説明

ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブル

【課題】優れた耐油性・難燃性を有するノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルを提供する。
【解決手段】金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃電線において、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルに関し、特に、耐油性・難燃性に優れたノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線やケーブルには難燃性、耐油性が必要とされる。そのため、これらに被覆される絶縁体には架橋クロロプレンゴムが用いられていた。架橋クロロプレンゴムは、その組成中に極性の高い塩素を含有しており、耐油性、特に鉱物油性に優れているためである。また、架橋クロロプレンゴムは、燃焼時には塩素を放出して絶縁体の燃焼を抑制することから、難燃性にも優れているためである。それ故、架橋クロロプレンゴムは耐油性・難燃性ゴムとして使用されていた。
【0003】
近年の環境に対する関心の高まりから、燃焼時に有害なハロゲンガスを大気中に放出しないノンハロゲンからなる絶縁体を被覆した電線やケーブルが要請されている。しかし、架橋クロロプレンゴムは架橋されており、さらには塩素を含有していることから、ノンハロゲン材料及びリサイクル材料として使用することはできなかった。
【0004】
そこで、ノンハロゲン及びリサイクル性を持たせるために、電線やケーブルに被覆される絶縁体に、ノンハロゲン系の熱可塑性エラストマーからなる絶縁体が用いられはじめている。ノンハロゲン系の熱可塑性エラストマーは、架橋クロロプレンゴムとは異なり、架橋工程を必要とせずに高温使用に耐えうる点で優れ、また、架橋工程を必要としないため、安価でリサイクル性が高い電線やケーブルを供給できるからである。
【0005】
なお、関連する従来技術には、リアクターブレンド型を用いたオレフィン系組成物を、可撓性に優れたものとしたものがある(例えば、特許文献1)。また、可撓性、耐傷つき性、引張伸び特性のバランスに優れた電線の絶縁体に適用したものがある(例えば、特許文献2)。また、熱可塑性オレフィン系組成物を、耐熱性、引張強度に優れた電線の絶縁体に適用したものがある(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−25367号公報
【特許文献2】特開2006−241225号公報
【特許文献3】特開2006−505685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のノンハロゲン系の熱可塑性エラストマーでは、非架橋による耐油性の低下、ノンハロゲン化による難燃性の低下による影響が大きく、耐油性と難燃性を両立するのは困難であった。このため、耐油性・難燃性の点で優れた熱可塑性エラストマーを得るために、耐油性に優れたポリマーとのブレンドや、難燃剤との併用が行われているが、耐油性・難燃性を十分に満足するノンハロゲン系熱可塑性エラストマーは未だ得られていない。
【0008】
本発明の目的は、優れた耐油性・難燃性を有するノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃電線において、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載の発明において、前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載の発明において、前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の第四の態様は、金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃ケーブルにおいて、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の第五の態様は、第四の態様に記載の発明において、前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第六の態様は、第四又は第五の態様に記載の発明において、前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノンハロゲンであり且つ優れた耐油性、難燃性を有するノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明者らは、耐油性と難燃性を両立したノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルを得るためには、金属導体に絶縁体として被覆される熱可塑性エラストマーが耐油性と可撓性に優れていることが必要であると考えた。種々の検討を行った結果、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂をベースにすることで、所望の熱可塑性エラストマーを得ることができることが判明した。そして、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐油性において優れた結晶性ポリオレフィンであるプロピレンの含有量を一定範囲内に規定し、これに所定の組成配分でポリオレフィンと金属水素化物を添加することにより、優れた耐油性及び難燃性を有するノンハロゲンの難燃電線及び難燃ケーブルを得ることができることを見出した。
この知見を基に、以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
【0017】
図1に、ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルの一実施形態の断面構造を示す。
ノンハロゲン難燃電線・ケーブルは、図1に示すように、断面が丸形状で長尺な金属導体1の外周を、絶縁体の絶縁層2で被覆したものである。なお、ノンハロゲン難燃電線及びノンハロゲン難燃ケーブルの断面形状は丸形状に限らず、板状の銅板よりスリット加工したり、丸線を圧延したりして得た平角状の金属導体に絶縁層を被覆したものでもよい。
また、難燃電線・ケーブルは、金属導体に絶縁体が被覆されていればよく、他の実施形態としては、金属導体1の外周を絶縁層2で被覆し、更にその外周をシース層3で被覆した構造のもの、或いは、図3に示すように、金属導体1を絶縁層2で被覆したものを複数本撚り合わせ、それらの外周をシース層3で被覆した構造のものなどが挙げられる。
【0018】
金属導体1の金属には、例えば銅が挙げられる。金属導体1は、例えば、銅線を単線で用いても複数からなる撚り線や編み線として用いても良く、銅線に溶融メッキや電解による錫メッキが施されていても良い。
【0019】
シース層3の材料には、例えば、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0020】
絶縁層2の絶縁体材料には、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むものが用いられる。上記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂には、結晶性ポリプロピレン以外に、例えば主にα−オレフィン系重合体が含まれる。
【0021】
上記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、多段重合法によって製造される物である。この重合法では、各段階の重合で生成される樹脂成分が重合時のリアクタ中でブレンドされることになる。そのため、ニーダ、バンバリミキサーなどの密閉型混練機やロールによる単純ブレンドの方法に比べて、例えば結晶性ポリオレフィン中に非晶性ポリオレフィンを細かく分散させることができる。
特に、結晶性ポリプロピレンの構成比をモノマー単位で51〜85モル%の範囲内にすることにより、得られるリアクターブレンド型の熱可塑性エラストマーは、分散相となる成分が径1μm以下程度に微細に分散され、明確な海島構造を持たずに相互貫入網目構造を持つことができる。これによって性状の異なるポリオレフィンのそれぞれの長所を両立でき、耐油性及び可撓性に優れたベース材料を得ることができる。
【0022】
上記熱可塑性エラストマーの結晶性ポリプロピレンの構成比をモノマー単位で51〜85モル%に規定したのは、85モル%を超えると、可撓性の指標となる曲げ弾性率が20MPaを超えてしまい、上記絶縁層2を有する難燃電線・ケーブルは、軟質PVC並の可撓性が得られないからである。また、51モル%未満では、耐油性を満足できなくからなる。
【0023】
また、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィン0重量部を超え50重量部以下のブレンド物100重量部とする必要がある。この範囲にないと、ノンハロゲン難燃電線は、耐油性を満足できない。
【0024】
更に、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂にポリオレフィンをブレンドすることで、難燃性、耐油性を向上することができる。ブレンド比率は、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対して、ポリオレフィン5〜40重量部が好ましい。
ポリオレフィンに結晶性樹脂を選択するときは硬くなり、電線・ケーブルとしたときに可撓性が損なわれるため、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜90重量部に対してポリオレフィン10〜40重量部でブレンドするのが好ましい。
また、ポリオレフィンに極性ゴムを選択するときは、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熟可塑性樹脂50〜90重量部に対してポリオレフィン10〜50重量部であることがより好ましい。
【0025】
これらリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とポリオレフィンのブレンド物100重量部に、金属水酸化物からなる難燃剤を40〜300重量部させることで、電線・ケーブルとしたときの難燃性を付与することができる。40重量部未満では難熱性が低く、300重量部を超えると可撓性及び機械的強度が低下する。金属水酸化物からなる難燃剤の含有量は、50〜200重量部がより好ましい。
更に、難燃剤として用いる金属水酸化物は、表面にシラン処理を施すことで、樹脂中に分散するときの凝集防止を図れると共に、樹脂との密着性が増し強度の改善を行うことができる。
【0026】
リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂にブレンドするポリオレフィンとしては、結晶性樹脂、または極性ゴムの中から少なくとも1種以上を選択することで耐油性の更なる向上が図れる。ここで結晶性樹脂は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができるが、ポリオレフィンで融点をもつ材料であれば特に限定するものではない。同様に極性ゴムは、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴムを挙げることができるが、分子中に極性基を含み耐油性に優れるものであれば、特にこれらに限定するものではない。
またポリオレフィンを極性ゴムから選択する際には、リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とポリオレフィンとの粘度差が大きく、単純ブレンドでは分散が悪くなり、所望の特性を得がたいので、ニーダ、バンバリミキサなどの密閉型混線機を用いてゴムを架橋分散させたものが特性上好ましい。
また、上記樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、着色剤、充填剤、滑剤等を適宜加えても良い。
【0027】
上記実施形態の難燃電線・難燃ケーブルの製造は、例えば、通常の押出成形ラインを用い、樹脂組成物を溶融混練し、単数又は複数からなる金属導体に上記樹脂組成物を押し出して作製できる。溶融混練には、例えばバッチ式混練機や二軸スクリュー押出機などが用いられる。また、押出成形ラインには、例えば二軸押出機が用いられる。この二軸押出機によって、溶融混練した樹脂組成物を押し出し、この樹脂組成物で金属導体を被覆して被覆層を形成する。
【0028】
上記ノンハロゲン難燃電線及び難燃ケーブルは、例えば航空灯火用電線及びケーブルに好適である。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を説明する。
図4には、実施例における絶縁体(樹脂組成物)の組成と各種特性の評価試験の結果を示し、図5には、比較例における絶縁体(樹脂組成物)の組成と各種特性の評価試験の結果を示す。
評価試験に用いた試料は、図4に示す実施例の組成の樹脂組成物、及び図5に示す比較例の組成の樹脂組成物を、厚さ2mmのシート状に押出成形して作製した。これら試料に対して、初期の引張強さ及び引張伸び試験、耐熱性試験、耐油性試験を行った。
また、難燃性、配線性の評価試験に用いた難燃電線は、図1に示す構造であって、7本撚りの銅線で導体外径3.6mmとした金属導体1に、図4及び図5に示す樹脂組成物を押出成形により被覆して外径を12mmの被覆層2を形成した。この難燃電線を用いて配線性試験を行った。
【0030】
図4及び図5の組成物における略号及びその内容は次の通りである。
TPO:ポリオレフィン系熱可塑性樹脂
リアクター型TPO−A(密度:0.87g/cm、MI:7g/10min、結晶性ポリプロピレン単位:51モル%)
リアクター型TPO−B(密度:0.87g/cm、MI:7g/10min、プロピレン単位:63モル%)
リアクター型TPO−C(密度:0.89g/cm、MI:7g/10min、プロピレン単位:45モル%)
リアクター型TPO−D(密度:0.89g/cm、MI:7g/10min、プロピレン単位:90モル%)
直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.92g/cm、MI:2g/10min)
ランダムタイプポリプロピレン(密度:0.90g/cm、MI:11g/10min)
アクリロニトリルブタジエンゴム(結合アクリロニトリル量:32%)
難燃剤(水酸化マグネシウム、平均粒子径:1.0μm)
酸化防止剤(フェノール系老化防止剤)
滑剤(脂肪酸アマイド)
【0031】
また、図4及び図5の評価試験は以下の方法により測定した。
(1)初期の引張強さ及び引張伸び試験
JIS C−3005に準拠して厚さ2mmのシート状の試料を用い、500mm/minの速度で引張強さ試験を実施した。初期の引張強さは13MPa以上、引張伸び率は300%以上を目標値とした。
引張伸び率は次式(a)で算出する。
(a)引張伸び率(%)=[(引張試験後の試料長)−(引張試験前の試料長)]×100/(引張試験前の試料長)
【0032】
(2)耐熱性試験
上記初期の引張試験に用いた試料を、JIS C−3005に準拠した恒温槽内に100℃で96時間暴露処理した後、冷却した試料に対して、引張試験を行って、引張強さ残率及び引張伸び残率を測定した。引張強さ残率及び引張伸び残率は、60%以上を目標値とした。
引張強さ残率及び引張伸び残率は、次式(b)及び(c)で算出する。
(b)引張強さ残率(%)=(試験後の引張強さ)×100/(試験前の引張強さ)
(c)引張伸び残率(%)=(試験後の引張伸び)×100/(試験前の引張伸び)
【0033】
(3)耐油性試験
上記初期の引張試験に用いた試料を、JIS C−3005に準拠して、120℃に加熱したIRM−902試験油中に4時間浸漬した後、油を拭き取り、室温で4時間冷却した試料に対して引張試験を行って、引張強さ残率及び引張伸び残率を測定した。引張強さ残率及び引張伸び残率は、80%以上を目標値とした。
【0034】
(4)難燃性試験
上述した難燃電線(長さ約300mm)を、JIS C−3005に準拠して水平面から60度傾斜させ、該電線の上端と下端を把持した。そして、バーナー内炎の先端を電線の下端から約20mmの位置に、30秒以内で燃焼するまで当て、バーナーを取り去った後に、燃焼の程度を目視にて確認した。ここで、バーナー炎は、内炎35mm、外炎130mmとした。バーナーを取り去ってから燃焼が継続することなく60秒以内で自己消炎したものを“合格”、60秒以上燃焼が継続するものを“不合格”とした。
【0035】
(5)配線性(可撓性)試験
上述した難燃電線を、90度に曲げたガス管内に電線を押し込んで、電線の通過性を軟質PVC被覆の難燃電線と比較し、軟質PVC被覆の難燃電線と同等以上なら“○(合格)”、そうでないなら“×(不合格)”とした。
【0036】
(実施例1〜9)
図4に示したように、実施例1〜9における組成物には、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、酸化防止剤1重量部と滑剤1重量部が加えられている。
実施例1〜9は、結晶性ポリプロピレンをモノマー単位で51〜85モル%含むリアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂が用いられている。例えば、実施例1では、リアクター型TPO−Aが、80重量部、ランダムタイプポリプロピレンが20重量部、かつ難燃剤が40重量部の配合組成となっている。
【0037】
(比較例1〜6)
図5に示したように、比較例1〜6における組成物も、オレフィン系ポリマー100重量部に対して、酸化防止剤1重量部及び滑剤1重量部が加えられている。
【0038】
実施例1〜9では、耐熱性、耐油性の試験結果の評価において、全て目標値を達成していた。また、難燃性の試験結果の評価において、“合格”であり、配線性において、“○”であった。
しかしながら、比較例1〜6では目標とする特性を満足できなかった。
比較例1〜2では、ブレンド物100重量部において、リアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂50重量部、100重量部であり、耐油性における引張強さ残率が80%未満であり耐油性を満足しなかった。
比較例3のように結晶性ポリプロピレンを51モル%未満しか含んでいないリアクター型TPOを用いたものは、耐油性における引張強さ残率が80%未満であり耐油性を満足しなかった。
比較例4のように結晶性ポリプロピレンを85モル%超えて含んだリアクター型TPOを用いたものは、難燃性及び配線性を満足できなかった。
比較例5では、難燃剤が40〜300重量部の範囲になく、難燃性を満足できなかった。
比較例6では、結晶性ポリプロピレンをモノマー単位で51〜85モル%の範囲で含んでいないリアクター型ポリオレフィン熱可塑性樹脂が用いられ、かつ難燃剤が40〜300重量部の範囲になく、配線性を満足できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態の難燃電線及び難燃ケーブルの断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態の難燃電線及び難燃ケーブルの断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の難燃電線及び難燃ケーブルの断面図である。
【図4】実施例における絶縁体の組成と特性評価試験の結果を示す図である。
【図5】比較例における絶縁体の組成と特性評価試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 金属導体
2 絶縁層
3 シース層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃電線において、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とするノンハロゲン難燃電線。
【請求項2】
前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃電線。
【請求項3】
前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のノンハロゲン難燃電線。
【請求項4】
金属導体の外周に絶縁体が被覆されたノンハロゲン難燃ケーブルにおいて、前記絶縁体が、モノマー単位で結晶性ポリプロピレンを51〜85%モル含むリアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂50重量部を超え100重量部未満とポリオレフィンとのブレンド物100重量部に対し、金属水酸化物を40〜300重量部含むことを特徴とするノンハロゲン難燃ケーブル。
【請求項5】
前記ブレンド物が、前記リアクターブレンド型ポリオレフィン系熱可塑性樹脂60〜95重量部に対し、前記ポリオレフィンを5〜40重量部含むことを特徴とする請求項4に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、結晶性樹脂又は極性ゴムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のノンハロゲン難燃ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−300225(P2008−300225A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145754(P2007−145754)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】