説明

ノズル詰まり検知方法および自動分析装置

【課題】洗浄装置の吐出ノズルや吸引ノズルのノズル詰まりによる洗浄水溢れを未然に防止するノズル詰まり検知方法および自動分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄装置のノズル詰まり検知方法は、反応容器5内の洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズル16bと、反応容器5内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引する吸引ノズル16aを備えた洗浄装置を用いて、分析終了後の反応容器5を洗浄して洗浄容器5を再利用する自動分析装置1における洗浄装置のノズル詰まり検知方法であって、吸引ノズル16aにより反応容器5内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引後、反応容器5内の液面高を検知する吸引時液面検知ステップと、反応容器5内に液体が残存しているか否かにより吸引ノズル16aの詰まりを判定する判定ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器内の反応液を吸引し、洗剤または洗浄水の吐出・吸引により前記反応容器の洗浄を行なう洗浄装置のノズル詰まり検知方法および自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、検体又は試薬等の複数の異なる液体試料を反応容器内で攪拌して反応させ、反応液の光学的特性をもとに反応液を分析している。このとき、自動分析装置は、分析終了後の反応容器を洗浄装置によって洗浄し、引き続き新たな検体の分析に使用している。前記洗浄装置は、反応容器内に洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引する吸引ノズルを備えているが、洗剤が正常に供給されているか否かを確認する技術はあるものの(例えば、特許文献1)、反応液中の凝固成分や反応容器の破片等による洗浄装置のノズル詰まりを直接検知することは従来行なわれていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平10−73601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の自動分析装置は、洗浄後の反応容器を新たな検体の分析に使用する場合、吸引ノズルや吐出ノズルの詰まりによって洗浄不良の発生や、洗浄終了後の反応容器に洗浄水が残存してしまうことがあり、洗浄水が残存した反応容器に検体や試薬を分注すると、反応容器外に液体が流出するおそれがある。反応容器外に液体が流出すると、ドライバス型の恒温槽では、反応容器の曇りによる測光への影響や、ウォーターバス型の恒温槽でも、槽内に溢れ出た血液成分による測光への影響やバイオハザードの懸念があるため、溢れ出た液体処理のための煩雑な清掃作業が必要となるばかりでなく、装置の一時的な停止による分析効率の低下という問題を有することになる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄ノズル詰まりによる洗浄水溢れや反応容器の洗浄不良を未然に防止するノズル詰まり検知方法および自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のノズル詰まり検知方法は、反応容器内に洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引する吸引ノズルとを備えた洗浄装置を用いて、分析終了後の前記反応容器を洗浄して該反応容器を再利用する自動分析装置における洗浄装置のノズル詰まり検知方法であって、前記吸引ノズルにより前記反応容器内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引後、前記反応容器内の液面高を検知する吸引時液面検知ステップと、前記反応容器内に液体が残存しているか否かにより前記吸引ノズルの詰まりを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記吐出ノズルにより洗剤または洗浄水を反応容器内に一定量吐出後、前記反応容器内の液面高を検知する吐出時液面検知ステップを含み、前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップで検知した前記反応容器内の液面高が所定高か否かにより前記吐出ノズル詰まりを判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記吐出ノズルにより洗剤または洗浄水を反応容器内に一定量吐出しながらオーバーフロー吸引ノズルで吸引後、前記反応容器内の液体の液面高を検知する吐出時液面検知ステップを含み、前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップで検知した前記反応容器内の液体の液面高をもとに前記吐出ノズルおよび前記オーバーフローノズルのノズル詰まりを判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップで検知した前記反応容器内の液体の液面高にもとに、前記反応容器内の液面高がオーバーフロー吸引ノズルのノズル先端部より低い場合に吐出ノズル詰まりと判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップで検知した前記反応容器内の液体の液面高にもとに、前記反応容器内の液面高がオーバーフロー吸引ノズルのノズル先端部より高い場合にオーバーフロー吸引ノズル詰まりと判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記吐出時液面検知ステップは、前記吸引時液面検知ステップ前に行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記吸引時液面検知ステップおよび/または吐出時液面検知ステップは、検体分注装置または試薬分注装置の液面検知手段を用いて行なうことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のノズル詰まり検知方法は、上記の発明において、前記液面検知手段は、導電性素材から成形される分注プローブと反応容器内の液体との間の静電容量の変化をもとに液面を検知することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、反応容器内に洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤もしくは洗浄水を吸引する吸引ノズルを備えた洗浄装置、または反応容器内の洗剤もしくは洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤もしくは洗浄水を吸引する吸引ノズルおよびオーバーフロー吸引ノズルを備えた洗浄装置を用いて、分析終了後の前記反応容器を洗浄して該反応容器を再利用する自動分析装置であって、前記ノズル詰まり検知方法を用いて洗浄ノズルの詰まりを検知することを特徴とする自動分析装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗浄装置のノズル詰まり検知方法は、洗浄ノズル詰まりによる洗浄水溢れや反応容器の洗浄不良を未然に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、本発明のノズル詰まり検知方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、自動分析装置の第1試薬分注装置の概略構成を示す斜視図である。図3は、反応容器内の液面を検知する液面検知機構の構成を模式的に示す構成図である。図4は、自動分析装置の洗浄装置の概略構成図である。
【0017】
自動分析装置1は、図1に示すように、第1試薬テーブル2と、第2試薬テーブル3と、反応テーブル4と、第1試薬分注装置6と、第2試薬分注装置11と、検体容器移送部12と、検体分注装置13と、攪拌部14と、測光部15と、洗浄装置16と、制御部17と、入力部18および表示部19とを備えている。
【0018】
第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3は、それぞれ構造が同一であるので、ここでは第1試薬テーブル2について代表して説明する。
【0019】
第1試薬テーブル2は、図1に示すように、駆動手段に回動されて保持した複数の試薬容器2aを周方向に搬送する。このとき、第1試薬テーブル2は、外周に読取部2bが配置されている。読取部2bは、複数の試薬容器2aに添付されたバーコードラベル等の情報記録媒体の情報を読み取る。
【0020】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、試薬テーブル2、3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器5を搬送する。反応テーブル4の外周近傍には、測光部15、洗浄装置16及び攪拌部14が配置されている。
【0021】
反応容器5は、四角筒形状のキュベットであり、測光部15が出射する分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、図1に示すように、反応テーブル4の近傍に設けた第1試薬分注装置6や第2試薬分注装置11によって第1試薬テーブル2や第2試薬テーブル3の試薬容器2a、3aから試薬が分注される。ここで、反応容器5は、底部近傍の反応テーブル4に金属板4a(図3参照)が配置されている。金属板4aは、反応テーブル4を介して自動分析装置1の筺体に接地されている。
【0022】
ここで、第1試薬分注装置6及び第2試薬分注装置11は、それぞれ同じ構造であるので、代表して第1試薬分注装置6について説明する。
【0023】
第1試薬分注装置6は、プローブ駆動機構7と静電容量式の液面検知機構10とを備えており、図1及び図2に示すように、試薬容器2aと反応容器5との間を水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム6aと、駆動アーム6aに支持された分注プローブ6bと、駆動アーム6aを支持する支柱6cと、分注プローブ6bを洗浄する洗浄槽6dを有している。分注プローブ6bは、第1試薬を分注すると共に、液面検知機構10の構成要素となるプローブであり、例えば、アルミニウム等の導電性材料から成形されている。分注プローブ6bは、吸引した第1試薬を反応容器5に吐出した後、配管6eから供給される洗浄水を洗浄槽6dへ吐出することによって内部が洗浄される。洗浄槽6dは、洗浄水を槽内に噴出する配管と、槽内に噴出して分注プローブ6bの外面を洗浄した洗浄水を排出する配管とが接続され、分注プローブ6bの移動軌跡上に配置されている。
【0024】
プローブ駆動機構7は、分注プローブ6bを昇降させると共に回動させ、図2に示すように、回動モータ8と昇降モータ9を有している。回動モータ8は、回転軸8aに取り付けたホイール8bと支柱6cに取り付けたホイール6fとの間にタイミンベルト8cが巻き掛けられている。昇降モータ9は、タイミンベルト9aによってねじ軸9bを回転し、昇降ブロック9dをねじ軸9bに沿って上下動させる。タイミンベルト9aは、回転軸に取り付けたホイールとねじ軸9bの下端に取り付けたホイール9cとの間に巻き掛けられている。ここで、昇降ブロック9dは、支柱6cの下端に取り付けて支柱6cを支持しており、ねじ軸9bと共にボールねじを構成している。
【0025】
一方、液面検知機構10は、反応容器5内の液体を検知する手段であり、図3に示すように、発振回路101、微分回路102及び電圧検出回路103を備えている。
【0026】
発振回路101は、交流信号を発振し、微分回路102に入力する。微分回路102は、図3に示すように、抵抗102a,102b、コンデンサ102c,102d及びオペアンプ102eを有し、発振回路101が発振する交流信号の周波数によって入力感度が高くなるように調整されている。微分回路102の+側入力端は、リード線10aを介して分注プローブ6bに接続されている。電圧検出回路103は、微分回路102の出力端に接続されて微分回路102の出力電圧Voutを検出し、この値に応じて分注プローブ6bの下端が反応容器5内に存在する液体の液面に接したか否か、従って液面を検知する。電圧検出回路103が検出したこの出力電圧信号は、制御部17へ出力され、反応容器5に液体が残存しているか否かが判定される。
【0027】
この場合、分注プローブ6bが液体の液面に非接触状態の静電容量値により発振回路101の周波数で入力感度が高くなるように調節された微分回路102は、接触状態の静電容量値では感度が低下する。従って、電圧検出回路103は、出力電圧Voutの変化により液面を検知する。なお、微分回路102の+側入力端、発振回路101及び金属板4aは、アースラインを通じて接続されている。
【0028】
検体容器移送部12は、図1に示すように、複数のラック12aを矢印方向に沿って移送する移送手段であり、ラック12aを歩進させながら移送する。ラック12aは、検体を収容した複数の検体容器12bを保持している。ここで、検体容器移送部12は、中央に緊急検体を収容する保冷庫12cが設けられている。そして、検体容器12bは、検体容器移送部12によって移送されるラック12aの歩進が停止するごとに、検体分注装置13によって検体が各反応容器5へ分注される。
【0029】
検体分注装置13は、第1試薬分注装置6及び第2試薬分注装置11と同様に構成され、検体を検体容器12bから吸引し、吸引した検体を反応容器5に吐出して分注を行う。検体分注装置13は、図1に示すように、水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム13aと、駆動アーム13aに支持された分注プローブ13bと、分注プローブ13bの内外面を洗浄する洗浄槽13dを有している。
【0030】
攪拌部14は、図1に示すように、反応テーブル4外周の第2試薬分注装置11近傍に配置され、反応容器5に分注された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌する。攪拌部14は、例えば、表面弾性波素子によって液体試料を非接触で攪拌する攪拌装置や、攪拌棒によって液体試料を攪拌する攪拌装置が使用される。
【0031】
測光部15は、図1に示すように、反応テーブル4外周の攪拌部14と洗浄装置16との間に配置され、試薬と検体とが反応した反応容器5内の反応液を分析するための分析光を出射する。測光部15は、反応容器5内の反応液を透過した分析光の光量に関する光信号を制御部17へ出力する。
【0032】
洗浄装置16は、分析終了後の反応容器5を洗浄する部分であり、図1に示すように、反応テーブル4外周の検体分注装置13近傍に配置されている。洗浄装置16は、図4に示すように、配管によって接続された洗剤ノズル対16A、16B、洗浄水ノズル対16C〜16Fと、洗浄水吸引ノズル16Gと、乾燥ノズル16Hと、廃液タンク16Jと、洗剤タンク16Lと、洗浄水タンク16Mと、送液ポンプ16Nおよび16Oと、真空ポンプ16Pと、保持部材16Iと、保持部材駆動部16Tと、ターミナル16Rおよび16Sとを有し、反応テーブル4の回動によって矢印方向に沿って搬送されてくる反応容器5を上下動しながら順次洗浄する。洗剤ノズル対16A、16B、洗浄水ノズル対16C〜16F、洗浄水吸引ノズル16G、乾燥ノズル16Hは、保持部材16Iに保持され、保持部材16Iを駆動する保持部材駆動部16Tによって一体に上下動される。
【0033】
ここで、洗剤ノズル対16A、16Bおよび洗浄水ノズル対16C〜16Fは、反応容器5内の底部まで挿入される吸引ノズル16a、及び反応容器5内の中間まで挿入される吐出ノズル16bをそれぞれ有している。洗剤ノズル対の吐出ノズル16bは、配管16dを介してターミナル16Rと接続され、ターミナル16Rはさらに配管16dを介して送液ポンプ16N、および洗剤タンク16Lと接続される。また、洗浄水ノズル対の吐出ノズル16bは、配管16eを介してターミナル16Sと接続され、ターミナル16Sはさらに配管16eを介して送液ポンプ16O、および洗浄水タンク16Mと接続される。
【0034】
一方、洗剤ノズル対および洗浄水ノズル対の吸引ノズル16a、ならびに洗浄水吸引ノズル16G、乾燥ノズル16Hは、配管16fを介して廃液タンク16Jおよび真空ポンプ16Pと接続される。
【0035】
洗剤ノズル対16Aは、真空ポンプ16Pが吸引圧(負圧)を発生することにより、反応容器5内の反応液を吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄する。そして送液ポンプ16Nによって洗剤タンク16L内の洗剤を吐出ノズル16bから吐出することによって反応容器5内を洗浄する。洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図4に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0036】
洗剤ノズル対16Bは、洗剤ノズル対16Aが反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ16Nによって洗剤タンク16L内の洗剤を吐出ノズル16bから吐出することによって反応容器5内を洗浄する。洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図4に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0037】
洗浄水ノズル対16Cは、洗剤ノズル対16Bが反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ16Oによって洗浄水タンク16M内の洗浄水を吐出ノズル16bから吐出することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。すすぎ洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図4に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0038】
洗浄水ノズル対16Dは、洗浄水ノズル対16Cが反応容器5内に吐出した洗浄水を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、送液ポンプ16Oによって洗浄水タンク16M内の洗浄水を吐出ノズル16bから吐出することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。以下、洗浄水ノズル対16E,16Fは、同様の操作を繰り返す。ここで、ターミナル16Rおよび16Sは、送液ポンプ16Nおよび16Oにより洗剤タンク16Lおよび洗浄水タンク16Mから吸引された洗剤および洗浄水を、分岐して複数の吐出ノズルにそれぞれ供給する機能を有する。
【0039】
洗浄水吸引ノズル16Gは、洗浄水ノズル対16Fが反応容器5内に吐出し、反応容器5内をすすいだ洗浄水を吸引し、廃液タンク16Jへ廃棄する。乾燥ノズル16Hは、下端に合成樹脂性のチップ16hが取り付けられ、洗浄水吸引ノズル16Gが吸引し残した洗浄水を吸引し、廃液タンク16Jへ廃棄する。
【0040】
制御部17は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1に示すように自動分析装置1の各部と接続されて各構成部の作動を制御すると共に、測光部15が出力した光信号に基づく反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析する。また、制御部17は、キーボード等の入力部18から入力される分析指令に基づいて各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告の他、入力部18から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部19に表示する。ここで、表示部19は、前記警告の表示と連動して、警告音を発するスピーカを備えている。
【0041】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部17の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に検体分注装置13によってラック12aに保持された複数の検体容器12bから検体が順次分注される。検体が順次分注された反応容器5には、試薬分注装置6、10により試薬容器2a、3aから順次試薬が分注される。
【0042】
このようにして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌部14によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに測光部15を通過する。このとき、反応容器5内の試薬と検体とが反応した反応液は、測光部15において測光され、測光部15から入力される光信号をもとに制御部17によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測光が終了した反応容器5は、洗浄装置16に移送されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0043】
上記のように、自動分析装置1は、洗浄装置16を備え、分析終了後の反応容器5を洗剤や洗浄水によって洗浄して新たな分析に使用しているが、反応液中の凝固成分や反応容器の破片等によるノズル詰まりが発生する場合がある。このため、本形態では、検体分注装置13または試薬分注装置6もしくは11が備える液面検知機構10により、反応容器5の液面を検知することによって反応容器5からの液体の溢れ出しや、反応容器5の洗浄不良を防止している。以下に、本形態のノズル詰まり検知方法を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0044】
本発明の洗浄装置のノズル詰まり検知方法は、任意の時間に行なうことが可能であるが、分析効率の観点からスタートアップ時に行なうのが望ましい。先ず、自動分析装置1の電源スイッチをオンする。保持部材駆動部16Tにより保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを反応容器5中に進入させ、送液ポンプ16Nおよび16Oにより、吐出ノズル16bから反応容器5内に洗剤タンク16Lまたは洗浄水タンク16M内の洗剤または洗浄水を一定量吐出する(ステップS101)。
【0045】
次に、洗剤または洗浄水が注入された反応容器5を検体分注装置13(または試薬分注装置6もしくは11)の分注位置に搬送し(ステップS102)、分注装置の液面検知機構10により反応容器5中の液面高を確認する(ステップS103)。分注プローブ6bを反応容器5内に下降させて、分注プローブ6bが液体に接触すると、液面検知機構10はかかる液面接触による静電容量の変化により液面を検知することになる。液面検知機構10により検知した液面高h1と、設定された吐出量が吐出された場合の反応容器5内での液面高h0とを比較し(ステップS104)、h1がh0より小さい場合は(ステップS104、No)、吐出ノズル16bに詰まり有りと判断され、制御部17は、表示部19に吐出ノズル16bに詰まりがある旨の警告の表示を指示するとともに(ステップS105)、警告音を発してオペレータに告知する。次いで洗浄ノズルの詰まり除去のための洗浄が指示される(ステップS106)。
【0046】
一方、h1がh0に等しい場合は(ステップS104、Yes)、吐出ノズル16bは詰まり無しと判断される。その後、液面高のチェック回数Nを判定し、Nが6未満の場合は(ステップS107、No)、次の吐出ノズル16bのノズル詰まりを確認すべく反応テーブルの回動により反応容器5が搬送され(ステップS102)、隣の反応容器5の液面高が確認される(ステップS103)。本形態の洗浄装置16は、吐出ノズル16bを6本(洗剤ノズル対16A、16Bおよび洗浄水ノズル対16C〜16Fが各1)備えるため、すべての吐出ノズル16bについてノズル詰まりの有無を検知すべくNは6に設定されているが、洗浄装置の吐出ノズルの本数に併せてNは変更される。すべての吐出ノズル16bのノズル詰まりの有無が確認されると(ステップS107、Yes)、洗剤または洗浄水を収容する反応容器5は再び洗浄装置16の位置まで搬送される(ステップS108)。
【0047】
反応容器5が洗浄装置16の位置まで搬送された後、保持部材駆動部16Tにより保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを反応容器5中に進入させ、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aから反応容器5内の液体を吸引する(ステップS109)。その後、再び反応容器5を検体分注装置13(または試薬分注装置6もしくは11)の分注位置に搬送し(ステップS110)、分注装置の液面検知機構10により反応容器5中の液面高を確認する(ステップS111)。液面高h1が0でない場合(ステップS112、No)、吸引ノズル16aに詰まりがあるため液体が残存していると判断され、制御部17は、表示部19に吸引ノズル16aに詰まりがある旨の警告の表示を指示するとともに(ステップS113)、警告音を発してオペレータに告知する。次いで洗浄ノズルの詰まり除去のための洗浄が指示される(ステップS106)。
【0048】
一方、反応容器5に液体が残存していない場合(ステップS112、Yes)、吸引ノズル16aは詰まり無しと判断される。その後、液面高のチェック回数Nを判定し、Nが6未満の場合は(ステップS114、No)、次の吸引ノズル16aのノズル詰まりを確認すべく反応テーブルが回動により反応容器が搬送され(ステップS110)、隣の反応容器5の液面高が確認される(ステップS111)。洗剤ノズル対16A、16B、洗浄水ノズル対16C〜16Fのすべての吸引ノズル16aのノズル詰まりが確認されると(ステップS114、Yes)、反応容器5は再び洗浄装置16の位置まで搬送され(ステップS115)、その後の分析のために反応容器5の洗浄が行なわれる(ステップS116)。
【0049】
このように、本発明の洗浄ノズルのノズル詰まり検知方法は、検体分注装置13や試薬分注装置6、11が備える液面検知機構10により洗浄装置16の吐出ノズル16bや吸引ノズル16aの詰まりを確認することにより、洗浄ノズル詰まりによる洗浄水溢れや反応容器5の洗浄不良を未然に防止することができる。
【0050】
最後に、図6−1および6−2に示す本形態のノズル詰まり検知方法の検知動作を示す動作図を用いて簡単に説明する。図6−1は吐出ノズル詰まりを検知するための吐出時液面検知ステップである。空の反応容器5に洗剤ノズル対16Aが挿入され((6−1))、洗剤が吐出ノズル16bから吐出される。吐出ノズル16bに詰まりがない場合は所定量の洗剤が分注されるが((6−2)、h1=h0)、吐出ノズル16bに詰まりが有る場合、洗剤は所定量分注されない((6−5)、h1<h0)。吐出ノズル16bの詰まり検知のために、反応容器5は液面検知手段を備える検体分注装置(または試薬分注装置)まで搬送され((6−3)および(6−6))、分注プロープ6bの液面接触により液面高を検知する((6−4)および(6−7))。
【0051】
図6−2は吸引ノズル詰まりを検知するための吸引時液面検知ステップである。吐出時液面検知ステップにて吐出ノズル16bの詰まりがないことを確認後、前記ノズルにより吐出された洗剤を吸引するために反応容器5に洗剤ノズル対16Aが挿入され((6−10))、吸引ノズル16aにて洗剤を吸引する。吸引ノズル16aに詰まりがない場合は、反応容器5内の洗剤はすべて吸引されるが((6−11)、h1=0)、詰まりが有る場合は、反応容器5内に洗剤が残存する((6−14)、h1≠0)。吸引ノズル16aの詰まり検知のために、反応容器5は液面検知手段を備える検体分注装置(または試薬分注装置)まで搬送され((6−12)および(6−15))、分注プローブ6bの液面接触により液面高を検知する((6−13)および(6−16))。
【0052】
上記ではスタートアップ時の洗浄ノズル詰まりの検知方法について説明したが、本実施の形態1の変形例1として、分析途中に洗浄ノズルの詰まりを検知する場合には、図7に示すフローチャートのように吸引時液面検知ステップを吐出時液面検知ステップより先に行なうこともできる。実施の形態1と変形例1の相違は、吐出時液面検知ステップが実施の形態1ではステップS101〜S107であるのに対し、変形例1ではステップS209〜S215と、吸引時液面検知ステップ(実施の形態1ではステップS109〜S114、変形例1ではステップS201〜S207)の後になることのみである。本変形例では、ステップS201において吸引ノズル16aで反応容器5内の液体(反応液、洗剤または洗浄水)を吸引する際、洗浄水吸引ノズル16Gにおいても実際に液体吸引を行なうため、前記洗浄水吸引ノズル16Gについてもノズル詰まりの検知を行うことができる。その場合には、ステップS14の液面高チェック回数を7に設定して、ノズル詰まりを検知することもできる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、本発明の洗浄装置のノズル詰まり検知方法にかかる実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態1は、洗浄ノズルが吸引ノズル16a、吐出ノズル16bを有する場合のノズル詰まり検知方法であるのに対し、実施の形態2では、洗浄ノズルが吸引ノズル16a、吐出ノズル16bに加え、オーバーフロー吸引ノズル16cを有する場合のノズル詰まりの検知方法である。図8に本形態の方法を使用する洗浄装置16’の概略構成図を示す。
【0054】
洗浄装置16’は、図8に示すように、配管によって接続された洗剤ノズル対16A’および16B’と、洗浄水ノズル対16C’〜16F ’と、洗浄水吸引ノズル16Gと、乾燥ノズル16Hと、廃液タンク16Jおよび16Kと、洗剤タンク16Lと、洗浄水タンク16Mと、送液ポンプ16Nおよび16Oと、真空ポンプ16Pおよび16Qと、保持部材16Iと、保持部材駆動部16Tと、ターミナル16Rおよび16Sとを有し、反応テーブル4の回転によって矢印方向に沿って搬送されてくる反応容器5を上下動しながら順次洗浄する。洗剤ノズル対16A’、16B’、洗浄水ノズル対16C’〜16F ’、洗浄水吸引ノズル16G、乾燥ノズル16Hは、保持部材16Iに保持され、保持部材16Iを駆動する保持部材駆動部16Tによって一体に上下動される。
【0055】
ここで、洗剤ノズル対16A’、16B’及び洗浄水ノズル対16C’〜16F’は、反応容器5内の底部近くまで挿入される吸引ノズル16a、反応容器5内の中間まで挿入される吐出ノズル16b、および反応容器5内の上部まで挿入されるオーバーフロー吸引ノズル16cをそれぞれ有している。洗剤ノズル対の吐出ノズル16bは、配管16dを介してターミナル16Rと接続され、ターミナル16Rはさらに配管16dを介して送液ポンプ16N、および洗剤タンク16Lと接続される。また、洗浄水ノズル対の吐出ノズル16bは、配管16eを介してターミナル16Sと接続され、ターミナル16Sはさらに配管16eを介して送液ポンプ16O、および洗浄水タンク16Mと接続される。
【0056】
一方、洗剤ノズル対および洗浄水ノズル対の吸引ノズル16a、ならびに洗浄水吸引ノズル16G、乾燥ノズル16Hは、配管16fを介して廃液タンク16Jおよび真空ポンプ16Pと接続される。また、洗剤ノズル対および洗浄水ノズル対のオーバーフロー吸引ノズル16cは、配管16gを介して廃液タンク16Kおよび真空ポンプ16Qと接続される。
【0057】
洗剤ノズル対16A’は、真空ポンプ16Pが吸引圧(負圧)を発生することにより、反応容器5内の反応液を吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄する。そして送液ポンプ16Nによって洗剤タンク16L内の洗剤を吐出ノズル16bから吐出することによって反応容器5内を洗浄する。このとき、オーバーフロー吸引ノズル16cは真空ポンプ16Qの吸引圧により吸引状態とされ、過剰な洗剤を吸引し、配管16gを介して廃液タンク16Kに廃棄して、洗剤が反応容器5から溢れないように反応容器5中の洗剤量を一定量に保持する役割を果たす。洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図8に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0058】
洗剤ノズル対16B’は、洗剤ノズル対16A’が反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ16Nによって洗剤タンク16L内の洗剤を吐出ノズル16bから吐出しながら、真空ポンプ16Qによりオーバーフロー吸引ノズル16cで吸引することによって反応容器5内を洗浄する。洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図8に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0059】
洗浄水ノズル対16C’は、洗剤ノズル対16B’が反応容器5内に吐出した洗剤を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ16Oによって洗浄水タンク16M内の洗浄水を吐出ノズル16bから吐出しながら、真空ポンプ16Qによりオーバーフロー吸引ノズル16cで吸引することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。すすぎ洗浄終了後、保持部材駆動部16Tが保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを上下動する間に、反応テーブル4が回動されて図8に示す矢印方向に反応容器5は搬送される。
【0060】
洗浄水ノズル対16D’は、洗浄水ノズル対16C’が反応容器5内に吐出した洗浄水を、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aによって吸引して廃液タンク16Jへ廃棄し、次いで送液ポンプ16Oによって洗浄水タンク16M内の洗浄水を吐出ノズル16bから吐出しながら、真空ポンプ16Qによりオーバーフロー吸引ノズル16cで吸引することによって反応容器5内をすすぎ洗浄する。以下、洗浄水ノズル対16E’、16F’は、同様の操作を繰り返す。ここで、ターミナル16Rおよび16Sは、送液ポンプ16Nおよび16Oにより洗剤タンク16Lおよび洗浄水タンク16Mから吸引された洗剤および洗浄水を、分岐して複数の吐出ノズルにそれぞれ供給する機能を有する。なお、洗浄水吸引ノズル16Gおよび乾燥ノズル16Hは、実施の形態1と同様の機能を有する。
【0061】
以下に、実施の形態2のノズル詰まり検知方法を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0062】
実施の形態2のノズル詰まり検知方法を用いる洗浄装置16’についても、分析効率の観点からスタートアップ時に行なうのが望ましい。先ず、自動分析装置の電源スイッチをオンする。保持部材駆動部16Tにより保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを反応容器5中に進入させ、送液ポンプ16Nおよび16Oにより、吐出ノズル16bから反応容器5内に洗剤タンク16Lまたは洗浄水タンク16M内の洗剤または洗浄水を吐出するとともに(ステップS300)、真空ポンプ16Qによりオーバーフロー吸引ノズル16cから反応容器から溢れ出る液体を吸引する(ステップS301)。
【0063】
次に、洗剤または洗浄水が注入された反応容器5を検体分注装置13(または試薬分注装置6もしくは11)の分注位置に搬送し(ステップS302)、分注装置の液面検知機構10により反応容器5中の液面高を確認する(ステップS303)。分注プローブ6bを反応容器5内に下降させて、分注プローブ6bが液体に接触すると、液面検知機構10はかかる液面接触による静電容量の変化により液面を検知することになる。液面検知機構10により検知した液面高h1と、設定された吐出量が吐出された場合の反応容器5内での液面高h0とを比較し、検知した液面高h1が、オーバーフロー吸引ノズル16cのノズル先端部高h0より大きい場合(ステップS304、Yes)、オーバーフロー吸引ノズル16cに詰まり有りと判断され、制御部17は、表示部19にオーバーフロー吸引ノズル16cに詰まりがある旨の警告の表示を指示するとともに(ステップS305)、警告音を発してオペレータに告知する。次いで洗浄ノズルの詰まり除去のための洗浄が指示される(ステップS306)。
【0064】
また、液面高h1がオーバーフロー吸引ノズル16cのノズル先端部h1以下である場合(ステップS304、No)、再度液面高h1とオーバーフロー吸引ノズル16cのノズル先端部高h0とを比較し、h1がh0より小さい場合(ステップS307、No)、吐出ノズル16bに詰まり有りと判断され、制御部17は、表示部19に吐出ノズル16bに詰まりがある旨の警告の表示を指示するとともに(ステップS308)、警告音を発してオペレータに告知する。次いで洗浄ノズルの詰まり除去のための洗浄が指示される(ステップS306)。
【0065】
一方、h1がh0に等しい場合は(ステップS307、Yes)、オーバーフロー吸引ノズル16cおよび吐出ノズル16bのいずれも詰まり無しと判断される。その後、液面高のチェック回数Nを判定し、Nが6未満の場合は(ステップS309、No)、次の吐出ノズル16bのノズル詰まりを確認すべく反応テーブルが回動により反応容器が搬送され(ステップS302)、隣の反応容器5の液面高が確認される(ステップS303)。本形態の洗浄装置16’は、吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cを各6本(洗剤ノズル対16A、16Bおよび洗浄水ノズル対16C〜16Fが各1)備えるため、すべての吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cについてノズル詰まりの有無を検知すべくNは6に設定されているが、洗浄装置の吐出ノズルの本数に併せてNは変更される。すべての吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cのノズル詰まりが確認されると(ステップS309、Yes)、反応容器5は再び洗浄装置16’の位置まで搬送される(ステップS310)。
【0066】
反応容器5が洗浄装置16’の位置まで搬送された後、保持部材駆動部16Tにより保持部材16Iに保持された洗浄ノズルを反応容器5中に進入させ、真空ポンプ16Pの吸引圧により吸引ノズル16aから反応容器5内の液体を吸引する(ステップS311)。その後、再び反応容器5を検体分注装置13(または試薬分注装置6もしくは11)の分注位置に搬送し(ステップS312)、分注装置の液面検知機構10により反応容器5中の液面高を確認する(ステップS313)。液面高検知により、反応容器5に液体が残存している場合(ステップS314、No)、吸引ノズル16aが詰まり有りと判断され、制御部17は、表示部19に吸引ノズル16aに詰まりがある旨の警告の表示を指示するとともに(ステップS315)、警告音を発してオペレータに告知する。次いで洗浄ノズルの詰まり除去のための洗浄が指示される(ステップS306)。
【0067】
一方、反応容器5に液体が残存していない場合(ステップS314、Yes)、吸引ノズル16aが詰まり無しと判断される。その後、液面高のチェック回数Nを判定し、Nが6未満の場合は(ステップS316、No)、次の吸引ノズル16aのノズル詰まりを確認すべく反応テーブルが回動の回動により反応容器が搬送され(ステップS312)、隣の反応容器5の液面高が確認される(ステップS313)。洗剤ノズル対16A’、16B’、洗浄水ノズル対16C’〜16F’のすべての吸引ノズル16aのノズル詰まりが確認されると(ステップS316、Yes)、反応容器5は再び洗浄装置16’の位置まで搬送され(ステップS317)、その後の分析のために反応容器5の洗浄が行なわれる(ステップS318)。
【0068】
最後に、図10および図11に示す実施の形態2のノズル詰まり検知方法の検知動作を示す動作図を用いて簡単に説明する。図10は吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16c詰まりを検知するための吐出時液面検知ステップである。空の反応容器5に洗剤ノズル対16A’が挿入され((10−1))、洗剤が吐出ノズル16bから吐出されるとともに、オーバーフロー吸引ノズル16cで過剰な洗剤を吸引する。吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cに詰まりがない場合は所定量の洗剤が分注されるが((10−2)、h1=h0)、オーバーフロー吸引ノズル16cに詰まりが有る場合、洗剤は所定の液面高h0以上に洗剤が分注される((10−5)、h1>h0)。一方、吐出ノズル16bに詰まりが有る場合、洗剤は所定の液面高h0まで分注されない((10−8)、h1<h0)。吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cの詰まり検知のために、反応容器5は液面検知手段を備える検体分注装置(または試薬分注装置)まで搬送され((10−3)、(10−6)および(10−9))、分注プロープ6bの液面接触により液面高を検知する((10−4)、(10−7)および(10−10))。
【0069】
図11は吸引ノズル詰まりを検知するための吸引時液面検知ステップである。吐出時液面検知ステップにて吐出ノズル16bおよびオーバーフロー吸引ノズル16cの詰まりがないことを確認後、前記ノズルにより吐出された洗剤を吸引するために反応容器5に洗剤ノズル対16A’が挿入され((11−1))、吸引ノズル16aにて洗剤を吸引する。吸引ノズル16aに詰まりがない場合は、反応容器5内の洗剤はすべて吸引されるが((11−2)、h1=0)、詰まりが有る場合は、反応容器5内に洗剤が残存する((11−5)、h1≠0)。吸引ノズル16aの詰まり検知のために、反応容器5は液面検知手段を備える検体分注装置(または試薬分注装置)まで搬送され((11−3)および(11−6))、分注プローブ6bの液面接触により液面高を検知する(11−4)および11−7))。
【0070】
上記ではスタートアップ時の洗浄ノズル詰まりの検知方法について説明したが、本実施の形態2の変形例1として、分析途中に洗浄ノズルの詰まりを検知する場合には、図12に示すフローチャートのように、吸引時液面検知ステップを吐出時液面検知ステップより先に行なうこともできる。実施の形態2と変形例1の相違は、吐出時液面検知ステップが実施の形態2ではステップS300〜S309であるのに対し、変形例1ではステップS409〜S427と、吸引時液面検知ステップ(実施の形態2ではステップS311〜S316、変形例1ではステップS401〜S407)の後になることのみである。本変形例では、ステップS401の吸引ノズル16aで反応容器5内の液体(反応液、洗剤または洗浄水)を吸引する際、洗浄水吸引ノズル16Gにおいても実際に液体吸引を行なうため、前記洗浄水吸引ノズル16Gについてもノズル詰まりの検知を行うことができる。その場合には、ステップS407の液面高チェック回数を7に設定して、ノズル詰まりを検知することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】自動分析装置の吐出時試薬分注装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】反応容器内に存在する液体の液面を検知する液面検知機構の構成を模式的に示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るノズル詰まり検知方法を使用する洗浄装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るノズル詰まり検知方法を示すフローチャートである。
【図6−1】本発明の実施の形態1に係る吐出ノズル詰まり検知方法の検知動作を示す動作図である。
【図6−2】本発明の実施の形態1に係る吸引ノズル詰まり検知方法の検知動作を示す動作図である。
【図7】本発明の実施の形態1の変形例1に係るノズル詰まり検知方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係るノズル詰まり検知方法を使用する洗浄装置の概略構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るノズル詰まり検知方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2に係るノズル詰まり検知方法の検知動作(吐出時液面検知ステップ)を示す動作図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係るノズル詰まり検知方法の検知動作(吸引時液面検知ステップ)を示す動作図である。
【図12】本発明の実施の形態2の変形例1に係るノズル詰まり検知方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 自動分析装置
2 吐出時試薬テーブル
2a、3a 試薬容器
2b、3b 読取部
3 第2試薬テーブル
4 反応テーブル
5 反応容器
6 第1試薬分注装置
6a、11a、13a 駆動アーム
6b 分注プローブ
6d、11d、13d 洗浄槽
7 プローブ駆動機構
8 回動モータ
9 昇降モータ
10 液面検知機構
101 発振回路
102 微分回路
103 電圧検出回路
11 第2試薬分注装置
12 検体容器移送部
13 検体分注装置
14 攪拌部
15 測光部
16、16’ 洗浄装置
16A、16B、16A’、16B’ 洗剤ノズル対
16C〜16F、16C’〜16F’ 洗浄水ノズル対
16G 洗浄水吸引ノズル
16H 乾燥ノズル
16I 保持部材
16N、16O 送液ポンプ
16R、16S ターミナル
16J、16K 廃液タンク
16P、16Q 真空ポンプ
16L 洗剤タンク
16M 洗浄水タンク
16T 保持部材駆動部
16a 吸引ノズル
16b 吐出ノズル
16c オーバーフロー吸引ノズル
16d、16e、16f 配管
16h チップ
17 制御部
18 入力部
19 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器内に洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引する吸引ノズルとを備えた洗浄装置を用いて、分析終了後の前記反応容器を洗浄して該反応容器を再利用する自動分析装置における前記洗浄装置のノズル詰まり検知方法において、
前記吸引ノズルにより前記反応容器内の反応液、洗剤または洗浄水を吸引後、前記反応容器内の液面高を検知する吸引時液面検知ステップと、
前記反応容器内に液体が残存しているか否かにより前記吸引ノズルの詰まりを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とするノズル詰まり検知方法。
【請求項2】
前記吐出ノズルにより洗剤または洗浄水を反応容器内に一定量吐出後、前記反応容器内の液面高を検知する吐出時液面検知ステップを含み、
前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップが検知した前記反応容器内の液面高が所定高か否かにより前記吐出ノズル詰まりを判定することを特徴とする請求項1に記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項3】
前記吐出ノズルにより洗剤または洗浄水を反応容器内に一定量吐出しながらオーバーフロー吸引ノズルで吸引後、前記反応容器内の液体の液面高を検知する吐出時液面検知ステップを含み、
前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップが検知した前記反応容器内の液体の液面高をもとに、前記吐出ノズルおよび前記オーバーフローノズルのノズル詰まりを判定することを特徴とする請求項1に記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項4】
前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップが検知した前記反応容器内の液体の液面高をもとに、前記反応容器内の液面高がオーバーフロー吸引ノズルのノズル先端部より低い場合に吐出ノズル詰まりと判定することを特徴とする請求項3に記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項5】
前記判定ステップは、前記吐出時液面検知ステップが検知した前記反応容器内の液体の液面高をもとに、前記反応容器内の液面高がオーバーフロー吸引ノズルのノズル先端部より高い場合にオーバーフロー吸引ノズル詰まりと判定することを特徴とする請求項3または4に記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項6】
前記吐出時液面検知ステップは、前記吐出時液面検知ステップ前に行うことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項7】
前記吸引時液面検知ステップおよび/または吐出時液面検知ステップは、検体分注装置または試薬分注装置の液面検知手段を用いて行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項8】
前記液面検知手段は、導電性素材から成形される分注プローブと反応容器内の液体との間の静電容量の変化をもとに液面を検知することを特徴とする請求項7に記載のノズル詰まり検知方法。
【請求項9】
反応容器内に洗剤または洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤もしくは洗浄水を吸引する吸引ノズルを備えた洗浄装置、または反応容器内の洗剤もしくは洗浄水を吐出する吐出ノズルと、前記反応容器内の反応液、洗剤もしくは洗浄水を吸引する吸引ノズルおよびオーバーフロー吸引ノズルを備えた洗浄装置を用いて、分析終了後の前記反応容器を洗浄して該反応容器を再利用する自動分析装置であって、請求項1〜8のいずれか一つに記載のノズル詰まり検知方法を用いて洗浄ノズルの詰まりを検知することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate