説明

ノズル面清掃装置及び方法、並びに、インクジェット記録装置

【課題】払拭に関する設定を簡単に最適化することができるノズル面清掃装置及び方法、並びに、インクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ノズル面33を払拭した後の払拭ウェブ104の汚れ状態をラインスキャナ126で読み取る。読み取った汚れ状態から払拭に関する設定の適否を検査する。たとえば、汚れ状態に偏りはないか、吸収量が過剰でないか、不足して否か等を検査し、その結果に基づいて、設定を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル面清掃装置及び方法、並びに、インクジェット記録装置に係り、特に浸透性を有する払拭部材でノズル面を払拭して清掃するノズル面清掃装置及び方法、並びに、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、ヘッドのノズル面(ノズルが形成されている面)が汚れていると、吐出不良を生じる。このため、定期的にノズル面の清掃が行われる。
【0003】
ノズル面を清掃する方法としては、従来、ブレードでノズル面を払拭して清掃する方法や、ウェブでノズル面を払拭して清掃する方法などが知られている。
【0004】
特許文献1には、ブレードでノズル面を払拭する方法が開示されており、ブレードの交換頻度を低減するために、ブレードの先端部分の形状変化を検出し、ブレードの交換時期を予測する方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、ブレードでノズル面を払拭して清掃する方法が開示されており、払拭後の各ノズルの吐出状態を検出し、必要に応じてブレードの当接位置を変えることにより、ブレードの磨耗の進行速度を均一化する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、一対のリール間を走行するウェブを押圧ローラを介してノズル面に当接させることにより、常に新しいウェブでノズル面を払拭する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−862号公報
【特許文献2】特開2006−218702号公報
【特許文献3】特開2010−241127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2のように、ブレードでノズル面を払拭する構成の清掃装置では、ブレードの先端部分の形状を検出することにより、あるいは、清掃後の吐出状態を検出することにより、払拭を最適化することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献3のように、ウェブ等の浸透性を有する払拭部材でノズル面を払拭する構成の清掃装置では、払拭の方式がまったく異なるため、特許文献1、2で開示されたような従来の最適化手法で払拭を最適化することができない。すなわち、浸透性を有する払拭部材でノズル面を払拭する構成の清掃装置では、ブレードと異なり、払拭部材に汚れを吸収させて清掃するため、効率よく払拭するためには、ノズル面に対する押圧力を最適な値に設定する必要がある。また、ウェブの場合には、縒れが生じる場合もあり、これを適正に設定する必要がある。さらに、ウェブを走行させて払拭する場合には、最適な速度で走行させて、払拭する必要がある。
【0010】
このように、ウェブ等の浸透性を有する払拭部材でノズル面を払拭する構成の清掃装置では、従来の最適化手法で払拭を最適化することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、払拭に関する設定を簡単に最適化することができるノズル面清掃装置及び方法、並びに、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、浸透性を有する払拭部材で前記ノズル面を払拭する払拭手段と、払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測する計測手段と、前記計測手段で計測された汚れ状態から払拭に関する設定の適否を検査する検査手段と、を備えたことを特徴とするノズル面清掃装置を提供する。
【0013】
本発明によれば、払拭後の払拭部材の汚れ状態から払拭に関する設定の適否が検査される。払拭に関する設定が適正になされていないと、払拭部材は異常な汚れ方をする(払拭に関する設定が適正になされているときとは異なる汚れ方をする。)。したがって、払拭後の払拭部材の汚れ状態を確認して、払拭に関する設定の適否を判断することができる。たとえば、払拭に関する設定が適正になされているときの払拭部材の汚れ状態をあらかじめ求めておき、これとの比較で設定の適否を判断する。これにより、簡単に払拭に関する設定の適否を判断することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記払拭手段による払拭に関する設定を修正する設定修正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0015】
本発明によれば、汚れ状態に基づく設定の適否の検査結果に基づいて、払拭手段による払拭に関する設定が修正される。これにより、常に適正な設定の下でノズル面を払拭することができ、拭き残りなどを生じさせることなく、ノズル面を清掃することができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭手段による払拭前に前記ノズル面を湿潤させる湿潤手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0017】
本発明によれば、払拭前にノズル面が湿潤させられる。これにより、固着した汚れなども効率よく拭き取ることができる。ノズル面を湿潤させる方法は、たとえば、ノズル面に洗浄液(洗浄効果を有する液体)を付与する方法や、ノズルからインクを溢れださせる方法などを採用することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は、ウェブであり、前記払拭手段は、前記ウェブを所定の走行経路に沿って走行させるウェブ駆動手段と、前記ウェブが巻き掛けられる押圧ローラとを備え、走行する前記ウェブを前記押圧ローラを介して前記ノズル面に当接させながら、前記ノズル面に沿って相対的に移動することにより、前記ノズル面を払拭することを特徴とする請求項3に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0019】
本発明によれば、払拭部材がウェブで構成され、このウェブを走行させながら押圧ローラでノズル面に当接させることにより、ノズル面が払拭される。ウェブを走行させながらノズル面に当接させることにより、常にウェブの新しい面を使ってノズル面を払拭できるので、効果的に清掃することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0021】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向の汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、この濃度分布に基づいて、ノズル面に対するウェブの当接位置の適否が検査される。すなわち、ウェブの当接位置が適正位置からズレると、濃度分布が現れる位置もズレるので、汚れの濃度分布からノズル面に対するウェブの当接位置の適否を検査することができる。これにより、簡単にウェブの当接位置の適否を把握することができる。
【0022】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置を修正することを特徴とする請求項5に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0023】
本発明によれば、汚れの濃度分布から求めたウェブの当接位置の適否の検査結果に基づいて、ノズル面に対するウェブの当接位置が修正される。すなわち、あらかじめ適正な設定のときの濃度分布を取得しておき、これとの比較で濃度分布が現れる位置のズレ量を計測することにより、適正な設定にするための修正量を求めることができる。そして、求めた修正量に従ってウェブの当接位置を修正することにより、ウェブの当接位置を適正化することができる。
【0024】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0025】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向の汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、この濃度分布に基づいて、ノズル面に対するウェブの平行度の適否が検査される。すなわち、ノズル面に対してウェブが平行に当接されていないと(ノズル面と押圧ローラの軸が平行になっていないと)、偏った濃度分布になるので、濃度分布を計測することにより、ウェブが平行に当接されているか否かを簡単に判定することができる。
【0026】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面に対する前記押圧ローラの傾きを修正することを特徴とする請求項7に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0027】
本発明によれば、汚れの濃度分布の計測結果から求めたノズル面に対するウェブの平行度の検査結果に基づいて、ノズル面に対する押圧ローラの傾きが修正される。ウェブがノズル面に対して傾いて当接されていると、それに応じてウェブに吸収される汚れの濃度分布も偏ったものとなる。したがって、正常な場合(ウェブとノズル面とが平行な場合)の濃度分布をあらかじめ求めておき、これとの対比で濃度分布の偏り量を求めることにより、押圧ローラの傾き方向、傾き量を求めることができる。また、これにより、傾きを是正するための修正量(押圧ローラの傾きの修正方向と修正量)を求めることができる。これにより、簡単にウェブの傾きをなくすことができる。
【0028】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面への前記ウェブの押圧力の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0029】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向の汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、その濃度分布に基づいて、ノズル面へのウェブの押圧力の適否が検査される。ノズル面へのウェブの押圧力が適正に設定されていないと、適正に設定されている場合に比べて、薄い又は濃い濃度分布となる。したがって、濃度分布の現れ方からノズル面へのウェブの押圧力の適否を簡単に判定することができる。
【0030】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記押圧ローラによる前記ノズル面への前記ウェブの押圧力を修正することを特徴とする請求項9に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0031】
本発明によれば、汚れの濃度分布の計測結果から求めたノズル面へのウェブの押圧力の適否の検査結果に基づいて、押圧ローラによるノズル面へのウェブの押圧力が修正される。押圧力が適正に設定されていないと、適正に設定されている場合と比べて、濃度分布の濃淡差が異なったものになる。したがって、押圧力が適正に設定されているときの濃度分布をあらかじめ求めておき、これとの対比で濃度分布の濃淡差のズレ量を求めることにより、押圧力の過不足量を求めることができる。これにより、簡単に適正な押圧力に設定することができる。
【0032】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、ノズルメニスカス位置の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0033】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向の汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、計測された濃度分布に基づいて、ノズルメニスカス位置の適否が検査される。払拭時におけるノズルメニスカス位置が適正に設定されていないと、適正に設定されている場合に比べて、薄い又は濃い濃度分布となる。したがって、濃度分布の現れ方から払拭時におけるノズルメニスカス位置の適否を簡単に判定することができる。
【0034】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、ノズルメニスカス位置を修正することを特徴とする請求項11に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0035】
本発明によれば、汚れの濃度分布の計測結果から求めたノズルメニスカス位置の適否の検査結果に基づいて、ノズルメニスカス位置が修正される。ノズルメニスカス位置が適正に設定されていないと、適正に設定されている場合と比べて、濃度分布の濃淡差が異なったものになる。したがって、ノズルメニスカス位置が適正に設定されているときの濃度分布をあらかじめ求めておき、これとの対比で濃度分布の濃淡差のズレ量を求めることにより、ノズルメニスカス位置のズレ量を求めることができる。これにより、簡単に適正なノズルメニスカス位置に設定することができる。
【0036】
請求項13に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ウェブの縒れの有無を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0037】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、計測された濃度分布に基づいて、ウェブの縒れの有無が検査される。ウェブに縒れが生じている場合、濃度分布にムラが発生する。したがって、濃度分布のムラの有無を検査することにより、縒れの有無を簡単に検査することができる。
【0038】
請求項14に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ウェブの縒れ、及び/又は、張力を修正することを特徴とする請求項13に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0039】
本発明によれば、濃度分布から求めたウェブの縒れの有無の検査結果に基づいて、ウェブの縒れ、ウェブの張力が修正される。これにより、簡単にウェブの走行を適正化することができる。
【0040】
請求項15に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面の湿潤量の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0041】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、計測された濃度分布に基づいて、ノズル面の湿潤量の適否が検査される。ノズル面の湿潤量が過不足すると、特に濃度分布の両端部分(エッジ部分)が、正常なときとは異なった分布の現れ方をする。したがって、濃度分布の両端部分の状態を検査することにより、湿潤量の適否を簡単に検査することができる。
【0042】
請求項16に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面の湿潤量を修正することを特徴とする請求項15に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0043】
本発明によれば、汚れの濃度分布から求めたノズル面の湿潤量の検査結果に基づいて、ノズル面の湿潤量が修正される。ノズル面の湿潤量が過不足すると、特に濃度分布の両端部分(エッジ部分)が、正常なときとは異なった分布の現れ方をする。したがって、ノズル面の湿潤量が正常なときの濃度分布の状態をあらかじめ求めておき、これとの比較でエッジ部の変化量(たとえば、エッジ部の位置のズレ量)を求めることにより、湿潤量の修正量を求めることができる。これにより、簡単に払拭時におけるノズル面の湿潤量を最適化することができる。
【0044】
請求項17に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さを前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記吸収領域の長さに基づいて、前記ウェブの走行速度、及び/又は、前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0045】
本発明によれば、ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さが汚れ状態として計測される。そして、計測された吸収領域の長さに基づいて、ウェブの走行速度、払拭手段の相対的な移動速度の適否が検査される。ウェブの走行速度、及び/又は、払拭手段の相対的な移動速度が、適正に設定されていないと、適正に設定されている場合に比べて、汚れの吸収領域の長さが長短変化する。したがって、汚れの吸収領域の長さを計測することにより、簡単にウェブの走行速度、払拭手段の相対的な移動速度の適否を検査することができる。
【0046】
請求項18に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ウェブの走行速度、及び/又は、前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度を修正することを特徴とする請求項17に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0047】
本発明によれば、汚れの吸収領域の長さの計測結果から求めたウェブの走行速度、払拭手段の相対的な移動速度の適否の検査結果に基づいて、ウェブの走行速度、及び/又は、払拭手段の相対的な移動速度が修正される。ウェブの走行速度、及び/又は、払拭手段の相対的な移動速度が適正に設定されていない場合、適正に設定されているときと比較して、汚れの吸収領域の長さが長短変化する。したがって、適正に設定されているときの汚れの吸収領域の長さをあらかじめ求めておき、これとの対比で長短のズレ量を求めることにより、適正な速度に是正するための修正量を求めることができる。これにより、簡単にウェブの走行速度、及び/又は、払拭手段の相対的な移動速度の適正化を図ることができる。
【0048】
請求項19に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、前記ウェブの縒れの有無、前記ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0049】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布が汚れ状態として計測される。そして、計測された濃度分布に基づいて、ノズル面に対するウェブの当接位置の適否、ノズル面に対するウェブの平行度の適否、ノズル面に対するウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、ウェブの縒れの有無、ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目が検査される。これにより、複数の設定を適否を検査することができる。
【0050】
請求項20に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測するとともに、前記ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さを前記汚れ状態として計測し、前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、前記ウェブの縒れの有無、前記ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目を検査するとともに、前記吸収領域の長さに基づいて、前記ウェブの走行速度又は前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0051】
本発明によれば、ウェブの走行方向と直交する方向の汚れの濃度分布と、ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さが、汚れ状態として計測される。そして、計測された濃度分布に基づいて、ノズル面に対するウェブの当接位置の適否、ノズル面に対するウェブの平行度の適否、ノズル面に対するウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、ウェブの縒れの有無、ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目が検査されるとともに、吸収領域の長さに基づいて、ウェブの走行速度又は払拭手段の相対的な移動速度の適否が検査される。これにより、複数の設定の適否を検査することができる。
【0052】
請求項21に係る発明は、前記目的を達成するために、前記インクジェットヘッドは、複数のモジュールを繋ぎ合わせて構成され、前記計測手段は、前記モジュールごとに払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測し、前記検査手段は、前記モジュールごとに得られる前記計測手段の計測結果に基づいて、前記モジュールごとに払拭に関する設定の適否を検査することを特徴とする請求項2から20のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0053】
本発明によれば、インクジェットヘッドが、複数のモジュールを繋ぎ合わせて構成される。そして、モジュールごとに払拭後の払拭部材の汚れ状態が計測され、モジュールごとに払拭に関する設定の適否が検査される。これにより、インクジェットヘッドが、複数のモジュールで構成されている場合に、より適切にノズル面を清掃することができる。
【0054】
請求項22に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、前記モジュールごとに得られる前記検査手段の検査結果に基づいて、前記モジュールごとに払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項21に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0055】
本発明によれば、モジュールごとに払拭に関する設定が修正される。これにより、インクジェットヘッドが、複数のモジュールで構成されている場合に、より適切にノズル面を清掃することができる。
【0056】
請求項23に係る発明は、前記目的を達成するために、前記計測手段は、払拭後の前記払拭部材を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像された画像を解析して、払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測するする解析手段と、を備えることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0057】
本発明によれば、払拭後の払拭部材を撮像手段で撮像し、得られた画像を解析して、払拭後の払拭部材の汚れ状態を計測する。これにより、簡単かつ正確に汚れ状態を計測することができる。
【0058】
請求項24に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は、ウェブであり、前記払拭手段は、前記ウェブを所定の走行経路に沿って走行させるウェブ駆動手段と、前記ウェブが巻き掛けられる押圧ローラとを備え、走行する前記ウェブを前記押圧ローラを介して前記ノズル面に当接させながら、前記ノズル面に沿って相対的に移動することにより、前記ノズル面を払拭し、前記撮像手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向に配置されたラインスキャナであることを特徴とする請求項23に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0059】
本発明によれば、ラインスキャナでウェブを撮像して、払拭後の払拭部材の画像を取得する。これにより、簡単な構成で払拭後の払拭部材の画像を正確に取得することができる。
【0060】
請求項25に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ラインスキャナは、前記払拭手段に一体的に組み付けられることを特徴とする請求項24に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0061】
本発明によれば、ラインスキャナが、払拭手段に一体的に組み付けられる。これにより、払拭手段が移動してノズル面を払拭する場合であっても、常にウェブを撮像することができる。
【0062】
請求項26に係る発明は、前記目的を達成するために、前記設定修正手段は、払拭動作中に払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項2から25のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0063】
本発明によれば、払拭動作中に払拭に関する設定が修正される。これにより、常に最適な設定状態でノズル面を払拭することができる。
【0064】
請求項27に係る発明は、前記目的を達成するために、印刷枚数又は印刷時間ごとに検査の判定基準が設定され、前記検査手段は、印刷枚数又は印刷時間に応じて前記判定基準を切り替えることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置を提供する。
【0065】
本発明によれば、印刷枚数又は印刷時間に応じて判定基準が切り替えられる。汚れ状態は経時的に変化するので、印刷枚数又は印刷時間に応じて検査の判定基準を設定し、適時切り替えることにより、常に適切な条件の下で設定の適否を検査することができる。
【0066】
請求項28に係る発明は、前記目的を達成するために、インクジェットヘッドのノズル面を浸透性を有する払拭部材で払拭して清掃するノズル面清掃方法において、払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測するステップと、計測された汚れ状態から払拭に関する設定の適否を検査するステップと、を備えたことを特徴とするノズル面清掃方法を提供する。
【0067】
本発明によれば、払拭後の払拭部材の汚れ状態から払拭に関する設定の適否が検査される。払拭に関する設定が適正になされていないと、払拭部材は異常な汚れ方をする(払拭に関する設定が適正になされているときとは異なる汚れ方をする。)。したがって、払拭後の払拭部材の汚れ状態を確認して、払拭に関する設定の適否を判断することができる。たとえば、払拭に関する設定が適正になされているときの払拭部材の汚れ状態をあらかじめ求めておき、これとの比較で設定の適否を判断する。これにより、簡単に払拭に関する設定の適否を判断することができる。
【0068】
請求項29に係る発明は、前記目的を達成するために、前記検査結果に基づいて、払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項28に記載のノズル面清掃方法を提供する。
【0069】
本発明によれば、汚れ状態に基づく設定の適否の検査結果に基づいて、払拭手段による払拭に関する設定が修正される。これにより、常に適正な設定の下でノズル面を払拭することができ、拭き残りなどを生じさせることなく、ノズル面を清掃することができる。
【0070】
請求項30に係る発明は、前記目的を達成するために、メディアを搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されるメディアにインク滴を吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドのノズル面を清掃する請求項1から27のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【0071】
本発明によれば、インクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドを常に最適な状態で清掃することができる。
【0072】
請求項31に係る発明は、前記目的を達成するために、前記インクジェットヘッドは、前記メディアの搬送経路上に複数配置されるとともに、前記インクジェットヘッドごとに前記ノズル面清掃装置が設けられ、かつ、前記インクジェットヘッドごとに前記判定基準が設定されることを特徴とする請求項30に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0073】
本発明によれば、インクジェットヘッドごとにノズル面清掃装置が設けられ、インクジェットヘッドごとに判定基準が設定される。インクジェットヘッドは、使用するインクや設置状態によって払拭部材の汚れ状態が異なるため、インクジェットヘッドごとに検査の判定基準を設定することにより、より適切に設定状態の適否を検査することができる。
【0074】
請求項32に係る発明は、前記目的を達成するために、前記搬送手段は、回転するドラムであり、周面に前記メディアを保持して回転することにより、前記メディアを搬送し、前記各インクジェットヘッドは、ノズル面が前記ドラムの周面に面するようにして、前記ドラムの周囲に配置されることを特徴とする請求項31に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0075】
本発明によれば、インクジェットヘッドがドラムの周囲に配置される。この場合、インクジェットヘッドは、ノズル面が水平面に対して傾斜して設置されるので、個別に判定基準を設定することにより、より適切に設定状態の適否を検査することができる。
【発明の効果】
【0076】
本発明によれば、払拭に関する設定を簡単に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】インクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図
【図2】インクジェット記録装置の要部の構成を示す平面図
【図3】インクジェット記録装置の要部の構成を示す側面図
【図4】ヘッドのノズル面の平面透視図
【図5】洗浄液付与装置の概略構成を示す正面図
【図6】払拭装置の概略構成を示す正面図
【図7】図6の7−7断面図
【図8】図6の8−8断面図
【図9】払拭に関する設定が適正になされているとき払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図10】払拭に関する設定が適正になされているときの濃度分布の一例を表すグラフ
【図11】押圧ローラがノズル面に対して傾いているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図12】押圧ローラがノズル面に対して傾いているときの濃度分布の一例を表すグラフ
【図13】払拭ウェブの押圧力が低いときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図14】払拭ウェブの押圧力が低いときの濃度分布の一例を表すグラフ
【図15】払拭ウェブの押圧力が高いときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図16】払拭ウェブの押圧力が高いときの濃度分布を表すグラフ
【図17】払拭ウェブに縒れが生じているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図18】払拭ウェブに縒れが生じているときの濃度分布を表すグラフ
【図19】払拭ウェブの当接位置がズレているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図20】払拭ウェブの当接位置がズレているときの濃度分布を表すグラフ
【図21】払拭ウェブの走行速度が不適切なときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図
【図22】清掃終了後に払拭に関する設定の適否を検査し、修正する手順を示すフローチャート
【図23】複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたヘッドの底面図
【図24】複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたヘッドを払拭したときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図(設定不適正時)
【図25】複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたヘッドを払拭したときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図(設定適正時)
【図26】インクジェット記録装置(第2の実施の形態)の要部の構成を示す側面図
【図27】払拭装置の構成を模式的に示す側面図
【図28】傾斜したノズル面を払拭したときの濃度分布を表すグラフ
【図29】払拭装置の他の形態を示す側面図
【図30】払拭ユニットの平面図
【図31】払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図
【図32】払拭ユニットの側面部分断面図
【図33】払拭ユニットの正面部分断面図
【図34】払拭ユニットの背面図
【図35】押圧ローラの軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図
【図36】図35の36−36断面図
【図37】図33の37−37断面図
【図38】払拭ユニットの払拭ウェブの使用時(a)と交換時(b)の状態を示す説明図
【図39】昇降テーブルを昇降移動させる連動機構の説明図
【図40】払拭ユニットを装着部に装着したときの状態を示す正面断面図
【図41】払拭ユニットを装着部に装着したときの状態を示す側面断面図
【図42】払拭ユニットの他の形態を示す正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0079】
≪第1の実施形態≫
〈装置構成〉
図1〜図3は、本実施の形態のインクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図、平面図、側面図である。
【0080】
同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、シングルパス方式のラインプリンタであり、主として、用紙(枚葉紙)Pを搬送する用紙搬送機構20と、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに向けてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色インク滴を吐出するヘッドユニット30と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット40と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃ユニット50とで構成される。
【0081】
用紙搬送機構20は、ベルト搬送機構で構成され、走行するベルト22に用紙Pを吸着させて、用紙Pを水平に搬送する。
【0082】
ヘッドユニット30は、主として、シアンのインク滴を吐出するヘッド32Cと、マゼンタのインク滴を吐出するヘッド32Mと、イエロのインク滴を吐出するヘッド32Yと、クロのインク滴を吐出するヘッド32Kと、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kが取り付けられるヘッド支持フレーム34と、ヘッド支持フレーム34を移動させるヘッド支持フレーム移動機構(図示せず)とで構成される。
【0083】
ヘッド(インクジェットヘッド)32C、32M、32Y、32Kは、印刷対象とする用紙Pの最大用紙幅に対応したラインヘッドで構成される。なお、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kの構成は同じなので、以下においては、特に区別する場合を除いて、ヘッド32と記載する。
【0084】
ヘッド32(32C、32M、32Y、32K)は、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面33(33C、33M、33Y、33K)が形成される。
【0085】
図4は、ヘッドのノズル面の平面透視図である。
【0086】
ノズル面33は、長方形状に形成され、その長手方向に沿ってノズル列が形成される。本実施の形態のヘッド32は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズルNは、二次元マトリクス状に配置される。マトリックスヘッドでは、ヘッド32の長手方向に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができ、ノズルNの高密度化を図ることができる。
【0087】
また、本実施の形態のヘッド32は、いわゆるピエゾ方式でノズルNからインクの液滴を吐出させる。各ノズルNは、それぞれ圧力室に連通されており、この圧力室の壁面をピエゾ素子で振動させることにより、ノズルNからインクの液滴が吐出される。なお、インクの吐出方式は、これに限らずサーマル方式で吐出させる構成とすることもできる。
【0088】
ヘッド支持フレーム34は、各ヘッド32を取り付けるためのヘッド取付部(図示せず)を備えている。各ヘッド32は、このヘッド取付部に着脱自在に取り付けられる。
【0089】
ヘッド支持フレーム34に取り付けられた各ヘッド32は、用紙Pの搬送方向に対して直交して配置される。また、用紙Pの搬送方向に沿って所定の順で一定の間隔をもって配置される(本例では、シアン、マゼンタ、イエロ、クロの順で配置される。)。
【0090】
また、ヘッド取付部は、ヘッド支持フレーム34に昇降自在に設けられており、図示しない昇降機構によって昇降する。ヘッド取付部に取り付けられた各ヘッド32は、この昇降機構によって、用紙Pの搬送面に対して垂直に昇降する。
【0091】
ヘッド支持フレーム移動機構(図示せず)は、用紙搬送機構20の上方位置でヘッド支持フレーム34を用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に水平にスライド移動させる。
【0092】
このヘッド支持フレーム移動機構は、たとえば、用紙搬送機構20を跨いで水平に設置される天井フレームと、その天井フレームに敷設されるガイドレールと、ガイドレール上をスライド移動する走行体と、その走行体をガイドレールに沿って移動させる駆動手段(たとえば、送りねじ機構など)で構成される。ヘッド支持フレーム34は、走行体に取り付けられて、水平にスライド移動する。
【0093】
ヘッド支持フレーム34は、このヘッド支持フレーム移動機構に駆動されて、所定の「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動可能に設けられる。
【0094】
ヘッド支持フレーム34は、画像記録位置に位置すると、用紙搬送機構20の上方に配置される。これにより、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに対して印刷可能になる。
【0095】
一方、メンテナンス位置に位置すると、メンテナンスユニット40の設置位置に配置される。
【0096】
メンテナンスユニット40には、各ヘッド32のノズル面33を覆うキャップ42(42C、42M、42Y、42K)が備えられる。装置を長時間停止する場合などは、このメンテナンスユニット40の設置位置(メンテナンス位置)にヘッド32を移動させ、ノズル面33をキャップで覆う。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
【0097】
このキャップ42には、ノズル内を加圧・吸引するための加圧・吸引機構(図示せず)、及び、キャップ42内に洗浄液を供給するための洗浄液供給機構(図示せず)が備えられる。また、キャップ42の下方位置には廃液トレイ44が配置される。キャップ42に供給された洗浄液は、この廃液トレイ44に廃棄され、廃液トレイ44から廃液回収配管46を介して廃液タンク48に回収される。
【0098】
ノズル面清掃ユニット50は、用紙搬送機構20とメンテナンスユニット40との間に配置される。ノズル面清掃ユニット50は、ヘッド支持フレーム34が、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する間にヘッド32のノズル面33を清掃する。
【0099】
ノズル面清掃ユニット50は、ヘッド支持フレーム34が、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する際、各ヘッド32のノズル面33に洗浄液を付与する洗浄液付与装置60と、洗浄液が付与されたノズル面33を払拭ウェブで払拭する払拭装置80とで構成される。
【0100】
図5は、洗浄液付与装置の概略構成を示す正面図である。
【0101】
同図示すように、洗浄液付与装置60は、主として、洗浄液付与装置本体フレーム62と、その洗浄液付与装置本体フレーム62に取り付けられる洗浄液ノズル64C、64M、64Y、64Kと、洗浄液が貯留される洗浄液タンク66と、洗浄液タンク66と洗浄液ノズル64C、64M、64Y、64Kとを繋ぐ洗浄液配管68と、洗浄液タンク66から洗浄液ノズル64C、64M、64Y、64Kに洗浄液を送液する洗浄液ポンプ70と、洗浄液配管68を開閉する洗浄液バルブ72とで構成される。
【0102】
洗浄液付与装置本体フレーム62は、廃液トレイ44の上に水平に設置される。
【0103】
洗浄液ノズル64C、64M、64Y、64Kは、ヘッドごとに設けられ、ヘッド32の設置間隔に合わせて、洗浄液付与装置本体フレーム62に取り付けられる。
【0104】
なお、洗浄液ノズル64C、64M、64Y、64Kの各構成は同じなので、特に区別する場合を除いて洗浄液ノズル64と記載する。
【0105】
洗浄液ノズル64は、ノズル面33の幅に対応した幅を有する噴出口を有しており、この噴出口から洗浄液を噴き出す。各洗浄液ノズル64は、上方に向けて洗浄液を噴射するようにして、洗浄液付与装置本体フレーム62に設置される。
【0106】
各ヘッド32は、この洗浄液ノズル64の上を通過する際、噴出口から噴き出される洗浄液がノズル面33に当たり、ノズル面33が湿潤される(ノズル面33に洗浄液が付与される)。
【0107】
各洗浄液ノズル64は、それぞれ洗浄液配管68を介して洗浄液タンク66に接続される。洗浄液ポンプ70は、洗浄液配管68の途中に設けられ、洗浄液タンク66に貯留された洗浄液を各洗浄液ノズル64に送液する。洗浄液バルブ72は、洗浄液配管68の途中に設けられ、洗浄液配管68の管路を開閉する。
【0108】
なお、洗浄液ポンプは、洗浄液ノズルごとに個別に設ける構成としてもよいし、一つの洗浄液ポンプを共通して使用する構成としてもよい。洗浄液バルブについても同様である。
【0109】
洗浄液付与装置60は、以上のように構成される。洗浄液付与装置60の動作は、インクジェット記録装置の全体を制御する制御装置(図示せず)によって制御される。制御装置は、洗浄液ポンプ70及び洗浄液バルブ72の駆動を制御して、洗浄液の付与を制御する。
【0110】
図6は、払拭装置80の概略構成を示す正面図である。また、図7、図8は、それぞれ図6の7−7断面図、8−8断面図である。
【0111】
払拭装置80は、主として、払拭装置本体フレーム82と、払拭装置本体フレーム82に取り付けられる払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、払拭装置本体フレーム82に取り付けられた各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの高さを調整する高さ調整機構84C、84M、84Y、84Kと、払拭装置本体フレーム82に取り付けられた各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの水平方向の傾きを調整する水平傾き調整機構86C、86M、86Y、86Kと、払拭装置本体フレーム82に取り付けられた各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの位置を調整する位置調整機構88C、88M、88Y、88Kと、払拭装置本体フレーム82に取り付けられた各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの垂直方向の傾きを調整する垂直傾き調整機構90C、90M、90Y、90Kと、払拭装置本体フレーム82を昇降させる払拭装置本体昇降機構92とで構成される。
【0112】
払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、帯状に形成された払拭ウェブ104を走行させながらヘッド32のノズル面33に当接させて、ノズル面33を払拭する。払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、ヘッドごとに設けられ、ヘッド32の設置間隔に合わせて、払拭装置本体フレーム82に設置される。なお、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成は同じなので、ここでは払拭ユニット100として、その構成を説明する。
【0113】
図6〜図8に示すように、払拭ユニット100は、主として、ケース112と、払拭ウェブ104を繰り出す繰出軸114と、払拭ウェブ104を巻き取る巻取軸116と、巻取軸116を回転駆動する巻取モータ118と、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ104が押圧ローラ120に巻き掛けられるようにガイドする一組の繰出ガイド122、122と、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104が巻取軸116に巻き取られるようにガイドする一組の巻取ガイド124、124と、払拭後の払拭ウェブ104の状態を読み取るラインスキャナ126とで構成される。
【0114】
払拭ウェブ104は、たとえば、PET、PE、NY等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシートで構成され、ヘッド32のノズル面33の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。この払拭ウェブ104は、繰出コア106にロール状に巻かれ、先端が巻取コア108に固定された状態で提供される。
【0115】
ケース112は、ケース本体128と蓋130とで構成される。ケース本体128は、四角い箱状に形成され、上面部と前面部とが開口して形成される。
【0116】
蓋130は、図示しないヒンジを介して、ケース本体128の前面部に開閉自在に取り付けられる。
【0117】
繰出軸114は、その軸部の一端がケース本体128に設けられた軸支持部134に固定されて、ケース本体128の内部に水平に設置される。この繰出軸114は、二重管構造とされ、内筒の周りを外筒が回転可能に支持される。内筒と外筒との間には、逆回転防止機構及びフリクション機構が配置され、外筒は一定の抵抗をもって一方向(払拭ウェブ104の繰出方向)にのみ回転するように構成される。
【0118】
払拭ウェブ104の繰出コア106は、この繰出軸114に嵌めて装着される。
【0119】
巻取軸116は、その軸部の一端がケース本体128に設けられた軸支持部136に回転自在に支持されて、ケース本体128の内部に水平に設置される。この巻取軸116は、二重構造とされ、内筒の周りを外筒が回転可能に支持される。内筒と外筒との間には、トルクリミッタが配置され、一定以上の負荷(トルク)が掛かると、内筒に対して外筒が滑るように構成される。
【0120】
払拭ウェブ104の巻取コア108は、この巻取軸116に嵌めて装着される。
【0121】
巻取モータ118は、ケース本体128の背面に配置される。この巻取モータ118は、巻取軸116と同軸上に配置され、巻取軸116に連結される。巻取軸116は、この巻取モータ118に駆動されて、一方向(払拭ウェブ104の巻取方向)に回転する。この際、上記のように、巻取軸116は、一定以上の負荷が掛かると滑る。これにより、払拭ウェブ104に過剰な張力が掛かるのを防止できる。
【0122】
押圧ローラ120は、その軸部の一端がケース本体128に設けられた軸支持部138に回転自在に支持されて、ケース本体128の内部に水平に設置される。押圧ローラ120は、払拭ウェブ104の幅に対応したゴムローラで構成され、その一部がケース本体128の上面開口部から突出するように配置される。
【0123】
一組の繰出ガイド122、122は、それぞれその軸部の一端がケース本体128に設けられた軸支持部140、140に回転自在に支持されて、ケース本体128の内部に水平に設置される。この一組の繰出ガイド122、122は、上下に一定の間隔をもって並列して配置され、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ104を押圧ローラ120に向けてガイドする。
【0124】
一組の巻取ガイド124、124は、それぞれその軸部の一端がケース本体128に設けられた軸支持部142、142に回転自在に支持されて、ケース本体128の内部に水平に設置される。この一組の巻取ガイド124、124は、上下に一定の間隔をもって並列して配置され、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104を巻取軸116に向けてガイドする。
【0125】
繰出ガイド122と巻取ガイド124は、押圧ローラ120を挟んで左右対称に配置され、繰出軸114と巻取軸116も押圧ローラ120を挟んで左右対称に配置される。
【0126】
ラインスキャナ126は、前記一組の巻取ガイド124、124の間を走行する払拭ウェブ104に対向するように配置され、ケース本体128の内壁面に水平に取り付けられる(一組の巻取ガイド124、124の間を走行する払拭ウェブ104の走行方向に対して直交するように取り付けられる。)。
【0127】
ノズル面33を払拭した払拭ウェブ104は、巻取軸116に巻き取られる前にその汚れ状態がラインスキャナ126で読み取られる。
【0128】
以上のように構成される払拭ユニット100は、払拭ウェブ104を装着し、巻取モータ118を駆動すると、払拭ウェブ104が繰出軸114から繰り出されて、巻取軸116に巻き取られる。これにより、払拭ウェブ104が走行する。この際、繰出軸114は、フリクション機構によってフリクションが付与される一方、巻取軸116は、トルクリミッタによって一定の負荷が掛かると滑るので、払拭ウェブ104に一定の張力を付与して走行させることができる。
【0129】
なお、上記のように、払拭ウェブ104は、繰出コア106にロール状に巻かれた状態で提供されるので、払拭ユニット100への装着(交換)もこの状態で行われる。具体的には、繰出コア106を繰出軸114に嵌めて装着したのち、繰出ガイド122、押圧ローラ120、巻取ガイド124に順に巻き掛け、巻取コア108を巻取軸116に嵌めて、装着を完了する。
【0130】
高さ調整機構84C、84M、84Y、84Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに設けられる。各高さ調整機構84C、84M、84Y、84Kの構成は同じなので、特に区別する場合を除いて、高さ調整機構84と記載する。
【0131】
高さ調整機構84は、ベース84Bと、そのベース84Bに対して昇降自在(図6においてZ方向に昇降自在)に設けられた昇降ステージ84Aと、昇降ステージ84Aを昇降させる昇降駆動手段(図示せず)とで構成される。この高さ調整機構84は、ヘッド32の設置間隔に合わせて、払拭装置本体フレーム82に取り付けられる。この際、昇降ステージ84Aが、水平になるようにして(ノズル面33と平行になるようにして)、ベース84Bが払拭装置本体フレーム82に取り付けられる。
【0132】
水平傾き調整機構86C、86M、86Y、86Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに設けられる。各水平傾き調整機構86C、86M、86Y、86Kの構成は同じなので、特に区別する場合を除いて、水平傾き調整機構86と記載する。
【0133】
水平傾き調整機構86は、ベース86Bと、そのベース86Bに対して垂直な軸(図6のθ軸)の周りを回転自在に設けられた回転ステージ86Aと、回転ステージ86Aを回転させる回転駆動手段(図示せず)とで構成される。この水平傾き調整機構86は、ヘッド32の設置間隔に合わせて、高さ調整機構84の昇降ステージ84Aの上に設置される。この際、回転ステージ86Aが、水平になるようにして(ノズル面33と平行になるようにして)、ベース86Bが昇降ステージ84Aの上に取り付けられる。
【0134】
位置調整機構88C、88M、88Y、88Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに設けられる。各位置調整機構88C、88M、88Y、88Kの構成は同じなので、特に区別する場合を除いて、位置調整機構88と記載する。
【0135】
位置調整機構88は、ベース88Bと、そのベース88Bに平行な面内(図6においてZ軸と直交する面(XY平面)内)をスライド移動自在に設けられたスライドステージ88Aと、スライドステージ88Aをスライド移動させるスライド駆動手段(図示せず)とで構成される。この位置調整機構88は、ヘッド32の設置間隔に合わせて、水平傾き調整機構86の回転ステージの上に設置される。この際、スライドステージ88Aが、水平になるようにして(ノズル面33と平行になるようにして)、ベース88Bが回転ステージ86Aの上に取り付けられる。
【0136】
垂直傾き調整機構90C、90M、90Y、90Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに設けられる。各垂直傾き調整機構90C、90M、90Y、90Kの構成は同じなので、特に区別する場合を除いて、垂直傾き調整機構90と記載する。
【0137】
垂直傾き調整機構90は、ベース90Bと、そのベース90Bに対して水平な軸(図6において軸H)の周りを揺動自在に設けられた揺動ステージ90Aと、揺動ステージ90Aを揺動させる揺動駆動手段(図示せず)とで構成される。この垂直傾き調整機構90は、ヘッド32の設置間隔に合わせて、位置調整機構88のスライドステージ88Aの上に設置される。この際、中立状態(傾きのない状態)の揺動ステージ90Aが、水平になるようにして(ノズル面33と平行になるようにして)、ベース90Bがスライドステージ88Aの上に取り付けられる。
【0138】
揺動ステージ90Aの上には、払拭ユニット取付部94が設けられており、払拭ユニット100は、この払拭ユニット取付部94に着脱自在に取り付けられる。
【0139】
払拭ユニット取付部94に取り付けられた払拭ユニット100は、押圧ローラ120が、ヘッド32の長手方向に対して直交するように配置される(=ヘッド32の移動方向に対して直交するように配置される。)。したがって、巻取モータ118を駆動すると、払拭ウェブ104は、ヘッド32の長手方向に沿って走行する(=ヘッド32の移動方向と平行に走行する。)。
【0140】
払拭装置本体昇降機構92は、インクジェット記録装置の本体フレーム(図示せず)に取り付けられ、払拭装置本体フレーム82を垂直(図6においてZ方向)に昇降させる。払拭装置本体フレーム82は、この払拭装置本体昇降機構92に駆動されて、垂直に上下動し、所定の作動位置と退避位置との間を移動する。
【0141】
払拭装置本体フレーム82に取り付けられた払拭ユニット100は、払拭装置本体フレーム82が作動位置に移動すると、払拭位置に移動する。この払拭位置は、ヘッド支持フレーム34をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させたときに、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104が、ヘッド32のノズル面33に当接する位置に設定される。
【0142】
また、払拭装置本体フレーム82が退避位置に移動すると、払拭ユニット100は、待機位置に移動する。この待機位置は、ヘッド支持フレーム34をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させても、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104が、ヘッド32のノズル面33に当接しない位置に設定される。
【0143】
したがって、払拭ユニット100を払拭位置に移動させれば、ノズル面33を払拭でき、待機位置に移動させれば、払拭をやめることができる。
【0144】
また、払拭装置本体フレーム82に取り付けられた払拭ユニット100は、高さ調整機構84によって、上下方向の設置高さを微調整することができ、水平傾き調整機構86によって、水平方向の傾きを微調整することができる。また、位置調整機構88によって、水平面内での設置位置を微調整することができ、垂直傾き調整機構90によって、垂直方向の傾きを微調整することができる。
【0145】
たとえば、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104が、ノズル面33に強く当たりすぎる場合は、高さ調整機構84によって、上下方向の設置高さを微調整し、適正な押圧力になるように修正する。
【0146】
また、たとえば、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104の走行方向が、ヘッド32の移動方向と平行になっていない場合は、水平傾き調整機構86によって、水平方向の傾きを微調整し、払拭ウェブ104の走行方向とヘッド32の移動方向とが平行になるように修正する。
【0147】
また、通常、払拭ウェブ104は、その幅方向の中心が、ノズル面33の幅方向の中心に位置するようにして、ノズル面33に当接されるが、互いの幅方向の中心がズレている場合には、位置調整機構88によって、水平面内での設置位置を微調整し、互いの幅方向の中心が一致するように位置を修正する。
【0148】
また、たとえば、押圧ローラ120がノズル面33に対して傾いている場合には、垂直傾き調整機構90によって、垂直方向の傾きを微調整し、押圧ローラ120とノズル面33とが平行になるように修正する。
【0149】
このような修正は、払拭結果から知ることができ、本実施の形態のインクジェット記録装置では、この修正を自動で行う。この点については、のちに詳述する。
【0150】
払拭装置80は、以上のように構成される。払拭装置80の動作は、インクジェット記録装置の全体を制御する制御装置によって制御される。制御装置は、所定の制御プログラムを実行して、払拭ユニット100、高さ調整機構84、水平傾き調整機構86、位置調整機構88、垂直傾き調整機構90、払拭装置本体昇降機構92の駆動を制御して、払拭動作を制御する。また、所定の制御プログラムを実行して、設定の修正を自動で行う。
【0151】
〈画像記録方法〉
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置10による画像記録方法について概説する。
【0152】
まず、画像記録前の準備として、ヘッド支持フレーム34を画像記録位置に移動させる。これにより、各ヘッド32が、用紙搬送機構20の上方にセットされ、画像の記録が可能になる。
【0153】
用紙Pは、図示しない給紙機構によって用紙搬送機構20に給紙される。なお、必要に応じて、所定の前処理(たとえば、所定の処理液の塗布等)が施される。
【0154】
用紙搬送機構20は、給紙機構によって給紙された用紙Pを受け取り、水平に搬送する。
【0155】
各ヘッド32は、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに向けてインク滴を吐出し、用紙Pの表面に画像を記録する。
【0156】
画像が記録された用紙Pは、図示しない回収機構によって回収される。なお、必要に応じて、乾燥、定着等の処理が行われる。
【0157】
用紙Pを連続的に給紙することにより、連続的に画像の記録処理が行われる。
【0158】
〈ノズル面の清掃方法〉
次に、ノズル面の清掃方法について説明する。
【0159】
上記のように、本実施の形態のインクジェット記録装置では、ヘッド支持フレーム34が、メンテナンス位置から画像記録位置に移動するときのヘッド32の移動を利用して、ノズル面33を清掃する。
【0160】
まず、制御装置は、払拭装置本体昇降機構92を駆動して、待機位置に位置している払拭装置本体フレーム82を作動位置に移動させる。これにより、各払拭ユニット100が、所定の払拭位置に位置する。
【0161】
次に、制御装置は、メンテナンス位置に位置しているヘッド支持フレーム34を画像記録位置に向けて一定の速度で移動させる。
【0162】
次に、制御装置は、ヘッド32の先端(ここでは、画像記録位置側の端部)が、洗浄液ノズル64に到達するタイミングに合わせて、洗浄液バルブ72を開くとともに、洗浄液ポンプ70を駆動する。これにより、洗浄液が洗浄液ノズル64から噴射される。そして、この洗浄液が噴射された洗浄液ノズル64の上をヘッド32が通過することにより、洗浄液ノズル64から噴射される洗浄液がノズル面33に当たり、ノズル面33に洗浄液が付与される(ノズル面33が湿潤される。)。
【0163】
また、制御装置は、ヘッド32の先端が払拭ユニット100に到達するタイミングに合わせて、巻取モータ118を駆動する。これにより、払拭ウェブ104が巻取軸116に巻き取られ、一定の速度で走行する。このとき、払拭ウェブ104は、ヘッド32の移動方向と逆向きに走行する。ヘッド32は、この払拭ユニット100の上を通過することにより、払拭ウェブ104がノズル面33に当接され、ノズル面33が払拭される。
【0164】
制御装置は、ヘッド32の後端(ここでは、メンテナンス位置側の端部)が、洗浄液ノズル64を通過するタイミングに合わせて、洗浄液ポンプ70の駆動を停止するとともに、洗浄液バルブ72を閉じる。これにより、洗浄液の噴射が停止される。
【0165】
また、制御装置は、ヘッド32の後端が払拭ユニット100を通過するタイミングに合わせて、巻取モータ118の駆動を停止する。これにより、払拭ウェブ104の走行が停止する。
【0166】
この後、制御装置は、払拭装置本体昇降機構92を駆動して、払拭装置本体フレーム82を下降させ、退避位置に移動させる。
【0167】
以上により、ノズル面の清掃が完了する。各ヘッド32のノズル面33は、洗浄液が付与されたのち、走行する払拭ウェブ104が押圧当接されることにより払拭され、表面に付着する汚れが除去される。
【0168】
〈設定の修正方法〉
上記のように、払拭ユニット100は、払拭装置本体フレーム82に設けられた払拭ユニット取付部94に取り付けられる。
【0169】
払拭装置本体フレーム82には、高さ調整機構84、水平傾き調整機構86、位置調整機構88、及び、垂直傾き調整機構90の各調整機構が備えられており、上下方向の設置高さ調整、水平方向の傾き調整、水平面内での位置調整、及び、垂直方向の傾き調整を行うことができる。
【0170】
各調整機構は、それぞれ調整の基準点(原点)を有している。各調整機構は、基準状態において、各ステージが、基準点(原点)に位置する。たとえば、高さ調整機構84は、昇降ステージ84Aがベース84Bから所定高さの位置(昇降ステージの原点)に位置し、水平傾き調整機構86は、回転ステージ86Aが、ベース86Bに対して所定の回転位置(回転ステージの原点)に位置する(回転ステージ86Aに設定された所定の回転指標が、ベース86Bに設定された回転基準点に位置する。)。また、位置調整機構88は、スライドステージ88Aが、ベース86Bに対して所定位置(スライドステージの原点)に位置し(スライドステージ88Aに設定された所定の移動指標(たとえば、スライドステージ88Aの中心)が、ベース86Bに設定された移動基準点(ベース88Bの中央)上に位置する。)、垂直傾き調整機構90は、揺動ステージ90Aが水平になる位置(揺動ステージの原点)に位置する。
【0171】
各調整機構を基準状態に設定して、払拭ユニット100を払拭ユニット取付部94に取り付けると、払拭ユニット100は、原則として、ヘッド32のノズル面33を適切に払拭可能に取り付けられる。すなわち、払拭装置本体フレーム82を作動位置に移動させたときに、押圧ローラ120に巻き掛けられた払拭ウェブ104が、ヘッド32のノズル面33に当接するように取り付けられる。また、払拭ウェブ104を走行させたときに、ヘッド32の走行方向と平行に払拭ウェブ104が走行するように取り付けられる。
【0172】
したがって、この状態で払拭動作を行えば、原則として、適切に払拭を行うことができる。
【0173】
しかしながら、払拭ユニット100の取り付けが正しく行われていなかったり、払拭ウェブ104の装着が適切に行われていなかったり、払拭ユニット100や払拭装置80の製造自体に誤差などがあったりした場合には、適切な払拭を行うことができなくなる。
【0174】
そこで、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、ノズル面33を払拭した後の払拭ウェブ104の状態を観察して設定の適否を判定し、その結果に基づいて、設定を適正化する。
【0175】
設定の適否の判定は、設定が適正になされているときの払拭ウェブ104の汚れ状態(インクの染み込み状態)をあらかじめ求めておき、これとの比較で設定の適否を判定する。すなわち、何らかの設定異常が生じると、払拭ウェブ104の汚れ状態に変化が生じるので、設定が適正になされているときの払拭ウェブ104の汚れ状態と比較して、設定の適否(払拭の成否を含む)を判定する。
【0176】
以下、払拭後の払拭ウェブ104の汚れ状態に基づく設定の適否の判定方法及び修正方法について説明する。
【0177】
図9は、払拭に関する設定が適正になされているときの払拭ウェブの汚れ状態(インクの染み込み状態)を模式的に表した図である。
【0178】
同図に示すように、払拭に関する設定が適正になされている場合、払拭ウェブ104は、適切な位置でノズル面33に当接し(幅方向の中心がノズル面の幅方向の中心(ノズル列が形成されている部位)に当接する。)、かつ、適切な押圧力でノズル面33に当接する。
【0179】
この場合、払拭後の払拭ウェブ104は、所定の濃度分布をもって、ほぼ左右対称に汚れる(インクが染み込む)。
【0180】
本実施の形態のインクジェット記録装置では、払拭ユニット100にラインスキャナ126が搭載されており、払拭後の払拭ウェブ104の状態を読み取ることができる。
【0181】
ラインスキャナ126で読み取られた払拭ウェブ104の画像情報は、制御装置に出力される。制御装置は、得られた画像情報を処理して、濃度分布の情報を生成する。
【0182】
すなわち、本実施の形態では、払拭ウェブの104の汚れ状態を濃度分布として計測し、その計測結果に基づいて、設定の適否を検査する。
【0183】
図10は、払拭に関する設定が適正になされているときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0184】
払拭に関する設定が適正になされているとき、濃度分布は、所定の濃度差をもって、ほぼ左右対称に現れる。
【0185】
制御装置は、この払拭に関する設定が適正になされているときの濃度分布の情報を基準情報として所有し、これとの比較で設定の適否を判定する。
【0186】
図11は、押圧ローラ120がノズル面33に対して傾いているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図であり、図12は、そのときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0187】
同図に示すように、押圧ローラ120がノズル面33に対して傾いている場合、払拭ウェブ104は、幅方向のいずれかに偏りをもって、ノズル面33に押圧されるので、払拭後の払拭ウェブ104には濃度勾配が生じる。
【0188】
制御装置は、ラインスキャナ126から得られた払拭後の払拭ウェブ104の濃度分布の情報を生成し、基準の濃度分布と比較して、一定以上の勾配の有無(平行度)を検出する。そして、一定以上の勾配を有すると判定すると、押圧ローラ120がノズル面33に対して傾いて当接されていると判断する(平行ではないと判断する)。
【0189】
この場合、制御装置は、基準状態からのズレ量に応じて、傾きを是正するように、押圧ローラ120の姿勢を修正する。具体的には、垂直傾き調整機構90によって、払拭ユニット100の垂直方向の傾き量を調整し、押圧ローラ120の姿勢を修正する。
【0190】
図13は、払拭ウェブの押圧力が低いときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図であり、図14は、そのときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0191】
同図に示すように、払拭ウェブ104の押圧力が低いとき、幅方向の両端部と中央部とを比較した濃度差が小さくなる。
【0192】
制御装置は、ラインスキャナ126から得られた払拭後の払拭ウェブ104の濃度分布の情報を生成し、幅方向の両端部の濃度と中央部の濃度との濃度差を求める。そして、求めた濃度差を基準の濃度分布の濃度差と比較して、基準の濃度分布の濃度差よりも小さいことを検出すると、払拭ウェブ104の押圧力が不足していると判断する。
【0193】
この場合、制御装置は、基準の濃度分布の濃度差との差分に応じて、押圧力不足を是正するように、押圧ローラ120の押圧力を修正する。具体的には、高さ調整機構84によって、払拭ユニット100の高さ位置を調整し(この場合、上昇させる)、押圧ローラ120の押圧力を修正する。
【0194】
なお、この場合、ヘッド側の高さ位置を調整することによっても是正することができる。
【0195】
図15は、払拭ウェブの押圧力が高いときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図であり、図16は、そのときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0196】
同図に示すように、払拭ウェブ104の押圧力が高いとき、幅方向の両端部と中央部とを比較した濃度差が大きくなる。
【0197】
制御装置は、ラインスキャナ126から得られた払拭後の払拭ウェブ104の濃度分布の情報を生成し、幅方向の両端部の濃度と中央部の濃度との濃度差を求める。そして、求めた濃度差を基準の濃度分布の濃度差と比較し、基準の濃度分布の濃度差よりも大きいことを検出すると、払拭ウェブ104の押圧力過剰と判断する。
【0198】
この場合、制御装置は、基準の濃度分布の濃度差との差分に応じて、押圧力不足を是正するように、押圧ローラ120の押圧力を修正する。具体的には、高さ調整機構84によって、払拭ユニット100の高さ位置を調整し(この場合、下降させる)、押圧ローラ120の押圧力を修正する。
【0199】
なお、この場合、ヘッド側の高さ位置を調整することによっても是正することができる。
【0200】
図17は、払拭ウェブに縒れが生じているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図であり、図18は、そのときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0201】
同図に示すように、払拭ウェブ104に縒れが生じると、一部が欠けた濃度分布(一部が薄くなった濃度分布)となる。
【0202】
制御装置は、ラインスキャナ126から得られた払拭後の払拭ウェブ104の濃度分布の情報を生成し、欠けの有無を検出する。そして、濃度分布に欠けた領域があることを検出すると、払拭ウェブ104に縒れが生じていると判断する。
【0203】
この場合、制御装置は、たとえば、警告を発し、払拭ウェブ104の巻き直し等を促す。あるいは、払拭ウェブ104の張力(張りの強さ)を調整する。
【0204】
図19は、払拭ウェブの当接位置がズレているときの払拭ウェブの汚れ状態を模式的に表した図であり、図20は、そのときの濃度分布の一例を表すグラフである。
【0205】
同図に示すように、払拭ウェブ104の中心とヘッドの中心とが一致していないと、濃度分布が左右にズレて現れる。
【0206】
制御装置は、ラインスキャナ126から得られた払拭後の払拭ウェブ104の濃度分布の情報を生成する。そして、得られた濃度分布を基準の濃度分布と比較し、位置ずれの有無(濃度分布が現れる位置のズレの有無)を検出する。そして、位置ズレがあることを検出すると、払拭ウェブ104の当接位置にズレが生じていると判断する。
【0207】
この場合、制御装置は、ズレ量に応じて、ズレを是正するように、払拭ウェブ104の当接位置を修正する。具体的には、位置調整機構88によってによって、払拭ユニット100の位置を調整し、払拭ウェブ104を当接させる位置を修正する。
【0208】
このように、払拭後の払拭ウェブ104の汚れ状態を観察することにより、払拭に関する設定の適否を判定できるとともに、設定が不適切な場合は、その不適切な設定を特定することができる。これにより、容易に払拭に関する設定を適正化することができる。
【0209】
払拭後の払拭ウェブ104の汚れ状態からその適否を判定できる設定は、上記のものに限らず、他の設定についても、その適否を調べることができる。
【0210】
たとえば、図21に示すように、払拭ウェブ104の走行方向における汚れの吸収領域の長さを計測し、基準状態と比較することにより、払拭ウェブ104の走行速度(送り量)の適否を判定することができる。すなわち、払拭ウェブ104の走行速度が適切ではないと、汚れの吸収領域の長さが、基準状態に比べて長短長くなるので、汚れの吸収領域の長さを計測することによって、払拭ウェブ104の走行速度の適否を判定することができる。
【0211】
払拭ウェブ104の走行速度が不適切な場合は、基準状態からのズレ量に応じて、払拭ウェブ104の走行速度を修正する(この場合、たとえば、巻取モータ118の回転数を修正する。)。
【0212】
なお、払拭ウェブ104の走行速度は、相対的なものであるので、ヘッドの移動速度を修正することによっても是正することができる。
【0213】
また、ノズルメニスカス位置が、適正な位置に設定されていない状態でノズル面を払拭すると、払拭後の払拭ウェブ104は、中央部と両端部との濃度差が小さい又は大きい濃度分布となる。したがって、この濃度差を求めることによって、ノズルメニスカス位置の適否を判定することができる。ノズルメニスカス位置が不適切な場合は、ヘッド側でノズルメニスカス位置を調整する(たとえば、背圧の調整等を行う)。
【0214】
また、本実施の形態のインクジェット記録装置のように、事前にノズル面を湿潤させて払拭する場合、その湿潤量が不足又は過剰になると、濃度分布の両端のエッジ部の濃度が、基準状態と比較して変位する。したがって、濃度分布の両端のエッジ部の濃度を検出することにより、湿潤量の適否を判定することができる。湿潤量が不足又は過剰の場合は、湿潤量を増減させて適正化する。本実施の形態の場合は、洗浄液の噴射量を増減して適正化する。
【0215】
このように、払拭後の払拭ウェブ104の状態を撮像し、その画像を解析することにより、各種設定の適否を判定することができる。そして、その判定結果に基づいて、設定を適正化することができる。
【0216】
なお、検査及び修正は、リアルタイムに行う(払拭中、常時行う)ようにしてもよいし、また、清掃終了後に行うようにしてもよい。
【0217】
図22は、清掃終了後に払拭に関する設定の適否を検査し、修正する手順を示すフローチャートである。
【0218】
清掃を開始し(ステップS1)、清掃が終了すると(ステップS2)、ラインスキャナ126から得られる画像を解析し、設定の適否を判定する(ステップS3)。
【0219】
まず、得られた濃度分布の一部に欠け、すなわち、濃度が薄い領域があるか否かを判定する(ステップS4)。濃度分布に欠けが生じている場合は、払拭ウェブ104に縒れが生じているものと推定できる。したがって、この場合は、払拭ウェブ104の再装着、あるいは、張力の適正化等を図る(ステップS5)。この後、再度、清掃を実施する。
【0220】
濃度分布の一部に欠けがない場合、次に、吸収領域の長さが適正か否かを判定する(ステップS6)。吸収領域の長さが、基準状態に比して、長い又は短い場合、払拭ウェブ104の走行速度が不適切であると推定できる。したがて、この場合は、払拭ウェブ104の走行速度の適正化を図る(ステップS7)。この後、再度、清掃を実施する。
【0221】
吸収領域の長さが適正な場合、次に、濃度分布の勾配の有無を判定する(ステップS8)。濃度分布に勾配が生じている場合、押圧ローラ120に傾きが生じていると推定できる(押圧力に偏りが生じていると推定できる)。したがって、この場合は、押圧ローラ120の姿勢の適正化を図る(ステップS9)。この後、再度、清掃を実施する。
【0222】
濃度分布に勾配がない場合、次に、濃度差の適否を判定する(ステップS10)。濃度差が、基準状態に比して大きい又は小さい場合、押圧力が不足又は過剰と推定できる。したがって、この場合は、押圧力の適正化を図る(ステップS11)。この後、再度、清掃を実施する。
【0223】
濃度差が適正な場合、次に、エッジ部の濃度の適否を判定する(ステップS12)。エッジ部の濃度が適正ではない場合、洗浄液の付与量が過剰又は不足していると推定できる。したがって、この場合は、洗浄液の適正化を図る(ステップS13)。この後、再度、清掃を実施する。
【0224】
エッジ部の濃度が適正な場合は、適正な設定の下で清掃ができたものとみなして、処理を終了する。
【0225】
このように、払拭後の払拭ウェブ104の状態を観察して、設定状態の適否を判定し、適宜修正を行って清掃を行う。これにより、ノズル面33を適切に清掃することができる。
【0226】
なお、上記の手順は一例であり、その実施項目、実施する順番等は、適宜変更することができる。
【0227】
ただし、払拭ウェブ104に縒れが生じている場合は、拭き残し等が発生するので、最初に検査することが好ましい。
【0228】
また、検査結果に基づく修正は、修正量を自動で求めて、自動で修正するようにしてもよいし、オペレータが手動操作して修正するようにしてもよい。払拭ウェブ104の再装着を行う場合を除いて、各項目の修正は自動で行うことができるので、検査、修正を自動で行うことができる(縒れの場合は、たとえば、警告等を発するようにする。)。
【0229】
なお、上記のように、設定の適否の判定は、基準状態(設定が適正な時の払拭ウェブの汚れ状態)との対比で行われるが、ノズル面33の汚れ方は、ヘッド32の使用期間や印刷処理枚数に応じて変化し、それに応じて払拭ウェブ104の汚れ状態も変化する。
【0230】
したがって、より適切な判定を行うためには、ヘッド32の使用期間や印刷処理枚数に応じて判定基準を切り替えることが好ましい。たとえば、ヘッド32の使用期間や印刷枚数に応じて、適正と認めるための許容範囲を切り替えるようにする。これにより、より適切に設定の適否を判定することができる。
【0231】
また、インクの色や種類によって、払拭ウェブ104の汚れ状態も変化する場合があるので、この場合は、ヘッドが吐出するインクごとに判定基準を設定することが好ましい。
【0232】
また、たとえば、図23に示すように、ヘッド32が、複数のヘッドモジュール32A、32B、…を繋ぎ合わせて構成される場合、図24に示すように、ヘッドモジュールごとに汚れ方が変わる。
【0233】
そこで、このように複数のヘッドモジュール32A、32B、…を繋ぎ合わせて構成されるヘッド32を払拭する場合は、払拭後の払拭ウェブ104の状態からヘッドモジュールごと払拭に関する設定の適否を判定し、設定を適正化することが好ましい。
【0234】
たとえば、払拭するヘッドモジュールが切り替わるごとに払拭ユニット100の位置、高さ、傾き等を修正し、適正化を図る。
【0235】
適正化された場合は、たとえば、図25に示すように、各ヘッドモジュールの切り替わりが、ほぼ判別できないような汚れ状態となる(長手方向にほぼ均一な汚れ状態となる。)。
【0236】
なお、本実施の形態では、移動するヘッド32に対して、払拭ウェブ104を走行させながらノズル面33に当接させて、ノズル面33を払拭しているが、移動するヘッド32に対して、払拭ウェブ104を停止させた状態でノズル面33に当接させて、ノズル面33を払拭するようにしてもよい。この場合であっても、設定が不適切な場合は、設定が適正なときとは異なる汚れ状態となるので、払拭後の払拭ウェブ104の汚れ状態を読み取ることにより、設定の適否を判定することができる。
【0237】
また、本実施の形態では、帯状に形成された払拭ウェブ104でノズル面を払拭する構成としているが、ノズル面を払拭する払拭部材は、これに限定されるものではない。汚れ(インク等)を吸収する構造のものであればよい。たとえば、スポンジや多孔質ローラ等で払拭する構成のものでもよい。これらの構成の払拭部材であっても、払拭後の汚れの吸収状態から設定の適否を検査することができる。
【0238】
≪第2の実施の形態≫
図26は、本発明に係るインクジェット記録装置の第2の実施の形態の要部の構成を示す側面図である。
【0239】
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置は、用紙搬送機構200が、ドラム搬送機構で構成される。ドラム搬送機構では、ドラム202の周面に用紙Pを吸着させ、ドラム202を回転させることにより、用紙Pを搬送する。
【0240】
この場合、ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ドラム202の周囲に放射状に配置される。この結果、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ノズル面33C、33M、33Y、33Kが傾斜して配置される。
【0241】
ノズル面33C、33M、33Y、33Kが傾斜して配置される結果、図27に示すように、払拭ユニット100も傾斜して設置され、傾斜した状態でノズル面33C、33M、33Y、33Kを払拭する。傾斜して配置される以外、基本的な構成は上述した第1の実施の形態の払拭装置80の構成と同じである。
【0242】
このようにノズル面33が傾斜して設置される場合、傾斜方向に沿って洗浄液が流れ落ちるため、払拭すると、払拭ウェブ104はヘッドごとに異なった汚れ方をする(傾斜量によって異なった汚れ方をする。)。
【0243】
たとえば、図28に示すように、高さが低い側(図28の場合、Aの側)に偏った濃度分布となる(高さが低い側が濃い濃度分布となる)。
【0244】
この場合、水平に設置されたヘッドと同じ判定基準で払拭に関する設定の適否を判定すると、誤判定を生じるおそれがある。
【0245】
そこで、このようにノズル面33が傾斜して設置されたインクジェット記録装置の場合は、ヘッドごとに払拭に関する設定の適否の判定基準を設定し、ヘッドごとその適否を個別に判定する。
【0246】
これにより、より適切に設定の適否の判定を行うことができ、ノズル面清掃ユニットをヘッドごとに最適な状態に設定して、清掃することができる。
【0247】
≪払拭装置の他の実施の形態≫
上記のように、ヘッドが傾斜して設置されている場合、ノズル面を払拭する払拭ユニットも傾斜させる必要がある。
【0248】
しかし、払拭ユニットを傾斜させて設置すると、設置に必要なスペースが大きくなり、装置が大型化するという問題がある。
【0249】
したがって、この場合、押圧ローラのみを傾斜させた構成とすることが好ましい。
【0250】
図29は、各払拭ユニットの押圧ローラのみを傾斜させた払拭装置の構成を示す側面図(メンテナンス位置側から見た側面図)である。
【0251】
同図に示すように、払拭装置は、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kに対応して設けられた払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kと、その払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kがセットされる払拭装置本体フレーム302とで構成されている。
【0252】
〈払拭装置本体フレームの構成〉
払拭装置本体フレーム302は、水平に設置され、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられる。この払拭装置本体フレーム302は、上端部が開口した箱状に形成され、その内部に各払拭ユニット300を装着するための払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kが形成される。
【0253】
払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kは、払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを収容可能な空間として形成され、上部が開口して形成される。各払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kは、各払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kの上部開口部から鉛直下向きに差し込むことにより、各払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kにセットされる。
【0254】
なお、各払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kには、図示しないロック機構が備えられ、装着された払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kをロックできるように構成される。ロック機構は、たとえば、払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kに差し込むと、自動的に作動するように構成される。
【0255】
〈払拭ユニットの構成〉
次に、払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kの構成について説明する。
【0256】
なお、各払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kの基本構成は共通しているので、ここでは払拭ユニット300として、その構成を説明する。払拭ユニット装着部304C、304M、304Y、304Kについても同様であり、払拭ユニット装着部304として説明する。
【0257】
図30は払拭ユニットの平面図、図31は払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図32は払拭ユニットの側面部分断面図、図33は払拭ユニットの正面部分断面図、図34は払拭ユニットの背面図である。
【0258】
図30〜図34に示すように、払拭ユニット300は、傾斜して設置された押圧ローラ318に帯状に形成された払拭ウェブ310を巻き掛け、この押圧ローラ318に巻き掛けた払拭ウェブ310をヘッドのノズル面に押圧当接させることにより、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0259】
この払拭ユニット300は、ケース312と、帯状に形成された払拭ウェブ310を繰り出す繰出軸314と、払拭ウェブ310を巻き取る巻取軸316と、繰出軸314から繰り出された払拭ウェブ310が押圧ローラ318に巻き掛けられるようにガイドする前段ガイド320と、押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310が巻取軸316に巻き取られるようにガイドする後段ガイド322と、払拭ウェブ310を搬送するグリッドローラ(駆動ローラ)324と、払拭後の払拭ウェブ310を状態を読み取るラインスキャナ500とを備えて構成される。
【0260】
ケース312は、ケース本体326と蓋328とで構成される。ケース本体326は、縦方向に長い四角い箱状に形成され、上端部と前面部とが開口して形成されている。蓋328は、ヒンジ330を介して、ケース本体326の前面部に取り付けられる。ケース本体326は、この蓋328によって前面部が開閉される。
【0261】
なお、蓋328には弾性変形可能なロック爪332が設けられており、このロック爪332をケース本体326に形成された爪受部334に弾性変形させて係合させることにより、ケース本体326に固定される。
【0262】
繰出軸314は、円柱状に形成され、その基端部をケース本体326に設けられた軸支持部336に固定(片持ち支持)されて、ケース本体326の内部に水平に設置される。この繰出軸314には繰出コア338が着脱自在に装着される。なお、繰出軸314は、繰出コア338の長さよりも若干短く形成される。したがって、繰出コア338が装着されると、繰出軸314は、繰出コア338の内周部に退避する。
【0263】
繰出コア338は、円筒状に形成される。帯状に形成された払拭ウェブ310は、この繰出コア338にロール状に巻回される。
【0264】
繰出コア338は、その内周部に繰出軸314を挿入して、繰出軸314に嵌めることにより、繰出軸314に装着される。繰出軸314に装着された繰出コア338は、繰出軸314の周りを回転して、回転自在に支持される。
【0265】
ここで、図32に示すように、ケース312の蓋328には、繰出軸314の設置位置に対応して繰出コア押え駒339が設けられている。蓋328が閉じられると、この繰出コア押え駒339が、繰出軸314に装着された繰出コア338の端面を軸方向に押圧し、繰出コア338にフリクションを与える。
【0266】
この繰出コア押え駒339は、軸部339Aと、その軸部339Aに摺動自在に設けられた押圧部339Bと、押圧部339Bを軸方向に付勢するバネ339Cとで構成される。
【0267】
軸部339Aは、円柱状に形成され、蓋328の内面に垂直に取り付けられる。この軸部339Aは、蓋328を閉めたときに、繰出軸314と同軸上に位置するように配置される。
【0268】
押圧部339Bは、ボス339B1とフランジ部339B2とで構成される。ボス339B1は、円筒状に形成され、その外周は、繰出コア338の内径とほぼ同じに形成され、繰出コア338の内周部に挿入可能に形成される。また、その内径は軸部339Aの外径とほぼ同じに形成され、軸部339Aに沿って摺動可能に形成される。フランジ部339B2は、ボス339B1の基端部に一体的に形成され、外周方向に張り出して形成される。このフランジ部339B2の基端部の内径は拡大して形成されており、この拡大して形成されたフランジ部339B2の内周部にバネ339Cが収容される。押圧部339Bは、このバネ339Cによって軸部339Aの先端方向に向けて付勢される。
【0269】
なお、軸部339Aの先端には、フランジ部が形成され、このフランジ部により、押圧部339Bの抜けが防止される。
【0270】
以上のように構成された繰出コア押え駒339は、ケース312の蓋328を閉じると、押圧部339Bのボス339B1が、繰出コア338の内周部に嵌入するとともに、フランジ部339B2が、繰出コア338の端面に当接し、バネ339Cの力によって、繰出コア338を軸方向に押圧する。これにより、繰出コア338は、繰出コア押え駒339とフランジ314Aとの間で押圧挟持され、回転に際してフリクションが与えられる。
【0271】
なお、払拭ウェブ310には、たとえば、PET、PE、NY等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシートが用いられ、払拭対象とするヘッドのノズル面の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。
【0272】
巻取軸316は、繰出軸314の下方位置に水平に配設される。すなわち、巻取軸316と繰出軸314とは、上下に並列して配置される。
【0273】
この巻取軸316は、図32に示すように、主軸316Aと、その主軸316Aの周りを周方向に回転自在に設けられた滑り軸316Bと、主軸316Aと滑り軸316Bとを連結するトルクリミッタ316Cとで構成され、一定以上の負荷(トルク)が掛かると、主軸316Aに対して滑り軸316Bが滑るように構成されている。
【0274】
主軸316Aは、円柱の棒状に形成され、その基端部近傍をケース本体326に設けられた軸受部340に回動自在に支持される。
【0275】
滑り軸316Bは、円筒状に形成され、主軸316Aの外周部を周方向に回転自在に設けられる。
【0276】
トルクリミッタ316Cは、滑り軸316Bの先端内周部に配置され、主軸316Aと滑り軸316Bと連結する。このトルクリミッタ316Cは、同軸上に配置された入力側回転体(図示せず)と出力側回転体(図示せず)とを備えており、入力側回転体に対して出力側回転体に一定以上の負荷(トルク)が掛かると、その入力側回転体と出力側回転体との間で滑るように構成されている。トルクリミッタ316Cは、入力側回転体を主軸316Aに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)され、出力側回転体を滑り軸316Bに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)されて、主軸316Aと滑り軸316Bとを回転伝達可能に連結する。これにより、滑り軸316Bに一定以上の負荷が掛かると、主軸316Aに対して滑り軸316Bが滑るように機能する。
【0277】
以上の構成の巻取軸316は、滑り軸316Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲内であれば、滑りは発生せず、滑り軸316Bが主軸316Aとともに一体的に回転する。一方、滑り軸316Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲を超えると、滑り軸316Bと主軸316Aとの間で滑りが生じ、主軸316Aに無理な負荷が掛かるのを防止することができる。
【0278】
この巻取軸316には、繰出コア338から繰り出された払拭ウェブ310を巻き取る巻取コア342が装着される。
【0279】
巻取コア342の構成は、繰出コア338の構成とほぼ同じである。すなわち、円筒状に形成される。繰出コア338に巻回された払拭ウェブ310の先端は、この巻取コア342に固定される。
【0280】
巻取コア342は、その芯部342Aに繰出軸314を嵌めることにより、繰出軸314に装着される。
【0281】
ここで、図32に示すように、巻取コア342は、その内周部にキー溝342Cが形成されている。一方、巻取軸316の外周(滑り軸316Bの外周)には、そのキー溝342Cに嵌合するキー316Dが形成されている。巻取コア342の装着時には、この巻取軸316に形成されたキー316Dを巻取コア342に形成された形成されたキー溝342Cに嵌めて装着する。これにより、巻取軸316の回転を巻取コア342に伝達可能に装着される。
【0282】
また、図32に示すように、ケース312の蓋328の内側には、巻取軸316の設置位置に対応してガイド板343が設けられる。このガイド板343は、払拭ウェブ310の巻取径に対応した径の円盤状に形成され、蓋328が閉じられると、巻取軸316の先端に配置される。
【0283】
また、図32に示すように、巻取軸316の基端部には、ガイド板343とほぼ同径のフランジ316Eが形成される。巻取コア342は、巻取軸316に装着されて、ケース312の蓋328が閉じられると、このフランジ316Eとガイド板343との間に配置される。巻取コア342に巻き取られる払拭ウェブ310は、このフランジ316Eとガイド板343とによって両縁部をガイドされながら、巻取コア342に巻き取られる。
【0284】
巻取軸316の主軸316Aは、その基端部がケース本体326の外側に突出して設けられており、その突出した基端部に巻取軸ギア358が取り付けられる。巻取軸316(主軸316A)は、この巻取軸ギア358が回転駆動されることにより回転する。なお、この巻取軸316の駆動機構については後述する。
【0285】
押圧ローラ318は、繰出軸314の上方に配置されており(本例では、押圧ローラ318と繰出軸314と巻取軸316とが同一直線上に配置されている。)、水平面に対して所定角度傾斜して配置されている。すなわち、この押圧ローラ318は、払拭ウェブ310をヘッド32のノズル面33に押圧当接させるものであるため、払拭対象とするヘッド32のノズル面33の傾きに合わせて傾けて配置されている(ノズル面と平行になるように配置されている)。
【0286】
また、押圧ローラ318は、払拭対象とするヘッド32のノズル面33の形状に倣って形成される。本例のヘッド32は、ノズル面33の中央部が凹状に退避して形成されているものとする(ノズルを保護するため、この凹部にノズルが形成される。すなわち、両側の凸部が保護部として機能する。)。この場合、この凹状に形成されたノズル面33に対応して中央部が凸状に突出して形成されている。
【0287】
押圧ローラ318は、その両端部に軸部318L、318Rが突出して設けられており、この軸部318L、318Rを一対の軸支持部346L、346Rに軸支されて、回動自在かつ揺動自在に支持されている。
【0288】
図35は、押圧ローラ318の軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図である。また、図36は、図35の36−36断面図である。
【0289】
同図に示すように、軸支持部346L、346Rは、水平に設けられた昇降台370の上に設けられている。この軸支持部346L、346Rは、ともに昇降台370に垂直に立設された柱部350L、350Rと、その柱部350L、350Rの先端に屈曲して設けられた支持部352L、352Rとで構成されている。
【0290】
支持部352L、352Rは、押圧ローラ318の軸と直交するように設けられており、その内側に凹部354L、354Rが形成されている。凹部354L、354Rは、押圧ローラ318の軸部318L、318Rの幅とほぼ同じ幅を有する長方形状に形成されており、清掃の対象とするヘッドのノズル面に対して直交して形成されている(図36参照)。押圧ローラ318は、その両端の軸部318L、318Rが、この支持部352L、352Rの凹部354L、354Rに遊嵌されている。この結果、押圧ローラ318は、清掃の対象とするヘッドのノズル面に対して直交する面内で揺動自在に支持される。
【0291】
凹部354L、354Rの内側には、バネ356L、356Rが収容されており、凹部354L、354R内に遊嵌された押圧ローラ318の軸部318L、318Rは、このバネ356L、356Rによって上方に付勢されている。これにより、清掃の対象とするヘッドのノズル面に倣って、押圧ローラ318の周面をノズル面に密着させることができる。
【0292】
前段ガイド320は、第1前段ガイド360と、第2前段ガイド362とで構成され、繰出軸314から繰り出された払拭ウェブ310が、傾斜して設置された押圧ローラ318に巻き掛けられるようにガイドする。
【0293】
一方、後段ガイド322は、第1後段ガイド364と、第2後段ガイド366とで構成され、傾斜して設置された押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310が、水平に設置された巻取軸316に巻き取れるようにガイドする。
【0294】
この前段ガイド320と後段ガイド322は、押圧ローラ318を挟んで対称に配置されている。すなわち、第1前段ガイド360と第1後段ガイド364とが押圧ローラ318を挟んで対称に配置されるとともに、第2前段ガイド362と第2後段ガイド366とが押圧ローラ318を挟んで対称に配置されている。
【0295】
第1前段ガイド360は、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降台370の上に垂直に立設されている。この第1前段ガイド360は、上縁部360Aが、払拭ウェブ310の巻き掛け部として形成されており、その表面が円弧状に形成されている。また、この上縁部360Aは、水平面に対して所定角度傾斜して形成されており、これにより、払拭ウェブ310の走行方向が変換される。
【0296】
第1後段ガイド364は、第1前段ガイド360と同じ構成である。すなわち、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降台370の上に垂直に立設されている。そして、その上縁部370Aが、払拭ウェブ310の巻き掛け部として形成され、円弧状に形成されるとともに、水平面に対して所定角度傾斜して形成されている。
【0297】
この第1前段ガイド360と第1後段ガイド364とが、押圧ローラ318を挟んで対称に配置されている。繰出軸314から繰り出された払拭ウェブ310は、第1前段ガイド360に巻き掛けられることにより、繰出軸314と直交する方向から押圧ローラ318と略直交する方向に方向転換される。また、後述する第2後段ガイド366に巻き掛けられた払拭ウェブ310は、第1後段ガイド364に巻き掛けられることにより、巻取軸316と直交する方向に方向転換される。
【0298】
第2前段ガイド362は、両端部にフランジ362L、362Rを有するガイドローラとして構成されている。この第2前段ガイド362は、第1前段ガイド360と押圧ローラ318との間に配置され、第1前段ガイド360に巻き掛けられた払拭ウェブ310が、押圧ローラ318に巻き掛けられるようにガイドする。すなわち、第1前段ガイド360によって押圧ローラ318と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ310が、押圧ローラ318と直交する方向に走行するように、払拭ウェブ310の走行方向を微調整する。また、両端のフランジ362L、362Rによって、払拭ウェブ310の斜行を防止する。
【0299】
この第2前段ガイド362は、一端をブラケット368Aに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット368Aは、図34及び図37に示すように、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体326の背面上端部に固定されている。そして、そのケース本体326の上端部から上方に向けて垂直に突出して設けられている。第2前段ガイド362は、このブラケット368Aの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
【0300】
第2後段ガイド366は、第2前段ガイド362と同じ構成である。すなわち、両端部にフランジ366L、366Rを有するガイドローラとして構成され、一端をブラケット368Bに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット368Bは、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体326の背面上端部に固定されている。第2後段ガイド366は、このブラケット368Bの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
【0301】
この第2後段ガイド366は、押圧ローラ318と第1後段ガイド364との間に配置され、押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310が、第1後段ガイド364に巻き掛けられるようにガイドする。
【0302】
この第2前段ガイド362と第2後段ガイド366とが、押圧ローラ318を挟んで対称に配置されている。第1前段ガイド360によって押圧ローラ318と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ310は、第2前段ガイド362に巻き掛けられることにより、押圧ローラ318と直交する方向に走行するように、走行方向が微調整される。また、押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310は、第1後段ガイド364に巻き掛けられるように、第2後段ガイド366によって走行方向が微調整される。そして、第1後段ガイド364に巻き掛けられることにより、巻取軸316と直交する方向に方向転換される。
【0303】
このように、前段ガイド320と後段ガイド322は、段階的に払拭ウェブ310の走行方向を切り換えることにより、払拭ウェブ310が、無理なく押圧ローラ318に巻き掛けられるようにガイドする。
【0304】
このため、第1前段ガイド360の傾斜角度に比べて第2前段ガイド362の傾斜角度は押圧ローラ318の傾斜角度に近い角度となっており、同様に第1後段ガイド364の傾斜角度に比べて第2後段ガイド366の傾斜角度は押圧ローラ318の傾斜角度に近い角度となっている。
【0305】
ところで、上記のように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364は、それぞれ昇降台370の上に設けられている。この昇降台370は、水平面に対して垂直方向に昇降移動自在に設けられている。
【0306】
図32に示すように、昇降台370には、その下部にガイド軸372が一体的に取り付けられている。ガイド軸372は、昇降台370の下面部から鉛直下向きに延びており、ケース本体326内に配置されたガイドブッシュ374に嵌合されている。ガイドブッシュ374は、支持部材376を介してケース本体326の内壁面に固定されており、ガイド軸372を水平面に対して垂直にガイドする。
【0307】
このように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364が設けられた昇降台370は、水平面に対して垂直に昇降自在に設けられている。このため、図38に示すように、この昇降台370を昇降移動させることにより、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364とを、固定して設置された第2前段ガイド362と第2後段ガイド366に対して、進退移動させることができる。これにより、払拭ウェブ310の交換を簡単に行うことができる。
【0308】
すなわち、昇降台370を下降させることにより、図38(b)に示すように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364を、第2前段ガイド362と第2後段ガイド366とに対して下方へ退避させることができ、その間のスペースを大きく確保することができる。これにより、各部への払拭ウェブ310の巻き掛け作業を簡単に行うことができる。また、各部に払拭ウェブ310を巻き掛ける場合は、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364を下方に退避させた状態で、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364に払拭ウェブ310を巻き掛け、その後、昇降台370を上昇させるだけで済む。すなわち、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364に払拭ウェブ310を巻き掛け、その後、昇降台370を上昇させると、図38(a)に示すように、自動的に第2前段ガイド362と第2後段ガイド366とに払拭ウェブ310が巻き掛けられる。
【0309】
このように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364を、第2前段ガイド362と第2後段ガイド366に対して、進退可能とすることにより、払拭ウェブ310の交換作業を簡単に行うことができる。
【0310】
なお、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364は、使用に際して、所定の使用位置(図38(a)の位置)に位置させる必要があるが、この第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364の使用位置への移動は、払拭装置本体フレーム302への払拭ユニット300の装着に連動して行われる。
【0311】
ここで、この連動機構について説明する。図32及び図34に示すように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364とが設けられた昇降台370には、背部に昇降レバー(係合部)378が設けられている。この昇降レバー378は、ケース本体326の背面に形成された切欠き部380を介してケース本体326の背面から突出して設けられている。昇降台370は、この昇降レバー378をスライドさせることにより、昇降移動する。
【0312】
一方、図39に示すように、払拭ユニット300がセットされる払拭装置本体フレーム302の払拭ユニット装着部304には、その内側にピン(被係合部)382が突出して設けられている。このピン382は、払拭ユニット300が、払拭ユニット装着部304に装着されると、払拭ユニット300に設けられた昇降レバー378に係合するように設けられている。
【0313】
以上の構成により、図39に示すように、払拭ユニット300を払拭装置本体フレーム302の払拭ユニット装着部304に差し込むと、昇降レバー378がピン382に係合し、強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364とが、所定の使用位置に位置決めされる。
【0314】
このように、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364の使用位置への移動は、払拭装置本体フレーム302への払拭ユニット300の装着に連動して行われる。
【0315】
グリッドローラ324は、第1後段ガイド364の下方位置であって、ケース本体326の底部近傍に配置されている。このグリッドローラ324は、第1後段ガイド364によって巻取軸316と直交する方向に方向転換された払拭ウェブ310が、巻取軸316に巻き取られるように駆動力を与えながらガイドする。
【0316】
グリッドローラ324は、巻取軸316と平行(=水平面と平行)に設けられており、その回転軸をケース本体326に設けられた軸受部384に回動自在に支持されている。回転軸は、基端部がケース本体326の外側に突出して設けられており、その突出した基端部には、グリッドローラギア386が固着されている。グリッドローラ324は、このグリッドローラギア386が回転駆動されることにより回転する。
【0317】
ここで、このグリッドローラ324を含む払拭ユニット300の駆動機構について説明する。
【0318】
本例の払拭ユニット300では、巻取軸316を回転駆動するとともに、グリッドローラ324を回転駆動することにより、払拭ウェブ310を繰出軸314から巻取軸316に向けて走行させる。
【0319】
上記のように、巻取軸316(巻取軸316を構成する主軸316A)には、巻取軸ギア358が取り付けられている。一方、グリッドローラ324には、グリッドローラギア386が取り付けられている。この巻取軸ギア358とグリッドローラギア386は、図34に示すように、回転伝達ギア388に噛み合わされている。
【0320】
回転伝達ギア388は、その回転軸が水平に設けられており、ケース本体326に設けられた軸受部390に回動自在に支持されている。巻取軸ギア358とグリッドローラギア386は、この回転伝達ギア388を回転させることにより、同じ方向に回転する。そして、この巻取軸ギア358とグリッドローラギア386とが回転することにより、巻取軸316とグリッドローラ324とが回転する。
【0321】
ここで、本例の払拭装置では、巻取軸ギア358とグリッドローラギア386に径の異なるギア(歯数の異なるギア)を用いており、巻取軸316とグリッドローラ324とが異なる速度で回転するように設定されている。すなわち、本例の払拭装置では、払拭ウェブ310を弛みなく搬送できるようにするために、グリッドローラ324で払拭ウェブ310を送る速度よりも巻取コア342で払拭ウェブ310を巻き取る速度の方が速くなるように、巻取軸316の回転速度とグリッドローラ324の回転速度が設定されている。これにより、弛みなく安定して払拭ウェブ310を巻き取ることができる。
【0322】
具体的には、巻取軸316に装着された巻取コア342の芯部342Aの周速度V1が、グリッドローラ324の周速度V2よりも大きくなるように(V1>V2)、巻取軸316の回転速度とグリッドローラ324の回転速度が設定され、それに基づき巻取軸ギア358とグリッドローラギア386とのギア比が設定される。
【0323】
なお、実際に設定する回転速度については、実験等で最適な数値を求めて設定される。すなわち、両者の間にあまりに差を設けすぎると、磨耗、故障等の原因になるので、実験等により最適な速度を求めて設定される。
【0324】
なお、このように巻取速度と送り速度に差を設けたとしても、本例の払拭装置では、巻取軸316に滑り機構(トルクリミッタ316Cによる滑り機構)が備えられているので、巻取軸316やグリッドローラ324、モータ394等に過負荷を与えることなく、駆動することができる。
【0325】
巻取軸ギア358とグリッドローラギア386とを回転させる回転伝達ギア388は、払拭ユニット300を払拭装置本体フレーム302の払拭ユニット装着部304に装着すると、払拭ユニット装着部304内に設けられた駆動ギア392に噛み合わされる。
【0326】
駆動ギア392は、モータ394の出力軸に取り付けられており、払拭ユニット300を払拭ユニット装着部304に装着した際、その回転伝達ギア388が歯合する位置に配置される。
【0327】
モータ394は、たとえば、パルスモータで構成され、払拭ユニット装着部304の底部に取り付けられる。このモータ394の駆動は、図示しない制御装置によって制御される。
【0328】
払拭ユニット300の駆動機構は以上のように構成される。
【0329】
上記のように、払拭ユニット300を払拭装置本体フレーム302の払拭ユニット装着部304に装着すると、払拭ユニット300のケース312に設けられた回転伝達ギア388が、払拭ユニット装着部304に設けられた駆動ギア392に噛み合わされる(図39参照)。この状態でモータ394を駆動すると、駆動ギア392が回転し、その回転が回転伝達ギア388に伝達されて、回転伝達ギア388が回転する。
【0330】
回転伝達ギア388が回転すると、その回転伝達ギア388の回転が巻取軸ギア358とグリッドローラギア386とに伝達されて、巻取軸ギア358とグリッドローラギア386とが回転する。この結果、巻取軸316とグリッドローラ324とが回転する。そして、この巻取軸316とグリッドローラ324が回転することにより、繰出軸314に装着された繰出コア338から払拭ウェブ310が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸316に装着された巻取コア342に巻き取られる。
【0331】
このように、払拭ユニット300を払拭ユニット装着部304に装着すると、回転伝達ギア388が駆動ギア392に噛み合わされて、巻取軸316とグリッドローラ324とを駆動することが可能になる。
【0332】
一方、払拭ユニット300を払拭ユニット装着部304に装着すると、図40及び図41に示すように、払拭ユニット装着部304に設けられたニップローラ400が、ケース本体326の底部に形成された開口部326Aを介してグリッドローラ324の外周部に押圧当接される。
【0333】
ニップローラ400は、グリッドローラ324とほぼ同じ幅で形成されており、外周部がゴム等の弾性体で被覆れている。このニップローラ400は、払拭ユニット装着部304に設置された廃液受け402に水平に取り付けられている。
【0334】
廃液受け402は、上部が開口した矩形の箱状に形成されており、その上辺部にニップローラ400を支持する軸受部(図示せず)が設けられている。ニップローラ400は、この軸受部に軸支されて、廃液受け402に回動自在に支持される。
【0335】
廃液受け402は、内側の底面部が傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に廃液口406が形成されている。廃液口406には、図示しない配管を介して廃液タンクに接続される。
【0336】
払拭ウェブ310が装填された払拭ユニット300を払拭ユニット装着部304に装着すると、グリッドローラ324に巻き掛けられた払拭ウェブ310は、ニップローラ400とグリッドローラ324との間にニップされる。
【0337】
ニップローラ400とグリッドローラ324との間にニップされた払拭ウェブ310は、この状態でグリッドローラ324が回転駆動されることにより、巻取コア342に向けて送られる。
【0338】
ここで、このニップローラ400とグリッドローラ324とにニップされる払拭ウェブ310は、ノズル面を払拭した後の払拭ウェブ310であるため、洗浄液等が吸収されている。この払拭ウェブ310に吸収された液体は、グリッドローラ324とニップローラ400との間を通過することにより、払拭ウェブ310から除去され、廃液受け402で回収される。
【0339】
このように、ニップローラ400とグリッドローラ324とは、払拭ウェブ310の搬送手段として機能するとともに、払拭ウェブ310で吸収された液体(廃液)の除去手段としても機能する。これにより、巻取コア342に巻き取られた払拭ウェブ310から廃液が垂れ落ちて、周囲を汚染したり、装置を故障させたりするのを防止できる。
【0340】
ラインスキャナ500は、ケース本体326に設けられたブラケット502に取り付けられて、ケース本体326の内側に配置される。本例では、第1後段ガイド364とグリッドローラ324との間に配置され、第1後段ガイド364とグリッドローラ324との間を走行する払拭ウェブ310を裏面から読み取る(撮像する。)。より具体的には、第1後段ガイド364とグリッドローラ324との間を走行する払拭ウェブ310に対して直交して配置され、走行する払拭ウェブ310の汚れの吸収状態を裏面から読み取る。
【0341】
なお、払拭ウェブ310は、吸収体で構成されているため、本例のように、裏面側(ノズル面に当接させる面(=表面)の反対の面側)を読み取っても、表面側から読み取った場合と同様の結果を得ることができる。
【0342】
払拭ユニット300は、以上のように構成される。
【0343】
払拭装置は、この払拭ユニット300が払拭装置本体フレーム302の払拭ユニット装着部304に装着されることにより構成される。
【0344】
〈払拭装置の作用〉
次に、以上のように構成された払拭装置の作用について説明する。
【0345】
<払拭ウェブの装着>
まず、払拭ユニット300への払拭ウェブ310の装着方法について説明する。
【0346】
払拭ウェブ310は、繰出コア338にロール状に巻回された状態で提供され、その先端は巻取コア342に固定される。
【0347】
まず、払拭ユニット300を払拭装置本体フレーム302から取り出し、ケース312の蓋328を開ける。蓋328を開けると、繰出軸314と巻取軸316とが露出するので、繰出軸314に繰出コア338を装着し、巻取軸316に巻取コア342を装着する。
【0348】
この際、払拭ウェブ310を第1前段ガイド360、押圧ローラ318、第1後段ガイド364、グリッドローラ324に巻き掛けながら、繰出コア338と巻取コア342を装着する。
【0349】
具体的には、まず、繰出コア338を繰出軸314に装着する。繰出コア338の装着は、繰出コア338を繰出軸314に嵌めることにより行われる。これにより、繰出コア338が、繰出軸314の周りを回動自在に支持される。
【0350】
次いで、繰出コア338から払拭ウェブ310を所定量引き出し、第2前段ガイド362と第2後段ガイド366の下を通して、払拭ウェブ310を第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364の上に巻き掛ける。この際、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364への払拭ウェブ310の巻き掛けは、昇降台370を下降させた状態、すなわち、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364を下方に退避させた状態で行う。これにより、第2前段ガイド362と第2後段ガイド366との間に十分なスペースを確保することができ、その第2前段ガイド362と第2後段ガイド366の下を通して、払拭ウェブ310を第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364に巻き掛けやすくすることができる。
【0351】
第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364に巻き掛けた払拭ウェブ310は、さらにグリッドローラ324に巻き掛け、最後に巻取コア342を巻取軸316に装着する。
【0352】
巻取コア342の装着は、巻取コア342を巻取軸316に嵌めることにより行われる。この際、巻取コア342の内周に形成されたキー溝342Cを巻取軸316の外周に形成されたキー316Dに嵌めて装着する。これにより、周方向の回転が規制された状態で巻取コア342が巻取軸316に装着される。そして、これにより、巻取軸316の回転を巻取コア342に伝達でき、巻取軸316とともに巻取コア342を回転させることができる。
【0353】
なお、上記のように、巻取軸316にはトルクリミッタ316Cが備えられているので、一定以上の負荷が掛かると滑りが生じ、払拭ウェブ310を無理なく巻き取ることができる。
【0354】
以上の工程で払拭ウェブ310の装着が完了する。この後、ケース312の蓋328を閉める。
【0355】
ここで、蓋328が閉められると、蓋328の内側に備えられた繰出コア押え駒339が、繰出軸314に装着された繰出コア338の端面に当接し、繰出コア338を軸方向に押圧する。この結果、繰出コア338が、繰出コア押え駒339と繰出軸314のフランジ314Aとの間に挟持され、フリクションが与えられる。そして、このようなフリクションが繰出コア338に与えられることにより、払拭ウェブ310は急な張力変化が生じたときでも弛むことなく、安定して走行することができる。
【0356】
また、蓋328が閉められると、蓋328の内側に備えられたガイド板343が、巻取軸316の先端に配置される。これにより、端面を揃えて払拭ウェブ310を巻取コア342に巻き取ることができる。
【0357】
<払拭装置本体フレームへのセッティング>
次に、払拭ウェブ310が装着された払拭ユニット300を払拭装置本体フレーム302にセットする。
【0358】
払拭装置本体フレーム302への払拭ユニット300のセッティングは、払拭装置本体フレーム302に形成された払拭ユニット装着部304に払拭ユニット300を垂直に差し込むことにより行われる。
【0359】
払拭ユニット300が払拭ユニット装着部304にセットされると、図39(b)に示すように、払拭ユニット300の回転伝達ギア388が、払拭ユニット装着部304に設けられた駆動ギア392に噛み合わされる。これにより、巻取軸316及びグリッドローラ324が駆動可能になる。
【0360】
また、払拭ユニット300が払拭ユニット装着部304にセットされると、昇降台370に設けられた昇降レバー378が、払拭ユニット装着部304に設けられたピン382に係合し、昇降台370が強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364とが、所定の使用位置に位置決めされる。そして、この第1前段ガイド360と押圧ローラ318と第1後段ガイド364とが、所定の使用位置に位置決めされることにより、第1前段ガイド360と押圧ローラ318との間に配置された第2前段ガイド362に払拭ウェブ310が巻き掛けられるとともに、押圧ローラ318と第1後段ガイド364との間に配置された第2後段ガイド366に払拭ウェブ310が巻き掛けられる。これにより、押圧ローラ318の周面に弛みなく払拭ウェブ310が巻き掛けられる。
【0361】
さらに、払拭ユニット300が払拭ユニット装着部304にセットされると、図40及び図41に示すように、払拭ユニット装着部304に設けられたニップローラ400がグリッドローラ324に押圧当接される。これにより、グリッドローラ324に巻き掛けられた払拭ウェブ310が、ニップローラ400とグリッドローラ324との間にニップされる。
【0362】
以上により、払拭装置本体フレーム302への払拭ユニット300のセッティングが完了する。
【0363】
払拭装置本体フレーム302にセットされた払拭ユニット300は、モータ394を駆動することにより、繰出軸314から払拭ウェブ310が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸316に巻き取られる。
【0364】
また、図29に示すように、傾斜して設けられたヘッド32のノズル面33に対して、対応する払拭ユニット300の押圧ローラ318が平行に配置される。これにより、各押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310を対応するノズル面33に密着させることができる。
【0365】
<払拭動作>
上記のように、払拭装置は、ヘッド32がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面33を払拭清掃する。具体的には、次のようにノズル面を払拭する。
【0366】
払拭装置は、全体が昇降自在に設けられている。清掃時以外、払拭装置は、所定の待機位置に位置している。清掃時、払拭装置は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
【0367】
払拭装置が作動位置に移動すると、各払拭ユニット300によってヘッドのノズル面33を払拭することが可能になる。すなわち、ヘッド32が、各払拭ユニット300を通過する際、そのノズル面33に押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310を押圧当接することが可能になる。
【0368】
洗浄液付与装置によってノズル面33に洗浄液が付与された各ヘッド32は、各払拭ユニット300を通過する際、そのノズル面33に押圧ローラ318に巻き掛けられた払拭ウェブ310が押圧当接される。これにより、ノズル面33が払拭される。
【0369】
制御装置は、各ヘッド32が、払拭ユニット300に到達するタイミングに合わせて、モータ394を駆動し、払拭ウェブ310を走行させる。これにより、ノズル面33に走行する払拭ウェブ310が押圧当接され、ノズル面33払拭される。
【0370】
この際、払拭ウェブ310は、ノズル面33の移動方向と逆方向に走行して、ノズル面33を払拭する。これにより、効率よくノズル面33を払拭することができる。また、常に新しい面を使ってノズル面33を払拭することができる。
【0371】
なお、払拭ウェブ310の走行は、次のように行われる。
【0372】
モータ394を駆動すると、その回転が駆動ギア392、回転伝達ギア388を介して巻取軸ギア358とグリッドローラギア386に伝達される。これにより、巻取軸316とグリッドローラ324とが回転する。
【0373】
グリッドローラ324が回転すると、払拭ウェブ310に送りが与えられ、払拭ウェブ310が繰出コア338から繰り出される。そして、巻取コア342に向けて送られる。
【0374】
この際、上記のように、繰出コア338にはフリクションが与えられているため、払拭ウェブ310に急な張力変化が生じても弛みを発生させることなく、払拭ウェブ310を繰り出すことができる。
【0375】
また、巻取軸ギア358が回転することにより、巻取コア342が回転し、これにより、払拭ウェブ310が巻き取られる。
【0376】
この際、本例の払拭装置では、グリッドローラ324で払拭ウェブ310を送る速度よりも巻取コア342で払拭ウェブ310を巻き取る速度の方が速くなるように設定されている。これにより、弛みなく安定して払拭ウェブ310を巻き取ることができる。
【0377】
一方、このように払拭ウェブ310の巻取速度を送り速度よりも速くすると、巻取コア342での巻き径が増したときに、巻取軸316に負荷が掛かるが、本例の払拭装置では、巻取軸316にトルクリミッタ316Cが備えられているため、無理なく巻き取ることができ、安定して払拭ウェブ310を走行させることができる。
【0378】
以上のように、払拭ウェブ310は、モータ394を駆動することにより、走行させることができる。そして、このように走行する払拭ウェブ310をノズル面に当接させることにより、ノズル面が払拭ウェブ310によって払拭される。
【0379】
払拭を終えた払拭ウェブ310は、巻取コア342に巻き取られる前にラインスキャナ500によって、汚れ状態が読み取られる。そして、この読み取られた汚れ状態に基づいて、清掃の可否、及び、設定の適否が検査される。
【0380】
本例の払拭装置では、たとえば、読み取り結果から縒れの有無、押圧力の適否が検査される。この結果、縒れが生じている場合は、払拭ウェブ310の装着のし直しが行われる。また、押圧力が不適切な場合は、払拭位置の調整が行われる。
【0381】
ラインスキャナ500で汚れ状態が読み取られた払拭ウェブ310は、その後、グリッドローラ324とニップローラ400とにニップされ、吸収した液体(洗浄液、インク等)が除去される。そして、巻取コア342に巻き取られる。
【0382】
払拭ウェブ310から除去された廃液は、自重で落下し、廃液受け402に回収される。廃液受け402に回収された廃液は、廃液口406から図示しない配管を介して廃液タンクに回収される。
【0383】
このように、本例の払拭装置において、払拭後の払拭ウェブ310の汚れ状態を読み取ることができ、その読み取り結果に基づいて、清掃の可否、及び、設定の適否を検査することができる。
【0384】
なお、本例では、読み取り結果から縒れの有無、押圧力の有無を検査することとしているが、これ以外の検査も行うことができる。また、傾きや位置、高さ等の微調整できるように構成し、検査結果に基づく調整を可能にすることもできる。
【0385】
なお、本例の払拭装置では、払拭後の払拭ウェブ310の状態を払拭ウェブ310の裏面側から読み取る構成としているが、払拭ウェブ310の表と裏で汚れの吸収状態が異なる場合は、たとえば、図42に示すように、払拭ユニット300のケース本体326の内部に複数のガイドローラ504を設置して、払拭ウェブ310の走行経路を変更し、払拭ウェブ310の表側の面をラインスキャナ500で読み取れるように構成する。これにより、正確に払拭後の払拭ウェブ310の汚れ状態を観察することができる。
【0386】
また、上記実施の形態では、ラインスキャナを払拭ユニットに組み込む構成としているが、払拭後の払拭ウェブを読み取るラインスキャナは、払拭ユニットとは別に設置するようにしてもよい。
【0387】
ただし、上記実施の形態のように、ラインスキャナを払拭ユニットに組み込むことにより、ラインスキャナの位置調整等が不要になり、管便に設置することができるとともに、払拭後の払拭ウェブの状態を正確に読み取ることができる。
【0388】
また、上記実施の形態のように、払拭ユニットをケースに収容し、そのケースの内部にラインスキャナを設置することにより、外光の影響を受けずに読み取りを行うことができるようになり、より正確に払拭後の払拭ウェブの状態を読み取ることができるようになる。
【0389】
また、上記実施の形態では、払拭後の払拭ウェブの状態をラインスキャナで読み取る構成としているが、払拭後の払拭ウェブの状態を観察する手段は、これに限定されるものではなく、他の読取手段で読み取る構成とすることもできる。また、払拭後の払拭ウェブの濃度を直接読み取る構成とすることもできる。
【0390】
さらに、上記実施の形態では、ノズル面33を湿潤させる方法として、洗浄液付与ノズルからノズル面33に向けて洗浄液を噴射して、ノズル面33に洗浄液を付与する方法を採用しているが、ノズル面33を湿潤させる方法は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、メンテナンスユニットにおいて、ヘッドのノズル面を洗浄液に浸漬させて、ノズル面を湿潤させる方法や、所定の面上を流れる洗浄液にノズル面を触れさせて、ノズル面33を湿潤させる方法、ノズルからインクを溢れださせてノズル面33を湿潤させる方法などを採用することができる。
【符号の説明】
【0391】
10…インクジェット記録装置、20…用紙搬送機構、22…ベルト、30…ヘッドユニット、32(32C、32M、32Y、32K)…ヘッド、32a、32b、…ヘッドモジュール、33(33C、33M、33Y、33K)…ノズル面、40…メンテナンスユニット、42…キャップ、44…廃液トレイ、46…廃液回収配管、48…廃液タンク、50…ノズル面清掃ユニット、60…洗浄液付与装置、62…洗浄液付与装置本体フレーム、64(64C、64M、64Y、64K)…洗浄液ノズル、66…洗浄液タンク、68…洗浄液配管、70…洗浄液ポンプ、72…洗浄液バルブ、80…払拭装置、82…払拭装置本体フレーム、84…高さ調整機構、84A…昇降ステージ、84B…ベース、86…水平傾き調整機構、86A…回転ステージ、86B…ベース、88…位置調整機構、88A…スライドステージ、88B…ベース、90…垂直傾き調整機構、90A…揺動ステージ、90B…ベース、92…払拭装置本体昇降機構、94…払拭ユニット取付部、300(300C、300M、300Y、300K)…払拭ユニット、304…払拭ウェブ、306…繰出コア、308…巻取コア、312…ケース、314…繰出軸、316…巻取軸、318…巻取モータ、320…押圧ローラ、322…繰出ガイド、324…巻取ガイド、326…ラインスキャナ、328…ケース本体、330…蓋、334…軸支持部、336…軸支持部、338…軸支持部、340…軸支持部、342…軸支持部、200…用紙搬送機構、202…ドラム、300(300C、300M、300Y、300K)…払拭ユニット、302…払拭装置本体フレーム、304(304C、304M、304Y、304K)…払拭ユニット装着部、310…払拭ウェブ、312…ケース、314…繰出軸、314A…フランジ、316…巻取軸、316A…主軸、316B…滑り軸、316C…トルクリミッタ、316D…キー、316E…フランジ、318…押圧ローラ、318L、318R…軸部、320…前段ガイド、322…後段ガイド、324…グリッドローラ(駆動ローラ)、326…ケース本体、326A…開口部、328…蓋、330…ヒンジ、332…ロック爪、334…爪受部、336…軸支持部、338…繰出コア、339…繰出コア押え駒、339A…軸部、339B…押圧部、339B1…ボス、339B2…フランジ部、339C…バネ、340…軸受部、342…巻取コア、342C…キー溝、343…ガイド板、346L、346R…軸支持部、350L、350R…柱部、352L、352R…支持部、354L、354R…凹部、356L、356R…バネ、358…巻取軸ギア、360…第1前段ガイド、360A…上縁部、362…第2前段ガイド、362L、362R…フランジ、364…第1後段ガイド、364A…上縁部、366…第2後段ガイド、366L、366R…フランジ、368A…ブラケット、368B…ブラケット、370…昇降ステージ、372…ガイド軸、374…ガイドブッシュ、376…支持部材、378…昇降レバー、380…切欠き部、382…ピン、384…軸受部、386…グリッドローラギア、388…回転伝達ギア、390…軸受部、392…駆動ギア、394…モータ、400…ニップローラ、402…廃液受け、406…廃液口、500…ラインスキャナ、502…ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、
浸透性を有する払拭部材で前記ノズル面を払拭する払拭手段と、
払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された汚れ状態から払拭に関する設定の適否を検査する検査手段と、
を備えたことを特徴とするノズル面清掃装置。
【請求項2】
前記検査手段の検査結果に基づいて、前記払拭手段による払拭に関する設定を修正する設定修正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のノズル面清掃装置。
【請求項3】
前記払拭手段による払拭前に前記ノズル面を湿潤させる湿潤手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のノズル面清掃装置。
【請求項4】
前記払拭部材は、ウェブであり、前記払拭手段は、前記ウェブを所定の走行経路に沿って走行させるウェブ駆動手段と、前記ウェブが巻き掛けられる押圧ローラとを備え、走行する前記ウェブを前記押圧ローラを介して前記ノズル面に当接させながら、前記ノズル面に沿って相対的に移動することにより、前記ノズル面を払拭することを特徴とする請求項3に記載のノズル面清掃装置。
【請求項5】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項6】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置を修正することを特徴とする請求項5に記載のノズル面清掃装置。
【請求項7】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項8】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面に対する前記押圧ローラの傾きを修正することを特徴とする請求項7に記載のノズル面清掃装置。
【請求項9】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面への前記ウェブの押圧力の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項10】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記押圧ローラによる前記ノズル面への前記ウェブの押圧力を修正することを特徴とする請求項9に記載のノズル面清掃装置。
【請求項11】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、ノズルメニスカス位置の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項12】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、ノズルメニスカス位置を修正することを特徴とする請求項11に記載のノズル面清掃装置。
【請求項13】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ウェブの縒れの有無を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項14】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ウェブの縒れ、及び/又は、張力を修正することを特徴とする請求項13に記載のノズル面清掃装置。
【請求項15】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面の湿潤量の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項16】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ノズル面の湿潤量を修正することを特徴とする請求項15に記載のノズル面清掃装置。
【請求項17】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さを前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記吸収領域の長さに基づいて、前記ウェブの走行速度、及び/又は、前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項18】
前記設定修正手段は、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記ウェブの走行速度、及び/又は、前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度を修正することを特徴とする請求項17に記載のノズル面清掃装置。
【請求項19】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、前記ウェブの縒れの有無、前記ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項20】
前記計測手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向における汚れの濃度分布を前記汚れ状態として計測するとともに、前記ウェブの走行方向における汚れの吸収領域の長さを前記汚れ状態として計測し、
前記検査手段は、前記濃度分布に基づいて、前記ノズル面に対する前記ウェブの当接位置の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの平行度の適否、前記ノズル面に対する前記ウェブの押圧力の適否、ノズルメニスカス位置の適否、前記ウェブの縒れの有無、前記ノズル面の湿潤量の適否の少なくとも1項目を検査するとともに、前記吸収領域の長さに基づいて、前記ウェブの走行速度又は前記ノズル面に対する前記払拭手段の相対的な移動速度の適否を検査することを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項21】
前記インクジェットヘッドは、複数のモジュールを繋ぎ合わせて構成され、
前記計測手段は、前記モジュールごとに払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測し、
前記検査手段は、前記モジュールごとに得られる前記計測手段の計測結果に基づいて、前記モジュールごとに払拭に関する設定の適否を検査することを特徴とする請求項2から20のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項22】
前記設定修正手段は、前記モジュールごとに得られる前記検査手段の検査結果に基づいて、前記モジュールごとに払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項21に記載のノズル面清掃装置。
【請求項23】
前記計測手段は、
払拭後の前記払拭部材を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された画像を解析して、払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測するする解析手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項24】
前記払拭部材は、ウェブであり、前記払拭手段は、前記ウェブを所定の走行経路に沿って走行させるウェブ駆動手段と、前記ウェブが巻き掛けられる押圧ローラとを備え、走行する前記ウェブを前記押圧ローラを介して前記ノズル面に当接させながら、前記ノズル面に沿って相対的に移動することにより、前記ノズル面を払拭し、
前記撮像手段は、前記ウェブの走行方向と直交する方向に配置されたラインスキャナであることを特徴とする請求項23に記載のノズル面清掃装置。
【請求項25】
前記ラインスキャナは、前記払拭手段に一体的に組み付けられることを特徴とする請求項24に記載のノズル面清掃装置。
【請求項26】
前記設定修正手段は、払拭動作中に払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項2から25のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項27】
印刷枚数又は印刷時間ごとに検査の判定基準が設定され、前記検査手段は、印刷枚数又は印刷時間に応じて前記判定基準を切り替えることを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項28】
インクジェットヘッドのノズル面を浸透性を有する払拭部材で払拭して清掃するノズル面清掃方法において、
払拭後の前記払拭部材の汚れ状態を計測するステップと、
計測された汚れ状態から払拭に関する設定の適否を検査するステップと、
を備えたことを特徴とするノズル面清掃方法。
【請求項29】
前記検査結果に基づいて、払拭に関する設定を修正することを特徴とする請求項28に記載のノズル面清掃方法。
【請求項30】
メディアを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送されるメディアにインク滴を吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドのノズル面を清掃する請求項1から27のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項31】
前記インクジェットヘッドは、前記メディアの搬送経路上に複数配置されるとともに、前記インクジェットヘッドごとに前記ノズル面清掃装置が設けられ、かつ、前記インクジェットヘッドごとに前記判定基準が設定されることを特徴とする請求項30に記載のインクジェット記録装置。
【請求項32】
前記搬送手段は、回転するドラムであり、周面に前記メディアを保持して回転することにより、前記メディアを搬送し、
前記各インクジェットヘッドは、ノズル面が前記ドラムの周面に面するようにして、前記ドラムの周囲に配置されることを特徴とする請求項31に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2012−157983(P2012−157983A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17104(P2011−17104)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】