説明

ノック式吐出容器

【課題】ノズル部から吐出された液体がノズルの吐出口周面に回り込むのを防止すること。
【解決手段】ノック式吐出容器1は、容器本体2の一端にノズル部7が設けられ他端にノックボタン4が設けられ、ノックボタン4の押し込み操作に連動して収容室22に収容されている液体をノズル部から吐出させる。ノック式吐出容器1は、ノズル部7の先端側のノズル先端部31と基端側のノズル本体30とからなり、ノズル先端部31とノズル本体30との境界部にはノズル先端部31の全周にわたって、ノズル先端部31から半径方向外側へ拡径し、ノズル部7から吐出された液体がノズル本体30への回り込みを抑止するための段差面32を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内の液体が吐出される際に、ノズルなどの吐出部の吐出口から吐出部の周囲に液体が上昇して回り込むのを抑止するノック式吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医療の分野において、比較的軽度の虫歯の修復にコンポジットレジンと呼ばれる樹脂材料が使用されている。コンポジットレジンによる虫歯の修復は、虫歯の部分を削り取って除去した後に、この部分にエッチング材による前処理を施して、コンポジットレジンとの接着性の高いボンディング材と呼ばれる硬化性組成物の硬化層を形成し、該ボンディング材層上にコンポジットレジンを付着させる。ボンディング材としては、光硬化型や化学硬化型の液体状の硬化性組成物を使用することができる。
【0003】
下記の特許文献1によれば、容器を親指と人差し指や中指などとの間に挟み込んで、容器の液体収納室を加圧することにより、液体収容室内の液体をノズル先端開口より必要量滴出し、液体収容室の加圧を解除すると、容器の復元力でノズル先端開口の液体を容器内に吸引するワンプッシュスクイズ式液体容器が開示されている。このようなスクイズ式液体容器は、収容室の液体を容器のボディを押すだけでノズル先端開口から液体を滴出できるので、簡単な構造であることから上記歯科用ボンディング材の収容容器として頻繁に使用されている。
下記の特許文献2によれば、インキ、墨、絵の具などの液体を貯溜した筆記具、また、アイライナー、リップカラー、マニキュアなどの液体を貯溜した化粧具、さらには、目薬、消毒液、化膿止めなどの液体を貯溜した薬剤容器、調味料、機械油、洗浄液などの液体を貯溜した塗布具として、ノック式吐出容器が開示されている。
ノック式吐出容器は、先端の吐出部に断面が円形の筆穂を有し、他端にノックボタンが設けられている。そして、ノックボタンを押すたびにピストン部材が貯溜室内の液体を加圧し、液体が筆穂へ押し出される構造になっている。そして、液体が筆穂に染み込むようにして、使用時には目的物に内容液を塗布するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−150856号公報
【特許文献2】特開2000−281112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクイズ式液体容器は、上述したように、容器から歯科用ボンディング材を滴下させていたが、滴下させる際にノズル開口から吐出された液体がそのままノズル開口から離れないまま、容器の加圧を解除しても、ノズル内に戻らないような場合がある(この現象を液ダレともいう。図3のBの液ダレb参照)。このようなノズル開口の外に残留した液体は、歯科医師が使用においてノズルの先端を傾斜させたような場合に、ノズルの外周面に上昇してノズルの周囲に回り込んで付着したりすることがある。液体の付着量が大きくなったような状態では、付着した液体と次に滴下された液体とが併せて滴下し、所定量の液体が供給できないこともある。また、そのままノズルの周囲に付着したような場合は、ノズルを汚染する。これを防止するために、引用文献1では、ノズルの先端形状を適宜変更することによって、残存液がノズルの1カ所に集中しないようにしている記載がある。
また、スクイズ式液体容器は、容器から液体を滴下させると、滴下した液体の体積分の空気が容器内に入り込み、温度変化による内圧の変化や液体の収容量などによって、液体の滴下量の調整が、指先のみの間隔では正確にできない場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ノズルなどの吐出部に液の回り込みを抑止するものであり、併せて、指先の間隔にたよることなく、液体を容器本体から適正量滴下させることができるノック式吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のノック式吐出容器は、容器本体の一端にノズル部を設け、他端にノックボタンを設け、容器本体の内部には、液体の収容室を設け、前記ノックボタンの押し込み操作に連動して前記収容室に収容されている液体をノズル部から吐出させるノック式吐出容器において、
前記ノズルの先端側のノズル先端部と基端側のノズル本体とからなり、
これらのノズル先端部とノズル本体との境界部にはノズル先端部の全周にわたって、ノズル先端部の外周面から半径方向外側へ拡径し段差面を形成した。
上記ノック式吐出容器は、前記ノックボタンの押し込み操作によってノズル部から排出される1滴の滴下量Vに対して、ノズル先端部の吐出口内径をD1、ノズル先端部の吐出口外径をD2、前記段差面の外径をD3、ノズル先端部の吐出口から段差面までの長さをHとして、
吐出口内径D1をaV1/3(aは0.5〜0.7の範囲)に設定し、
吐出口外径D2をbV1/3(bは0.8〜1.1の範囲)に設定し、
段差面の外径D3をcV1/3(cは1.3〜1.7の範囲)に設定し、
ノズル先端部の吐出口から段差面の長さHをdV1/3(dは1.0〜1.2の範囲)に設定して、これらのD1、D2、D3及びHを全て満たすことが好ましい。
上記ノック式吐出装置は、前記ノックボタンの2回以上の押し込み操作によって、1滴の液体を吐出部から滴下させることが好ましい。
上記ノック式吐出装置は、内容液が歯科用ボンディング材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のノック式吐出容器は、ノズルの先端側のノズル先端部と基端側のノズル本体とからなり、これらのノズル先端部とノズル本体との境界部にはノズル先端部の全周にわたって、ノズル先端部の外周面から半径方向外側へ拡径し、かつ前記ノックボタンの押し込み操作によってノズル部から吐出された液体がノズル本体への回り込みを抑止するための段差面を形成したので、液ダレの成長を抑制することができる。
上記ノック式吐出容器は、前記ノックボタンの2回以上の押し込み操作によって、1滴の液体を吐出部から滴下させるようにした。すなわち、液体の滴の核を先に形成し、後から滴下させるための量を追加するようにしたことで、1回のみの押し込み操作によって1滴滴下させる場合よりも液ダレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態によるノック式吐出容器の部分破断正面図である。
【図2】図1のノック式吐出容器の吐出部の拡大断面図である。
【図3】Aは、本発明の実施形態による段差面のある吐出部から液ダレが生じた状態の吐出部の拡大図であり、Bは従来の段差面のない吐出部から液ダレが生じた状態の吐出部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態によるノック式吐出容器1を示す。
なお、図1のノック式吐出容器1の右方を先端(若しくは前)、左方を後端(若しくは後)とする。
ノック式吐出容器1とは、シャープペンシルのような押し込み式のノックボタンのように、1回の操作によって一定長さ量だけペン先から芯を突出させる代わりに、1回の押し込み操作によって、一定量の内容物である液体を吐出口から吐出させるものである。
ノック式吐出容器1は、容器本体2と、キャップ3と、ノックボタン4と、ノック機構5を備えている。本実施形態では、歯科用ボンディング材を収容するノック式吐出容器1として説明する。ノック式吐出容器1に収容する内容物は歯科用ボンディング材に限らないが、ノック式吐出容器1は一定量の内容液を吐出することが可能なため、上記歯科用ボンディング材等の価格が高価な液状の歯科材料である場合に好適である。
【0011】
容器本体2は、筒状の外周壁15と該外周壁15の先端側に吐出部7を装着する支持部21を形成し、支持部21は外周壁15よりも小径に形成されている。また、容器本体2は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン・ビニルアルコール共重合体などの合成樹脂とすることができる。容器本体2の材料は、容器本体2に収納させる歯科用ボンディング材などの内容物の材質に影響を与えないものであればよい。歯科用ボンディング材以外の材料を用いるときは、その内容物の材質に与えない物を使用する。
容器本体2の先端側には、吐出部7が設けられている。吐出部7は容器本体2と一体成形によって形成されていてもよく、別部材で取付けられてもよい。本実施形態では、別部材で容器本体2に一体化された例で示す。
【0012】
図2は、吐出部7の拡大断面図である。吐出部7は、装着部26とノズル部27とからなり、装着部26は円筒断面の嵌入部28とフランジ29とから形成されている。嵌入部28は外径が容器本体2の内径に等しく、容器本体2に嵌入することにより装着される。フランジ29は嵌入部28の外周よりも半径方向外側へ突出する環状フランジであり、嵌入部28が容器本体2に嵌入された後にストッパとしての役割を果たす。
なお、容器本体2と吐出部7とが一体成形で形成されているものは、装着部26は省略される。
【0013】
ノズル部27は、フランジ29の前側に隣接して設けられ、ノズル本体30とノズル先端部31とからなる。ノズル本体30は外面がテーパ形状であり、先端側に向かって減径し、ノズル先端部31へ至る。ノズル先端部31は本実施形態では、後端から先端の吐出口8まで同一径の円筒形状である。ノズル部27の内部はノズル本体30からノズル先端部31まで同一径の流路10が吐出部7の中央位置を貫通している。吐出口8及び流路10の径は、吐出部7の先端を下側に向けても、材料が吐出されることなく、外力によって(本実施形態では後述するピストン23の押し込み力)、例えば目薬の容器のように内容物である材料が滴となって、したたり落ちる大きさである。吐出口8は、流路10を介して排出室9と連通する。
排出室9は、吐出部7の装着部26の内部に設けられ、装着部26は容器本体2の支持部21に装着される。支持部の外周面には雄ねじ12が形成されている。図3に示す雄ねじ12には、吐出口8を閉塞するキャップ3の内面に形成した雌ねじ13(図1)が螺着してキャップ3が吐出口8を閉塞する。
【0014】
ノズル本体30とノズル先端部31との境界部には、段差面32が形成されている。すなわち、段差面32は、ノズル先端部31の後端からノズル先端部31の径方向外側に向かって形成される平らな環状面であって、ノズル本体30のテーパ面の端縁に連なる。したがって、段差面32の向きは、ノズル部27の先端側に面している。
段差面32は、ノズル部27の吐出口8から吐出されて、滴下せずに吐出口8の周辺に付着したままの滴をノズル本体30よりも後端側への回り込みを阻止すること、また、付着した滴同士が混合して過度に成長しないようにするために設けている。
したがって、ノズル先端部31から段差面32までの長さは、滴下し得なかった液体の最大回り込み長さよりも小さく形成する必要がある。環状の段差面32の半径方向の幅については、段差面32の幅が広いと容器本体2の先端側を下向きに傾けて使用した際、液体が段差面32に沿って下方に流れてしまい、段差面32とノズル本体30の角部から落滴したり、ノズル本体30側へ液ダレする虞が生じてしまうので、その影響を受けない幅とするが、段差が小さいと回り込みが生じるので、両者の影響を適宜考慮して決定する。
【0015】
次に、ノズル部27と段差面32の具体的なサイズについて説明する。
ノックボタンの押し込み操作によって吐出部7から排出され、液体が落下するときの1滴の滴下量(体積)をVとし、図2に示す吐出部7におけるノズル先端部31の吐出口内径をD1、ノズル先端部31の吐出口外径をD2、段差面32の外径をD3、ノズル先端部31の吐出口8から段差面32までの長さをHとすると、D1、D2、D3、Hは以下のように設定される。
ノズル先端部31の吐出口内径D1は、aV1/3(aは0.5〜0.7の範囲)、
すなわち、0.5V1/3≦D1≦0.7V1/3の範囲とし、
ノズル先端部31の吐出口外径D2は、bV1/3(bは0.8〜1.1の範囲)、
すなわち、0.8V1/3≦D2≦1.1V1/3の範囲とし、
段差面32の外径D3はcV1/3(cは1.3〜1.7の範囲)、
すなわち、1.3V1/3≦D3≦1.7V1/3の範囲とし、
ノズル先端部31の吐出口8から段差面32までの長さHはdV1/3(dは1.0〜1.2の範囲)、
すなわち、1.0V1/3≦H≦1.2V1/3の範囲とする。
【0016】
ノズル先端部31の吐出口内径D1、外径D2は、ノック式吐出容器1の通常使用されるノズル部27の吐出口8と液体の滴下量Vの1滴あたりの体積と関連付けてa及びbの範囲を設定した。本発明のノック式吐出容器において、好適な液体の滴下量Vは、内用液が歯科用ボンディング材である場合、通常5〜20mmになる。したがって、この場合、D1は0.9〜1.9mmが好適になり、D2は1.4〜3.0mmが好適になる。
段差面の外径D3は、ノズル先端部31の吐出口外径D2と、液体の滴下量Vの1滴あたりの体積と関連付けて、液体が段差面32を乗り越えない長さであって、また、段差面32の幅が広いと液体が段差面32とノズル本体30との角部に向かって流れ易くなるので、このような影響を受けない幅とし、これを液体の滴下量Vの1滴あたりの体積と関連付けてcの範囲を設定した。前記内用液が歯科用ボンディング材であれば、通常2.2〜4.6mmが好適になる。
ノズル先端部31の吐出口8から段差面32までの長さHは、ノズル部27を下方に傾けたときに、液体の回り込みの長さを液体の滴下量Vの1滴あたりの体積と関連付けてdの範囲を設定した。前記内用液が歯科用ボンディング材であれば、通常1.7〜3.3mmが好適になる。
これらのD1、D2、D3及びHの全てがそれらの範囲を満たすことが好ましい。
図1に示すように、容器本体2の胴部14の内周壁16の吐出部7側には液状の歯科材料を充填する収容室22を形成している。収容室22は断面が円形であって、吐出部7側が排出室9に連通し、容器本体2のノックボタン4側にノック機構5が設けられている。収容室22はノック機構5により、容積が等量減少するように可変する。ノック機構5は、公知のノック機構であればよく収容室22に臨むピストン23が設けられ、ピストン23は外周部が収容室22の内周面に密接して配設されている。ピストン23には背面にロッド24が設けられ、ノックボタン4を押すと、1回毎にピストンが所定量だけ前進するような機構に構成され、ノックボタン4はコイルばねによってもとの位置に戻される。
本実施形態のノック式吐出容器1のノック機構の特徴とするのは、1回ノックボタンの操作によるピストン23の前進量では、吐出口8から液体が吐出されるが、1回のピストンの前進による液体の吐出量では、吐出口8から吐出された液体が滴下することなく、複数回のノックボタン4の操作(若しくは複数回のピストン23の前進)によって、液体が滴下するようにしている。本実施形態では2回のノックボタン4の操作で、ピストン23が2回前進することによって、吐出口8から1つの滴が滴下するようにしている。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。
このような、ノック式吐出容器1が収容する液体は、歯科材料も含めて、本発明の容器に収容するために適した液体の具体例は、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、蟻酸エチル等のエステル類;塩化メチレン等の塩素系溶媒;トリフルオロエタノール等のフッ素系溶媒等が適している。
【0018】
ノック式吐出容器1の使用時には、キャップ3を外し、形態がノック式であるので、右手であっても左手であっても、通常は親指の平をノックボタン4の頂面に当て、胴部14を4本の指で保持する。そして、採取皿や練和紙、さらには患部などの目的箇所の直上方に吐出部7の先端を位置合わせして、位置合わせが完了したら、親指でノックボタン4を押す。ノック式吐出容器1は、1回毎にピストン23の前進移動量が等しいので、内容物である液体が等量宛、吐出される。
容器本体2から液体を直接患部に滴下させる場合は、吐出部7の吐出口8を目的箇所の直上方にねらいを定め、ノックボタン4を2回押し込む。すると、吐出口8から液体が滴下する。容器本体2を垂直に向けているときは、液体のノズル先端部31への回り込みは少ないが、容器本体2を傾けたとき、例えば患者の歯に直接液体を滴下させるときには、容器本体2の先端側を下向きに傾けて使うことが殆どであり、傾けた時に液体の回り込みが生じて液ダレが生じる原因となる。特に、歯科用ボンディング材のように、1回毎の使用でキャップを開閉するものについて、液ダレが生じた場合は、液体を適量供給できなかったり、残留した液体をそのまま残した場合は、蓋の開閉に支障が生じることもあり、液体を拭き取っていたりした。材料によっては高価なものが多く、液ダレが生じると経済的にも損失が大きい。
【0019】
この液体の回り込みは、液体の粘性や容器の材質の濡れ性、容器本体2の傾きなどで異なるが、連続操作した場合は、滴下される滴の直径の2倍程度の長さまで回り込むことがある。
本実施形態では、液体の回り込みがあった場合に、ノズル先端部31の先端から段差面32までの長さを液体の回り込む長さよりも短い部位に段差面を形成しており、段差面32によって液体が堰き止められるようになり、段差面32よりも上に回り込むことがない。通常は液ダレが生じた場合は1回毎に液体を拭き取るが、拭き取ることなく連続使用するような場合は、液ダレの量も多くなるが、段差面を設けていないものでは容器本体2の下向きに傾けている場合において、おおよそ、滴下する滴の大きさの2滴程度の大きさの液ダレが発生する。本実施形態では段差面32を形成しているので、液体の回り込みが制限され、図3のAに示すように、液ダレaが狭いところで成長せざるを得ないので、その成長量も小さい。
【0020】
ノック式吐出容器1において、1回のノックボタンの操作で液体を滴下させることができ、上述した段差面32による液体の回り込みがなくなる効果がある。しかしながら、1回のノックボタンで操作させる場合は、1度で必ず、1滴の液体を滴下させなければならないので、吐出される滴は大きくなる傾向がある。すなわち、液体を1回で必ず滴下させるために、滴下させるための必要量(最低量)よりも多く吐出量を設定し、吐出された液体の全体が滴下しないで、ノズル先端部31の周囲に回り込み液ダレが生じることがある。
【0021】
本実施形態では、ノックボタン4を2回押す毎に1滴の液体が滴下されるようにしている。これは、1回目にノックボタンを押すことによって、滴の核となるものを形成し、2回目にノックボタンを押すことによって、核を滴下する大きさまで成長させて液体を滴下させている。このように、2回(複数回)のノックボタンを操作させることにより、いきなり大きな滴とすることなく、複数回の操作によって液体を滴下させている。
たとえ、核となるものがノズル先端部31の周囲に回り込んで液ダレaとなっても、液ダレが段差面32によってこれよりも上にいかず、比較的ノズル部27の下方に位置するので、2回目の操作で、液ダレaが吐出された液体と共に混ざり合って滴下するようにもなる。
上述した特許文献1のように、従来の歯科材料の容器では、容器の胴部を指で挟んで押圧し、指先の押し込み感覚によって調整していたが、こうしたノック式吐出容器は、ノックボタンを押すだけでピストンが前進し、指先の感覚に頼ることなく、一定量の歯科用ボンディング材を滴下できる利点がある。
また、従来例で述べたノック式吐出容器のように先端が穂筆でなくノズル形式であるので、衛生的な観点から患者毎に穂筆を交換するような手間を必要としない。
【0022】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
例えば、揮発性の大きな材料を用いるような場合は、容器本体を内外の2重壁として、内側に液体の収容室、外側に断熱室として空気などの断熱材を収容しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 ノック式吐出容器
2 容器本体
3 キャップ
4 ノックボタン
5 ノック機構
7 吐出部
8 吐出口
14 胴部
15 外周壁
16 内周壁
22 収容室
23 ピストン
27 ノズル部
30 ノズル本体
31 ノズル先端部
32 段差面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の一端にノズル部を設け、他端にノックボタンを設け、容器本体の内部には、液体の収容室を設け、前記ノックボタンの押し込み操作に連動して前記収容室に収容されている液体をノズル部から吐出させるノック式吐出容器において、
前記ノズルの先端側のノズル先端部と基端側のノズル本体とからなり、
これらのノズル先端部とノズル本体との境界部にはノズル先端部の全周にわたって、ノズル先端部の外周面から半径方向外側へ拡径し段差面を形成したことを特徴とするノック式吐出容器。
【請求項2】
前記ノックボタンの押し込み操作によってノズル部から排出される1滴の滴下量Vに対して、ノズル先端部の吐出口内径をD1、ノズル先端部の吐出口外径をD2、前記段差面の外径をD3、ノズル先端部の吐出口から段差面までの長さをHとして、
吐出口内径D1をaV1/3(aは0.5〜0.7の範囲)に設定し、
吐出口外径D2をbV1/3(bは0.8〜1.1の範囲)に設定し、
段差面の外径D3をcV1/3(cは1.3〜1.7の範囲)に設定し、
ノズル先端部の吐出口から段差面の長さHをdV1/3(dは1.0〜1.2の範囲)に設定して、これらのD1、D2、D3及びHを全て満たすようにした請求項1に記載のノック式吐出装置。
【請求項3】
前記ノックボタンの2回以上の押し込み操作によって、1滴の液体を吐出部から滴下させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノック式吐出容器。
【請求項4】
内容液が歯科用ボンディング材であることを特徴とする請求項1〜3に記載のいずれか一項に記載のノック式吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−56586(P2012−56586A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199737(P2010−199737)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(391003576)株式会社トクヤマデンタル (222)
【Fターム(参考)】