説明

ノンレール引戸

【課題】開閉動作を軽い操作力で行えるノンレール引戸を提供する。
【解決手段】門を開閉するため開動作端と閉動作端との間で移動する扉体1と、扉体1を開閉動作時において押上げ支持するため扉体1と同方向に移動する押上げ部材3と、扉体1を移動自在に支持するガイドローラと押上げ部材3を移動自在に支持するガイドローラとを有する支持体2を備えており、扉体1の開閉動作の開始時から押上げ部材3を牽引し、扉体1の開閉行程の中間位置で牽引を解除する板バネ40を有する。板バネ40は、開閉動作の開始時から押上げ部材3を牽引し、扉体1の開閉行程の中間位置で牽引を解除するので、扉体1の垂れ下り荷重を支えなければならない開閉行程の中間位置以降では押上げ部材は動きを止めている。以後の開閉動作は扉体1の移動だけでよく、押上げ部材3を扉体1の垂れ下り荷重を支えながら移動させる必要はなく、開閉操作力が局部的に重くなることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンレール引戸に関する。さらに詳しくは、レールを用いないで扉体を開閉できるようにしたノンレール引戸において均一な操作力で開閉操作できるようにしたノンレール引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
ノンレール引戸の従来例として特許文献1の技術がある。この従来技術は図9に示すように、支持体102に施したガイドローラに横長状の扉体101を懸架し、扉体101を長手方向に移動自在とした構造である。
支持体102は路面に固設されており、この支持体102に扉体101を案内するガイドローラA(A1、A2、A3、A4)が設けられており、扉体101の長手方向における移動が可能とされている。扉体101の下方には緩やかに湾曲した鋼製の押上げ部材103が配設されており、押上げ部材103は支持体102に設けられた支持ローラB(B1、B2)と押えローラC(C1、C2)によって挟持され、扉体101に沿って移動自在となっている。
【0003】
押上げ部材103の両端には押上げローラD1,D2が取付られており、この押上げローラD1,D2が扉体101の横移動を許容しつつ、扉体101の重量を下支えしている。そして、扉体101の両端下面には係合片104が取付けられ、押上げ部材103の端部に当って、押上げ部材103を押し動かすようになっている。なお、押上げ部材103の両端にもストッパ105が取付けられており、このストッパ105が支持体102に軸支されている支持ローラB1、B2に当って、押上げ部材103の移動範囲を規制するようになっている。
【0004】
扉体101を開閉動作するときは、扉体101の両端の係合片104が押上げ部材103の端部に当ると、図10に示すように、押上げ部材103が扉体101に追随して移動する。図10では左方に動いているが、右方に動く場合も同様である。このように、押上げ部材103は扉体101に押されて移動し、このとき押上げ部材103は円弧状に湾曲していることから、移動側の端部が中央部よりも寸法Zだけ高くなり、扉体101の先端部を押し上げるので、扉体101の垂れ下がりを抑制することができる。このため、扉体101の移動時の垂れ下がりが防止されて、門の開閉が支障なく行われることとなる。
【0005】
ところで、上記従来のノンレール引戸の開閉動作を全体的に示すと図11に示すとおりである。
同図の左側は開動作を示し、右側は閉動作を示している。開動作時の符号(1)は全閉状態を示し、(2),(3)および(4)は開動作途中の状態を示し、(5)は全開状態を示している。
また、閉動作時の符号(6)は全開状態を示し、(7),(8)および(9)は閉動作途中の状態を示し、(10)は全閉状態を示している。
【0006】
上記の開動作時では、開動作の開始(1)から開動作途中(3)の直前までは、扉体101の後端の係合片104が押上げ部材103に当っていないので、押上げ部材103は無拘束の状態である。そして、(3)の状態で係合片104が押上げ部材103に当って、以後は(4)に示すように扉体101と共に押上げ部材103が開方向に移動していって、全開状態(5)に至る。
【0007】
また、閉動作時では、閉動作の開始(6)から閉動作途中(8)の直前までは、扉体101の後端の係合片104が押上げ部材103に当っていないので、押上げ部材103は無拘束状態である。そして、(8)の状態で係合片104が押上げ部材103に当って、以後は(9)に示すように扉体101と共に押上げ部材103が閉方向に移動していって、全閉状態(10)に至る。
【0008】
しかるに、上記従来例では開閉の途中で動作が重くなるという問題があった。すなわち、開動作中の(4)前後の状態と、閉動作中の(8)前後の状態では、扉体101の先端部が垂れ下がろうとして、その重量wが押上げ部材103の先端に作用するが、このとき押上げ部材103は、その先端を上動した状態で扉体101を押し上げて垂れ下がりを阻止しようとしている。しかも、重量wと押上げ力を拮抗させながら扉体101と共に押上げ部材103を押し動かしているので、抵抗は極めて大きくなっている。このため、従来技術では開閉動作の途中で開閉操作が局部的に重くなるという問題があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3078222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、開閉動作を軽くて均一な操作力で行えるノンレール引戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明のノンレール引戸は、門を開閉するため開動作端と閉動作端との間で移動する扉体と、該扉体を開閉動作時において押上げ支持するため前記扉体と同方向に移動する押上げ部材と、前記扉体を移動自在に支持するガイドローラと前記押上げ部材を移動自在に支持するガイドローラとを有する支持体とを備えており、前記扉体の開閉動作の開始時から前記押上げ部材を牽引し、前記扉体の開閉行程の中間位置で牽引を解除する牽引機構を有することを特徴とする。
第2発明のノンレール引戸は、第1発明において、前記押上げ部材は、前記扉体の開動作端および閉動作端で、該扉体の中間位置を支持する位置を移動限界とする移動範囲規制機構で移動範囲が制限されており、前記牽引機構は、前記扉体の両端部下面に取付けられた係合部材を備えており、該係合部材は、前記扉体の開閉動作開始時に前記押上げ部材と係合し、該押上げ部材の移動限界で該押上げ部材との係合が外れることを特徴とする。
第3発明のノンレール引戸は、第2発明において、前記押上げ部材は、その両端部上面に前記扉体を支持する押上げローラを備えており、前記扉体は、その両端部下面に前記係合部材を備えており、前記係合部材は、板バネで構成されており、該板バネが撓むことによって、前記押上げローラを押す位置から係合が外れる動作を許容することを特徴とする。
第4発明のノンレール引戸は、第3発明において、前記板バネは、平坦部のみからなる長板状の第1バネと、平坦部と傾斜部が一続きにつながっている長板状の第2バネとからなり、第1バネと第2バネは基部で互いに固定され、自由端部が自由な動きが許容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、牽引機構は、開閉動作の開始時から押上げ部材を牽引し、扉体の開閉行程の中間位置で牽引を解除するので、扉体の垂れ下り荷重を支えなければならない開閉行程の中間位置以降では押上げ部材は動きを止めている。したがって、以後の開閉動作は扉体の移動だけでよく、押上げ部材を扉体の垂れ下り荷重を支えながら移動させる必要はなくなる。このため、開閉操作力が局部的に重くなることはなく、均一な軽い力で開閉操作が行える。
第2発明によれば、移動範囲規制機構により、押上げ部材は扉体が開動作端に移動したときも、閉動作端に移動したときも、その中間位置を支持する移動限界以上に移動することはない。そして係合部材は移動限界までは押上げ部材と係合して牽引するので、操作力が重くなる前の状態では押上げ部材が扉体の垂れ下りを支持し続けることができる。また、押上げ部材が移動限界に達した後は扉体のみが移動するので、均一な軽い力で扉体を開閉操作することができる。
第3発明によれば、板バネはそれ自体が撓み性を有しており、かつ押上げローラは円形の外周面を有しているので、板バネが押上げローラの外周に沿って撓むことで扉体を移動させながら係合したり係合を解除させることが可能であり、扉体の開閉動作を妨げない。また、板バネの撓みが徐々に進行するので、係合と解除のときにショックが発生せず、滑らかな係合解除が行える。
第4発明によれば、第1バネと第2バネは自由端側が自由に動くので、第2バネの傾斜部が撓んだとき、第1バネの動きすぎを抑制するよう働く。この第1バネの働きによって、第2バネは撓みやすくでき、しかも充分に大きなバネ力を付与することもできる。このように2枚のバネを組合せたことで、係合を確実にしながら解除も円滑に行わせることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るノンレール引戸における牽引機構を示す要部説明図である。
【図2】牽引機構の動作説明図である。
【図3】本発明のノンレール引戸における開閉動作と操作力均一化作用の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るノンレール引戸の全体正面図である。
【図5】図4のノンレール引戸の全体平面図である。
【図6】図4のノンレール引戸における開門動作中の状態図である。
【図7】図4のノンレール引戸における開門時の状態図である。
【図8】支持体2の拡大正面図である。
【図9】従来のノンレール引戸の説明図である。
【図10】従来のノンレール引戸における押上げ部材の作用説明図である。
【図11】従来のノンレール引戸における開閉動作と問題点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明が適用されるノンレール引戸Aの全体構成を図4および図5に基づき説明する。
ノンレール引戸Aは扉体1と支持体2と押上げ部材3とから構成される。扉体1は、上横框と下横框との間に多数本の縦桟を固定し、両端に縦框を固定した公知の横長の扉である。
押上げ部材3は、扉体1の下方に配置された円弧状に湾曲した鋼材からなり、その両端は中央部より高い位置にあり、その両端部には扉体1を下から支えるローラD1,D2が取付けられている。
【0015】
支持体2は、2本の支柱2a,2bを強度部材とする構造体である。この支持体2の下部には第1、第2ガイドローラユニットG1,G2が配置されている。これらの基本構造は図9の従来例と共通している。
なお、扉体1の左方には、戸当り柱Pが地面から垂直に立つように立設されている。また、Wは門の左右に設けられた塀である。
【0016】
扉体1は支持体2に懸架された状態で横方向に移動して門を開閉する。図4は閉門状態であり、扉体1は閉動作端に位置している。図6は開門途中の状態である。図7は開門した状態であり、扉体1は開動作端に位置している。
図4に示す閉門状態では、扉体1はその右端部を支持体2で片持ち支持されており、押上げ部材3の押上げローラD1は扉体1の中間位置を押し上げるように支持して、扉体1の左端の垂れ下がりを防止している。
図6に示す開門途中の状態では、支持体2は扉体1の中間部分を支持したままである。
図7に示す開門状態では、扉体1の左端部が支持体2で片持ち支持されており、押上げ部材3は扉体1の中間位置を押し上げるように支持して、扉体1の右端の垂れ下がりを防止している。
なお、本発明において、押上げ部材3の押上げローラD1、D2は、扉体1の開動作端および閉動作端において、扉体1の中間位置を支持しているが、この中間位置は扉体1の幅方向(横長方向)の厳密な中間位置である必要はなく、ある程度の広がりをもった領域を意味する。要するに扉体1の垂れ下がりを防止できる位置であればよい。
【0017】
図8は図7のVIII部分、すなわち開門状態において扉体1および押上げ部材3を懸架している支持体2の拡大図である。
支持体2の下部にはベース部材7が設けられており、このベース部材7はアンカボルト5で地中の基礎コンクリートに固定されている。このベース部材7の上面には連結部材20を介して第1、第2ガイドローラユニットG1,G2が設置されている。図示のように、第1ガイドローラユニットG1と第2ガイドローラユニットG2は支持体2の左右方向(扉体1の開閉方向に同じ)において、離間して設けられている。
【0018】
支持体2における各ガイドローラの取付位置は、つぎのとおりである。
第1ガイドローラユニットG1には、扉体1を支持するガイドローラA3と押上げ部材3を上下から挟持するガイドローラC1,B1が軸支されている。第2ガイドローラユニットG2には、扉体1を支持するガイドローラA4と押上げ部材3を上下から挟持するガイドローラC2、B2が軸支されている。なお、これらの各ガイドローラは連結部材20の両端に立設された取付板30に取付けられている。
また、支持体2の上部には、扉体1の動きをガイドするガイドローラA1,A2が取付けられている。
【0019】
つぎに、本発明の牽引機構の構造上の前提となる押上げ部材3を説明しておく。
図4に示すように押上げ部材3の両端にはストッパ4が取付けられている。図8では左端のストッパ4のみ図示しているが、このストッパ4はガイドローラB(B1,B2)やガイドローラC(C1,C2)を取付けている取付板30に当って、押上げ部材3の動きを止めるものである。換言すれば、押上げ部材3は、両端のストッパ4が取付板30に当る領域内で移動するように移動限界が規制されている。この移動可能領域は、扉体1の移動領域の約半分から同じ長さまでである。特許請求の範囲にいう移動範囲規制機構は、このストッパ4と取付板30とで構成されている。
【0020】
図4に示すように、押上げ部材3の両端部上面には既述のごとく押上げローラD1,D2が取付けられている。図8では左側の押上げローラD1のみ図示しているが、この押上げローラD1,D2は、扉体1が開閉動作中に開閉行程の中間位置から更に遠くに移動するとき、扉体1の垂れ下がりを防止するよう押上げ支持するものである。したがって、扉体1の移動端側が開閉行程の中間位置より支持体2寄りの領域を移動している間は、さほど垂れ下がりが生じていないので、押上げローラD1と扉体1の下面の間はすいているか、軽く接触している状態となる。
【0021】
つぎに、図1に基づき牽引機構を説明する。
牽引機構は、板バネ40と押上げ部材3の押上げローラD1,D2とで構成されている。
図1では、扉体1の左側の板バネ40と押上げ部材3の左側の押上げローラD1のみ示しているが、扉体1と押上げ部材3の右側では図示しない板バネ40と押上げローラD2とで牽引機構が構成されている。板バネ40は、特許請求の範囲にいう係合部材である。
【0022】
板バネ40は、第1バネ41と第2バネ42とからなる。
第1バネ41は平坦部のみからなる長板状のバネである。第2バネ42は、平坦部43と三角形状の傾斜部44と平坦部45が一続きに形成された長板状のバネである。傾斜部44は両側が傾斜面となっており、円形の押上げローラD1,D2(図1ではD1のみ図示)に対して乗り越えやすくなっている。
第1バネ41と第2バネ42の基部(図中左側)はリベット46等で扉体1の底板51に止められると共に、断面L形の押え材52を上面に置いてボルト53で底板51に固定されている。ただし第1バネ41と第2バネ42の自由端部(図中右側)は何ら拘束されておらず、自由な動きが許容されているようになっている。
【0023】
上記の構造の板バネ40が扉体1の両端部下面に固定されているが、押上げ部材3の両端部上面には、押上げローラD1,D2(図1ではD1のみ図示)が取付ブラケット35を介して取付けられている。
また、扉体1の両端部下面において、板バネ40より更に外側には押当て部材15が設けられている。この押当て部材15は押上げローラD1,D2(図1ではD1のみ図示)の取付ブラケット35に当って、押上げ部材3を扉体1の移動に追随させて押し戻すための部材である。
【0024】
つぎに、図2に基づき板バネ40と押上げローラD1との係合解除動作を説明する。
同図(6)、(7)は、板バネ40が押上げローラD1の図中右側に位置し、扉体1が左側に移動するとき押上げローラD1を押して押上げ部材3を左側に牽引させている状態である。
同図(8)は、押上げ部材3が移動限界に達して動かなくなったとき、板バネ40が撓んで係合を解除している状態である。このときの第1バネ41と第2バネ42の動きについては後述する。
同図(9)は、板バネ40が押上げローラD1を乗り越えた状態であり、このあと扉体1は移動を続け、押上げ部材3は既述した移動範囲規制機構により、移動を停止された状態になる。
【0025】
つぎに、上記牽引機構を用いた扉体1の開閉動作と、そのときの操作力均一化作用を図3に基づき説明する。
図3の右側は閉動作を示し、左側は開動作を示している。まず、閉動作を説明する。
閉動作の開始(6)では、図2と同様に板バネ40は押上げローラD1を押す位置にあるので、閉動作開始から押上げ部材3を牽引して開門方向に引き出していく。閉動作途中の(7)も同様であり、押上げ部材3を牽引する。
閉動作中の(8)では、押上げ部材3は移動限界に達する(具体的には、右側のストッパ4が支持体2の右側(図示していないが支持体2内の取付板30)に当って止まる)ので、動きを停止し、図2の(8)に示すように板バネ40が撓みながら押上げローラD1を乗り越える。これにより扉体1のみが移動可能となる。
ついで、閉動作途中(9)の状態を経て、閉門すると(10)の状態となる。
【0026】
上記の閉動作において、従来技術では、図11の(9)に示すように扉体1と押上げ部材3が扉体1の重量を支えながら共に動いていたので動作が局部的に重くなっていた。しかし、本発明では図3の(9)以降は、押上げ部材3は動きを止めている。そして、扉体1はその前の(8)の段階から押上げ部材3の両端の押上げローラD1,D2上を滑動するだけの状態となっている。したがって扉体1の閉動作の操作力はほとんど変化することなく、均一な軽い操作力で閉動作が行えることになる。これが、閉動作時における本発明の利点である。
【0027】
つぎに、開動作を図3の左側に示す(1)〜(5)に基づき説明する。
開動作の開始(1)では、図2と同様(ただし、左右の勝手は逆)に板バネ40は押上げローラD1を押す位置にあるので、開動作開始から押上げ部材3を牽引して開門方向に引き出していく。開動作途中の(2)も同様であり、押上げ部材3を牽引する。
開動作中の(3)では、押上げ部材3は移動限界に達する(具体的には、右側のストッパ4が支持体2の左側に当って止まる)ので、動きを停止し、図2の(8)に示すように(ただし、左右の勝手は逆)板バネ40が撓みながら押上げローラD1を乗り越える。これにより扉体1のみが移動可能となる。
ついで、開動作途中(4)の状態を経て、開門すると(5)の状態となる。
【0028】
上記の開動作においても図3の(4)以降は、押上げ部材3は動きを止めている。そして、扉体1は、その前の(3)の段階から押上げ部材3の両端の押上げローラD1,D2上を滑動するだけの状態となっている。したがって扉体1の開動作の操作力はほとんど変化することなく、均一な軽い操作力で閉動作が行えることになる。これが、開動作時における本発明の利点である。
【0029】
つぎに、板バネ40の利点を説明する。
図2の(8)に示すように、第1バネ41と第2バネ42は自由端側が自由に動くので、両方の板バネ41、42は独立して弾性を発揮する。このため図示のように、第2バネ42の傾斜部44が撓んで上方に持ち上げられたとき、第1バネ41は上方に動きすぎないように抑制するよう働く。この第1バネ41の働きによって、第2バネ42は撓みやすいバネを用いることができる。しかも、2つのバネによって充分に大きなバネ力を付与することもできる。したがって撓みすぎは抑制されるので係合が勝手に外れることもない。
このように板バネ40は2枚のバネを組合せたことで、係合を確実にしながら解除も円滑に行わせることを可能となっている。
【0030】
しかも、板バネ40はそれ自体が撓み性を有しており、かつ押上げローラD1、D2は円形の外周面を有しているので、板バネ40が押上げローラD1、D2の外周に沿って撓むことで扉体を移動させながら係合解除させることが可能であり、扉体1の開閉動作を妨げない。また、板バネ40の撓みが徐々に進行するので、係合と解除のときにショックが発生せず、滑らかな係合解除が行える。
【0031】
(他の実施形態)
上記実施形態では、板バネ40は2枚のバネで構成したが、これに限ることなく、必要なバネ力を有するものであれば、とくに制限なく種々のバネを利用できる。
上記実施形態は扉体1が1枚の実施形態であったが、門の左右両側に支持体2を設置し、それぞれ1枚の扉体1を懸架させた2枚扉のノンレール引戸にも本発明の支持体構造を適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 扉体
2 支持体
3 押上げ部材
D1 押上げローラ
40 板バネ
41 第1板バネ
42 第2板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門を開閉するため開動作端と閉動作端との間で移動する扉体と、
該扉体を開閉動作時において押上げ支持するため前記扉体と同方向に移動する押上げ部材と、
前記扉体を移動自在に支持するガイドローラと前記押上げ部材を移動自在に支持するガイドローラとを有する支持体とを備えており、
前記扉体の開閉動作の開始時から前記押上げ部材を牽引し、前記扉体の開閉行程の中間位置で牽引を解除する牽引機構を有する
ことを特徴とするノンレール引戸。
【請求項2】
前記押上げ部材は、前記扉体の開動作端および閉動作端で、該扉体の中間位置を支持する位置を移動限界とする移動範囲規制機構で移動範囲が制限されており、
前記牽引機構は、前記扉体の両端部下面に取付けられた係合部材を備えており、
該係合部材は、前記扉体の開閉動作開始時に前記押上げ部材と係合し、該押上げ部材の移動限界で該押上げ部材との係合が外れる
ことを特徴とする請求項1記載のノンレール引戸。
【請求項3】
前記押上げ部材は、その両端部上面に前記扉体を支持する押上げローラを備えており、前記扉体は、その両端部下面に前記係合部材を備えており、
前記係合部材は、板バネで構成されており、該板バネが撓むことによって、前記押上げローラを押す位置から係合が外れる動作を許容する
ことを特徴とする請求項2記載のノンレール引戸。
【請求項4】
前記板バネは、平坦部のみからなる長板状の第1バネと、平坦部と傾斜部が一続きにつながっている長板状の第2バネとからなり、第1バネと第2バネは基部で互いに固定され、自由端部が自由な動きが許容されている
ことを特徴とする請求項3記載のノンレール引戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−219541(P2012−219541A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87603(P2011−87603)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【出願人】(000230928)シコク景材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】