは取付孔の周囲に平坦な座面が設けられ、ノズルはパイプの座面にパイプの内部から当接されるフランジとフランジに連続されてパイプの取付孔から外部に突出されるネジ部とネジ部の先端部に設けられて工具等が係合される係合部とネジ部にパイプの外部から螺合されるナットとからなることを特徴とするノズル取付構造。
【請求項2】
請求項1のノズル取付構造において、パイプの座面とノズルのフランジとの間にシール材が介装されることを特徴とするノズル取付構造。
【請求項3】
請求項1または2のノズル取付構造において、ノズルの係合部は外周面に工具等が相対して係合される平行な2つの面が形成されていることを特徴とするノズル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−11879(P2010−11879A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171773(P2008−171773)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000231888)日本調理機株式会社 (14)
【Fターム(参考)】