説明

ノート型コンピュータ、及び、ノート型コンピュータの入力システム

【課題】 ノート型コンピュータの可搬性と設置容易性とを損なうことなく、操作性に優れた位置入力装置を利用できるようにする。
【解決手段】 表示画面部11と、キーボード14が埋設された下本体部12とを連結してなるノート型コンピュータ1において、キーボード14の手前側に延設された領域に、有効エリア12Bが設定され、この有効エリア12Bにおいて入力ペン3による位置入力操作を行うことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を備えたノート型コンピュータ、及び、ノート型コンピュータの入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ノート型コンピュータは、キー入力装置としてのキーボードに加えて、トラックパッド等の位置入力装置(ポインティングデバイスとも呼ばれる)を備える(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−200146号公報(第31図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のノート型コンピュータが備える位置入力装置は、軽量かつ小型であることが要求され、操作性に関しては改善の余地があった。このため、より高い操作性を望むユーザは、ノート型コンピュータにマウス等を外部接続して使用していたが、この場合、ノート型コンピュータを容易に移動させることができなくなり、さらに、ポインティングデバイスを設置するスペースを確保しなければならないというデメリットがあった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ノート型コンピュータにおいて、その可搬性と設置容易性とを損なうことなく、操作性に優れた位置入力装置を利用できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、表示画面を備える表示画面部と、キー入力部を有する本体部とを備えたノート型コンピュータにおいて、前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、位置指示器による操作領域が仮想的に設定され、前記操作領域における前記位置指示器の位置を、少なくとも1つのコイルを備えた前記位置指示器との間に電磁的結合を生じることによって検出する位置検出装置を設けたことを特徴としている。
【0006】
ここで、前記位置指示器は、押圧操作される押圧操作部と、この押圧操作部に押圧力が加わることで前記コイルのインダクタンスを変化させる押圧反応機構とを備えたものであって、前記位置検出装置は、前記位置指示器が有する前記コイルのインダクタンスの変化を検出することにより、前記押圧部における押圧操作を検出する構成としてもよい。
【0007】
また、前記位置検出装置は、前記操作領域に対応する位置に配設されたセンサ基板と、前記センサ基板上における前記位置指示器の位置を検出する検出回路部とを備える構成としてもよい。
【0008】
さらに、前記センサ基板の裏面側に、磁性材料からなるシールド板が配設された構成としてもよい。
【0009】
また、前記センサ基板が、前記本体部の上面を構成するパネルの裏面に貼付された構成としてもよい。
【0010】
さらにまた、前記操作領域を含む範囲で前記本体部の上面に凹部が形成され、この凹部の底に前記センサ基板が配設された構成としてもよい。
【0011】
ここで、前記凹部は、前記本体部の上面を構成するパネルに穴が設けられ、この穴を塞ぐように前記センサ基板が配設されて構成されるものとしてもよい。
【0012】
また、前記本体部の上面に、前記操作領域を示す操作領域表示体が設けられた構成としてもよい。
【0013】
さらに、前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、相対位置座標を入力する相対位置入力装置が配設され、前記操作領域が、前記相対位置入力装置の側方に位置する構成としてもよい。
【0014】
本発明は、表示画面を備える表示画面部と、キー入力部を有する本体部とを備えたノート型コンピュータにおいて、少なくとも一つのコイルを備えた位置指示器を用いて入力操作を行うための入力システムであって、前記ノート型コンピュータに、前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、位置指示器による操作領域が仮想的に設定され、この操作領域における前記位置指示器の位置を、前記位置指示器との間に電磁的結合を生じることによって検出する位置検出装置を設けたことを特徴としている。
【0015】
ここで、前記位置指示器は、ペン型の筐体に前記コイルを内蔵したものとしてもよい。
【0016】
また、前記位置指示器は、前記コイルを収容する回路収容部と、前記回路収容部を支持するとともに、ユーザの指の先端が露出した状態を保ちつつ、前記指の側面に当接して保持される形状を有する支持部とを備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示画面を備える表示画面部と、キー入力部を有する本体部とを備えたノート型コンピュータにおいて、キー入力部の手前側に位置する操作領域において、位置指示器による位置入力操作が可能となる。これにより、キー入力部におけるキー入力操作を行いつつ、位置指示器による位置入力を行うことができる。ここで、ノート型コンピュータに何らかの装置を外部接続する必要はないので、ノート型コンピュータの可搬性及び設置容易性が損なわれることはない。また、ノート型コンピュータに設けた位置検出装置は、電磁的結合を利用して位置指示器の位置を検出するので、高い精度で位置入力を行うことができる上、軽快な操作感を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態に係るノート型コンピュータ1の構成を示す外観図である。図1に示すように、ノート型コンピュータ1の筐体10は、表示画面部11と、本体部としての下本体部12とから構成され、表示画面部11と下本体部12とはヒンジ部13によって折り畳み可能に連結されている。
【0019】
表示画面部11には液晶表示画面11Aが配設され、液晶表示画面11Aには、後述するコンピュータ主基板18(図3)に実装された図示しないCPU(Central Processing Unit)の制御に従って、各種画面が表示される。
また、下本体部12には、ユーザが入力操作を行う入力デバイスとして、キー入力部としてのキーボード14、入力パッド15及び入力スイッチ16が配設される。
【0020】
キーボード14は、下本体部12の上面に埋設される。キーボード14は、数字キー、文字キー、各種記号キー及び特定の機能が割り当てられたキーを備えたキー入力デバイスであり、ユーザにより押圧操作されたキーに対応する操作信号を出力する。キーボード14が備える各キーの上端は、下本体部12の上面よりわずかに突出するか、或いは、下本体部12の上面と面一となっている。
【0021】
また、入力パッド15(相対位置入力装置)は、キーボード14よりもさらに手前側(ヒンジ部13から離れる側)に延設された下本体部12の上面に埋設される。入力パッド15は、例えば静電容量の変化や押圧力を検出することにより、ユーザの手指による操作を検出する位置入力装置である。入力パッド15は、下本体部12の上面よりわずかに凹となる略四角形または円形の操作板により覆われており、この操作板上にユーザの手指が接触する位置を検出し、その接触位置の移動に応じて操作信号を出力する。入力パッド15が出力する操作信号は、例えば、ユーザの手指の接触位置が移動した向き及び移動量に応じた相対位置座標を示す信号である。
【0022】
入力スイッチ16は、入力パッド15と組み合わせて操作されるスイッチであり、入力パッド15の近傍(図1に示す例では、入力パッド15の手前側)に配設される。入力スイッチ16は、押圧操作時に操作信号を出力する押下スイッチであって、下本体部12の上面からわずかに突出し、或いは下本体部12の上面と面一となるよう構成された平板状の操作面を有するスイッチであり、図1に示すように複数のスイッチを備えた構成としてもよい。
【0023】
ノート型コンピュータ1は、後述するコンピュータ主基板18(図3)を内蔵し、このコンピュータ主基板18上に、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の各種装置が実装または接続される。コンピュータ主基板18には、上記したキーボード14、入力パッド15及び入力スイッチ16の各入力デバイスが接続され、これら入力デバイスから入力される操作信号がCPUに入力される。
【0024】
ノート型コンピュータ1は、キーボード14、入力パッド15及び入力スイッチ16による入力操作に従って、予め記憶したプログラムやデータを読み出してRAM上に展開し、CPUによってプログラムを実行することにより、各種機能を実現するものである。そして、ノート型コンピュータ1は、CPUの制御に従い、キーボード14、入力パッド15及び入力スイッチ16による入力内容や、CPUによりプログラムを実行した実行結果等を液晶表示画面11Aに表示する。
【0025】
また、ノート型コンピュータ1の下本体部12には、入力パッド15の左右両側、筐体10の上面に何も配設されていないスペースが存在し、これらのスペースはパームレスト部12Aとなっている。パームレスト部12Aは、ユーザがキーボード14の操作時に掌を置くための台として使用され、ユーザの腕の負担を軽減できる等の利点がある。
【0026】
そして、ノート型コンピュータ1においては、入力パッド15の右側に位置するパームレスト部12Aの上で、入力ペン3(位置指示器)を用いた位置入力操作を行うことができる。
図1中に破線で示すように、入力パッド15の右側に位置するパームレスト部12Aには、入力ペン3による入力操作が可能な領域(操作領域)として、有効エリア12Bが設定される。なお、図1中の破線は有効エリア12Bの位置を仮想的に示すもので、有効エリア12Bに相当する位置において筐体10に何らかの部材が配設されるものではない。
【0027】
入力ペン3は、筆記具の形状を模したケース31と、ケース31の先端から突出する芯32とを備えた位置指示器であり、筆記具のように手に持って使用するものである。
入力ペン3による操作方法は、次の通りである。まず、有効エリア12Bにおいて、入力ペン3が下本体部12の上面から所定の距離以内に位置していれば、有効エリア12Bにおける芯32の位置が検出される。従って、ユーザは、入力ペン3を任意の位置に移動させるだけで、位置入力を行える。この位置入力操作においては、芯32が下本体部12の上面に接触していても、接触していない状態(入力ペン3が浮いた状態)であっても、その位置が検出される。
さらに、有効エリア12Bにおいて、入力ペン3の芯32を筐体10に押し付ける操作(押圧操作)が行われた場合、芯32に加わる押圧力が検出される。
【0028】
図2は、有効エリア12B及びその近傍における下本体部12の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、有効エリア12Bの下方においては、下本体部12の表面を構成する筐体パネル10Aの下(裏)側に、センサ基板25が配設される。センサ基板25は、図3を参照して後述するように、入力ペン3の位置及び押圧操作を検出するためのループコイルを有する基板である。
【0029】
センサ基板25は、筐体パネル10Aの表面と平行に配設されることが好ましく、また、センサ基板25と筐体パネル10Aとが近接していると、好ましい。従って、センサ基板25を固定するための好適な方法としては、例えば、筐体パネル10Aの裏面に粘着材や両面テープ等を用いて貼り付ける方法がある。この方法は、極めて簡単かつ確実にセンサ基板25を設置できる点で有利である。
【0030】
センサ基板25の裏面側には、シールド板26が配設される。シールド板26は、センサ基板25の裏面のほぼ全域、少なくとも後述するループコイルが配設された領域を覆うシート(または板)状の部材である。シールド板26は金属等の磁性材料からなり、センサ基板25の周囲に存在する各種機器からのノイズの影響を軽減または解消することにより、センサ基板25による検出精度を高める効果がある。
【0031】
さらに、下本体部12内には検出回路部20が配設される。検出回路部20は、図示しないフレキシブルケーブル等によって、センサ基板25が有するループコイルに電気的に接続され、センサ基板25による入力ペン3の位置検出及び入力ペン3による操作の検出を実行する。検出回路部20は、ノート型コンピュータ1に内蔵される各種装置の位置および発熱の影響等に応じて適切な位置に配設すればよく、図2(a)及び(b)に示すようにシールド板26の下に配設することも、センサ基板25から離隔させて配設することも可能である。
【0032】
そして、ノート型コンピュータ1においては、センサ基板25及び検出回路部20により構成される位置検出部2(位置検出装置)によって、上述した入力ペン3による操作を検出する。
【0033】
図3は、検出回路部20の構成を詳細に示す回路図である。なお、理解の便宜を図るため、図3には入力ペン3が内蔵する回路及びコンピュータ主基板18を合わせて示す。
入力ペン3は、上述したケース31(図1)内にコンデンサ34およびコイル35を含む共振回路33を内蔵し、この共振回路33と、センサ基板25が有するループコイル群251、252との間で所定周波数の無線信号を送受信する。また、入力ペン3は、押圧操作部としての芯32に加わる押圧力に応じてコイル35のインダクタンスが変化する機構(押圧反応機構)を備え、これにより、入力ペン3の操作時に芯32に押圧力が加わると、共振回路33の共振周波数が変化する。
【0034】
センサ基板25には、その横方向及び縦方向に相当する向きのX軸及びY軸からなるX−Y直交座標系が仮想的に設定され、このX−Y直交座標系に対応してループコイル群251、252が配設される。
ループコイル群251は、X軸方向に並ぶ複数(例えば、48本)のループコイル251-i(i=1、2、…、48)から構成される。ループコイル251-iは、上記Y軸に沿って延びる1ターンのループコイルであり、各ループコイル251-iは、互いに平行で、かつ、重なり合う如く並べて配置されたものである。また、ループコイル群252は、Y軸方向に並ぶ複数(例えば、48本)のループコイル252-i(i=1、2、…、48)から構成され、上記Y軸方向に沿って延びる1ターンのループコイルであり、各ループコイル252-iは、互いに平行で、かつ、重なり合う如く並べて配置されたものである。
これらループコイル群251、252は、センサ基板25の1または複数層のプリントパターンにより実現される。なお、各ループコイル251-i、252-iは1ターンで構成されるものに限らず、必要に応じて複数ターンをなす構成としてもよい。
【0035】
ループコイル群251、252は、筐体パネル10A上における有効エリア12Bに重なる領域に敷設されており、有効エリア12Bにおける入力ペン3の位置及び操作を検出できるようになっている。
【0036】
検出回路部20は、制御回路211、信号発生回路212、選択回路213、選択回路214、送受切替回路215、216、XY切替回路217、受信タイミング切替回路218、帯域フィルタ(BPF:Band Pass Filter)219、検波器220、低域フィルタ(LPF:Low Pass Filter)221、位相検波器(PSD:Phase Shift Detector)222、223、低域フィルタ(LPF)224、225、駆動回路226、227、増幅器228、229を備える。この検出回路部20は、ノート型コンピュータ1(図1)が内蔵するコンピュータ主基板18に接続される。
【0037】
検出回路部20は、入力ペン3による操作を検出するため、送信動作と受信動作とを所定の周期で繰り返し実行する。送信動作においては、センサ基板25が有するループコイル群251、252から入力ペン3の共振回路33に対して電波が送信され、この電波により共振回路33に誘導電流が発生する。共振回路33においては、誘導電流に基づいてコイル35から電波が発せられる。この電波は、受信動作においてループコイル群251、252により受信され、この電波に基づいて入力ペン3の位置および芯32に対する押圧操作の有無や芯32に加わる押圧力(筆圧)が検出される。
【0038】
制御回路211は、信号発生回路212を制御するとともに、選択回路213、33によるループコイル群251、29の各ループコイルの切り替えを制御する。また、制御回路211は、XY切替回路217および受信タイミング切替回路218を制御して、座標検出方向(X方向、Y方向)の切り替えを行わせる。さらに制御回路211は、低域フィルタ221、224、225からの出力値をアナログ−ディジタル(A/D)変換し、所定の演算処理を実行して入力ペン3により指示された位置の座標値を求めるとともに、受信信号の位相を検出して、これらをコンピュータ主基板18に送出する。
【0039】
選択回路213は、制御回路211の制御に従ってX方向のループコイル群251から一のループコイル251-iを選択する。また、選択回路213は制御回路211の制御に従ってY方向のループコイル群252より一のループコイル252-iを選択する。
送受切替回路215は、信号発生回路212から入力される送受切替信号Cに従って選択回路213により選択されたループコイル251-iを駆動回路226並びに増幅器228に交互に接続し、送受切替回路216は、送受切替信号Cに従って選択回路213により選択されたループコイル252-iを駆動回路227並びに増幅器229に交互に接続する。
【0040】
信号発生回路212は、所定の周波数f0の矩形波信号A、該矩形波信号Aの位相を90度遅らせた信号B、所定の周波数fkの送受切替信号C、および、受信タイミング信号Dを生成して出力する。信号発生回路212から出力された矩形波信号Aは、位相検波器222に送出される一方、低域フィルタ(図示略)により正弦波信号Eに変換され、さらにXY切替回路217を介して駆動回路226、227のいずれか一方へ送出される。また、信号発生回路212から出力される矩形波信号Bは位相検波器223へ送出され、送受切替信号Cは送受切替回路215、216に送出され、さらに、受信タイミング信号Dは受信タイミング切替回路218に送出される。
【0041】
制御回路211からX方向を選択する情報が出力され、XY切替回路217および受信タイミング切替回路218に入力されている状態では、信号発生回路212から出力される正弦波信号Eは駆動回路226に送出されて平衡信号に変換され、さらに送受切替回路215に送出される。ここで、送受切替回路215は、送受切替信号Cに基づいて駆動回路226または増幅器228のいずれか一方を切り替えて接続するので、送受切替回路215から選択回路213に出力される信号は、時間T(=1/2fk)毎に出力/停止が繰り返される信号Fとなる。そして、送受切替回路215から出力される信号Fは、選択回路213を介して、ループコイル群251から選択されたループコイル251-iに送出され、このループコイル251-iにおいては信号Fに基づく電波が発生する。
信号Fが出力されている間、検出回路部20は上記送信動作を実行し、信号Fが出力されていない間は上記受信動作を実行する。この送信動作と受信動作とは上記時間T毎に交互に繰り返される。
【0042】
有効エリア12B(図1)において、入力ペン3が使用状態に保持されると、ループコイル251-iから発生した電波によって入力ペン3のコイル35が励振され、共振回路33において、信号Fに同期した誘導電圧Gが発生する。
【0043】
その後、検出回路部20は送受切替回路215の動作により受信動作に移行する。ここでループコイル251-iが増幅器228側に切り替えられると、ループコイル251-iからの電波が直ちに消滅する一方、入力ペン3の共振回路33に生じた誘導電圧Gは、共振回路33内の損失に応じて徐々に減衰する。そして、この誘導電圧Gに基づいて共振回路33を流れる電流により、コイル35から電波が発信される。コイル35から発信された電波によって、増幅器228に接続されたループコイル251-iが励振され、このループコイル251-iにコイル35からの電波による誘導電圧が発生する。この誘導電圧は、受信動作中の間のみ送受切替回路215から増幅器228に送出され、増幅されて受信信号Hとなって受信タイミング切替回路218に送出される。
【0044】
受信タイミング切替回路218には、X方向またはY方向のうちいずれかを指定する情報と、実質的に送受切替信号Cの反転信号である受信タイミング信号Dとが入力される。受信タイミング切替回路218は、信号DがHighレベルの期間は受信信号Hを出力し、Lowレベルの期間は何も出力しないため、実質的に受信信号Hと同一の信号Iを帯域フィルタ219に出力する。
【0045】
帯域フィルタ219は、周波数f0を固有の振動数とするフィルタ(例えば、セラミックフィルタ)であり、信号I中の周波数f0成分のエネルギーに応じた振幅を有する信号Jを検波器220および位相検波器222、223に送出する。厳密には、帯域フィルタ219は、数個の信号Iが帯域フィルタ219に入力され収束した状態において、これらの信号Jを検波器220および位相検波器222、223に送出する。
【0046】
検波器220に入力された信号Jは検波・整流され、信号Kとされた後、さらに遮断周波数の充分低い低域フィルタ221によって振幅のほぼ1/2に対応する電圧値Vxiを有する直流信号Lに変換され、制御回路211に送出される。
【0047】
信号Lの電圧値Vxiは、ループコイル251-iに誘起される誘導電圧に基づくものであり、入力ペン3とループコイル251-iとの間の距離に依存した値、ここではほぼ距離の4乗に反比例した値を示す。このため、ループコイル251-iが異なるループコイルに切り替えられると、当該ループコイルにおける信号Lの電圧値Vxiは異なる値となる。
【0048】
従って、制御回路211は、ループコイル毎に得られる電圧値Vxiをディジタル値に変換し、所定の演算処理を実行して各ループコイルと入力ペン3との位置関係を求めることにより、入力ペン3による指示位置のX方向の座標値が求められる。また、入力ペン3による指示位置のY方向の座標値についても同様にして求められる。これにより、有効エリア12Bにおける入力ペン3の位置を示す座標が得られる。
【0049】
一方、位相検波器222には、信号発生回路212により発生された矩形波信号Aが検波信号として入力され、位相検波器223には、矩形波信号Aと位相が90度遅れた矩形波信号Bが検波信号として入力されている。そして、信号Jの位相が矩形波信号Aの位相とほぼ一致している場合は、位相検波器222は信号Jを全波整流した場合と同様の波形を有する信号M1を出力し、また、位相検波器223は正側および負側に対称な波形を有する信号M2を出力する。なお、位相検波器222から出力される信号M1は実質的に信号Kと同一である。信号M1は、上記の信号Kと同様に、低域フィルタ224によって信号Jの振幅のほぼ1/2に対応する電圧値、即ちVxiを有する直流信号N1に変換され制御回路211に送出される。ここで、直流信号N1は実質的に信号Lと同一である。また、信号M2は、同様に低域フィルタ225によって直流信号N2に変換され、制御回路211に送出される。
【0050】
制御回路211は、低域フィルタ224、225の出力値、ここでは信号N1、N2をディジタル値に変換し、得られたディジタル値を用いて所定の演算処理を実行することにより、位相検波器222、223に加わった信号、ここでは信号Jと矩形波信号Aとの位相差θを求める。
【0051】
ここで、信号Jの位相は、入力ペン3の共振回路33における共振周波数に対応する。即ち、共振回路33における共振周波数が所定の周波数f0と一致している場合、共振回路33には送信動作中および受信動作中とも周波数f0の誘導電圧が発生し、また、これに同期した誘導電流が流れるため、受信信号H(またはI)の周波数および位相は矩形波信号Aと一致し、信号Jの位相も矩形波信号Aと一致する。
【0052】
一方、共振回路33における共振周波数が所定の周波数f0と一致していない場合、例えば周波数f0よりわずかに低い周波数f1(f1<f0、かつ、f1がf0とほぼ等しい)の場合は、送信動作中に共振回路33には周波数f0の誘導電圧が発生するが、この誘導電圧により共振回路33には位相遅れを伴う誘導電流が流れる。そして、受信動作中においてはほぼ周波数f1の誘導電圧が生じ、これに同期した誘導電流が流れるため、受信信号H(またはI)の周波数は矩形波信号Aの周波数よりわずかに低く、また、その位相もやや遅れたものとなる。前述したように、帯域フィルタ219は周波数f0のみを固有の振動数とするものであるから、その入力信号の低い方への周波数のずれは位相遅れとして出力されることになり、したがって、信号Jの位相は受信信号H(またはI)よりさらに遅れたものとなる。
【0053】
逆に、共振回路33における共振周波数が所定の周波数f0よりわずかに高い場合、例えば周波数f2(f1>f0、かつ、f2がf0とほぼ等しい)の場合、送信動作中において共振回路33には周波数f0の誘導電圧が発生し、共振回路33には位相進みを伴う誘導電流が流れる。また、受信動作中においてはほぼ周波数f2の誘導電圧およびこれに同期した誘導電流が流れるため、受信信号H(またはI)の周波数は矩形波信号Aの周波数よりわずかに高く、また、その位相もやや進んだものとなる。帯域フィルタ219において、その入力信号の高い方への周波数のずれは、前述した場合とは逆に位相進みとして出力されることになり、したがって、信号Jの位相は受信信号H(またはI)よりさらに進んだものとなる。
【0054】
前述のように、入力ペン3は、芯32に加わる押圧力によってコイル35のインダクタンスが変化する構成を有する。従って、有効エリア12Bにおいて芯32を筐体パネル10Aに押し付ける押圧操作が行われると、この押圧操作によりコイル35のインダクタンスが増大し、共振回路33の共振周波数が、例えば低い周波数に変化する。この共振回路33の共振周波数の変化は、上述した制御回路211による演算処理によって位相差θの値として検出できる。従って、検出回路部20は、入力ペン3の位置と、入力ペン3の押圧操作時における押圧力の大きさを検出できる。そして、検出回路部20は、有効エリア12Bにおける入力ペン3の位置を示す座標(絶対位置座標)、及び、芯32に加わった押圧力を示す操作信号を生成して、コンピュータ主基板18に出力する。
【0055】
以上のように構成されるノート型コンピュータ1は、キーボード14と、相対位置座標系のポインティングデバイスたる入力パッド15及び入力スイッチ16とを備え、さらに、位置検出部2を備えている。ユーザは、キーボード14によりキー入力操作を行いつつ、入力ペン3を手に持って有効エリア12B上で位置入力操作を行うことができる。
【0056】
入力ペン3を用いた操作は、筆記具の如く入力ペン3を手に持って、有効エリア12B上で任意の位置に移動させ、必要に応じて芯32を筐体10に押し付ける操作である。この操作は、筆記具で絵や文字を描く動作と極めて似ているので、ユーザは、違和感なく直感的に操作できる。
【0057】
さらに、センサ基板25が有するループコイルは極めて細い導線により構成できるため、限られた面積に多数のループコイルを敷設できる。また、芯32は指先に比べて非常に小さい。このため、位置検出部2によって入力ペン3の位置検出を行う際の分解能は、例えば静電容量の変化等を利用する入力パッド15の分解能に比べて、非常に高い。
従って、有効エリア12Bにおいては、簡単な操作によって、極めて高い精度で位置入力を行うことができる。
【0058】
また、ノート型コンピュータ1が有する位置検出部2は、入力ペン3が有する共振回路33との間における電磁的結合を利用して、入力ペン3の位置を検出するものである。従来のノート型コンピュータが備える多くのポインティングデバイス(例えば、入力パッド15)は、指先が接触した場合にのみ位置を検出するものであるのに対し、位置検出部2は、芯32が宙に浮いた状態、すなわち芯32が筐体10から離れた状態であっても、入力ペン3の位置を検出する。従って、位置検出部2を用いることにより、軽快で直感的な操作が可能となり、ユーザの手指の負担が著しく軽いという利点がある。
さらに、従来のノート型コンピュータが備える多くのポインティングデバイス(例えば、入力パッド15)が、相対的な位置を検出するものであるのに対し、位置検出部2は、有効エリア12Bにおける入力ペン3の絶対的な位置を検出する。従って、より軽快で直感的な操作が可能となる。
【0059】
そして、位置検出部2は、入力ペン3の芯32に加わる押圧力をも、例えば数百段階のレベルで検出できるので、従来のノート型コンピュータが備える多くのポインティングデバイス(例えば、入力パッド15)によっては実現不可能な、位置とともに押圧力を同時に入力することができる。
【0060】
また、位置検出部2を構成する検出回路部20及びセンサ基板25は、下本体部12に内蔵されるので、例えばペンタブレットをノート型コンピュータ1に外部接続した場合に比べ、タブレットを設置するスペースを確保する必要がなく、ノート型コンピュータ1の可搬性を損なうこともない。
【0061】
さらに、ノート型コンピュータ1は、筐体にパームレスト部12Aに相当するスペースを有する一般的なノート型コンピュータに、検出回路部20及びセンサ基板25を内蔵することで、容易に実現可能である。
【0062】
なお、入力ペン3を用いた位置入力操作に応じたノート型コンピュータ1の動作については、アプリケーションプログラムを適宜変更することにより、如何様にも設定可能である。例えば、コンピュータ主基板18上のCPUにより、手書き文字認識機能を有するアプリケーションプログラムを実行して、位置検出部2により検出した入力ペン3の軌跡に基づいて文字認識を実行し、入力ペン3による文字入力を行えるようにしてもよい。この場合、キーボード14の操作に不慣れなユーザであっても快適に文字入力操作を行える。また、例えば、CPUによって手書きサインの形状に基づく認証機能を有するアプリケーションプログラムを実行して、ユーザが入力ペン3を用いてサインを描く操作を行い、この操作時に位置検出部2が検出した入力ペン3の軌跡及び押圧力の変化と、予め記憶したデータとを比較対照することにより、サインの正否を判定することも可能である。この場合、操作が簡単で、かつ保護能力に優れた認証機能を実現できる。
その他、入力パッド15及び入力スイッチ16における操作と、入力ペン3による操作とを組み合わせて、各種の機能を実現することも勿論可能である。
【0063】
また、上記第1の実施の形態におけるノート型コンピュータ1の構成は、あくまで一例であり、その細部構成等を適宜変更することは勿論可能である。例えば、ノート型コンピュータ1が有する入力スイッチ16を、入力パッド15の側方に並べて配設してもよいし、入力パッド15に代えて、スティック状の位置入力装置をキーボード14のキー間に設けた構成としてもよい。また、例えば、有効エリア12Bにおいて、下本体部12の上面には何も配設されていないものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、有効エリア12Bに相当する領域にシート等を配してもよい。この場合について、以下、第2の実施の形態として説明する。
【0064】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係るノート型コンピュータ1において下本体部12の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
なお、本第2の実施の形態において、後述する表面シート27を除く各部は上記第1の実施の形態に係るノート型コンピュータ1と同様に構成されるので、これらの各部については同符号を用いることで説明を省略する。
【0065】
図4に示すように、第2の実施の形態に係るノート型コンピュータ1においては、筐体パネル10Aの有効エリア12Bに相当する位置に、表面シート27が貼付される。
【0066】
表面シート27は、操作領域表示体として機能し、有効エリア12Bの位置をユーザが視認できるように、有効エリア12Bに対応する略四角形の枠模様、或いは、略四角形の塗りつぶし模様等が描かれたシートである。
【0067】
表面シート27は、厚みが大きいと筐体パネル10Aの表面との段差を生じて操作感に影響を与えるため、なるべく薄い方が好ましい。
【0068】
さらに、入力ペン3の使用時には、表面シート27と芯32とが接触し、或いは擦れ合うので、表面シート27の表面状態(或いは摩擦係数)によって、入力ペン3の操作感が変化する。従って、表面シート27の表面状態(或いは摩擦係数)を適宜設定することにより、種々の操作感を実現できる。
【0069】
また、パームレスト部12Aに表面シート27を貼付することにより、ノート型コンピュータ1を使用するユーザに対し、有効エリア12Bの位置を明示することが可能になる。位置検出部2は、有効エリア12Bにおける入力ペン3の絶対的な位置を検出するものであるから、ユーザが有効エリア12Bにおける入力ペン3の位置を視認できるようにすることで、操作の目安となり、利便性がより一層高まるという利点がある。特に、芯32が筐体パネル10Aに接触しない状態で入力ペン3を動かして操作を行う場合、表面シート27は操作の目安として非常に有用である。
【0070】
なお、上述したように表面シート27を貼付する方法に限らず、例えば所定の表面状態(或いは摩擦係数)を実現可能な合成樹脂塗料等を筐体パネル10Aに塗布して、表面シート27と同等の機能を有する膜を形成しても、同様の効果が得られる。例えば、パームレスト部12Aにおいて筐体パネル10Aが曲面をなしている場合、上記合成樹脂塗料を塗布する方法を採用すれば、より簡単な工程で美しく均一な仕上がりが期待できる。
【0071】
また、上記第2の実施の形態におけるノート型コンピュータ1の構成は、あくまで一例であり、その細部構成等を適宜変更することは勿論可能である。例えば、上記第1及び第2の実施の形態において、センサ基板25は、下本体部12の上面を構成する筐体パネル10Aの下(裏)側に配設される構成としたが、有効エリア12Bに相当する位置において筐体パネル10Aに孔を設けた構成としてもよい。この場合について、以下、第3の実施の形態として説明する。
【0072】
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施の形態に係るノート型コンピュータ1において下本体部12の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。本第3の実施の形態において、後述する筐体パネル10B及びカバー28を除く各部は上記第1の実施の形態に係るノート型コンピュータ1と同様に構成されるので、これらの各部については同符号を用いることで説明を省略する。
【0073】
第3の実施の形態に係るノート型コンピュータ1の下本体部12の上面は、筐体パネル10Bにより構成される。図5に示すように、筐体パネル10Bには、パームレスト部12Aに穴10Cが設けられる。この穴10Cからは、筐体パネル10Bの下方に配設されたセンサ基板25が露出する。
すなわち、下本体部12の上面には凹部が形成され、この凹部の底がセンサ基板25となっている。
ここで、穴10Cのサイズ及び形状は任意であるが、センサ基板25にループコイルが敷設された領域、すなわち有効エリアとほぼ一致することが好ましい。
【0074】
穴10Cから露出するセンサ基板25の表面はカバー28により覆われる。カバー28は、センサ基板25の表面を保護する機能を有し、さらに、入力ペン3による操作感を演出する機能を有する。入力ペン3の使用時には、カバー28と芯32とが接触し、或いは擦れ合うので、カバー28の表面状態(或いは摩擦係数)によって、入力ペン3の操作感が変化する。従って、カバー28の表面状態(或いは摩擦係数)を適宜設定することにより、種々の操作感を実現できる。
ここで、カバー28は、センサ基板25の有効エリアの位置をユーザが視認できるように、有効エリアに対応する略四角形の枠模様、或いは、略四角形の塗りつぶし模様等が描かれたものとしてもよい。
また、カバー28は、入力ペン3とセンサ基板25との間における電磁的結合を妨げないような材料(合成樹脂等)により構成されることが好ましい。カバー28とセンサ基板25とは、例えば接着により固定される。
【0075】
センサ基板25の裏面側にはシールド板26が配設され、センサ基板25に敷設されたループコイルには検出回路部20が接続される。
【0076】
パームレスト部12Aに穴10Cを設け、穴10Cからカバー28を露出させることにより、穴10Cの内側に形成される凹部が、入力ペン3による操作が可能な領域(有効エリア)となる。このような構成とすることで、ノート型コンピュータ1を使用するユーザに対し、入力ペン3の操作領域を明示できる。
また、入力ペン3とセンサ基板25とがより近接するため、位置検出部2における検出精度の向上を図ることができる。
【0077】
さらに、ノート型コンピュータ1の筐体を構成する筐体パネル10Bに、例えば金属等、入力ペン3とセンサ基板25との間の電磁的結合を妨げる材料を用いた場合であっても、センサ基板25が穴10Cから露出しているため、位置検出部2による検出動作には何ら影響がない。従って、図5に示すような構成とした場合、ノート型コンピュータ1の筐体に、マグネシウム合金等の金属を用いた場合であっても、操作性に優れたポインティングデバイスとして位置検出部2を搭載できるという利点がある。
【0078】
なお、上記第3の実施の形態において、穴10Cの内側に露出するセンサ基板25の剛性を高めるため、シールド板26の裏面側に、補強板を配設してもよい。この補強板としては、金属や合成樹脂等の任意の材料を用いることができる。
【0079】
また、上記第1から第3の実施の形態におけるノート型コンピュータ1の構成は、あくまで一例であり、その細部構成等を適宜変更することは勿論可能である。例えば、上記第1から第3の実施の形態において、入力ペン3に代えて、指輪型の位置指示器を用いることも可能である。この場合について、以下、第4の実施の形態として説明する。
【0080】
[第4の実施の形態]
図6は、本発明を適用した第4の実施の形態に係るリング型指示器4の構成を示す外観斜視図である。
図6に示すリング型指示器4は、第1から第3の実施の形態において説明したノート型コンピュータ1において、入力ペン3に代えて用いられる位置指示器である。
【0081】
図6に示すように、リング型指示器4は、略平板状に形成された回路収容部41と、回路収容部41から突出して輪をなすように湾曲する支持部としての2本の腕部42とによって構成される。腕部42は金属または合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、力を加えることで、2本の腕部42の間隔を拡げることが可能である。
また、腕部42の先端面(腕部42が突出していない側の面)からは、押圧操作部としての突起43が突出する。
【0082】
回路収容部41は、上述した入力ペン3が備える共振回路33(図3)を内蔵し、突起43に加わる押圧力によって、共振回路33に含まれるコイル35(図3)のインダクタンスを変化させる機構を備える。このため、突起43に押圧力が加わった場合、共振回路33の共振周波数が、例えば低い周波数に変化する。
【0083】
このリング型指示器4を、ユーザの指(例えば、親指)に突起43を下に向けて嵌め込み、リング型指示器4を有効エリア12B(若しくはカバー28)上で移動させ、或いは突起43を押し付けることにより、入力ペン3を用いた場合と同様に、位置入力操作及び押圧操作を行うことができる。そして、ノート型コンピュータ1が備える検出回路部20は、有効エリア12B(若しくはカバー28)上におけるリング型指示器4の位置を検出するとともに、リング型指示器4の押圧操作時に突起43に加わる押圧力の大きさを検出する。
【0084】
また、リング型指示器4を装着した状態において、ユーザの指先が露出するので、ユーザは、リング型指示器4を装着したままでキーボード14の操作を行うことができる。従って、キーボード14の操作と、位置検出部2による位置入力操作とを、入力ペン3を持ち替えるといった動作を行わずに並行して行うことができ、極めて快適な操作性を実現できる。
【0085】
このリング型指示器4を指先に装着することにより、入力ペン3を手に持たなくても、位置検出部2における位置入力操作、及び、突起43を筐体パネル10A(若しくはカバー28)に押し付ける押圧操作を行うことができる。
【0086】
なお、上述した実施の形態は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態に係るノート型コンピュータの構成を示す外観図である。
【図2】ノート型コンピュータの下本体部の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【図3】位置検出部の構成を詳細に示す回路図である。
【図4】第2の実施の形態に係るノート型コンピュータにおいて、下本体部の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係るノート型コンピュータにおいて、下本体部の要部構成を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係るリング型指示器の構成を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1 ノート型コンピュータ
2 位置検出部(位置検出装置)
3 入力ペン(位置指示器)
4 リング型指示器(位置指示器)
10 筐体
10A、10B 筐体パネル
10C 穴
11 表示画面部
11A 液晶表示画面
12 下本体部(本体部)
12A パームレスト部
12B 有効エリア(操作領域)
13 ヒンジ部
14 キーボード(キー入力部)
15 入力パッド(相対位置入力装置)
16 入力スイッチ
20 検出回路部
25 センサ基板
26 シールド板
27 表面シート(操作領域表示体)
28 カバー
32 芯(押圧操作部)
33 共振回路
34 コンデンサ
35 コイル
41 回路収容部
42 腕部
43 突起(押圧操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を備える表示画面部と、キー入力部を有する本体部とを備えたノート型コンピュータにおいて、
前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、位置指示器による操作領域が仮想的に設定され、
前記操作領域における前記位置指示器の位置を、少なくとも1つのコイルを備えた前記位置指示器との間に電磁的結合を生じることによって検出する位置検出装置を設けたこと、
を特徴とするノート型コンピュータ。
【請求項2】
前記位置指示器は、押圧操作される押圧操作部と、この押圧操作部に押圧力が加わることで前記コイルのインダクタンスを変化させる押圧反応機構とを備えたものであって、
前記位置検出装置は、前記位置指示器が有する前記コイルのインダクタンスの変化を検出することにより、前記押圧部における押圧操作を検出すること、
を特徴とする請求項1記載のノート型コンピュータ。
【請求項3】
前記位置検出装置は、前記操作領域に対応する位置に配設されたセンサ基板と、前記センサ基板上における前記位置指示器の位置を検出する検出回路部とを備えること、
を特徴とする請求項1または2記載のノート型コンピュータ。
【請求項4】
前記センサ基板の裏面側に、磁性材料からなるシールド板が配設されたことを特徴とする請求項3記載のノート型コンピュータ。
【請求項5】
前記センサ基板は、前記本体部の上面を構成するパネルの裏面に貼付されたことを特徴とする請求項3または4記載のノート型コンピュータ。
【請求項6】
前記操作領域を含む範囲で前記本体部の上面に凹部が形成され、この凹部の底に前記センサ基板が配設されたことを特徴とする請求項3または4記載のノート型コンピュータ。
【請求項7】
前記凹部は、前記本体部の上面を構成するパネルに穴が設けられ、この穴を塞ぐように前記センサ基板が配設されて構成されることを特徴とする請求項6記載のノート型コンピュータ。
【請求項8】
前記本体部の上面に、前記操作領域を示す操作領域表示体が設けられたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のノート型コンピュータ。
【請求項9】
前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、相対位置座標を入力する相対位置入力装置が配設され、
前記操作領域は、前記相対位置入力装置の側方に位置すること、
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のノート型コンピュータ。
【請求項10】
表示画面を備える表示画面部と、キー入力部を有する本体部とを備えたノート型コンピュータにおいて、少なくとも一つのコイルを備えた位置指示器を用いて入力操作を行うための入力システムであって、
前記ノート型コンピュータに、前記キー入力部の手前側に延設された前記本体部の上面に、位置指示器による操作領域が仮想的に設定され、この操作領域における前記位置指示器の位置を、前記位置指示器との間に電磁的結合を生じることによって検出する位置検出装置を設けたこと、
を特徴とするノート型コンピュータの入力システム。
【請求項11】
前記位置指示器は、ペン型の筐体に前記コイルを内蔵したものであることを特徴とする請求項10記載のノート型コンピュータの入力システム。
【請求項12】
前記位置指示器は、前記コイルを収容する回路収容部と、前記回路収容部を支持するとともに、ユーザの指の先端が露出した状態を保ちつつ、前記指の側面に当接して保持される形状を有する支持部とを備えたものであることを特徴とする請求項10記載のノート型コンピュータの入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−318372(P2006−318372A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142579(P2005−142579)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】