説明

ハイドレートからの天然ガス生産

ハイドレート層からメタンガスを生産する方法及び装置。ハイドレート層中に延設した坑井が、改質材料のカラムで実質的に充填されている。この改質材料のカラムは、ガス透過性を有する。改質材料のカラム中に熱源を延設し、メタンガスをハイドレート層から解放させるように、ハイドレート層に熱を供給可能にする。メタンガスは、改質材料のカラムを通って流れ、生産システムへのガスの流れを調整するガス捕集器に進行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に地下層からガス状炭化水素を抽出する方法及び装置に関する。特に、本発明はガスハイドレート層からのガス状炭化水素の抽出に関する。
【背景技術】
【0002】
地下の油及びガスの貯留層から、掘削とグラウト注入されたケーシングの導入とによって、ガスを生産するのは、十分に確立された実用技術である。主として、天然ガス(メタン)の生産は、帽岩層の下において、天然ガス(しばしば原油又は水と共に)の閉じこめられている可能性がある深い貯留層の中に掘削された井戸を通して達成される。この井戸は、周囲の地層にセメントで固められたケーシングによって裏打されることによって、安定した坑井が提供されている。さらに、貯蔵層レベルでケーシングが穿孔されており、ガス及び貯留層の流体がケーシングの中に流れ込んで、ケーシング内側の配管を通って地表に流れることができるようになっている。
【0003】
このようにケーシングされた井戸の適用例では、1以上の同心のケーシングが、徐々により深くに、加圧された貯蔵層まで下がって設置される。1又は2以上のケーシングを地下層の物質及び隣接したケーシングにセメントで固めるか、グラウト注入することによって、加圧された貯蔵層から炭化水素がケーシングの外側に沿って漏れてしまうことが防止される。ガスは、ケーシングの穿孔穴を介して、若しくは非常に圧密の(岩の)貯蔵層の物質の場合には、掘削孔のケーシングされていない拡張部分を介して、ケーシングの下部に進入する。
【0004】
ほとんどの適用例では、ケーシングの下部を上部から隔離させるのに「パッカー(packer)」が用いられており、このパッカーの下の領域又は隣接するパッカーの間の領域に、坑口から1以上の生産用配管のストリングが垂下されている。穿孔穴を経由してケーシングに進入した後、ガスは1以上の配管ストリングに進入し、そこから弁及びパイプラインを通って表層に流れる。このケーシング井戸方法(cased
well method)は、高圧の貯蔵層からのガスの流れの制御を容易化し、多孔質の岩又は砂の地層の物質からの生産に非常に適している。
【0005】
メタンハイドレート又はハイドレートは、(特に寒い環境における)表層付近で発見された地層の物質の一種である。メタンハイドレートは、水氷に類似し、主として水、メタンと、少量の他の揮発性のメタンとで構成されている。凍った水の粒子は、メタン又はその他の炭化水素粒子を主に固体材料の形態で閉じ込める膨張した格子構造を形成する。
【0006】
メタンハイドレートは、高圧低温の領域の範囲に亘って安定であることが分かっている。メタンハイドレートは、陸上の北極地帯と、水深が約1、500フィート(約500メートル)より深くの海底の下とで見受けられる温度及び圧力の組合せで安定である。この温度又はこの圧力の変化によって、メタンハイドレートの溶解及び天然ガスの解放が生じる可能性がある。メタンガスは、帽岩層の下の地中深い貯蔵層中に閉じ込められたのと同等の量が、ハイドレート層の下にも閉じ込められている可能性がある。
【0007】
自然に発生したメタンハイドレート貯蔵物から天然ガスを商業的に生産する有望な方法の開発は、さらなる研究の主題になっている。標準的なケーシング井戸の構築は、ハイドレート賦存層の下側の圧力を低減させるのに用いられている。この手法は、ハイドレートの下に閉じ込められたガスを捕集し、圧力を低減することによって周囲の地層内のハイドレートに更なる天然ガスを解放させることができる。この解放は、残留するハイドレートが地層の物質によって圧力の低減した層から隔離された場合に、又は解凍の潜熱によって、残留するハイドレートが低減した圧力で安定化するのに十分なほど温度が降下した場合に停止する。解凍によって、ハイドレートの潜熱と等しい熱が吸収され、この熱が元に戻されない場合には、温度が降下し、状態は最終的にはハイドレートの安定領域に変化し、その結果、ハイドレートからのメタンの解放は停止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記教示にも関わらず、上述した困難のいくつかを克服すると共に、全体的な実績をより効果的にする、地中のハイドレートから炭化水素ガスを生産するための新規で改良された方法及び装置を開発する必要性が残存する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、地中のハイドレートから炭化水素を回収するための方法及び装置に関する。改質材料のカラム(column)が、ハイドレート層中に延設した坑井を実質的に充填している。熱源が改質材料のカラム中に延設され、ハイドレート層からメタンガスを解放させるように、ハイドレート層に熱を供給可能である。メタンガスは、改質材料のカラムを通って流れ、生産システムへのガスの流れを調整するガス捕集器に進行する。
【0010】
一態様では、ハイドレート貯留層から炭化水素を生産するための井戸は、透過性及び/又は熱伝導性が改質された材料のカラムを有する坑井を有する。この井戸は、さらに、ハイドレート層を加熱して炭化水素ガスを解放させる熱源を有する。この炭化水素ガスは、透過性材料を通過して坑井を通って上方に進行し、捕捉される。捕捉されたガスは、集められ且つ/又は処理され、それにより有用な炭化水素ガスが提供されてよい。
【0011】
本発明の態様は、ハイドレートから天然ガスの解放の強制の提供と、この解放されたガスの製造の提供を有する。これらの態様は、さらに、生産したガスを、ガスを水から分離するのに適したチャンバ、ガスを貯留するのに適したチャンバ、ガスを乾燥するのに適したチャンバ、及び流れを調整するのに適したチャンバへの配送の提供を有する。態様は、さらに、複数の井戸からのガスの制御された方法による混合と、このガスをパイプ又はパイプラインへの配送とを提供する。これらの態様は、従来の井戸による生産には適さないハイドレート層からガスを生産するのに用いることが可能である。ハイドレートの生産に用いる井戸の寿命を延長させるのに、特定の態様を用いることも可能である。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明は、従来の装置の種々の問題を克服することを可能にする特性及び利点の組合わせを有する。上述した種々の特性は、他の特性と同様に、以下の本発明を実施するための最良の形態を読み、付随する図面を参照することによって当業者が容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の説明では、本明細書及び図面中において実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付する。図面は、必ずしも実物大ではない。明確性及び簡潔性を目的として、本発明の所定の特性を、寸法を拡大したり、模式的に示す場合もあるし、従来公知の構成要素の詳細を示さない場合もある。本発明は、別の形態の実施の形態を適用することも可能である。図面で図示され、本明細書中で詳述された本発明の特定の実施の形態は、本発明を図示及び本明細書中の説明に制限することを意図したものでなく、この開示によって本発明の本質を例示するものとみられるべきであることを理解されたい。以下で説明される実施の形態の種々の教示は、所望の結果を得るように、別々に用いられてもよいし、任意の適切な組合わせで用いられても良いことを十分に認識されたい。例えば、本発明の概念は、以下で説明する鉛直の井戸だけでなく、(鉛直方向から)逸脱した井戸、水平の井戸、及び傾斜した井戸に適用されてもよい。
【0014】
特に、本明細書中に記載された種々の実施の形態では、上述したように、従来技術のハイドレート生産システムの不足点又は欠点のいくつを克服する特性及び利点の組合わせを有する。上述した種々の特性は、以下の最良の形態の詳述を読み、付随の図面を参照することによって、当業者には容易に理解できるであろう。
【0015】
本発明の実施の形態は、北極地域の永久凍土中で、又は概して1、500フィートかそれより深い水深の深海の海底が含まれる堆積物内で、自然に発生したハイドレートからの天然ガスの生産に関して説明されている。特に言及する場合を除き、これらのハイドレート層内の圧力は、この地層が見受けられる深度に対応する周囲の圧力か、又はその付近の圧力であると仮定されている。ハイドレート層は、地層の温度が上昇するか、地層の圧力が減少すると、炭化水素ガスを解放する。本発明の実施の形態では、新規の生産装置設計及び方法を用いて、これらのハイドレート層からの炭化水素ガスの生産を試みている。
【0016】
まず、図1を参照すると、ハイドレート層12内に配置された坑井10の断面が図示されている。坑井10は、直径14まで掘削されるので、この地層の物質の少なくとも一部がこの坑井から除去され、さらに、選択された材料15と置換又は混合(combine)され、坑井を充填する改質材料のカラム(column)16が作成される。この選択された材料15は、カラム16の透過性及び/又は熱伝導性を調整するように選択される。例えば、坑井10が液体及びガスに対しては透過性を有する一方で、粒子性の物質に対しては非常に非透過性であるようにするために、特定の顆粒状の大きさの材料が用いられてよい。それにより、ガスの流れを可能にされる一方で、除去しないとガスの生産を阻害してしまう非圧密の地層の物質がフィルタリングされる。
【0017】
従って、以下の説明では、改質材料15は、周囲の地層と異なる透過性及び/又は熱伝導性を備えた材料として規定されているものと理解されたい。この改質材料15は、坑井を実質的に充填するスラリー又は顆粒状の固体材料であってもよい。ここで、実質的に充填するとは、材料15がハイドレート層12と直接接触し、配管及びケーシング等、坑井に設置された他の構成要素、或いは改質材料の近接粒子同士の間に形成される間隙領域とは関係なく、坑井10が充填されることとして規定される。
【0018】
改質材料のカラムを形成する材料の選択についても、坑井から地層中への熱の流れを調整することを多少、考慮して決定するようにしてもよい。熱伝導性(熱伝導率)は、液体量の変更、又は所望する熱伝導性を備えた材料を改質カラム16の中に注入することによって調整可能である。使用するのに適した高い熱伝導性の材料の例には、自然発生した鉱物又は鉱石、精製又は加工された鉱物、金属、又はセラミックス及び産業の副産物が含まれる。代表的な材料には、金属鉱石及び粉コークスが含まれる。金属繊維、金属粒子、金属酸化物、又は体積を液体で満たしたもの等の、製造した装置(device)をカラム16内に配置し、熱伝導性を高めるようにしてもよい。改質材料は、好適には、坑井10中に注入するのに従来公知のポンプ方法(pumping
method)を用いることが可能なスラリーであってよい。
【0019】
以下に説明する目的のために、改質カラム16が、ガスに対する透過性及び/又は高い熱伝導性を有しているものとみなす。従って、ハイドレート層12が炭化水素ガス18を解放すると、このガスは坑井10の中に流れ、改質カラム16を通って井戸の頂部に向かって上方に進行する。
【0020】
図2は、井戸の頂部にキャップ22を備えた坑井10を示している。坑井10は、非透過性の上側層26を備えたハイドレート層12内に配置されている。図1に示すように、坑井10は、改質材料のカラム28を有する。キャップ22は、坑井10の頂部に設置されてガス捕集器として機能し、坑井を通って上方に進行するガスの流れ18を停止させる。キャップ22は、セメント、グラウト、又はその他の実質的に非透過性である材料で形成されていてよい。キャップ22は、周囲の地層を介してのガスの脱出を最小限化することを目的とする任意の深さまで、上側の層26を通して延設するようにしてもよい。配管32はキャップ22を通して設置され、ガス18を坑井10から除去する排出口を提供する。この配管を閉じて井戸の密閉を可能にするように、弁34が配管32上に設置されてもよい。
【0021】
図3には、熱注入型井戸36が示されている。井戸36は、ハイドレート層12中に掘削された、改質材料の組成が異なる第1領域42及び第2領域43を備えたカラム40が入った坑井10を含んでいる。井戸36は、さらに、キャップ44、配管46、弁48、及び熱源50を含んでいる。熱源50は、改質材料42を介してハイドレート層12中に移動される熱を坑井10に提供する。好適実施例では、改質材料42は、熱源50から地層12に高効率で熱を移動させることを可能にする熱伝導率の特性を備えている。この複数の領域42、43によって、カラム40の特定の特性をこれらの領域の間で変化させるようにしてもよい。例えば、カラム40の熱伝導率が、地層12の上側の領域の中への熱の移動を制限するように、第1の領域42でより低くなっていてよい。実施例によっては、カラムを通るガスの流れを制御するように、カラム40の透過性を変化させてもよい。
【0022】
熱注入型井戸36によって熱が地層12に移動されると、井戸に密着した近接位置でハイドレートが最初に解凍され、時間が進むにつれて解凍がより外に広がっていく。ハイドレートの解凍によって、メタン等の炭化水素ガスが解放される。井戸36に密着した近接位置で解放されたメタンは、熱源50の外側を、改質材料42を通って、配管46の流入口に向かって流れる。改質材料42は、井戸10を掘削する際、且つ/又はその透過性若しくは熱伝導性を変更するように改質された際に変状(disturbed)される。井戸36からより距離が離れた位置で自由になったメタンは、自然に発生した圧密物質の層と、変状していない地層12の孔隙及び亀裂中のハイドレートの氷とによって、鉛直方向上方への移動は事実上阻止される。固体の氷からガス状のメタンが熱的に解放された結果生じる増圧によって、解放されたメタンは、それが井戸36を通って鉛直方向に移動可能になるまで、解凍された領域を通って主として水平方向又は傾斜した上向き方向に流れる。熱源近傍では、坑井10内でのハイドレートの改質防止が助けられ、メタンの坑井を通っての配管46の流入口への移動が加速される。
【0023】
熱注入型井戸は、ハイドレートを解凍することによってガスの解放を生じさせる。この解凍によって、ガスを、発生し得る場所から透過性の坑井の中に移動させるのに、及び坑井を通って移動させるのに十分な圧力が生じる。この熱注入型井戸のための熱は、高温の流体、燃料及び酸化剤の燃焼、高温の燃焼ガス又は抵抗加熱を含め、任意の利用可能な熱源からのものであってよい。燃焼は、熱注入型井戸から離れた任意の位置で行われてもよいし、或いは熱注入型井戸の内側で行われてもよい。周囲の或いは冷却された液体又はガスも同様に井戸の中に注入される可能性があり、周囲の地層の温度を低下させる。この温度低下によって、ハイドレートの解凍が軽減され、最終的には停止される。これにより、ガスの坑井中への解放が制限される。
【0024】
キャップ44は、ガスの流れを制御するだけでなく、キャップ周辺の地層に及ぼされる熱の影響を更に制御することを可能にする。井戸の上側部分の周囲の熱伝導性を低減することによって、堆積物の上側の層を冷却された状態のままにすることができる。堆積物の上側の層を加熱から断熱することは、地層の構造的な安定性を保持するのに役立つと共に、ハイドレート領域の上の相対的に非透過性であるキャップを保持するのを助け、メタンの脱出を低減するのに役立つ。
【0025】
配管のストリング内に一度、捕捉してしまえば、炭化水素ガスは、捕集され、パイプライン又はその他の手段を介して移送される。図4は、ハイドレート井戸から生産された炭化水素ガスを捕集するための1つの例示的なシステムを示している。ガス捕集システム51は、ハイドレート井戸58の上に配置されたチャンバ54を含んでいる。チャンバ54は、チャンバ頂部の中央出口62に向かってガスを捕集できるように、実質的に剛性の壁60を備えていてもよい。チャンバ54は、液体領域64及びガス領域66を有する。ハイドレート層12中に掘削された井戸58は、改質材料のカラム72及びキャップ74を有する坑井10を含んでいる。熱源76及び配管78は、キャップ74を通って改質カラム72中に延設されている。配管78は、生産された流体のチャンバ54中への流れを制御する配管の弁80を有していてもよい。
【0026】
熱源76は、井戸58から、接続及び制御のためにアクセスが可能なチャンバ54の領域に延設されている。配管78は井戸58からチャンバ54のガス領域66又は水領域64のいずれかの中に延設されている。ガス領域66のガスは、熱源76に沿って上昇し、チャンバの壁60に沿って下方に戻るように循環するようになっている。チャンバの壁60は、壁の外側にある非拘束の海水又は寒帯の空気によって冷却され、冷却板として効果的に機能する。壁60に沿って下方に循環するガスは冷却され、ガス中の水分は壁上で凝縮し、液体領域64中に落ちる。この方法によって、過剰な水分をガスから除去することができる。
【0027】
チャンバ54内では、貯留されるガスの量が増加するに従い、制御弁82を通して液体領域64から水が排水される。さらに、制御弁82は、液体領域64内の液体の量を調整することによって、ガス領域66内の圧力を制御するのに用いられてもよい。ガスは、排出パイプ84を通して、遠隔操作による制御、チャンバ内のガスの量による制御、又は両方によって制御された1以上の排出弁86の調整によって、チャンバ54から除去されてよい。
【0028】
従って、チャンバ54が、ガス及び液体の流入、流出及び圧力を制御する適切な1又は2以上の弁を備えていれば、地層からのガスの受入れ、生産した水からのガスの分離、ガスからの過剰な水分の除去、ガスの貯留、ガスの圧力の調整、パイプ又はホース中へのガスの調整、パイプ又はホースへの水の進入の防止、並びに生産した液体の処分といった多種類の機能のうち、いずれでも又は全てを提供することが可能である。チャンバ54は、図4においては、単純な熱注入型井戸と共に設置されて示されているが、本明細書中の実施の形態のいずれと共に用いられてもよいし、それらを任意に組合せて用いられてもよい。
【0029】
チャンバ54が海底56上に設置された場合には、ガスは周囲の海水と同じ又は近い圧力でチャンバに進入するため、大量のガスを相対的に小さい容積内に保持することが可能である。例えば、チャンバが水深3、300フィート(1、000メートル)に配置されている場合には、ガスは容積の約1%を占有し、1気圧の圧力を占める。チャンバ54を熱源76及び/又はキャップ74に固定することによって、ケーシング及びキャップの重量及び土と外板との摩擦を、貯留したガスの浮力の対処に用いることが可能になる。
【0030】
図5には、代替的なチャンバの実施の形態が示されている。チャンバ120は、実質的に上側に剛性の壁124を備えたガス含有部122を有し、下側に実質的に可撓性の壁128を備えた液体含有部126を有する。チャンバ120は、ハイドレート層12中に掘削された、改質材料のカラム136及びキャップ138を有する坑井10を含む井戸130の上に配置されている。燃料供給140及び酸化剤供給142は、井戸130中に、熱源として機能する燃焼ガスを注入するように設けられている。配管144は、井戸130からガス部分122の中へのガスの通過経路を提供する。チャンバ120から水及びガスを除去するように、水排出口143及びガス排出ライン145が設けられ、弁又はその他の制御装置によって制御されてもよい。チャンバ120が加熱チャンバ146を有し、その熱源は、燃料供給140及び酸化剤供給142に接続されたラインからくるようになっていてもよい。
【0031】
図4のチャンバ54と同様に、チャンバ120は生産されたガスから水を受動的に除去するためのシステムが提供される。ガス部分122内のガスは、チャンバの壁124上で冷却されるようになっている、このチャンバの壁124は、壁の外側上で非拘束の海水によって冷却され、冷却板として効果的に機能する。ガスは壁124に沿って循環し、ガス中の水分は壁上で凝縮し、液体部分126中に落ちる。この方法によって、過剰の水分をガスから除去可能である。液体部分126は、可撓性の壁128を備え、それにより、外部の圧力による作用を受けた場合に、チャンバ120内の圧力を周囲の環境と等しいレベルに保持する。
【0032】
既述したように、ハイドレート層12の加熱によって、メタン及び水の両方が生産用配管144を通って上方に流れ、貯留及び処理のチャンバ120中に進行する。チャンバ120が水で充填されることを防止するように、過剰に蓄積された水を排出する必要がある。しばしば望まれるのは、効率及び環境保護の両方のために、水を捨去る前に、その水から溶解したメタンを取去ることである。これは、排水の経路が加熱チャンバ146を通るように設定して排水が加温されるようにして、それにより排水に対して溶解したガスを保持する能力を低減させることによって達成可能である。図5は、井戸を加熱するのに用いられ、加熱チャンバに迂回された燃料及び酸化剤の一部を反応させることによって加熱される加熱チャンバ146を示している。代替的な実施の形態では、加熱チャンバ146は、井戸中を循環する加熱された燃料、又は井戸の外側を流れて加熱チャンバを加温するのに用いられる燃焼生成物によって加熱されてよい。
【0033】
排出された水から駆出されたガスは、貯留及び処理チャンバ120の中に放出され、そこで捕捉されてガス部分122内のガス生産物と混合される。加熱チャンバ146は、排水経路の任意の位置に配置されてよいが、好適には、図5に示されるように、生産用配管に近接して配置され、加熱チャンバによって配管144内の生産されたメタンの温度をも上昇させるようにするのが望ましい。生産されたメタンを、350℃より高温に加熱することによって、改質カラムの中に注入された燃焼排気ガスに起因し生産物の流れの中に存在し得る残余の酸化物のいずれにも反応が生じる。貯留及び処理容器120のガスの塊の中に加熱されたメタンを導入することによって、ガスは壁に向かって上昇し、既述したようにガスから水分が凝縮される、冷却された壁を下降するように循環する。
【0034】
特定の適用例では、円形配列又は矩形配列に配置された、複数のハイドレート生産システム52が、図6に示すように連携して用いられてもよい。複数の生産システム52からの排出管84が、パイプライン90に接続された混合捕集チャンバ88の中に結合されている。捕集チャンバ88内の圧力は、パイプライン90を介してガスを輸送するのに必要な追加的な圧縮量を低減するか、又はなくすのに十分な圧力に保持されていてもよい。ガスが所定温度で輸送された場合にパイプ84又はパイプライン90内でハイドレートの閉塞を発生させ得る量の水分がガス中にまだ残っている可能性があることを理解されたい。閉塞を防ぐように、メタノール注入のように、流れを確実にする対策(flow assurance measures)が生産システム52とパイプライン90との間で行われてもよい。複数の井戸、生産システム及び捕集チャンバは、生産速度を上昇させ、個々の井戸から生じ得る流れのあらゆる不規則性を平均化させるように、相互接続されてよい。
【0035】
井戸の設計は、上述したハイドレート生産システムのいずれに対しても、最も重要な態様の1つである。上述した実施の形態では、炭化水素ガスを生産する単純な熱注入型の井戸が示されている。1つの井戸に一体化して示されているが、熱注入及び炭化水素生産の機能は、2以上に分離可能である。ハイドレート層中に熱を注入することによって、地層から炭化水素ガスが解放されてガスを回収することが可能になる。
【0036】
ハイドレート層は、熱注入型井戸の周囲に巻かれた断熱用ブランケットと類似している。地層中の熱の流れは、所定の熱伝導率及び温度差に対しては、熱注入型井戸と接触する地層の表面積と正比例する。地層の中への熱伝達Qは、
Q∝C・T・A
で表されることが分かっている;ここで、Cは物質の熱伝導率であり、Tは温度勾配(熱源及び地層の間の温度差を、この温度差が測定される距離で除算した値)であり、且つAは熱注入型井戸及び地層の間で熱交換が行われる表面積である。熱の流れは、熱注入型井戸の温度を上昇させることによって増大させることが可能であるが、最高温度は、水の沸点、塩の堆積物の構成、地層の物質の脱水、装置を製造する材料の強度等の実際的な条件によって制限される。
【0037】
熱伝達は、熱注入型井戸の表面を、同心の円筒形状の外殻で包囲された円筒としてみなすことによって解析することが可能である。井戸からより遠くにある外殻ほど、より大きな面積を有するため、熱の伝達がより容易である。熱注入型井戸の熱伝導性が地層の物質の熱伝導性よりも大きい場合には、熱の流れが最も制限されるのは、地層の物質の最内側の円筒形状の外殻を通るもの(即ち、井戸と直接接触する部分)である。(熱注入型井戸の直径を増大させる等することによって)この表面積を増大させることによって、最高温度の実際の制限を越えずに、より大きな熱の流れが可能になる。
【0038】
中央に配置された管状部材内に単一の熱源が含まれている実施の形態では、地層が管状部材の壁を通って流れる熱によって加温される。管状部材の壁を通って伝達され得る熱量は、内側の熱媒体及び外側の改質カラムの両方と接触する管状部材の表面積に依存する。従って、管状部材を通しての最大熱伝達は、この表面積、それゆえに、管状部材の直径に依存する。さらに、管状部材は、金属等のように、高い熱伝導性を備えた材料で構成されているのが好ましい。
【0039】
熱伝達の量を望ましい値にするためには、管状部材の最小直径を決定する制限パラメータが、主として、管状部材を通して移動する流体又は燃焼ガスの温度、比熱及び流量(質量流)速度に依存するのが好ましい。管状部材の内側での乱流亜音速の流れと、管状部材の外側での水の沸点未満の温度の保持とを考えると、管状部材は少なくとも4インチの外径を備えているのが好ましい。
【0040】
上述したように、熱伝達は、そこを通して熱が伝達される表面積を、熱伝導率倍した値に比例する。地層の熱伝導率は、局所的な条件に依存する。しかし、代表的な値として、2ワット/m℃の伝導率が用いられてよい。カラムの伝導率の上限として10ワット/m℃の値が用いられた場合には、地層の熱伝導率に対するカラムの熱伝導率の比の値は5である。既述した、境界を横切る熱伝達に対しての比例関係から、改質カラム/坑井の外径が少なくとも中央の加熱用管状部材の直径の少なくとも5倍である必要があることは明らかである。上記したように、中央の管状部材が4インチの直径を備えている場合には、改質カラムの外径は、少なくとも20インチである必要がある。
【0041】
この計算は、改質カラムを通る水平な径方向ラインに沿った温度降下の影響を無視しているが、ここで検討する場合においては、隔離が8インチだけであるので、その影響は相対的に小さい。改質カラムの熱伝導率を向上させること、エネルギーの中心的な要素を大きく且つ高くすること、若しくは技術的な操作に支配される何らかの変量を向上させることによって、改質カラムの外径を増大させることが好ましくなるのは明白である。なぜならば、地層の熱伝導率は、物理的な制限を技術的な操作(trade-off)によって最適化することが不可能である最も重要な制限パラメータであるからである。
【0042】
従って、径が大きい坑井が好ましいことが分かるであろう。開発されるハイドレート層の特性によっては、坑井の直径は、60’’にも達し、超過する場合もある。これらの大直径で、金属ケーシングを用いて坑井の深さまで裏打ちすることは可能であるが、恐ろしく高くついてしまう。さらに、金属ケーシングの場合には、地層から坑井中へのガスの移動という別の難題が発生してしまう。このため、坑井をケーシングで裏打ちするのではなく、坑井は、地層の物質を置換又は改質した材料で充填し、ガスの移動及び熱の伝達を容易化するとよい。
【0043】
図7に示すように、井戸100に熱を供給する一方法では、配管102を通して高温のガス又は流体を流す工程と、この流体を井戸100の外に戻すように循環させる工程とを有する。実施の形態によっては、水又は蒸気を任意のエネルギー源によって加熱し、断熱したパイプラインによって熱注入型井戸に持ち込むようにしてもよい。加熱された液体又は蒸気は、配管102を通してポンプされ、加熱された液体から坑井10の中に熱が伝達される。次いで、この熱は、坑井10から地層12中に伝達される。
【0044】
代替的な実施の形態では、図8に示されるように、加熱された液体又は蒸気が配管110を通して直接的に坑井10中にポンプされる。配管110は、加熱された材料を井戸112の底部に搬送する、より大きな配管111の内部に配置された複数の配管ストリングを含んでいてもよい。そして、この液体は冷却され、解放された炭化水素ガスと共に井戸112の頂部に戻るように循環する。配管113は、生産されたガス及び液体を井戸112の外に搬送する。代替的に、図8の井戸の中に、井戸の内側で高温ガスを生成するように可燃性材料が導入され、それから、井戸の外を通って排気ガスが流れ出すようにされてもよい。独立した燃料源が井戸の中に導入され、使用されたガス又は生産されたガスの一部が導入された酸化剤と共に燃焼されるようにしてもよい。
【0045】
図9には、複数の配管ストリング116を備えた別の代替的な井戸114が示されている。配管ストリング116は、流体がある高さで注入され、別の高さから抽出できるようになっている。配管116は、井戸114内の種々の深さで種々の加熱レベルを提供するのに用いられてもよい。さらに、配管116は、材料を注入して透過性及び熱伝達を制御するのに用いられても良い。即ち、複数の配管ストリング116は、ガスの生産、材料の注入、透過性の改質、熱伝導率の改質、加熱流体の注入又は循環、若しくは冷たい流体を循環させて井戸に近接した地層の物質から熱を除去して冷却することによる井戸の始末、に用いることが可能である。
【0046】
図10及び11は、坑内燃焼(downhole combustion)を含む熱源202を備えた井戸200の一実施例が示されている。井戸200は、非透過性のキャップ208の下に配置された改質材料のカラム206を備えた坑井10を含んでいる。熱源202は、燃焼チャンバ210、燃料供給212及び酸化剤供給213を有し、これらは全て単一の大径の配管222内に配置されていてもよい。配管222は、温度センサ221と、カラム206に別の接続を提供し、種々の目的に用いられ得る介在配管218とを含んでもよい。生産用配管220は、生産ガスにキャップ208を迂回させる経路を提供する。
【0047】
燃料212及び酸化剤214は、種々の深さで地層中に伝達される熱の量を調整するように、チャンバ210に沿った選択領域で燃焼されるのが好ましい。燃焼チャンバ210は、燃料及び酸化剤の反応のために設けられており、燃焼生成物が改質カラム206の中に注入されるように下方に流れること、又は排出されるように上方に流れることが可能になっている。1つの反応物が燃焼チャンバ210内を流れ、他が別個の配管内を流れるようになっていてもよいし、或いは各反応物が別個の配管内を流れて燃焼チャンバ中に注入されるようになっていてもよい。
【0048】
実施の形態によっては、1つの井戸がガスの生産には用いられずに、他の井戸を通した生産を容易化させるように、地層中に熱を注入するだけに用いられるようにしてもよい。非生産用の熱注入型井戸の場合には、熱伝導性の材料が、ガスの移動を阻止するように選定されてもよい。例えば、凝固するグラウト又はレシン等、所望の熱特性が策定された材料を注入することによって、移動を阻止することができる。
【0049】
上述した熱注入型井戸は、ハイドレート領域から圧力が加えられたガスを抜出すのに用いられる従来式の圧力除去型生産井戸(pressure relief production well)の代わりに、又は一緒に用いられてもよい。熱注入型井戸は、近くの圧力除去型井戸が生産している間に、又は近くの圧力除去型井戸が圧力除去方法による生産に適したハイドレートを枯渇させた後に、ハイドレート堆積物から天然ガスを生産するのに用いることができる。さらに、熱注入型井戸を圧力除去型井戸と共に用いて、1以上の熱注入型井戸がハイドレートの解凍によって吸収された熱を元に戻し、それにより、そうしない場合には、ガスの流れが低減して最終的には停止していた時間を過ぎても、圧力除去型井戸内の流れを持続させるようにしてもよい。
【0050】
次に、図12を参照すると、ハイドレート層12内に形成された坑井10を含むハイドレート生産装置300の別の実施の形態が示されている。この坑井は、改質材料306のカラムで充填され、坑井の頂部は、ガス捕集器308で囲まれている。熱源310は、改質材料306のカラムの中に延設されている。ガス捕集器308は、水/ガス分離機318、流出口320、液体領域316、及びガス領域314を備えたチャンバ312を有する。
【0051】
坑井10は、ハイドレート層12中を掘削又は噴射することによって形成されてよい。坑井10は、坑井10が形成される際に、改質材料のカラム306で充填されてよい。実施例によっては、改質材料のカラム306は、砂利又は砂等のように、隣接する固体粒子間に間隙領域が形成される顆粒状又は粒子状の固体材料から形成されている。これらの間隙領域によって、改質材料のカラム306はガスに対して透過性を有するようになる。
【0052】
熱源310は、改質材料のカラム306の中に延在する管状部材であってよい。熱源310は、蒸気等の加熱された流体を、改質材料のカラム306の内部の所望の位置にポンピングすることが可能な導管を提供する。改質材料のカラム306の中に熱が注入されると、この熱は、周囲のハイドレート層12に伝達される。この熱によって、メタンガス18がハイドレート層12から解放され、改質材料のカラム306中に流れ込む。加熱された流体の温度は、ガス18のカラム306中への流れを制御するように調整可能である。実施例によっては、周囲又は冷却された流体が熱源310を通して注入され、カラム306中へのガス18の流れを効果的に停止させるようにしてもよい。
【0053】
ガス18は、改質材料のカラム306を通って上方に流れ、海底56に配置された捕集器308に向かって進行する。ガス18は、ガス領域314に進入し、そこでチャンバ212の冷たい壁と接触し、水が凝縮して液体領域316の中に落ちるようになっている。ガス/液体の分離機318は、熱源310からの熱を用いて、排出口326を通して過剰な水が除去される前に、水から更なるガスを除去する。熱源310は、循環する流れ328及び330を発生させるように、ガス領域314及び液体領域316の両方を加熱するようにも機能する。流出口320は、生産装置又はガス排出パイプラインへの流体の連絡を提供する。
【0054】
本発明のいくつかの好適の実施の形態を示したが、それらは本発明の範疇及び教示を逸脱しない範囲で、当業者によって修正されてもよい。本明細書中で説明した実施の形態は、ただの例示に過ぎず、制限ではない。本発明の範囲内で、本発明のシステム及び装置を、種々の変更及び修正することが可能である。例えば、種々の構成部材の相対的な寸法、種々の構成部材を形成する材料、並びにその他のパラメータは、本発明のシステム及び装置が本明細書中で説明した効果を保持する限りにおいて、変更されてもよい。従って、保護範囲は、本明細書中で説明した実施の形態に制限されず、付随の請求項だけによって制限される。また、請求項の範囲は、請求項に記載された対象物の同等物を全て包含する。
【0055】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
該当せず
【図面の簡単な説明】
【0056】
発明を実施するための最良の形態をより詳述するために、付随の図面を参照されたい。
【図1】本発明の実施の形態に従って構成されたハイドレート生産装置の模式図であり、地層から坑井中へのガスの流れを示している。
【図2】本発明の実施の形態に従って構成された、不透過性のキャップを含むハイドレート生産装置の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に従って構成された、不透過性のキャップ及び熱源を含むハイドレート生産装置の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に従って構成されたガス生産システムの模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に従って構成されたガス生産システムの模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に従って構成された複数井戸式ガス生産システムの模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に従って構成された循環型加熱システムを備えた井戸の模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に従って構成された複数の熱源を備えた井戸の模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に従って構成された複数の熱源を備えた井戸の模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に従って構成された燃焼チャンバを備えた井戸の模式図である。
【図11】図10の井戸の概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に従って構成されたガス生産システムの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドレート層からメタンガスを生産する装置であって、
ハイドレート層中に延設された坑井を実質的に充填する、ガスの透過性がある改質材料のカラムと、
前記改質材料のカラムの中に延設され、ハイドレート層からメタンガスを解放させるように、ハイドレート層に熱を供給するように作動可能である熱源と、を有することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記改質材料のカラムの外面がハイドレート層と接触していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記改質材料のカラムと流体で連通するガス捕集器をさらに有し、該ガス捕集器は、前記改質材料のカラムから外へのメタンガスの流れを制御するように作動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス捕集器は、前記改質材料のカラムの内部に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ガス捕集器が、さらに、
前記改質材料のカラムの内部に配置された非透過性の障壁と、
前記非透過性の障壁を通して流体を連通させるための経路と、
前記流体を連通させるための経路を選択的に閉じる弁と、を有することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ガス捕集器が、前記改質材料のカラムの上の海底上に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記ガス捕集器が、さらに、
前記改質材料のカラムからのガスを受取り可能なチャンバと、
メタンガスから水を除去する分離機と、を有することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記改質材料のカラムが複数の領域を有し、前記改質材料のカラムの選択的特性が、前記複数の領域の間で変化することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記選択的特性は、熱伝導率を含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記選択的特性は、透過率を含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記改質材料のカラムは、ハイドレート層よりも高い熱伝導率を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記熱源は、所定量の蒸気を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記熱源は、電気抵抗加熱器を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記熱源は、前記改質材料のカラムの内部での燃焼を助けるための所定量の酸化剤を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記熱源は、前記所定量の酸化剤と反応し、前記改質材料のカラムの内部に燃焼ガスを生成するように適合された所定量の燃料をさらに有することを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記熱源は、所定量の加熱された燃焼ガスを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記熱源は、所定量の冷却された又は周囲の温度の液体又はガスを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記改質材料のカラムは、メタンガスの前記カラムを通しての透過を妨げる非圧密の地層の物質を抑制するフィルタとして機能することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
ハイドレート層からメタンガスを抽出するシステムであって、
ハイドレート層中に延設された坑井と、
該坑井を実質的に充填し、ハイドレート層と直接的に接触する、ガスの透過性がある改質材料のカラムと、
前記改質材料のカラムに熱を供給するように作動可能な熱源であって、ハイドレート層を加熱し、メタンガスを前記改質材料のカラムの中に解放するように、前記改質材料のカラムを通して熱をハイドレート層に伝達する、熱源と、
前記改質材料のカラムと流体で連通し、前記改質材料のカラムから外へのメタンガスの流れを制御するように作動可能なガス捕集器と、を有することを特徴とする、システム。
【請求項20】
前記改質材料のカラムは、メタンガスの前記カラムを通しての透過を妨げる非圧密の地層の物質を抑制するフィルタとして機能することを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ガス捕集器は、前記改質材料のカラムの内部に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ガス捕集器が、さらに、
前記改質材料のカラムの内部に配置された非透過性の障壁と、
前記非透過性の障壁を通して流体を連通させるための経路と、
前記流体を連通させるための経路を選択的に閉じる弁と、を有することを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ガス捕集器が、前記改質材料のカラムの上の海底上に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記ガス捕集器が、さらに、
ガス領域及び液体領域を備えたチャンバと、
前記ガス領域内の圧力を制御するように、前記液体領域内の液体の量を調整するように作動可能な液体調整装置と、
メタンガスから水を除去するように作動可能な水/ガス分離機と、
前記ガス領域から排出パイプ中へのガスの流れを調整する排出弁と、を有することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ガス捕集器は、メタンガスから水を除去可能な水/ガス分離機をさらに有することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記熱源は、所定量の加熱された液体又はガスをさらに有することを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記熱源は、所定量の冷却された又は周囲の温度の液体又はガスをさらに有することを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記熱源は、電気抵抗加熱器を有することを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記熱源は、前記改質材料のカラムの内部での燃焼を助けるための所定量の酸化剤を有することを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
前記熱源は、前記所定量の酸化剤と反応し、前記改質材料のカラムの内部に燃焼ガスを生成するように適合された所定量の燃料をさらに有することを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記熱源は、所定量の加熱された燃焼ガスを有することを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項32】
ハイドレート層から炭化水素ガスを抽出する方法であって、
ハイドレート層中に坑井を掘削する工程と、
前記坑井を、ガスの透過性がある改質材料で実質的に充填する工程と、
ハイドレート層を加熱し、該ハイドレート層から炭化水素ガスを解放するように、前記改質材料に熱を供給する工程と、
前記坑井の中に流れ込む炭化水素ガスの少なくとも一部を捕集する工程と、を有することを特徴とする、方法。
【請求項33】
前記改質材料は、非圧密の地層の物質の移動を抑制するように、粒子状の固体に対して相対的に非透過性であることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
加熱されたガス又は液体を前記改質材料のカラムの中に注入することによって、熱が供給されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記地層からの炭化水素の解放を停止させるように、周囲又は冷却されたガス又は液体を、前記改質材料のカラムの中に注入する工程をさらに有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−512454(P2007−512454A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539456(P2006−539456)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022478
【国際公開番号】WO2005/056976
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506152346)
【Fターム(参考)】