説明

ハイスループット核酸分析のためのビーズ

【課題】多数の核酸分子の同時分析のための改善された方法および改善された試薬を提供すること。
【解決手段】少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含むビーズであって、少なくとも1つのプライマーは前記ビーズに、カルボキシ-、アルデヒド-、アジド-、アルキン-、アミノ-、チオール-、マレインイミド-、スルホニルアルケン-、ヨードアセチル-、アミノヒドラジン-、ヒドロキシルアミノ-、およびマレインイミドからなる群より選択される官能性部分を介する誘導性切断可能リンカーにより結合されている、ビーズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸分析、特に核酸配列の小型化高度並行検出および核酸配列の相違の分析の分野に関する。
【0002】
本発明は、特異的な配列を分析するためまたはSNP、変異もしくは目的の任意の特定のDNAもしくはRNA種の存在を検出するための、配列特異的プライマーが結合した固相支持体であって、プライマーの1つが切断可能でありもう1つが切断可能でない固相支持体を提供するという考案に基づく。
【背景技術】
【0003】
先行技術背景
近年、ピロリン酸配列決定に基づく超ハイスループット配列決定システムが開示され、それにより実質的に1週間以内での細菌のゲノムの配列決定が可能になった(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。剪断されたゲノムDNAから開始して、油中PCR反応混合物エマルジョン中に捕捉されたビーズに1分子断片が結合する。次いで、増幅により、それぞれのビーズが同じ断片の多コピーを有するクローン的に増幅された(clonally amplified)DNAのライブラリーがもたらされる。
【0004】
エマルジョンの分離(breakage)およびPCR産物の一本鎖への変性後、1ウェルが1個以下のビーズを有するように、ビーズを光ファイバーのピコタイタープレートの複数のウェルに配置する。その後、合成反応による配列分析において、プライマー伸長反応を行ない、4つの異なるA、G、CおよびTのヌクレオシド三リン酸またはそれぞれのアナログを一連の繰り返し事象に供給し、形成される鎖の配列をDNAポリメラーゼにより触媒される伸長反応由来の化学的産物から推測する。特に、合成反応による配列決定はピロリン酸配列決定反応であり、ピロリン酸の生成が以下:
アピラーゼの存在下で触媒される、PPi+アデノシン5'ホスホ硫酸(APS)→ATP
ルシフェラーゼの存在下で触媒される、ATP+ルシフェリン→光+オキシルシフェリン
オキシルシフェリンの発光の検出
のように検出されることを特徴とする。
【0005】
特許文献1および特許文献2に開示される超ハイスループット配列決定システムを用いて、1,000,000回より多くのピロリン酸配列決定反応を同時に行うことができる。ピロリン酸の生成は発光反応カスケードを誘発し、光は最終的にCCDカメラにより検出される。
【0006】
この技術に関して、特許文献3には、迅速かつ経済的な様式で、単一の反応チューブ中で複数の核酸(例えば、DNAライブラリー、トランスクリプトームまたはゲノムのそれぞれの配列)を増幅する方法が開示される。より具体的には、特許文献3には、1つの反応容器中の(数十万もの)複数の試料の同時クローン的増幅(例えばPCRによる)が開示される。これに関連して、特許文献3は、エマルジョンのマイクロカプセル(microcapsule)(すなわちマイクロリアクター(microreactor))中に複数のDNA試料を個々に封入し(encapsulate)、複数の封入された核酸試料を同時に増幅し、前記増幅された複数のDNAをその後の反応のためにマイクロカプセルから放出するための手段を提供する。例えば、1コピーの核酸鋳型種を、例えば核酸鋳型に結合する捕捉オリゴヌクレオチドまたは化学基を含む捕捉ビーズにハイブリダイズさせる。ビーズを完全増幅溶液に懸濁して乳化し、マイクロリアクター(典型的に直径100〜200ミクロン)を生成する。この後、増幅(例えばPCR)を使用して、マイクロリアクター中の開始鋳型種のコピー数をクローン的に増大させ、これらのコピーはマイクロリアクター中の捕捉ビーズに結合する。あるいは、捕捉ビーズを、核酸鋳型を含む増幅反応混合物に添加し、この混合物を乳化してマイクロリアクターを生成する。増幅(例えばPCR)を使用して、マイクロリアクター中の開始鋳型種のコピー数をクローン的に増大させ、これらのコピーはマイクロリアクター中の捕捉ビーズに結合する。したがって、特許文献2のマイクロリアクターは、多くの異なる鋳型を増幅産物もしくは試薬の交差汚染、または1つの特定の鋳型もしくは一組の鋳型の優勢(domination)(例えばPCRのかたより)なしに、同時で、クローン的で、かつ別々の増幅を可能にする。
【0007】
しかし、特許文献2によると、複数の異なる核酸分子が、相補的なアダプター配列と共有結合したビーズにその後結合し得るアダプター配列で、タグ付加される、アダプターライゲーション工程を行うことが必要である。
【0008】
別の重要なDNA分析技術は分析的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。しかし、現在のところ、PCRの定量は類似の測定様式に基づいている。しかし、いくつかの場合、例えば、
-癌検出:過剰な野生型バックグラウンドにおける突然変異対立遺伝子の定量
-対立遺伝子不均衡の検出
-稀な転写物および/または転写物中の突然変異対立遺伝子の遺伝子発現
-ウイルスの検出および定量
などの分野においては、デジタル計数原理が非常に望ましい。
【0009】
したがって、DNA/cDNA/mRNAのデジタル計数の利用可能性は、例えば高いバックグラウンドにおいて特異的な事象が検出される必要がある癌の診断、循環腫瘍細胞、出生前胚性細胞に非常に関連のある分子医学において対処されていない必要性に取り組む。
【0010】
したがって、多数の核酸分子の同時分析のための改善された方法および改善された試薬を提供することが本発明の目的であった。
【0011】
特定の局面において、上述の配列決定ワークフローを改善するためまたはデジタルPCR計数を可能にするために使用され得る固相支持体または複数の固相支持体を提供することが本発明の目的であった。
【0012】
固定されたオリゴヌクレオチドを含むビーズなどの固定された核酸を含む種々の固相支持体は、当該技術分野において周知である。これらのビーズの正確な設計および構成は、それらが使用される適用に依存する。G. Steinberg-Tatmanら(非特許文献2)には、2種類の異なるオリゴヌクレオチドが切断可能でないリンカーを介して表面に結合したビーズの合成方法が記載される。1つのオリゴヌクレオチドは配列特異的な捕捉プローブとして使用され、もう一方はデコード(decoding)配列として使用される。
【0013】
特許文献4には、1つ以上の固定されたオリゴヌクレオチドデコードタグを有するビーズが記載される。
【0014】
非特許文献3には、整列された複数の粒子のナノ構造を構築するための、表面に2種類の異なるオリゴヌクレオチドが結合した金粒子が記載される。
【0015】
特許文献5および特許文献6には、2種類の固定されたプライマーを有するビーズ表面上でのPCRが記載される。該PCR法は架橋(bridge)増幅と称される。
【0016】
特許文献7には、異なる切断可能リンカーを介して基板に結合した異なるオリゴヌクレオチドを切断することにより、オリゴヌクレオチドのプールを生成する方法が記載される。
【0017】
特許文献8には、少なくとも1つのプライマーが、配列決定に使用されるゲノムDNAの富化のために、切断可能結合を介して結合するプライマー対についてのアレイが記載される。
【0018】
特許文献9には、エマルジョンPCRにおける使用のための第1および第2の固定されたPCRプライマーを有するビーズが記載される。第1のプライマーは切断可能ではない。第2のプライマーの放出は、pH値を変更することにより達成される。しかし、pH値を変更することは、潜在的に望ましくない副反応の欠点を有し、さらに、試料のさらなる処理をより困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO 04/70007
【特許文献2】WO 05/03375
【特許文献3】WO 04/69849
【特許文献4】US 5639603
【特許文献5】WO 2001/062982
【特許文献6】US 5641 658
【特許文献7】WO 2001/012862
【特許文献8】WO 2007/111937
【特許文献9】KR 2007044677
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Margulies, M., et al., Nature 437 (2005) 376-80
【非特許文献2】Bioconjugate Chemistry 2006,17,841-848
【非特許文献3】Xu, X. et al., Journal of the American Chemical Society 128 (2006) 9286-9287
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、多数の核酸分子の同時分析のための改善された方法および改善された試薬を提供することが本発明の目的であった。
【0022】
特定の局面において、上述の配列決定ワークフローを改善するためまたはデジタルPCR計数を可能にするために使用され得る固相支持体または複数の固相支持体を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含むビーズであって、少なくとも1つのプライマーは前記ビーズに、カルボキシ-、アルデヒド-、アジド-、アルキン-、アミノ-、チオール-、マレインイミド-、スルホニルアルケン-、ヨードアセチル-、アミノヒドラジン-、ヒドロキシルアミノ-、およびマレインイミドからなる群より選択される官能性部分を介する誘導性切断可能リンカーにより結合されている、ビーズ、
〔2〕前記ビーズが、ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ランタニド、ガラス、ケイ酸塩、ポリスチレン、セルロース、セファロースおよびポリアミドからなる群より選択される材料で構成されている、〔1〕記載のビーズ、
〔3〕前記切断可能リンカーが光切断可能リンカーである、〔2〕記載のビーズ、
〔4〕〔1〕〜〔3〕いずれか記載のビーズのライブラリー、
〔5〕切断可能リンカーによってビーズに結合されている複数のプライマーの各メンバーが異なる検出可能タグを有することを特徴とする、〔4〕記載のライブラリー、
〔6〕- 少なくとも1つ以上の官能基を有する固相支持体を提供する工程、および
- 前記1つ以上の官能基を2つの配列特異的プライマーの1つまたは複数の反応性基と反応させる工程
を含む、ビーズの作製方法であって、該ビーズは、少なくとも2つの配列特異的プライマーを含み、さらに前記プライマーの少なくとも1つが切断可能であることを特徴し、ここで、切断可能反応性部分が、前記固相支持体をその1つの官能基もしくはその複数の官能基の1つと連結させるスペーサーの1つの中に存在するか、または切断可能部分が、前記配列特異的プライマーの1つをその反応性基と連結させるスペーサーの1つの中に存在するかのいずれかである、方法、
〔7〕- 各々が異なる保護基を有する2つの官能基を含む固相支持体を提供する工程
- 第1の官能基を脱保護し、前記第1の官能基を第1のプライマーの反応性基と反応させる工程
- 第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応性基と反応させる工程
を含む、〔6〕記載の方法、
〔8〕前記2つの官能基がビーズに2-アームリンカーによって連結される、〔7〕記載の方法、
〔9〕- 厳密に1つの官能基を有する固相支持体を提供する工程、
- 前記官能基を脱保護し、前記官能基を、第1および第2の配列特異的プライマーの混合物と反応させる工程、前記第1および第2のプライマーは同一の反応性基を含み、前記プライマーの少なくとも1つは、その反応性基に切断可能部分を介して連結されることを特徴とする
を含む、〔6〕記載の方法、
〔10〕- 厳密に1つの官能基を有するビーズを提供する工程、
- 前記官能基を脱保護し、前記官能基を、切断可能部分によって連結された第1および第2の増幅プライマーを示すオリゴヌクレオチドと反応させる工程
を含む、〔6〕記載の方法
に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、多数の核酸分子の同時分析のための改善された方法および改善された試薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、標的核酸に特異的で、コード(code)される固体担体(例えばビーズ)上に固定されるプライマーに基づくアッセイ原理を図示する。固定プライマー1は標的捕捉に使用され、一方でプライマー2は光分解により担体から切断され、エマルジョン中で、捕捉された標的のクローン的な(clonal)PCR増幅を駆動する。
【図2】図2は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)結合化学を図示し、式中Rx=1は光切断可能プライマー、およびRx=2は固定(stationary)プライマーを示す。
【図3A】図3Aの吸光度測定は、光分解によりセファロースビーズから切断された際のフルオレセイン修飾オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号1)の可溶化を示す。
【図3B】図3Bのフローサイトメトリー測定は、フルオレセイン修飾オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号1)と結合した(conjugate)セファロースビーズが懸濁液またはエマルジョン中で光切断反応に供された際の蛍光強度の減少により示される光切断を示す。
【図4】図4は、従来のPCR産物、ならびに固定プライマーおよび光切断可能プライマー(配列番号2、3)を有するビーズに固定されたPCR産物を検出する制限エンドヌクレアーゼアッセイを図示する。
【図5】図5は、従来のPCR後、またはビーズ固定化プライマー(配列番号2、3)を使用した懸濁液中のPCR後に得られた二本鎖DNAのゲル電気泳動検出および同定を示す。
【図6】図6は、従来のPCR後、またはビーズ固定化プライマー(配列番号2、3)を使用したエマルジョン中のPCR後に得られた二本鎖DNAのゲル電気泳動検出および同定を示す。
【図7】図7は、制限エンドヌクレアーゼ処理およびゲル電気泳動により、鋳型としてHeLa cDNAまたはアンプリコンを使用して、エマルジョンPCRおよびビーズ固定化プライマー(配列番号4、5)を用いて特異的PCR産物が得られることを示す。
【図8】図8は、マルチプレックス(multiplex)PCR後の固定プライマーおよび光切断可能プライマー(配列番号4〜9)を有する一組の異なるビーズに固定されたPCR産物を検出する、制限エンドヌクレアーゼアッセイを図示する。
【図9A】図9Aの電気泳動図(electropherogram)は、一組の別々のビーズ固定化プライマー(配列番号4〜9)を使用した、懸濁液中のマルチプレックスPCR後に得られた二本鎖DNAの検出および同定を示す。
【図9B】図9Bの電気泳動図(electropherogram)は、一組の別々のビーズ固定化プライマー(配列番号4〜9)を使用した、エマルジョン中のマルチプレックスPCR後に得られた二本鎖DNAの検出および同定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の簡単な説明
したがって、本発明は、少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含む固相支持体に関し、ここで、少なくとも1つのプライマーは誘導性切断可能リンカーによって前記支持体に結合する。本発明の文脈において、誘導性切断可能とは、即座のかつ本質的に完全な切断反応を生じる外部刺激を提供することにより切断が誘発され得ることを意味する。好ましくは、前記切断可能リンカーは光切断可能リンカーである。
【0027】
第1の主要な態様において、前記固相支持体はビーズである。本発明のかかるビーズは、ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ランタニド、ガラス、ケイ酸塩、ポリスチレン、セルロース、セファロースおよびポリアミドからなる群より選択される材料で構成される。ビーズは1種類の純粋な材料または2種類以上の材料からなるもののいずれかであるが、2種類以上の材料は、混合またはコアシェル粒子中のように整列された様式で集合(assemble)される。ビーズの表面は、オリゴヌクレオチドが結合できるような様式で官能基化される。
【0028】
第2の主要な態様において、本発明は前述のビーズのライブラリーに関する。
【0029】
好ましくは、切断可能リンカーを介してビーズに結合する複数のプライマーの各メンバーは、異なる検出可能な標識または多数の標識の特有の混合物を有する。
【0030】
第3の主要な態様において、固相支持体は、複数のウェルを含み、前記複数のウェルが少なくとも2つの配列特異的な増幅プライマーを有する表面を含み、少なくとも1つのプライマーが切断可能リンカーにより前記支持体に結合することを特徴とする、マイクロタイタープレートまたはピコタイタープレート(PTP)である。
【0031】
さらに、本発明は前述の固相支持体のいずれかを作製する方法に関する。
【0032】
特に、本発明は、少なくとも2つの配列特異的なプライマーを含み、さらに前記プライマーの少なくとも1つが切断可能であることを特徴とする固相支持体、好ましくはビーズを作製する方法に関し、該方法は、
-少なくとも1つ以上の官能基を有する固相支持体を提供する工程、および
-前記1つ以上の官能基を、2つの配列特異的プライマーの1つまたは複数の反応基と反応させる工程
を含み、切断可能反応部分は、前記固相支持体とその1つの官能基もしくはその複数の官能基の1つを連結するスペーサーの1つの中に存在するか、または前記切断可能部分は、前記配列特異的プライマーの1つとその反応基を連結するスペーサーの1つの中に存在するかのいずれかである。
【0033】
第1の態様において、本発明の方法は、
-それぞれ異なる保護基を有する2つの官能基を含む固相支持体を提供する工程、
-第1の官能基を脱保護し、該第1の官能基を第1のプライマーの反応基と反応させる工程、および
-第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応基と反応させる工程を含む。
【0034】
前記2つの官能基は2つの別々のリンカーを介してビーズに連結されるが、特定の態様において、前記2つの官能基は2本のアームリンカーを介してビーズに連結される。
【0035】
第2の態様において、本発明の方法は、
-厳密に1つの官能基を有する固相支持体を提供する工程、
-前記官能基を脱保護する工程、および
-該官能基を、同一の反応基を含む第1および第2の配列特異的プライマーの混合物と反応させる工程
を含み、前記プライマーの少なくとも1つが切断可能部分を介してその反応基に連結されることを特徴とする。
【0036】
第3の態様において、本発明の方法は、
-厳密に1つの官能基を有するビーズを提供する工程、および
-前記官能基を脱保護し、該官能基を、切断可能部分で連結された第1および第2の増幅プライマーを示すオリゴヌクレオチドと反応させる工程
を含む。
【0037】
第4の態様において、本発明の方法は、
-2種類の異なる直交(orthogonal)保護基で保護された保護OH基を有するビーズを提供する工程、
-前記直交保護基の1つを切断して、ビーズ上に第1のプライマーを合成する工程、
-前記直交保護基の2番目を切断して、ビーズ上に第2のプライマーを合成する工程を含む。
【0038】
当業者に公知のように、直交保護基は適用される条件に依存して選択的に除去することができる。
【0039】
発明の詳細な説明
したがって、本発明は、少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含む固相支持体であって、少なくとも1つのプライマーが誘導性切断可能リンカーにより前記支持体に結合されている固相支持体に関する。
【0040】
特に、前記固相支持体がビーズである場合、本発明のかかるビーズは、一組の捕捉プライマーを含む複数のビーズと核酸を接触させ、その後増幅することにより、核酸を分析する方法に特に有用である。一般に、本発明の方法は、以下の3段階を含む:
-それぞれ個々の配列特異的な捕捉分子を有するビーズに標的DNAを供することによる目的の配列の1つまたは混合されたプールの選択
-ビーズ1つ当たり1つの標的分子の統計学的な捕捉
-PCRによる増幅;増幅された遺伝子特異的物質を有するビーズの数は配列特異的標的分子の数に比例する。
【0041】
結果的に、本発明は、高度に並行かつ小型化された、核酸の分析の可能性を提供し、目的の遺伝子の定性的および/または定量的検出、遺伝子発現分析、突然変異検出などの応用を含むがこれに限定されない。
【0042】
本発明の文脈において、以下の定義が適用されるものとする。
【0043】
「多数の核酸分子」は、少なくとも2つの異なる核酸配列が存在することを特徴とする分子の集団であると解される。ほとんどの場合、複数の多種類の異なる配列が存在する。
【0044】
「複数のビーズ」は、1000より多く、好ましくは10,000より多く、最も好ましくは100,000より多くの数のビーズであると解される。
【0045】
「配列特異的増幅プライマーの対」は、核酸増幅反応中に所定の長さを有する増幅産物が生成されるように、一緒になって一組の増幅プライマーとして作用し得る2つのオリゴヌクレオチド分子であると解される。
【0046】
「切断可能リンカー」は、特定の処理の際に、分子の残りの部分がインタクトなまま残るように分解され得る化学結合を含む化学的実体であると解される。好ましくは、切断可能リンカーは、外部刺激を提供することにより分解され得る切断可能リンカーとして定義される「誘導性切断可能リンカー」である。誘導性切断可能リンカーの典型的な例は、所定の波長の光を用いた処理により結合が分解される、光切断可能リンカーである。
【0047】
「捕捉」は、(i)核酸分子の集団と、ビーズなどの固相支持体に固定され、前記核酸分子の集団内に存在し得る目的の配列に少なくとも部分的に相補的な特異的核酸配列とのハイブリダイズ、および(ii)形成されたハイブリダイゼーション複合体からのハイブリダイズしなかった核酸分子の除去であると解される。
【0048】
「クローン的に単離(clonally isolating)」は、それぞれの単一ビーズが異なる位置に配置されるように複数のビーズを互いに分離することであると解される。好ましくは、かかる位置はマイクロウェルまたはピコウェルである。
【0049】
「クローン的に増幅(clonally amplifying)」は、異なる最初の(original)標的分子由来の増幅産物が互いに物理的に分離されるように、核酸分子の集団が増幅されることであると解される。例えば、同一の最初の標的核酸分子由来の全ての増幅産物は、ミセル中に封入されたビーズ上に固定され得る。
【0050】
本発明の文脈において、「エマルジョン」は、単一のビーズを含む小さな親水性の水滴が脂肪親和性の液体に取り囲まれたミセル中に封入されることを特徴とする、油中水エマルジョンであると解される。
【0051】
「合成による配列決定」は、プライマー伸長反応の後の工程中に、それ自身伸長し得る特定のヌクレオシド三リン酸が、プライマー伸長反応の間に取り込まれたかどうかを決定することであると解される。
【0052】
「温度勾配に供する」は、第1の所定の温度から開始し第2の所定の温度で終了する、目的の試料の加熱または冷却であると解される。勾配は、好ましくは直線的である連続勾配あるいは段階的勾配のいずれかであり得る。PCR産物または核酸プローブと標的分子のハイブリッドをかかる勾配に供する場合、融解曲線分析またはハイブリダイゼーションの温度依存性のモニタリングが実行され得る。
【0053】
「リアルタイムPCR」は、増幅反応の進行を1回の増幅サイクル中に少なくとも1回モニタリングすることを特徴とするポリメラーゼ連鎖反応であると解される。好ましくは、増幅は、インターカレート性蛍光色素、あるいは例えば5'ヌクレアーゼTaqManプローブ、分子ビーコンプローブまたは一組のFRETハイブリダイゼーションプローブなどのアンプリコン特異的核酸ハイブリダイゼーションプローブのいずれかを用いてモニタリングされる。
【0054】
「消光」は、蛍光化合物と空間的に近接した第2の化学的実体により引き起こされる、蛍光化合物からの蛍光の放出の減少であると解される。
【0055】
「定量的突然変異分析」は、(i)配列バリエーションについて本質的に同一な配列を有する複数の核酸分子をスクリーニングする工程、および(ii)少なくとも1つまたは複数のかかる配列バリエーションが前記複数の核酸分子中に存在する1つまたは複数の割合を決定する工程を含む方法であると解される。例えば、かかる配列バリエーションは一ヌクレオチド多型であり得る。
【0056】
本発明の固相支持体の作製
本発明は、標的増幅および検出のために第1の配列特異的増幅プライマーが標的分子にハイブリダイズして溶液中に放出され得、一方で第2の配列特異的増幅プライマーが切断条件下で表面に共有結合したまま残るような、第1の配列特異的増幅プライマーの、フレキシブルかつ切断可能なリンカー分子を介した固相支持体への可逆的共有結合を要する。切断可能リンカー分子は、酸、塩基、光または当業者に周知の任意の他の手段により切断可能であり得る。好ましくは、正確に1つのプライマーが切断可能リンカーを介してビーズに結合する。
【0057】
固相支持体が1つのビーズまたは複数のビーズである場合、ビーズは約10μm〜約250μmの平均のサイズを有する。好ましくは、ビーズは、約20〜約100μmの平均直径を有する。さらに好ましくは、ビーズは、約30μm〜80μmの平均直径を有する。例えば、ビーズは約40μmの平均直径を有し得る。
【0058】
2つのプライマーが結合するビーズの材料は、酸化および加水分解に安定でなければならず、無機物、例えばケイ素もしくは二酸化チタンもしくは酸化アルミニウムもしくはガラスであるか;または有機物、例えばポリスチレン、セルロース、ポリアミドおよびその他であり得る。ビーズは1種類の純粋な材料であるかまたは2種類以上の材料からなるかのいずれかであるが、2種類以上の材料は混合またはコアシェル粒子のように整列された様式で集合(assemble)する。
【0059】
ビーズの表面は多孔質または平面であり得る。ビーズの表面は、オリゴヌクレオチドが結合し得るような様式で官能基化される。したがって、ビーズの表面は、アミノ、チオール、カルボキシル、マレインイミド、アジド、アルキン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミノ、ケトおよびアルデヒド基、トリアジンクロライド、キノン、ジエン、または当業者に公知の他の反応性官能基等の官能基を含む、官能基化された表面を有する。
【0060】
プライマーの対応する官能基部分は、カルボキシ、アルデヒド、アジド、アルキン、アミノ、チオール、マレインイミド、スルホニルアルケン、ヨードアセチル、アミノヒドラジン、ヒドロキシルアミノ、およびマレインイミドからなる群より選択され得る。
【0061】
より正確には、以下の表に見られるように、オリゴヌクレオチドの対応する修飾はビーズ上の表面官能基によって決定され、その逆もある。
【0062】

【0063】
官能基は、例えば修飾されたシランによる酸化ランタニド−ケイ酸ガラスのシラン化により表面上に導入されるか、または例えばポリスチレンと官能基を含む適切なアルケンの共重合により、ビーズの作製時に生成される前もって持っている(a priori)官能基をビーズ自体が含むかのいずれかである。前もって持っている官能基は、ヘテロ二官能基化リンカーを使用して別の官能基に転換され得る。かかるリンカーは切断可能であり得るかまたは非切断可能であり得る。この手法により、異なる直交官能基を有するビーズを生成することができる。
【0064】
直交(orthogonal)は、同時に第2の修飾オリゴヌクレオチドと反応する第2の官能基の存在下で、第1の官能基が第1の修飾オリゴヌクレオチドと反応することを意味する。一組のかかる官能基は、スクシニルアミドカルボキシおよびアルキンであり、これは、アミノおよびアジドで修飾されたオリゴヌクレオチドを要する。
【0065】
2つの異なるオリゴヌクレオチドの同じ型の表面官能基への連続的な結合は、直交保護基を使用して達成される(G. Steinberg-Tatman et al Bioconjugate Chemistry 2006,17,841-848)。
【0066】
ビーズが金粒子であるか、またはビーズが金属薄層、例えば金で被覆される場合、チオール修飾オリゴヌクレオチドは表面と直接反応する。
【0067】
プライマーを固相支持体に共有結合させるための一般的な方法は、当該技術分野において周知である。例えば、プライマーオリゴヌクレオチドは、第1に、標準的なホスホルアミデート化学により合成される。かかる合成されたプライマーは、オリゴヌクレオチド合成時または合成後のいずれかに切断可能リンカー分子によりさらに修飾され得る。切断可能プライマーおよび切断可能でないプライマーの結合は、マイクロアレイ技術に関する文献に記載される多数の周知の結合化学の任意の手段、または任意の他の公知の方法により達成し得る。例は
- Wittebolle, L. et al., Journal of Chemical Technology and Biotechnology 81 (2006) 476-480、
- Steinberg, G. et al., Biopolymers 73 (2004) 597-605、
- Di Giusto, D.A. et al., Topics in Current Chemistry 261 (2005) 131-168、
- Zatsepin, T.S. et al., Bioconjugate Chemistry 16 (2005) 471-489
に記載および概説される。
【0068】
少なくとも2つの配列特異的プライマーを含み、前記プライマーの少なくとも一つが切断可能である本発明の固相支持体、好ましくはビーズは、1つの工程自体としては当該技術分野ですでに公知である固相化学およびオリゴヌクレオチド合成の種々の工程を組み合わせた新規の予測されない様式で調製される。したがって、本発明の固相支持体は、
-少なくとも1つ以上の官能基を有する固相支持体を提供する工程、および
-前記1つ以上の官能基と2つの配列特異的プライマーの1つまたは複数の反応基を反応させる工程
を含む方法により作製され、切断可能反応部分は、前記固相支持体とその1つの官能基もしくはその複数の官能基の1つを連結するスペーサーの1つの中に存在するか、または前記切断可能部分は前記配列特異的プライマーの1つとその反応基を連結するスペーサーの1つの中に存在する。
【0069】
かかる固相支持体を作製するために、少なくとも6個の選択肢がある。
【0070】
(i)第1の態様において、本発明の方法は、
-それぞれが異なる保護基を有する2つの独立した官能基を含む固相支持体を提供する工程、
-第1の官能基を脱保護し、該第1の官能基を、反応基とヌクレオチド配列自身の間に切断可能部分を有することを特徴とする第1のプライマーの反応基と反応させる工程、および
-第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応基と反応させる工程を含む。
【0071】
(ii)第2の態様において、本発明の方法は、
-それぞれが異なる保護基を有する2つの独立した官能基を含む固相支持体を提供する工程、前記官能基の一つは切断可能部分を介して固相支持体に連結される、
-第1の官能基を脱保護し、該第1の官能基を第1のプライマーの反応基と反応させる工程、および
-第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応基と反応させる工程を含む。
【0072】
(iii)第3の態様において、本発明の方法は、
-それぞれが異なる保護基を有する2つの官能基を含む固相支持体を提供する工程、前記官能基は分枝リンカーを介して固相支持体に連結される、
-第1の官能基を脱保護し、該第1の官能基を、反応基とヌクレオチド配列自身の間に切断可能部分を有することを特徴とする第1のプライマーの反応基と反応させる工程、および
-第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応基と反応させる工程を含む。
【0073】
(iv)第4の態様において、本発明の方法は、
-それぞれが異なる保護基を有する2つの官能基を含む固相支持体を提供する工程、前記官能基は分枝リンカーを介して固相支持体に連結され、前記官能基の一つは切断可能部分を介して固相支持体に連結される、
-第1の官能基を脱保護し、該第1の官能基を第1のプライマーの反応基と反応させる工程、および
-第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応基と反応させる工程を含む。
【0074】
(v)第5の態様において、本発明の方法は、
-厳密に1つの官能基を有する固相支持体を提供する工程、
-前記官能基を脱保護する工程、および
-該官能基を、同一の反応基を含む第1および第2の配列特異的プライマーの混合物と反応させる工程を含み、前記プライマーの少なくとも1つは、切断可能部分を介してその反応基に連結されることを特徴とする。
【0075】
(vi)第6の態様において、本発明の方法は、
-厳密に1つの官能基を有するビーズを提供する工程、および
-前記官能基を脱保護し、該官能基を、切断可能部分によって連結された第1および第2の増幅プライマーを提示するオリゴヌクレオチドと反応させる工程を含む。
【0076】
本発明のビーズを作製するために異なる種類のリンカーを使用し得る。アミノ基またはビオチンをオリゴヌクレオチドの末端に結合するために、アミノ修飾リンカーまたはビオチン修飾リンカーを使用し得、内部光切断可能リンカーを他の任意の修飾体と併用し得る。
【0077】
切断可能リンカーは当該技術分野において周知であり、2つの種類に分けることができる。第1の種類は、切断を達成するために、反応種、例えば還元種(reductive species)またはOH-もしくはH+を要する。例は、チオールを用いた還元により切断され得るジスルフィド架橋またはオリゴヌクレオチドの末端に取り込まれたRNAモノマーのような塩基不安定性「リンカー」である。第2の種類は、物理的手段、例えば照明または加熱などの照射により切断される。
【0078】
光切断可能リンカーは、光の照射により共有結合が切断されるリンカーである。照射波長は、T-T二量体化または光酸化のような副反応を回避するために、結合したオリゴヌクレオチドの核酸塩基に吸収されないように選択する必要がある。有機色素がビーズ、例えば検出プローブ中に結合する場合、照射波長はかかる色素の吸収と一致しない。
【0079】
典型的かつ適切な光切断可能リンカーは、例えばオルトニトロベンジルアルコールに由来し、文献中で周知である。光切断は、>340nmの波長のUV光の照射によって達成される。
【0080】
オリゴヌクレオチド合成中に導入され得る光切断可能リンカーは、以下の参考文献中に例示的に記載される:
- WO 92/002528
- WO 07/082713
- US 5,258,506
- Olejnik, J. et al., Nucleic Acids Research 26 (1998) 3572-3576
- Hausch, F. and Jaeschke, A., Nucleic Acids Research 28 (2000)28, e35
- Hausch, F., and Jaeschke, A., Tetrahedron 57 (2001) 1261-1268
- Wenzel, T. et al., Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids 22 (2003) 1579-1581
- Dell'Aquila, C. et al., Tetrahedron Letters 38 (1997) 5289-5292
- Ordoukhanian, P. and Taylor, J.-S., Journal of the American Chemical Society 117 (1995) 9570-9571
- Saran, D. et al., Bioconjugate Chemistry 18 (2007) 275-279
- Piggott, A.M., and Karuso, P., Tetrahedron Letters 46 (2005) 8241-8244.
【0081】
間接的光切断の特定の様式は、反応種、例えばH+またはOH-の光生成により達成され得るが、かかる反応種の形成により、塩基または酸不安定性共有結合の切断が生じる。WO 2006/117556およびWO 99/41007には、酸および塩基の光生成の方法が記載される。塩基または酸不安定性リンカーは当該技術分野に周知である(例えば、Chitkul, B., Tetrahedron Letters 42 (2001) 6211-6214)。
【0082】
Keller, K.A., Tetrahedron Letters 46 (2005) 1181-1184には、熱切断可能リンカーが記載される。
【0083】
いずれの場合も、最初の標的捕捉が容易になり、1つの固定化プライマーを用いてPCRが依然効率的であるように固定化オリゴヌクレオチドは表面に結合される。これは、ビーズ表面とプライマー配列間に充分な間隔をあけることで達成される。したがって、PEGリンカーのような長いリンカーまたは多数の短いリンカーがオリゴヌクレオチドに結合される。捕捉に影響を及ぼす第2のパラメーターは、適切なビーズ作製法によって、または固定されるオリゴヌクレオチドと同じ官能基を有する非ヌクレオチド化合物で固定されるオリゴヌクレオチドを希釈する(dilute)ことによって調節され得る、ビーズ上の表面負荷密度である。
【0084】
本発明の固相支持体の使用
上述のように、本発明の固相支持体は1つまたは複数のビーズであり得る。本発明のビーズは、以下の工程
a) それぞれのビーズが少なくとも一組の配列特異的増幅プライマーを含むことを特徴とし、さらに前記プライマーの少なくとも1つが切断可能リンカーを介してビーズに結合することを特徴とする複数のビーズを提供する工程、
b) 試料から目的の核酸分子を捕捉する工程、
c) 前記複数のビーズをクローン的に単離する工程、
d) 前記少なくとも1つのプライマーを切断する工程、
e) 前記核酸をクローン的に増幅して、多数の増幅産物を生成する工程、
f) 前記増幅産物を分析する工程
を含む、目的の多数の核酸分子を分析する方法に使用され得る。
【0085】
例示的な概要を図1に示す:試料を、一組の増幅プライマーを含むビーズの集団(その1つが光切断可能である)に供する(工程a、b)。エマルジョンPCRを実行してクローン的な増幅を達成する(工程c、d、e)。続いて、増幅産物を分析する(工程f)。
【0086】
詳細に、一般的な工程は以下のように実施する。
【0087】
a) 複数のビーズを提供する工程
前記ビーズの作製は詳細に上述される。
【0088】
b) 試料から目的の核酸分子を捕捉する工程
次いで、標的分子を、切断可能プライマーおよび非切断可能プライマーを含むビーズにハイブリダイズさせる。適切なバッファー系および適切なハイブリダイゼーション温度に関して、適切なハイブリダイゼーション条件は当該技術分野に周知であり、特別に使用される増幅プライマーの長さおよび配列などの具体的な条件にしたがって最適化され得る。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、可能な限り多くの標的核酸を捕捉するために増幅される1つまたは複数の配列と比較して、過剰モルのビーズを使用してなされる。特に、1:5〜1:100、好ましくは1:10〜1:50の過剰モルが特に有利であることが明らかになった。複数の異なる標的配列が検出および/または分析される場合、その後異なる多数のプライマー対を有するビーズのライブラリーを使用する必要がある。
【0089】
c) 前記複数のビーズをクローン的に単離する工程
分析される複数の核酸分子中に存在する配列バリエーションについての定量的データを得るために、クローン的な単離が前もって必要である。原則的に、2つの異なるクローン的な単離の形態がある。
【0090】
第1の態様において、熱安定DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸および適切なバッファーなどのPCR試薬を最初にビーズに添加する。続いて、それぞれのビーズが、核酸増幅反応を可能にする水溶液を含む単一のミセル中に封入されることを特徴とする、油中水エマルジョンを生成する。適切な条件は、例えばWO 04/069849に開示される。
【0091】
最も好ましい態様において、1μlの1:2の水:油エマルジョン中に約3000ビーズが含まれる。
【0092】
第2の代替的な態様において、工程c)は前記複数のビーズをマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞に分配することを含む。1つの空洞が1つのビーズのみで満たされるように、空洞の大きさはビーズの直径に相当する。
【0093】
空洞へのビーズの分配は、例えば、恒常的な(constant)攪拌、スムーズな(smooth)振盪または遠心分離の手段により得られ得る。熱安定DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸および適切なバッファー等のPCR試薬は、マイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞へのビーズの分配の前、または好ましくは該分配の後のいずれかに添加される。あるいは、前記PCR試薬の添加は、工程d)の後に実施され得る。
【0094】
d) 前記少なくとも1つのプライマーを切断する工程
切断可能リンカーを介して結合する前記プライマーを含むビーズは、その後、切断可能プライマーとビーズを結合するリンカーを切断するために、切断条件に曝露される。前記複数のビーズのマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞への分配によりクローン的な単離が達成される場合、切断可能リンカー分子は、酸、塩基、光または当業者に周知の任意の他の手段により切断され得る。好ましくは、さらなる試薬の添加が回避されるので、リンカーは光切断可能リンカーである。
【0095】
油中水エマルジョンを生成することによりクローン的な単離が達成される場合、光活性化に基づく切断方法を使用することがさらに必要とされる。このことに関して、当該技術分野で公知のいくつかの方法がある。
【0096】
e) 前記核酸をクローン的に増幅して多数の増幅産物を生成する工程
次いで、核酸増幅反応を実施するために、反応混合物を適切な熱サイクルプロトコルに曝露する。依然として固定された(切断可能でない)増幅プライマーは標的核酸分子および増幅産物にハイブリダイズして、標的核酸分子および増幅産物はビーズの表面に保持される。ビーズから切断された増幅プライマーは、効果的な増幅反応を実行できるように溶液中を自由に移動し得る。
【0097】
結果的に、本発明はまた、複数の核酸鋳型保有ビーズを生成する方法を提供し、それぞれのビーズは1,000,000コピーまでおよび1,000,000コピーより多くの単一核酸配列を含む。最適化された条件下では、それぞれのビーズは20,000,000コピーより多くの単一核酸を含み得る。
【0098】
非特異的な増幅産物の生成を回避するために、いわゆるホットスタートPCRプロトコルを適用することが非常に有利である。いくつかの方法が当該技術分野に公知である。例えば、化学的熱不安定性(heat liable)修飾の結果、可逆的に不活性化されるDNAポリメラーゼを使用することが可能である。(US 5,773,258、US 5,677,152)。Taq DNAポリメラーゼの熱不安定阻害を達成するための代替的なアプローチは、精製された酵素に対して惹起されたモノクローナル抗体の添加である(Kellogg, D. E., et al., Biotechniques 16 (1994) 1134-7)。あるいは、ホットスタート効果を生じさせるために、短い二重鎖DNA断片(Kainz, P., et al., Biotechniques 28 (2000) 278-82)またはオリゴヌクレオチドアプタマーを反応混合物に添加し得る(US 5,693,502)、(Lin, Y. and Jayasena, S. D., J. Mol. Biol. 271 (1997) 100-11)。さらに代替的に、EP 0 799 888には、3'ブロックされた(blocked)オリゴヌクレオチドのPCR反応への添加が開示される。3'ブロックのために、これらのオリゴヌクレオチドはプライマーとして作用できない。ブロックされたオリゴヌクレオチドはPCRプライマーと競合/相互作用するように設計され、非特異的産物の減少をもたらす。別の代替法は、PCR反応混合物中でのホスホロチオエートオリゴヌクレオチドプライマーとエキソヌクレアーゼIIIとの併用である(EP 0 744 470)。この場合、通常、二本鎖DNA基質および一本鎖DNA基質を受容する(accept)3'エキソヌクレアーゼは、プライマーダイマーおよび持ち越された(carry over)アンプリコンなどの二本鎖アーティファクトを分解し、一本鎖増幅プライマーを分解しないように残す。同様に、無塩基修飾された3'末端を有するプライマーおよび大腸菌エンドヌクレアーゼIVによる鋳型依存性除去の使用が提案されている(US 5,792,607)。一般的な考案の特定の態様はEP 1 275 735に見られる。その明細書には、(i)熱安定DNAポリメラーゼ、(ii)熱安定3'-5'エキソヌクレアーゼ、および(iii)前記熱安定DNAポリメラーゼでは伸長されない修飾3'末端残基を有する核酸増幅のための少なくとも1つのプライマーを含む、核酸増幅反応を実施するための組成物、ならびにこの組成物を使用したPCR反応の実施方法が開示される。
【0099】
特に、クローン的な増幅は、対立遺伝子特異的PCRの形態で実施され得る。この検出方法において、通常、検出される標的核酸の特別なバリアントのみに相補的なプライマーの3'末端に識別末端ヌクレオチド残基を有するバリアント特異的増幅プライマーが、増幅中に使用される。例えば、US 5,595,890には、対立遺伝子特異的増幅のためのかかる方法、および例えばk-ras癌遺伝子中の臨床的に関連のある点変異を検出するためのそれらの使用が記載される。US 5,521,301にも、ABO血液型システムの遺伝子型決定のための対立遺伝子特異的増幅のための方法が記載される。対照的に、US 5,639,611には、鎌状細胞貧血の原因となる点変異の検出と組み合わせた対立遺伝子特異的増幅の使用が開示される。配列バリアント、多型およびとりわけ点変異のかかる検出方法は、特に、過剰に存在する核酸の(または同じ遺伝子の)同一の区画のバリアントと比較して、検出される配列バリアントがより少量で存在する場合、対立遺伝子特異的増幅を要する。例えば、血液、血清または血漿などの体液中の散在性(disseminating)腫瘍細胞を、対立遺伝子特異的増幅の補助により検出することが目的である場合に、この状況が生じる(US 5,496,699)。この目的で、まず血液、血清または血漿などの体液から、散在性腫瘍細胞由来の比較的少量のDNAおよび非増殖細胞由来の過剰なDNAからなるDNAを単離する。したがって、腫瘍DNAについて有意であるk-Ras遺伝子中の突然変異は、過剰な野生型DNAの存在下で数コピーの腫瘍DNAに基づいて検出される必要がある。
【0100】
f) 前記増幅産物を分析する工程
油中水エマルジョンを生成することにより工程c)のクローン的な単離が達成される場合、最初の工程で、増幅産物を有する複数のビーズをマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞に分配する。続いて、生成された増幅産物の分析のための二つの代替的な態様が存在する。
【0101】
(i) 配列決定
第1の態様において、それぞれのビーズに結合したDNAを配列決定反応に供し得る。好ましくは、前記配列決定反応は、プライマー伸長反応の形成されるDNA鎖への特定のデオキシヌクレオシドの取り込みがモニタリングされることを特徴とする、合成反応による配列決定である。最も好ましくは、前記合成反応による配列決定は、ピロリン酸の生成の検出により前記取り込みがモニタリングされる、ピロリン酸配列決定反応である(EP 932 700、US 6,210,891)。
【0102】
配列特異的なビーズを提供することにより、当該技術分野に公知である方法に従う、必要なPCRによる特定の標的の前増幅(pre-amplification)が回避される。代わりに、本発明にしたがって、emPCR(エマルジョンPCR)自体は多数のビーズを用いて実施されるが、全てのビーズは同じ組の増幅プライマーを有する。より正確に、ビーズは1種類の固定された前方および後方プライマーを有し、その両方は同じ遺伝子に特異的である。切断可能でないプライマーは、遺伝子特異的プライマー配列の前に5'末端にさらなる配列を有し得る。切断可能プライマーは5'末端に、配列決定反応の前に配列決定プライマー結合部位として作用し得る特異的配列を有する。前記切断可能プライマーの3'部分には遺伝子特異的配列が続く。配列決定プライマー結合部位に対応する配列が切断可能でないプライマーの5'末端に存在する場合、これは好ましさはより低いが依然として本発明の範囲内にある。
【0103】
それぞれが異なる遺伝子についてのプライマー対を含む多くの異なるビーズをプール(pool)し得る。次いで、捕捉反応中に標的はビーズにハイブリダイズする。続いて、emPCRに適したエマルジョンを生成する。次いで、エマルジョンを、切断可能リンカーが切断される条件に供する。その後、ビーズをemPCRによる「クローン的な増幅」に供する。エマルジョンの分離(breaking)および洗浄後、ビーズを物理的にピコタイタープレート上で分離して、例えばGenome Sequencer FLX装置(Roche Applied Science カタログ番号04 896 548 001)を用いて増幅産物を配列決定により解読/検出および/または定量する。
【0104】
要約すると、主な利点は、
-標的を直接ビーズに添加し得ること
-目的の遺伝子またはアンプリコンの前増幅が必要ない
-配列特異的捕捉ビーズのプールを供給する可能性があること
である。配列特異的捕捉ビーズのプールは、腫瘍学関連遺伝子および他の遺伝子の遺伝子発現などの具体的な適用に分類され得る。
【0105】
(ii) エンドポイントPCR分析
第2の代替的な態様において、依然としてビーズに結合している増幅されたDNAを、適切な検出手段により直接分析し得る。すなわち、アンプリコンの生成がエンドポイント測定の主題であることを特徴とするPCRアッセイを実施する。
【0106】
ビーズは固定化された前方および後方プライマーを有し、その両方は目的の1つの遺伝子または核酸配列領域に特異的である。プライマーの1つは切断可能であり、第2のプライマーは切断可能でない。それぞれが異なる遺伝子/配列に対するのプライマー対を含む多くの異なるビーズをプールする。標的核酸試料は、捕捉反応中にビーズにハイブリダイズする。emPCRに適したエマルジョンを生成する。次いで、エマルジョンを切断可能リンカーが切断される条件に供する。続いて、ビーズをemPCRによる「クローン的な増幅」に供する。エマルジョンの分離(breaking)および洗浄後、ビーズを物理的にPTP(ピコタイタープレート)上で分離し、エンドポイントアッセイで増幅産物を検出する。特定の態様において、前記検出は生成されたアンプリコンを温度勾配に供することにより実施される。結果的に、融解曲線分析を実施することが可能である(US 6,174,670、US 5,871,908)。
【0107】
好ましくは、増幅産物は蛍光により検出される。例えば、増幅混合物はすでに、適切な波長の光で励起後に、二本鎖核酸と相互作用する際に対応する蛍光シグナルを放射する、蛍光DNA結合色素などの二本鎖核酸結合部分を有し得る。色素SybrGreenIおよびSybrGold(Molecular Probes)またはWO 2004/038038に開示される色素はこの適用に特に適することが証明されている。あるいは、他のインターカレート性色素を使用することができる。
【0108】
SybrGreen形式によるアンプリコン検出では、特定の産物とプライマー/ダイマーなどの増幅アーティファクト間の識別ができないという事実により、その後、通常、融解曲線分析が行なわれる。PCR反応の終了後、試料の温度を構成的に(constitutively)上昇させ、SybrGreenが、試料中に存在している二本鎖DNAに結合されている限り、蛍光が検出される。二本鎖DNAが解離すると直ちにシグナルが減少する。この減少は、蛍光減少の最大が観察される一次導関数値が決定され得るような適切な蛍光対温度-時間プロットでモニターされる。プライマー/ダイマー二本鎖DNAは通常短いため、単鎖DNAへの解離は、二本鎖特異的増幅産物の解離と比べてより低温で起こる。
【0109】
代替的に、増幅混合物は、少なくとも1つの蛍光部分で標識された1種類以上のハイブリダイゼーションプローブを既に含み得る。本発明のこの文脈において、分子ビーコン、FRETハイブリダイゼーションプローブおよび単一標識プローブは特に有用である。
【0110】
分子ビーコンハイブリダイゼーションプローブは第1の成分および消光剤で標識され、標識は、好ましくは、プローブの両末端に位置する。プローブの二次構造の結果として、両方の成分は溶液中で空間的に近接する。標的核酸へのハイブリダイゼーション後、両方の成分は、適当な波長の光での励起後、第1の成分の蛍光放出が測定され得るように互いに離れる(US 5,118,801)。
【0111】
FRETハイブリダイゼーションプローブ試験形式は、すべての種類の均一系ハイブリダイゼーションアッセイに特に有用である(Matthews, J., A.およびKricka, L., J., Analytical Biochemistry 169 (1988)1-25)。これは、同時に使用され、増幅された標的核酸の同じ鎖の近接部位に相補的な2種類の単鎖ハイブリダイゼーションプローブを特徴とする。両方のプローブは異なる蛍光成分で標識される。適当な波長の光で励起されると、第1の成分は、吸収したエネルギーを蛍光共鳴エネルギー転移の原理に従って第2の成分に転移させ、そのため、両方のハイブリダイゼーションプローブが、検出される標的分子の近接位置に結合すると、第2の成分の蛍光放出が測定され得る。FRETアクセプター成分の蛍光の増大をモニターする代わりに、ハイブリダイゼーション事象の定量的測定として、FRETドナー成分の蛍光の減少をモニターすることも可能である。
【0112】
単一標識プローブは、5’-または3’-末端いずれかで単一の蛍光色素で標識された単一のオリゴヌクレオチドからなる(WO 02/14555)。2つの異なる設計:G-消光プローブおよびニトロインドール-脱消光プローブが使用され得る。G-消光態様では、蛍光色素がオリゴ5’-または3’-末端のCに結合される。2つのGが、Cの向かいの標的鎖上にあって相補オリゴヌクレオチドプローブの1位隣に位置する場合、プローブが標的にハイブリダイズすると、蛍光は有意に減少する。ニトロインドール脱消光態様では、蛍光色素は、オリゴヌクレオチドの5’-または3’-末端でニトロインドールに結合される。ニトロインドールは、どうにかして遊離プローブの蛍光シグナル伝達を減少させる。プローブが標的DNAにハイブリダイズすると脱消光効果によって蛍光は増大する。
【0113】
上記に開示したハイブリダイゼーションプローブはすべて、融解曲線分析に使用される。かかるアッセイでは、標的核酸は、まず、適当な増幅プライマーを用いて典型的なPCR反応において増幅される。ハイブリダイゼーションプローブは、既に増幅反応中に存在していてもよく、後で添加してもよい。PCR反応の終了後、試料の温度を構成的に上昇させ、ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合されている限り、蛍光が検出される。融解温度では、ハイブリダイゼーションプローブがその標的から放出され、蛍光シグナルが即座にバックグラウンドレベルまで減少する。この減少は、蛍光減少の最大が観察される一次導関数値が決定され得るように、適切な蛍光対温度-時間プロットによりモニターされる。
【0114】
1つのみ、2つまたは数個の異なる標的遺伝子が増幅されることを特徴とする適用の場合、作製されたアンプリコンを温度勾配に供し、融解曲線分析を行なうことにより異なる増幅産物を識別することが可能である。SybrGreen検出形式を使用すると、少なくとも2つの異なるアンプリコンを識別することが容易に可能である。ハイブリダイゼーションプローブ系の検出形式を使用すると、同じ蛍光化合物(1つまたは複数)で標識された1つ以上のハイブリダイゼーションプローブで、同じまたは異なる増幅プライマーを用いて増幅された少なくとも4つの異なるアンプリコン配列バリエーションを識別することが容易に可能である。異なるハイブリダイゼーションプローブに異なる標識が使用される場合、より多くの異なるアンプリコン配列バリエーションのそれぞれを識別することが可能である。
【0115】
本発明によれば、検出可能なタグの導入に基づいた検出のための別のシナリオ(scenario)もまた存在する。したがって、本発明は、少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含む1つのビーズまたは複数のビーズであって、少なくとも1つのプライマーが前記ビーズに切断可能リンカーによって結合されており、前記プライマーがさらに検出可能なタグを含む、ビーズを提供する。
【0116】
特に、本発明はまた、各ビーズが異なる対の2つの配列特異的増幅プライマーを含み、少なくとも1つのプライマーがビーズに切断可能リンカーで結合されており、前記プライマーがさらに検出可能なタグを含む、ビーズのライブラリーを提供する。非常に特別な態様において、ビーズはタグそれ自体であるか、または表面が測定可能なタグで修飾されている。
【0117】
これに関連して、特異的プライマー配列を有するビーズは、ビーズの特異的検出を可能にする任意の種類の検出可能なタグにコード(encode)されている。例えば、検出可能なタグは、質量タグ(mass-tag)、蛍光もしくは色標識もしくはeタグまたはラマンタグであり得るが、これに限定されない。さらなる例は、ジゴキシゲニンまたはビオチンまたは小ペプチドなどのハプテンであり、すべて抗体によって検出可能である。
【0118】
各配列特異的ビーズについて、異なる色、異なる質量またはビーズ結合特異的配列に対する他のもののいずれかによってコードされる別のタグまたは特定の数の複数のタグが選択され得る。異なる利用可能な標識の数に応じて、多数の標的配列が分析され得る。
【0119】
好ましくは、切断可能リンカーによってビーズに結合されるプライマーは、検出可能なタグを有する。「切断可能」プライマーの切断および伸長後、タグは、ビーズ上のPCR産物に組み込まれ、検出され得る。異なる配列の増幅産物を含むビーズは識別され得、計数され得、したがって、特異的配列が定性的および定量的に検出される可能性が可能になる。したがって、最も好ましくは、切断可能リンカーによってビーズに結合される複数のプライマーの各メンバーは、異なる検出可能な1つのタグまたは複数のタグを有する。
【0120】
切断可能プライマーを蛍光タグで標識する場合、これは、プライマーがポリメラーゼによって伸長され、PCRアンプリコンが形成されない限り、標識が消光される様式で行なわれ得る。構想される消光機構の1つは、単一標識ハイブリダイゼーションプローブと類似したプライマーの使用であり、この場合、相補的な標的鎖と相互作用すると脱消光が起こる。代替的に、分子ビーコンと類似したプライマーが使用され得、この場合、オリゴヌクレオチドが線状化されると脱消光が起こる。その結果、消光されたプライマーの使用により、いくらかのバックグラウンド蛍光シグナル伝達の可能性が最小限となる。
【0121】
切断可能プライマーがビオチンおよびジゴキシゲニン(Dig)などのハプテンタグで標識される場合、増幅産物は、それぞれのその後の化学発光反応においてアビジンまたは抗Digを使用する化学発光反応によって検出され得る。特定の態様において、切断可能リンカーでビーズに結合される複数のプライマーの各メンバーは、反応カスケードにおいて蛍光または化学発光によって検出され得る異なる数のビオチンまたはDig標識を有する。したがって、異なる発光特性を有する蛍光性または化学発光性基質と組み合わせたペルオキシダーゼ(POD)ストレプトアビジンおよびアルカリホスファターゼ(AP)抗Digコンジュゲート(conjugate)が使用される。蛍光については、例示的な例は、フルオレセインおよび抗フルオレセイン-ガラクトースコンジュゲートの使用である。さらに、蛍光シグナルまたは化学発光シグナルの時間依存性またはシグナル強度および放出波長もまた、デコード(decoding)に使用され得る。
【0122】
代替的に、切断可能プライマーおよび/または切断可能でないプライマーは、種々の数のイソGおよびイソC(これは、標準的な塩基対に直交)で修飾される。ビオチンおよび/またはDig標識イソGおよびイソCは、次いで、増幅反応中に組み込まれ、最後に上記の反応カスケードによって検出される。対応物(counterpart)との特異的相互作用は可能であるが、プライマーの5’末端に結合されたDNAまたはRNAとは相互作用し得ない直交フラップ(flap)もまた、フラップの対応物が既知の特定の位置に固定化されたアレイ上での「ハイブリダイゼーションによるデコード」に使用され得る。適当な直交フラップは、イソGイソC含有オリゴヌクレオチド、L-DNA、グリコール核酸(GNA)およびホモDNAなどの核酸アナログである。
【0123】
多くの他の異なるコード(encoding)ストラテジーが文献において公知であり、その一部は市販されている。例は、以下の参考文献に開示されている。
蛍光:
Tong, A.K. et al., Nature Biotechnology 19 (2001)756-759
質量:
Kokoris, M. et al., Molecular Diagnosis 5 (2000)329-340
ラマン分光法:
Sun, L. et al., Analytical Chemistry 79 (2007)3981-3988
Ng, P., Nucleic Acids Research 34 (2006)e84/1-e84/10
マルチプレックス分析に関する概説:
Finkel, N.H. et al., Anal. Chem. 76 (2004)352A-359A
Braeckmans, K. et al., Nat. Rev. Drug Discov. 1 (2002)447-456
【0124】
特定の態様において、コードされたビーズはまた、dsDNA結合色素などの蛍光実体または上記に開示したような蛍光ハイブリダイゼーションプローブのいずれかを使用する検出モードと組み合わせて使用され得る。
【0125】
(iii)リアルタイムPCR
工程c)のクローン的な単離が、マイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞内への前記複数のビーズの分配によって達成された場合、PCR反応工程は、上記で開示したように適切な検出形式を用いて、工程e)中、リアルタイムで既にモニターされ得る。換言すると、工程e)およびf)は、リアルタイムPCR分析を行なうことにより同時に行なわれる。
【0126】
各々が異なる遺伝子に対するプライマー対を含む多くの異なるビーズをプールする。標的はビーズにハイブリダイズされる。各々が、共に1つの遺伝子に特異的な2つのPCRプライマーを有する異なるビーズを物理的に分離するために、ピコタイタープレート(PTP)などのマイクロデバイスが使用される。ビーズ上に固定化されたプライマーの1つは、切断可能リンカーを含む。PTP上で物理的に分離されたビーズに、PCR試薬を添加する。次いで、ビーズを切断条件に曝露し、支持体マトリックスに切断可能プライマーを結合しているリンカーを切断する。反応混合物をPCRサイクルに曝露する。まだ固定化されている(切断可能でない)プライマーは、近傍の増幅された分子にハイブリダイズし、表面で該分子を保持する。PCRはPTPの単一のウェル内で行ない、リアルタイムで追跡する。この態様でも、融解曲線分析を行なうため、続いて、アンプリコンは温度勾配に供され得る。
【0127】
当業者には、増幅産物をリアルタイムで同定するために同じビーズコード様式が適用され得ることが認識される。また、当業者には、増幅産物の検出のために、エンドポイントPCR分析で上記に開示したような、二本鎖DNA結合色素または蛍光ハイブリダイゼーションプローブが使用され得ることが認識される。
【0128】
さらに、リアルタイムPCRの分野で公知の任意の種類の検出形式を使用することが可能である。特に、周知のTaqMan 5’ヌクレアーゼ形式を使用することも可能である。この場合、単鎖ハイブリダイゼーションプローブを2つの成分で標識する。第1の成分が適当な波長の光で励起されると、蛍光共鳴エネルギー転移の原理に従って、吸収されたエネルギーが、いわゆる消光剤である第2の成分に転移される。PCR反応のアニーリング工程の間、ハイブリダイゼーションプローブは標的DNAに結合し、続く伸長期の間、Taqポリメラーゼの5’-3’エキソヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果、励起された蛍光成分および消光剤が互いに空間的に分離され、したがって第1の成分の蛍光放出が測定され得る(US 5,804,375)。しかしながら、このアッセイ形式は、その後の融解曲線分析と両立しない。
【0129】
(iv)ライブラリーの作製
多数の核酸分子を直接分析する方法に加えて、本発明は、さらに、本発明の方法によって作製されるライブラリーを提供する。ライブラリーは、増幅の出発材料として、例えば、ゲノムDNA、全細胞cDNA、ゲノムDNAライブラリー、cDNAライブラリー、またはプラスミドライブラリーを使用することによって作製され得る。ライブラリーは、例えば、起源が生物学的または合成の任意の核酸集団に由来するものであり得る。
【0130】
したがって、より正確には、本発明はまた、
a)各ビーズが少なくとも1対の配列特異的増幅プライマーを含むことを特徴とし、さらに、前記プライマーの少なくとも一方が、切断可能リンカーを介してビーズに結合されていることを特徴とする複数のビーズを提供する工程
b)試料から目的の核酸分子を捕捉する工程
c)前記複数のビーズをクローン的に単離する工程
d)前記少なくとも1つのプライマーを切断する工程
e)前記核酸をクローン的に増幅し、それにより多数の増幅産物を作製する工程
f)前記多数の増幅産物を、マイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞内にクローン的に保存する工程
を含む、目的の多数の核酸分子の増幅のための方法に関する。
【0131】
工程c)が本発明によるエマルジョンを調製することによって行なわれる場合、工程f)は、初めに、前記複数のビーズをマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞内に分配する工程を含む。工程c)が前記複数のビーズをマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレートの空洞内に分配する工程を含む場合、増幅産物は、同じマイクロタイタープレートまたはピコタイタープレート内に直接保存され得る。
【0132】
事前に作製されたライブラリーが本発明に従って増幅される場合、特異的な1対の増幅プライマーを有する1つの型のビーズを使用することが可能である。ゲノムDNAまたは全細胞cDNAが本発明に従って増幅される場合、ビーズは、無作為化されたフォワードプライマー配列およびリバースプライマー配列の集団を含まなければならない。
【0133】
さらに、本発明はまた、上記に開示した方法によって作製されるライブラリーに関する。
【0134】
本発明の応用
(i)配列決定
本発明による配列決定分析は、種々の異なる応用に使用され得る。
【0135】
多くの場合、潜在的な配列バリエーションについて多コピーの特定の標的を分析することが望ましい。本発明によれば、当該技術分野で公知の方法では必要なPCRによるある特定の標的の前増幅が回避される。代わりに、本発明によれば、emPCR自体は、すべてのビーズが同じ対の増幅プライマーを有することを特徴とする、同じ型の多数のビーズを用いて行なわれる。
【0136】
したがって、一局面において、本発明による配列決定分析は定量的変異分析に使用され得る。この局面において、複数の異なる配列決定反応から得られたデータにより、試料由来の増幅された標的核酸中にある複数の異なるバリエーションが明らかになる。また、得られたデータは、分析した試料中に、各配列バリエーションが最初にどれだけの頻度で存在したかのパーセンテージでの定量的情報を提供する。
【0137】
さらに、かかる分析はまた、マルチプレックス(multiplex)アプローチにおいて行なわれ得る。この場合、試料中に存在するいくつかの異なる標的核酸の配列バリエーションが決定される。この方法によって分析され得る異なる標的の数は、各ビーズが特異的増幅プライマー対を有するような様式で提供され得る異なるビーズの数のみによって制限される。
【0138】
別の局面において、1回PCR反応を行なうだけでは配列が増幅され得ない複雑な遺伝子または遺伝子座を分析することも可能である。この場合、各ビーズが、分析されるべき標的DNAの特定の領域を増幅するように設計された特異的増幅プライマー対を有することを特徴とする多数の異なる種のビーズが提供される。この文脈では、プライマーの設計は、生成した増幅産物のサイズが、その後の配列決定工程において完全に配列決定され得ない長さを超えないような様式で行なわれなければならない。したがって、好ましくは、生成したアンプリコンのサイズは、1000ヌクレオチド未満、最も好ましくは500ヌクレオチド未満である。また、好ましくは、生成したアンプリコンの配列は、互いの間にオーバーラップ(overlap)を含むため、最終的に得られる配列情報は、ギャップなしで高い信頼度を含む。
【0139】
特に、かかる分析は、ある特定の疾患の素因と関連していることが証明されている特定の遺伝子または遺伝子座に見られる多数の多型を分析するため、または疾患の予後のために有用である。例えば、本発明の方法は、筋ジストロフィをコードする遺伝子またはHNPCC遺伝子などのヒトの遺伝子を分析するために使用され得る。
【0140】
さらなる局面において、本発明による配列決定分析は、遺伝子発現をモニタリングするために使用され得る。この局面において、5’末端がその後の増幅反応のためのプライマー結合部位として作用し得る標的配列を有するような様式で作製されたcDNAが使用される。前記増幅反応における第2のプライマーとして、オリゴ-dTプライマーが使用され得る。cDNAの5’末端におけるプライマー結合部位の導入は、当該技術分野で公知の任意の方法によって行なわれ得る。例えば、第2鎖cDNAの合成のため、5’部分および3’部分を含むプライマーを使用することが可能である。5’部分は、それ自体が第1鎖cDNAにハイブリダイズしないプライマー結合部位を含む。3’部分は、実質的にすべての第1鎖cDNA分子にハイブリダイズし得るように、少なくとも一部、好ましくは完全に無作為化された配列を含む。
【0141】
代替的に、限定数の標的核酸の発現のみが増幅される場合、第1鎖および第2鎖cDNA合成は、限定数のプライマー配列を含む集団を用いて行なわれる。第1鎖cDNA合成には、第1の増幅プライマー結合部位に対応するが、モニターされる異なる数の標的に対応する共通の第1の5’部分を共有するプライマーの組成物が使用され、すべて異なる3’部分を有する。同様に、第2鎖cDNA合成には、第1の増幅プライマー結合部位に対応するが、モニターされる異なる数の標的に対応する共通の第2の5’部分を共有するプライマーの組成物が使用され、すべて異なる3’末端を有する。
【0142】
定量的変異分析法と同様、その後の配列決定によって得られたデータもまた、どのcDNAがどれだけの頻度で元の試料中に存在したかに関する定量的情報を示す。
【0143】
さらなる追加の局面において、配列特異的増幅プライマー対は、完全に無作為化されたプライマー集団で置き換えられ得る。これがあてはまる場合、本発明による方法はまた、ゲノムDNA試料または全cDNA試料などの多くの異なる配列を有する核酸分子の集団を配列決定するために使用され得る。
【0144】
(ii)エンドポイントPCRおよびリアルタイムPCR
本発明によるPCR態様は、絶対的または相対的核酸定量に使用され得る。
【0145】
相対的定量の場合、試料中に存在する2つの異なる核酸配列を増幅するために、少なくとも2つの配列特異的増幅プライマー対が使用される。光切断可能プライマーは、好ましくは、その後の検出のための異なるタグを含む。すなわち、切断可能リンカーを介してビーズに結合されている複数のプライマーの各メンバーは、異なる検出可能な標識を有する。代替的に、限定数の標的のみが分析される場合は、増幅産物は、融解曲線分析によって、異なる標識をされたハイブリダイゼーションプローブを使用することによって、またはジゴキシゲニンもしくはビオチンコードプライマーを使用することによって識別される。試料は、例えば、ゲノムDNA試料、cDNA試料またはRNA試料であり得る。後者の場合、ワンステップRT-PCRを行なわれる必要がある。
【0146】
絶対的定量の場合、試料には、上記で開示したプライマーで増幅され得、適切にタグ化されたプライマーまたは適切に標識されたプローブのいずれかによって検出され得る既知量の標準核酸が添加される(spike)。
【0147】
エンドポイントPCRモニタリングの場合、相対的または(既知標準を使用の場合)絶対的定量データを得るために、増幅された標的配列の各型について陽性シグナルの存在度(abundance)を測定し、互いに比較する。
【0148】
リアルタイムPCRの場合、定量的データは、当該技術分野で頻繁に使用されている周知のプロトコルに従って増幅プロセス中に得られる。
【0149】
したがって、本発明によるエンドポイントPCRモニタリングとリアルタイムPCRモニタリングの両方により、元の試料中の種々のRNAの存在度を比較することが可能である、すなわち換言すると、遺伝子発現を相対的様式でモニターすることが可能である。
【0150】
さらなる局面において、本発明のエンドポイントPCRならびにリアルタイムPCR法は、ARMS技術とも称される対立遺伝子特異的増幅に基づいたプロトコルに従って変異分析に使用され得る(US 5,137,806、US 5,595,890、US 5,639,611)。この特定の態様において、特定の標的配列の特定の1つの配列バリエーションのみを増幅することができるが、既知の第2の配列バリエーションは増幅しない3’識別ヌクレオチド残基を有するプライマーが使用される。
【実施例】
【0151】
実施例1:
プライマーおよび光切断可能プライマーの調製
オリゴヌクレオチドの合成は、ABI 394合成装置上で、1μmol規模で4回行なった。市販のtac CPG(Proligo)を支持体材料として使用した。標準的な合成のための他の化学薬品は、すべてGlen Researchから入手した。Proligo製のtert.ブチルフェノキシ-アセチル保護基を有するホスホロアミダイト(「tac」または「Expedite」モノマーとして知られる)を使用した。キャッピング試薬として、テトラヒドロフラン中のtertブチルフェノキシアセチル無水酢酸(tac2O)を使用した。
【0152】
以下の市販の修飾剤を使用した:
− 5’アミノ修飾剤C6:6-(4-モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイト
− スペーサーホスホロアミダイト18:18-O-ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト
− 光切断可能スペーサー:[4-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)ブチルアミドメチル-1-(2-ニトロフェニル)-エチル]-2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイト
− ビオチン dT ホスホロアミダイト:(5'-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((4-t-ブチルベンゾイル)-ビオチニル)-アミノヘキシル-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)
− ビオチンホスホロアミダイト:(1-ジメトキシトリチルオキシ-2-(N-ビオチニル-4-アミノブチル)-プロピル-3-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイト)
− フルオレセインホスホロアミダイト:(1-ジメトキシトリチルオキシ-2-(N-チオ尿素-(ジ-O-ピバロイル-フルオレセイン)-4-アミノブチル)-プロピル-3-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイト)
− フルオレセイン dT ホスホロアミダイト:(5'-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)
【0153】
合成には標準プロトコルを使用した。33%アンモニアを用いて生成物を支持体から室温で2時間切断し、Porous Oligo R3 4.6×50mmカラム上での逆相クロマトグラフィーによって精製した。クロマトグラフィー:バッファーA:水中0.1M酢酸トリエチルアンモニウムpH6.8、バッファーB:水/アセトニトリル1:1中0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、勾配2分間0%Bから45分間で100%B。溶出液のUV吸光度を260nmで測定した。アミノ修飾オリゴヌクレオチドを含有するメインの画分が得られた。溶媒を真空遠心分離機で除去した。
【0154】
以下の表は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)活性化セファロースビーズに固定化されたにオリゴヌクレオチドプライマーの配列および修飾を示す。大文字はビーズコード、増幅、富化およびピロ配列決定(pyrosequencing)のための一般的なアダプター配列を表し、小文字は遺伝子特異的配列を表す。
【0155】


5’-AmMC6・・・5’-アミノ修飾剤C6
isp18・・・内部スペーサー18、ヘキサエチレングリコール
PCL・・・光切断可能2-ニトロベンジルリンカー
FAMdT・・・フルオレセインデオキシチミジン
TB = ビオチンデオキシチミジン
MvaI制限部位に下線を付している
【0156】
実施例2:
ビーズの調製および光切断
それぞれ固定リンカーおよび光切断可能リンカーを含むアミノ修飾オリゴヌクレオチド(配列番号1〜9)を、標準プロトコルに従って、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)官能基化セファロースビーズ(Roche/454-Life Sciences, Branford, CT, USA)に結合させた。化学反応機構を図2に示す。
【0157】
ニトロベンジルリンカーの光切断を誘発するため、366nmで8W二波長UVランプ(Camag, Berlin, Germany)を使用し、QS1.000石英セル(1cmパス長)内で、これらのビーズをUV照射に供した。石英セルとUVランプ間の間隔を2cmとした。
【0158】
実施例3:
光切断反応の分析
(図3に対応)
この実施例には、セファロースビーズに固定化されたフルオレセイン修飾オリゴヌクレオチドプローブの光切断の検出を記載する。
【0159】
フルオレセイン修飾オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号1)と結合した5×106個のビーズを充分に洗浄し、次いで、100μlの50mM Tris/HCl pH7.5バッファー中に懸濁し、実施例2に記載のようにして15分間照射した。続いて、ビーズを遠心分離し、上清をNanoDrop 1000分光光度計(Thermo Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて吸光度の測定によって光切断されたフルオレセイン修飾オリゴヌクレオチド(FAM)について分析した(図3A)。
【0160】
また、フルオレセイン修飾オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号1)を有する0.6×106個のビーズを800μlのPCR反応混合物(表3)中に懸濁した。
【0161】

【0162】
代替的に、同じ量のビーズを190μlのPCR反応混合物中に懸濁し、次いで、これを、製造業者の使用説明書(GS emPCRキットユーザーマニュアル、Roche/454-Life Sciences, Branford, CT, USA)に従って乳化した。懸濁または乳化されたビーズに、実施例2に記載のようにして15分間照射した。その後、イソプロパノールおよび50mM Tris/HCl pH7.5バッファーでビーズを充分に洗浄した。標準的なフローサイトメーターを用いて照射前後のビーズの蛍光強度を測定することにより光切断を分析した(図3B)。図から推測され得るように、両方の場合においてUV照射による光切断によって、ビーズ集団の蛍光強度の有意な減少(loss)がもたらされた。
【0163】
実施例4:
光活性化ビーズPCR
(図4および5に対応)
この実施例では、ビーズPCRおよび光切断可能ビーズ固定化プライマーを用いた特異的PCR産物の検出を記載する。ビーズPCRおよび標準対照PCRのための鋳型は、人工の239bpアンプリコンであった。アンプリコンは、Mva IおよびNla III制限部位を含むような様式で設計した。ビーズPCRまたは対照PCR後のこのアンプリコンの制限エンドヌクレアーゼ処理は、図4で予想されるように、異なる長さの断片の特徴的なパターンをもたらすことが予測される。
【0164】
固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号2、配列番号3)を有する0.3×106個のビーズを、1pgの人工239bpアンプリコンを含む100μlのPCR反応混合物(表3)に懸濁した。アンプリコンは、ビーズ上のオリゴヌクレオチドに相補的な配列を含んだ。実施例2に記載のようにして、懸濁液を15分間照射した。その後、懸濁液をPCR反応チャンバ(すなわち、PCRチューブ)に移した。標準的なサーモサイクラー中で以下のようにしてPCRを行なった。
・ 1サイクル(94℃で4分間)-ホットスタート開始;
・ 40サイクル(94℃で30秒間、58℃で60秒間、68℃で90秒間)-変性、アニーリング、重合;
・ 25サイクル(94℃で30秒間、58℃で6分間)-変性、重合;
・ 10℃で保存。
【0165】
PCR反応の終了後、増幅物質を有するビーズを取り出し、50mM Tris/HCl pH7.5バッファー中で洗浄し、37℃で2時間の制限エンドヌクレアーゼ処理(約5U)に供した。続いて、ビーズを遠心分離し、アガロースゲル電気泳動によって特異的PCR産物について上清を分析した(図5右側)。対照PCR反応は、非固定化オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なった(図5、左側)。図5に見られるように、ビーズPCRによって、予測された大きなDNA断片および小さなDNA断片がもたらされ、光切断およびビーズPCR反応が両方とも成功裡に行なわれたことを示す。
【0166】
実施例5:
光活性化ビーズエマルジョンPCR
(図6に対応)
この実施例では、ビーズエマルジョンPCRおよび光切断可能ビーズ固定化プライマーを用いた特異的PCR産物の検出を記載する。
【0167】
固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号2、配列番号3)を有する0.4×106個のビーズを、4pgの人工239bpアンプリコンを含有する30μlの捕捉バッファー(2mM Tris/HCl pH7.5、0.5mM Mg(CH3-COO)2)中に懸濁した。アンプリコンは、ビーズ上のオリゴヌクレオチドに相補的な配列を含んだ。標準的なサーモサイクラー中で以下のようにして、アンプリコンをビーズにハイブリダイズした。
・ 1サイクル(80℃で5分間)-変性;
・ 1サイクル(0.1℃/秒で70℃まで低下、70℃で1分間)-アニーリング;
・ 1サイクル(0.1℃/秒で60℃まで低下、60℃で1分間)-アニーリング;
・ 1サイクル(0.1℃/秒で50℃まで低下、50℃で1分間)-アニーリング;
・ 1サイクル(0.1℃/秒で20℃まで低下、20℃で5分間)-アニーリング。
【0168】
続いて、製造業者の使用説明書(GS emPCRキットユーザーマニュアル、Roche/454-Life Sciences, Branford, CT, USA)に従ってビーズを乳化した。実施例2に記載のようにして、エマルジョンに30分間照射した。その後、エマルジョンをPCR反応チャンバ(すなわち、PCRチューブ)に移した。標準的なサーモサイクラー中で以下のようにしてPCRを行なった。
・ 1サイクル(94℃で4分間)-ホットスタート開始;
・ 40サイクル(94℃で30秒間、58℃で60秒間、68℃で90秒間)-変性、アニーリング、重合;
・ 25サイクル(94℃で30秒間、58℃で6分間)-変性、重合;
・ 10℃で保存。
【0169】
PCR反応の終了後、第1に過剰のイソプロパノール、第2に過剰のエタノールバッファー(10mM Tris/HCl pH7.5、70%エタノール)および第3に50mM Tris/HCl pH7.5バッファーを用いた一連の洗浄および遠心分離工程によって乳化されたビーズを回収した。次いで、洗浄したビーズを37℃で2時間の制限エンドヌクレアーゼ処理(約5U)に供した。続いて、ビーズを遠心分離し、アガロースゲル電気泳動によって特異的PCR産物について上清みを分析した。対照として、PCR反応を、非固定化オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なった。図6に示されるように、ビーズエマルジョンPCRおよびその後の制限エンドヌクレアーゼ処理により、予測されたDNA断片の生成がもたらされ、光切断およびその後のemPCR反応が両方とも成功裡に行なわれたことを示す。
【0170】
実施例6:
鋳型としてcDNAを用いた光活性化ビーズエマルジョンPCR
(図7に対応)
この実施例では、ビーズエマルジョンPCRおよび光切断可能ビーズ固定化プライマーを用いたヒトcDNAからの特異的PCR産物の検出を記載する。
【0171】
β-2ミクログロブリン遺伝子に特異的な固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号4、配列番号5)を有する0.4×106個のビーズを、HeLa細胞株から得られたヒトcDNAを含有する30μlの捕捉バッファー(2mM Tris/HCl pH7.5、0.5mM Mg(CH3-COO)2)に懸濁した。
【0172】
実施例5のハイブリダイゼーション手順を用いてcDNAをビーズとともにインキュベートした。続いて、実施例5に概要を示したようにビーズを乳化し、照射し、PCRによる増幅に供した。
【0173】
PCR反応の終了後、乳化されたビーズを、実施例5に記載のようにして回収した。次いで、洗浄したビーズを制限エンドヌクレアーゼ処理に供し、アガロースゲル電気泳動によって特異的PCR産物について分析した。対照として、β-2ミクログロブリン遺伝子の147bpアンプリコン2.4pgを鋳型として用いた光活性化ビーズエマルジョンPCRを行った。図7に示されるような予測されたDNA断片は、鋳型としてヒトcDNAを用いて光切断およびその後のemPCR反応が両方とも成功裡に行なわれたことを示す。HeLa cDNA、ならびにポルホビリノゲンデアミナーゼ遺伝子に特異的な定常および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号10、配列番号11)を有するビーズを用いて同様の結果が得られた。
【0174】
実施例7:
マルチプレックス光活性化ビーズPCR
(図8および9に対応)
多数の鋳型DNAの捕捉、DNA増幅、および対応する増幅鋳型に結合された1組の異なるビーズの回収を含む以下の手順を単一のチューブで行なった。
【0175】
a) 懸濁液中でのマルチプレックス光活性化ビーズPCR
この実施例では、懸濁液中で光活性化ビーズPCRを用いた多数の特異的PCR産物の同時検出を記載する(図8)。
【0176】
アミノレブリン酸シンターゼ、β-2ミクログロブリンおよびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子に特異的な固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9)に共有結合された1組の異なるビーズ(それぞれ0.2×106個のビーズ)を100μlのPCR反応混合物(表3)中に懸濁した。この懸濁液に、アミノレブリン酸シンターゼ(127bp)、β-2ミクログロブリン(174bp)およびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(181bp)の遺伝子のアンプリコン(それぞれ約0.5pg)を添加した。実施例4に概要を示したようにして懸濁液を照射し、PCRによる増幅に供した。
【0177】
PCR反応の終了後、実施例4に記載のようにしてビーズを洗浄し、制限エンドヌクレアーゼ処理に供した。ビーズの遠心分離後、微小流体(microfluidic)工学的クロマトグラフィーチップ(2100 Bioanlyzer, Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)を用いて特異的PCR産物について上清を分析した。
【0178】
結果を図9aに示す。明らかに、3つの異なるピークが得られ、これらは、127bp、174bpおよび181bpのアンプリコンと理論的に予測される断片サイズに相当する断片サイズを表す。
【0179】
b) エマルジョン中でのマルチプレックス光活性化ビーズPCR
この実施例では、エマルジョン中で光活性化ビーズPCRを用いた多数の特異的PCR産物の同時検出を記載する(図8)。
【0180】
アミノレブリン酸シンターゼ、β-2ミクログロブリンおよびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子に特異的な固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9)に共有結合された1組の異なるビーズ(それぞれ0.2×106個のビーズ)を30μlの捕捉バッファー(2mM Tris/HCl pH7.5、0.5mM Mg(CH3-COO)2)に懸濁した。捕捉バッファーは、アミノレブリン酸シンターゼ(127bp)、β-2ミクログロブリン(174bp)およびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(181bp)の遺伝子のアンプリコン(それぞれ約1.5pg)を含んだ。
【0181】
実施例5の手順に従ってDNAをビーズにハイブリダイズした。続いて、実施例5に概要を示したようにしてビーズを乳化し、照射し、PCRによる増幅に供した。PCR反応の終了後、乳化されたビーズを、実施例5に記載のようにして回収した。次いで、洗浄したビーズを37℃で2時間の制限エンドヌクレアーゼ処理(約5U)に供した。ビーズの遠心分離後、微小流体工学的クロマトグラフィーチップ(2100 Bioanlyzer, Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)を用いて特異的PCR産物について上清を分析した(図9B)。
【0182】
結果を図9bに示す。再び、3つの異なるピークが得られ、これらは、127bp、174bpおよび181bpアンプリコンと理論的に予測される断片サイズに相当する断片サイズを表す。したがって、結果は、本発明が懸濁液PCRならびにエマルジョンPCRの形態のマルチプレックス適用に非常に有益であることを明白に示す。
【0183】
実施例8:
シングルプレックス(singleplex)光活性化ビーズエマルジョンPCRを用いた核酸配列決定
以下の実験は、ピロリン酸配列決定(Margulies, M., et al., Nature 437 (2005)376-80)に基づいたハイスループット配列決定システムを使用し、ビーズエマルジョンPCR後に得られた標的配列の特異的検出を試験するために行なった。
【0184】
このプロトコルでは、25〜35μmの平均直径を有する0.4×106個のセファロースビーズを固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号2、配列番号3)に共有結合した。これらのビーズを4pgの人工239bpアンプリコンと混合した。アンプリコンは、ビーズ上のオリゴヌクレオチドに相補的な配列を含んだ。
【0185】
実施例5の手順を用いてアンプリコンをビーズにアニーリングさせ、乳化し、照射し、PCRによって増幅した。PCR反応の終了後、乳化されたビーズを、実施例5に記載のようにして回収した。洗浄されたビーズ上のDNAを単鎖にし、製造業者の使用説明書(GS emPCRキットユーザーマニュアル、Roche/454-Life Sciences, Branford, CT, USA)に従って配列決定プライマーをアニーリングさせた。次に、Roche/454-Life SciencesのGenome Sequencer FLX(Branford, CT, USA)を使用し、ピロリン酸配列決定によって250,000個のビーズを同時に配列決定した。ソフトウェアGS Amplicon Variant Analyzerを用いたデータ処理により、表示したアンプリコンの排他的検出(exclusive detection)が確認された。
【0186】
実施例9:
マルチプレックス光活性化ビーズエマルジョンPCRを用いた核酸配列決定
以下の実験は、ピロリン酸配列決定(Margulies, M., et al., Nature 437 (2005)376-80)に基づいたハイスループット配列決定システムを用いたマルチプレックスビーズエマルジョンPCR後に得られた標的配列の同時検出および解読(decoding)を試験するために行なった。
【0187】
このプロトコルでは、25〜35μmの平均直径を有する1組の異なるビーズを使用したが、各ビーズ型は、アミノレブリン酸シンターゼ、β-2ミクログロブリンおよびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子に特異的な固定および光切断可能オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9)に共有結合した。各ビーズ型について0.2×106個ビーズで0.6×106個のビーズを、アミノレブリン酸シンターゼ(127bp)、β-2ミクログロブリン(174bp)およびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(181bp)の遺伝子のアンプリコン(それぞれ約0.5pg)と混合した。実施例5の手順を用いてアンプリコンをビーズにアニーリングさせ、乳化し、照射し、PCRによって増幅した。PCR反応の終了後、乳化されたビーズを、実施例5に記載のようにして回収した。
【0188】
洗浄されたビーズ上のDNAを単鎖にし、製造業者の使用説明書(GS emPCRキットユーザーマニュアル、Roche/454-Life Sciences, Branford, CT, USA)に従って配列決定プライマーをアニーリングさせた。次に、Roche/454-Life SciencesのGenome Sequencer FLX(Branford, CT, USA)を使用し、ピロリン酸配列決定によって250000個のビーズを同時に配列決定した。ソフトウェアGS Amplicon Variant Analyzerを用いたデータ処理により、異なるアンプリコンの混合物の同時検出が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの配列特異的増幅プライマーを含むビーズであって、少なくとも1つのプライマーは前記ビーズに、カルボキシ-、アルデヒド-、アジド-、アルキン-、アミノ-、チオール-、マレインイミド-、スルホニルアルケン-、ヨードアセチル-、アミノヒドラジン-、ヒドロキシルアミノ-、およびマレインイミドからなる群より選択される官能性部分を介する誘導性切断可能リンカーにより結合されている、ビーズ。
【請求項2】
前記ビーズが、ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ランタニド、ガラス、ケイ酸塩、ポリスチレン、セルロース、セファロースおよびポリアミドからなる群より選択される材料で構成されている、請求項1記載のビーズ。
【請求項3】
前記切断可能リンカーが光切断可能リンカーである、請求項2記載のビーズ。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載のビーズのライブラリー。
【請求項5】
切断可能リンカーによってビーズに結合されている複数のプライマーの各メンバーが異なる検出可能タグを有することを特徴とする、請求項4記載のライブラリー。
【請求項6】
- 少なくとも1つ以上の官能基を有する固相支持体を提供する工程、および
- 前記1つ以上の官能基を2つの配列特異的プライマーの1つまたは複数の反応性基と反応させる工程
を含む、ビーズの作製方法であって、該ビーズは、少なくとも2つの配列特異的プライマーを含み、さらに前記プライマーの少なくとも1つが切断可能であることを特徴し、ここで、切断可能反応性部分が、前記固相支持体をその1つの官能基もしくはその複数の官能基の1つと連結させるスペーサーの1つの中に存在するか、または切断可能部分が、前記配列特異的プライマーの1つをその反応性基と連結させるスペーサーの1つの中に存在するかのいずれかである、方法。
【請求項7】
- 各々が異なる保護基を有する2つの官能基を含む固相支持体を提供する工程
- 第1の官能基を脱保護し、前記第1の官能基を第1のプライマーの反応性基と反応させる工程
- 第2の官能基を脱保護し、前記固相支持体の該第2の官能基を第2のプライマーの反応性基と反応させる工程
を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記2つの官能基がビーズに2-アームリンカーによって連結される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
- 厳密に1つの官能基を有する固相支持体を提供する工程、
- 前記官能基を脱保護し、前記官能基を、第1および第2の配列特異的プライマーの混合物と反応させる工程、前記第1および第2のプライマーは同一の反応性基を含み、前記プライマーの少なくとも1つは、その反応性基に切断可能部分を介して連結されることを特徴とする
を含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
- 厳密に1つの官能基を有するビーズを提供する工程、
- 前記官能基を脱保護し、前記官能基を、切断可能部分によって連結された第1および第2の増幅プライマーを示すオリゴヌクレオチドと反応させる工程
を含む、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2010−193885(P2010−193885A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−34501(P2010−34501)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】