説明

ノンアルコールワイン

【課題】
蒸留装置や逆浸透膜装置等の大掛かりで高価な装置を不要とするものであって、主原料として緑茶の水出し抽出液を用い、ブドウや桃、キウイ、メロンその他の果汁を加えることにより製造するものである。
【解決手段】
1)主原料として緑茶の抽出液を用い、この抽出液100重量部に対しブドウや桃、キウイ、メロンその他の果汁を5〜50重量部加えたことを特徴とするノンアルコールワイン。
2)主原料として緑茶の水出し抽出液を用いたことを特徴とする上記記載のノンアルコールワイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノンアルコールワイン、すなわちアルコール抜きワインの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ワインは通常アルコール分があって酸味・渋味・苦味のバランスがとれており、発酵過程でできた旨み成分が加わり、またぶどうの品種によってワイン特有の香り成分が造られる等、酒類の中でも唯一アルカリ飲料として世界的に最も消費量の多い酒類である。
また、外食等の食事においてワインを飲むことにより、食事が美味しく、食欲も増すことが知られている。
しかしながら、近年は特に飲酒による問題点が多く、ワイン党にとっても飲酒を控える人達が増えてきて消費の低迷を招いている。
また、低カロリ食品および飲料の消費者の要望が増加し、低カロリーソフト飲料およびライトビールの浸透および市場成長が劇的に上昇している。最近になって、ワイン業界はこの消費者の要望に応えるべく種々の低カロリーワインを導入している。
【0003】
この傾向に一致して、種々のアルコール抜きワインは導入されたが、品質に疑問を呈されることが多かった。しかし、アルコールを僅かしか含まず、飲み過ぎの問題のないアルコール抜きワインの需要はまだまだ増大している。
したがって、消費者の要求に応えるアルコール抜きワインの品質の改良が残されている。
【0004】
過去において、蒸溜あるいは蒸発の方法、また浸透膜によるアルコールの分離等の手段を用いて、アルコール抜きワインの製造努力がなされた。これらの方法は、用いられる装置の特徴によって高温状態あるいは長接触時間を伴っている。
このような技術の例を以下に示す。
【0005】
特開平6−86661号公報(特許文献1)には、全てあるいはほぼアルコール抜きの低カロリーワインであるにも拘らずワインの風味と香りを維持することができるアルコール抜きワインが提案され、アルコールを気相中へ除去して、アルコールを含まない液相が濃縮グレープジュースと混合されたものが示されている。
特開平9−98767号公報(特許文献2)には、初期製品の生来の特性を維持したまま、アルコール飲料、特に糖類の発酵に由来するアルコール性飲料中からアルコール分を除去する方法であって、微生物層を減少させる目的で予め滅菌プレート中で濾過して精製したアルコール含有飲料を、化学的および微生物学的に精製した水と容量比1:10乃至1:1で混合、希釈し、次いでこの混合物を20乃至50バールの圧力、温度10乃至30℃において逆浸透膜により分画してアルコール溶夜に該当する第1画分を回収することにより、上記化学的および微生物学的に精製した水中で処理した飲料からアルコール分を除去する工程から成る方法および低アルコール性飲料が示されている。
特表平7−500283号公報(特許文献3)には、一方の領域はアルコールと少なくとも1種の他の液の溶液を含み、他方の領域は主として当該他の液のみを含む、微孔質の膜で分離された二つの領域のアルコールの分圧差を利用して、当該膜を通してアルコールを移動させる技術が示されている。
特開平4−222585号公報(特許文献4)には、ワイン、清酒等のアルコール飲料から味覚成分を失うことなく、パーペーパレーション法のアルコール分離効率を改善して、低アルコール飲料を製造するため、アルコール飲料を逆浸透膜処理して膜透過液と膜非透過液を得る工程(1)、工程(1)で得た膜透過液をパーペーパレーション処理して低アルコール含有液を得る工程(2)、及び工程(1)で得た膜非透過液の一部又は全部と工程(2)で得た低アルコール含有液の一部又は全部とを混合する工程(3)を含む低アルコール飲料の製造法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−86661号公報
【特許文献2】特開平9−98767号公報
【特許文献3】特表平7−500283号公報
【特許文献4】特開平4−222585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のいずれの先行技術も、蒸留装置や逆浸透膜装置等の大掛かりで高価な装置を必要とするものであった。
そこでこの発明のノンアルコールワインは、蒸留装置や逆浸透膜装置等の大掛かりで高価な装置を不要とするものであって、主原料として緑茶の水出し抽出液を用い、ブドウや桃、キウイ、メロンその他の果汁を加えることにより製造するものである。
上記緑茶にはカテキンが豊富に含まれており、このカテキンは一般的にはタンニンとも総称されて緑茶独特の渋味のもとになっている。そして、カテキンはお茶にしか含まれていない成分であるのと同時に、お茶に含まれている成分の中ではいちばん含有率が高く占めている。
このカテキンは果汁との相性が良く、カテキンに含まれているタンニン成分の渋味、苦味、酸味が果汁の生々しさを消し、発酵後の果汁と同じ風味と味わいに変えてくれる。
すなわちすべての点から、果汁と上記カテキンがブレンドされることにより、ワインと同等の製品に変わるのである。
ワインとの違いは、アルコール発酵したワインはアルコール分を含有するが、果汁とカテキンのブレンドによりアルコール分を含まないノンアルコールワインとして画期的な飲料に変えることができるのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、この発明のノンアルコールワインは、主原料として緑茶の抽出液を用い、この抽出液100重量部に対しブドウや桃、キウイ、メロンその他の果汁を5〜50重量部加えたことを特徴とするものである。
【0009】
またこの発明のノンアルコールワインは、主原料として緑茶の水出し抽出液を用いたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のようにして得たノンアルコールワインは通常飲まれているワインからアルコール分を除去したテイストを有するワインである。
したがって、食事において和食、洋食を問わずマッチするものであり、食欲も増し、また香りや味ともに非常のバランスのとれた、世界でも類を見ないノンアルコールワインを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施例1]
この実施例のノンアルコールワインの実施に際しては、主原料として緑茶の水出し抽出液を用いる。例えば、緑茶を富士山や南アルプスのミネラル成分を含む天然水に約1昼夜浸漬し、カテキン成分を抽出させた。その際、緑茶と天然水との配合割合は特に限定されるものではなく、抽出液の濃度を適宜調整することにより、カテキンを所定濃度含む抽出液とすることができる。
【0012】
その後、抽出液100重量部に対しブドウ果汁(甲州種)を30重量部加えて撹拌し、さらにこの混合液は静置するか、遠心分離機等にかけて液状成分とオリとを分離する。
得たノンアルコールワインは原料のブドウの特徴を備え、多少酸味のある、香りや味ともに非常のバランスのとれたものであり、かつ0%のアルコール濃度であった。
【0013】
[実施例2]
この実施例のノンアルコールワインの実施に際しては、主原料として実施例1と同様の緑茶の水出し抽出液を用いる。
【0014】
その後、抽出液100重量部に対しブドウ果汁(巨峰)を10重量部加えて撹拌し、さらにこの混合液は静置するか、遠心分離機等にかけて液状成分とオリとを分離する。
得たノンアルコールワインは原料のブドウの特徴を備え、多少甘みのある、香りや味ともに非常のバランスのとれたものであり、かつ0%のアルコール濃度であった。
【0015】
[実施例3]
この実施例のノンアルコールワインの実施に際しては、主原料として実施例1と同様の緑茶の水出し抽出液を用いる。
【0016】
その後、抽出液100重量部に対し桃果汁(日川白鳳)を20重量部加えて撹拌し、さらにこの混合液は静置するか、遠心分離機等にかけて液状成分とオリとを分離する。
得たノンアルコールワインは原料の桃の特徴を備え、多少甘みのある、香りや味ともに非常のバランスのとれたものであり、かつ0%のアルコール濃度であった。
【0017】
[実施例4]
この実施例のノンアルコールワインの実施に際しては、主原料として実施例1と同様の緑茶の水出し抽出液を用いる。
【0018】
その後、抽出液100重量部に対しキウイ果汁(ヘイワード)を15重量部加えて撹拌し、さらにこの混合液は静置するか、遠心分離機等にかけて液状成分とオリとを分離する。
得たノンアルコールワインは原料のキウイの特徴を備え、多少酸味のある、香りや味ともに非常のバランスのとれたものであり、かつ0%のアルコール濃度であった。
【0019】
以上この発明を実施例に基いて説明したが、これらの実施例のみに限定されるのでなく、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲によって制限される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上説明したように、本発明のノンアルコールワインは、通常のブドウ果汁を原料とするワインとしてのみならず、桃、キウイ、メロンその他の果汁を原料とするワインとしても適用することができ、香や味等において多彩なバリエーションのワインを提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主原料として緑茶の抽出液を用い、この抽出液100重量部に対しブドウや桃、キウイ、メロンその他の果汁を5〜50重量部加えたことを特徴とするノンアルコールワイン。
【請求項2】
主原料として緑茶の水出し抽出液を用いたことを特徴とする請求項1に記載のノンアルコールワイン。

【公開番号】特開2011−147386(P2011−147386A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11168(P2010−11168)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(508344198)株式会社シャトー勝沼 (3)
【Fターム(参考)】